JP2020186638A - 構造物用支承 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高さを低く抑えることができ、高い耐震性能を有する構造物用支承を提供する。【解決手段】橋脚1に固定される下沓11と、橋桁2に固定される上沓12と、下沓と上沓との間に介挿され、ゴム層を介して上部構造物を支持する弾性支持体13と、を有する。上沓12は、下面から上方に向けて弾性支持体13が嵌め入れられる凹部12aを有し、弾性支持体は上沓の凹部に嵌め入れられた状態で、下部が上沓の下面より突き出している。この弾性支持体の下面が下沓の平坦な上面に当接され、弾性支持体が下沓上に支持されている。弾性支持体の下面には滑り層を設け可動沓とすることもできる。上部構造物と上沓との水平方向の相対変位を拘束するせん断キー14は、上沓の凹部が設けられた範囲の外側で、上沓を上部構造物に固定する複数の上沓固定ボルト16のそれぞれを囲むように設けられている。【選択図】図3

Description

本発明は、下部構造物上に橋桁等の上部構造物を支持するための支承に関するものである。
橋桁等の上部構造物をコンクリートの橋台や橋脚上に支持するために支承が広く用いられている。支承には種々のものが提案されているが、その中には特許文献1に示されるように、鋼で形成された下沓及び上沓とこれらの間に介挿される弾性支持体とを有するものがある。
このタイプの支承は、上部構造物から作用する鉛直方向の荷重を、弾性支持体を介して下部構造物に伝達するものとなっている。そして、上部構造物の回転変位は弾性支持体の変形によって吸収し、下沓、上沓又は構造物に局部的な大きな支圧応力が作用するのを回避するものとなっている。
特開2006−342494
しかしながら、従来の支承では次のような解決が望まれる課題がある。
支承は高さが制限されることがある。例えば、橋梁に用いられている支承が古くなって劣化が生じたときには、新らたなものに取り替える必要が生じる。このとき、路面の高さは変更することはできず、新たな支承は既存の支承と同じ高さのものに制限される。一方、支承に求められる耐震基準は古い支承が据え付けられたときに比べて厳格となっており、同じ高さでより高度の耐震性能を有するものが必要となる。
また、新設する橋梁でも、架設位置の状況によっては高さの小さい支承が求められることがある。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、高さを低く抑えることができるとともに、高い耐震性能を可能とする構造物用支承を提供することである。
上記課題を解決するために、請求項1にかかる発明は、 下部構造物に固定される下沓と、 上部構造物に固定される上沓と、 ゴム層を備え、前記下沓と前記上沓との間に介挿される弾性支持体と、を有し、 前記上沓は、下面から上方に向けて前記弾性支持体が嵌め入れられる凹部を有し、 前記弾性支持体は、前記凹部に嵌め入れられた状態で、下部が前記上沓の下面より突き出し、 該弾性支持体の下面が前記下沓の上面に当接されて、該下沓上に前記弾性支持体が支持されている構造物用支承を提供する。
この構造物用支承では、弾性支持体が上沓に設けられた凹部に嵌め入れられているので、上沓と弾性支持体とを合わせた高さを小さく抑えることが可能となる。これにより、支承全体の高さを抑えることができ、支承の高さが制限される場合にも適用することが可能となる。
また、弾性支持体が嵌め入れられる凹部が下側に開放されているので、凹部内に雨水や粉塵等が溜まるのが回避される。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の構造物用支承において、 前記上沓の平面視における前記凹部が設けられた範囲の外側に、該上沓を前記上部構造物に固定する複数の上沓固定ボルトが結合され、 前記上部構造物と該上沓との水平方向の相対的な変位を拘束するせん断キーが、前記上沓固定ボルトのそれぞれを囲むように設けられているものとする。
この構造物用支承では、上沓と上部構造物との間に作用する水平力すなわちせん断力に対して、上沓固定ボルトのみでなく、せん断キーによって抵抗するものとなる。したがって、地震時等の上沓と上部構造物との間に大きなせん断力が作用するときにも、上沓が上部構造物に強固に保持され、上沓と上部構造物との間にずれが生じるのが抑えられる。
上記せん断キーを上沓と上部構造物との間に設けようとすると、上沓は大きなせん断力が作用しても変形しない充分な厚さがせん断キーの周囲に必要となる。本発明の構造物用支承では、凹部の周囲の十分な厚さを有する部分に上沓固定ボルトを設け、その周囲にせん断キーを設けることができる。したがって、弾性支持体が嵌め入れられる部分では上沓の厚さを小さくするとともに、水平力は、その周囲に設けられた複数のせん断キーに分散して、確実に伝達することが可能となる。
請求項3に係る発明は、請求項2に記載の構造物用支承において、 前記せん断キーは、円筒形状となった円筒部と、該円筒部の下端付近で径が拡大された拡径部と、を有し、 前記上沓に設けられた上下方向の貫通孔に前記円筒部が下側から嵌め入れられて、前記拡径部が該上沓に係止され、 前記円筒部の上部は、前記貫通孔から上方に突き出し、前記上部構造物又は該上部構造物に固定された部材に設けられた凹部に嵌め入れられており、 前記上沓固定ボルトは、前記上部構造物又は該上部構造物に固定された部材に設けられた孔に挿通され、前記せん断キーの円筒部に設けられた中央孔の内周面の雌ネジにねじり合わされ、前記上部構造物と前記せん断キーとの間に前記上沓を挟み込むように締め付けられているものとする。
この構造物用支承では、上沓固定ボルトをせん断キーにねじり合わせることによって、せん断キーの装着と上沓の固定とを行うことができ、効率の良い作業が可能となる。
請求項4に係る発明は、請求項3に記載の構造物用支承において、 前記せん断キーの下側には空間が設けられ、該空間の高さは、前記せん断キーの円筒部が前記上部構造物又は該上部構造物に固定された部材に設けられた凹部に嵌め入れられた高さより大きくなっているものとする。
