JP4373104B2 - 荷電粒子ビーム装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本願発明は、荷電粒子ビーム装置に関し、特に、非接触シール構造を有した荷電粒子ビーム装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の荷電粒子ビーム装置は、荷電粒子ビームを照射することにより、樹脂のキュアないし改質、処理対象物表面の物性の改質、処理対象物表面の洗浄、化合物の合成ないし分解、レジストや層間絶縁膜のキュア、医療器具の滅菌処理などを行っている。
【0003】
近年、集積回路(IC)がますます高集積化ないし高速化しており、この中で、多層配線層への低誘電率絶縁膜の使用が注目されてきている。絶縁膜は、通常、有機材料から構成されており、その表面には凹凸が多数形成された状態となっている。凹凸を放置した状態で絶縁膜を通して回路パターンをウェーハ面に投影露光すると、凹凸により光りが歪められ均一な露光ができない。このため、CMP技術などを使って絶縁膜の表面を研磨して平らにしてから、露光処理を行っている。しかしながら、単に絶縁膜の表面を研磨しようとすると、有機材料から構成されている絶縁膜の弾性により研磨が困難となる。そこで、表面研磨の前に、絶縁膜に荷電粒子ビーム(例えば、電子ビーム)を照射することにより絶縁膜をキュアすなわち硬化させる処理を施している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ウェーハ全面に塗布された絶縁膜を硬化させる場合、キュア後の表面研摩による平坦化のためには、両方向および深さ方向において電子を均一に導入する必要がある。
【0005】
しかしながら、従来この種の電子ビームを照射する荷電粒子ビーム装置においては、電子発生部(熱カソード及びグリッド)を小型管内に収容し、電子ビームを放出するための小型管の開口部を薄膜により封止することにより、小型管内を高真空状態保持していたため、真空小型管から放出される電子ビームが薄膜を通過する際に減衰し、個々の電子のもつエネルギーがばらつき、また、かかる真空小型管を多数配置して電子ビームを絶縁膜に照射していたため、電子ビームが重なる部分で電子密度が高くなってしまうという問題点があった。このため、従来は、真空小型管と絶縁膜間の距離と圧力を調整し、ウェーハ全面における個々の電子がもつエネルギーのばらつき具合を均一化することで、面方向および深さ方向に電子を均一に導入していたが絶縁膜の種類や膜厚が変わると、その条件設定が大変な作業となっていた。
【0006】
さらに、小型管の開口部を封止する薄膜を通して電子ビームを照射すると、電子ビームのエネルギー量及び照射時間に応じて薄膜が劣化し、定期的に小型管を交換する必要が生じ、ランニングコストが増大してしまうという問題点もあった。
【0007】
本願発明は、かかる従来技術の有する問題点に鑑みなされたものであり、差動排気を利用して非接触形態のシール構造を用いることにより、上記従来技術の有する問題点を解決しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
このため、本願発明は、処理対象物に荷電粒子ビームを照射して所定の処理を行う荷電粒子ビーム装置であって、荷電粒子ビームを発生する荷電粒子ビーム発生装置と、前記荷電粒子ビーム発生装置を収容するための真空チャンバーと、前記荷電粒子ビーム発生装置から発生する前記荷電粒子ビームの通過を許容するビーム取出し通路と、当該荷電粒子ビーム取出し通路を通ってきた前記荷電粒子ビームを前記処理対象物に向けて外部に放出することを許容するビーム放出用開口部とを有するハウジングと、前記ハウジングの前記ビーム放出用開口部側に、前記ビーム放出用開口部から離間して配置された、前記処理対象物を保持するための保持手段と、前記保持手段を前記ハウジングに対して相対的に移動させる駆動手段とを備え、前記ハウジングと前記保持手段と前記駆動手段とを、所定のガスが存在する空間に配置し、前記ビーム放出用開口部が設けられた前記ハウジングの端面と前記保持手段との間の隙間に進入する前記ガスを、前記ハウジングを介して当該ハウジングの外側に排気する差動排気装置を備えた荷電粒子ビーム装置を提供するものである。
【0009】
かかる構成を採用することにより、例えば、荷電粒子ビーム装置を大気中に配置した場合、ハウジングの端面と保持手段との間の隙間に進入した空気は、ほとんどがハウジングを通して差動排気装置により大気中に排気される。これにより、ビーム放出用開口部及びその周辺は所定の真空度に保たれ、ビーム放出用開口部から処理対象物に向けて放出される荷電粒子ビームをほとんど減衰させることなく、処理対象物に照射することができる。したがって、本願発明によれば、従来必要であった薄膜を使用する必要がなくなり、ランニングコストの低減も図ることができる。
【0010】
また、前記保持手段を前記ハウジングの端面に対して相対的に移動させるようにしたことから、荷電粒子ビームを矩形状にして、処理対象物を一端から他端にわたって荷電粒子ビームで順次照射することにより、処理対象物の表面を均一に照射することが可能になり、例えば、処理対象物として絶縁膜を採用した場合でも、絶縁膜をその面内において且その厚み方向において均一に硬化させることができる。
【0011】
また、差動排気装置を備えることにより、保持手段を真空チャンバーの外に置くことができ、これによって、真空チャンバーの小型化を図ることができる。さらに、真空チャンバーを固定し、保持手段を動かすことにより、真空チャンバーの簡素化を図ることもできる。
【0012】
また、保持装置を荷電粒子ビームに対して往復運動を行なわせる際に、ビーム電流と保持装置の移動速度とを制御するだけで、ドーズ量すなわち処理対象物への照射量を制御することが可能となる。これにより、電子ビームのドーズ量の制御性を向上させることができる。また、保持手段を移動させる際に荷電粒子ビームの加速電圧を変化(制御)させることにより、絶縁膜の深さ方向の改質制御を行なうことが可能になる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本願発明の一実施形態を図1に基づいて説明する。
本願発明の一実施形態に係る荷電粒子ビーム装置としての電子ビーム装置は、処理対象物としての絶縁膜に、荷電粒子ビームとしての電子ビームを照射して、かかる絶縁膜を硬化させるためのものである。もちろん、本願発明はかかる一例に限定されるものではなく、処理対象物として、樹脂、化合物、あるいは医療器具など任意のものを挙げることができる。樹脂に電子ビームを照射することにより樹脂の硬化ないし改質を図ることができ、化合物に電子ビームを照射することにより化合物の合成ないし分解を図ることができ、医療器具に電子ビームを照射することにより医療器具の滅菌を図ることができる。処理対象物表面の物性の改質や処理対象物表面の洗浄を図ることもできる。
【0014】
電子ビーム装置は、電子ビーム2を発生することができる電子ビーム発生装置4と、電子ビーム発生装置4を収容するためのハウジング6とを備えている。
ハウジング6は、ウェーハ8に塗布された処理対象物としての絶縁膜10に対向して配置可能な平らな端面12を有している。ハウジング6は、また、電子ビーム発生装置4を収容するための真空チャンバー14と、電子ビーム発生装置4から発生する電子ビーム2の通過を許容するビーム取出し通路16と、ビーム取出し通路16を通ってきた電子ビームを絶縁膜10に向けてハウジング6の外側に放出することを許容するビーム放出用開口部18とを有している。真空チャンバー14は、電子ビーム発生装置4から発生する電子ビーム2の通過を許容する第1の開口部17を有している。ビーム放出用開口部18は、ハウジング6の端面12に形成されており、ビーム取出し通路16と連通している。ビーム取出し通路16は、図中上側に第2の開口部19を有しており、第2の開口部19は、真空チャンバー14の第1の開口部17に連通して電子ビーム2の通過を許容する。第2の開口部19は、ビーム取出し通路16を介してビーム放出用開口部18に連通している。
【0015】
