JP4376110B2 - 分注装置 - Google Patents

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Description

本発明は、分注装置に関する。
例えば試験管のような容器に入った液体試料を分注ポンプに接続されたノズルの先端開口から吸引および吐出して液体試料の仕分け、混合などを行う分注装置が知られている。このような分注装置では、吸引元の容器からノズル内に液体試料を吸引した後、吐出先の容器へノズルを移動する間に、ノズルの先端開口から液滴が垂れ落ちる場合がある。
この液垂れは、吸引元から吐出先にノズルが移動する間、ノズル先端が液面から離れた状態(空中にある状態)になっているとき、ノズル内の液体が蒸発することによりポンプ内圧力が上昇し、やがてポンプ内圧力があるピーク圧を超えるとノズルの先端開口より液体が押し出されて生じる現象である。
この液垂れが生じると、装置が汚れたり、液体が無駄になったり、さらには垂れ落ちた液滴が他の容器に混入してコンタミネーションを起こしたりするので、液垂れを防止する必要がある。
吸引から吐出までの待機時間が10秒以上になったり、装置が設置されている場所の環境が高温低湿の条件であったり、容量が大きくて太い形状のノズルを用いたりした場合、液垂れが発生し易くなる。また、複数の分注ポンプを備えた分注装置では、片方の分注ポンプでの処理が終わるまでもう片方の分注ポンプが吸引したまま待機することがあり、液垂れ発生の危険が高い。
このような液垂れの発生を防止するために、液体試料を吸引したノズルを吐出先の容器へ移動する途中で分注ポンプに一定量の吸引(液垂れ防止吸引)を行わせることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、液垂れ防止吸引時の吸引量が多いと、ノズルの先端開口から空気が流入してノズル先端にエアギャップ(空気溜まり)を作るおそれがある。エアギャップができた場合、時間が経過するとエアギャップを介してノズルの先端開口に液溜まりが生じるので、液体試料の吐出動作を行ったときに泡を作ったり、液垂れが発生したときに液滴ではなく気泡がノズルの先端開口部から飛び出し、この気泡が弾けて試料が飛散してコンタミネーションを生じたりする等の不都合が生じる。
特開2003−194835号公報
本発明の目的は、簡単な構成で、ノズル内に保持した液体試料が先端開口から液垂れするのを確実に防止することができ、かつ、液垂れ防止吸引を行った際にノズル先端にエアギャップを生成することも防止することができる分注装置を提供することにある。
このような目的は、下記(1)および(2)の本発明により達成される。
(1) 分注ポンプの作動により発生する圧力を圧力伝達ガスを介してノズルに伝達することにより、前記ノズルの先端開口から液体試料を吸引および吐出する分注装置であって、
前記分注ポンプの作動を制御する制御部と、
前記圧力伝達ガスの圧力を検出する圧力検出手段と、
前記ノズルの先端開口径データと、液体試料の表面張力値データと、前記圧力伝達ガスの体積であるデッドボリュームデータとを記憶する記憶手段と、
前記ノズルの先端開口からの液垂れを防止するための前記分注ポンプの液垂れ防止吸引作動を開始すべきタイミングの判定に用いる前記圧力伝達ガスの圧力値を、前記先端開口径データおよび前記表面張力値データに基づいて算出する圧力値算出手段と、
前記液垂れ防止吸引作動時に、前記ノズルの先端開口からの空気の流入を防止するのに必要な前記分注ポンプの吸引量を、前記先端開口径データ、前記表面張力値データおよび前記デッドボリュームデータに基づいて算出する液垂れ防止吸引量算出手段とを備え、
前記制御部は、前記ノズル内に液体試料を吸引した後、前記圧力検出手段により検出された圧力が前記圧力値算出手段により算出された圧力値まで上昇した場合には、前記液垂れ防止吸引量算出手段により算出された吸引量の分だけ前記分注ポンプを液垂れ防止吸引作動させるように制御するものであり、