この構造物用支承では、上沓に下側から嵌め入れられたせん断キーの下側に空間があり、上沓固定ボルトを取り外すことによってせん断キーは下沓の下側の空間に下降する。そして、せん断キーは上部構造物又は上部構造物に固定された部材に設けられた凹部から抜け出す。これにより、上沓と上部構造物との間で水平方向の相対的な変位を拘束するものがなくなる。したがって、上部構造物を大きく上方に押し上げることなく、わずかに押し上げて上沓への負荷を除去するだけで上沓と弾性支持体を水平方向に引き出すことができる。これにより、上沓又は弾性支持体を容易に取り替えることが可能となる。
請求項5に係る発明は、請求項2に記載の構造物用支承において、 前記せん断キーは、下部が前記上沓の上面に設けられた凹部に嵌め入れられ、 上部が前記上部構造物又は該上部構造物に固定された部材に設けられた凹部に嵌め入れられており、 前記上沓固定ボルトは、前記上部構造物又は該上部構造物に固定された部材に設けられた孔に挿通され、前記せん断キーに設けられた中心孔を貫通し、上沓に設けられたボルト孔にねじ込まれているものとする。
この構造物用支承では、簡単な構造で複数のせん断キーを設け、上部構造物と上沓の間に作用する水平力を分散して伝達することができる。
請求項6に係る発明は、請求項1から請求項5までのいずれかに記載の構造物用支承において、 前記弾性支持体の下面に滑り層が設けられ、前記上沓が前記下沓上で滑動が可能となっているものとする。
この構造物用支承では、下沓上を弾性支持体及びこれに支持された上沓が滑動し、上部構造物が温度変化等の要因で水平方向に移動するのを拘束することなく許容するものとなる。
以上説明したように、本発明の構造物用支承では、高さを低く抑えることができるとともに、高い耐震性能を有する構造物用支承とすることが可能となる。
本発明の一実施形態である構造物用支承の正面図及び平面図である。 図1に示す構造物用支承の側面図である。 図1に示す構造物用支承の断面図である。 図1に示す構造物用支承のせん断キーの詳細及び機能を説明するための一部拡大断面図である。 本発明の他の実施形態である構造物用支承の正面図及び平面図である。 本発明の他の実施形態である構造物用支承の断面図である。 本発明の他の実施形態である構造物用支承のせん断キーの構造を示す断面図である。 本発明の他の実施形態である構造物用支承の正面図及び平面図である。
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態である構造物用支承の正面図及び平面図であり、図2は側面図である。また、図3は断面図である。
この構造物用支承は、下部構造物である橋台又は橋脚1上に固定される下沓11と、上部構造物である橋桁2に固定される上沓12と、下沓11と上沓12との間に介挿された弾性支持体13と、橋桁2と上沓12との水平方向の相対的変位を拘束するせん断キー14と、下沓11に固定されて上沓12の位置を拘束するサイドブロック15と、を有するものであり、橋桁2の位置を固定して支持する、いわゆる固定沓である。
上記下沓11は、鋼からなる板状の部材であって、コンクリートの橋台又は橋脚1等の上に設置されるものである。橋台又は橋脚1の上記下沓11を設置する位置には4本のアンカーボルト3が鉛直方向に埋め込まれ、上端部が突き出しており、上記下沓11はこのアンカーボルト3の上端部に結合することによって固定されている。アンカーボルト3の上端部に下沓11を結合する構造は、下沓に形成されたネジ孔にアンカーボルト3の上端部に形成された雄ネジをねじり合わせて結合するものであっても良いし、アンカーボルト3の上端部にねじり合わされたナットによって結合するものであってもよい。この実施の形態では、側方へ張り出した頭部を有する長ナット4を下沓11に形成された貫通孔に挿通するともにアンカーボルト3の上端部の雄ネジにねじり合わせ、張り出した頭部を下沓11の上面に係止して固定するものとしている。
上記上沓12は、鋼からなる厚い板状の部材であり、上部構造物である橋桁2に上沓固定ボルト16によって固定されるものである。本実施の形態で橋桁2は鋼プレートガーダーであり、上沓12は下フランジ2aの底面に当接して固定されたソールプレート5を介して固定されている。
この上沓12には、下面から上方に向けて弾性支持体13が嵌め入れられる凹部12aが形成されている。この凹部は、図1(b)に示すように平面形状が円形で弾性支持体の高さより浅くなっている。また、橋桁1の軸線方向に対して側縁となる部分の上部には、サイドブロック15が係止される切り欠き12bが形成されている。この切り欠き12bは、橋桁1の軸線方向にはサイドブロック15の寸法に対応した所定の長さを有するものであり、上下方向に所定の深さを有する矩形の断面となっている。
上記上沓12を橋桁1に固定する上沓固定ボルト16は、上沓12の四隅に設けられており、橋桁2の下フランジ2aの上方から該下フランジ2a及びソールプレート5に形成された孔に挿通され、上沓12に係止されたせん断キー14にねじり合わされている。
せん断キー14は、円筒部14aと、該円筒部の下端から水平方向に張り出した拡径部14bとを有するものであり、中心軸線上に中央孔を有するものである。中央孔の内周面には上沓固定ボルト16をねじり合わせることができる雌ネジが形成されている。
上沓12には、図3(b)に示すように上記せん断キーの円筒部14aを隙間なく、又はわずかの隙間を設けて挿入することができる径の貫通孔が、下フランジ2a及びソールプレート5に形成された前記孔と中心軸線を一致させることができるように形成されている。また、ソールプレート5には上記貫通孔と同径の凹部が、下面から上方に向けて上記孔の周囲に形成されている。せん断キー14は、上沓12に設けられた上記貫通孔に下方から挿入されるとともに上部がソールプレート5に形成された凹部に突き入れられている。そして、せん断キーの拡径部14bが上沓12の下面から貫通孔の内径拡大部12cに嵌め入れられ、貫通孔の周囲に当接されて、上方へ抜け出さないように係止される。橋桁2の下フランジ2a及びソールプレート5の孔に挿通された上記上沓固定ボルト16は、せん断キー14の中央孔の雌ネジにねじり合わされ、頭部とせん断キー14との間に橋桁の下フランジ2a、ソールプレート5及び上沓12を挟み込んで固定するものとなっている。
