JP4375914B2 - スイッチング電源装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は交流電源を入力とする高力率形スイッチング電源の改善に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の高力率形スイッチング電源装置として図6に示すように入力電解コンデンサレスのワンコンバータ方式がある。この方式は、入出力間を絶縁し、且つ入力電流を正弦波状に近似することができる。
【0003】
図6において交流電源1に高域阻止フィルタ2を介して全波整流器3を接続し、全波整流器3の出力に変換トランス4の一次巻線5とオン、オフ動作を行うスイッチ素子8を直列に接続する。一方変換トランス4の二次巻線6の両端には整流用ダイオード9と平滑用コンデンサ10を直列に接続し、このコンデンサ10の両端に接続された電気的負荷11に直流電圧を供給する。また、7は変換トランス4の励磁のリセットを検出する三次巻線、13は三次巻線7の信号を検出する励磁リセット検出回路、14はスイッチ素子8の電流を検出する電流検出回路、15は交流電源の全波整流波形を検出する交流入力電圧検出回路、16は出力電圧を検出すると共に基準電圧と比較、増幅し、誤差信号を出力する出力電圧検出回路、17は出力電圧検出回路16の信号及び交流入力電圧検出回路15の信号を乗算し、基準信号を発生する乗算回路、18は電流検出回路14の信号と乗算回路17の基準信号とを比較し、パルス幅変調をするパルス幅制御回路、12はスイッチ素子8を、励磁リセット検出回路13の信号でオンし、パルス幅制御回路18の信号でオフするRSラッチ回路である。
【0004】
図6の電流波形は従来より知られているように次式で示される。
【数4】
Figure 0004375914
【0005】
この数4は以下のように求められる。まず、一次巻線電流のピークI1pとTonとの関係式は次式で示される。
【数5】
Figure 0004375914
【0006】
二次巻線電流のピークI2pとToffとの関係式は次式で示される。
【数6】
Figure 0004375914
【0007】
I1pとI2pは等アンペア・ターンの法則から次式で示される。
【数7】
Figure 0004375914
【0008】
この式を変形して次式を得る。
【数8】
Figure 0004375914
【0009】
上記数5と上記数6を上記数8に代入して次式が得られる。
【数9】
Figure 0004375914
【0010】
また、入力電流Iiは一次巻線の平均電流なので次式となる。
【数10】
Figure 0004375914
【0011】
上記数9と上記数5を上記数10に代入すると上記数4が導かれる。
【0012】
また、上記数4の中でのTonは以下のように表すことができる。まず、パルス幅制御回路18は電流検出回路14の信号I1dと乗算回路17の基準信号Iprefを比較し、パルス幅変調をするため、次式が成り立つ。
【数11】
Figure 0004375914
【0013】
I1dは電流検出回路14のゲインをGiとすると、次式で示される。
【数12】
Figure 0004375914
【0014】
Iprefは出力電圧検出回路16の信号をGo、交流入力検出回路15のゲインをGeとすると次式で示される。
【数13】
Figure 0004375914
【0015】
上記数12と上記数13を上記数11に代入すると、
【数14】
Figure 0004375914
【0016】
となり、Tonは一定の値となることがわかる。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
従来の制御方法では上記数14からわかるようにTonが一定のため、上記数4の入力電流Iiが入力電圧波形に完全に比例しない式となり、図7に示すように台形に近い波形となり、入力電圧の範囲を広くとると、入力電流のひずみ率が増大し、高調波を抑制することができないという課題が生じた。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記数1にすることで、入力電流Iiは入力電圧の大きさVpが変化しても常に入力電圧に完全に比例した波形となり、入力電圧の広い範囲で入力電流のひずみ率を低減し、高調波を抑制することを可能にした。
【0019】
本発明は、上記数3にすることで、上記数4の分母の下記数15で示す部分を打ち消すことができ、入力電流Iiは入力電圧の大きさVpが変化しても常に入力電圧に完全に比例した波形となり、入力電圧の広い範囲で入力電流のひずみ率を低減し、高調波を抑制することを可能にした。