前記圧力値算出手段は、前記ノズルの先端開口径をd、前記液体試料の表面張力値をσとしたとき、4σ/dで表されるラプラス圧を利用して前記圧力値を算出するものであり、
前記液垂れ防止吸引量算出手段は、前記ノズルの先端開口径をd、前記液体試料の表面張力値をσ、前記デッドボリュームをV 、大気圧をP としたとき、液垂れ防止吸引量vを、v<(4σ/d)×(V /P )なる関係を満足するように算出することを特徴とする分注装置。
(2) 前記先端開口径データ、前記表面張力値データおよび前記デッドボリュームデータの少なくとも一つを入力する入力部を有する上記(1)に記載の分注装置。
本発明の分注装置によれば、ノズル内に保持した液体試料の液垂れが発生するおそれがある場合、液垂れ防止吸引作動を行うことにより、液垂れの発生を確実に防止することができる。大容量のノズルを用いて、高温低湿の環境下で分注を行うような液垂れの発生し易い条件下であっても、液垂れを確実に防止することができる。
また、一つの圧力レベル(圧力値)との比較による判定のみで液垂れ防止吸引作動の制御が可能であるので、制御方法が簡単であり、制御系の構成を簡素化することができる。すなわち、エンコーダを用いて圧力伝達ガスの圧力を常に一定に保つように分注ポンプをフィードバック制御するような場合と異なって複雑な制御系を必要としないので、製造コストも低減できる。
また、液垂れ発生のおそれがある場合のみ液垂れ防止吸引を行うので、一律に液垂れ防止吸引を行うような場合と比べ、分注処理時間を短縮することができる。
また、液垂れ防止吸引を行ったときに、ノズル先端にエアギャップが生成するのを確実に防止することができる。よって、液体試料を吐出先の容器に吐出したときに泡を作ったりするようなことを確実に防止することができる。
また、ノズルの先端開口径、分注系のデッドボリューム(ここでは、ポンプのデッドボリューム、管の容積、チップの容積という。)、液体試料の表面張力値に応じた制御を行うので、正確な制御が可能であるとともに、ノズルチップを他種のものに交換したり分注する液体試料が変わったりしてこれらの値が変更された場合であっても、上記効果を確実に発揮することができる。
以下、本発明の分注装置を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の分注装置の実施形態を示す断面図、図2は、図1に示す分注装置の電気的回路構成を示すブロック図、図3は、図1に示す分注装置が実施する分注方法を示すフローチャート、図4は、液垂れが生じるときの様子を順を追って示すノズルチップ先端部の縦断面図、図5は、エアギャップが生じるときの様子を順を追って示すノズルチップ先端部の縦断面図である。
図1に示すように、本発明の分注装置1は、分注ポンプ2と、液体試料200を吸引および吐出するノズルチップ10を装着するチップ装着部3と、分注ポンプ2とチップ装着部3とを接続する可撓性の管(チューブ)4と、分注ポンプ2を駆動するポンプ駆動部5と、チップ装着部3を移動させるノズル駆動部6と、圧力伝達ガスの圧力を検出する圧力センサ(圧力検出手段)7とを有している。
分注ポンプ2は、ピストンポンプ(シリンジポンプ)であり、シリンダ21と、該シリンダ21内で摺動可能に設置されたピストン22とを有している。シリンダ21には、管4の一端が接続されている。
ポンプ駆動部5は、ピストン22に連結されたピストンロッド51と、送りねじ(ボールねじ)52と、この送りねじ52を回転駆動するパルスモータ(ステッピングモータ)53と、送りねじ52に螺合する雌ねじ部を一端側に有し他端部がピストンロッド51に連結された可動片55とを有している。
パルスモータ53を駆動すると、送りねじ52が回転し、可動片55を介してピストンロッド51が軸方向に移動することにより、ピストン22がシリンダ21内を摺動して、シリンダ21とピストン22とで囲まれたポンプ空間23の容積が変化する。
チップ装着部3は、管状の部材で、このチップ装着部3の上端部に管4の他端が嵌合され、下端部はノズルチップ10の上端開口部102に嵌合している。ノズルチップ10の先端部は、液体の吸引および吐出を行う先端開口(小孔)101を備え、全体として先細形状(テーパー形状)となっている。
