JP4009548B2 - 分注装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、分注装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
少量の液体を自動的に分注する分注装置が広く用いられている。分注装置では、ディスポーザブルのノズルチップを装着し、このノズルチップの先端開口(下端開口)から液体を吸入・吐出する。自動化された分注装置では、各種のエラー状態を検知する必要がある。分注装置において発生し得るエラーの1つとして、ショートサンプルエラーがある。ショートサンプルエラーは、ノズルチップ内に液体を吸入しているとき、吸入先の容器内の液体が足りなくなり、途中からノズルチップ内に気体を吸入してしまうという現象(エラー)である。
【0003】
従来の分注装置では、液体を吸入するための気体流路内に流量センサを設置して、この流量センサで検出された気体流量の変化によって、ショートサンプルエラーの発生を検知している(例えば、特許文献1参照)。また、ノズルチップ内の圧力レベルを積算し、その積算値を所定の基準値と比較してショートサンプルエラーを検出する分注装置もある(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
しかしながら、上記の方法では、微量の液体を分注する分注装置の場合には、気体流量およびその変化が微弱過ぎたり、圧力レベルの積算値が小さ過ぎたりするために、ショートサンプルエラーを検知することができなかった。近年では、従来よりもさらに微量の分注を行うことが分注装置に要求されているので、微量分注の場合にもショートサンプルエラーを検知することができる分注装置が要望されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−239323号公報
【特許文献2】
特開平2−196963号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、微量の分注を行う際にもショートサンプルエラーの発生を確実に検知することができる分注装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、下記(1)〜(10)の本発明により達成される。
【0008】
(1) 着脱自在に装着したノズルチップの先端開口から液体を吸入・吐出する分注装置であって、
気体を吸入・吐出するポンプと、
前記ポンプの作動により気体が流入・流出する開口を有し、前記ノズルチップが着脱自在に装着されるチップ装着部と、
前記チップ装着部を少なくとも上下方向に移動させる移動手段と、
前記ポンプおよび前記移動手段の作動を制御する制御手段と、
前記チップ装着部に装着された前記ノズルチップ内の圧力を検出する圧力検出手段と、
前記ノズルチップ内に液体を吸入しているとき、吸入先の容器内の液体が足りなくなり、途中から前記ノズルチップ内に気体を吸入してしまう現象であるショートサンプルエラーの発生を検知するショートサンプルエラー検知手段とを備え、
前記ショートサンプルエラー検知手段は、液体を吸入している途中で前記ノズルチップの先端開口から気体が入り始める瞬間に前記先端開口付近に生じた気液界面に作用する液体の表面張力によって前記ノズルチップ内の圧力が急激に低下することを、前記圧力検出手段により検出された圧力に基づいて検知することにより、ショートサンプルエラーの発生を検知することを特徴とする分注装置。
【0009】
(2) 前記ショートサンプルエラー検知手段は、前記圧力検出手段により検出された圧力を所定の判定値と比較し、その比較結果に基づいてショートサンプルエラーの発生の有無を判定する上記(1)に記載の分注装置。
【0010】
(3) 前記ショートサンプルエラー検知手段は、前記圧力検出手段により検出された圧力を時間で1回微分した値を所定の判定値と比較し、その比較結果に基づいてショートサンプルエラーの発生の有無を判定する上記(1)に記載の分注装置。
【0011】
(4) 前記ショートサンプルエラー検知手段は、前記圧力検出手段により検出された圧力を時間で2回微分した値を所定の判定値と比較し、その比較結果に基づいてショートサンプルエラーの発生の有無を判定する上記(1)に記載の分注装置。
【0012】
(5) 前記ショートサンプルエラー検知手段は、液体の吸入を開始した直後における前記圧力検出手段の検出結果を除外して、ショートサンプルエラーの発生の有無を判定する上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の分注装置。
【0013】
(6) 前記ノズルチップの先端開口の内径は、0.05〜0.8mmである上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の分注装置。
【0014】
(7) 前記ノズルチップの実質容量は、0.5〜1000μLである上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の分注装置。
【0015】
(8) 前記ショートサンプルエラー検知手段によりショートサンプルエラーの発生を検知した場合、前記制御手段は、そのショートサンプルエラーの発生までに前記ノズルチップ内に吸入した液体の量を推定し、その推定された液体吸入量に基づいて、その後の分注動作を制御する上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の分注装置。
【0016】
(9) 前記制御手段は、前記推定された液体吸入量と予め設定された1回の分注量とに基づいて分注可能な回数を推定し、その回数の分注が終わるまで分注動作を続行する上記(8)に記載の分注装置。
【0017】
(10) 前記チップ装着部に装着された前記ノズルチップを交換する交換手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記推定された液体吸入量と予め設定された1回の分注量とに基づいて分注可能な回数を推定し、その回数の分注が終わるまで分注動作を続行し、分注した回数が予め設定された回数に達していない場合には、前記チップ装着部に装着された前記ノズルチップを交換して新たに液体を吸入し、足りない分の回数の分注動作を行う上記(8)に記載の分注装置。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の分注装置を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明の分注装置の実施形態を示す斜視図、図2は、図1に示す分注装置におけるx軸方向移動手段を示す斜視図、図3は、図1に示す分注装置におけるy軸方向移動手段、z軸方向移動手段および分注ヘッドを示す斜視図、図4は、図1に示す分注装置におけるポンプ、チップ装着部およびノズルチップを示す縦断面図である。
