JP4371801B2 - 石膏ボード廃材からα型半水石膏を製造する方法および石膏ボード用原紙の回収方法 - Google Patents

石膏ボード廃材からα型半水石膏を製造する方法および石膏ボード用原紙の回収方法 Download PDF

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本発明は、石膏ボード廃材のリサイクル技術に関する。詳しくは、石膏ボード廃材から石膏ボード等石膏建材製造の際の原料として有効に利用できるα型半水石膏を製造する方法を提供するものである。
石膏ボードは防耐火性、遮音性等を有し経済的であることから建築用資材として多用されている。このような石膏ボードは石膏を主体とする芯材を石膏ボード用原紙で被覆した板状の構造となっており、製品厚さ12.5mmの石膏ボードでは石膏量約95重量%(以下、%と略称する。)、原紙量約5%の割合で構成されている。この石膏ボードは建築物のいたるところに使用されており、建築現場においては、廃板や使用部位の寸法に合わせて切断された端材等(以下、廃材といい、建築現場にて発生するものを特に「新築廃材」という。)が発生している。
新築廃材の発生量は建築時の使用量の約10%強とも云われ、石膏ボードの年間使用量が約500万トンであることを考えると約50万トン前後の新築廃材が産業廃棄物として発生している。また、既存建築物の解体により発生する石膏ボード廃材(以下、「解体廃材」という)があり、その発生量は日本石膏ボード工業会の見積りによれば2002年度で約90万トンであり、今後その量は増加すると見られている。
これらのうち、新築廃材についてはリサイクルシステムが確立されており、その発生量の約50%は新たな石膏ボード製造の原料に利用されている。残りの新築廃材および解体廃材については、他の産業廃棄物同様埋め立て等により処分されているが、産業廃棄物の埋め立て等による処分は地中の埋設状態において有機物による嫌気性発酵等を生じる恐れ及び処分場の受入れ容量等の事情から社会的な解決すべき問題にされている。
一方、我が国では2002年5月30日から建設リサイクル法が施行されており、現在特定建設資材には指定されていないものの石膏ボード廃材に関しても、これを産業廃棄物として処分することなく有効に利用できる処理方法の開発が切望されている。
以上のように、今後廃材リサイクル率の増加が見込まれているが、現在の石膏ボード廃材の原料石膏へのリサイクルは、粉砕工程、分離工程などを経て得られる二水石膏を主成分とした石膏組成物を、天然二水石膏や化学二水石膏に混合して、通常の石膏ボード用原料として使用することにより行われている。
しかし、石膏ボード廃材の石膏分は二水石膏であり、これを破砕や粉砕して、石膏部分と原紙部分を分離しようとしても、二水石膏が針状結晶として、原紙部分にしっかりと食い込んでいるため、得られる石膏粉には多量の紙分(紙片、繊維等)が混入し易い。石膏ボード廃材を、まず乾式加熱して二水石膏を半水石膏とし、破砕や粉砕しても、石膏粉への紙分の混入は免れない。
また、石膏ボード原料への廃材リサイクル率が約5%前後と少ないうちは、紙分もそのまま全量リサイクルしてもさほど問題ではないが、リサイクル率が10%あるいはそれ以上になってくると、紙分を全量リサイクルしたのでは、製品コア中の紙分含有率が増加することとなり石膏ボード製品の強度や防火性能上好ましくないばかりでなく、製造上も混練水量が多くなり多大な乾燥エネルギーを必要として好ましくない。また、製品コア部分に紙片が散見されるようになり見栄えも悪くなるという問題がある。このように、紙分の全量リサイクルは防火性、生産性および品質等の面から限界があり、したがってリサイクル率を上げるためには廃材からの紙片の除去は不可避となりつつある。
一方、石膏ボード廃材から分離された紙片については、それに付着した石膏分を除去したものは、故紙、農業用(敷料用、肥料用)やその他産業用途にそれをリサイクルできることが分かってきた。したがって、石膏を除去した分離紙片を得る方法が切望されている。
さらに、石膏ボード廃材の石膏分は、粉砕後乾式加熱によって半水石膏とされるが、上記石膏分は再結晶した微粉の二水石膏であるため、得られる半水石膏も比表面積の大きい微結晶になり、石膏ボード製造上混練水量が多くなり、上記紙分混入と同様に好ましくない。したがって、比表面積を低減した(混練水量の少ない)半水石膏を得ることも切望されている。
