JP6664636B1 - 廃石膏ボード分離紙を原料にした紙材の製造方法及び製造装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】廃石膏ボードを焼成せずに、付着する石膏量を極少乃至ゼロにすると共に残存しても分離・飛散を抑制できる紙材の製造方法を提供する。【解決手段】廃石膏ボードから分離した紙片を原料にした紙材の製造方法は、廃石膏ボード11を所定の形状乃至サイズに破砕する破砕工程12と、破砕物から紙片を分離・回収する紙片回収工程13と、分離した紙片を水中に投入して揉み解して植物組織を水中に分散・懸濁させるとともに水溶性成分等を溶出させたパルプ液を生成する水中撹拌・破砕工程14と、パルプ液に含まれる石膏、易遊離パルプ、水溶性成分等及び水を分離してパルプを分離するパルプ回収工程15と、パルプを所定形状に成形する紙材成形工程16と、成形した紙材を所定の温度で乾燥する乾燥工程17と、を含む。【選択図】図1

Description

本発明は、廃石膏ボード分離紙を原料にした紙材の製造方法及び製造装置並びに動物用敷料に係り、さらに詳しくは、石膏ボードの廃材(以下、廃石膏ボードという)から紙片を分離し、その紙片(以下、廃石膏ボード分離紙という)を原料にした紙材の製造方法及び製造装置並びに紙材を用いた動物用敷料に関する。
石膏ボードは、焼き石膏(半水石膏)を主原料とし、鋸屑、パーライト、発泡剤などを混合し、水で練ってペースト状にしたものを2枚の原紙の間に流し込み、板状に固めたボードであって、防火性、遮音性、無伸縮性が優れ、しかも安価であることから古くから建築などの内装材、例えば家屋の壁、間仕切り、天井などに使用されてきている。近年は、その製造技術及び施工工法などの進化並びに新材料の開発により、様々な性能を有した石膏ボード、例えば、両面の原紙及び芯の石膏に防水処理を施したシージング石膏ボード、また石膏の芯にガラス繊維などを加えて耐火性能を強化した強化石膏ボード、住宅和室の塗り壁用の下地ボードに半貫通の型押しした石膏ラスボード、表面を化粧加工した化粧石膏ボード、さらに小孔をあけて中低音に優れた吸音効果を発揮する吸音用孔あき石膏ボードなど多種多様なボードが開発・製品化されて、より広い範囲で大量に使用されている。
このような石膏ボードは、年間百数十万トンが製造され使用されていることから、今後は、この使用済み石膏ボードが廃材となって大量に排出されることになる。この廃材は、新品ボードにあっては家屋などの新築現場において、所定の寸法に切断して使用する際に、端材、屑などの屑材(以下、新築系廃材という)として発生し、一方でまた、既存建築物の解体にあっては、解体物が廃材(以下、解体系廃材という)となって発生し、現在は、後者が前者に比べてより大量に発生しており、今後もこの傾向が続き、解体系廃材がさらに多く発生することが見込まれている。
これらの廃材のうち、新築系廃材は一部が新たな石膏ボード製造の原料として再利用されているが、残りの新築系及び解体系廃材は産業廃棄物として、他の廃棄物と同様に埋め立て処分されている。しかし、この埋め立て処分は、廃石膏ボードが地下水に生息する硫酸塩還元細菌の代謝を受け、有毒な硫化水素の発生要因となることから、法令により管理型処分場での処分が義務付けられている。一方でまた、管理型処分場は、逼迫しており、特に都市近郊での確保が年々困難になって来ており、この処分場の確保が大きな環境・社会問題になっている。
この状況から、廃石膏ボードを埋め立て処分するのでなく、リサイクル(再資源化)する取り組みがされている。しかし、これに対して、以下の課題が指摘されている。
一般の人々の間には、リサイクル品はバージン(virgin)材よりも安くあるべきという理解が潜在し、その一方で、現実は処理加工のコストが予想以上に掛かり、それがリサイクル品に反映されて高価になることから、廃石膏ボードの再資源化は躊躇され、結局、殆どが管理型最終処分場に埋設処分されている。なお、安定型最終処分場での埋設は禁止されている。
また、石膏ボードの中には、石綿、砒素、カドミウムといった有害物質を含有するものが存在するので、それへの対応が必要となり、現在、この処理技術や添加剤等が一部で実用化されているが、処理コストが高額になり、再資源化の課題となっている。なお、過去に、この有害物質に対して様々な問題があったことから、リサイクル品の販路拡大の障害となっている。
また、廃石膏ボードから剥離される剥離紙の再資源化に対しては、一部が再生紙の製造原料になっているが、一般的な理解は、石膏の再資源化と同様に、リサイクル品が高価になることから剥離紙の再資源化も躊躇され、殆どが焼却乃至管理型最終処分場へ埋設処分されている。現在、この剥離紙は、一部でRPF化(廃プラスチック類を主原料にした固形燃料)され利用されているが、相場による需給の変動や、石膏分の分離コストが掛かるなどの制約もあり、RPF化以外の用途拡大が急務となっている。
この状況下にあって、いくつかの企業において、廃石膏ボードの再資源化の研究・開発が行われ、その成果がいくつかの特許文献で提案されている。
下記特許文献1(特許4035419号公報)には、廃石膏ボードから紙片を分離する方法及び分離装置並びに分離紙片を用いた動物用敷料が記載されている。この紙片分離方法は、廃石膏ボードを焼成に適する寸法に破砕する破砕工程と、破砕された廃石膏ボードを焼成する焼成工程と、前記焼成工程で焼成された廃石膏ボードを石膏付着紙片と石膏に分離する予備の篩工程と、前記予備の篩工程により分離された石膏付着紙片を空気輸送する輸送工程と、空気輸送された石膏付着紙片から分離された石膏と紙片を分離する篩工程と、を有し、これら一連の工程を経て廃石膏ボードから紙片を分離するようになっている。
この紙片分離方法によれば、廃石膏ボードを粉砕後焼成して二水石膏を半水石膏としてこれを空気輸送工程にかけ、簡便な通常の篩で篩うことで、石膏分と紙分を分離したときに、付着石膏(半水石膏)分の少ない紙片を効率良く分離回収することができる。また、廃材を100℃以上の温度で焼成することにより、廃材に付着したカビやダニ等を滅菌あるいは死滅させ得ることから、その後分離回収した紙片を特に農業用として牛舎などの敷料にも安全に再利用できる。
また、下記特許文献2(特許第3221940号公報)には、石膏ボードの廃材から石膏を回収する方法であって、石膏ボード芯の少なくとも一部に石膏ボード用原紙が付着している石膏ボードの廃材を加熱して原紙を炭化させるものが記載されている。
さらに下記特許文献3(特許第3221939号公報)には、石膏ボードの廃材から石膏ボード用原紙と石膏を回収する方法であって、石膏ボード芯の少なくとも一部に石膏ボード用原紙が付着している石膏ボードの廃材を加熱したのち、水を施して石膏芯から原紙を分離させ、原紙と石膏芯を構成する石膏とを回収するものが記載されている。
さらにまた、下記特許文献4(特許第4371801号公報)には、廃石膏ボードからα型半水石膏を製造する方法及び石膏ボード用原紙の回収方法が記載されている。この回収方法は、廃石膏ボードを、加圧下で湿式加熱処理し、α型半水石膏に転移した石膏芯と石膏ボード用原紙とを分離する方法であって、熱水中又は水蒸気雰囲気中で行うことが特徴となっている。この方法によれば、廃材から、紙分(紙片や、紙繊維)の混入がない石膏分及び石膏付着のない原紙を回収し、石膏建材の製造用、古紙、農業用その他産業用原料として有効に利用できる。
さらにまた、下記特許文献5(特開2001−294496号公報)には、廃石膏ボード中の紙を牛糞尿の水分調整材として堆肥の製造に利用できる技術が記載されている。この技術は、石膏ボードの廃材から石膏と紙を分離したのちの紙を家畜の糞尿の水分調整材として使用することを特徴とする堆肥の製造方法であって、石膏ボードの廃材を破砕して石膏と紙を分別し、この分別後の紙を再度破砕して紙に付着していた石膏を除去したのちの紙を水分調整材として使用するものである。この方法によれば、水分調整材としておがくずを使用していた従来の堆肥製造方法の場合に比べて、完熟までの期間を大幅に短縮することができ、さらに、従来廃棄物として処理されていた廃石膏ボードからの回収紙を再利用できるという効果がある。
この廃石膏ボード分離紙は、上記特許文献にも記載されているように動物用敷料に利用される。その一方でまた、このような敷料には新聞、雑誌などの一般古紙も利用されている。この古紙製敷料はまた一般に多くの課題、例えば泥寧化、復元性・クッション性及び吸水性・保水性、さらに畜舎内作業環境の劣化などの課題を抱えていることから、これらを解決するように工夫した敷料も特許文献で紹介されている。
例えば、下記特許文献6(特開昭58‐20131号公報)には、古紙又は廃パルプの裁断、粉砕物を加湿造粒して大部分が粒子径3〜10mmの綿状粒子としたことを特徴とする家畜用敷床材が開示されている。これによれば、埃が立たないので動物が気管支炎や耳炎をおこすことがなく、また、十分な水分を保持吸水する能力があるので、排尿による尿溜まりができないうえ、使用量を稲わらに対して約1/2にできる。そのほか、素材は古紙等パルプが主成分であるため、柔らかく暖かい寝床を作ることができ、季節や自然状態に関係なく工場で大量生産できるので、安定かつ安価に供給できる。加えて、使用後の敷床材は植物繊維であるから、良質の堆肥として再利用できる効果も得られる。
また、下記特許文献7(特許第2931591号公報)には、板紙又は貼合紙を縦横1〜50mmの範囲の不定形状に破砕、さらに周縁はパルプ繊維を引きちぎったように毛羽立たせることで、糞尿に対する吸収の持続性、断熱性、殺菌性に優れた特徴をもった家畜用の紙製敷料が開示されている。
さらに、下記特許文献8(特開2000‐263011号公報)には、古紙を煮沸等したのち、破砕脱水し、加熱乾燥することにより、クッション性がよく、牛の乳房炎、豚の豚コレラ、トキソ病等にかかるのを効率よく阻止することができ、使用後は炭化処理等の処分が可能な畜舎用敷料や焼酎廃液、汚泥等の処理に使用される吸水材の製造方法及び使用済み吸水材の処理方法が開示されている。
さらにまた、下記特許文献9(特開平11‐239426号公報)には、古紙を最長部分が1mmから30mmに破砕して敷料とし、かつ必要に応じて着色材、消臭剤、バクテリア、及び土壌改良材、又は、界面活性剤、さらに又は高吸水性樹脂及び多孔質化合物を混合、又は吹きつけ等して機能を付加することで、糞尿に対する吸水性、断熱性、殺菌性に優れた家畜飼育用敷料が開示されている。