【0020】
なお、以下では、説明の都合上、水平な一方向(装置の左右方向)をx軸方向、x軸方向に対し垂直かつ水平な方向(装置の前後方向)をy軸方向、鉛直方向(上下方向)をz軸方向と言う。また、図1中では、分注ヘッド、アーム等の細部を省略して図示する。
【0021】
図1に示すように、分注装置1は、装置本体2と、該装置本体2に対し移動可能に設置された分注ヘッド3とを備えている。この分注装置1は、患者から採取した例えば血液または血清等の血液成分、尿等の液体状の親検体(元検体)を分注して小分けにする(取り分ける)ことにより検査用の子検体を作成したり、あるいは、少量の試薬(薬液)を予め設定された吐出位置に吐出して付与したりするような分注動作を行う装置である。
【0022】
装置本体2は、作業台21と、作業台21の後ろ側に立設された機器収納部22と、機器収納部22の上方に設けられた第2の機器収納部23と、第2の機器収納部23の片側の部分から前方に突出する突出部24とを有している。
【0023】
作業台21上には、検体(液体)を収納する例えば試験管のような容器が複数並べて配置(載置)される。本実施形態では、作業台21上には、複数の試験管を立てた状態で行列状に保持する試験管ラック100を複数載置可能になっている。そして、親検体を収納した試験管や、子検体を収納する試験管は、それぞれ、これらの試験管ラック100に保持される。
【0024】
また、作業台21上における試験管ラック100の後方には、チップラック200を載置可能になっている。チップラック200は、ディスポーザブル(使い捨て)のノズルチップ300を立てた状態で行列状に複数並べて保持し得るようになっている。
【0025】
装置本体2には、分注ヘッド3を支持するアーム11が設置されている。アーム11は、その長手方向がy軸方向となる姿勢で配置され、その後端部は、機器収納部22に支持されている。機器収納部22には、後述するx軸方向移動手段4が設けられており、この作動により、アーム11は、装置本体2に対しx軸方向に移動する。
【0026】
分注ヘッド3は、アーム11の長手方向、すなわちy軸方向に沿って移動可能に支持されている。分注ヘッド3は、後述するy軸方向移動手段5の作動により、装置本体2に対しy軸方向に移動する。
【0027】
分注ヘッド3は、x軸方向移動手段4およびy軸方向移動手段5の作動の組み合わせにより、作業台21の上方の空間(作業空間)において、xy平面内で移動可能になっている。
【0028】
突出部24の前面には、例えばタッチパネルで構成された表示手段25が設置されている。表示手段25には、例えば各種条件を設定する入力画面等が表示され、操作者は、表示手段25に指で触れることにより、各種条件の設定等を行う。また、表示手段25には、例えば分注装置1の状態、エラーの発生等の情報も表示される。
【0029】
図2に示すように、x軸方向移動手段4は、機器収納部22に設置されたガイドレール12の案内によりx軸方向に沿って移動可能に設置されたスライドブロック(移動体)41と、ガイドレール12の両端付近にそれぞれ設置された駆動プーリー(ベルト車)42および従動プーリー(ベルト車)43と、駆動プーリー42を回転駆動するパルスモーター(ステッピングモーター)44と、駆動プーリー42および従動プーリー43に掛け回されたベルト45とを有している。
【0030】
スライドブロック41は、突出形成された固定部411にてベルト45の一部に固定されている。スライドブロック41には、アーム11の後端部が固定されている。
【0031】
パルスモーター44が駆動プーリー42を回転駆動すると、ベルト45が回転し、ベルト45に牽引されてスライドブロック41がx軸方向に移動する。これに伴って、アーム11もx軸方向に移動する。スライドブロック41およびアーム11は、パルスモーター44の正転/逆転の切り換えにより、装置本体2に対し右方向または左方向に移動する。
【0032】
ベルト45は、駆動プーリー42および従動プーリー43の外周面に形成された歯と噛み合う歯を有する歯付きベルトで構成されており、駆動プーリー42および従動プーリー43に対し滑りを生じないようになっている。
【0033】
図3に示すように、y軸方向移動手段5は、図示しないガイドレールの案内によりアーム11の長手方向に沿って移動可能に設置されたスライドブロック(移動体)51と、アーム11の後端付近に設置された駆動プーリー(ベルト車)52と、アーム11の前端付近に設置された従動プーリー(ベルト車)53と、アーム11の後端付近に設置され、駆動プーリー52を回転駆動するパルスモーター(ステッピングモーター)54と、駆動プーリー52および従動プーリー53に掛け回されたベルト55とを有している。
【0034】
スライドブロック51は、ベルト55の一部に固定されている。スライドブロック51には、分注ヘッド3のフレーム31が固定されている。
【0035】
パルスモーター54が駆動プーリー52を回転駆動すると、ベルト55が回転し、ベルト55に牽引されてスライドブロック51がアーム11の長手方向すなわちy軸方向に移動する。これに伴って、分注ヘッド3も、y軸方向に移動する。スライドブロック51および分注ヘッド3は、パルスモーター54の正転/逆転の切り換えにより、装置本体2に対し前方または後方に移動する。
【0036】
ベルト55は、駆動プーリー52および従動プーリー53の外周面に形成された歯と噛み合う歯を有する歯付きベルトで構成されており、駆動プーリー52および従動プーリー53に対し滑りを生じないようになっている。
【0037】
分注ヘッド3は、z軸方向に長い部材で構成された骨格をなすフレーム31と、ノズルチップ300を装着可能なチップ装着部32とを有している。
【0038】
