JP6664636B1 - 廃石膏ボード分離紙を原料にした紙材の製造方法及び製造装置 - Google Patents
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Abstract
Description
一般の人々の間には、リサイクル品はバージン(virgin)材よりも安くあるべきという理解が潜在し、その一方で、現実は処理加工のコストが予想以上に掛かり、それがリサイクル品に反映されて高価になることから、廃石膏ボードの再資源化は躊躇され、結局、殆どが管理型最終処分場に埋設処分されている。なお、安定型最終処分場での埋設は禁止されている。
図1、図2を参照して、実施形態1に係る廃石膏ボード分離紙を原料にした紙材の製造方法及び製造装置を説明する。なお、図1は本発明の実施形態1に係る廃石膏ボード分離紙を原料にした紙材の製造方法を示し、図1Aは工程ブロック図、図1Bは図1AのB部分を変更したブロック図、図2は紙材から発生する微粉石膏量の測定結果を示したグラフである。
ア 処理時に廃石膏ボードを焼成しないので、従来技術の廃石膏ボードを焼成する方法に比べて、焼成工程が不要になる分工程が簡素化されて、廃石膏ボードから簡単に紙片を分離して、この紙片から石膏の付着量を極小乃至略ゼロにした紙材を簡単にしかも安価に再生・製造できる。
イ また、紙材に、石膏が残存付着しても、石膏の分離・飛散を抑制、特に粉塵となって飛散するのを抑制できるので、安全性を確保でき、広範囲の用途、例えば、再生紙などの原料或いは緩衝材及び敷料などへの使用が可能になる。
ウ 特に、動物用敷料に使用する際には、製造過程において易遊離パルプ及び水溶性成分等は分離・除去されているので、紙粉が飛散することはなく、また畜舎の床面はベトベトの状態になることを抑制できる。また、家畜糞尿を吸収させたメタン発酵の原料にしてメタン生成率を上げることができる。なお、泥寧化、復元性・クッション性及び吸水性・保水性なども改善される。
エ また、元原料の廃石膏ボードが地域乃至季節などで変動し不足する場合には、一般古紙を混合して安定した量の紙材を製造できる。
オ さらに、製造装置は、破砕手段、紙片回収手段、水中撹拌・破砕手段、パルプ回収手段、紙材成形手段及び乾燥手段からなり、これらの手段乃至装置はいずれも極普通のありふれた汎用手段(装置)であって、これらで構成できるので、従来の加熱(乾式、水蒸気、熱水等)方式を採用した手段(装置)に比べて、安価に構築できる。
廃石膏ボード11は、バージン(virgin)石膏ボードと同じ構成を有している。すなわち、焼き石膏(半水石膏)を主原料とし、鋸屑、パーライト、発泡材などを混合し、水で練ってペースト状にしたものを2枚の原紙間に流し込み、板状に固めた構成を有している。2枚の原紙は、対向内面に接着剤が塗布され、この接着剤によって原紙と石膏とが接着されている。
この廃石膏ボード破砕工程12では、処理施設において、計量、異物混入の確認、除去を行った後、シュレッダーにより廃材を所定の形状乃至大きさに一次破砕する。このときの破砕片は、一辺が所定の長さ、例えば10mmとなる程度の大きさとし、両側の原紙とその間に挟まれた石膏とが分離する状態になるまで破砕する。この一次破砕で分離した石膏は全量が例えば2mm未満の粉粒状となり、また紙片には接着剤により石膏が付着している。
この紙片回収工程13では、前破砕工程12で破砕した破砕物を篩に掛けて石膏と紙片とに分離・分級する。例えば、破砕物を、所定の篩目、例えば5mm網目の振動篩で石膏と紙片(一部石膏が付着している)とに分別する。この分別後の紙片にまだ石膏が付着している場合、ローラ式破砕機などで二次破砕して付着している石膏を機械的に分離する。この破砕により、石膏は接着箇所から分離される。分離した紙片は、次工程へ搬送し、石膏は別途処理する。