【数15】
Figure 0004375914
【0020】
本発明は、2乗回路と加算回路とを備えた演算回路を制御器に設け、これら2乗回路及び加算回路を着脱可能にしたことにより、少ない追加部品で低コスト化を実現することを可能にした。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るスイッチング電源装置の好ましい実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明に係るスイッチング電源装置の好ましい実施の形態を示す回路図である。また、図2はこの実施例の方式による波形図である。
【0022】
本実施例のスイッチング電源装置は、上記従来例と同様に、交流電源1に高域阻止フィルタ2を介して全波整流器3を接続し、全波整流器3の出力に変換トランス4の一次巻線5とオン、オフ動作を行うスイッチ素子8を直列に接続してある。一方変換トランス4の二次巻線6の両端には整流用ダイオード9と平滑用コンデンサ10を直列に接続し、このコンデンサ10の両端に接続された電気的負荷11に直流電圧を供給する。また、三次巻線7を設けてあり、変換トランス4の励磁のリセットを検出する。
【0023】
本実施例では、制御器22を設けてあり、三次巻線7の信号を検出する励磁リセット検出回路13と、スイッチ素子8の電流を検出する電流検出回路14と、交流電源の全波整流波形を検出する交流入力電圧検出回路15と、出力電圧を検出すると共に基準電圧と比較、増幅し、誤差信号を出力する出力電圧検出回路16と、出力電圧検出回路16及び交流入力電圧検出回路15の信号を乗算し基準信号を発生する乗算回路17と、電流検出回路14の信号と乗算回路17の基準信号を比較し、パルス幅変調をするパルス幅制御回路18と、スイッチ素子8を励磁リセット検出回路13の信号でオンし、パルス幅制御回路18の信号でオフするRSラッチ回路12とを備えてある。
【0024】
また、本実施例の制御器22には着脱可能な演算回路21を備え、この演算回路21は、交流入力電圧検出回路15の出力を2乗する2乗回路19と、交流入力電圧検出回路15の出力と2乗回路19の出力を加算する加算回路20とからなり、この加算回路20の出力と出力電圧検出回路16の出力とを乗算回路17が乗算するようにしてある。なお、2乗回路19及び加算回路20を個々に設けてあってもよい。
【0025】
本実施例のスイッチング電源装置を以上のように構成することにより、乗算回路17の出力信号Iprefは次のようになる。
【数16】
Figure 0004375914
【0026】
パルス幅制御回路18でこの乗算回路17の基準信号と、電流検出回路14の信号とを比較することにより、Tonを求めることができ、上記数16と上記数12を上記数11に代入すると、
【数17】
Figure 0004375914
を得ることができる。
【0027】
この上記数17で下記数18及び下記数19をおくと、
【数18】
Figure 0004375914
【0028】
【数19】
Figure 0004375914
【0029】
下記数20となる。なお、この位相による変化を図4で示してある。
【数20】
Figure 0004375914
【0030】
また、上記数17のTonを上記数4に代入して上記数4の分母の上記数15で示す部分をうち消すためにはsinωtの項を等しくする必要があるため、下記数21をたてる。
【数21】
Figure 0004375914
【0031】
ここで両辺のVpが消え、Gsqは、
【数22】
Figure 0004375914
【0032】
となる。こうすることで、上記数4の入力電流Iiは入力電圧の変化に影響されないため、広い入力電圧の範囲でsinωtに比例した波形となる。
【0033】
図3に従来の方式と本発明の方式の周波数スペクトラムを示す。従来の方式では総合ひずみ率THDが15%であったものが本発明の方式では約4%に抑えることができる。
【0034】
なお、図5では、非絶縁型の極性逆転型チョッパに適用した回路図を示してある。この実施例も上記実施例と同様に、制御器22には、2乗回路19と加算回路20とからなり、着脱可能な演算回路21を備えてあり、上記実施例と同様の作用をし、上記スイッチ素子のオン幅Tonを上記数20で示すように制御する。