図4に示すように、チップ装着部32は、その内部に通気流路321が形成されたほぼ管状の部材で構成されている。チップ装着部32の構成材料は、例えばステンレス鋼、アルミニウムまたはアルミニウム合金、銅または銅系合金等の各種金属材料であるのが好ましい。
【0039】
ノズルチップ300は、合成樹脂材料で構成された管状の部材(成形品)であり、好ましくは少なくともその先端側(下端側)の部分が先細りになっている。このノズルチップ300は、その基端開口(上端開口)302に、チップ装着部32の下端部が挿入して嵌合することにより、チップ装着部32に着脱自在に装着される。また、ノズルチップ300は、半透明または透明である(光透過性を有している)のが好ましい。
【0040】
図3に示すように、分注ヘッド3のフレーム31には、空気(気体)を吸入・吐出するポンプ7が設置されている。本実施形態では、ポンプ7は、シリンダ71とプランジャ(ピストン)72とを有するシリンジポンプ(ピストンポンプ)で構成されている。図4に示すように、ポンプ7と、チップ装着部32の上端開口部とは、可撓性を有する配管チューブ33で接続されており、互いの内部空間が連通している。ポンプ7が作動すると、配管チューブ33を空気(気体)が通ってチップ装着部32の下端開口322から空気(気体)が流入・流出し、これにより、ノズルチップ300内の圧力を増減させて、ノズルチップ300の先端開口301から液体を吸入・吐出することができる。
【0041】
分注ヘッド3のフレーム31には、ポンプ7のプランジャ72を移動させるポンプ駆動手段14が設置されている。ポンプ駆動手段14は、図示を省略するが、例えば、ボールねじ(送りねじ)機構とこれを駆動するパルスモーター(図示せず)とによってプランジャ72をシリンダ71に対して移動させるように構成されている。ポンプ7の作動は、このポンプ駆動手段14を介して、後述する制御手段13によって制御される。
【0042】
図4に示すように、分注装置1では、チップ装着部32に装着されたノズルチップ300内の気圧を検出する圧力センサ(圧力検出手段)16が設けられている。本実施形態では、圧力センサ16は、チップ装着部32に装着されたノズルチップ300内に連通している配管チューブ33内の気圧を検出することで、ノズルチップ300内の圧力を検出することとしている。なお、圧力センサ16は、チップ装着部32に装着されたノズルチップ300内に連通するところであればいかなる位置に設置されていてもよい。
【0043】
チップ装着部32は、フレーム31に対しz軸方向に移動可能に設置されており、z軸方向移動手段6の作動により、装置本体2に対しz軸方向に移動(昇降)する。
【0044】
図3に示すように、z軸方向移動手段6は、フレーム31に対し図示しないガイドレールの案内によりz軸方向に沿って移動可能に設置されたスライドブロック(移動体)61と、フレーム31の上端付近および下端付近にそれぞれ設置された従動プーリー(ベルト車)62および63と、ベルト64とを有している。
【0045】
スライドブロック61は、固定部材67を介して、ベルト64の一部に固定されている。スライドブロック61には、支持部68を介して、チップ装着部32が固定されている。
【0046】
スライドブロック51の内部には、ベルト64を駆動する駆動プーリー(図示せず)が設置されており、ベルト64は、従動プーリー62および63に掛け回されるとともに、その中間の部分においてスライドブロック51内に引き込まれ、この駆動プーリーにも掛け回されている。
【0047】
スライドブロック51内の駆動プーリーは、アーム11の後端付近に設置されたパルスモーター(ステッピングモーター)65により回転駆動される。すなわち、図3に示すように、アーム11には、アーム11の長手方向に沿って延びるプロペラシャフト66が回転可能に設置されており、パルスモーター65の出力軸は、このプロペラシャフト66に接続されている。プロペラシャフト66は、スライドブロック51およびその内部の駆動プーリーを貫通しており、スライドブロック51は、プロペラシャフト66を挿通した状態でy軸方向に移動する。スライドブロック51内の駆動プーリーは、スライドブロック51のプロペラシャフト66に対する位置によらず、プロペラシャフト66とともに回転するようになっている。
【0048】
パルスモーター65がプロペラシャフト66を介してスライドブロック51内の駆動プーリーを回転駆動すると、ベルト64が回転し、ベルト64に牽引されて、スライドブロック61がz軸方向すなわち鉛直方向に移動する。これに伴って、チップ装着部32およびノズルチップ300も、z軸方向に移動(昇降)する。チップ装着部32およびノズルチップ300は、パルスモーター65の正転/逆転の切り換えにより、上昇または下降する。
【0049】
なお、以下の説明では、x軸方向移動手段4、y軸方向移動手段5およびz軸方向移動手段6を総称して、チップ装着部32を3次元方向に移動させるノズル移動手段15と呼ぶことがある。
【0050】
このような分注装置1の基本的な分注動作は、次のようなものである。まず、ノズル移動手段15を作動して、分注ヘッド3を吸入先の容器400の上方に移動した後、チップ装着部32および装着されたノズルチップ300を下降させて当該容器400内にノズルチップ300を挿入する。この状態でポンプ7を作動してノズルチップ300内の圧力を減少させることにより、ノズルチップ300内に液体を吸入する。
【0051】
次いで、ノズルチップ300を上昇させてから吐出先の容器の位置に分注ヘッド3を移動させる。次いで、ノズルチップ300を吐出先の容器内に下降させ、ポンプ7を作動してノズルチップ300内の圧力を増大させることにより、吸入した液体を吐出する。
【0052】
続いて、異なる検体を分注する場合には、コンタミネーションを防止するため、次のようにしてノズルチップ300を交換する。使用済みノズルチップ300の取り外しは、分注ヘッド3を装置本体2に設置されたチップリムーバ26(図3参照)の位置に移動させて行う。チップリムーバ26は、チップ装着部32がほぼ隙間なく挿入可能な幅の切欠き261を有する板状の部材であり、この切欠き261にチップ装着部32を挿入してチップ装着部32を上昇させると、ノズルチップ300の上端がチップリムーバ26の下面に当接することにより、ノズルチップ300がチップ装着部32から離脱する。次いで、分注ヘッド3をチップラック200の上方に移動させ、起立保持された新しいノズルチップ300に向かってチップ装着部32を下降させることにより、当該ノズルチップ300をチップ装着部32に装着する。上記のように、分注装置1は、チップ装着部32に装着されたノズルチップ300を交換する交換手段を備えている。