この水中撹拌・破砕工程14では、前紙片回収工程で回収した紙片、及び/乃至他からの紙片P1を水中に投入し、スクリュー等の撹拌子を使用して撹拌して、紙片に付着した石膏を所定の粒径になるまで微細化し、さらに紙片を揉み解して紙片の植物組織を水中に分散・懸濁させるとともに水溶性成分等を溶出させたパルプ液を生成する。
この微細化の石膏粒径は、0.075mm〜1.5mmの範囲であり、この範囲にあって、粒径1.0mmを中心にマイナス(−)0.2mm〜プラス(+)0.2mmにするのが好ましい。すなわち、この粒径が1.5mmを超えると、二水石膏であっても使用中に外力により破砕されやすく、破砕されると微粉が発生し、これに対して、1mm程度の微粒であれば、使用中に外力が働きにくいために、破砕され難く、微粉が発生し難くなるからである。
なお、この予備加熱は、予備加熱手段(装置)によって、水中撹拌・破砕工程の前乃至この工程に付設して行う。
このパルプ回収工程では、パルプ液を篩い分け装置(なお、スクリーンともいわれている)を用いて、石膏分を除去して、紙片パルプを分離・分別し、パルプを回収する。また、この工程では洗浄及び脱水部(手段・装置、図示省略)を付設し、回収パルプを水洗及び脱水を行い繊維内に残る水溶性成分等及び易遊離パルプを除去するのが好ましい。これにより繊維内に残存する石膏は次工程において成形することで紙材内に封じ込められ、また水溶性成分等及び易遊離パルプは脱水により搾り出される。また、この水洗及び脱水は必要に応じて数回繰り返して行うことにより、水溶性成分等及び易遊離パルプは90%以上乃至略全て除去される。
すなわち、後者のバージンパルプは繊維の表面に多くのひだがあるので繊維同士が絡まって強度があり、また繊維断面にはひび割れが無いので一本一本の繊維が強くコシがある。これに対して、後者の古紙パルプは再生のたびに擦られひだがすり減っているので繊維同士が絡まり難くそのために強度が低下し、また内部には層のひび割れが起り、繊維が脆くなっている。
したがって、このパルプ液が所定篩目サイズ(1.5〜2mm)を通過しようとすると、繊維の絡み合いが弱いものは即通過して除去され、篩目の大きさを超える集合体は通過しないことになる。したがって、この篩い分けはパルプ繊維の大小乃至長短ではなく、繊維の絡み合いが弱い、既に遊離し或いは遊離し易いパルプ(易遊離パルプ)が分離・除去されることになる。なお、易遊離パルプは泥寧化(ベトベト状態)の原因になる。
この紙材成形工程16では、前工程で回収したパルプをそれぞれの用途に対応・適合した形状に成形する。すなわち、回収パルプを所定形状の成形体乃至加工品にして、種々の用途に対応・適合したものにする。それらの形状は、特定の形状に限定するものでなく任意形状、例えばブロック状、シート状、ペレット状乃至フレーク状などにする。また、敷料用は、所定形状に成形すると共に、成形後の含水率は所定の値に調整するのが好ましい。
また、球状体にした後に、潰して平板状にすることで残存石膏の多くを内部に固定した平板にすることもできる。表面積を最小にする形状は、球状体の外に、例えば、少なくとも一面が平面乃至湾曲した塊(物)体などがある。また、見かけ上の表面積を少なくすることで、より多くの残存石膏を内部に固定することができる上、脱臭効果が発揮される。
また、一旦球形状に整形したのち、潰す等して平板状にすることで、残存石膏を多く固定した平板も作成できる。
すなわち、繊維状に破砕した紙片を成形することで、紙片内部に保水空間を形成することができる。さらに成形後の含水率を調整しながら成形することでより良好な吸水性及び保水性、保温性及びクッション性が得られる。この際、成形時に圧縮(圧搾)しすぎると、一旦解砕された紙繊維が圧縮され、紙繊維間の空間が狭くなり、吸水性、保水性、保温性及びクッション性が損なわれる。反対に圧縮が弱いと紙繊維間の空間が広くなりすぎて保水した水分の自重が表面張力より勝り、一旦吸水した水分が簡単に流れ出てしまううえ、成形工程から乾燥工程の間で形状が保てなくなる。