この出願の発明に関連する石膏ボード廃材のリサイクルに関する先行技術文献情報としては次のものがある。
特開平6−142638号公報(特許文献1)は、石膏ボード廃材から石膏ボード用原紙と石膏を回収する方法として、石膏ボード廃材を加熱した後、水を施して石膏芯からボード用原紙を分離させ、原紙と石膏をそれぞれ回収する方法を開示する。しかし本方法は、乾式加熱でβ型半水石膏とした後、水に浸して原紙を分離するため、上記半水石膏の少なくとも一部は再水和して二水石膏化するという問題がある。もちろん石膏分は微結晶のままである。
特開平10−296224号公報(特許文献2)は、石膏ボード廃材を石膏ボード原紙と石膏に分別し、又は、分別することなく、解砕、粉砕し、石膏をそのまま又は半水石膏とした後抄造石膏板等、成型の際、多量の水を用いて製造する材料の原料とする利用方法を開示する。しかし本方法は、石膏ボード原紙と石膏を完全に分別することについて何ら記載及び示唆しておらず、また加熱も乾式加熱で、得られる半水石膏は、β型の微結晶である。
特開平11−278891号公報(特許文献3)は、廃棄石膏ボードを加熱して焼石膏(半水石膏)を生成し、同焼石膏を粉砕するとともに水分を添加してスラリー状の石膏を生成し、同スラリー状の石膏を成形して成形体を形成する方法を開示する。しかし本方法は、石膏ボード原紙と石膏を分離することや、焼石膏を得るための加熱が湿式加熱処理であることについて何ら記載及び示唆していない。
特開2001−122645号公報(特許文献4)は、廃石膏ボードなどの石膏成型体廃材を、大気圧中又は加圧下で、60℃〜230℃に加熱することを特徴とする再生半水石膏の製造方法を開示する。この方法では加熱によりβ型もしくはα型半水石膏が生成している。しかし得られる半水石膏の比表面積(混練水量)の低減や、また石膏ボード原紙と石膏を完全に分離することについて何ら記載及び示唆していない。
特開平6−142638号公報 特開平10−296224号公報 特開平11−278891号公報 特開2001−122645号公報
本発明は、建築現場その他で発生する石膏ボード廃材(新築廃材及び解体廃材)から石膏分と原紙分を容易に分離して回収することができ、石膏ボード等石膏建材の製造の原料として有効に再利用できるα型半水石膏を製造する方法を提供することを目的とする。
本発明の他の目的は、石膏ボード廃材から、紙分(紙片や、紙繊維)の混入がない石膏分及び/又は石膏付着のない原紙を回収し、石膏建材の製造用及び/又は故紙、農業用その他産業用原料として有効に再利用できる方法を提供することである。
本発明は、石膏ボード廃材を熱水処理することによって、石膏分と紙分を容易かつ完全に分離することができ、さらに石膏分は比表面積を小さく改質されたα型半水石膏の形態で生成されるため、石膏分は石膏ボード等石膏建材の製造の原料として、また、紙分は故紙や農業用等に有効に再利用できるとの知見に基づいている。
すなわち、請求項1に記載の発明は、石膏ボード廃材を、加圧下で湿式加熱処理し、α型半水石膏に転移した石膏芯と石膏ボード用原紙とを分離することを特徴とする石膏ボード用原紙の回収方法である。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の石膏ボード用原紙の回収方法において、湿式加熱処理は、熱水中または水蒸気雰囲気中で行われることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の石膏ボード用原紙の回収方法において、石膏ボード廃材を、破砕処理することなくそのまま加圧下で湿式加熱処理することを特徴とする。
請求項4に記載の発明 は、石膏ボード廃材を、破砕処理することなくそのまま加圧下で湿式加熱処理することを特徴とするα型半水石膏を製造する方法である。
本発明のα型半水石膏を製造する方法においては、石膏ボード廃材を湿式加熱処理することにより、針状結晶として、石膏芯を構成すると共にボード原紙部分にしっかりと食い込んでいる二水石膏と、石膏芯とボード原紙との接着助剤である澱粉が溶解し、また、二水石膏はα型半水石膏に転移する。このような湿式加熱処理のα型半水石膏の生成、澱粉の溶解の過程で、石膏芯とボード原紙とが一部または全部剥離し、生成したα型半水石膏と原紙とを容易に分離し、回収できるようになる。また、湿式加熱処理を加圧下で行うことにより二水石膏のα型半水石膏への転移が促進されると共に処理時間の短縮が図られる。