【0053】
図5は、図1に示す分注装置の概略的なブロック図、図6は、ショートサンプルエラー検知手段の回路構成を示す図、図7は、ショートサンプルエラーが発生する瞬間のノズルチップの先端開口付近を拡大して示す断面図、図8は、本発明の分注装置においてノズルチップ内に液体を吸入する際のノズルチップ内の圧力(気圧)を縦軸に、時間を横軸にとって示すグラフである。
【0054】
図5に示すように、分注装置1は、各部の作動を制御する制御手段13を備えている。制御手段13は、CPU(Central Processing Unit)131と、記憶部(記憶手段)132とを有している。
【0055】
記憶部132は、プログラムやデータ等を記憶(記録)する、CPU131に読み取り可能な記憶媒体(記録媒体)を有している。この記憶媒体は、例えば、RAM(Random Access Memory:揮発性、不揮発性のいずれをも含む)、FD(Floppy Disk(「Floppy」は登録商標))、HD(Hard Disk)、CD−ROM(Compact Disc Read-Only Memory)等のような、磁気的、光学的記録媒体、もしくは半導体メモリで構成されている。この記憶媒体は、記憶部132に固定的に設けたもの、もしくは着脱自在に装着するものであり、この記憶媒体には、分注装置1の各部に対応する各種アプリケーションプログラム、分注装置1の制御動作を実行するためのプログラム等の各種プログラムおよび各種データが予め記憶されているとともに、各プログラムで処理されたデータおよび制御手段13に接続された各部からの入力データ等が記憶される。
【0056】
制御手段13には、ポンプ駆動手段14、ノズル移動手段15および表示手段25がそれぞれ接続されている。制御手段13は、記憶部132に記憶された各種プログラムおよびデータを必要に応じて読み出し、そのプログラムおよびデータに基づいて、これらの各部の作動を制御する。なお、ポンプ駆動手段14、ノズル移動手段15に対する制御手段13の制御は、オープンループ制御でも、クローズドループ制御でもよい。
【0057】
さらに、制御手段13には、後述するショートサンプルエラー検知手段17と、圧力センサ16により検出された気圧に基づいて、吸入しようとする液体の液面(液面の高さ)を検出する液面検出手段18とがそれぞれ接続されている。
【0058】
以下、分注装置1が行う液面検出工程について説明する。
液体をノズルチップ300内に吸入しようとする際に、分注装置1は、液面検出工程を行う。液面検出工程では、制御手段13は、ポンプ7から気体を吐出しながら、吸入先の容器400内の液体の液面に向かってノズルチップ300の先端開口301を下降させるように、ポンプ7およびノズル移動手段15の作動を制御する。すなわち、ノズルチップ300は、先端開口301から空気を吐出しながら容器400内の液面に向かって下降する。
【0059】
ノズルチップ300が降下して先端開口301が液面下に没すると、ノズルチップ300内の空気は、逃げ場を失い、ポンプ7によって圧縮されて気圧が上昇する(図8参照)。よって、液面検出手段18は、液面検出工程において圧力センサ16により検出された気圧が上昇したとき、ノズルチップ300の先端開口301が液面下に没したものと判定することができ、これによって液面(液面の高さ)を検出する。なお、液面検出手段18は、圧力センサ16によって検出した気圧またはその時間微分値を所定の判定値(基準値)と比較することによって、この判定を行うように構成されている。
【0060】
液面検出手段18は、液面を検出すると、その検出信号を制御手段13に出力する。制御手段13は、液面検出手段18から入力された検出信号に基づいて、ノズルチップ300の下降を停止し、液体の吸入動作を開始する。液体の吸入動作中には、ノズルチップ300の位置は停止したままでもよく、液面の降下に追随して先端開口301が下降するように制御してもよい。
【0061】
なお、分注装置1では、吸入すべき液体の液面の高さが予め分かっている場合や、吸入先の容器400の深さが極めて浅いものである場合などには、上述のような液面検出工程を行わず、ノズルチップ300の先端開口301を所定の位置まで下降させてから液体の吸入を開始することとしてもよい。
【0062】
さて、このような分注装置1における分注動作では、ノズルチップ300内に液体を吸入しているとき、吸入先の容器400内の液体が足りなくなり、途中からノズルチップ300内に空気(気体)を吸入してしまう現象(エラー)であるショートサンプルエラーが発生する場合がある。図4は、このショートサンプルエラーが発生した状態を示している。ショートサンプルエラーが発生すると、予め設定された量(正規の量)の液体がノズルチップ300内に吸入されない(液体の吸入量が足りない)こととなるため、分注装置1では、このショートサンプルエラーの発生を検知する必要がある。
【0063】
本発明の分注装置1では、このようなショートサンプルエラーの発生を、圧力センサ16により検出されたノズルチップ300内の圧力(気圧)に基づいて検知するショートサンプルエラー検知手段17を備えている。
【0064】
以下、本発明の分注装置1におけるショートサンプルエラー検知手段17について説明するが、その作用・効果を分かり易く説明するために、まず、比較例の分注装置におけるショートサンプルエラー検出方法について説明する。
【0065】
図11は、比較例の分注装置においてノズルチップ内に液体を吸入する際のノズルチップ内の圧力(気圧)を縦軸に、時間を横軸にとって示すグラフである。この比較例の分注装置は、分注する液体の量が本発明の分注装置よりも多いものであり、図11は、2000μLの液体を吸入する場合のグラフである。
【0066】
図11に示すように、ノズルチップ内への液体の吸入を開始すると、ノズルチップ内の圧力は、低下していく。これは、ノズルチップ先端の細管部を流れる液体の粘性圧損(管摩擦損失)や動圧に比例する管路の圧力損失、さらにはノズルチップ内に吸入された液体の重量による水頭圧のためである。そして、液体を吸入している途中でショートサンプルエラーが発生すると、ノズルチップ先端の細管部を流れる液体がなくなるので、前記粘性圧損や管路の圧力損失が消え、また水頭圧も減少することから、同図に示すように、ノズルチップ内の圧力が急激に上昇する。比較例のショートサンプルエラー検出方法では、このノズルチップ内の圧力の急激な上昇を捉えて、ショートサンプルエラーの発生を検知している。
