JP4373198B2 - 低温焼成基板用無鉛ガラスセラミックス組成物 - Google Patents
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Description
更に詳しくは、本発明は、低抵抗導体であるAg系金属導体と同時焼結可能であり、抗折強度に優れ、且つ、GHz帯において優れた誘電特性を有する低温焼成基板用無鉛ガラスセラミックス組成物に関する。
該多層回路基板には、近年の半導体技術の発展に伴い、より一層の配線の多層化・微細配線による高密度化・小型化・高強度化・GHz帯領域での誘電損失の抑制が求められている。そのため使用される金属導体にも低抵抗の金属導体、例えばAg系金属導体等が使用されている。
金属導体として低抵抗のAg系金属導体を使用する場合、該金属導体が低融点であるため、低温で焼成できるガラスセラミックス組成物が用いられている。
鉛含有ガラスとアルミナ粉末とが混合されたものが広く使用されている。
しかしながら、このガラスセラミックス組成物は、鉛を含有しているため環境汚染という問題がある。
本発明に係る低温焼成基板用無鉛ガラスセラミックス組成物は、焼結時のAg系金属導体の溶融・変色・基板中への拡散を防止することができる。
また、本発明に係る低温焼成基板用無鉛ガラスセラミックス組成物は、基板自体の抗折強度が高く、GHz帯領域での誘電損失が低く、基板の反りが少ない焼成多層回路基板を作製できる。
更に、本発明に係る低温焼成基板用無鉛ガラスセラミックス組成物は、鉛含有ガラスを使用しないため環境汚染の問題もない。
尚、本発明において、ガラス粉末とは、所定の組成のガラスを粉砕することにより得られるものである。
ガラス粉末に含まれるSiO2は、主にガラスのネットワークフォーマーである。
ガラス粉末中のSiO2の含有量は、55〜65重量%が好ましく、57〜60重量%がより好ましい。
55重量%未満では、ガラスの化学的耐久性が低下し、65重量%を超えるとガラスの溶融が困難となるためである。
Al2O3の含有量は、1〜3重量%が好ましく、2〜3重量%がより好ましい。
1重量%未満又は3重量%を超えると基板の反りが大きくなるためである。
B2O3の含有量は、15〜20重量%が好ましく、17〜19重量%がより好ましい。
B2O3の含有量が15重量%未満では、ガラス溶融が非常に困難となり、ガラスセラミックスの焼結性も悪化する。B2O3の含有量が20重量%を超えるとガラスの化学的耐久性が低下する。
含有量は、CaO+MgO10〜16重量%且つMgO2〜7重量%が好ましく、CaO+MgO12〜14重量%且つMgO4〜6重量%がより好ましい。
CaO+MgOの含有量が、10重量%未満ではガラス溶融が非常に困難となり、16重量%を超えると基板にしたときの反りが大きくなる。また、MgOが2重量%未満ではガラス溶融が不安定になり、7重量%を超えると基板にしたときの反りが大きくなる。
BaO+SrOの含有量は、0.5〜2.5重量%が好ましく、1〜2重量%がより好ましい。
BaO+SrOとは、BaO単独、SrO単独或いはBaOとSrOとの混合物をいう。
BaOとSrOとの混合物の場合、両者の混合比は適宜調整できる。
BaO+SrO含有量が、0.5重量%未満ではガラス溶融時の溶融安定性が低下し、2.5重量%を超えると基板にしたときの反りが大きくなる。
K2O+Na2Oの含有量は、0〜4重量%が好ましく、0.5〜2重量%がより好ましく、1.0〜1.5重量%がさらに好ましい。
K2O+Na2Oの含有量が、4重量%を超えると2.4GHzでの誘電損失が0.0050以上となる虞がある。
K2O+Na2Oとは、K2O単独、Na2O単独或いはK2OとNa2Oとの混合物をいう。
K2OとNa2Oとの混合物の場合、両者の混合比は適宜調整できる。
TiO2+ZrO2の含有量は、0〜10重量%が好ましく、0〜5重量%がより好ましい。
TiO2+ZrO2とは、TiO2単独、ZrO2単独或いはTiO2とZrO2との混合物をいう。
TiO2とZrO2との混合物の場合、両者の混合比は適宜調整できる。
該ガラス粉末の平均粒径は、1.0〜3.0μm、最大粒径を20μm以下とすることが好ましい。ガラスセラミックス基板へのAg系金属導体の拡散を抑制するためには、乾式粉砕又は水系溶媒を用いた湿式粉砕が好ましい。