ハウジングの上部には、真空チャンバーが高真空状態になるように真空チャンバーを真空引きする高真空ポンプ20が設けられている。高真空ポンプの一例としてはターボ分子ポンプを用いることができる。
【0016】
電子ビーム発生装置4は、電子ビーム2を放出するカソード22と、電子ビーム放出方向下流側に設けられ、電子ビーム加速電極として機能するアノード24と、アノード24を通った電子ビームを集光するレンズ26とを備えている。レンズ26からは、横断面矩形状の電子ビームを発生することができるようになっている。
【0017】
ハウジング6は、さらに、一端が真空チャンバーの第1の開口部17に連通し、他端がビーム取出し通路の第2の開口部19に連通する絞り部28を備えている。矩形状の電子ビームを通すことができるように、第1の開口部17、絞り部28、ビーム取出し通路16、及びビーム放出用開口部18の横断面は、電子ビームの横断面よりも大きく、しかもその横断面の形と対応した矩形形状を有している(ビーム取出し通路16の形状に関しては、図2参照)。矩形ビームの長手方向長さは、ウェーハ8に塗布された絶縁膜10を一様に照射できるようにするために、ウェーハの直径以上とすることが好ましい。そのため、矩形状のビーム放出用開口部18の長手方向長さは、ウェーハの直径以上となっている。
【0018】
なお、本実施形態においては、電子ビーム形状を矩形形状とし、その矩形状のの電子ビームを絶縁膜表面でウェーハ直径以上にして絶縁膜に照射しているが、電子ビーム形状を点状とし、この点状電子ビームを既知の偏向コイルでウェーハの進行方向に対して垂直方向に振ることにより絶縁膜表面でウェーハ直径以上にして絶縁膜に照射してもよい。
【0019】
この場合、点状電子ビームの振幅速度(すなわち振幅周波数)は、駆動装置により、ウェーハを移動させる速度よりも十分に速くさせる必要がある。
例えば、点状ビーム径を100μm程度とし、ウェーハ移動速度を10mm/sとした場合、点状電子ビームの振幅周波数を5kHzとすれば、絶縁膜の任意の場所において電子ビームが100回程度重ね合わさり、これをウェーハの一端から他端にわたって順次照射することにより絶縁膜の表面全体をほぼ均一に照射することが可能になる。
【0020】
また、振幅をもった点状電子ビームを通すために第1の開口部、絞り部、ビーム取出し通路、及びビーム放出用開口部の横断面は、電子ビームの各部を通過する際の横断面より大きく、しかもその横断面の形と対応した矩形形状を有している。
【0021】
本実施形態においては、絞り部28を真空チャンバー14とビーム取出し通路16との間に設けたので、仮にビーム取出し通路を経由して真空チャンバー内に向かう空気の進入を当該絞り部で阻止することができる。しかしながら、絞り部28はかならずしも設ける必要はなく、真空チャンバーの第1の開口17部をビーム取出し通路の第2の開口部19に直接接続するようにしてもよい。
【0022】
電子ビーム装置は、また、保持手段としての保持装置30と、当該保持装置30をハウジング6に対して相対的に移動させる駆動手段としての駆動装置32とを備えている。本実施形態においては、ハウジング6側を固定し、保持装置30をハウジング6に対して移動させるようになっている。もちろん、保持装置30を固定し、ハウジング6側を移動させることも可能である。保持装置30は、ハウジング6のビーム放出用開口部側に配置されていると共に、ビーム放出用開口部18から離間して配置されている。保持装置30には、ウェーハ8を保持したときに、ウェーハ8の表面に塗布された絶縁膜10と保持装置30の表面とがほぼ同一面上になるように、ウェーハ8を受け入れるための凹部33が形成されている。また、保持装置30は、ウェーハを真空力又は静電力で吸着できる、周知のチャック機構(図示せず)を備えている。
【0023】
保持装置30には、絶縁膜を昇温させるための昇温手段としてのヒーターを設けることができる。保持装置30にヒーターのような昇温手段を付属させると、絶縁膜の硬化処理機能を向上させることができる。というのは、絶縁膜を加温することにより水分除去等の熱処理ができるからである。
【0024】
ハウジング6と保持装置30と駆動装置32とは、大気中に配置されている。もっとも、ハウジング6と保持装置30と駆動装置32とを覆う筐体(図示せず)を設けて閉空間を構成し、この閉空間内に不活性ガスを充填して、ハウジング6と保持装置30と駆動装置32とを不活性ガスで覆うようにすることもできる。かかる構成にすれば、ビーム放出用開口部18付近を不活性ガス雰囲気にすることができ、大気中の酸素が絶縁膜に与える酸化等の悪影響を低減することができる。
【0025】
また、電子ビーム装置は、前記環状溝の外周側に不活性ガスを供給するための第2の環状溝を設け、さらに、この第2の環状溝に不活性ガスを供給するための手段としての不活性ガス供給ポンプと不活性ガスを貯蔵した不活性ガス貯蔵タンクを設けることもできる。
【0026】
不活性ガス供給ポンプは、第2の環状溝に連通しており、制御装置からの命令を受けて不活性ガス貯蔵タンクから不活性ガスを第2の環状溝に圧送する。
かかる構成にすれば、ハウジングと保持装置と駆動装置とを不活性ガスで覆うための筐体を設けることなく、ビーム放出用開口部付近を不活性ガス雰囲気にすることができる。
【0027】
駆動装置32は、保持装置30を図1で左右方向に往復運動させることができ、これによって、ハウジング6の端面12と保持装置30との間の隙間Tをほぼ一定に保持して、保持装置30をハウジングの端面12に対して移動させることができるようになっている。本実施形態においては、駆動装置32は、ハウジングの端面12と保持装置30との間の隙間Tを調整できるように、保持装置30を図1の上下方向に往復運動させることもできる。このような駆動装置32は、周知の任意のアクチュエーターから構成することが可能である。なお、本願発明においては、少なくとも、保持装置を図1で左右方向に往復運動させることができればよい。
【0028】
本実施形態においては、ウェーハ8及びウェーハを搭載する保持装置30を真空チャンバー外に置いたので、真空チャンバーの小型化を図ることができる。
本実施形態においては、電子ビーム発生装置4と駆動装置32などを制御するための制御装置34が設けられている。制御装置34からの指令に基づいて、電子ビーム発生装置4から矩形状の電子ビーム2が発生する。電子ビーム2が発生すると、制御装置34はこれに同期させて駆動装置32に指令を与え、駆動装置32は、ウェーハ8及び保持装置30を図中左方向に一定の速度で移動させる。これによって、矩形状の電子ビーム2でウェーハ8の絶縁膜10が走査され、絶縁膜10を均一に照射することができる。かかる往動時の処理が終了すると、制御装置34は駆動装置32に指令を与え、駆動装置32は、ウェーハ8及び保持装置30を図中右方向に一定の速度で移動させる。往動時の処理で絶縁膜10が十分に硬化しない場合には、かかる復動時の際、絶縁膜10にさらに電子ビーム2を照射することができる。復動時の処理が終了したとき、ウェーハ8の左端は電子ビームが照射される位置よりも少し右側の位置に戻る。そして、絶縁膜10が十分に硬化したと判断された場合、制御装置34は駆動装置32に指令を与え、駆動装置32はさらにウェーハ及び保持装置30を図中右方向に移動させ、ウェーハ8をハウジング6の端面12と対向しない位置までずらす。これにより、処理済みのウェーハを未処理のウェーハと交換することができる。
【0029】
制御装置34は、ウェーハに塗布された絶縁膜の種類や膜厚に応じて、電子ビームの加速電圧及びビーム電流、さらに駆動装置による保持装置の往復回数及び移動速度を制御することもできる。これにより、絶縁膜10をより均一に硬化させることが可能となる。
【0030】
ハウジング6の端面12には、ハウジングの端面12と保持装置30との間の隙間Tを検出するギャップセンサ36が設けられている。ギャップセンサ36からの信号は制御装置34に送信される。ギャップセンサ36から隙間Tに関する信号を受信した制御装置34は、隙間Tが予め決められた寸法と異なっていた場合、駆動装置32に指令を与えて保持装置30を上下に移動させて、隙間Tが所望の寸法になるように調整する。
【0031】