【0067】
しかしながら、分注する液体の量が微量である場合には、ショートサンプルエラー発生時のノズルチップ内の圧力上昇がごく僅かなものになってしまう。その理由は、微量分注の場合には、液体の吸入速度が低いためにノズルチップ先端の細管部での液体の流量が少なく、また液体の吸入量も微量であることから、前記の粘性圧損や管路の圧力損失、および水頭圧の影響が小さいため、ショートサンプルエラー発生時にこれらの事象が消失、低減しても、ノズルチップ内の圧力変化に現れにくいためであると考えられる。このようなことから、上記の比較例の方法では、ショートサンプルエラーの発生を検出することができなかった。
【0068】
そこで、本発明者らは、微量分注の場合であってもショートサンプルエラーの検出を可能とするべく、鋭意研究を重ねた結果、以下に説明するような本発明を完成するに至った。本発明者らの得た知見によれば、微量分注の場合、ノズルチップ300内に液体を吸入する際のノズルチップ300内の圧力は、図8のように変化する。図8は、30μLの液体をノズルチップ300内に吸入する場合である。
【0069】
図8に示すように、微量分注においては、ノズルチップ300内の圧力は、液体吸入開始直後(図8中の矢印A部)を過ぎて安定状態になると、緩やかに減少していく(図8中の矢印B部)。正常な吸引状態のときには、図中の破線で示すように、ノズルチップ300内の圧力は、このまま緩やかな減少を続ける。これに対し、ショートサンプルエラーが発生すると、ノズルチップ300内の圧力は、急激に減少した後、急上昇する負圧方向のピークを生じる(図8中の矢印C部)。
【0070】
本発明者らは、微量分注の場合に、ショートサンプルエラーが発生したときにこのような図8中の矢印Cで示すピークを生じる理由は、次のようなものであることを見出した。
【0071】
まず、ショートサンプルエラーが発生する前(図8中の矢印B部)におけるノズルチップ300内の圧力p(t)は、ベルヌーイの定理により、下記式(I)で表される。
p(t)=p−ρgh−Δp ・・・(I)
前記式(I)において、pは、大気圧を表す。また、ρは、吸入する液体の密度、gは、重力加速度、hは、ノズルチップ300内に吸入された液体の液面の高さをそれぞれ表し、ρghは、ノズルチップ300内に吸入された液体の水頭圧である。また、Δpは、管摩擦損失を表す。
【0072】
水頭圧ρghは、ノズルチップ300内に吸入された液体の量の関数であり、すなわち、液体の吸入流量Qと吸入開始からの経過時間(時刻)tとの関数であるため、関数p(Q,t)で表すことができる。
【0073】
また、管摩擦損失Δpは、実際にはそのほとんどがノズルチップ300の先端開口301付近で発生し、また、先端開口301付近における平均流速vに比例する。v=Q/(πd/4)であるから(dは、先端開口301の内径)、管摩擦損失Δpは、吸入流量Qのみの関数であり,関数p(Q)で表すことができる。
【0074】
よって、前記式(I)は、下記のように書き直すことができる。
p(t)=p−p(Q,t)−p(Q) ・・・(II)
吸入流量Qが一定である場合には、前記式(II)から分かるように、図8中の矢印B部におけるノズルチップ300内の圧力は、時刻tの関数となり、緩やかに減少することが示される。
なお、式(II)は、α、βを定数として、p(t)=p−Q×(α+βt)のように簡略化することもできる。
【0075】
さて、液体を吸入している途中(途上)でショートサンプルエラーが発生する瞬間、すなわち、ノズルチップ300の先端開口301から空気(気体)が入り込む瞬間には、先端開口301付近は、図7に示すような状態となる。図7に示すように、ショートサンプルエラーが発生する瞬間には、先端開口301から入り込んだ空気によって、先端開口301付近にほぼ球面状の気液界面(液面)Sが形成される。気液界面Sが形成されると、気液界面Sに作用する表面張力によるラプラス圧が発生し、ノズルチップ300内の圧力は、このラプラス圧の分だけ小さくなる。このラプラス圧の絶対値は、液体の表面張力をσ、気液界面Sの曲率半径をrとしたとき、2σ/rで表される。すなわち、ラプラス圧の絶対値は、気液界面Sの曲率半径rが小さいほど大きくなる。
【0076】
気液界面Sの曲率半径rが最も小さくなるのは、図7に示すように、気液界面Sが半球状になった状態であり、このときの気液界面Sの曲率半径rは、先端開口301の内径dの2分の1であるので、r=d/2になる。よって、ラプラス圧の絶対値は、r=d/2のときに、最大となり、その最大値は、4σ/dとなる。
【0077】
以上より、ショートサンプルエラーが発生した瞬間の図7に示す状態のときには、このときの時刻をtとすると、ノズルチップ300内の圧力には、前記式(II)にラプラス圧4σ/dの分の寄与が加わって、下記式のようになる。
p(t)=p−p(Q,t)−p(Q)−4σ/d ・・・(III)
ショートサンプルエラーが発生すると、気液界面Sの影響により、ノズルチップ300内の圧力は、前記式(II)で示す値から、前記式(III)で示す値に急激に変化する。本発明者らは、これが図8中の矢印Cで示す負圧方向のピークが生じる原因であることを見出した。以上のような知見に基づき、本発明者らは、圧力センサ16よって検出したノズルチップ300内の圧力に基づき、図8中の矢印Cで示す負圧方向のピークを捉えることにより、ショートサンプルエラーが発生したのを検知することができることを見出したのである。
【0078】
ここで、ラプラス圧は、上記のように4σ/dで表されるので、ラプラス圧の影響は、ノズルチップ300の先端開口301の内径dに反比例して大きく現れる。よって、図11に示すように、分注量が比較的多い比較例の分注装置の場合には、ノズルチップの容量が大きく、その先端開口の内径も大きいので、図8中の矢印Cで示すようなピークは顕著には表れない。
【0079】
逆に、ラプラス圧の影響(図8中の矢印Cで示すピーク)は、ノズルチップ300の先端開口301の内径dが小さいほど、大きく現れるので、本発明の分注装置1におけるショートサンプルエラー検出方法は、ノズルチップ300の内径dや容量が小さい微量分注の場合に、確実にショートサンプルエラーの発生を検知することができる。