ノズル駆動部6は、その詳細な図示は省略するが、チップ装着部3を三次元方向(互いに直交する水平なX軸方向およびY軸方向と、鉛直方向であるZ軸方向との3方向)に移動させることができるように構成されている。このノズル駆動部6の作動により、チップ装着部3に装着されたノズルチップ10は、試料容器と吐出先の容器との間を移動する。
シリンダ21付近の管4の途中には、管4内の空気(圧力伝達ガス)の圧力を検出する圧力センサ7が設置されている。この圧力センサ7の設置個所は、圧力伝達ガスの圧力を検出可能な位置であれば、図示の位置以外であってもよい。
このような分注装置1では、ポンプ空間23およびノズルチップ10のチップ内空間(ノズル内空間)103を含む連続した内部空間にある空気は、分注ポンプ2の作動により発生する圧力をノズルチップ10に伝達する圧力伝達ガスとして機能する。すなわち、図示の構成では、ポンプ空間23、管4内、圧力センサ7内、チップ装着部3の管路31内およびチップ内空間103にある空気が圧力伝達ガスである。
試料容器内の液体試料200をノズルチップ10内に吸入する際には、ポンプ駆動部5の駆動によりピストン22を図1中で下方向に移動させることにより、分注ポンプ2が吸引作動し、この吸引作動により発生した圧力(負圧)が上記圧力伝達ガスを介してチップ内空間103に伝達して、試料容器内の液体試料200を先端開口101からノズルチップ10内に吸入することができる。
逆に、ノズルチップ10内の液体試料200を吐出先の容器内へ吐出する際には、ピストン22を図1中で上方向に移動させることにより圧力(正圧)が、上記圧力伝達ガスを介してチップ内空間103に伝達して、ノズルチップ10内の液体試料200を先端開口101から吐出先の容器内へ吐出することができる。
このような分注装置1では、液体試料200をノズルチップ10内に吸引する前における圧力伝達ガスの体積を分注系のデッドボリュームと言う。なお、分注系のデッドボリュームは、液体試料200をノズルチップ10に吸引する前と吸引した後とでは、ほとんど変化しないと考えてよい。ノズルチップ10に液体試料200を吸入する際には、ポンプ空間23の容積が増大したのとほぼ同じ分だけの液体試料200がノズルチップ10に吸入されて、ノズルチップ10のチップ内空間103にある空気がその分だけ減少するからである。
図2に示すように、分注装置1は、分注ポンプ2およびノズル駆動部6の作動を制御する制御部(CPU)8と、各種の分注条件等のデータを入力するキーボードまたはマウス等で構成された入力部9と、操作画面等を表示する表示部11と、分注装置1の動作プログラムや動作条件のデータ等を記憶する記憶手段としてのメモリ12と、液垂検知部17とを有している。
制御部8は、ノズル駆動部6の作動を制御することにより、チップ装着部3に装着されたノズルチップ10の移動および位置を制御し、さらにモータドライバ54を介してパルスモータ53の回転角度を制御することにより、分注ポンプ2の作動を制御する。これらの制御は、オープンループ制御でも、クローズドループ制御でもよい。
分注装置1の使用前には、オペレーター(操作者)は、入力部9を操作することにより、ノズルチップ10の先端開口101の開口径(以下、記号dで示す)を表すデータと、液体試料200の表面張力値(以下、記号σで示す)を表すデータと、分注系のデッドボリューム(以下、記号Vで示す)を表すデータとをそれぞれ入力する。これらの各データは、メモリ12および判定値設定メモリ174に記憶される。
なお、入力部9から上記各データそのものを入力するのではなく、それらに関連する情報を入力することによりその関連情報と関係付けて記憶されていた上記各データが呼び出されてメモリ12および判定値設定メモリ174に記憶されるようにしてもよい。例えば、使用するノズルチップ10の種類(例えば500μlチップ、1000μlチップ、2000μlチップのようなチップの容量)を入力することにより、そのノズルチップ10に対応した先端開口径データdおよびデッドボリュームデータVが呼び出されてメモリ12および判定値設定メモリ174に記憶されるようにしてもよい。また、分注する液体試料200の種類(例えば、血液、血清、試薬等)を入力することにより、その種類に対応する表面張力値σが呼び出されてメモリ12および判定値設定メモリ174に記憶されるようにしてもよい。