ハウジング6には、測定手段としての真空計38が取り付けられている。真空計38は、真空チャンバー14と連通して当該真空チャンバー内の圧力を測定することができる。真空計38からの信号も制御装置34に送信されるようになっている。真空計38からの信号を受信した制御装置34は、真空チャンバー内の圧力に基づき駆動装置32を制御し、これにより、隙間Tを制御することができる。例えば、制御装置34が真空計38からの信号に基づき、真空チャンバー内の圧力が高い、すなわち、真空チャンバー内の真空度が低いと判断した場合、ハウジングの端面12と保持装置30との間の隙間Tがより狭くなるように駆動装置32を制御して、保持装置30をハウジング端面12に近づけるようになっている。これにより、隙間Tから進入してくる空気量が抑制されて、真空チャンバー内の真空度の低下を阻止することができる。
【0032】
電子ビーム装置は、また、ビーム放出用開口部18が設けられたハウジングの端面12と保持装置30との間の隙間又は隙間Tに進入する空気を、ハウジング6を介して当該ハウジングの外側に排気する差動排気装置40を備えている。
【0033】
差動排気装置40は、ビーム放出用開口部18の周囲でハウジング6の端面12に設けられた1重の環状溝42と、ビーム取出し通路16と環状溝42とに連通してビーム取出し通路16内及び環状溝42内を真空引きする真空ポンプ装置44とを備えている。差動排気溝としての環状溝42は、ビーム取出し通路16と平行にハウジング内に伸長している。環状溝42は、また、図2に示されているように、ビーム放出用開口部18を囲んでおり、ビーム放出用開口部18の形状に合わせて矩形の形状を有している。このように形状を合わせた結果、ビーム放出用開口部18から環状溝42までの距離が実質的に均等になり、ビーム放出用開口部18の周囲で一様に差動排気を行えることができるようになっている。本実施形態において、真空ポンプ装置44は、ビーム取出し通路16を真空引きする第1の真空ポンプ46と、環状溝42を真空引きする第2の真空ポンプ48とから構成されている。第1の真空ポンプ46は、ハウジング6に形成された第1の排気通路50を介してビーム取出し通路16と連通している。第1の排気通路50は、ビーム取出し通路16から外側に向けて、ビーム取出し通路16に対して直交する方向に伸長している。第2の真空ポンプ48は、ハウジング6に形成された第2の排気通路52を介して環状溝42と連通している。第2の排気通路52は、環状溝42から外側に向けて、環状溝42に対して直交する方向に伸長している。また、第1の排気通路50と第2の排気通路52は互いに対して平行に伸長している。
【0034】
次に、本実施形態の作用を説明する。
真空チャンバー14は、電子ビームを発生させるのに必要な環境を保持するためのものである。この真空チャンバー14内の高真空を維持する為、制御装置34は、ターボ分子ポンプ等からなる高真空ポンプ20を作動させて真空チャンバー14内を常時排気した状態に維持する。さらに、制御装置34は、真空ポンプ装置44も作動させて、ビーム取出し通路16及び環状溝42内も常時排気した状態に維持する。
【0035】
また、制御装置34は、駆動装置32に指示を与えて保持装置30を移動させる。これに同期して、制御装置34は、電子ビーム発生装置4を作動させて、電子ビーム発生装置4は矩形状の電子ビーム2を発生する。電子ビーム発生装置で発生した電子ビーム2は、第1の開口部17、絞り部28、ビーム取出し通路16、及びビーム放出用開口部18を通り、移動してきた絶縁膜10を一端から他端にわたって順次照射する。電子ビーム2が到達する絶縁膜10付近には、隙間Tを介して外部からの空気の漏れ込む可能性が有り、絶縁膜10付近での圧力は真空チャンバー内の圧力に比べて高くなる。しかしながら、ハウジング6の端面12と絶縁膜10との間の隙間を最大100μm以下に抑え且つ差動排気溝42を介して第2の真空ポンプ48で外部から漏れ込む空気を排気することにより、ビーム放出用開口部18付近を電子ビーム2があまり減衰しない程度の真空度(10Torr)以下に保持することが可能になる。このように、本実施形態においては、絶縁膜10、ウェーハ8及びそれらを搭載する保持装置30と保持装置30を駆動する駆動装置32とを真空チャンバー内に収める必要がないので、真空チャンバーを小型にすることが可能になる。
【0036】
電子ビーム2は、上述したように、矩形とされており、その長手方向長さはウェーハ8の直径以上となっている。したがって、例えば、図1中左方向に片道だけ保持装置を移動させることにより、絶縁膜10の全面を電子ビーム2で照射することができる。矩形ビームは均一なビームであり、保持装置の移動速度を一定に保つことにより均一な電子ビームを絶縁膜10に照射することができる。これによって、絶縁膜の面に対してドーズ量の均一性を向上させることができる。
【0037】
また、制御装置34によって、保持装置30の移動速度と電子ビームのビーム電流を変更することにより、絶縁膜10に照射される電子エネルギー量すなわち電気量を制御することができる。すなわち、電子ビームのドーズ量の制御性を向上させることができる。
【0038】
さらに、制御装置34によって、電子ビームの加速電圧を変化させることにより、電子ビームが透過する絶縁膜10の厚み方向深さを変化させることができる。したがって、保持装置30を複数回往復させ、一方向に移動させるたびに電子ビームの加速電圧を変化させることにより、絶縁膜の深さ方向のドーズ量をより均一にして、絶縁膜の深さ方向の硬化の度合いをより均一にすることが可能になる。
【0039】
また、本実施形態においては、真空チャンバーを可動式にする必要が無いため、電子ビーム装置全体の構成を簡単にすることができる。
ウェーハ表面とウェーハチャック機構表面に生ずる段差は、差動排気シール性能に悪影響を及ぼすことが予想されるので、かかる段差を最小にするようにウェーハチャック機構の深さを決定することが好ましい。
【0040】
図1に示されるようにハウジング6の横方向の寸法(換言すれば、保持装置移動方向に沿ったハウジング6の寸法)であって、ハウジングの中心にあるカソード22からハウジングの外側面までの距離をAとし、凹部33の図中右端から保持装置30の図中右端までの距離をBとすると、A<Bの関係を満たすように構成することにより、差動排気装置によるシール性を確保することができる。すなわち、A<Bの関係を満たすことにより、保持装置が移動して絶縁膜10の図中右端が照射されたときに、ハウジング6が保持装置30の図中右端を越えることが防止される。
【0041】
また、凹部33の図中左端から保持装置30の図中左端までの距離をCとすると、2A<Cの関係を満たすように構成することが好ましい。この関係を満たすことにより、ウェーハ交換時、差動排気装置によるシール性を確保することができる。すなわち、ウェーハ交換時、ウェーハ8がハウジングの端面12と対向しないように、保持装置30が図中右側方向に向けて移動させられる。これにより、ウェーハ8の上側に空間ができ、ウェーハの交換が可能となる。このとき、2A<Cの関係を満たすことにより、ハウジング6が保持装置30の図中左端を越えることが防止される。
【0042】
隙間Tに進入した空気は大部分が差動排気溝42を経由して真空ポンプ48で排気されるが、残りの空気はビーム取出し通路16に漏れ込んでくる。通常は隙間Tを管理し1段の差動排気溝を設ければ、保持装置30の表面と差動排気溝42との間に画定される空間内の真空度は、電子ビームがあまり減衰しない程度のレベル(10Torr以下)にすることができる。しかしながら、電子ビーム発生装置4は更なる高真空環境に設置しなければならない為、ビーム取出し通路16は真空ポンプ46によって排気され、電子ビーム発生装置4が設置される真空チャンバー14内に漏れ込む空気を制限している。
【0043】
また、絞り部28を設けたことにより、空気の進入が絞り部28で抑制されて、真空チャンバー内の真空度の低下を防止することができる。
処理対象物、例えば、絶縁膜に電子線を照射する際には水分やハイドロカーボン等のコンタミの発生も考慮しなければならない。本実施形態においては、ビーム取出し通路16が真空ポンプ46で排気されているので、発生したコンタミが電子ビーム発生装置14に進入することを低減させ、信頼性の高い装置にすることが可能になる。さらに、絞り部28を設けたことにより、かかるコンタミの真空チャンバー内への進入をよりいっそう低減することができる。