【0080】
このようなことから、本発明では、ノズルチップ300の大きさが比較的小さいものであるのが好ましく、具体的には、ノズルチップ300の先端開口301の内径dは、0.05〜0.8mmであるのが好ましく、0.05〜0.5mmであるのがより好ましい。また、ノズルチップ300の実質容量(使用時に実際に液体を吸入する量)は、0.5〜1000μLであるのが好ましく、0.5〜100μLであるのがより好ましい。
【0081】
また、本発明では、図7に示すような、ショートサンプルエラーが発生した瞬間の圧力変化を捉えるので、ショートサンプルエラーの発生を迅速に(即座に)検知することができる。
【0082】
次に、図6に基づいて、ショートサンプルエラー検知手段17の回路構成について説明する。
図6に示すように、本実施形態のショートサンプルエラー検知手段17は、電流電圧変換回路171と、大気圧測定用ADC(アナログ/デジタルコンバータ)172と、判定値演算部173と、判定値設定メモリ174と、DAC(デジタル/アナログコンバータ)175と、コンパレータ176と、判定部177とを有しており、圧力センサ16により検出された圧力を所定の判定値(基準値)pと比較し、その比較結果に基づいてショートサンプルエラーの発生の有無を判定するように構成されている。
【0083】
本実施形態における判定値pは、図8に示すように、前記式(II)で算出されるショートサンプルエラーが発生していない状態での圧力値と、前記式(III)で算出されるショートサンプルエラーが発生したときの負圧方向ピークの圧力値との間に位置する値である。この判定値pは、前記式を用いた計算に基づいて設定してもよく、また、経験(実験)に基づいて設定してもよい。
【0084】
ショートサンプルエラー検知手段17は、以下に説明するように、液体の吸入が開始された後、圧力センサ16により検出された圧力(気圧)が判定値p以下まで降下した場合、ショートサンプルエラーが発生したものと判定する。
【0085】
本実施形態では、ショートサンプルエラー検知手段17では、圧力センサ16を、大気圧を測定する手段としても利用する。すなわち、ノズルチップ300の先端開口301が吸入先の容器400の液面に接触する前に圧力センサ16から出力された大気圧を表す電流信号は、電流電圧変換回路171により電圧信号に変換された後、大気圧測定用ADC172に入力される。
【0086】
判定値設定メモリ174には、判定値pを得るために用いる設定値データが予め格納されている。判定値演算部173には、判定値設定メモリ174に格納された設定値データを表すデジタル信号と、大気圧測定用ADC172から出力された大気圧データを表すデジタル信号とが入力される。判定値演算部173は、この二つを演算処理して判定値pを算出する。
【0087】
算出された判定値pを表すデジタル信号は、DAC175によりアナログ信号(電圧信号)に変換された後、コンパレータ176に入力される。また、圧力センサ16から出力されたノズルチップ300内の圧力を表す電流信号は、電流電圧変換回路171により電圧信号に変換された後、コンパレータ176に入力される。
【0088】
コンパレータ176は、上記の二つの入力信号の電圧の高低を比較し、その結果、Highレベル信号またはLowレベル信号を判定部177へ出力する。判定部177は、コンパレータ176から入力された信号に基づき、ノズルチップ300内の圧力が判定値p以下に降下した場合には、ショートサンプルエラーが発生したものと判定し、そうでない場合には、ショートサンプルエラーは発生していないものと判定する。判定部177は、この判定結果を表す信号を制御手段13へ出力する。
【0089】
以上のような本実施形態のショートサンプルエラー検知手段17では、大気圧の変動を考慮して判定値pを算出するので、より正確に判定を行うことができる。なお、本発明では、ショートサンプルエラーの発生の有無の判定に用いる判定値は、大気圧によらないものであってもよい。
【0090】
また、ショートサンプルエラー検知手段17(判定部177)は、液体の吸入を開始した直後における圧力センサ16の検出結果を除外して(無視して)、ショートサンプルエラーの発生の有無を判定するのが好ましい。これにより、液体の吸入開始直後の圧力が安定してないときの圧力変動(図8中の矢印Aで示す部分)をショートサンプルエラーであると誤認してしまうのをより確実に防止することができる。
【0091】
また、本発明では、ショートサンプルエラー検知手段17の構成は、前述したものに限定されない。例えば、ショートサンプルエラー検知手段17の他の構成としては、圧力センサ16により検出された圧力を時間で1回微分した値(1次微分値)を所定の判定値(前記の判定値とは異なる)と比較し、その比較結果に基づいてショートサンプルエラーの発生の有無を判定する(例えば、圧力の1次微分値が判定値より小さくなった場合、ショートサンプルエラーが発生したと判定する)ように構成されたものでもよい。また、ショートサンプルエラー検知手段17のさらに他の構成としては、圧力センサ16により検出された圧力を時間で2回微分した値(2次微分値)を所定の判定値(前記の判定値とは異なる)と比較し、その比較結果に基づいてショートサンプルエラーの発生の有無を判定する(例えば、圧力の2次微分値にマイナス方向のピークとプラス方向のピークとが連続して生じた場合、ショートサンプルエラーが発生したと判定する)ように構成されたものでもよい。
【0092】
また、本発明では、ショートサンプルエラー検知手段17は、本実施形態のようにハード的に構成されたものに限らず、ソフト的に構成されていてもよい。
【0093】
また、ショートサンプルエラー検知手段17がショートサンプルエラーの発生を検知した場合には、制御手段13は、表示手段25にその旨を表示し、オペレーターにその旨を報知するとともに、ポンプ駆動手段14の作動を停止させるのが好ましい。
【0094】
本発明では、ショートサンプルエラーの発生を検知した場合のエラー処理としては、その旨を報知したり、分注動作を中断したりするだけであってもよいが、本発明の分注装置では、以下に説明するようなエラー処理を行うこととしてもよい。
【0095】
図9および図10は、本発明の分注装置におけるショートサンプルエラーの発生を検知した場合のエラー処理の一例を示すフローチャートである。
【0096】