該ガラス粉末の平均粒径は、レーザー散乱式粒度分布測定器を用いて、体積分布モードのD50値から測定される。
ガラス転移点Tgは、示差熱分析装置(DTA)を用いて、室温から20℃/minで昇温させて得られたDTA曲線より、最初の吸熱の開始点(外挿点)の温度から測定される。
なお、平均粒径の測定方法は、前記と同様の方法を用いて測定される。
更に、該ガラス粉末40〜50重量%、該無機フィラー50〜60重量%がより好ましい。
該ガラス粉末が35重量%未満では、焼結しにくくなり、基板にした時の反りも大きくなる。また、該ガラス粉末が60重量%を超えると誘電損失が大きくなり、また抗折強度が低下する。
表1に示す化学組成となるように原料を調合、混合して、この調合原料を白金るつぼに入れて1500〜1650℃で2時間溶融後、急冷しガラスを形成した。得られたガラスとイオン交換水とをボールミルに入れて湿式粉砕し、平均粒径2.5μm、最大粒径13μm以下のガラス粉末を作製した。
該ガラス粉末と平均粒径1.5μmのアルミナとを表1の配合比(重量%)で秤量し、ボールミルに入れて混合し混合物を得た。該混合物に可塑剤(アジピン酸ジオクチル)、溶剤(トルエン)、バインダー(ポリビニルブチラール)を添加し24時間混合後、スラリーを得た。
該スラリーを用いてドクターブレード法により厚み100μmのグリーンシートを得た。
前記で得られたグリーンシートを45mm角に切断し、該グリーンシートの表面にAgペースト(昭栄化学工業株式会社製:ML-4052)を長さ30mm、幅5mm、厚さ10μmのベタ面となるようにスクリーン印刷した。
Agペーストが印刷されたグリーンシートの印刷面側に、Agペーストが印刷されていないグリーンシート4枚を積層させ、また、前記グリーンシートの非印刷面側にAgペーストが印刷されていないグリーンシート3枚を積層させ、更に前記印刷面側に4枚及び前記非印刷面側に3枚積層されたグリーンシートの最表面の両面にそれぞれ1枚ずつAgペーストが印刷されたグリーンシートをAgペーストが印刷された面が表面になるように積層させて、更にAgペーストが印刷されていないグリーンシート3枚を積層させた方の最表面のAgペーストが印刷された面にAgペーストが印刷されていないグリーンシート1枚を積層させて合計11枚の積層させたグリーンシートを熱圧着法により圧着し、35mm角に切断して積層体を得た。
該積層体を表1に示す焼成温度で焼成し焼成体を作製した。
得られた焼成体の反りは、該焼成体の表面にAgペーストが印刷された焼成体表面について、Agペースト部の最高点と焼成体表面の最低点との隙間を隙間ゲージを用いて測定した。その結果を表1に示した。
前記で得られたグリーンシートを20mm×120mm角に切断し、熱圧着法により合計20枚積層し端面を切断して積層体を得た。該積層体を表1に示す焼成温度で焼成し焼成体を作製した。得られた焼成体を縦1.8mm、横1.8mm、長さ80mmの柱状に研磨加工し、空洞共振器(摂動法)測定周波数2.4GHzにより室温でのε及びtan δを測定した。その結果を表1に示した。
前記で得られたグリーンシートを50mm×60mm角に切断し、熱圧着法により合計40枚積層し端面を切断して積層体を得た。該積層体を表1に示す焼成温度で焼成し焼成体を作製した。
得られた焼成体を縦4mm、横3mm、長さ36mmの柱状に研磨加工し、JIS R1601に従って抗折強度を測定した。その結果を表1に示した。
2):反りの評価方法は、100μmの隙間ゲージよりも大きい場合には×、100μmの隙間ゲージよりも小さい場合には○、50μmの隙間ゲージよりも小さい場合には◎とした。
Claims (1)
- ガラス粉末が35〜60重量%、無機フィラーが40〜65重量%配合されてなり、
該ガラス粉末が、酸化物換算で、SiO2を55〜65重量%、Al2O3を1〜3重量%、B2O3を15〜20重量%、CaO+MgOを10〜16重量%且つMgOを2〜7重量%、BaO+SrOを0.5〜2.5重量%含有することを特徴とする低温焼成基板用無鉛ガラスセラミックス組成物。
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