【0044】
なお、図1の点線で示すように、停電時やポンプ故障時などに真空チャンバー14内の真空度の低下を真空計38で検知しビーム取り出し通路16を閉鎖する常時開のバルブ86を備えるようにしてもよい。かかるバルブ86は、ビーム取り出し通路16の第2の開口部19に設けることが好ましい。これにより、停電時やポンプ故障時に差動排気機能が失われて外部より空気が進入しようとしても、バルブ86により真空チャンバー内への進入は阻止され、水分やゴミなどによる真空チャンバー内の汚染を防止することができる。さらに、停電時やポンプ停止時の真空チャンバー内の圧力上昇により、電子ビーム発生装置14内のカソード22が焼損することを防止できる。
【0045】
上記実施形態においては、真空ポンプ装置を、ビーム取出し通路を真空引きする第1の真空ポンプと、環状溝を真空引きする第2の真空ポンプとから構成したが、真空ポンプ装置44を、図3及び図4に示すように、ブースタポンプ55とメインポンプ56とからなる複数の排気段を有する多段真空ポンプから構成してもよい。かかる変形例によれば、ビーム取出し通路16内がブースタポンプ55とメインポンプ56の両方で排気され、環状溝42が一方のメインポンプ56で排気される。なお、図3において示される矢印は、排出される空気の流れを示している。
【0046】
ブースタポンプ55は、ブースタポンプ入口58と、ブースタポンプ入口から入ってきた空気を圧送する一対のロータ60と、一対のロータ60のうち駆動側のロータを支持するシャフト57を介してかかる駆動側のロータを駆動する電動モーター62と、圧送される空気を排気するためのブースタポンプ出口64と、シャフト57を支持する軸受け59とを備えている。ブースタポンプ入口58は、第1の排気通路50を介してビーム取出し通路16に連通している。ブースタポンプ出口64は、連結通路66を介してメインポンプ入口68に連通している。連結通路66は、第2の排気通路52を介して環状溝42に連通している。
【0047】
メインポンプ56は、メインポンプ入口68から入ってきた空気を順次圧送する5対のローター70、72、74、76及び78(5つの排気段)と、これら5対のローターのうち各駆動側のロータを支持するシャフト83を介してかかる駆動側のロータを駆動する電動モーター80と、最終段の一対のロータ78で圧送された空気を大気に排出するメインポンプ出口82と、シャフト83を支持する軸受け85とを備えている。
【0048】
図4は、メインポンプ56の第3段目の一対のロータ74の概略断面図を示している。図中左側の駆動ロータ74aが電動モーター80によって駆動され、他方の従動ロータ74bは、電動モーター80のシャフト83の末端に設けられた一対のギヤ84を介して動力が伝えられて、駆動ロータ74aに同期して駆動されるようになっている。メインポンプ56の他の段のロータも同様の構成になっていると共に、ブースタポンプ55のロータも同様な構成になっている。
【0049】
以上の変形例によれば、1プラス5の合計6つの排気段を有する多段真空ポンプを備えており、ブースタポンプ55の排気段としてのロータ60は、ビーム取出し通路16に連通しており、メインポンプ56の第1段目(ブースタポンプとメインポンプとからなる多段真空ポンプとしては第2段目)としての一対のロータ70は、環状溝42に連通している。これによって、ビーム取出し通路16内がブースタポンプ55とメインポンプ56の両方で排気され、環状溝42が一方のメインポンプ56で排気される。したがって、2ヶ所(ビーム取出し通路と環状溝)の排気を1台の真空ポンプで行なうことができ、コスト低減を図ることができる。
【0050】
次に、本発明の第2の実施形態に係る電子ビーム装置を図5に基づいて説明する。なお、上記第1の実施形態に係る電子ビーム装置と同様な構成には同じ参照符号が付されており、これにより、同様な構成に関してはその説明を省略する。また、第2の実施形態に係る電子ビーム装置の内容を明瞭にするために、保持装置と駆動装置とは図5において省略されている。
【0051】
第2の実施形態に係る電子ビーム装置は、図5に示されているように、さらに、第2の電子ビーム2’を発生する第2の電子ビーム発生装置4’を備えている。ハウジング6は、ウェーハの移動方向に沿った方向においてその寸法が拡大されており、第2の電子ビーム発生装置4’を収容するための第2の真空チャンバー14’と、第2の電子ビーム発生装置4’から発生する第2の電子ビーム2’の通過を許容する第2のビーム取出し通路16’と、第2のビーム取出し通路16’を通ってきた第2の電子ビーム2’を絶縁膜10に向けて外部に放出することを許容する第2のビーム放出用開口部18’とを有している。
【0052】
第2のビーム放出用開口部18’も、ビーム放出用開口部18と同じように環状溝42の内側に形成されている。すなわち、環状溝42は、ビーム放出用開口部18及び第2のビーム放出用開口部18’の周囲を囲むようにハウジングの端面12に設けられている。
【0053】
第2のビーム取出し通路16’は、ハウジング6に形成された第3の排気通路53を介して第1の真空ポンプ46に連通している。第3の排気通路53は、第2のビーム取出し通路16’から外側に向けて、第2のビーム取出し通路16’に対して直交する方向に伸長している。このようにして、第1の真空ポンプ46により、ビーム取出し通路16だけでなく、第2のビーム取出し通路16’も真空引きされている。
【0054】
第2の真空チャンバー14’は、真空チャンバー14と共に、ハウジングの上部に設けられた高真空ポンプ20により高真空状態になるように真空引きされている。
【0055】
ビーム取出し通路16だけではなく、第2のビーム取出し通路16’にも、停電時やポンプ故障時などに当該第2のビーム取り出し通路を閉鎖するための常時開のバルブ(図示せず)を設けることができる。
【0056】
第2の実施形態においては、電子ビーム発生装置4と第2の電子ビーム発生装置4’を設けて異なる加速電圧およびビーム電流の電子ビーム2及び2’を絶縁膜10に同時に照射することができるので、絶縁膜10を硬化させるためのスループットを向上させることができる。
【0057】
次に、本発明の第3の実施形態に係る電子ビーム装置を図6に基づいて説明する。なお、上記第1の実施形態に係る電子ビーム装置と同様な構成には同じ参照符号が付されており、これにより、同様な構成に関してはその説明を簡略化するか又は省略する。
【0058】
第3の実施形態に係る電子ビーム装置も、第1の実施形態のものと同様に、矩形状の電子ビーム2を発生する電子ビーム発生装置4と、電子ビーム装置4を収容するための真空チャンバー14を有するハウジング106を備える。
【0059】
ハウジング106の形状は、第1の実施形態のものと異なっており、その下端側に一対の突出部14a、14bが設けられている。一対の突出部14a、14bは、互いに対して離れる方向に突出しており、一対の突出部14a、14bを貫通する貫通孔108が、ハウジング106に形成されている。
【0060】
ハウジング106は、さらに、電子ビーム発生装置4から発生する電子ビーム2の通過を許容するビーム取出し通路16と、ビーム取出し通路16を通ってきた電子ビーム2を絶縁膜10に向けて外部に放出することを許容するビーム放出用開口部18とを備えている。貫通孔108は、ビーム取出し通路16に対して直交方向に伸長しており、ハウジング106には、かかる貫通孔108を画定するための環状の内壁面110が形成されている。
【0061】
ビーム放出用開口部18は、内壁面110に形成されて、貫通孔108と連通している。したがって、ビーム取出し通路16は、ビーム放出用開口部18を介して貫通孔108と連通している。なお、内壁面110のうちビーム放出用開口部18が形成された図中上側部分がハウジングの端面を構成している。貫通孔108は、その一端側に設けられた、ハウジングの外部に連通する一方の開口部(図中右側)112と、その他端側に設けられた、ハウジングの外部に連通する他方の開口部(図中左側)114とを有している。
【0062】