【0035】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように本発明によれば、入力電解コンデンサレスのワンコンバータ方式において、入力電圧の広い範囲で入力電流のひずみ率を低減し、高調波を抑制することができる。
【0036】
本発明は、2乗回路と加算回路とを備えた演算回路を制御器に設け、これら2乗回路及び加算回路を着脱可能にしたことにより、少ない追加部品で低コスト化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】入力電解コンデンサレスのワンコンバータの提案する制御方式を示す回路図である。
【図2】図1図示実施例の方式による電流の動作波形図である。
【図3】従来の方式と本発明の方式の周波数スペクトラムを示す図である。
【図4】Tonの位相による変化を表す図である。
【図5】本発明を非絶縁型の極性逆転型チョッパに適用した回路図である。
【図6】入力電解コンデンサレスのワンコンバータの従来の制御方式を示す回路図である。
【図7】従来の方式による電流の動作波形図である。
【符号の説明】
1 交流電源
2 広域阻止フィルタ
3 全波整流器
4 変換トランス
5 一次巻線
6 二次巻線
7 三次巻線
8 スイッチ素子
9 整流用ダイオード
10 平滑用コンデンサ
11 電気的負荷
12 RSラッチ回路
13 励磁リセット検出回路
14 電流検出回路
15 交流入力電圧検出回路
16 出力電圧検出回路
17 乗算回路
18 パルス幅制御回路
19 2乗回路
20 加算回路
21 演算回路
22 制御器

Claims (6)

  1. 交流電源に高域阻止フィルタを介して接続された全波整流器の直流出力にスイッチ素子と変換トランスの一次巻線を直列に接続し、上記変換トランスの二次巻線には整流平滑回路を接続して直流電圧を得るようにし、上記スイッチ素子のオン時に上記変換トランスに蓄えられた磁気エネルギーをオフ時に上記変換トランスの二次巻線側に供給するように構成し、上記スイッチ素子を上記変換トランスの励磁がリセットされた後にオンが始まるように制御されたスイッチング電源装置において、上記全波整流器の出力、出力電圧その他変化する値を検出する検出手段と、この検出手段で検出した信号及び上記変換トランスの巻数比、入力出力の大きさその他定数に基づいてパルス幅変調の基準信号を演算する演算手段と、上記基準信号に基づいてパルス幅変調を制御する制御手段とを備えた制御器を設け、この制御器により上記スイッチ素子のオン幅Tonを下記数1に示すように制御することを特徴とするスイッチング電源装置。
    Figure 0004375914
  2. 上記請求項1記載のスイッチング電源装置において、上記検出手段は、上記全波整流器の出力を検出する交流入力電圧検出回路と、上記出力電圧Voを検出すると共にVoの基準電圧Vrefと比較、増幅し、誤差信号を出力する出力電圧検出回路と、上記スイッチ素子の電流を検出する電流検出回路とから構成し、上記演算手段は、上記交流入力電圧検出回路の出力を2乗する2乗回路と、上記交流入力電圧検出回路の出力と上記2乗回路の出力を加算する加算回路と、上記出力電圧検出回路の出力と上記加算回路の出力を乗算する乗算回路とから構成し、上記制御手段は、上記電流検出回路の出力と上記乗算回路が出力する基準信号Iprefを比較し、パルス幅変調をするパルス幅制御回路と、上記変換トランスの励磁がリセットされるのを検出する三次巻線と励磁リセット検出回路と、上記スイッチ素子を上記励磁リセット検出回路の信号でオンし、上記パルス幅制御回路の信号でオフするRSラッチ回路とから構成してあることを特徴とするスイッチング電源装置。
  3. 上記請求項2記載のスイッチング電源装置において、上記乗算回路が出力する基準信号Iprefを下記数2に示すように演算することを特徴とするスイッチング電源装置。
    Figure 0004375914
  4. 上記請求項3記載のスイッチング電源装置において、上記オン幅Tonを下記数3に示すように制御することを特徴とするスイッチング電源装置。
    Figure 0004375914
  5. 上記請求項2乃至4のいずれか1項記載のスイッチング電源装置において、上記2乗回路及び上記加算回路を上記制御器に着脱可能に設けてあることを特徴とするスイッチング電源装置。
  6. 上記請求項2乃至5のいずれか1項記載のスイッチング電源装置において、上記制御器に上記2乗回路と上記加算回路とを備えた演算回路を設けてあることを特徴とするスイッチング電源装置。
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