図9および図10に示すエラー処理では、ショートサンプルエラー検知手段17によりショートサンプルエラーの発生を検知した場合、制御手段13は、そのショートサンプルエラーの発生までにノズルチップ300内に吸入した液体の量を推定し、その推定された液体吸入量に基づいて、その後の分注動作を制御する。
【0097】
すなわち、制御手段13は、推定された液体吸入量と予め設定された1回の分注量とに基づいて分注可能な回数を推定し、その回数の分注が終わるまで分注動作を続行する。これにより、ショートサンプルエラーが発生した場合であっても、それまでに吸入した液体を廃棄することなく、可能な限りの回数の分注を続行するので、液体を無駄にすることがない。
【0098】
その後、制御手段13は、分注した回数が予め設定された回数に達していない場合には、チップ装着部32に装着されたノズルチップ300をチップリムーバ26を用いて交換し、新しいノズルチップ300に新たに液体を吸入して、足りない分の回数の分注動作を行う。これにより、予め設定された回数の分注を行うことができる。
【0099】
以下、図9および図10に基づいて、より詳細に説明する。
図9に示すように、分注装置1は、分注動作を開始すると、チップ装着部32に新しいノズルチップ300を装着する(ステップS001)。そして、制御手段13は、予め入力(設定)された1回の分注量V、分注回数n、エクセス量Vexに基づいて、ノズルチップ300内への液体の吸引量(吸入量)を設定する(ステップS002)。すなわち、液体の吸引量は、V×n+Vexとなる。なお、エクセス量Vexとは、ノズルチップ300に最終的に付着・残存する量の液体を見込んだものである。
【0100】
そして、分注装置1は、ノズル移動手段15を作動させてノズルチップ300を吸入先の容器400に移動させ(ステップS003)、液体吸引動作(吸入動作)を開始する(ステップS004)。
【0101】
液体吸引動作を行っている最中には、ショートサンプルエラー検知手段17がショートサンプルエラーの発生を監視している(ステップS005)。そして、ショートサンプルエラーが発生することなく、設定された量の液体を吸入できたときには、ノズルチップ300を吐出先の容器の位置に移動して(ステップS006)、設定された通り、分注量V、分注回数nで(n個所に)、分注を行う(ステップS007)。その後、チップリムーバ26によってノズルチップ300を取り外して破棄し(ステップS008)、分注動作を終了する。
【0102】
これに対し、ステップS005においてショートサンプルエラーの発生を検知した場合には、制御手段13は、分注動作を一時停止させるとともに、それまでにノズルチップ300内に吸入できた液体の量を推定する。この推定は、液体吸引(吸入)開始からショートサンプルエラー発生までの時間に吸入流量を乗算することにより得られる(ステップS009)。あるいは、ショートサンプルエラー発生時におけるポンプ7のプランジャ72の位置から推定してもよい。
【0103】
次いで、制御手段13は、ステップS002で設定した液体吸引量と、ステップS008で推定された実際の液体吸入量との差から、不足液量V’を推定する(ステップS010)。さらに、制御手段13は、分注可能な回数n’を算出する(ステップS011)。n’は、V×n+Vex−V’>V×n’を満足する最大の整数n’を求めることにより、算出することができる。
【0104】
図10に示すように、分注装置1は、ステップS011で算出された分注可能な回数n’に基づいて判断を行い(ステップS012)、次のような分注動作を行う。
【0105】
まず、n’=0の場合、すなわち1回も分注できないときには、そのノズルチップ300を破棄して新しいノズルチップ300に交換した後(ステップS013)、残りn回の分注をやり直す(ステップS014)。その後、そのノズルチップ300を破棄して(ステップS015)、分注動作を終了する。
【0106】
また、ステップS012において0<n’<nの場合には、ノズルチップ300を吐出先の容器の位置に移動して(ステップS016)、分注量V、分注回数n’で(n’個所に)、分注を行う(ステップS017)。その後、ノズルチップ300を破棄して新しいノズルチップ300に交換した後(ステップS018)、残り(n−n’)回の分注をやり直す(ステップS019)。その後、そのノズルチップ300を破棄して(ステップS020)、分注動作を終了する。
【0107】
さらに、ステップS012においてn’=nの場合、すなわち設定された回数の分注が可能である場合には、ノズルチップ300を吐出先の容器の位置に移動して(ステップS021)、当初の設定の通りに、分注量V、分注回数nで(n個所に)、分注を行う(ステップS022)。その後、そのノズルチップ300を破棄して(ステップS023)、分注動作を終了する。
【0108】
このように、図9および図10に示すエラー処理を行う場合には、ショートサンプルエラーの発生までにノズルチップ300に吸引できた液体の量に応じて、その後の分注動作を無駄なく合理的に行うことができ、例えば検体、試薬等の液体の無駄や、時間のロスを最小限にすることができる。
【0109】
以上、本発明の分注装置を図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。本発明の分注装置を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができ、また、任意の構成物が付加されていてもよい。
【0110】
また、本発明では、分注する液体は、検体、試薬(薬液)等、いかなる液体でもよい。
【0111】
また、x軸、y軸、z軸の各移動手段は、ベルトを利用したものに限定されることなく、いかなる構造を利用したものでもよく、例えば、ボールねじ等の送りねじ、ラック&ピニオンギア、リニアモータなどを利用した任意の構成とすることができる。
【0112】
また、チップ装着部を移動させる移動手段は、前述した実施形態では3次元方向に移動させるものであったが、チップ装着部を少なくとも上下方向に移動させるものであればよい。
【0113】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、微量の分注を行う際にもショートサンプルエラーの発生を確実に検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の分注装置の実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1に示す分注装置におけるx軸方向移動手段を示す斜視図である。