真空チャンバー14は、電子ビーム発生装置4から発生する電子ビーム2の通過を許容する第1の開口部17を有している。ビーム取出し通路16は、真空チャンバー14の第1の開口部17に連通して電子ビームの通過を許容する第2の開口部19を有している。第2の開口部19はビーム取出し通路16を介してビーム放出用開口部18に連通している。
【0063】
ハウジング106は、さらに、一端が真空チャンバー14の第1の開口部17に連通し、他端がビーム取出し通路16の第2の開口部19に連通する絞り部28を備えている。矩形状の電子ビーム2を通すことができるように、第1の開口部17、絞り部28、ビーム取出し通路16、及びビーム放出用開口部18も、それらの横断面は、電子ビームの形と対応した矩形形状を有している
電子ビーム装置は、また、ハウジングの貫通孔108、一方の開口部112及び他方の開口部114を介して移動可能に配置された、ウェーハ8を保持する保持装置30を備えている。保持装置30は、貫通孔108の長手方向の長さよりも長くなっており、一方の開口部112及び他方の開口部114をそれぞれ越えて伸長している。保持装置30は、ウェーハ8を保持したときに、ウェーハ表面に塗布された絶縁膜10と保持装置30の表面とがほぼ同一面上になるように、ウェーハを受け入れるための凹部33を備えている。保持装置30は、ウェーハを真空力又は静電力で吸着できる、周知のチャック機構(図示せず)を備えている。保持装置30には、絶縁膜を昇温させるためのヒーターを設けることができる。
【0064】
電子ビーム装置は、さらに、ハウジングの内壁面110と保持装置30との間の隙間T’をほぼ一定に保持して、保持装置30を移動させることが可能な駆動手段としての駆動装置132を備えている。駆動装置132は、保持装置30を図中水平方向に往復運動させることができると共に、ハウジングの内壁面110と保持装置30との間の隙間T’をほぼ一定に保持して、保持装置30をハウジングの内壁面110に対して移動させることができる。第3の実施形態においては、隙間T’は、環状の内壁面110と保持装置30との間、すなわち、保持装置30の周囲に環状に形成されている。ハウジング106と保持装置30と駆動装置132とは、所定のガスとして例えば空気が存在する空間に配置されている。
【0065】
電子ビーム装置は、さらに、ハウジングの下端116と電子ビーム装置取付け面118との間に配置された隙間調整手段としての隙間調整装置120を備えている。隙間調整装置120は、ハウジング106をビーム取出し通路の方向、すなわち、図中上下方向に沿って移動させて、貫通孔108を画定するハウジングの内壁面110と保持装置30との間の隙間T’を調整することができる。
【0066】
電子ビーム装置は、さらに、電子ビーム発生装置4と駆動装置132と隙間調整装置120などを制御するための制御装置34を備えている。この制御装置34により、ウェーハに塗布された絶縁膜の種類や膜厚に応じ、電子ビームの加速電圧及びビーム電流、さらに駆動装置による保持装置の往復回数及び移動速度を変更制御することができる。また、制御装置34により隙間調整装置120をコントロールすることによって、隙間T’を所望の値に調整することができる。
【0067】
ハウジング106の内壁面110には、ハウジングの内壁面110と保持装置30との間の隙間T’を検出するギャップセンサ36が設けられている。ギャップセンサ36からの信号は制御装置34に送信される。ギャップセンサ36から隙間T’に関する信号を受信した制御装置34は、隙間T’が予め決められた寸法と異なっていた場合、隙間調整装置120に指令を与えてハウジング106を上下に移動させて、隙間T’が所望の寸法になるように調整する。
【0068】
ハウジング106には、真空チャンバー内の圧力を測定する真空計38が取り付けられている。真空計38からの信号も制御装置34に送信されるようになっている。真空計38からの信号を受信した制御装置34は、真空チャンバー内の圧力に基づき隙間調整装置120を制御し、これにより、隙間T’を制御することができるようになっている。
【0069】
電子ビーム装置は、さらに、ビーム放出用開口部18が設けられたハウジングの内壁面110と保持装置30との間の隙間T’に進入する空気を、ハウジング106を介して当該ハウジングの外側に排気する差動排気装置140を備えている。
【0070】
差動排気装置140は、保持装置30の周辺を囲むように内壁面110のうち一方の開口部112側に形成された第1の環状溝122と、保持装置30の周辺を囲むように内壁面110のうち他方の開口部114側に形成された第2の環状溝124と、ビーム取出し通路16と第1及び第2の環状溝122、124とに連通する真空ポンプ装置44とを備えている。第1の環状溝122と第2の環状溝124は、互いに対して平行になるように配置されている。真空ポンプ装置44は、ビーム取出し通路16を真空引きする第1の真空ポンプ46と、第1及び第2の環状溝122、124を真空引きする第2の真空ポンプ48とから構成されている。第1の環状溝122は、ハウジング106に形成された図示しない通路を通って第2の環状溝124に連通されており、第2の真空ポンプ48により真空引きされる。
【0071】
貫通孔108を画定するハウジングの内壁面110には、また、第3の環状溝134が形成されている。第3の環状溝134は、第1の環状溝122より一方の開口部112側近くに第1の環状溝122と平行になるように配置されている。第3の環状溝134は、保持装置30の周辺を囲むように形成されている。
【0072】
貫通孔108を画定するハウジングの内壁面110には、また、第4の環状溝136が形成されている。第4の環状溝136は、第2の環状溝124より他方の開口部114側近くに第2の環状溝124と平行になるように配置されている。第4の環状溝136も、保持装置30の周辺を囲むように形成されている。第4の環状溝136は、ハウジング106に形成された図示しない通路を介して、第3の環状溝134に連通している。第1の環状溝122と第3の環状溝134は、一方の突出部14a側に設けられており、第2の環状溝124と第4の環状溝136は、他方の突出部14b側に設けられている。
【0073】
電子ビーム装置は、また、第3の環状溝134と第4の環状溝136とに不活性ガスを供給する不活性ガス供給手段としての、不活性ガス供給ポンプ138と不活性ガスを貯蔵した不活性ガス貯蔵タンク141とを備えている。不活性ガス供給ポンプ138は、第3の環状溝134に連通しており、さらに、第3の環状溝134と上述した図示しない通路とを介して第4の環状溝136に連通している。このようにして、不活性ガス供給ポンプ138は、制御装置34からの命令を受けて、不活性ガス貯蔵タンク141から不活性ガスを第3の環状溝134と第4の環状溝136とに圧送する。
かかる構成にすればハウジング106の両開口部112、114近くで内壁面側(すなわち、第3の環状溝134と第4の環状溝136)から保持装置30に向けて環状の隙間T’全体に不活性ガスが供給され、不活性ガスによるガスカーテンが隙間T’全体に形成されて、空気のハウジング内への進入が低減される。これにより、ビーム放出用開口部18付近を不活性ガス雰囲気にすることができ、大気中の酸素が絶縁膜に与える酸化等の悪影響を低減することができる。
【0074】
なお、第3の実施形態においても、真空ポンプ装置44を、図3及び図4に示した複数の排気段を有する多段真空ポンプから構成することができるし、また、ビーム取出し通路を真空引きする第1の真空ポンプと第1の環状溝を真空引きする第2の真空ポンプと、第2の環状溝を真空引きする第3の真空ポンプから構成することもできる。但し、この場合は、第1の環状溝と第2の環状溝は連通されていない。さらに第3の実施例においても、停電時やポンプ故障時などにビーム取り出し通路16を閉鎖する常時開のバルブを設けることができる。
【0075】
次に、本発明の第4の実施形態に係る荷電粒子ビームシステムを図8に基づいて説明する。なお、上記各実施形態と同様な構成には同じ参照符号を付与し、その詳細な説明は省略する。
【0076】