なお、上記せん断キーの円筒部14aは上沓12を貫通して上部構造物である橋桁1に固定されたソールプレート5の凹部に突き入れられているが、ソールプレートを貫通して橋桁に設けられている凹部に突き入れられるものであってもよいし、ソールプレートが用いられないときには橋桁に設けられた凹部に突き入れられるものであってもよい。
上記弾性支持体13は、円板状に成形されたゴムを主材料とする部材であって、図3(a)に示すように上面付近と下面付近とに鋼板13a,13bが埋め込まれている。また、上側の鋼板13aと下側の鋼板13bとの間のゴム層13cには鋼リング13dが埋め込まれ、ゴム層13cの過度の変形を拘束するものとなっている。
この弾性支持体13は、上沓12に形成された凹部12aの内径とほぼ一致する外径を有するものであり、上沓12の凹部内に嵌め入れられ、凹部12aの内周面によっても過度の変形が拘束されるものとなっている。また、下端部は上沓12の下面より下方に突き出すものであり、下面を下沓11の上面に当接して支持される。したがって、該弾性支持体13を介して下沓11上に上沓12及び橋桁2が支持される。
上記サイドブロック15は、橋桁1の軸線方向における上沓12の両側面に沿ってそれぞれ設けられ、ブロック固定ボルト17で下沓11に固定されている。これらのサイドブロック15の側面は上沓12の側面と対向し、上沓12が橋桁1の軸線と直角方向を移動するのを拘束するものとなっている。これらのサイドブロック15の上部には上沓12の側面と対向する面から上沓側に突き出した方形の上側張出部15aが設けられている。上側張出部15aは、上沓12に設けられた切り欠き12b内に突き入れられ、上側張出部15aの3つの立面及び底面が、上沓12に設けられた切り欠き12bの内面とそれぞれ対向するものとなっている。したがって、橋桁2の軸線方向に上沓12が移動するのを拘束するとともに、上沓12が上方に浮き上がるのを拘束することができるものである。
このような構造物用支承では、下沓11、弾性支持体13及び上沓12を介して橋脚1上に橋桁2を支持し、橋桁2の水平方向の移動及び上方への浮き上がりを拘束する。また、橋桁2が荷重によって撓むのにともなう支承上でのたわみ角に対しては、弾性支持体13の変形によって許容し、橋桁2、上沓12、下沓11及び橋脚1に過度の応力が生じるのを抑制する。
そして、この構造物用支承では、上沓12の凹部に弾性支持体13が嵌め入れられるので、支承の高さを小さく抑えることが可能となる。したがって、既存の劣化した支承と取り替えるときに、強化された耐震基準に合致する耐震性能の大きい支承とするとともに、橋桁2の位置を変更することなく据え付けることが可能となる。
上記せん断キー14が上沓12に設けられた貫通孔に嵌め入れられ、上沓固定ボルト16によって締め付けられた状態では、せん断キー14の下面は下沓11の上面と間隔を開けて対向するものとなっている。つまり、図4(a)に示すように、せん断キー14の下面と下沓の上面との間に空間18が設けられており、その高さH2は、せん断キーの円筒部14aがソールプレート5の凹部に嵌め入れられた高さH1より大きく設定されている。
このようにせん断キー14が装着されていると、上沓固定ボルト16を取り外すことにより、図4(b)に示すようにせん断キー14は下沓11の上面との間の空間18に下降する。そして、せん断キー14が下側の空間18の高さH2を下降することによってソールプレート5に嵌め入れられたせん断キー14の円筒部が凹部から抜け出す。これにより、上沓12と上部構造物に固定されたソールプレート5との間で水平方向の相対的な変位を拘束するものがなくなる。したがって、ブロック固定ボルト17を抜き取ってサイドブロック15を取り外すと、上部構造物を大きく上方に押し上げることなく、わずかに押し上げて上沓12への負荷を除去するだけで上沓12と弾性支持体13とを水平方向に引き出すことができる。これにより、上沓12又は弾性支持体13を取り替えることが可能となる。
図5は、本発明の他の実施形態である構造物用支承を示す正面図及び平面図である。この構造物用支承は、図1に示すものと同様に橋桁2を支持するものであるが橋桁2の軸線方向の移動を許容する、いわゆる可動沓である。
この構造物用支承では、弾性支持体23の底面に滑り層23aが形成されている。この滑り層23aは、例えばフッ素樹脂層とすることができ、橋桁2からの荷重が作用した状態で下沓11上の滑動を可能とするものである。
また、上沓22の側面の上部に設けられた切り欠き22bは、橋桁2の軸線方向の寸法がサイドブロック25の上側張出部25aの寸法より大きく形成され、上記切り欠き22bが設けられた範囲内で上沓12が橋桁の軸線方向に変位するのを許容するものとなっている。
この構造物用支承の他の部分は図1に示すものと同じ構成を採用することができる。
この構造物用支承では、図1から図3までに示すものと同様に高さを小さく抑えることができるとともに、橋桁の温度変化等による伸縮を許容する可動沓として使用することができる。
上記実施の形態では、弾性支持体として円板状のゴム部材に鋼板及び鋼リングを埋め込んだものを使用しているが、他の形態のものを使用することができる。例えば、図6に示すように、円形のゴムプレート33aと鋼の中間プレート33bとを用いたものを採用することができる。
この弾性支持体33は、円形のゴムプレート33aの下側に中間プレート33bを重ね合わせたものであり、ゴムプレート33aが上沓32に設けられた凹部32aに嵌め入れられる。中間プレート33bは、外径がゴムプレート33aよりやや小さく、上沓32に設けられた凹部32aの内周面との間に間隙が生じるように設定されている。そして、ゴムプレート33aの下面の外周部には鋼リング33cが嵌め合わされ、ゴムプレート33aが強く圧縮されたときにも、ゴムが変形して上記間隙内に押し出されるのを拘束するものとなっている。これにより、ゴムプレート33aは、上沓12に設けられた凹部の内周面と中間プレート33bと鋼リング33cとによって閉じ込められた状態となり、ゴムプレートの過度の変形及びこれにともなう破壊が抑えられる