さらにまた、下記特許文献10(特開2015−16440号公報)には、メタン発酵方法、藁材及び敷料が記載されている。このメタン発酵方法は、藁を10mm〜100mmの断片に破砕し、50℃以上の温度でメタン発酵を行わせる方法である。この方法によれば、従来はミクロンオーダーに粉砕していたものに比べて、衛生的な藁材及び敷料を提供でき、しかもメタン発酵により十分な量のバイオガスを回収できる。
特許第4035419号公報 特許第3221940号公報 特許第3221939号公報 特許第4371801号公報 特開2001−294496号公報 特開昭58‐20131号公報 特許第2931591号公報 特開2000‐263011号公報 特開平11‐239426号公報 特開2015−16440号公報
上記特許文献1〜4に記載の廃石膏ボードからの石膏及び紙片の分離・回収は、廃石膏ボードの焼成、加熱(紙炭化)及び加圧湿式加熱などの工程を経て実施されている。しかし、これらの処理方法及び処理装置は複雑で概ね大掛かりな処理施設となり、高額な設備投資が必要になると共に燃料費などのランニングコストが加重されて、それらが再生品の価格に反映されて高額になるので、投資に見合う利益が得難く採算性に課題がある。
また、紙片も、高額となり用途の拡大が期待できず、また、この紙片は紙形状が維持されたままの状態であって紙表面に石膏が付着したものになるので石膏が分離し易くなっている。また、分離される石膏は二水石膏(針状組織)で、これを所定の温度で加熱することによって半水石膏、無水石膏にして、分離し易くして回収されるので、紙片に半水乃至無水石膏の形態で付着、残存している。
ところで、紙片に石膏(特に半水又は無水石膏)が付着残存すると、使用中に分離・飛散、特に微粉化して粉塵となって周囲に飛散し被害を及ぼし安全且つ安心に使用できない恐れがある。例えば、この粉塵を人間が吸うと健康に悪影響を与え、また、乳牛など家畜敷料に使用すると、乳牛が吸い、同様の悪影響を与える恐れがある。なお、他の産業分野における使用も同様ことが課題となる。なお、上記特許文献5の敷料も同様の課題を抱えている。
また、一般の古紙を利用した敷料も同様の課題を抱えている。例えば上記特許文献6の敷料は、古紙及び廃パルプを約0.5mm以下の綿状に裁断したのち、篩いに掛けて10μm以下の微粉を取り除き、これに水を噴霧加湿し、造粒機にかけて綿状体にして大部分の粒子径が3〜10mmの柔軟な多孔質の綿状粒子としたものであることから、敷設時及び動物が移動する際に簡単に全体又は部分的にばらけて、10μm〜0.5mmの綿状の粒子が飛散する。また、ばらけ或いは飛散し床面に堆積した綿状の粒子は、糞尿によって濡れると、床面にへばりつき、さらに紙には水溶性成分等が含まれているため、吸水すると溶け出し、粘性が付与されるため、泥寧化乃至粘土状態(以下、ベトベトともいう)になって敷床面を汚し、一方でまた糞尿を含んだ敷料の回収が困難になる。このため乳牛等のような糞尿中の水分量が多い動物敷料として使用する場合は、単独での使用はできず、おがくず等に混ぜて使用されている。
なお、粒子の安定性を高めるため造粒時に結合剤を混ぜると、綿状の粒子の飛散は抑制できるが、一般的によく使用されるカルボキシメチルセルロース等の水溶性の結合剤を使用すると、吸水して結合剤自体が溶け出し、形状が保てないだけでなく、床面はよりベトベトになる。また、ポリビニルアルコール等の水溶性ではあるが、一旦乾燥すると非水溶性になるポリマーは造膜性があるため、これを使用すると、綿状粒子の表面に膜を張り、繊維間の多孔質部分を塞いでしまい、吸水性が低下するうえ、使用後糞尿と回収したのちに堆肥等にする場合、難分解性物質として残存してしまうおそれがある。
さらに、上記特許文献7の紙製敷料も、紙を乾式で破砕し、周縁部を毛羽立たせていることから特許文献6と同様な課題がある。また、板紙及び貼合紙はコピー用紙等の比較的薄い紙と比較すると、紙自体の吸水量は多いが、その表面及び紙同士間の隙間でも多く保水する。さらに周縁を毛羽立たせることで毛羽立たせた部分により多くの水分を蓄えることができる。このため一見すると吸水性は高くなる。しかしながら紙表面、紙同士間及び毛羽立たせた周縁部で保水されている水分は、動物の移動等による敷料の移動により容易に周囲に分散してしまう。特に糞尿を含んだ敷料を回収する際に多くの水分が流れ出すため、回収作業の作業性が悪いうえ、流れ出たり、飛散したりした水分中の臭気成分(主にアンモニア成分)が一気に気散し、畜舎内の環境を悪化させるおそれがある。
さらにまた、上記特許文献8の製造方法においても特許文献6と同様な課題がある。特に水又は温水に浸漬、又は煮沸により古紙をふやけた状態にするため、水溶性成分等が溶け出すが、煮沸をすると水では溶け難い成分も溶け出す。これらの成分は一般的な動物用の敷料の使用においては、熱水等は使用されないため溶け出すことはないが、煮沸により一旦溶け出した成分が残存すると、水によっても簡単に分散するため、これらの溶け出した成分及び粉砕して発生する成分等を十分に分離除去する必要がある。
さらにまた、上記特許文献9の敷料は、古紙を乾式で破砕しているので紙の平面が比較的多く残るため、特許文献6及び7と同様の課題がある。特に、揉んだり、曲げたりすると、折れ曲がった紙面同士の間により多くの水分を蓄えるため、動物の移動により敷料が動くと、保水されていた水分が周りに容易に分散してしまう。また、防水処理等が施された紙に界面活性剤を塗布して吸水性を発現させると、保水は紙表面でしか行われないうえ、後で説明するように、表面で保水する量が多くなるため、より多くの水分が敷料の移動により周囲に分散してしまう。さらに一般的に古紙は束ねたり、ぐちゃぐちゃにされたりして、回収されるため、界面活性剤を吹き付けても全面に満遍なく親水性を付与させることは困難である。また、破砕後に形状が不定形になるとともに揉んだり折り曲げたりするとなおさら困難になる。また、たとえ全体に塗布できたとしても、一般的には界面活性剤は水に数重量%加えて使用されるため、塗布後の紙の含水率が高くなり、吸水材としての機能は喪失するおそれがある。
なお、多孔質化合物等の固体粒子は容易に敷料から分離するため、敷料を回収する際、床面にへばりつき、回収作業が困難になる。
さらにまた、上記特許文献10の敷料は、藁を所定サイズに破砕し、所定温度でメタン発酵を行わせる方法であるが、近年、藁材が不足し、しかも高価で安定した入手が困難になっている。
以上から、廃石膏ボードの再資源化は、大掛かりで高額な処理施設及びランニングコストなどによってトータルコストが高騰し、採算が採れないなどが起因して躊躇乃至停滞しているので、このトータルコストの低減が急務となっている。その一方でまた、分離した紙片には、石膏が付着し、飛散するので、その利用範囲が制限され、また、元原料となる廃石膏ボードの排出量は、地域によって大きく異なり、一般に都市部周辺で多く、地方で少ない傾向にあり、また、季節によっても変動するので、これら地域乃至季節などによって元原料石膏ボードが不足し、安定した量の紙材の製造ができなくなるおそれがある。
そこで、本発明者らは、従来技術の処理方法乃至処理装置を簡素化して処理コストを低減すると共に、どのようにすれば、紙片に付着する石膏量を少なく乃至ゼロにでき、それでも残存する石膏が紙片から分離し飛散するのを防止できるかを、試行錯誤を繰り返して鋭意探求して来た。その結果、処理施設では焼成工程などの工程を不要にして紙片を分離できるようにして簡素化する一方でまた、石膏が付着した紙片は水中で一度パルプに戻して処理すれば残存する付着石膏を簡単且つ安価に除去でき、また除去されずに残留する石膏は微粉化しにくい二水石膏の形態でパルプ繊維間に潜り込み(埋め込み)封じ込ませた状態にできるうえに、表面に残存する石膏も微粉化し難くなるため、分離・飛散を防止でき安全なものになること、また、石膏を分離した紙片を動物用敷料に利用する際にも、一般的な古紙で課題となっている畜舎内の作業環境の改善についても鋭意探求した結果、破砕時に発生する遊離し飛散し易い紙粉及び水溶性成分等を効率よく分離し、かつ所定形状の成形体にすることで防止でき、一方でまた元原料となる廃石膏ボードの変動不足は古紙の補給で解消できるなどに想到し、本発明を完成するに至ったものである。
そこで、本発明の目的は、廃石膏ボードを焼成などすることなく簡易な処理工程及び安価な装置によって、廃石膏ボードから分離した紙片に付着する石膏量を極少乃至略ゼロにすると共に、残存付着しても石膏粉になって分離・飛散するのを抑制、特に粉塵となって飛散するのを抑制し、また、紙材から遊離し飛散し易い紙粉及び紙に付着した水溶性成分等を分離・除去し、安全且つ安心に使用できしかも再資源化の採算性がとれる紙材を製造する方法及び製造装置を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、上記の目的を達成し、且つ元原料となる廃石膏ボードの排出量は地域乃至季節により変動し不足するのを一般古紙の混入で補って安定した量の紙材を製造できる方法及び製造装置を提供することにある。
本発明の第1の態様の廃石膏ボード分離紙を原料にした紙材の製造方法は、廃石膏ボード剥離紙片を水中に投入して該紙片に付着した石膏を細分化して分離すると共に該紙片を揉み解し植物組織を水中に分散・懸濁させて、水溶性成分等を溶出させたパルプ液を生成する水中撹拌・破砕工程と、前記パルプ液から石膏、易遊離パルプ、水溶性成分等及び水を分離してパルプを回収するパルプ回収工程と、前記パルプを所定形状に成形する紙材成形工程及び前記紙材を所定の温度で乾燥する乾燥工程を含むことを特徴とする。
本発明の第2の態様の廃石膏ボード分離紙を原料にした紙材の製造方法は、第1の態様の製造方法において、前記水中攪拌・破砕工程において、前記紙片を予め128℃以上163℃未満の温度範囲に加熱して処理することを特徴とするすることを特徴とする。
本発明の第3の態様の廃石膏ボード分離紙を原料にした紙材の製造方法は、第1又は2の態様の製造方法にあって、前記水中攪拌・破砕工程において、所定量の古紙を混入することを特徴とする。
本発明の第4の態様の廃石膏ボード分離紙を原料にした紙材の製造方法は、第1〜3のいずれかの態様の製造方法にあって、前記水中攪拌・破砕工程において、所定量の炭を混入することを特徴とする。