第4の実施形態に係る荷電粒子ビームシステムとしての電子ビームシステムは、複数の絶縁膜に電子ビームを順次照射してそれぞれを硬化処理するためのもので、環状に配置された3つの電子ビーム装置、すなわち、第1、第2及び第3の電子ビーム装置200、202、204を備えている。第1、第2及び第3の電子ビーム装置200、202、204は、固定状態に設けられている。もちろん、3つ以上の電子ビーム装置を環状に配置してもよい。
【0077】
各電子ビーム装置200、202、204は、上記第1ないし第2の実施形態に記載された電子ビーム装置の任意の組み合わせで構成することができる。例えば、3つの電子ビーム装置200、202、204を全て第1実施形態に記載された電子ビーム装置としてもよい。
【0078】
例えば、3つ全てを第1実施形態に記載された電子ビーム装置とした場合、電子ビーム装置の各々は、電子ビームを発生する電子ビーム発生装置と、電子ビーム発生装置を収容するための真空チャンバーと、電子ビーム発生装置から発生する電子ビームの通過を許容するビーム取出し通路と、ビーム取出し通路を通ってきた電子ビームを絶縁膜10に向けて外部に放出することを許容するビーム放出用開口部とを有するハウジング6とを備えている。
【0079】
電子ビームシステムは、電子ビーム装置の数に合わせた3つのウェーハ、すなわち第1、第2及び第3のウェーハ206、208、210を処理できるようになっており、各ウェーハ206、208、210を保持する3つの保持装置(図示せず)を備えている。各保持装置は、例えば、上記第1の実施形態に示されたものと同じ構成となっており、同様に、ハウジングのビーム放出用開口部側で、ビーム放出用開口部から離間して配置されている。
【0080】
電子ビームシステムは、また、各保持装置を同期させて各電子ビーム装置に対して相対的に移動させる駆動装置300を備えている。各保持装置は、駆動装置300上に固定状態に搭載されている。駆動装置300は、平坦状で且つ円形リング状のベルトコンベヤーから構成されており、制御装置211からの指令を受けて回転し、3つのウェーハを同時に周方向に移動させる。したがって、第1のウェーハ206が第1の電子ビーム装置200で処理を受けているとき、第2のウェーハ208が第2の電子ビーム装置202で処理を受け、第3のウェーハ210が第3の電子ビーム装置204で処理を受けることができるようになっている。
【0081】
電子ビームシステムは、空気が存在する空間に配置されており、電子ビーム装置200、202、204の各々は、差動排気装置を備えている。差動排気装置は、ビーム放出用開口部が設けられたハウジングの端面と保持装置あるいは駆動装置との間の隙間を通って進入する空気を、ハウジング6を介してハウジングの外側に排気する。
【0082】
第1、第2及び第3の各電子ビーム装置に設けられた電子ビーム発生装置は、それぞれ異なった加速電圧およびビーム電流の電子ビームを発生させることができるようになっており、例えば、第1のウェーハ206は、第1の電子ビーム装置200で弱レベルのエネルギーを持った電子ビームによる処理を受け、次いで、第2の電子ビーム装置202で中レベルのエネルギーを持った電子ビームによる処理を受け、最後に、第3の電子ビーム装置204で強レベルのエネルギーを持った電子ビームによる処理を受けることができる。このように、3つの電子ビーム装置で異なった加速電圧およびビーム電流の電子ビームを絶縁膜に照射すると、所望の硬度を持った絶縁膜を効率的に生産することができる。
【0083】
第1の電子ビーム装置200と第3の電子ビーム装置204の間のほぼ中間位置にウェーハを着脱する着脱部400が設けられている。すなわち、3つの電子ビーム装置で処理を受けたウェーハは順次着脱部400で保持装置から外される。そして、外された処理済みのウェーハに代わって、未処理の新たなウェーハが着脱部で保持装置に取り付けられる。
【0084】
【発明の効果】
以上のように、本願発明によれば、荷電粒子ビーム装置を大気中に配置した場合、ハウジングの端面と保持手段との間の隙間に進入した空気は、ほとんどが差動排気装置により大気中に排気される。これにより、ビーム放出用開口部及びその周辺は所定の真空度に保たれ、ビーム放出用開口部から処理対象物に向けて放出される荷電粒子ビームをほとんど減衰させることなく、処理対象物に照射することができる。さらに、本願発明によれば、荷電粒子ビーム発生装置に従来必要であった薄膜を使用する必要がなくなったことにより、薄膜の劣化にともなう小型管の交換がなくなり、ランニングコストの低減も図ることができる。
【0085】
また、保持手段をハウジングの端面に対して相対的に移動させるようにしたことから、処理対象物を一端から他端にわたって荷電粒子ビームで順次照射することにより、処理対象物の表面を均一に照射することが可能になる。例えば、処理対象物として絶縁膜を採用した場合でも、絶縁膜をその面内において且その厚み方向において均一に硬化させることができる。
【0086】
また、差動排気装置を備えることにより、保持手段を真空チャンバーの外に置くことができ、これによって、真空チャンバーの小型化を図ることができる。さらに、真空チャンバーを固定し、保持手段を動かすことにより、真空チャンバーの簡素化を図ることもできる。
【0087】
また、保持装置を荷電粒子ビームに対して往復運動を行なわせる際に、荷電粒子ビーム発生装置から発生するビーム電流と保持装置の移動速度とを制御するだけで、ドーズ量すなわち処理対象物への照射量が制御できる。また、これにより、荷電粒子ビームのドーズ量の制御性を向上させることができる。また、保持手段を移動させる際に荷電粒子ビームの加速電圧を変化(制御)させることにより、処理対象物の深さ方向の改質制御を行なうことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本願発明の第1の実施形態に係る電子ビーム処理装置の概略部分断面図である。
【図2】図2は、図1の線II−IIで破断した概略断面図である。
【図3】図3は、真空ポンプ装置の別の実施形態を示す概略側面図である。
【図4】図4は、図3の線III−IIIで破断した概略断面図である。
【図5】図5は、本発明の第2の実施形態に係る電子ビーム装置の概略部分断面図である。
【図6】図6は、本発明の第3の実施形態に係る電子ビーム装置の概略部分断面図である。
【図7】図7は、図6に示されたハウジングの斜視図である。
【図8】図8は、本発明の第4の実施形態に係る電子ビーム装置の概略図である。
【符号の説明】
2 電子ビーム 4 電子ビーム発生装置
6 ハウジング 8 ウェーハ
10 絶縁膜 12 端面
14 真空チャンバー 16 ビーム取出し通路
17 第1の開口部 18 ビーム放出用開口部
19 第2の開口部 20 高真空ポンプ
22 カソード 24 アノード
26 レンズ 28 絞り部
30 保持装置 32 駆動装置
33 凹部 34 制御装置
36 ギャップセンサ 38 真空計
40 差動排気装置 42 環状溝
44 真空ポンプ装置 46 第1の真空ポンプ
48 第2の真空ポンプ 50 第1の排気通路
52 第2の排気通路 53 第3の排気通路
55 ブースタポンプ 56 メインポンプ
57 シャフト 58 ブースタポンプ入口
59 軸受け 60 ロータ
62 電動モーター 64 ブースタポンプ出口
66 連結通路 68 メインポンプ入口
70 ローター 72 ローター
74 ローター 76 ローター
78 ローター 80 電動モーター
82 メインポンプ出口
74a 駆動ロータ 74b 従動ロータ
83 シャフト
84 ギヤ 85 軸受け
86 常時開のバルブ
2’ 第2の電子ビーム 4’ 第2の電子ビーム発生装置
14’ 第2の真空チャンバー 16’ 第2のビーム取出し通路
18’ 第2のビーム放出用開口部
106 ハウジング
14a 突出部 14b 突出部
108 貫通孔 110 環状の内壁面
112 一方の開口部 114 他方の開口部
116 ハウジングの下端 118 電子ビーム装置取付け面
120 隙間調整装置 122 第1の環状溝
124 第2の環状溝 132 駆動装置
134 第3の環状溝 136 第4の環状溝
138 不活性ガス供給ポンプ 140 差動排気装置
141 不活性ガス貯蔵タンク 200 第1の電子ビーム装置
202 第2の電子ビーム装置 204 第3の電子ビーム装置