図7は、せん断キーの他の例を採用した構造物用支承を示す断面図である。
この構造物用支承では、上沓の4隅付近に上沓固定ボルト46をねじ込むボルト孔42aが形成されている。このボルト孔42aは内周面に雌ネジが形成されたものである。上沓固定ボルト46は、橋桁の下フランジ2a及びソールプレート5に設けられた孔に挿通され、先端部を上沓に設けられたボルト孔42aにねじ込み、締め付けることによって上沓42を橋桁2に固定するものとなっている。
上沓42の上面のボルト孔42aが設けられた位置の周囲には、中心軸線が一致するように、平面形状が円形の凹部が形成されている。一方、ソールプレート5にも、上記ボルト孔42aと中心軸線が一致する円形の凹部であって、上沓42の上面に設けられた凹部と同径の凹部が、下面から上方に向けて形成されている。
せん断キー44は、金属からなる円筒形の部材であって、中心軸線上に中央孔を有するものであり、外径は上沓42の上面に設けられた凹部及びソールプレート5の下面に設けられた凹部に嵌め入れることができるものである。そして、嵌め入れられたせん断キー44の外周面と上沓42の凹部の内周面及びソールプレート5に設けられた凹部の内周面との間には、ほとんど隙間が生じないように正確な寸法に形成されている。上沓固定ボルト46は橋桁の下フランジ2a及びソールプレート5の孔からせん断キー44の中央孔を貫通し、上沓42のボルト孔42aにねじ込まれている。
なお、この構造物用支承の他の構成は図1から図4までに示すものと同じものである。
このようなせん断キー44を有する構造物用支承では、橋桁2に強固に固定されたソールプレート5と上沓42との間に作用する水平方向の力すなわちせん断力に対して、複数の上沓固定ボルト46の周囲に設けられた複数のせん断キー44が抵抗するものとなり、上沓42が橋桁2に強固に固定される。
図8は、本発明の他の実施形態であって、コンクリートからなる橋桁6を支持する構造物用支承を示す正面図及び平面図である。
この構造物用支承の下沓51、弾性支持体53及びサイドブロック55は、図1及び図2に示すものと同じものが用いられており、下沓51を固定するアンカーボルト3も同じものである。
この構造物用支承で用いられている上沓52は、上面から上方へ突出するようにせん断キー54が一体に形成されている。このせん断キー54は、図8(b)に示すように平面形状が橋桁6の軸線方向及び軸線と直角方向に伸びて、十の字状に設けられたものである。そして、橋桁6のコンクリートは上沓52の上面と接触するように打設され、突出するせん断キー54を埋め込むものである。
一方、上沓固定ボルト56は先端部が上沓52に設けられたボルト孔にねじ込まれ、上部は上沓の上面より突き出して橋桁6のコンクリート中に埋め込まれる。
このような構造物用支承では、橋桁6と上沓52との間に作用するせん断力に対して、上記せん断キー54が抵抗するものとなり、上沓52が橋桁6に強固に固定される。
以上に説明した構造物用支承は、本発明の実施の形態であって、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内において適宜に形態を変更して実施することができるものである。
1:橋脚, , 2:橋桁, 2a:橋桁の下フランジ, 3:アンカーボルト, 4:長ナット, 5:ソールプレート, 6:コンクリートの橋桁,
11:下沓, 12:上沓, 12a:上沓の下面に設けられた凹部, 12b:上沓に設けられた切り欠き, 12c:上沓に形成され貫通孔の内径拡大部, 13:弾性支持体, 13a,13b:鋼板, 13c:ゴム層, 13d:鋼リング, 14:せん断キー, 14aせん断キーの円筒部, 14b:せん断キーの拡径部, 14c:せん断キーの中央孔, 15:サイドブロック, 15a:サイドブロックの上側張出部, 16:上沓固定ボルト, 17:ブロック固定ボルト, 18:せん断キーの下側の空間,
21:下沓, 22:上沓, 22a:上沓の下面に設けられた凹部, 22b:上沓に設けられた切り欠き, 23:弾性支持体, 23a:滑り層, 24:せん断キー, 25:サイドブロック, 25a:サイドブロックの上側張出部, 26:上沓固定ボルト, 27:ブロック固定ボルト,
31:下沓, 32:上沓, 32a:上沓の下面に設けられた凹部, 33:弾性支持体, 33a:ゴムプレート, 33b:中間プレート, 33c:鋼リング, 34:せん断キー, 35:サイドブロック, 36:上沓固定ボルト,
41:下沓, 42:上沓, 42a:ボルト孔, 43:弾性支持体, 44:せん断キー, 45:サイドブロック, 46:上沓固定ボルト,
51:下沓, 52:上沓, 53:弾性支持体, 54:せん断キー, 55:サイドブロック, 56:上沓固定ボルト
本発明は、下部構造物上に橋桁等の上部構造物を支持するための支承に関するものである。
橋桁等の上部構造物をコンクリートの橋台や橋脚上に支持するために支承が広く用いられている。支承には種々のものが提案されているが、その中には特許文献1に示されるように、鋼で形成された下沓及び上沓とこれらの間に介挿される弾性支持体とを有するものがある。
このタイプの支承は、上部構造物から作用する鉛直方向の荷重を、弾性支持体を介して下部構造物に伝達するものとなっている。そして、上部構造物の回転変位は弾性支持体の変形によって吸収し、下沓、上沓又は構造物に局部的な大きな支圧応力が作用するのを回避するものとなっている。
特開2006−342494
しかしながら、従来の支承では次のような解決が望まれる課題がある。