液垂検知部17は、ノズルチップ10内に吸引された液体試料200が先端開口101から液滴として垂れ落ちる現象である液垂れが発生する危険性を検知するものである。後述するように、分注装置1は、液垂れの発生のおそれがあることを液垂検知部17が検知した場合には、分注ポンプ2を吸引作動(液垂れ防止吸引作動)させて、液垂れが発生するのを防止する。
ここで、分注装置一般における液垂れの問題について説明する。一般に、分注装置では、ノズルチップ10内に液体試料200を吸入した後、すぐに吐出先の容器へノズルチップ10を移動させて液体試料200を吐出する場合には問題ないが、分注処理の手順・方法等によっては、ノズルチップ10内に液体試料200を吸入した後にノズルチップ10を空中で待機させることがある。この待機時間が長く(例えば数十秒以上)続くと、ノズルチップ10の先端開口101から液滴が垂れ落ちることがあった。
本発明者らの知見によれば、この液垂れが生じる原因は、ノズルチップ10内の液面205(図1参照)からチップ内空間103への蒸発によって圧力伝達ガスの圧力が増加する結果、先端開口101から液体試料200が押し出されるためである。以下、図4を参照しつつ、より詳しく説明する。
ノズルチップ10内に液体試料200を吸引して先端開口101が試料容器内の液面から離れた直後における圧力伝達ガスの圧力Pは、大気圧から水頭圧分だけ低下した値となるので、P=P−ρghとなる。ただし、Pは大気圧、ρは液体試料200の密度、gは重力加速度、hはノズルチップ10内の液体試料200の高さである。
その後、先端開口101が空中にある状態でノズルチップ10内の液面205からの蒸発により圧力伝達ガスの圧力が上昇すると、先端開口101における液体試料200の液面201が図4(a)→(b)→(c)のように押し出されていき、ついには図4(d)のように液滴202として垂れ落ちる。
図4(a)〜(c)のような状態では、液面201の曲率半径をrとすると、液面201に作用する表面張力によって、ラプラス圧2σ/rが発生する。すなわち、圧力伝達ガスの圧力が吸引直後のPからΔPだけ増大したとすると、この圧力の増分ΔPがラプラス圧2σ/rと釣り合う(ΔP=2σ/r)ようにして、液面201が押し出されていく。
ラプラス圧2σ/rは、液面201の曲率半径rが小さいほど大きくなるが、液面201の曲率半径rが最も小さくなるのは、図4(b)に示すように、液面201が先端開口101から半球状に突出する状態であり、このときの液面201の曲率半径rは、d/2になる。よって、図4(b)に示す状態のとき、ラプラス圧2σ/rは、最大値2σ/(d/2)=4σ/dをとる。
よって、理論上は、圧力伝達ガスの圧力の、吸引直後の圧力Pからの増分ΔPがラプラス圧の最大値4σ/dを超えると、図4(b)の状態を超えて図4(c)→(d)となって液垂れが発生する。逆に、圧力伝達ガスの圧力の、吸引直後の圧力Pからの増分ΔPがラプラス圧の最大値4σ/dを超えなければ、図4(b)の状態を超えて液面201が押し出されることはなく、液垂れは発生しない。
液垂検知部17は、上述のような理論に基づいて、液垂れが発生する危険性を検知するものである。
図2に示すように、液垂検知部17は、電流電圧変換回路171と、ADC(アナログ/デジタルコンバータ)172と、圧力値算出手段としての判定値演算部173と、記憶手段としての判定値設定メモリ174と、DAC(デジタル/アナログコンバータ)175と、コンパレータ176と、判定部177とを有している。
以下、図3のフローチャートに基づいて、分注装置1が行う分注動作について説明する。