球状体に形成する成形機を用い、また、圧搾脱水手段(装置)も圧搾機を用いるが、これらはいずれも既に公知であり、本実施形態ではこれらを使用する。
まず、この実施形態では、紙材成形工程でシート状、ペレット状乃至フレーク状などに形成したが、この紙材成形工程で成形した成形体を次の乾燥工程で乾燥した後に、裁断などして、所定形状乃至サイズの加工品(紙片)にしてもよい。例えばシート状のものを裁断して所定形状・サイズの紙材にする。これにより、例えば、型にすると異なる寸法ごとにそれぞれ型が必要となるが、後で切断する場合、それぞれの型を作る必要がなく、コストが下がる。
この乾燥工程17では、前工程で成形した成形体乃至成形品を128℃(二水石膏と半水石膏の転移温度)未満で加温及び又は送風等により乾燥する。この工程で重要なことは、128℃以上で加温すると、二水石膏が半水石膏になって、微粉化し易くなるので128℃未満で乾燥することである。すなわち、128℃未満で乾燥すると二水石膏が保たれるので微粉化を良好に防止できる。また、100℃〜127℃の範囲で乾燥すると、滅菌効果も得られる。
乾燥後の紙材の含水率は、吸水性の確保及びカビの発生防止のため20%以下、クッション性を持たせるため5%以上(硬くなってしまう)、好ましくは8〜15%の範囲である。
以上の工程乃至装置により紙材18が製造される。製造した紙材18は、既に各工程で説明した優れた採用効果を奏するので、広い範囲の用途、例えば、再生紙などの各種の原料、緩衝材及び敷料などに安全且つ安心して使用できる。
この紙材18を家畜などの敷料に使用すると、以下の顕著な作用効果を奏する。
すなわち形状乃至サイズは、対象動物により異なるが、家畜等の場合、不定形で大きさは単一ではなく5〜10mm程度を中心に最大20mmくらいまでにして、また動物の移動によりあまり移動しないようにやや扁平で若干手足が出ている状態。つまり圧搾して解砕した状態が好ましい。
特に糞尿を含んだ敷料を回収する際、保水していた水分が流れ出したり、飛散したりして空気との接触面積が一気に増えると共に、表面の水分が飛沫化し、アンモニア等の臭気成分が揮発し、作業環境を悪化させる。これに対して、この紙材は、撹拌されても空気との接触面積が急激に増えることもなく、また飛沫化もし難いため、アンモニア等の臭気成分の揮発も増加せず、作業環境が悪化しない。
この泥寧化、すなわち粘性の原因は、主に、紙由来の粘性、糞尿由来の粘性及び両方の相乗作用にある。
a)水溶性成分等
紙は製造工程で様々な添加物があり、その中で填料として添加されるカオリン等の鉱物性粉末(言ってみれば粘土みたいなもの)もそのひとつであり、接着剤によって紙繊維間に固定されている。一般にこの接着剤は水に溶けないが、紙が吸水すると紙繊維が膨潤し、その接着力が弱くなり、紙繊維が離解されるとともにカオリン等の鉱物性粉末も溶け出すことで粘性が生じると考えられる。その他、抄紙工程でカルボキシメチルセルロース等も使用されている場合があり、これらは水溶性の増粘剤であり、粘性の要因となりうる。
なお、カオリン等の鉱物性粉末は厳密には水溶性成分ではないが、マクロ的には溶け出して懸濁するため、これらを総称して水溶性成分等とした。
紙は、繊維長が比較的短く、繊維の絡み合いによる結合だけでは弱いため、接着剤で補強される。この接着剤は水溶性ではないが、紙が水分を吸収して膨潤するとその接着力は弱くなり、ばらけ易くなる。特に乾式破砕、繊維揉み解し等した従来の紙製敷料は、水を含むと(特に周縁部のちぎれた部分が)ばらけ易く、易遊離パルプが発生する。さらに乾式破砕では易遊離パルプがより多く発生・残存していると考えられる。なお、易遊離パルプは紙敷料自体よりも水溶性成分等が溶け出し易いと考えられる。