支承は高さが制限されることがある。例えば、橋梁に用いられている支承が古くなって劣化が生じたときには、新らたなものに取り替える必要が生じる。このとき、路面の高さは変更することはできず、新たな支承は既存の支承と同じ高さのものに制限される。一方、支承に求められる耐震基準は古い支承が据え付けられたときに比べて厳格となっており、同じ高さでより高度の耐震性能を有するものが必要となる。
また、新設する橋梁でも、架設位置の状況によっては高さの小さい支承が求められることがある。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、高さを低く抑えることができるとともに、高い耐震性能を可能とする構造物用支承を提供することである。
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明は、 下部構造物に固定される下沓と、 上部構造物に固定される上沓と、 ゴム層を備え、前記下沓と前記上沓との間に介挿される弾性支持体と、を有し、 前記上沓は、下面から上方に向けて前記弾性支持体が嵌め入れられる凹部を有し、 前記弾性支持体は、前記凹部に嵌め入れられた状態で、下部が前記上沓の下面より突き出し、 該弾性支持体の下面が前記下沓の上面に当接されて、該下沓上に前記弾性支持体が支持されており、 前記上沓の平面視における前記凹部が設けられた範囲の外側に、該上沓を前記上部構造物に固定する複数の上沓固定ボルトが結合され、 前記上部構造物と該上沓との水平方向の相対的な変位を拘束するせん断キーが、前記上沓固定ボルトのそれぞれを囲むように設けられている構造物用支承を提供する。
この構造物用支承では、弾性支持体が上沓に設けられた凹部に嵌め入れられているので、上沓と弾性支持体とを合わせた高さを小さく抑えることが可能となる。これにより、支承全体の高さを抑えることができ、支承の高さが制限される場合にも適用することが可能となる。
また、弾性支持体が嵌め入れられる凹部が下側に開放されているので、凹部内に雨水や粉塵等が溜まるのが回避される。
さらにこの構造物用支承では、上沓と上部構造物との間に作用する水平力すなわちせん断力に対して、上沓固定ボルトのみでなく、せん断キーによって抵抗するものとなる。したがって、地震時等の上沓と上部構造物との間に大きなせん断力が作用するときにも、上沓が上部構造物に強固に保持され、上沓と上部構造物との間にずれが生じるのが抑えられる。
上記せん断キーを上沓と上部構造物との間に設けようとすると、上沓は大きなせん断力が作用しても変形しない充分な厚さがせん断キーの周囲に必要となる。本発明の構造物用支承では、凹部の周囲の十分な厚さを有する部分に上沓固定ボルトを設け、その周囲にせん断キーを設けることができる。したがって、弾性支持体が嵌め入れられる部分では上沓の厚さを小さくするとともに、水平力は、その周囲に設けられた複数のせん断キーに分散して、確実に伝達することが可能となる。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の構造物用支承において、 前記せん断キーは、円筒形状となった円筒部と、該円筒部の下端付近で径が拡大された拡径部と、を有し、
前記上沓に設けられた上下方向の貫通孔に前記円筒部が下側から嵌め入れられて、前記拡径部が該上沓に係止され、 前記円筒部の上部は、前記貫通孔から上方に突き出し、前記上部構造物又は該上部構造物に固定された部材に設けられた凹部に嵌め入れられており、 前記上沓固定ボルトは、前記上部構造物又は該上部構造物に固定された部材に設けられた孔に挿通され、前記せん断キーの円筒部に設けられた中央孔の内周面の雌ネジにねじり合わされ、前記上部構造物と前記せん断キーとの間に前記上沓を挟み込むように締め付けられているものとする。
この構造物用支承では、上沓固定ボルトをせん断キーにねじり合わせることによって、せん断キーの装着と上沓の固定とを行うことができ、効率の良い作業が可能となる。
請求項3に係る発明は、請求項2に記載の構造物用支承において、 前記せん断キーの下側には空間が設けられ、該空間の高さは、前記せん断キーの円筒部が前記上部構造物又は該上部構造物に固定された部材に設けられた凹部に嵌め入れられた高さより大きくなっているものとする。
この構造物用支承では、上沓に下側から嵌め入れられたせん断キーの下側に空間があり、上沓固定ボルトを取り外すことによってせん断キーは下沓の下側の空間に下降する。そして、せん断キーは上部構造物又は上部構造物に固定された部材に設けられた凹部から抜け出す。これにより、上沓と上部構造物との間で水平方向の相対的な変位を拘束するものがなくなる。したがって、上部構造物を大きく上方に押し上げることなく、わずかに押し上げて上沓への負荷を除去するだけで上沓と弾性支持体を水平方向に引き出すことができる。これにより、上沓又は弾性支持体を容易に取り替えることが可能となる。
請求項4に係る発明は、請求項1に記載の構造物用支承において、 前記せん断キーは、下部が前記上沓の上面に設けられた凹部に嵌め入れられ、 上部が前記上部構造物又は該上部構造物に固定された部材に設けられた凹部に嵌め入れられており、 前記上沓固定ボルトは、前記上部構造物又は該上部構造物に固定された部材に設けられた孔に挿通され、前記せん断キーに設けられた中心孔を貫通し、上沓に設けられたボルト孔にねじ込まれているものとする。
この構造物用支承では、簡単な構造で複数のせん断キーを設け、上部構造物と上沓の間に作用する水平力を分散して伝達することができる。
請求項5に係る発明は、請求項1から請求項4までのいずれかに記載の構造物用支承において、 前記弾性支持体の下面に滑り層が設けられ、前記上沓が前記下沓上で滑動が可能となっているものとする。
この構造物用支承では、下沓上を弾性支持体及びこれに支持された上沓が滑動し、上部構造物が温度変化等の要因で水平方向に移動するのを拘束することなく許容するものとなる。
以上説明したように、本発明の構造物用支承では、高さを低く抑えることができるとともに、高い耐震性能を有する構造物用支承とすることが可能となる。