本発明の第5の態様の廃石膏ボード分離紙を原料にした紙材の製造方法は、第1〜4のいずれかの態様の製造方法にあって、前記パルプ回収工程において、回収パルプを水洗及び脱水を行うことを特徴とする。
本発明の第6の態様の廃石膏ボード分離紙を原料にした紙材の製造方法は、第1〜5のいずれかの態様の製造方法にあって、前記紙材成形工程において、成形後の含水率は50〜80重量%の範囲にあることを特徴とする。
本発明の第7の態様の廃石膏ボード分離紙を原料にした紙材の製造方法は、第1〜6のいずれかの態様の製造方法にあって、前記乾燥工程において、128℃未満の温度で乾燥することを特徴とする。
本発明の第8の態様の紙材製造装置は、廃石膏ボードを所定の形状乃至サイズに破砕する破砕手段と、前記破砕物から紙片を分離・回収する紙片回収手段と、前記紙片を水中に投入して揉み解し植物組織を水中に分散・懸濁させるとともに水溶性成分等を溶出させたパルプ液を生成する水中撹拌・破砕手段と、前記パルプ液に含まれる石膏、易遊離パルプ及び水溶性成分等並びに水を分離してパルプを分離・回収するパルプ回収手段と、前記パルプを所定形状に成形する紙材成形手段と、前記紙材を所定の温度で乾燥する乾燥手段と、を備えたことを特徴とする。
本発明の第9の態様の紙材製造装置は、第8の紙材製造装置において、前記パルプ回収手段には、回収パルプを水洗及び脱水を行う洗浄・脱水部が付設されていることを特徴とする。
本発明の第1の態様の紙材の製造方法によれば、処理時に廃石膏ボードを焼成しないので、従来技術の廃石膏ボードを焼成する方法に比べて、焼成工程が不要になる分工程が簡素化されて、安価に廃石膏ボードから紙片を分離し、この紙片から石膏の付着量を極少乃至ゼロにした紙材に再生できる。また、紙材に石膏が残存しても、使用中に石膏の分離・飛散を抑制、特に粉塵となって飛散するのを抑制できる。さらに、紙材は、紙に付着する石膏量を極少乃至ゼロにすることができ、たとえ石膏が付着残存していても飛散しないので、広範囲の用途、例えば、再生紙などの各種の原料、緩衝材などに安全・安心に使用できる。特に、動物用敷材に使用すると、石膏及び易遊離パルプが飛散しないうえ、床面がベトベトしないため、安全・安心に使用できるうえ、家畜糞尿を吸収させてメタン発酵の原料にしてメタン生成率を上げることができる。
本発明の第2の態様の紙材の製造方法によれば、水中攪拌・破砕工程において、紙片を予め128℃以上163℃未満の温度範囲で処理するので、紙片の付着石膏をより少なくできる。
本発明の第3の態様の紙材の製造方法によれば、元原料となる廃石膏ボードの排出量が地域或いは季節(時期)などによって変動し、所定量が確保できなくなるおそれがあるが、古紙の混入により、目標とする紙材量を安定した状態で製造できる。また製造コストが低減される。
本発明の第4の態様の紙材の製造方法によれば、さらに紙材の脱臭性を高めた紙材を製造できる。
本発明の第5の態様の紙材の製造方法によれば、パルプ回収工程において、回収パルプを水洗及び脱水を行うので、水溶性成分等及び易遊離パルプが効率よく且つ確実に除去される。
本発明の第6の態様の紙材の製造方法によれば、紙材成形工程において成形後の含水率は50〜80重量%の範囲にしたので、良好な吸水性及び保水性、保温性及びクッション性が得られる。
本発明の第7の態様の紙材の製造方法によれば、乾燥工程において、128℃未満で乾燥することにより、二水石膏が保たれるので微粉化を良好に防止できる。また、滅菌効果も得られる。
本発明の第8の態様の紙材の紙材製造装置によれば、装置を構成する破砕、分離、撹拌、圧搾、成形、乾燥などの各手段(装置)は、いずれも汎用のものを使用できるので、処理工程(装置)は簡素にして安価に構築できる。
本発明の第9の態様の紙材の紙材製造装置によれば、パルプ回収手段には、回収パルプを水洗及び脱水を行う洗浄・脱水部が付設されているので、水溶性成分等及び易遊離パルプを効率よく且つ確実に除去できる。
図1は本発明の実施形態1に係る廃石膏ボード分離紙を原料にした紙材の製造方法を示し、図1Aは工程ブロック図、図1Bは図1AのB部分を変更したブロック図である。 紙材から発生する微粉石膏量の測定結果を示したグラフである。 吸水量と見掛け密度の測定結果を示したグラフである。 本発明の実施形態2に係る廃石膏ボードから分離した紙片を原料にした紙材の製造方法を示した工程ブロック図である。 本発明の実施形態3に係る廃石膏ボード分離紙を原料にした紙材の製造方法の工程ブロック図である。 図5の実施形態3の製造方法で製造した紙材から発生する臭気レベルの測定結果(1)を示したグラフである。 図5の実施形態3の製造方法で製造した紙材から発生する臭気レベルの測定結果(2)を示したグラフである 本発明の実施形態4に係る廃石膏ボードから分離した紙片を原料にした紙材の製造方法を示した工程ブロック図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る廃石膏ボード分離紙を原料にした紙材の製造方法及び製造装置並びに動物用敷料を説明する。但し、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための廃石膏ボード分離紙を原料にした紙材の製造方法及び製造装置並びに動物用敷料を例示するものであって、本発明をこれに特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のものにも等しく適応し得るものである。
[実施形態1]
図1、図2を参照して、実施形態1に係る廃石膏ボード分離紙を原料にした紙材の製造方法及び製造装置を説明する。なお、図1は本発明の実施形態1に係る廃石膏ボード分離紙を原料にした紙材の製造方法を示し、図1Aは工程ブロック図、図1Bは図1AのB部分を変更したブロック図、図2は紙材から発生する微粉石膏量の測定結果を示したグラフである。
本発明の実施形態1に係る廃石膏ボード分離紙を原料にした紙材の製造方法10Aは、廃石膏ボード11を所定の形状乃至サイズに破砕する破砕工程12と、破砕物から紙片を分離・回収する紙片回収工程13と、紙片を水中に投入して揉み解し植物組織を水中に分散・懸濁させるとともに水溶性成分等を溶出させたパルプ液を生成する水中撹拌・破砕工程14と、パルプ液から石膏、遊離し或いは遊離し易いパルプ(以下、易遊離パルプという)、水溶性成分等及び水を分離してパルプを回収するパルプ回収工程15と、並びにパルプを所定形状に成形する紙材成形工程16及び紙材を所定の温度で乾燥する乾燥工程17と、を含んでいる。
また、この製造方法10Aにあって、水中撹拌・破砕工程14は、他の廃石膏ボード処理施設などで処理した紙片P1(なお、この紙片には石膏が付着している)を混入、乃至破砕工程12及び紙片回収工程13を経ることなく単独で搬入、処理して、以降の工程で同様の紙材を作製してもよい。この方法によれば、これまで廃棄されていた紙片を有効利用できる。
なお、易遊離パルプは、乾燥されると、紙材から簡単に遊離し或いは飛散し易い微小紙繊維片乃至紙粉(以下、総称して紙粉ともいう)となるものであり、また、水溶性成分等とは、紙製造工程で添加される添加物、例えば填料のカオリン等の鉱物性粉末(粘土みたいなもの)、或いは抄紙工程でのカルボキシメチルセルロース(水溶性で増粘剤の一種)等である。これらは溶け出して粘性が生じる。従って予めこれらの水溶性成分等を除去していない従来の紙製敷料は、使用時に糞尿によりこれらが溶け出してしまい、粘性が生じる。
また、この製造方法を実施する製造装置は、図示を省略したが、上記の各工程12〜17にそれぞれ対応した手段、すなわち廃石膏ボードを所定の形状乃至サイズに破砕する破砕手段と、破砕物から紙片を分離・回収する紙片回収手段と、紙片を水中に投入して揉み解し植物組織を水中に分散・懸濁させるとともに水溶性成分等を溶出させたパルプ液を生成する水中撹拌・破砕手段と、パルプ液に含まれる石膏、易遊離パルプ及び水溶性成分等並びに水を分離してパルプを分離・回収するパルプ回収手段と、パルプを所定形状に成形する紙材成形手段と、及び紙材を所定の温度で乾燥する乾燥手段と、によって構成されている。なお、パルプ回収手段はまた水洗部及び脱水部を備えている。
この製造方法及び製造装置によれば、以下の顕著な作用効果を奏する。
ア 処理時に廃石膏ボードを焼成しないので、従来技術の廃石膏ボードを焼成する方法に比べて、焼成工程が不要になる分工程が簡素化されて、廃石膏ボードから簡単に紙片を分離して、この紙片から石膏の付着量を極小乃至略ゼロにした紙材を簡単にしかも安価に再生・製造できる。
イ また、紙材に、石膏が残存付着しても、石膏の分離・飛散を抑制、特に粉塵となって飛散するのを抑制できるので、安全性を確保でき、広範囲の用途、例えば、再生紙などの原料或いは緩衝材及び敷料などへの使用が可能になる。
ウ 特に、動物用敷料に使用する際には、製造過程において易遊離パルプ及び水溶性成分等は分離・除去されているので、紙粉が飛散することはなく、また畜舎の床面はベトベトの状態になることを抑制できる。また、家畜糞尿を吸収させたメタン発酵の原料にしてメタン生成率を上げることができる。なお、泥寧化、復元性・クッション性及び吸水性・保水性なども改善される。
エ また、元原料の廃石膏ボードが地域乃至季節などで変動し不足する場合には、一般古紙を混合して安定した量の紙材を製造できる。
オ さらに、製造装置は、破砕手段、紙片回収手段、水中撹拌・破砕手段、パルプ回収手段、紙材成形手段及び乾燥手段からなり、これらの手段乃至装置はいずれも極普通のありふれた汎用手段(装置)であって、これらで構成できるので、従来の加熱(乾式、水蒸気、熱水等)方式を採用した手段(装置)に比べて、安価に構築できる。
以下、この製造方法及び製造装置を詳述し、さらにその他の作用効果を明らかにする。
(a)廃石膏ボード
廃石膏ボード11は、バージン(virgin)石膏ボードと同じ構成を有している。すなわち、焼き石膏(半水石膏)を主原料とし、鋸屑、パーライト、発泡材などを混合し、水で練ってペースト状にしたものを2枚の原紙間に流し込み、板状に固めた構成を有している。2枚の原紙は、対向内面に接着剤が塗布され、この接着剤によって原紙と石膏とが接着されている。
原料の半水石膏(CaSO・1/2HO)は、加水されると結晶水を吸収して発熱硬化し、二水石膏(CaSO・2HO)になる性質を有している。これらの間の転位温度は、CaSO・2HOとCaSO・1/2HO間は128℃、またCaSO・1/2HOとCaSO間は163℃となっている。