紙製敷料及び易遊離パルプはそれ自体の大きさ(重さ)に対する水分を介した接触面積が広いため、表面張力による吸着力が強く、特に易遊離パルプのように微小になると移動(ズレ)の際の抵抗が粘性として感じられるようになる。
牛などの糞尿は元々粘性を有している。
紙は表面に多くの水を蓄える。したがって糞尿もその表面及び敷料間に濡れた状態で付着する。このため敷料間の移動(ズレ)がない時は、糞尿の固形分が凝集し紙表面に濡れたまま付着するが、移動(ズレ)が生じると濃縮した固形分が流れ出してしまう。このため床面はベトベト状態になる。
この実施形態1の製造方法により製造した紙材の作用効果を実験例1、2によって確認した。
次に、この実施形態の製造方法で作成した紙片の成形後の含水率と乾燥後の吸水性、クッション性及び成形工程から乾燥工程までの間での保形性について実験例3〜9によって確認した。
成形後の含水率が上がるにつれて見掛け密度は下がったのに対して、吸水量は増加した。これは成形後の含水率が上がる(成形時の圧縮の程度が小さくなる)につれて紙片の内部空間(すなわち保水空間)が広くなり、見掛け密度が小さくなるとともに、吸水量が増加するためである。成形後の含水率が50重量%以上であれば吸水前の重量に対して1倍以上の吸水量が得られ、敷料としての性能が得られることが判明した。
以上の結果から、成形後の含水率を50〜80重量%内に管理することで、成形可能で且つ、吸水性、保水性、クッション性に優れた敷料が得られることが判明した。
図4を参照して、本発明の実施形態2に係る廃石膏ボード分離紙を原料にした紙材の製造方法及び製造装置を説明する。なお、図4は本発明の実施形態2に係る廃石膏ボード分離紙を原料にした紙材の製造方法の工程ブロック図である。なお、この製造方法も圧搾・解砕工程16A(図1B)を有するが省略されている。
混入する古紙P2の種類は、特定のものに限定するものでなく、一般の古紙、例えば、新聞、雑誌、コピー紙、ダンボール紙などである。これらの古紙にあっても、それぞれの特質があるので、例えば防水処理等が施されている古紙の場合は、さらに界面活性剤を添加し、濡れ性を改善するのが好ましい。すなわち界面活性剤を水に添加することで、揉み解された紙繊維の中まで界面活性剤を作用させることができ、紙繊維全体に親水性を付与することができる。
すなわち、この混入量は、実施形態1の製造方法10Aで製造する紙材量によって適宜決定する。
この実施形態2の製造方法(装置)によれば、実施形態1の製造方法(装置)と同じ作用効果を奏し、さらに、実施形態1の製造方法(装置)では目標とする紙材量を製造できなくなるのを回避できる。
この実施形態2の製造方法で製造した紙材を用いて動物用敷料を作成し、吸水量を確認した。
まず廃石膏ボード分離紙片、2種類の使用済みコピー紙1、2、使用済み段ボール紙及び使用済み駐車券の上に水滴を滴下し、吸水性を確認した。
すなわち、廃石膏ボード分離紙片、使用済みコピー紙1及び2、使用済み段ボール紙、使用済み駐車券及び廃石膏ボード分離紙片に使用済み駐車券を重量比で1:1の割合で混合したものにそれぞれ水を加えてスクリューで撹拌・離解したのち、開口幅1.5mmの金網で濾して得られたパルプをさらに水で濯ぎ、石膏、易遊離パルプ及び水溶性成分等を除去したのち、型に入れ成形し、110℃で乾燥し、直径3mm、厚さ4mmの実験例10〜15の試料を作成した。また、破砕工程において、水に界面活性剤を添加する以外は同様にして、実験例16〜21の試料を作成した。
実験例10〜21の結果から、廃石膏ボード分離紙片、又は一般的な古紙を原料とする動物用敷料では、吸水性が変わらず、防水処理が施された古紙においても、界面活性剤を加えることで同等以上の吸水性が得られることが判明した。
実験例11で用いた古紙(使用済みコピー紙1)を使って、従来の紙製敷料において問題となる床面がベトベトする原因について実験を行った。