本発明の一実施形態である構造物用支承の正面図及び平面図である。 図1に示す構造物用支承の側面図である。 図1に示す構造物用支承の断面図である。 図1に示す構造物用支承のせん断キーの詳細及び機能を説明するための一部拡大断面図である。 本発明の他の実施形態である構造物用支承の正面図及び平面図である。 本発明の他の実施形態である構造物用支承の断面図である。 本発明の他の実施形態である構造物用支承のせん断キーの構造を示す断面図である。 本発明の構成の一部を利用した他の構造物用支承を参考として示す正面図及び平面図である。
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態である構造物用支承の正面図及び平面図であり、図2は側面図である。また、図3は断面図である。
この構造物用支承は、下部構造物である橋台又は橋脚1上に固定される下沓11と、上部構造物である橋桁2に固定される上沓12と、下沓11と上沓12との間に介挿された弾性支持体13と、橋桁2と上沓12との水平方向の相対的変位を拘束するせん断キー14と、下沓11に固定されて上沓12の位置を拘束するサイドブロック15と、を有するものであり、橋桁2の位置を固定して支持する、いわゆる固定沓である。
上記下沓11は、鋼からなる板状の部材であって、コンクリートの橋台又は橋脚1等の上に設置されるものである。橋台又は橋脚1の上記下沓11を設置する位置には4本のアンカーボルト3が鉛直方向に埋め込まれ、上端部が突き出しており、上記下沓11はこのアンカーボルト3の上端部に結合することによって固定されている。アンカーボルト3の上端部に下沓11を結合する構造は、下沓に形成されたネジ孔にアンカーボルト3の上端部に形成された雄ネジをねじり合わせて結合するものであっても良いし、アンカーボルト3の上端部にねじり合わされたナットによって結合するものであってもよい。この実施の形態では、側方へ張り出した頭部を有する長ナット4を下沓11に形成された貫通孔に挿通するともにアンカーボルト3の上端部の雄ネジにねじり合わせ、張り出した頭部を下沓11の上面に係止して固定するものとしている。
上記上沓12は、鋼からなる厚い板状の部材であり、上部構造物である橋桁2に上沓固定ボルト16によって固定されるものである。本実施の形態で橋桁2は鋼プレートガーダーであり、上沓12は下フランジ2aの底面に当接して固定されたソールプレート5を介して固定されている。
この上沓12には、下面から上方に向けて弾性支持体13が嵌め入れられる凹部12aが形成されている。この凹部は、図1(b)に示すように平面形状が円形で弾性支持体の高さより浅くなっている。また、橋桁1の軸線方向に対して側縁となる部分の上部には、サイドブロック15が係止される切り欠き12bが形成されている。この切り欠き12bは、橋桁1の軸線方向にはサイドブロック15の寸法に対応した所定の長さを有するものであり、上下方向に所定の深さを有する矩形の断面となっている。
上記上沓12を橋桁1に固定する上沓固定ボルト16は、上沓12の四隅に設けられており、橋桁2の下フランジ2aの上方から該下フランジ2a及びソールプレート5に形成された孔に挿通され、上沓12に係止されたせん断キー14にねじり合わされている。
せん断キー14は、円筒部14aと、該円筒部の下端から水平方向に張り出した拡径部14bとを有するものであり、中心軸線上に中央孔を有するものである。中央孔の内周面には上沓固定ボルト16をねじり合わせることができる雌ネジが形成されている。
上沓12には、図3(b)に示すように上記せん断キーの円筒部14aを隙間なく、又はわずかの隙間を設けて挿入することができる径の貫通孔が、下フランジ2a及びソールプレート5に形成された前記孔と中心軸線を一致させることができるように形成されている。また、ソールプレート5には上記貫通孔と同径の凹部が、下面から上方に向けて上記孔の周囲に形成されている。せん断キー14は、上沓12に設けられた上記貫通孔に下方から挿入されるとともに上部がソールプレート5に形成された凹部に突き入れられている。そして、せん断キーの拡径部14bが上沓12の下面から貫通孔の内径拡大部12cに嵌め入れられ、貫通孔の周囲に当接されて、上方へ抜け出さないように係止される。橋桁2の下フランジ2a及びソールプレート5の孔に挿通された上記上沓固定ボルト16は、せん断キー14の中央孔の雌ネジにねじり合わされ、頭部とせん断キー14との間に橋桁の下フランジ2a、ソールプレート5及び上沓12を挟み込んで固定するものとなっている。
なお、上記せん断キーの円筒部14aは上沓12を貫通して上部構造物である橋桁1に固定されたソールプレート5の凹部に突き入れられているが、ソールプレートを貫通して橋桁に設けられている凹部に突き入れられるものであってもよいし、ソールプレートが用いられないときには橋桁に設けられた凹部に突き入れられるものであってもよい。
上記弾性支持体13は、円板状に成形されたゴムを主材料とする部材であって、図3(a)に示すように上面付近と下面付近とに鋼板13a,13bが埋め込まれている。また、上側の鋼板13aと下側の鋼板13bとの間のゴム層13cには鋼リング13dが埋め込まれ、ゴム層13cの過度の変形を拘束するものとなっている。
この弾性支持体13は、上沓12に形成された凹部12aの内径とほぼ一致する外径を有するものであり、上沓12の凹部内に嵌め入れられ、凹部12aの内周面によっても過度の変形が拘束されるものとなっている。また、下端部は上沓12の下面より下方に突き出すものであり、下面を下沓11の上面に当接して支持される。したがって、該弾性支持体13を介して下沓11上に上沓12及び橋桁2が支持される。
上記サイドブロック15は、橋桁1の軸線方向における上沓12の両側面に沿ってそれぞれ設けられ、ブロック固定ボルト17で下沓11に固定されている。これらのサイドブロック15の側面は上沓12の側面と対向し、上沓12が橋桁1の軸線と直角方向を移動するのを拘束するものとなっている。これらのサイドブロック15の上部には上沓12の側面と対向する面から上沓側に突き出した方形の上側張出部15aが設けられている。上側張出部15aは、上沓12に設けられた切り欠き12b内に突き入れられ、上側張出部15aの3つの立面及び底面が、上沓12に設けられた切り欠き12bの内面とそれぞれ対向するものとなっている。したがって、橋桁2の軸線方向に上沓12が移動するのを拘束するとともに、上沓12が上方に浮き上がるのを拘束することができるものである。