また2枚の原紙は、ボード表側の表面紙と裏側の裏面紙とからなり、これらは石膏への接着性及び湿潤と乾燥工程による波打ち性が起らない性質を有し、しかも一般の紙よりも耐水性や濡れた状態での強度を高める紙が使用されている。また、それぞれの色は、表面紙にあっては、白色、クリーム色、青色などでその紙は漂白パルプ、上質の古紙などが使用され、裏面紙にあっては、上質の古紙などが使用されている。なお、接着剤は一般に熱可塑性樹脂の酢ビ系のものが使用されている。
なお、収集・搬入された廃石膏ボードには、種々雑多で素性が不明のものが多いので、それらを分別する。特に、有害物資を含んだものがあれば、これを除外する。除外した廃石膏ボードは、別途、適正に処理する。
(b)廃石膏ボード破砕工程
この廃石膏ボード破砕工程12では、処理施設において、計量、異物混入の確認、除去を行った後、シュレッダーにより廃材を所定の形状乃至大きさに一次破砕する。このときの破砕片は、一辺が所定の長さ、例えば10mmとなる程度の大きさとし、両側の原紙とその間に挟まれた石膏とが分離する状態になるまで破砕する。この一次破砕で分離した石膏は全量が例えば2mm未満の粉粒状となり、また紙片には接着剤により石膏が付着している。
一次破砕後、所定の篩目、例えば5mm網目の振動篩で石膏と紙片に分別し、回収した粉粒状の石膏は、別途、再生利用する。この工程では、約60〜90%が回収され、回収した石膏は石膏ボードに再利用或いはセメントの原料に利用できる。
この工程で使用する破砕手段(装置)は、公知の破砕装置、例えば、ボードクラッシャーなどを使用する。これらは汎用装置として多く存在し、公知であるので詳細な説明は省略する。
(c)紙片回収工程
この紙片回収工程13では、前破砕工程12で破砕した破砕物を篩に掛けて石膏と紙片とに分離・分級する。例えば、破砕物を、所定の篩目、例えば5mm網目の振動篩で石膏と紙片(一部石膏が付着している)とに分別する。この分別後の紙片にまだ石膏が付着している場合、ローラ式破砕機などで二次破砕して付着している石膏を機械的に分離する。この破砕により、石膏は接着箇所から分離される。分離した紙片は、次工程へ搬送し、石膏は別途処理する。
この分離工程における分離・分級手段(装置)は、公知のものを使用する。これらは汎用装置として多く存在し、公知であるので詳細な説明は省略する。
(d)水中撹拌・破砕工程
この水中撹拌・破砕工程14では、前紙片回収工程で回収した紙片、及び/乃至他からの紙片P1を水中に投入し、スクリュー等の撹拌子を使用して撹拌して、紙片に付着した石膏を所定の粒径になるまで微細化し、さらに紙片を揉み解して紙片の植物組織を水中に分散・懸濁させるとともに水溶性成分等を溶出させたパルプ液を生成する。
この微細化の石膏粒径は、0.075mm〜1.5mmの範囲であり、この範囲にあって、粒径1.0mmを中心にマイナス(−)0.2mm〜プラス(+)0.2mmにするのが好ましい。すなわち、この粒径が1.5mmを超えると、二水石膏であっても使用中に外力により破砕されやすく、破砕されると微粉が発生し、これに対して、1mm程度の微粒であれば、使用中に外力が働きにくいために、破砕され難く、微粉が発生し難くなるからである。
また、パルプ液の生成により、紙片に付着していた石膏は微細化されて、容易に分離される。すなわち、紙片をパルプ液にまで離解すると、紙繊維が水中でバラけた曲がった状態になり、このバラけた紙繊維に石膏がピンポイントに付着した状態、換言すると、石膏が付着できる部位は繊維表面上のピンポイントで付着面積が小さくなり、結果的に石膏は剥がれ落ち易くなって、容易に分離される。
この工程において、紙片は繊維状になり、これにより、紙片に付着した石膏分は洗い落される。しかし、未だ、洗い落されず残った石膏は、それは極めて少量であるが、繊維間に潜り込み、続く工程の成形・乾燥により、堅固に繊維間に固定されるので、分離・飛散を抑制できる。すなわち、残留する石膏は微粉化しにくい二水石膏の状態で繊維間に潜り込み成形・乾燥により埋め込み封じ込んだ状態になるので、使用中に分離して飛散するのを抑制できる。また、表面に付着した石膏も微粉化しにくいため、残留する石膏量の大小に関係なく、石膏の微粉発生率を極めて低く、例えば紙材100重量%に対して1重量%以下にできる。
すなわち、この微粉発生率は、水中撹拌・破砕によりパルプ状にすることで繊維から剥離し易くし、水洗することで除去され、128℃(二水石膏CaSO・2HOと半水石膏CaSO・1/2HOの転移温度)を超える温度に加熱すると二水石膏が半水石膏になり、針状組織が壊れて微粉化して分離し易くなるが、一方で付着残存する石膏が使用時に分離し、飛散し易いため、この転移温度を超える温度に上昇させず、一旦上げても水を含ませて二水石膏に変えることで、残存する石膏は飛散しにくくなる、さらに、紙片を離解させたのち、立体形状にすることで残存石膏のほとんどをその内部に保持するため、飛散し難くなるなどで達成可能になる。
なお、従来技術のように紙を乾式で破砕すると、軽いため破砕ムラが発生し易く、また微小紙繊維からなる紙粉が多く発生するが、本実施形態のように水中で撹拌・破砕すると、水流が抵抗になってムラなく破砕できるうえ、紙粉が発生し難く、また紙に含まれる水溶性成分等を溶出さることができるため、次工程でこれらをパルプから分離することが可能になる。
この工程で使用する水中攪拌・破砕手段(装置)は、公知のものを使用する。これらは汎用装手段(装置)として多く存在し、公知であるので詳細な説明は省略する。なお、後記の予備加熱手段(装置)も公知のものを使用する。
なお、この水中撹拌・破砕工程は、以下のように変更してもよい。すなわち、紙片(P1を含む)を加熱せずに処理したが、予備加熱して処理してもよい。すなわち、分離した紙片を所定の温度、例えば128℃以上、163℃未満の温度範囲に加熱したのち、水中で撹拌し、パルプ状にする。これにより、残存する石膏をより少なくすることができる。なお、128℃以上、163℃未満の温度範囲は、安全性の観点から128〜162℃とするのが好ましい。
なお、この予備加熱は、予備加熱手段(装置)によって、水中撹拌・破砕工程の前乃至この工程に付設して行う。
この場合、残存した石膏は水分を吸収し、再び二水石膏になるため、使用中に微粉化して飛散するのを抑制できる。なお、163℃(半水石膏と無水石膏の転移温度)を超える温度で加熱すると無水石膏になり、再び水を作用させても二水石膏にはならないため、163℃を超えて加熱してはならない。また、スクリューによる撹拌装置に代えて、高水圧水洗浄機を使用してもよい。この高水圧水洗浄機を使用することにより、紙片に付着する石膏を略ゼロにできる。なお、高水圧水洗浄機は既に公知であり、これを使用する。さらに、この工程において、また他の材料、例えば古紙を混入してもよい。さらに界面活性剤を混ぜてもよい。この界面活性剤の混入により、敷料に使用する場合その吸水量をアップさせることができる。この混入は紙材の用途により選択的に行う。
なお、用語「パルプ液」は紙繊維(植物繊維)が水中に懸濁された状態の液、「パルプ」は主に木材を原料にした植物繊維、なお、易遊離パルプは既に前述しており、また詳細は後記する。
(e)パルプ回収工程
このパルプ回収工程では、パルプ液を篩い分け装置(なお、スクリーンともいわれている)を用いて、石膏分を除去して、紙片パルプを分離・分別し、パルプを回収する。また、この工程では洗浄及び脱水部(手段・装置、図示省略)を付設し、回収パルプを水洗及び脱水を行い繊維内に残る水溶性成分等及び易遊離パルプを除去するのが好ましい。これにより繊維内に残存する石膏は次工程において成形することで紙材内に封じ込められ、また水溶性成分等及び易遊離パルプは脱水により搾り出される。また、この水洗及び脱水は必要に応じて数回繰り返して行うことにより、水溶性成分等及び易遊離パルプは90%以上乃至略全て除去される。
なお、この工程の「脱水」は回収パルプを水洗い脱水し、回収パルプに含まれた水溶性成分等及び易遊離パルプの除去を効率よく行う脱水であって、次工程での成形後の含水率を調整するものと異なっている。
篩い分け装置は、網目は1.5〜2mm範囲が好ましい。この範囲にあって1.5mm未満では易遊離パルプが残ってしまい、2mmを超えると、有用な紙パルプが除去されてしまうからである。また、敷料に使用すると床面がベトベトになる原因は、紙に含まれる水溶性成分等が徐々に溶け出して粘性が生じるとともに、飛散し堆積、あるいは、動物に蹴られてバラけた微小繊維粉からなる紙粉がこれと混ざり、このベトベト感を助長するためであり、この工程でこれらを分離除去することで、床面がベトベトの状態になることを抑制乃至防止できる。また、他の原因の易遊離パルプも除去されるので、これが使用中に飛散しまた同様にベトベト状態になることを抑制乃至防止できる。
なお、パルプ液中のパルプ(これは一種の古紙パルプであるので、以下、古紙パルプともいう)は、木材から造られた新たなパルプ(バージンパルプ)と異なっているので、以下、これらについて付言する。
すなわち、後者のバージンパルプは繊維の表面に多くのひだがあるので繊維同士が絡まって強度があり、また繊維断面にはひび割れが無いので一本一本の繊維が強くコシがある。これに対して、後者の古紙パルプは再生のたびに擦られひだがすり減っているので繊維同士が絡まり難くそのために強度が低下し、また内部には層のひび割れが起り、繊維が脆くなっている。
そうすると、パルプ液には上記古紙パルプの状態で混在されているので、個々のパルプは、繊維の絡み合いが弱いためにそれらの集合体が形成され難く、一方でまた、集合体になった繊維の中には微小でも絡み合いが強く、強く絡みあった繊維の間にトラップされたものもある。
したがって、このパルプ液が所定篩目サイズ(1.5〜2mm)を通過しようとすると、繊維の絡み合いが弱いものは即通過して除去され、篩目の大きさを超える集合体は通過しないことになる。したがって、この篩い分けはパルプ繊維の大小乃至長短ではなく、繊維の絡み合いが弱い、既に遊離し或いは遊離し易いパルプ(易遊離パルプ)が分離・除去されることになる。なお、易遊離パルプは泥寧化(ベトベト状態)の原因になる。
このパルプ回収工程を実行する手段は、篩い分け手段、並びに洗浄及び脱水(例えば圧搾)手段(装置)などで構成するが、これらはいずれも既に公知であり、これらを使用する。