液体試料200をノズルチップ10内に吸引する前に、液垂検知部17は、液垂れが発生する圧力伝達ガスのピーク圧Pmaxを算出する。このピーク圧Pmaxは、液体試料200の吸引後の圧力伝達ガスの圧力Pを基準にとると、前述したラプラス圧4σ/dから推測することができ、本発明者らの知見によれば、実際のピーク圧Pmaxは、ラプラス圧4σ/dの70〜80%程度である。よって、判定値演算部173は、判定値設定メモリ174に記憶された先端開口径dおよび表面張力値σのデータに基づき、ラプラス圧4σ/dの70〜80%の値をピーク圧Pmaxとして算出する(ステップS001)。
次いで、判定値演算部173は、分注ポンプ2の液垂れ防止吸引作動を開始すべきタイミングの判定に用いる圧力伝達ガスの圧力値ΔPを算出する。この圧力値(増分)ΔPは、液垂れがまだ生じるおそれのない圧力であればよく、したがってΔPがピーク圧Pmaxより低ければよいが、ピーク圧Pmaxの70〜90%程度であるのが好ましい。よって、判定値演算部173は、ピーク圧Pmaxの70〜90%の値を液垂れ防止吸引を開始すべき圧力値ΔPとして算出し、設定する(ステップS002)。
次いで、制御部8は、液垂れ防止吸引作動における分注ポンプ2の吸引量vを算出する。この液垂れ防止吸引量vは、分注ポンプ2が液垂れ防止吸引作動を行ったときに、ノズルチップ10の先端部にエアギャップ(空気溜まり)300を作らないようにするため、先端開口101から空気が流入するのを防止することができるような程度の吸引量とされる。
ここで、図5を参照して、液垂れ防止吸引時にエアギャップ300が生成される場合について説明する。液垂れ防止吸引の吸引量vが多いと、図5(a)→(b)→(c)のように、先端開口101の液面203がノズルチップ10内へ引っ込んでいき、先端開口101から空気が流入してなるエアギャップ300が生成してしまう。このエアギャップ300が生成すると、数秒後には図5(d)に示すようにエアギャップ300を介して先端開口101付近に液体試料200の液溜まり204も生成する。このような状態になると、吐出先の容器に液体試料200を吐出したときに泡を作ってしまったり、吐出量に誤差を生じたりするという不都合を生じる。また、図5(d)の状態から液垂れが発生すると、気泡が先端開口101から弾けて飛散し、コンタミネーションが生じたりすることもある。これらの不都合を防止するため、液垂れ防止吸引は、エアギャップ300を生成しないように行う必要がある。
図5に示すようなエアギャップ300が生成される過程では、液面203に作用する表面張力により図4の場合と逆向きのラプラス圧2σ/rが生じ、このラプラス圧は、図5(b)のように液面203の曲率半径rがd/2となったときに最大値4σ/dをとる。よって、液垂れ防止吸引作動を行う前と比べて圧力伝達ガスの圧力が4σ/d以上低下すると、エアギャップ300が生成されてしまう。
吸引量vの液垂れ防止吸引作動を行ったときの圧力伝達ガスの圧力低下分を考えると、エアギャップ300が生成される前はノズルチップ10の先端開口101に栓をされたような状態であるので、圧力低下分はPv/Vで求められる。よって、Pv/V<4σ/d、すなわちv<(4σ/d)×(V/P)であればエアギャップ300は発生しない。そこで、制御部8は、メモリ12に記憶されたノズルチップ10の先端開口径d、液体試料200の表面張力値σ、およびデッドボリュームVの各データに基づいて、v<(4σ/d)×(V/P)を満足するような値(例えば(4σ/d)×(V/P)の80〜90%の値)を液垂れ防止吸引量vとして算出し、設定する(ステップS003)。なお、以上のように、本実施形態では制御部8が液垂れ防止吸引量算出手段としても機能しているが、液垂れ防止吸引量算出手段を制御部8と別個に設けてもよい。
次いで、制御部8は、ノズル駆動部6を作動させてノズルチップ10を試料容器へ移動させ下降させた後、分注ポンプ2を吸引作動させてノズルチップ10内に液体試料200を吸引する(ステップS004)。液体試料200を吸引したら、ノズル駆動部6を作動させて、ノズルチップ10を上昇させた後、吐出先の容器への移動を開始する(ステップS005)。