このような構造物用支承では、下沓11、弾性支持体13及び上沓12を介して橋脚1上に橋桁2を支持し、橋桁2の水平方向の移動及び上方への浮き上がりを拘束する。また、橋桁2が荷重によって撓むのにともなう支承上でのたわみ角に対しては、弾性支持体13の変形によって許容し、橋桁2、上沓12、下沓11及び橋脚1に過度の応力が生じるのを抑制する。
そして、この構造物用支承では、上沓12の凹部に弾性支持体13が嵌め入れられるので、支承の高さを小さく抑えることが可能となる。したがって、既存の劣化した支承と取り替えるときに、強化された耐震基準に合致する耐震性能の大きい支承とするとともに、橋桁2の位置を変更することなく据え付けることが可能となる。
上記せん断キー14が上沓12に設けられた貫通孔に嵌め入れられ、上沓固定ボルト16によって締め付けられた状態では、せん断キー14の下面は下沓11の上面と間隔を開けて対向するものとなっている。つまり、図4(a)に示すように、せん断キー14の下面と下沓の上面との間に空間18が設けられており、その高さH2は、せん断キーの円筒部14aがソールプレート5の凹部に嵌め入れられた高さH1より大きく設定されている。
このようにせん断キー14が装着されていると、上沓固定ボルト16を取り外すことにより、図4(b)に示すようにせん断キー14は下沓11の上面との間の空間18に下降する。そして、せん断キー14が下側の空間18の高さH2を下降することによってソールプレート5に嵌め入れられたせん断キー14の円筒部が凹部から抜け出す。これにより、上沓12と上部構造物に固定されたソールプレート5との間で水平方向の相対的な変位を拘束するものがなくなる。したがって、ブロック固定ボルト17を抜き取ってサイドブロック15を取り外すと、上部構造物を大きく上方に押し上げることなく、わずかに押し上げて上沓12への負荷を除去するだけで上沓12と弾性支持体13とを水平方向に引き出すことができる。これにより、上沓12又は弾性支持体13を取り替えることが可能となる。
図5は、本発明の他の実施形態である構造物用支承を示す正面図及び平面図である。この構造物用支承は、図1に示すものと同様に橋桁2を支持するものであるが橋桁2の軸線方向の移動を許容する、いわゆる可動沓である。
この構造物用支承では、弾性支持体23の底面に滑り層23aが形成されている。この滑り層23aは、例えばフッ素樹脂層とすることができ、橋桁2からの荷重が作用した状態で下沓11上の滑動を可能とするものである。
また、上沓22の側面の上部に設けられた切り欠き22bは、橋桁2の軸線方向の寸法がサイドブロック25の上側張出部25aの寸法より大きく形成され、上記切り欠き22bが設けられた範囲内で上沓12が橋桁の軸線方向に変位するのを許容するものとなっている。
この構造物用支承の他の部分は図1に示すものと同じ構成を採用することができる。
この構造物用支承では、図1から図3までに示すものと同様に高さを小さく抑えることができるとともに、橋桁の温度変化等による伸縮を許容する可動沓として使用することができる。
上記実施の形態では、弾性支持体として円板状のゴム部材に鋼板及び鋼リングを埋め込んだものを使用しているが、他の形態のものを使用することができる。例えば、図6に示すように、円形のゴムプレート33aと鋼の中間プレート33bとを用いたものを採用することができる。
この弾性支持体33は、円形のゴムプレート33aの下側に中間プレート33bを重ね合わせたものであり、ゴムプレート33aが上沓32に設けられた凹部32aに嵌め入れられる。中間プレート33bは、外径がゴムプレート33aよりやや小さく、上沓32に設けられた凹部32aの内周面との間に間隙が生じるように設定されている。そして、ゴムプレート33aの下面の外周部には鋼リング33cが嵌め合わされ、ゴムプレート33aが強く圧縮されたときにも、ゴムが変形して上記間隙内に押し出されるのを拘束するものとなっている。これにより、ゴムプレート33aは、上沓12に設けられた凹部の内周面と中間プレート33bと鋼リング33cとによって閉じ込められた状態となり、ゴムプレートの過度の変形及びこれにともなう破壊が抑えられる
図7は、せん断キーの他の例を採用した構造物用支承を示す断面図である。
この構造物用支承では、上沓の4隅付近に上沓固定ボルト46をねじ込むボルト孔42aが形成されている。このボルト孔42aは内周面に雌ネジが形成されたものである。上沓固定ボルト46は、橋桁の下フランジ2a及びソールプレート5に設けられた孔に挿通され、先端部を上沓に設けられたボルト孔42aにねじ込み、締め付けることによって上沓42を橋桁2に固定するものとなっている。
上沓42の上面のボルト孔42aが設けられた位置の周囲には、中心軸線が一致するように、平面形状が円形の凹部が形成されている。一方、ソールプレート5にも、上記ボルト孔42aと中心軸線が一致する円形の凹部であって、上沓42の上面に設けられた凹部と同径の凹部が、下面から上方に向けて形成されている。
せん断キー44は、金属からなる円筒形の部材であって、中心軸線上に中央孔を有するものであり、外径は上沓42の上面に設けられた凹部及びソールプレート5の下面に設けられた凹部に嵌め入れることができるものである。そして、嵌め入れられたせん断キー44の外周面と上沓42の凹部の内周面及びソールプレート5に設けられた凹部の内周面との間には、ほとんど隙間が生じないように正確な寸法に形成されている。上沓固定ボルト46は橋桁の下フランジ2a及びソールプレート5の孔からせん断キー44の中央孔を貫通し、上沓42のボルト孔42aにねじ込まれている。
なお、この構造物用支承の他の構成は図1から図4までに示すものと同じものである。