(f)紙材成形工程
この紙材成形工程16では、前工程で回収したパルプをそれぞれの用途に対応・適合した形状に成形する。すなわち、回収パルプを所定形状の成形体乃至加工品にして、種々の用途に対応・適合したものにする。それらの形状は、特定の形状に限定するものでなく任意形状、例えばブロック状、シート状、ペレット状乃至フレーク状などにする。また、敷料用は、所定形状に成形すると共に、成形後の含水率は所定の値に調整するのが好ましい。
この工程により、紙片に残存付着する石膏は、殆どが成形時に成形体内に埋め込まれ、成形体の表面に露出する量はさらに極々少となる。その結果、成形体に埋め込まれた石膏は外部へ飛散するのを防止できる。すなわち、残留する石膏は微粉化しにくい二水石膏の状態でパルプ繊維間に潜り込み成形・乾燥により埋め込み封じ込んだ状態になるので、使用中に分離して飛散するのを抑制できる。また、表面に付着した石膏も微粉化し難いため、残留する石膏量の大小に関係なく、石膏の微粉発生率は極めて低くできる。その結果、残存付着する石膏が微粉化して飛散するのを抑制した再生紙材となる。
すなわち、上記の形状にあって、例えば球状体にすると表面積が最小になり、しかも、残留石膏の殆どは紙の内部の紙繊維に付着した状態で存在し、外部と遮断されるため、分離して外部への飛散を抑制できる。
また、球状体にした後に、潰して平板状にすることで残存石膏の多くを内部に固定した平板にすることもできる。表面積を最小にする形状は、球状体の外に、例えば、少なくとも一面が平面乃至湾曲した塊(物)体などがある。また、見かけ上の表面積を少なくすることで、より多くの残存石膏を内部に固定することができる上、脱臭効果が発揮される。
また、一旦球形状に整形したのち、潰す等して平板状にすることで、残存石膏を多く固定した平板も作成できる。
ここで重要なことは、残存する石膏量の大小に関係なく、使用中に、紙材から石膏が分離・飛散する微粉石膏発生率が低くなったことである。この微粉石膏発生率は、紙材100重量%に対して1重量%以下にするのが好ましい。
また、敷料用は、所定形状にして、成形後の含水率は50〜80重量%の範囲に調整するのが好ましい。
すなわち、繊維状に破砕した紙片を成形することで、紙片内部に保水空間を形成することができる。さらに成形後の含水率を調整しながら成形することでより良好な吸水性及び保水性、保温性及びクッション性が得られる。この際、成形時に圧縮(圧搾)しすぎると、一旦解砕された紙繊維が圧縮され、紙繊維間の空間が狭くなり、吸水性、保水性、保温性及びクッション性が損なわれる。反対に圧縮が弱いと紙繊維間の空間が広くなりすぎて保水した水分の自重が表面張力より勝り、一旦吸水した水分が簡単に流れ出てしまううえ、成形工程から乾燥工程の間で形状が保てなくなる。
この圧縮の程度は成形後の含水率で評価でき、好ましくは成形後の含水率を50〜80重量%で成形することにより、乾燥後の紙繊維間に適度な空間ができ、優れた吸水性、保水性、保温性及びクッション性が得られる。この点は後記する表2、図3及びその説明で詳述する。
また、繊維状に破砕した紙片を成形すると、紙片内部に保水空間を形成することができる。すなわち、動物用敷料として使用する際、紙繊維が単独又は積み重なった状態で畜舎の床面に敷かれていると、この紙繊維の周り及び紙繊維間に水分を多く蓄えるため、乾式で破砕した紙片同様、動物の移動等により、保水されている水分が分散してしまうが、成形することで、水分の多くを内部に蓄えられるようになるため、水分の分散が防止できる。
このため、乳牛等の含水率の高い糞尿を吸水する場合、糞尿の固形分は表面に付着するが、水分は敷料の内部に蓄えられるため固形分の乾燥が速く、万一更なる糞尿が付いてもその水分はすぐに内部に移行するため、糞尿の固形分がベトベトの状態で周りに分散することはない。一方乾式で破砕した紙片は、その表面に糞尿の固形分と水分が付着するため、固形分の乾燥が遅く、敷料の移動により床面に広く分散してしまう。
なお、型で成形、あるいは圧搾することで内部より表面は緻密になるため、内部での保水量が多くなっても表面から流れ出にくい。一方等紙形状を保った紙製敷料はたとえ揉み解したり、毛羽立たせたりして吸水性及び保水性を高めても、保水する部分ではほとんどが外側に広がる構造にしかならず、本当の意味での保水性は劣る。
この紙材成形工程16を実行する手段は、ブロック状、シート状、ペレット状乃至
球状体に形成する成形機を用い、また、圧搾脱水手段(装置)も圧搾機を用いるが、これらはいずれも既に公知であり、本実施形態ではこれらを使用する。
この紙材成形工程は、また、以下のように変更してもよい。
まず、この実施形態では、紙材成形工程でシート状、ペレット状乃至フレーク状などに形成したが、この紙材成形工程で成形した成形体を次の乾燥工程で乾燥した後に、裁断などして、所定形状乃至サイズの加工品(紙片)にしてもよい。例えばシート状のものを裁断して所定形状・サイズの紙材にする。これにより、例えば、型にすると異なる寸法ごとにそれぞれ型が必要となるが、後で切断する場合、それぞれの型を作る必要がなく、コストが下がる。
また、この紙材成形工程に代えて、別の圧搾・解砕工程に置き換えてもよい。すなわち、紙材成形工程16に代えて圧搾・解砕工程16Aに置き換え、この工程をパルプ回収工程15で回収したパルプを脱水(圧搾)する脱水(圧搾)部16と、その後解砕する解砕部16とで構成する(図1B参照)。この変更により、以下のメリットがある。例えば、敷料として使用する場合、圧搾脱水したのち、適当なサイズに解砕することで、大きさ及び形状がばらばらになり、適度な間隔で敷き詰めることができるうえ、周縁部の一部が出っ張ることで、敷料同士が干渉し合い、動物の移動によって蹴散らかされて、斑になることを防止できる。
(g)乾燥工程
この乾燥工程17では、前工程で成形した成形体乃至成形品を128℃(二水石膏と半水石膏の転移温度)未満で加温及び又は送風等により乾燥する。この工程で重要なことは、128℃以上で加温すると、二水石膏が半水石膏になって、微粉化し易くなるので128℃未満で乾燥することである。すなわち、128℃未満で乾燥すると二水石膏が保たれるので微粉化を良好に防止できる。また、100℃〜127℃の範囲で乾燥すると、滅菌効果も得られる。
また、加熱乾燥でなく自然乾燥によって乾燥させてもよい。これにより、乾燥設備が簡素化さら燃料も不要になる。
乾燥後の紙材の含水率は、吸水性の確保及びカビの発生防止のため20%以下、クッション性を持たせるため5%以上(硬くなってしまう)、好ましくは8〜15%の範囲である。
この工程で使用する乾燥手段(装置)は、加温及び、又は送風等で構成するがこれらはいずれも既に公知であり、これらを使用する。
(h)紙材
以上の工程乃至装置により紙材18が製造される。製造した紙材18は、既に各工程で説明した優れた採用効果を奏するので、広い範囲の用途、例えば、再生紙などの各種の原料、緩衝材及び敷料などに安全且つ安心して使用できる。
この製造方法を実施する製造装置は、図示を省略したが、上記の各工程12〜17にそれぞれ対応した手段、すなわち廃石膏ボードを所定の形状乃至サイズに破砕する破砕手段と、破砕物から紙片を分離・回収する紙片回収手段と、紙片を水中に投入して揉み解し植物組織を水中に分散・懸濁させるとともに水溶性成分等を溶出させたパルプ液を生成する水中撹拌・破砕手段と、パルプ液に含まれる石膏、易遊離パルプ、水溶性成分等及び水を分離してパルプを分離・回収するパルプ回収手段と、パルプを所定形状に成形する紙材成形手段と、及び紙材を所定の温度で乾燥する乾燥手段と、によって構成されている。なお、パルプ回収手段はまた水洗部及び脱水部を備えている。
これらの手段乃至装置はいずれも極普通のありふれた汎用手段(装置)であって、これらで構成できるので、従来の加熱(乾式、水蒸気、熱水等)方式を採用した手段(装置)に比べて、安価に構築できる。
(i)敷料への使用
この紙材18を家畜などの敷料に使用すると、以下の顕著な作用効果を奏する。
まず、紙材を家畜などにマッチした形状乃至サイズにした敷料にする。
すなわち形状乃至サイズは、対象動物により異なるが、家畜等の場合、不定形で大きさは単一ではなく5〜10mm程度を中心に最大20mmくらいまでにして、また動物の移動によりあまり移動しないようにやや扁平で若干手足が出ている状態。つまり圧搾して解砕した状態が好ましい。
このような敷料を所定量家畜舎の床に敷設すると、敷設中に紙材に残留した石膏及び微繊維からなる紙粉が粉塵となって飛散することがない。また、家畜糞尿が吸収されるとメタン発酵の原料となり、メタン生成率を上げることができる。さらに、敷料に用いた紙材は、石膏の付着量は極少乃至略ゼロになっているので、家畜へ悪影響を与えることがない。なお、仮に石膏が残存していてもその量は極々少なく、微粉化しにくい二水石膏であり、かつ、その殆どが紙の内部の紙繊維に付着した状態で存在し、外部と遮断されているため、分離、飛散することはない。
また、紙材はパルプ状にして造られるので、紙繊維間に隙間ができ、この空間が保水空間となり、吸水性を高めるうえ、拡散速度も速くなる。また、空気との接触面積が多くなり、蒸発が促進される。さらに、紙に接触した糞尿の水分は、紙に吸収され、速やかに繊維に沿って拡散する。
さらに、糞尿量が比較的少ない場合は、拡散した水分は空気との接触面積が大きくなるため、水分中のアンモニア等の臭気成分の蒸発速度は速くなる。しかし、総量が少ないため、問題となる臭気レベルになる前に拡散、希薄化する。一方でまた、糞尿量が比較的多い場合は、形状化した紙の内部に蓄えられる。この場合、内部の水分と空気の接触面積は少なくなり、アンモニア等の臭気成分の蒸発速度も遅くなる。その結果、短時間に大気中に放出される臭気成分量は抑制され、臭気レベルが高くなることはない。
なお、従来技術の紙を乾式で破砕する等紙形状を保ったままの紙は、その表面に多くの水分を蓄えるため、空気との接触面積が大きくなり、蒸発速度が速くなるうえ、水分が飛散し易くなる。このため、特に糞尿を含んだ敷料を回収する際に、多くの水分が流れ出すため、回収作業の作業性が悪くなるうえ、流れ出したり、飛散したりした水分中の臭気成分(主にアンモニア成分)が一気に気散し、畜舎内の環境を悪化させる。