206 第1のウェーハ 208 第2のウェーハ
210 第3のウェーハ 211 制御装置
300 駆動装置 400 着脱部

Claims (40)

  1. 処理対象物に荷電粒子ビームを照射して所定の処理を行う荷電粒子ビーム装置であって、
    荷電粒子ビームを発生する荷電粒子ビーム発生装置と、
    前記荷電粒子ビーム発生装置を収容するための真空チャンバーと、前記荷電粒子ビーム発生装置から発生する前記荷電粒子ビームの通過を許容するビーム取出し通路と、当該ビーム取出し通路を通ってきた前記荷電粒子ビームを前記処理対象物に向けて外部に放出することを許容するビーム放出用開口部とを有するハウジングと、
    前記ハウジングの前記ビーム放出用開口部側に、前記ビーム放出用開口部から離間して配置された、前記処理対象物を保持するための保持手段と、
    前記保持手段を前記ハウジングに対して相対的に移動させる駆動手段とを備え、
    前記ハウジングと前記保持手段と前記駆動手段とは、所定のガスが存在する空間に配置されており、
    前記ビーム放出用開口部が設けられた前記ハウジングの端面と前記保持手段との間の隙間に進入する前記ガスを、前記ハウジングを介して当該ハウジングの外側に排気する差動排気装置を備え、
    前記荷電粒子ビーム発生装置は、荷電粒子ビームを発生するカソードと、荷電粒子ビーム放出方向下流側に設けられたアノードと、該アノードを通った荷電粒子ビームを集光するレンズとを備えており、
    前記保持手段には、前記処理対象物を受け入れるための凹部が形成されており、
    前記保持手段の移動方向に沿った、前記ハウジングの中心にある前記カソードから前記ハウジングの外側面までの距離Aと、前記凹部の一端から前記保持手段の同方向側の一端までの距離Bとが、A<Bの関係を満たすように構成されていることを特徴とする荷電粒子ビーム装置。
  2. 請求項1に記載の荷電粒子ビーム装置において、
    前記凹部の他方の端から前記保持手段の他方の端までの距離Cと、前記距離Aとが、2A<Cの関係を満たすように構成されていることを特徴とする荷電粒子ビーム装置。
  3. 請求項1又は2に記載の荷電粒子ビーム装置において、
    前記真空チャンバーは、前記荷電粒子ビーム発生装置から発生する前記荷電粒子ビームの通過を許容する第1の開口部を有しており、
    前記ビーム取出し通路は、前記真空チャンバーの第1の開口部に連通して前記荷電粒子ビームの通過を許容する第2の開口部を有しており、前記第2の開口部は前記ビーム取出し通路を介して前記ビーム放出用開口部に連通していることを特徴とする荷電粒子ビーム装置。
  4. 請求項項に記載の荷電粒子ビーム装置において、
    前記ハウジングは、さらに、一端が前記真空チャンバーの前記第1の開口部に連通し、他端が前記ビーム取出し通路の前記第2の開口部に連通する絞り部を備えたことを特徴とする荷電粒子ビーム装置。
  5. 請求項項に記載の荷電粒子ビーム装置において、
    前記差動排気装置は、前記ビーム放出用開口部の周囲で前記ハウジングの端面に設けられた少なくとも1重の環状溝と、
    前記ビーム取出し通路と前記環状溝とに連通して、前記ビーム取出し通路内及び前記環状溝内を真空引きする真空ポンプ装置とを備えたことを特徴とする荷電粒子ビーム装置。
  6. 請求項1ないし5のいずれか1項に記載の荷電粒子ビーム装置において、
    前記駆動手段は、前記保持手段を往復運動させることができると共に、前記ハウジングの端面と前記保持手段との間の隙間を一定に保持して、前記保持手段を前記ハウジングの端面に対して相対的に移動させることができることを特徴とする荷電粒子ビーム装置。
  7. 請求項1ないし6のいずれか1項に記載の荷電粒子ビーム装置において、
    さらに、荷電粒子ビームの加速電圧およびビーム電流を変更する制御装置を備えたことを特徴とする荷電粒子ビーム装置。
  8. 請求項7に記載の荷電粒子ビーム装置において、
    さらに、前記真空チャンバー内の圧力を測定する測定手段と、前記隙間を検出する検出手段とを備え、
    前記駆動手段は、前記保持手段を移動させて前記ハウジングの端面と前記保持手段との間の隙間を調整することができ、
    前記制御装置は、前記測定手段からの前記真空チャンバー内の圧力と前記検出手段からの結果とに基づき前記駆動手段を制御し、これにより、前記隙間を制御することを特徴とする荷電粒子ビーム装置。
  9. 請求項1ないし8のいずれか1項に記載の荷電粒子ビーム装置において、
    前記保持手段は、前記処理対象物を真空力又は静電力で吸着できるチャック機構を備えたことを特徴とする荷電粒子ビーム装置。
  10. 請求項1ないし9のいずれか1項に記載の荷電粒子ビーム装置において、
    前記保持手段は、前記処理対象物を昇温する昇温手段を備えたことを特徴とする荷電粒子ビーム装置。
  11. 請求項1ないし10のいずれか1項に記載の荷電粒子ビーム装置において、
    前記保持手段の前記凹部は、前記保持手段が前記処理対象物を保持したときに前記処理対象物と前記保持手段の表面が同一面上になるように、前記処理対象物を受け入れることを特徴とする荷電粒子ビーム装置。
  12. 請求項1ないし11のいずれか1項に記載の荷電粒子ビーム装置において、
    さらに、前記ハウジングと前記保持手段と前記駆動手段とを覆う筐体を備え、当該筐体により前記ガスが存在する空間を形成し、前記ガスを不活性ガスから構成し、前記ハウジングと前記保持手段と前記駆動手段とを前記不活性ガスで覆うようにしたことを特徴とする荷電粒子ビーム装置。
  13. 請求項1ないし12のいずれか1項に記載の荷電粒子ビーム装置において、
    さらに、前記真空チャンバが高真空状態になるように真空引きする高真空ポンプを備えたことを特徴とする荷電粒子ビーム装置。
  14. 請求項項に記載の荷電粒子ビーム装置において、
    前記真空ポンプ装置は、前記ビーム取出し通路を真空引きする第1の真空ポンプと、前記環状溝を真空引きする第2の真空ポンプとを備えていることを特徴とする荷電粒子ビーム装置。
  15. 請求項項に記載の荷電粒子ビーム装置において、
    前記真空ポンプ装置は、複数の排気段を有する多段真空ポンプを備えており、
    複数の排気段のうち一方の排気段は、前記ビーム取出し通路に連通しており、
    他方の排気段は、前記環状溝に連通していることを特徴とする荷電粒子ビーム装置。
  16. 請求項1ないし15のいずれか1項に記載の荷電粒子ビーム装置において、
    さらに、停電時または前記真空ポンプ故障時に前記ビーム取り出し通路を閉鎖する常時開のバルブを備えたことを特徴とする荷電粒子ビーム装置。
  17. 請求項項に記載の荷電粒子ビーム装置において、
    前記荷電粒子ビーム発生装置は、矩形状の荷電粒子ビームを発生することができ、前記ビーム取出し通路と前記絞り部は、前記矩形の荷電粒子ビームに対応した矩形状となっていることを特徴とする荷電粒子ビーム装置。
  18. 請求項に記載の荷電粒子ビーム装置において、
    前記荷電粒子ビーム発生装置は、点状の荷電粒子ビームを処理対象物の進行方向に対し垂直方向に振ることができ、前記ビーム取出し通路と前記絞り部は、前記荷電粒子ビームの振幅に対応した矩形状となっていることを特徴とする荷電粒子ビーム装置。
  19. 請求項1ないし18のいずれか1項に記載の荷電粒子ビーム装置において、
    前記処理対象物は、樹脂、化合物、レジスト、層間絶縁膜、及び医療器具からなる群から選択されたことを特徴とする荷電粒子ビーム装置。
  20. 請求項に記載の荷電粒子ビーム装置において、
    前記ハウジングの端面に設けられた前記環状溝の外周側に別の環状溝を備え、前記荷電粒子ビーム発生装置は、この外周側の環状溝に不活性ガスを供給する不活性ガス供給手段を備えたことを特徴とする荷電粒子ビーム装置。
  21. 処理対象物に荷電粒子ビームを照射して所定の処理を行う荷電粒子ビーム装置であって、
    荷電粒子ビームを発生する荷電粒子ビーム発生装置と、
    前記荷電粒子ビーム発生装置を収容するための真空チャンバーを有するハウジングとを備え、
    前記ハウジングは、さらに、