ノズルチップ10が上昇して空中にある間、液垂検知部17は、圧力伝達ガスの圧力Pを監視することにより、液垂れ発生のおそれがあるかどうかを以下のようにして検知する。ノズルチップ10が上昇して先端開口101が試料容器内の液面から離れた直後に圧力センサ7から出力された電流信号は、電流電圧変換回路171により電圧信号に変換された後、ADC172でデジタル信号に変換された後、判定値演算部173に入力される。
判定値演算部173は、ADC172から入力された液体試料200の吸引直後の圧力伝達ガスの圧力値Pと、ステップS002で算出した圧力値ΔPとを足し合わせて、液垂れ防止吸引作動を開始することを判定するための圧力伝達ガスの圧力値Pを算出する。圧力値Pを表すデジタル信号は、DAC175によりアナログ信号(電圧信号)に変換された後、コンパレータ176に入力される。
また、圧力センサ7からは、圧力伝達ガスの圧力Pを表す電流信号がリアルタイムに出力され、このリアルタイムの圧力Pを表す電流信号は、電流電圧変換回路171により電圧信号に変換された後、コンパレータ176に入力される。
コンパレータ176では、上記の二つの入力信号の電圧の高低を比較することにより、圧力伝達ガスの圧力Pが液垂れ防止吸引作動開始を判定するための圧力値Pまで上昇したか否かを検出し、その比較結果としてHighレベル信号またはLowレベル信号を判定部177へ出力する。
判定部177は、コンパレータ176から入力された信号に基づき、圧力伝達ガスの圧力Pが圧力値Pを超えたか否かを判断し、その判断結果を制御部8に入力する(ステップS006)。
圧力伝達ガスの圧力Pが圧力値Pを超えた場合には、液垂れが発生するおそれがあるので、制御部8は、分注ポンプ2に液垂れ防止吸引作動を行わせる(ステップS007)。このとき、分注ポンプ2は、ステップS003で算出した吸引量vで吸引するので、エアギャップ300の生成を確実に防止することができる。
圧力伝達ガスの圧力Pの監視はノズルチップl0が吐出先の容器へ移動完了するまで続ける(ステップS006、S008)。液垂れ防止吸引を行った後も、液垂検知部17は、圧力Pが圧力値Pを超えたら(ステップS006)、再度液垂れ防止吸引動作を行う(ステップS007)。
ノズルチップl0が吐出先の容器へ移動完了したら、制御部8は、液体試料200の吐出量を、液垂れ防止吸引した分を補正して設定し直した後(ステップS009)、ノズルチップ10内の液体試料200を吐出先の容器内へ吐出する(ステップS010)。このとき、エアギャップ300が生成されていないので、吐出先の容器内に泡ができるのを確実に防止することができる。
以上説明したように、分注装置1では、液垂れが発生するおそれがある場合、液垂れ防止吸引作動を行うことにより、液垂れの発生を確実に防止することができる。特に、断面積が大きい(太い)大容量のノズルチップを用いる場合や、高温低湿の環境下で分注を行うような液垂れの発生し易い条件下であっても、液垂れを確実に防止することができる。
また、液垂れ防止のためのデッドボリュームを増加させる必要はないので、ノズル詰まり等のエラー検出を行う場合の感度低下や、分注量の誤差が増大することもない。
また、一つの圧力レベル(圧力値)との比較による判定のみで液垂れ防止吸引作動の制御が可能であるので、制御方法が簡単であり、制御系の構成を簡素化することができる。
これに対し、本発明と異なり、エンコーダを用いて圧力伝達ガスの圧力を常に一定に保つように分注ポンプをフィードバック制御するような場合には、複雑な制御系を必要とし、装置が複雑化し、製造コストも増大する。
また、本発明では、液垂れ発生のおそれがある場合のみ液垂れ防止吸引を行うので、一律に液垂れ防止吸引を行うような場合と比べ、分注処理時間を短縮することができる。
また、本発明では、液垂れ防止吸引を行ったときに、ノズルチップ先端にエアギャップが生成するのを確実に防止することができるので、液体試料を吐出先の容器に吐出したときに泡を作ったりするようなことを確実に防止することができる。