特に糞尿を含んだ敷料を回収する際、保水していた水分が流れ出したり、飛散したりして空気との接触面積が一気に増えると共に、表面の水分が飛沫化し、アンモニア等の臭気成分が揮発し、作業環境を悪化させる。これに対して、この紙材は、撹拌されても空気との接触面積が急激に増えることもなく、また飛沫化もし難いため、アンモニア等の臭気成分の揮発も増加せず、作業環境が悪化しない。
さらに、繊維状に破砕した紙片を成形することで、紙片内部に保水空間を形成することができる。また、成形後の含水率を調整しながら成形することでより良好な吸水性及び保水性、保温性及びクッション性が得られる。
さらにまた、パルプ回収工程において、使用中に吸水して畜舎の床面がベトベトの状態になる原因である易遊離パルプ及び水溶性成分等が分離除去されているため、易遊離パルプが乾燥して微繊維からなる紙粉が飛散しないうえ、床面もベトベトになり難い。さらに水中で撹拌・破砕するため、成形時に紙繊維が絡み合い十分な保形性を有しているため、結合剤等を使用する必要がなく、結合剤の溶け出しにより、床面がベトベトし、あるいは吸水性の低下を招くこともない。
なお、古紙を含めた紙を敷料に利用すると、泥寧化が問題になることがある。以下、この泥寧化について付記する。
この泥寧化、すなわち粘性の原因は、主に、紙由来の粘性、糞尿由来の粘性及び両方の相乗作用にある。
ア 紙由来の粘性
a)水溶性成分等
紙は製造工程で様々な添加物があり、その中で填料として添加されるカオリン等の鉱物性粉末(言ってみれば粘土みたいなもの)もそのひとつであり、接着剤によって紙繊維間に固定されている。一般にこの接着剤は水に溶けないが、紙が吸水すると紙繊維が膨潤し、その接着力が弱くなり、紙繊維が離解されるとともにカオリン等の鉱物性粉末も溶け出すことで粘性が生じると考えられる。その他、抄紙工程でカルボキシメチルセルロース等も使用されている場合があり、これらは水溶性の増粘剤であり、粘性の要因となりうる。
従って予めこれらの水溶性成分等を除去していない従来の紙製敷料は、使用時に糞尿によりこれらの水溶性成分等が溶け出してしまう。この水溶性成分等の溶け出しについては、後記実施例22〜24において確認した。
なお、カオリン等の鉱物性粉末は厳密には水溶性成分ではないが、マクロ的には溶け出して懸濁するため、これらを総称して水溶性成分等とした。
b)易遊離パルプ
紙は、繊維長が比較的短く、繊維の絡み合いによる結合だけでは弱いため、接着剤で補強される。この接着剤は水溶性ではないが、紙が水分を吸収して膨潤するとその接着力は弱くなり、ばらけ易くなる。特に乾式破砕、繊維揉み解し等した従来の紙製敷料は、水を含むと(特に周縁部のちぎれた部分が)ばらけ易く、易遊離パルプが発生する。さらに乾式破砕では易遊離パルプがより多く発生・残存していると考えられる。なお、易遊離パルプは紙敷料自体よりも水溶性成分等が溶け出し易いと考えられる。
c)表面張力
紙製敷料及び易遊離パルプはそれ自体の大きさ(重さ)に対する水分を介した接触面積が広いため、表面張力による吸着力が強く、特に易遊離パルプのように微小になると移動(ズレ)の際の抵抗が粘性として感じられるようになる。
イ 糞尿由来の粘性
牛などの糞尿は元々粘性を有している。
ウ 両方の相乗作用
紙は表面に多くの水を蓄える。したがって糞尿もその表面及び敷料間に濡れた状態で付着する。このため敷料間の移動(ズレ)がない時は、糞尿の固形分が凝集し紙表面に濡れたまま付着するが、移動(ズレ)が生じると濃縮した固形分が流れ出してしまう。このため床面はベトベト状態になる。
なお、現在、敷料には概ねおが屑が使用され、これに家畜糞尿を吸収させ、これを原料にメタン発酵を行っているが、これではメタン生成効率を高めることができないという課題がある。しかし、本実施形態の紙材を敷料にすることにより、メタン生成効率を高くできる。
以上のことから、本実施形態の紙材を敷料に利用することにより、現状のおが屑より安価で、使い易い敷料を提供できるうえ、この敷料が混合された糞尿を使用することにより、メタン発酵のメタン発生効率を向上させることができる。また、現在、おが屑等の需給が逼迫しているので、それらの代替ともなる。
<微粉発生率に関する実験(実験例1、2)>
この実施形態1の製造方法により製造した紙材の作用効果を実験例1、2によって確認した。
まず、廃石膏ボードを破砕し、一辺が5mm以上のものを紙として分離して得られた石膏が付着した紙片に水を加えてスクリューで撹拌・離解したのち、開口幅2mmの金網で濾して得られたパルプを、更に水で濯ぎ、石膏等を除去したのち、型に入れ成形し、110℃で乾燥した。
次いで、乾燥した紙材を裁断し、実験例1の試料として、一辺10mm角の紙材を作成した。この実験例1の紙材を容器に入れ、振とう試験機で振とうさせ、1時間毎に計3回(合計3時間)、200メッシュ篩いで篩い、篩上の成分の重量及び篩通過成分の重量をそれぞれ測定することにより、発生した石膏の微粉の重量を測定した。
同様に、水洗処理前の紙片を150℃で2時間加熱したのち、200メッシュ篩いで篩い実験例2の比較試料とした。この実験例2の比較試料について、実験例1の場合と同様にして振とうさせ、発生した石膏の微粉の重量を測定した。これらの測定から表1及び図2の結果を得た。なお、表1及び図2の振とう試験における微粉発生率は、紙材が例えば敷料に使用され牛などに踏まれたときに紙材に付着した石膏が微粉となって発生する率の代替値に相当する。
Figure 0006664636
表1、図2に示した結果から以下のことが判明した。すなわち実験例1の紙材は、図2の実線で示したように、実験前(紙材を例えば敷料に敷料使用前)から使用し始め、1時間毎の計3回(3時間内)において、微粉(石膏)発生率は始め略0.3%から0.2%、0.1%、0.2%と推移し、いずれの値も始めの0.3%以下である。これに対して、実験例2の比較試料の紙材は、図2の点線で示したように、微粉発生率は0.5%から始まり、1.1%、0.9%、0.7%と推移し、最高値は1.1%に達している。なお、これらの値は、紙材の使用中の微粉(石膏)発生率を示している。
この結果から、本実施形態に対応する実験例1の紙材は、従来技術に対応する比較試料の紙材に比べて、使用中の微粉(石膏)発生率が小さくなるので、安全・安心に使用できるようになる。特に、前記したように敷料に使用すると顕著な作用効果を奏することがわかる。
<成形後の含水率に関する実験(実験例3〜9)>
次に、この実施形態の製造方法で作成した紙片の成形後の含水率と乾燥後の吸水性、クッション性及び成形工程から乾燥工程までの間での保形性について実験例3〜9によって確認した。
まず廃石膏ボード分離紙を水中撹拌・破砕したのち、開口幅2mmの金網で濾して得られたパルプを、更に水で濯ぎ、石膏等を除去したのち、型に入れて成形した。成形する際、成形後の含水率をおよそ40〜90重量%の範囲で変化させ成形したのち、100℃で乾燥し、実験例3〜9の試料を得た。次にこの実験例1〜7の試料について、乾燥後の含水率、見掛け密度及び重量を測定した。その後各々十分吸水させたのち、周囲に付いた余剰な水を拭取り、重量を測定し、吸水量を算出した。また、それぞれの試料の弾力性(クッション性)及び成形工程から乾燥工程までの間での保形性についても確認した。その結果を表2及び図3に示した。
Figure 0006664636
表2、図3に示した結果から以下のことが判明した。
成形後の含水率が上がるにつれて見掛け密度は下がったのに対して、吸水量は増加した。これは成形後の含水率が上がる(成形時の圧縮の程度が小さくなる)につれて紙片の内部空間(すなわち保水空間)が広くなり、見掛け密度が小さくなるとともに、吸水量が増加するためである。成形後の含水率が50重量%以上であれば吸水前の重量に対して1倍以上の吸水量が得られ、敷料としての性能が得られることが判明した。
またクッション性に関しては、成形後の含水率が40重量%程度では、内部空間が狭いためクッション性が認められなかったが、50重量%以上だと若干クッション性が確認でき、90重量%だとかなり感じられた。なお、実際敷料として使用する場合のクッション性は単独での弾力性だけではなく、重なり合った敷料によって得られるものであることから、若干弾力性があれば使用上問題なく、クッション性が得られることも確認した。
また成形から乾燥するまでのハンドリングにおいて、成形後の含水率がおよそ80重量%までは特に問題なかったが、90重量%近くになると形状を保てず変形してしまった。
以上の結果から、成形後の含水率を50〜80重量%内に管理することで、成形可能で且つ、吸水性、保水性、クッション性に優れた敷料が得られることが判明した。
[実施形態2]
図4を参照して、本発明の実施形態2に係る廃石膏ボード分離紙を原料にした紙材の製造方法及び製造装置を説明する。なお、図4は本発明の実施形態2に係る廃石膏ボード分離紙を原料にした紙材の製造方法の工程ブロック図である。なお、この製造方法も圧搾・解砕工程16A(図1B)を有するが省略されている。
ところで、上記実施形態1の製造方法(装置)は、元原料となる廃石膏ボードの排出量が地域或いは季節(時期)などによって変動し、所定量が確保できなくなるおそれがある。そうなると、実施形態1の製造方法(装置)では目標とする紙材量を安定した状態で製造できなくなる。そこで、この実施形態1の製造方法(装置)において、さらに古紙を混入することによって目標とする紙材量を確保できる安定した状態で製造できる。
この実施形態2の製造方法10Bは、実施形態1の製造方法10Aにおいて、さらに所定量の古紙を混入したもの、すなわち、製造方法10Aの水中攪拌・破砕工程14において、所定量の古紙乃至界面活性剤を混入する点が異なっており、他の工程は同じになっている。そこで、以下の説明は共通する工程に同一の符号を付してそれらの説明を援用し、異なる工程について詳述する。
実施形態2の製造方法10Bは、実施形態1の製造方法10Aにおいて、さらに所定量の一般古紙P2を混入するようにした構成を有する。
混入する古紙P2の種類は、特定のものに限定するものでなく、一般の古紙、例えば、新聞、雑誌、コピー紙、ダンボール紙などである。これらの古紙にあっても、それぞれの特質があるので、例えば防水処理等が施されている古紙の場合は、さらに界面活性剤を添加し、濡れ性を改善するのが好ましい。すなわち界面活性剤を水に添加することで、揉み解された紙繊維の中まで界面活性剤を作用させることができ、紙繊維全体に親水性を付与することができる。