また、石膏ボード廃材を予め粉砕処理や石膏芯と原紙を分離することなく、そのまま加圧下で湿式加熱処理を施すことにより、石膏芯と原紙の分離が可能となることから、石膏ボード廃材からの石膏分と原紙の分離回収を容易に行うことができる。
本発明によれば建築現場その他で発生する石膏ボードの廃材を、粉砕せずそのまま加圧下で湿式加熱処理をして製造されるα型半水石膏は、紙繊維や紙片の混入がなく、さらに結晶が改質し比表面積が小さくなり、石膏ボード等石膏建材製造時の原料として使用される場合、混練水の増大や製品の強度の低下を招かないため有効に再利用できる。また別途分離回収される原紙分には石膏がまったく付着していないためそのまま故紙等として再利用ができる。したがって、本発明によれば今後増大が予想される建築現場で発生する石膏ボード新築廃材や、既存建築物の解体に伴い排出される石膏ボード解体廃材を完全に石膏と紙に分離回収することから、石膏ボード廃材の大部分の再利用を可能とするものである。
以下、本発明の実施の形態について図1の処理フロー図を参照して説明する。
本発明の方法を施す対象となる石膏ボード廃材を収集する(ステップ1:S1)。収集した石膏ボード廃材は、一般に、石膏芯の周りを石膏ボード用原紙で被覆した形態にあり、その廃材の形状は板状または塊状である。板状または塊状である石膏ボード廃材は、石膏芯の少なくとも一部、または全体に原紙が付着している状態にある。
上記収集した石膏ボード廃材は、粉砕や、石膏芯と原紙を分離せずそのまま加圧下で湿式加熱処理される(ステップ2:S2)。本発明の湿式加熱処理は熱水中または水蒸気雰囲気中で行われる。
まず、本発明の湿式加熱処理のうち、一方の熱水中で行われるものは(以下、熱水処理という)は、石膏ボード廃材をそのまま高温水中に浸漬させるものである。本発明の熱水処理に用いる装置としては、オートクレーブ(加圧釜)などが挙げられる。熱水温度としては、石膏(二水石膏)を完全にα型半水石膏にできる温度であればよく、110〜150℃の範囲が例示される。圧力は、上記温度範囲で、大気圧からさらに圧力を0.05〜0.5MPa加える。また上記熱水処理時間は1〜10時間である。
また、本発明の湿式加熱処理のうち、他の一方の水蒸気雰囲気中で行われるもの(以下、水蒸気処理という)は、石膏ボード廃材をそのまま水蒸気雰囲気中に暴露させ、加熱するものである。本発明の水蒸気処理に用いる装置としては、横型オートクレーブ(加圧釜)などが挙げられる。加熱温度としては、石膏(二水石膏)を完全にα型半水石膏にできる温度であればよく、110〜170℃の範囲が例示される。圧力は、上記温度範囲で、大気圧からさらに圧力を0.05〜0.8MPa加える。また上記水蒸気処理時間は1〜10時間である。
石膏ボード廃材を加圧下で湿式加熱処理することにより、針状結晶として、石膏芯を構成すると共にボード原紙部分にしっかりと食い込んでいる二水石膏と、石膏芯とボード原紙との接着助剤である澱粉が溶解され、二水石膏から転移するα型半水石膏(石膏芯)とボード原紙とが一部または全部剥離し、容易に分離し、回収できるようになる。
分離したα型半水石膏と原紙を、適宜の破砕機を使用して所定のサイズに破砕する(ステップ3:S3)。また、このとき、α型半水石膏と原紙の分離、回収をさらに容易にするために、篩工程の前に、加圧下で湿式加熱処理した石膏ボード廃材を破砕することができる。破砕後の廃材の大きさは生産性や篩の目詰まり防止等を考慮して、長径を35mm以下、好ましくは25mm以下の大きさに破砕するのがよい。このような破砕方法は、通常の圧縮、衝撃、剪断、摩擦及び切断によるものでよく、特に限定されない。なお、この破砕工程は、後の工程の篩による回収工程を容易にするためのもので、必ず必要とするものではなく、処理する石膏ボード廃材の形態によって適宜この工程を加える。