また、本発明では、ノズルチップの先端開口径、分注系のデッドボリューム、液体試料の表面張力値に応じた制御を行うので、正確な制御が可能であるとともに、ノズルチップを他種のものに交換したり分注する液体試料が変わったりしてこれらの値が変更された場合であっても、これらの値を入力し直すことにより、上記効果を確実に発揮することができる。
以上、本発明の分注装置を図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、分注装置を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
本発明の分注装置の実施形態を示す断面図である。 図1に示す分注装置の電気的回路構成を示すブロック図である。 図1に示す分注装置が実施する分注方法を示すフローチャートである。 液垂れが生じるときの様子を順を追って示すノズルチップ先端部の縦断面図である。 エアギャップが生じるときの様子を順を追って示すノズルチップ先端部の縦断面図である。
符号の説明
1 分注装置
11 表示部
12 メモリ
17 液垂検知部
171 電流電圧変換回路
172 ADC
173 判定値演算部
174 判定値設定メモリ
175 DAC
176 コンパレータ
177 判定部
2 分注ポンプ
21 シリンダ
22 ピストン
23 ポンプ空間
3 チップ装着部
31 管路
4 管
5 ポンプ駆動部
51 ピストンロッド
52 送りねじ
53 パルスモータ
54 モータドライバ
55 可動片
6 ノズル駆動部
7 圧力センサ
8 制御部
9 入力部
10 ノズルチップ
101 先端開口
102 基端開口
103 チップ内空間
200 液体試料
201 液面
202 液滴
203 液面
204 液溜まり
205 液面
S001〜S010 ステップ

Claims (2)

  1. 分注ポンプの作動により発生する圧力を圧力伝達ガスを介してノズルに伝達することにより、前記ノズルの先端開口から液体試料を吸引および吐出する分注装置であって、
    前記分注ポンプの作動を制御する制御部と、
    前記圧力伝達ガスの圧力を検出する圧力検出手段と、
    前記ノズルの先端開口径データと、液体試料の表面張力値データと、前記圧力伝達ガスの体積であるデッドボリュームデータとを記憶する記憶手段と、
    前記ノズルの先端開口からの液垂れを防止するための前記分注ポンプの液垂れ防止吸引作動を開始すべきタイミングの判定に用いる前記圧力伝達ガスの圧力値を、前記先端開口径データおよび前記表面張力値データに基づいて算出する圧力値算出手段と、
    前記液垂れ防止吸引作動時に、前記ノズルの先端開口からの空気の流入を防止するのに必要な前記分注ポンプの吸引量を、前記先端開口径データ、前記表面張力値データおよび前記デッドボリュームデータに基づいて算出する液垂れ防止吸引量算出手段とを備え、
    前記制御部は、前記ノズル内に液体試料を吸引した後、前記圧力検出手段により検出された圧力が前記圧力値算出手段により算出された圧力値まで上昇した場合には、前記液垂れ防止吸引量算出手段により算出された吸引量の分だけ前記分注ポンプを液垂れ防止吸引作動させるように制御するものであり、
    前記圧力値算出手段は、前記ノズルの先端開口径をd、前記液体試料の表面張力値をσとしたとき、4σ/dで表されるラプラス圧を利用して前記圧力値を算出するものであり、
    前記液垂れ防止吸引量算出手段は、前記ノズルの先端開口径をd、前記液体試料の表面張力値をσ、前記デッドボリュームをV 、大気圧をP としたとき、液垂れ防止吸引量vを、v<(4σ/d)×(V /P )なる関係を満足するように算出することを特徴とする分注装置。
  2. 前記先端開口径データ、前記表面張力値データおよび前記デッドボリュームデータの少なくとも一つを入力する入力部を有する請求項に記載の分注装置。
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