混入する古紙P2の量は、実施形態1の製造方法10Aにおいて廃石膏ボード分離紙が不足して目標とする紙材量が確保できない場合に該不足分を補填する量にする。
すなわち、この混入量は、実施形態1の製造方法10Aで製造する紙材量によって適宜決定する。
実施形態1の製造方法10Aにおける廃石膏ボード分離紙と一般古紙との比率は、50%:50%、70%:30%、或いは30%:70%などいずれでもよく、特に特定比率に限定されるものでなく任意でよい。なお、古紙を100%にしてもよい。
また、混入の際は、古紙を破砕機などで予め所定の形状乃至大きさに裁断・破砕し、この裁断・破砕した紙片を混入するのが好ましい。これにより、水中攪拌・破砕工程14での処理時間が短縮され処理効率がアップする。また、さらに界面活性剤(既に公知のもの)を混入してもよい。この界面活性剤の混入は、防水紙が混入している場合、又は防水紙が混入していないことが特定できない場合であり、その量は界面活性剤の種類によって異なるが数%以下にする。
この実施形態2の製造方法10Bを実行する製造装置は、実施形態1の製造装置をそのまま使用できる。また、一般古紙の裁断及び処理機も公知であり、これを使用する。
この実施形態2の製造方法(装置)によれば、実施形態1の製造方法(装置)と同じ作用効果を奏し、さらに、実施形態1の製造方法(装置)では目標とする紙材量を製造できなくなるのを回避できる。
すなわち、古紙を混合する場合も同様に、易遊離パルプ及び水溶性成分等を除去できるうえ、防水処理を施された古紙も水中撹拌・破砕工程で水に界面活性剤を添加することにより、揉み解された紙繊維全体に親水性が付与できるうえ、成形した敷料においては、大部分が敷料の内部に紙繊維が存在するため、敷料内部に保水することができることから、吸水性のある古紙と同様に廃石膏ボード分離紙片に混合することができるため、種類に依らず古紙を任意の量で混入することができる。このため、地域及び季節に依らず、安定した製造が可能となる。
<古紙混合と吸水量に関する実験(実験例10〜21)>
この実施形態2の製造方法で製造した紙材を用いて動物用敷料を作成し、吸水量を確認した。
まず廃石膏ボード分離紙片、2種類の使用済みコピー紙1、2、使用済み段ボール紙及び使用済み駐車券の上に水滴を滴下し、吸水性を確認した。
その結果、廃石膏ボード分離紙片は、滴下した水滴が紙に浸透し、拡散した。また、使用済みコピー紙1は、滴下した水滴が紙に浸透し、拡散した。また、使用済みコピー紙2は、滴下した水滴があまり浸透せず、紙面上に留まり、拡散しなかった。また、使用済み段ボール紙は、紙の表面は滴下した水滴が浸透せず、紙面上に留まり、拡散しなかったが、紙を破った断面及び極表層を剥ぐと浸透して拡散した。一方、使用済み駐車券は、滴下した水滴との接触角が90°を超え、撥水性を示し、破った部分も撥水性を示した。
次に前記廃石膏ボード分離紙片及びその他の古紙を原料として実施形態2の製造方法で製造された紙材の吸水量を測定した。
すなわち、廃石膏ボード分離紙片、使用済みコピー紙1及び2、使用済み段ボール紙、使用済み駐車券及び廃石膏ボード分離紙片に使用済み駐車券を重量比で1:1の割合で混合したものにそれぞれ水を加えてスクリューで撹拌・離解したのち、開口幅1.5mmの金網で濾して得られたパルプをさらに水で濯ぎ、石膏、易遊離パルプ及び水溶性成分等を除去したのち、型に入れ成形し、110℃で乾燥し、直径3mm、厚さ4mmの実験例10〜15の試料を作成した。また、破砕工程において、水に界面活性剤を添加する以外は同様にして、実験例16〜21の試料を作成した。
Figure 0006664636
表3に示した結果から以下のことが判明した。廃石膏ボード分離紙片を原料とする実験例10の試料は、十分な吸水量であった。また、吸水性のある使用済みコピー紙1を原料とする実験例11の試料も、十分な吸水量であった。また、吸水性の劣る使用済みコピー紙2を原料とする実験例12の試料は、実験例10の試料より若干劣るが、十分な吸水量であった。また、段ボール紙を原料とする実験例13の試料は、表面は防水処理が施されているが、それは極表面だけであり、防水処理が施されていない部分が多いため、十分な吸水量であった。一方、撥水性のある使用済み駐車券を原料とする実験例14の試料は、ほぼ吸水しなかった。また、廃石膏ボード分離紙片と使用済み駐車券を混合し、作成した実験例15の試料は、廃石膏ボード分離紙片を原料とする実験例10の試料の約半分の吸水量であった
界面活性剤を添加した実験例16〜21の試料についても同様にして吸水量を測定した結果、すべての試料で界面活性剤を添加したものの方が吸水量は多くなった。特に界面活性剤を添加しない試料ではほとんど吸水しなかった使用済み駐車券を原料とする実験例20の試料と、廃石膏ボード分離紙片と使用済み駐車券を重量比で1:1の割合で混合して作成した実験例21の試料は、その他の実験例16〜19の試料よりも吸水量が多くなった。
実験例10〜21の結果から、廃石膏ボード分離紙片、又は一般的な古紙を原料とする動物用敷料では、吸水性が変わらず、防水処理が施された古紙においても、界面活性剤を加えることで同等以上の吸水性が得られることが判明した。
なお、界面活性剤を添加した試料のすべてにおいて目視でその表面に水相が確認されたのに対して、界面活性剤を添加しなかった試料は、その表面が湿潤していたが、水相はほとんど確認できなかった。このことは、界面活性剤を添加することで表面に水分が付着し易くなり、結果的に吸水量が増えることを示す。これは吸水量の増加にはなるが、表面に保水される糞尿の水分が動物の移動に伴い分散するとともに、臭気も拡散し易くなる。
従って、従来技術のように防水性のある古紙を裁断し、界面活性剤を吹き付けても、その表面でしか保水できず、畜舎の環境が悪化するのに対して、実施形態2の製造方法で作成した敷料では、界面活性剤を添加しても、その内部に多くの糞尿の水分を保水することができるため、防水処理を施した古紙でも畜舎の環境が悪化しない。
<ベトベト感(水溶性成分等の溶出)に関する実験(実験例22〜24)>
実験例11で用いた古紙(使用済みコピー紙1)を使って、従来の紙製敷料において問題となる床面がベトベトする原因について実験を行った。
使用済みコピー紙1を約10mm角に裁断した紙片(実験例22)、約10mm角に裁断したのち、指で揉み解した紙片(実験例23)、実施形態2の製造方法で作成した紙片(実験例24)をそれぞれシャーレに載せ、全体が十分濡れるようにスポイトで水を滴下したのち静置し、30分後及び1時間後の状態を目視で確認するとともに、指で擦って表面の状態を確認した。その結果を表4に示した。
Figure 0006664636
表4の結果から以下のことが判明した。裁断しただけの紙片(実験例22)は、1時間後でも目視ではほとんど変化がなかったが、指で擦ると30分後でも表面が剥がれて微細な繊維が発生し、1時間後には、軽く擦っても表面が剥がれるようになり、若干ぬめりも感じられた。また裁断したのち、揉み解した紙片(実験例23)は、30分後には表面がややふやけた状態になり、指でこすると簡単に剥がれて微細な繊維が発生するとともに、若干ぬめりが感じられた。1時間後では、さらにふやけた状態になり、指で擦ると簡単に表面が剥がれ、さらに擦ると破れてしまうとともにぬめりも感じられた。一方、実施形態2の製造方法で作成した紙片(実験例24)は、目視では変化がなく、指でこすっても表面がはがれて微細な繊維が発生することはなく、より強く擦ると、塊として割れたが、微細な繊維は発生しなかった。
このことから、古紙が吸水すると、ふやけて表面から微繊維粉が剥がれ易くなるとともに、ぬめりの元となる水溶性成分等が溶け出し、ベトベトの状態になることが明らかになった。特に古紙を揉み解しあるいは破砕して紙繊維が分離し易くすることでより助長されるのに対して、この実施形態2の製造方法で作成した紙片は、吸水しても表面から紙繊維が分離せず、またぬめりも発生しないため、これらによりベトベトの状態になることがないことが判明した。
紙(古紙含む)には、製造工程で様々な薬剤が添加されており、特に紙の隙間を埋める填料にはカオリン(粘土成分)等が使用されるほか、増粘剤として使用されるカルボキシメチルセルロース等も添加されることもあり、これら水溶性成分等が溶け出し粘性を発現するものと考えられる。
なお、従来技術においては、紙をもみ解すことで吸水性を高めており、吸水性と紙粉の分離及び水溶性成分等の溶け出し(その結果として、ベトベトの状態になる)が相反することも判明した。
<敷料に関する実験(実験例25)>
実験例25では、実施形態2と同様の製造方法で製造された紙材を用いて動物用敷料を作製し、石膏及び紙粉の飛散の程度を確認した。すなわち、廃石膏ボードを破砕し、一辺が5mm以上のものを紙として分離して得られた石膏が付着した紙片に段ボール紙を20重量%の割合で混合し、水を加えて破砕機を通してパルプ状になるまで水中で破砕したのち、網の開口幅2mmのスクリュープレス脱水装置により圧搾脱水した。その後水洗し、再びスクリュープレス脱水装置により含水率が50〜80重量%になるよう圧搾脱水したのち、撹拌子のついた解砕機で主に5〜10mmの塊状に解砕した。その後、塊状にした紙材に風を送り、送風乾燥し、敷料を得た。この紙材を敷料として牛舎に敷き詰めた。敷き詰め作業時に石膏及び紙粉の飛散はなく、使用中も床面がベトベトな状態になることはなかった。また、糞尿を含んだ敷料を回収する際に、水分が流れ出ることもなく、強い臭いも発生しなかった。
次に、図5〜図7を参照して、本発明の実施形態3に係る廃石膏ボード分離紙を原料にした紙材の製造方法及び製造装置を説明する。なお、図5は本発明の実施形態3に係る廃石膏ボード分離紙を原料にした紙材の製造方法の工程ブロック図、図6は図5の製造方法で製造した紙材から発生する臭気レベルの測定結果(1)をグラフ、図7は図5の製造方法で製造した紙材から発生する臭気レベルの測定結果(2)をグラフで示した図である
この実施形態3の製造方法10Cは、実施形態1の製造方法において、水中攪拌・破砕工程とパルプ回収工程との間に炭混入工程を介在させた点が異なり、他の工程は同じになっている。そこで、以下の説明は共通する工程に同一の符号を付してそれらの説明を援用することとし、異なる工程について詳述する。
実施形態3の製造方法10Cは、実施形態1の製造方法10Aにおいて、水中攪拌・破砕工程14とパルプ回収工程15との間に所定量の炭を混入する炭混入工程14Aを介在させた構成を有する。