次に、破砕し、分離したα型半水石膏と原紙は、それぞれ回収される(ステップ4:S4)。例えば、上記の分離したα型半水石膏と原紙は振動篩や回転篩を用いて篩い分けられ、篩上で原紙が、篩下にα型半水石膏が回収される。篩目のサイズとしては2〜30mmであり、好ましくは10〜25mmである。篩下のα型半水石膏は、紙分(石膏芯に被覆していた原紙由来の紙片や紙繊維)の混入がなく、石膏ボード等石膏建材の原料として有効に再利用できる。篩上の回収したボード用原紙は、付着石膏分がなく、故紙、農業用(敷料用、肥料用)、および土木・建築材料用などのその他産業用途に有効に再利用できる。
本発明により得られるα型半水石膏は、さらに破砕や粉砕しても比表面積は小さくなおかつ紙分(石膏芯を被覆していた原紙由来の紙片や紙繊維)の混入が全くないため、石膏ボード等石膏建材の原料として再利用する場合、ボード製造時の混練水の増加や、製品の強度や防火性能の低下をも防ぐことができる有用なものとなるので、石膏ボード廃材のリサイクル効率を大幅に向上させることができる。
石膏ボードの製造において、半水石膏が原料として使用されるが、本発明では、上記加圧下で湿式加熱処理して得られるα型半水石膏と、天然二水石膏や化学二水石膏を、乾式焼成(竪釜などを用いる間接加熱や、ロータリーキルンなどを用いる直接加熱)で生成されるβ型半水石膏とを混合して、必要に応じてチューブミルなどの粉砕機で微粉砕し、石膏ボード製造用原料として使用される。またβ型半水石膏は、石膏成形体廃材(石膏ボード廃材、廃石膏ブロック、型どり用廃石膏型、鋳込み成形用廃石膏型等)を乾式焼成して得られるものを含んでもよい。
この加圧下で湿式加熱処理して得られるα型半水石膏の混合量としては、β型半水石膏100重量部当り5〜100重量部、好ましくは10〜50重量部である。混合量が5重量部未満では、混練水の低減に有効にならず、また石膏ボード廃材のリサイクル率があがらず、一方100重量部を超えると逆にコスト高になり好ましくない。
こうして得られる上記α型半水石膏とβ型半水石膏の混合物は、接着助剤、硬化促進剤及び軽量化を図るための泡、その他の添加剤等、更には、混和材及び水とを混練し、この結果得られた半水石膏スラリー(以下、泥漿という)を上下の原紙の間に流し込み、上下に配した成型ロールの間や上下のプレートの間を通して板状に成形し、しかる後、搬送ベルト上で硬化させ、粗切断し、強制乾燥後に製品寸法に切断して生産される通常の石膏ボード製造の原料等として有効に利用できる。
以下、本発明を更に具体的に説明するため実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
家や建築物の新築現場または家屋などの解体工事現場で発生する廃材および端材などの石膏ボード廃材(厚さ12.5mmの石膏ボードの端材の場合、原紙は全体の約5%)を搬送して処理施設に収集する。
そこで、計量、異物混入の確認、除去を行った後、石膏ボード廃材を、オートクレーブに投入し、熱水中に含浸させ、温度132℃、圧力0.20MPa、加熱時間2.0時間の条件で熱水処理をして、二水石膏をα型半水石膏に転移させた。使用した熱水は減圧操作により水蒸気として蒸散分離した。この熱水処理品の石膏部分をX線回折で確認したところ、二水石膏及びII型無水石膏はなくすべてα型半水石膏であった。熱水処理された石膏ボード廃材の石膏分と原紙部分は、ほとんど分離しており、ほんの一部が付着している状態であった。
続いて、熱水処理された石膏ボード廃材をオートクレーブから抜き出し、4軸破砕機によりこの廃材を破砕した(ステップ3)。このときの破片は、一辺が30mm以下となる程度の大きさとし、一部付着していた石膏分と原紙部分も容易に分離した。この破砕で分離したα型半水石膏は全量が20mm未満の粉粒状となる。
破砕後、節目20mmの振動篩で分別され、篩上に分離原紙を回収し、篩下でα型半水石膏が得られた。
得られたα型半水石膏には、紙分(石膏芯に被覆していた原紙由来の紙片や紙繊維)は全く混在しなかった(実施例1試料1とした)。また回収した原紙を実施例1試料2とした。
実施例1で使用したものと同じ廃材を用い、実施例1と同様に計量、異物混入の確認、除去を行った後、横型オートクレーブに投入し、水蒸気雰囲気中に暴露させ、温度135℃、圧力0.21MPa、加熱時間4.0時間の条件で水蒸気処理をして、二水石膏をα型半水石膏に転移させた。この水蒸気処理品の石膏部分をX線回折で確認したところ、二水石膏及びII型無水石膏はなくすべてα型半水石膏であった。水蒸気処理された石膏ボード廃材の石膏分と原紙部分は完全に分離していた。