このようなせん断キー44を有する構造物用支承では、橋桁2に強固に固定されたソールプレート5と上沓42との間に作用する水平方向の力すなわちせん断力に対して、複数の上沓固定ボルト46の周囲に設けられた複数のせん断キー44が抵抗するものとなり、上沓42が橋桁2に強固に固定される。
図8は、本発明の構成の一部を利用する構造物支承であって、コンクリートからなる橋桁6を支持する構造物用支承を参考として示す正面図及び平面図である。
この構造物用支承の下沓51、弾性支持体53及びサイドブロック55は、図1及び図2に示すものと同じものが用いられており、下沓51を固定するアンカーボルト3も同じものである。
この構造物用支承で用いられている上沓52は、上面から上方へ突出するようにせん断キー54が一体に形成されている。このせん断キー54は、図8(b)に示すように平面形状が橋桁6の軸線方向及び軸線と直角方向に伸びて、十の字状に設けられたものである。そして、橋桁6のコンクリートは上沓52の上面と接触するように打設され、突出するせん断キー54を埋め込むものである。
一方、上沓固定ボルト56は先端部が上沓52に設けられたボルト孔にねじ込まれ、上部は上沓の上面より突き出して橋桁6のコンクリート中に埋め込まれる。
このような構造物用支承では、橋桁6と上沓52との間に作用するせん断力に対して、上記せん断キー54が抵抗するものとなり、上沓52が橋桁6に強固に固定される。
以上に説明した構造物用支承は、本発明の実施の形態であって、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内において適宜に形態を変更して実施することができるものである。
1:橋脚, , 2:橋桁, 2a:橋桁の下フランジ, 3:アンカーボルト, 4:長ナット, 5:ソールプレート, 6:コンクリートの橋桁,
11:下沓, 12:上沓, 12a:上沓の下面に設けられた凹部, 12b:上沓に設けられた切り欠き, 12c:上沓に形成され貫通孔の内径拡大部, 13:弾性支持体, 13a,13b:鋼板, 13c:ゴム層, 13d:鋼リング, 14:せん断キー, 14aせん断キーの円筒部, 14b:せん断キーの拡径部, 14c:せん断キーの中央孔, 15:サイドブロック, 15a:サイドブロックの上側張出部, 16:上沓固定ボルト, 17:ブロック固定ボルト, 18:せん断キーの下側の空間,21:下沓, 22:上沓, 22a:上沓の下面に設けられた凹部, 22b:上沓に設けられた切り欠き, 23:弾性支持体, 23a:滑り層, 24:せん断キー,
25:サイドブロック, 25a:サイドブロックの上側張出部, 26:上沓固定ボルト, 27:ブロック固定ボルト,
31:下沓, 32:上沓, 32a:上沓の下面に設けられた凹部, 33:弾性支持体, 33a:ゴムプレート, 33b:中間プレート, 33c:鋼リング, 34:せん断キー, 35:サイドブロック, 36:上沓固定ボルト,
41:下沓, 42:上沓, 42a:ボルト孔, 43:弾性支持体, 44:せん断キー, 45:サイドブロック, 46:上沓固定ボルト,
51:下沓, 52:上沓, 53:弾性支持体, 54:せん断キー, 55:サイドブロック, 56:上沓固定ボルト

Claims (6)

  1. 下部構造物に固定される下沓と、
    上部構造物に固定される上沓と、
    ゴム層を備え、前記下沓と前記上沓との間に介挿される弾性支持体と、を有し、
    前記上沓は、下面から上方に向けて前記弾性支持体が嵌め入れられる凹部を有し、
    前記弾性支持体は、前記凹部に嵌め入れられた状態で、下部が前記上沓の下面より突き出し、
    該弾性支持体の下面が前記下沓の上面に当接されて、該下沓上に前記弾性支持体が支持されていることを特徴とする構造物用支承。
  2. 前記上沓の平面視における前記凹部が設けられた範囲の外側に、該上沓を前記上部構造物に固定する複数の上沓固定ボルトが結合され、
    前記上部構造物と該上沓との水平方向の相対的な変位を拘束するせん断キーが、前記上沓固定ボルトのそれぞれを囲むように設けられていることを特徴とする請求項1に記載の構造物用支承。
  3. 前記せん断キーは、円筒形状となった円筒部と、該円筒部の下端付近で径が拡大された拡径部と、を有し、
    前記上沓に設けられた上下方向の貫通孔に前記円筒部が下側から嵌め入れられて、前記拡径部が該上沓に係止され、
    前記円筒部の上部は、前記貫通孔から上方に突き出し、前記上部構造物又は該上部構造物に固定された部材に設けられた凹部に嵌め入れられており、
    前記上沓固定ボルトは、前記上部構造物又は該上部構造物に固定された部材に設けられた孔に挿通され、前記せん断キーの円筒部に設けられた中央孔の内周面の雌ネジにねじり合わされ、前記上部構造物と前記せん断キーとの間に前記上沓を挟み込むように締め付けられていることを特徴とする請求項2に記載の構造物用支承。
  4. 前記せん断キーの下側には空間が設けられ、該空間の高さは、前記せん断キーの円筒部が前記上部構造物又は該上部構造物に固定された部材に設けられた凹部に嵌め入れられた高さより大きくなっていることを特徴とする請求項3に記載の構造物用支承。
  5. 前記せん断キーは、下部が前記上沓の上面に設けられた凹部に嵌め入れられ、
    上部が前記上部構造物又は該上部構造物に固定された部材に設けられた凹部に嵌め入れられており、
    前記上沓固定ボルトは、前記上部構造物又は該上部構造物に固定された部材に設けられた孔に挿通され、前記せん断キーに設けられた中心孔を貫通し、上沓に設けられたボルト孔にねじ込まれていることを特徴とする請求項2に記載の構造物用支承。
  6. 前記弾性支持体の下面に滑り層が設けられ、前記上沓が前記下沓上で滑動が可能となっていることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれかに記載の構造物用支承。
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