この炭混入工程14Aにおいて、混入する炭材は特定のものに限定するものでなく、一般に知られている炭、例えば、木炭、汚泥炭など使用する。これらの炭の使用によって、それぞれの特性を誘引できる。例えば、汚泥炭を使用すると、安価になる。
炭混入量は、紙材100重量%に対して、10〜30重量%の範囲が好ましい。この混入量が10%以下では消臭効果が得難くなり、また30%を超えると紙材の色が炭色になって見栄えが悪くなり、一方でまた、敷料に使用した場合にメタン発酵の原料にし難くなるからである。なお、混入量10〜30重量%は紙材100重量%に対する範囲、すなわち、最終製品の紙材に混入された量となっている。
この範囲の炭を混入することによって、実施形態1のものと比して、さらに脱臭性を高めることができる。また、この敷料が混合されている家畜糞尿を原料としたメタン発酵において、微生物の住処となり、微生物の増殖に寄与し、メタン生成効率の向上及び安定化が図られる。
なお、この実施形態では炭の混入は、水中攪拌・破砕工程14の後工程にしたが、水中攪拌・破砕工程14でもよい。この工程で混入すると、炭はこの工程で撹拌・破砕され、所望のサイズにできる。
この実施形態3の製造方法によれば、実施形態1乃至2の製造方法と同じ作用効果を奏し、さらに、脱臭性を高めることができる。すなわち、一般的に炭は非極性物質であり臭気成分であるアンモニアのような極性分子を吸着しにくいが、汚泥炭のように不完全に炭化したものはある程度吸着することができる。同様に水も極性物質であり完全に炭化した炭は疎水性を示し水を吸着しないが、一般的な炭は比較的良く水を吸うため、敷料において臭気成分を含んだ水分(糞尿水)を炭内に蓄えることができる。また炭は見掛けの表面積(蓄えられた水分と空気又は炭外の水分との接触面積)が小さいため、蓄えた水分からの臭気成分の蒸発量は比較的少なく、その効果は成形した紙よりも優れている。なお、炭の吸水速度は比較的遅いため、紙と併用することが有効である。
すなわち、この実施形態3で製造された紙材は、紙内部に炭を担持しているので、臭気成分を含んだ水分を紙が速やかに吸収し、その後ゆっくり炭に吸収されることから、即効性及び防臭性を高めることができる。また、糞尿に触れていない、すなわち、まだ吸水していない炭は効果は劣るが、畜舎内の臭気を吸収するため、敷設初期の未だ水分を吸収していない敷料が多いときは畜舎内の臭気を吸収し、糞尿によりその水分を吸収すると、水分中のアンモニア等の臭気成分も同時に炭内に固定するという二段の脱臭効果がある。なお、これらの効果はあまり持続しないが、乳牛等の敷料は使用回転が早いため、問題とならない。
なお、敷料と炭を別途に用意して混合することもできるが、この製造方法によれば、紙の内部に炭を担持させられるうえ、比較的分離し易い炭はパルプ回収工程で分離するので、牛の移動等により炭と敷料が分かれて均一性がなくなる心配もなく、また紙から水分を吸収しやすいため、効果も得られやすい。一方従来技術のように乾式破砕した紙に炭を混合しても、運搬時及び使用時に簡単に分離してしまい、濡れた床面に付着して回収が難しくなる。また、結合剤で付着させると、造粒時の結合剤と同様な課題が生じてしまう。なお、炭は、メタン発酵時に微生物の住処となって微生物の増殖によるメタン生成効率の向上及び安定化に寄与するものの、直接メタン発酵の原料とはならないため、添加量の上限値は30%に制限される。以上のことから、現状のおがくずより安価で、使い易い敷料を提供できるうえ、この敷料が混合された糞尿を使用することにより、メタン発酵のメタン発生効率は向上する。
<炭混合による脱臭効果の実験(実験例26〜31)>
次に、この製造方法により製造した紙材の特徴を実験例26〜31によって確認した。
まず、廃石膏ボードを破砕し、一辺が5mm以上のものを紙として分離して得られた石膏が付着した紙片に水を加えてスクリューで撹拌・離解し、汚泥炭を紙材100重量%に対して10重量%混入(実験例26〜28)、ないし未混入(実験例29〜31)したのち、開口幅2mmの金網で濾して得られたパルプを、更に水で濯ぎ、石膏を除去したのち、型に入れて成形し、110℃で乾燥した。
乾燥した紙材を裁断し、厚み約0.5mm、1mm、2mmの10mm角の実験例26〜28の紙材試料を作成した。実験例26〜28の紙材試料のそれぞれにアンモニア水(臭気源)を0.5ml/g乃至2ml/g滴下し、1分後及び5分後の臭気の強さを測定した。測定結果を、アンモニア水の滴下量とともに表5、図6、図7に纏めて示した。
Figure 0006664636
図6、図7及び表5に示した結果から以下のことが判明した。
すなわち、実験例26〜28の紙材試料(炭を混合した紙材)と実験例29〜31の紙材試料(炭無)との対比から、図6に示したように、滴下量が少ない場合、アンモニア水の滴下後1分から5分後までの臭気レベルは紙材の厚み0.5mm、1mm、2mmのいずれの厚さに対しても、右肩下りで急勾配に降下し、各厚みにおける各臭気レベルは炭を混合した紙材(実験例26〜28)が炭無の紙材(実験例29〜31)より臭気レベル降下が低く推移し、脱臭効果が向上している。また、図7に示したように、滴下量が多い場合、実験例26〜28の紙材(炭を混合した紙材)と実験例29〜31の紙材(炭無)との対比から、右肩下がりで降下し、その勾配は滴下量が少ない場合(図6参照)より、なだらかになっている。この場合も、脱臭効果は炭入紙材がよくなっている。
以上、両者の対比から、滴下量が少ない場合と多い場合とにおいて、炭入りと炭無の紙材は、前者の脱臭効果が高く、また、そのスピードは、前者が速く、後者が若干遅くなることが分かった。なお、これらの点は、既に実施形態1の敷料への使用で一部説明した。
図8を参照して、本発明の実施形態4に係る廃石膏ボードから分離した紙片を原料にした紙材の製造方法を説明する。なお、図8は本発明の実施形態4に係る廃石膏ボードから分離した紙片を原料にした紙材の製造方法の工程ブロック図である。
実施形態4に係る廃石膏ボード分離紙を原料にした紙材の製造方法10Dは、実施形態2の製造方法10Bにおいて、水中攪拌・破砕工程とパルプ回収工程との間に炭混入工程を介在させた点が異なり、他の工程は同じになっている。そこで、以下の説明は共通する工程に同一の符号を付してそれらの説明を援用することし、異なる工程について詳述する。
実施形態4の製造方法10Dは、実施形態2の製造方法10Bにおいて、水中攪拌・破砕工程14とパルプ回収工程15との間に所定量の炭を混入する炭混入工程14Aを介在させた構成を有する。
実施形態4の製造方法10Dの炭混入工程14Aは、実施形態3の製造方法10Cの炭混入工程14Aと同じである。
したがって、この実施形態4の製造方法によれば、実施形態2乃至3の製造方法と同じ作用効果を奏し、さらに、脱臭性を高めることができる。すなわち、一般的に炭は、主たる臭気成分であるアンモニアを僅かしか吸着しないが、敷料において臭気成分を含んだ水分(糞尿水)を炭内に蓄えることができるうえ、見掛けの表面積(蓄えられた水分と空気又は炭外の水分との接触面積)が小さいため、蓄えた水分からの臭気成分の蒸発量は比較的少なく、その効果は成形した紙よりも優れていることがわかる。
10A〜10D 紙材の製造方法
11 廃石膏ボード
12 破砕工程
13 紙片回収工程
14 水中撹拌・破砕工程
14A 炭混入工程
15 パルプ回収工程
16 紙材成形工程
16 圧搾部
16 解砕部
17 乾燥工程
18 紙材
P1 紙片
P2 古紙

Claims (9)

  1. 廃石膏ボード分離紙片を水中に投入して該紙片に付着した石膏を細分化して分離すると共に該紙片を揉み解し植物組織を水中に分散・懸濁させて、水溶性成分等を溶出させたパルプ液を生成する水中撹拌・破砕工程と、前記パルプ液から石膏、易遊離パルプ、水溶性成分等及び水を分離してパルプを回収するパルプ回収工程と、前記パルプを所定形状に成形する紙材成形工程及び前記紙材を所定の温度で乾燥する乾燥工程を含むことを特徴とする廃石膏ボード分離紙を原料にした紙材の製造方法。
  2. 前記水中攪拌・破砕工程において、前記紙片を予め128℃以上163℃未満の温度範囲に加熱して処理することを特徴とする請求項1に記載の廃石膏ボード分離紙を原料にした紙材の製造方法。
  3. 前記水中攪拌・破砕工程において、所定量の古紙を混入することを特徴とする請求項1又は2に記載の廃石膏ボード分離紙を原料にした紙材の製造方法。
  4. 前記水中攪拌・破砕工程において、所定量の炭を混入することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の廃石膏ボード分離紙を原料にした紙材の製造方法。
  5. 前記パルプ回収工程において、回収パルプを水洗及び脱水を行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の廃石膏ボードから分離した紙片を原料にした紙材の製造方法。
  6. 前記紙材成形工程において、成形後の含水率は50〜80重量%の範囲にあることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の廃石膏ボードから分離した紙片を原料にした紙材の製造方法。
  7. 前記乾燥工程において、128℃未満の温度で乾燥することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の廃石膏ボード分離紙を原料にした紙材の製造方法。
  8. 廃石膏ボードを所定の形状乃至サイズに破砕する破砕手段と、前記破砕物から紙片を分離・回収する紙片回収手段と、前記紙片を水中に投入して揉み解し植物組織を水中に分散・懸濁させるとともに水溶性成分等を溶出させたパルプ液を生成する水中撹拌・破砕手段と、
    前記パルプ液に含まれる石膏、易遊離パルプ及び水溶性成分等並びに水を分離してパルプを分離・回収するパルプ回収手段と、前記パルプを所定形状に成形する紙材成形手段と、前記紙材を所定の温度で乾燥する乾燥手段と、を備えたことを特徴とする紙材製造装置。
  9. 前記パルプ回収手段には、回収パルプを水洗及び脱水を行う洗浄・脱水部が付設されていることを特徴とする請求項8に記載の紙材製造装置。
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