    前記荷電粒子ビーム発生装置から発生する前記荷電粒子ビームの通過を許容するビーム取出し通路と、
    当該ビーム取出し通路を通ってきた前記荷電粒子ビームを前記処理対象物に向けて外部に放出することを許容するビーム放出用開口部と、
    前記ビーム取出し通路に対して直交方向に伸長する貫通孔を画定する内壁面とを備えており、前記ビーム放出用開口部は、前記内壁面に設けられて、前記貫通孔と連通しており、
    前記貫通孔は、その一端側に設けられた、当該ハウジングの外部に連通する一方の開口部と、その他端側に設けられた、当該ハウジングの外部に連通する他方の開口部とを有しており、
    前記荷電粒子ビーム装置は、また、
    前記ハウジングの貫通孔、一方の開口部及び他方の開口部を介して移動可能に配置された、前記処理対象物を保持する保持手段と、
    前記ハウジングの内壁面と前記保持手段との間の隙間を一定に保持して、前記保持手段を移動させる駆動手段とを備え、
    前記ハウジングと前記保持手段と前記駆動手段とは、所定のガスが存在する空間に配置されており、
    前記ビーム放出用開口部が設けられた前記ハウジングの内壁面と前記保持手段との間の隙間に進入する前記ガスを、前記ハウジングを介して当該ハウジングの外側に排気する差動排気装置を備え、
    前記差動排気装置は、
    前記保持手段を囲むように該内壁面のうち前記一方の開口部側に形成された第1の環状溝と、
    前記保持手段を囲むように該内壁面のうち前記他方の開口部側に形成された第2の環状溝と、
    前記ビーム取出し通路と前記第1及び第2の環状溝とに連通する真空ポンプ装置とを備えたことを特徴とする荷電粒子ビーム装置。
  22. 請求項21に記載の荷電粒子ビーム装置において、
    前記真空チャンバーは、前記荷電粒子ビーム発生装置から発生する前記荷電粒子ビームの通過を許容する第1の開口部を有しており、
    前記ビーム取出し通路は、前記真空チャンバーの第1の開口部に連通して前記荷電粒子ビームの通過を許容する第2の開口部を有しており、前記第2の開口部は前記ビーム取出し通路を介して前記ビーム放出用開口部に連通していることを特徴とする荷電粒子ビーム装置。
  23. 請求項22に記載の荷電粒子ビーム装置において、
    前記ハウジングは、さらに、一端が前記真空チャンバーの前記第1の開口部に連通し、他端が前記ビーム取出し通路の前記第2の開口部に連通する絞り部を備えたことを特徴とする荷電粒子ビーム装置。
  24. 請求項21ないし23のいずれか1項に記載の荷電粒子ビーム装置において、
    前記駆動手段は、前記保持手段を往復運動させることができると共に、前記ハウジングの内壁面と前記保持手段との間の隙間を一定に保持して、前記保持手段を前記ハウジングの内壁面に対して相対的に移動させることができることを特徴とする荷電粒子ビーム装置。
  25. 請求項21ないし24のいずれか1項に記載の荷電粒子ビーム装置において、
    さらに、荷電粒子ビームの加速電圧およびビーム電流を変更する制御装置を備えたことを特徴とする荷電粒子ビーム装置。
  26. 請求項21ないし25のいずれか1項に記載の荷電粒子ビーム装置において、
    さらに、前記ハウジングを前記ビーム取出し通路の方向に沿って移動させて、前記貫通孔を画定するハウジングの内壁面と前記保持手段との間の隙間を調整する隙間調整手段を備えたことを特徴とする荷電粒子ビーム装置。
  27. 請求項26に記載の荷電粒子ビーム装置において、
    さらに、前記真空チャンバー内の圧力を測定する測定手段と、前記隙間を検出する検出手段とを備え、
    前記制御装置は、前記測定手段からの前記真空チャンバー内の圧力と前記検出手段からの結果とに基づき前記隙間調整手段を制御し、これにより、前記隙間を制御することを特徴とする荷電粒子ビーム装置。
  28. 請求項21ないし27のいずれか1項に記載の荷電粒子ビーム装置において、
    前記保持手段は、前記処理対象物を真空力又は静電力で吸着できるチャック機構を備えたことを特徴とする荷電粒子ビーム装置。
  29. 請求項21ないし28のいずれか1項に記載の荷電粒子ビーム装置において、
    前記保持手段は、前記処理対象物を昇温する昇温手段を備えたことを特徴とする荷電粒子ビーム装置。
  30. 請求項21ないし29のいずれか1項に記載の荷電粒子ビーム装置において、
    前記保持手段は、前記保持手段が前記処理対象物を保持したときに前記処理対象物と前記保持手段の表面が同一面上になるように、前記処理対象物を受け入れるための凹部を備えていることを特徴とする荷電粒子ビーム装置。
  31. 請求項21ないし30のいずれか1項に記載の荷電粒子ビーム装置において、
    さらに、前記ハウジングと前記保持手段と前記駆動手段とを覆う筐体を備え、当該筐体により前記ガスが存在する空間を形成し、前記ガスを不活性ガスから構成し、前記ハウジングと前記保持手段と前記駆動手段とを前記不活性ガスで覆うようにしたことを特徴とする荷電粒子ビーム装置。
  32. 請求項21ないし31のいずれか1項に記載の荷電粒子ビーム装置において、
    さらに、前記真空チャンバが高真空状態になるように真空引きする高真空ポンプを備えたことを特徴とする荷電粒子ビーム装置。
  33. 請求項21ないし32のいずれか1項に記載の荷電粒子ビーム装置において、
    前記真空ポンプ装置は、前記ビーム取出し通路を真空引きする第1の真空ポンプと、前記第1及び第2の環状溝を真空引きする第2の真空ポンプとを備えていることを特徴とする荷電粒子ビーム装置。
  34. 請求項21ないし32のいずれか1項に記載の荷電粒子ビーム装置において、
    前記真空ポンプ装置は、前記ビーム取出し通路を真空引きする第1の真空ポンプと、前記第1の環状溝を真空引きする第2の真空ポンプと、前記第2の環状溝を真空引きする第3の真空ポンプとを備えていることを特徴とする荷電粒子ビーム装置。
  35. 請求項21ないし32のいずれか1項に記載の荷電粒子ビーム装置において、
    前記真空ポンプ装置は、複数の排気段を有する多段真空ポンプを備えており、
    複数の排気段のうち一方の排気段は、前記ビーム取出し通路に連通しており、
    他方の排気段は、前記第1及び第2の環状溝に連通していることを特徴とする荷電粒子ビーム装置。
  36. 請求項21ないし35のいずれか1項に記載の荷電粒子ビーム装置において、
    さらに、停電時または前記真空ポンプ装置の故障時に前記ビーム取り出し通路を閉鎖する常時開のバルブを備えたことを特徴とする荷電粒子ビーム装置。
  37. 請求項23項に記載の荷電粒子ビーム装置において、
    前記荷電粒子ビーム発生装置は、矩形状の荷電粒子ビームを発生することができ、前記ビーム取出し通路と前記絞り部は、前記矩形の荷電粒子ビームに対応した矩形状となっていることを特徴とする荷電粒子ビーム装置。
  38. 請求項23に記載の荷電粒子ビーム装置において、
    前記荷電粒子ビーム発生装置は、点状の荷電粒子ビームを処理対象物の進行方向に対し、垂直方向に振ることができ、前記ビーム取出し通路と、前記絞り部は、前記荷電粒子ビームの振幅に対応した矩形状となっていることを特徴とする荷電粒子ビーム装置。
  39. 請求項21ないし38のいずれか1項に記載の荷電粒子ビーム装置において、
    前記処理対象物は、樹脂、化合物、レジスト、層間絶縁膜、及び医療器具からなる群から選択されたことを特徴とする荷電粒子ビーム装置。
  40. 請求項21ないし39のいずれか1項に記載の荷電粒子ビーム装置において、
    前記貫通孔を画定するハウジングの内壁面は、また、前記第1の環状溝より前記一方の開口部側で前記保持手段を囲むように該内壁面に形成された第3の環状溝と、前記第2の環状溝より前記他方の開口部側で前記保持手段を囲むように該内壁面に形成された第4の環状溝とを備え、
    前記荷電粒子ビーム装置は、さらに、前記第3の環状溝と前記第4の環状溝とに不活性ガスを供給する不活性ガス供給手段を備えたことを特徴とする荷電粒子ビーム装置。
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