続いて、完全に分離した石膏分と原紙分とをそれぞれオートクレーブから抜き出し回収した。
得られたα型半水石膏には、紙分(石膏芯に被覆していた原紙由来の紙片や紙繊維)は全く混在しなかった(実施例2試料1とした)。また回収した原紙を実施例2試料2とした。
[比較例]
実施例で使用したものと同じ廃材を用い、実施例と同様に計量、異物混入の確認、除去を行った後、4軸破砕機により廃材を一次破砕する。このときの破砕は、一辺が30mm以下となる程度の大きさとし、両側の紙とその間に挟まれた石膏とが分離する状態になるまで破砕する。この一次破砕で分離した石膏は全量が20mm未満の粉粒状となる。
一次破砕後、篩目20mmの振動篩で石膏と紙に一次分別した。このとき回収した紙には石膏分が付着しており、石膏分は紙片や紙繊維が混入した状態である。
紙片や紙繊維が混入した石膏分を、撹拌機付き間接伝熱竪釜石膏加熱装置に投入し、焼き上げ温度165℃、加熱時間1.5時間の条件で焼成して、二水石膏をβ型半水石膏に転位させた。この加熱品の石膏部分をX線回折で確認したところ、二水石膏及びII型無水石膏はなくすべてβ型半水石膏であった。塊状又は粉状の石膏はすべて微粉末となり、紙片や紙繊維がこの半水石膏中に多く混在していた。
上記加熱品を5mm目篩の遠心式篩にかけ石膏分を篩って篩上にある紙分を分離回収した。以上二度の篩で分離された石膏分は、β型半水石膏100重量部に対し、1重量部の紙分(紙片や紙繊維)を含んでいた(比較例試料1とした)。また篩上にある回収された紙分を比較例試料2とした。
次に、紙分の全く混入していない天然二水石膏と化学二水石膏の混合物を撹拌機付き間接伝熱竪釜石膏加熱装置で焼成してβ型半水石膏(ブランク)を得た。
これらの実施例1試料1、実施例2試料1または比較例試料1を、ブランクであるβ型半水石膏と混合して、チューブミルで微粉砕し、製造用原料として、通常の石膏ボードを製造した場合の製造時の混練水量とJIS A 6901に従って測定した12.5mm厚、比重0.67の石膏ボード製品の長さ方向の曲げ破壊荷重の測定結果を表1に示す。
Figure 0004371801
次に、分離回収した紙片の石膏付着の有無を調べた。実施例1試料2、実施例2試料2及び比較例試料2から適当量を採取し、乾燥後その重量(W0)を測定した。次にこれを多量の0.5%の希塩酸に15時間浸漬して、流水で洗浄して石膏分を除去した後、40℃24時間の条件下に静置して水分を乾燥除去して紙片を得、この重量(W1)を測定した。洗浄前の総重量との差を石膏分として、上記回収紙片中の石膏分割合を次式により計算で求めた。

紙片中の石膏分割合=(W0−W1)/W0×100(%)
上記の式で求められる紙片中の石膏分割合は、希塩酸処理等により紙片自体の重量が変化しないとの前提に基づいている。しかしながら、実際には紙片の重量は、希塩酸処理等により減少する。すなわち、紙片自体の重量減を考慮すると上記の紙片中の石膏分割合が、0.5%未満であれば、回収原紙に石膏が付着しておらず、0.5%以上2%未満では回収原紙に石膏が微量付着している可能性があり、2%以上では明らかに回収原紙に石膏が付着していることを示す。
回収紙片中の石膏分割合の測定結果と回収紙片の石膏付着の有無を表2に示す。
Figure 0004371801
本発明の方法を説明するための工程図である。

Claims (4)

  1. 石膏ボード廃材を、加圧下で湿式加熱処理し、α型半水石膏に転移した石膏芯と石膏ボード用原紙とを分離することを特徴とする石膏ボード用原紙の回収方法。
  2. 湿式加熱処理は、熱水中または水蒸気雰囲気中で行われることを特徴とする請求項1に記載の石膏ボード用原紙の回収方法。
  3. 石膏ボード廃材を、破砕処理することなくそのまま加圧下で湿式加熱処理することを特徴とする請求項1または2に記載の石膏ボード用原紙の回収方法
  4. 石膏ボード廃材を、破砕処理することなくそのまま加圧下で湿式加熱処理することを特徴とするα型半水石膏を製造する方法
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