【図3】図1に示す分注装置におけるy軸方向移動手段、z軸方向移動手段および分注ヘッドを示す斜視図である。
【図4】図1に示す分注装置におけるポンプ、チップ装着部およびノズルチップを示す縦断面図である。
【図5】図1に示す分注装置の概略的なブロック図である。
【図6】ショートサンプルエラー検知手段の回路構成を示す図である。
【図7】ショートサンプルエラーが発生する瞬間のノズルチップの先端開口付近を拡大して示す断面図である。
【図8】本発明の分注装置においてノズルチップ内に液体を吸入する際のノズルチップ内の圧力(気圧)を縦軸に、時間を横軸にとって示すグラフである。
【図9】本発明の分注装置におけるショートサンプルエラーの発生を検知した場合のエラー処理の一例を示すフローチャートである。
【図10】本発明の分注装置におけるショートサンプルエラーの発生を検知した場合のエラー処理の一例を示すフローチャートである。
【図11】比較例の分注装置においてノズルチップ内に液体を吸入する際のノズルチップ内の圧力(気圧)を縦軸に、時間を横軸にとって示すグラフである。
【符号の説明】
1 分注装置
11 アーム
12 ガイドレール
13 制御手段
131 CPU
132 記憶部
14 ポンプ駆動手段
15 ノズル移動手段
16 圧力センサ
17 ショートサンプルエラー検知手段
171 電流電圧変換回路
172 大気圧測定用ADC
173 判定値演算部
174 判定値設定メモリ
175 DAC
176 コンパレータ
177 判定部
18 液面検出手段
2 装置本体
21 作業台
22 機器収納部
23 第2の機器収納部
24 突出部
25 表示手段
26 チップリムーバ
261 切欠き
3 分注ヘッド
31 フレーム
32 チップ装着部
321 通気流路
322 下端開口
33 配管チューブ
4 x軸方向移動手段
41 スライドブロック
411 固定部
42 駆動プーリー
43 従動プーリー
44 パルスモーター
45 ベルト
5 y軸方向移動手段
51 スライドブロック
52 駆動プーリー
53 従動プーリー
54 パルスモーター
55 ベルト
6 z軸方向移動手段
61 スライドブロック
62、63 従動プーリー
64 ベルト
65 パルスモーター
66 プロペラシャフト
67 固定部材
68 支持部
7 ポンプ
71 シリンダ
72 プランジャ
100 試験管ラック
200 チップラック
300 ノズルチップ
301 先端開口
302 基端開口
400 容器
S 気液界面

Claims (10)

  1. 着脱自在に装着したノズルチップの先端開口から液体を吸入・吐出する分注装置であって、
    気体を吸入・吐出するポンプと、
    前記ポンプの作動により気体が流入・流出する開口を有し、前記ノズルチップが着脱自在に装着されるチップ装着部と、
    前記チップ装着部を少なくとも上下方向に移動させる移動手段と、
    前記ポンプおよび前記移動手段の作動を制御する制御手段と、
    前記チップ装着部に装着された前記ノズルチップ内の圧力を検出する圧力検出手段と、
    前記ノズルチップ内に液体を吸入しているとき、吸入先の容器内の液体が足りなくなり、途中から前記ノズルチップ内に気体を吸入してしまう現象であるショートサンプルエラーの発生を検知するショートサンプルエラー検知手段とを備え、
    前記ショートサンプルエラー検知手段は、液体を吸入している途中で前記ノズルチップの先端開口から気体が入り始める瞬間に前記先端開口付近に生じた気液界面に作用する液体の表面張力によって前記ノズルチップ内の圧力が急激に低下することを、前記圧力検出手段により検出された圧力に基づいて検知することにより、ショートサンプルエラーの発生を検知することを特徴とする分注装置。
  2. 前記ショートサンプルエラー検知手段は、前記圧力検出手段により検出された圧力を所定の判定値と比較し、その比較結果に基づいてショートサンプルエラーの発生の有無を判定する請求項1に記載の分注装置。
  3. 前記ショートサンプルエラー検知手段は、前記圧力検出手段により検出された圧力を時間で1回微分した値を所定の判定値と比較し、その比較結果に基づいてショートサンプルエラーの発生の有無を判定する請求項1に記載の分注装置。
  4. 前記ショートサンプルエラー検知手段は、前記圧力検出手段により検出された圧力を時間で2回微分した値を所定の判定値と比較し、その比較結果に基づいてショートサンプルエラーの発生の有無を判定する請求項1に記載の分注装置。
  5. 前記ショートサンプルエラー検知手段は、液体の吸入を開始した直後における前記圧力検出手段の検出結果を除外して、ショートサンプルエラーの発生の有無を判定する請求項1ないし4のいずれかに記載の分注装置。
  6. 前記ノズルチップの先端開口の内径は、0.05〜0.8mmである請求項1ないし5のいずれかに記載の分注装置。
  7. 前記ノズルチップの実質容量は、0.5〜1000μLである請求項1ないし6のいずれかに記載の分注装置。
  8. 前記ショートサンプルエラー検知手段によりショートサンプルエラーの発生を検知した場合、前記制御手段は、そのショートサンプルエラーの発生までに前記ノズルチップ内に吸入した液体の量を推定し、その推定された液体吸入量に基づいて、その後の分注動作を制御する請求項1ないし7のいずれかに記載の分注装置。
  9. 前記制御手段は、前記推定された液体吸入量と予め設定された1回の分注量とに基づいて分注可能な回数を推定し、その回数の分注が終わるまで分注動作を続行する請求項8に記載の分注装置。
  10. 前記チップ装着部に装着された前記ノズルチップを交換する交換手段をさらに備え、
    前記制御手段は、前記推定された液体吸入量と予め設定された1回の分注量とに基づいて分注可能な回数を推定し、その回数の分注が終わるまで分注動作を続行し、分注した回数が予め設定された回数に達していない場合には、前記チップ装着部に装着された前記ノズルチップを交換して新たに液体を吸入し、足りない分の回数の分注動作を行う請求項8に記載の分注装置。
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