使用済みコピー紙1を約10mm角に裁断した紙片(実験例22)、約10mm角に裁断したのち、指で揉み解した紙片(実験例23)、実施形態2の製造方法で作成した紙片(実験例24)をそれぞれシャーレに載せ、全体が十分濡れるようにスポイトで水を滴下したのち静置し、30分後及び1時間後の状態を目視で確認するとともに、指で擦って表面の状態を確認した。その結果を表4に示した。
実験例25では、実施形態2と同様の製造方法で製造された紙材を用いて動物用敷料を作製し、石膏及び紙粉の飛散の程度を確認した。すなわち、廃石膏ボードを破砕し、一辺が5mm以上のものを紙として分離して得られた石膏が付着した紙片に段ボール紙を20重量%の割合で混合し、水を加えて破砕機を通してパルプ状になるまで水中で破砕したのち、網の開口幅2mmのスクリュープレス脱水装置により圧搾脱水した。その後水洗し、再びスクリュープレス脱水装置により含水率が50〜80重量%になるよう圧搾脱水したのち、撹拌子のついた解砕機で主に5〜10mmの塊状に解砕した。その後、塊状にした紙材に風を送り、送風乾燥し、敷料を得た。この紙材を敷料として牛舎に敷き詰めた。敷き詰め作業時に石膏及び紙粉の飛散はなく、使用中も床面がベトベトな状態になることはなかった。また、糞尿を含んだ敷料を回収する際に、水分が流れ出ることもなく、強い臭いも発生しなかった。
次に、この製造方法により製造した紙材の特徴を実験例26〜31によって確認した。
まず、廃石膏ボードを破砕し、一辺が5mm以上のものを紙として分離して得られた石膏が付着した紙片に水を加えてスクリューで撹拌・離解し、汚泥炭を紙材100重量%に対して10重量%混入(実験例26〜28)、ないし未混入(実験例29〜31)したのち、開口幅2mmの金網で濾して得られたパルプを、更に水で濯ぎ、石膏を除去したのち、型に入れて成形し、110℃で乾燥した。
乾燥した紙材を裁断し、厚み約0.5mm、1mm、2mmの10mm角の実験例26〜28の紙材試料を作成した。実験例26〜28の紙材試料のそれぞれにアンモニア水(臭気源)を0.5ml/g乃至2ml/g滴下し、1分後及び5分後の臭気の強さを測定した。測定結果を、アンモニア水の滴下量とともに表5、図6、図7に纏めて示した。
すなわち、実験例26〜28の紙材試料(炭を混合した紙材)と実験例29〜31の紙材試料(炭無)との対比から、図6に示したように、滴下量が少ない場合、アンモニア水の滴下後1分から5分後までの臭気レベルは紙材の厚み0.5mm、1mm、2mmのいずれの厚さに対しても、右肩下りで急勾配に降下し、各厚みにおける各臭気レベルは炭を混合した紙材(実験例26〜28)が炭無の紙材(実験例29〜31)より臭気レベル降下が低く推移し、脱臭効果が向上している。また、図7に示したように、滴下量が多い場合、実験例26〜28の紙材(炭を混合した紙材)と実験例29〜31の紙材(炭無)との対比から、右肩下がりで降下し、その勾配は滴下量が少ない場合(図6参照)より、なだらかになっている。この場合も、脱臭効果は炭入紙材がよくなっている。
実施形態4の製造方法10Dは、実施形態2の製造方法10Bにおいて、水中攪拌・破砕工程14とパルプ回収工程15との間に所定量の炭を混入する炭混入工程14Aを介在させた構成を有する。
したがって、この実施形態4の製造方法によれば、実施形態2乃至3の製造方法と同じ作用効果を奏し、さらに、脱臭性を高めることができる。すなわち、一般的に炭は、主たる臭気成分であるアンモニアを僅かしか吸着しないが、敷料において臭気成分を含んだ水分(糞尿水)を炭内に蓄えることができるうえ、見掛けの表面積(蓄えられた水分と空気又は炭外の水分との接触面積)が小さいため、蓄えた水分からの臭気成分の蒸発量は比較的少なく、その効果は成形した紙よりも優れていることがわかる。
11 廃石膏ボード
12 破砕工程
13 紙片回収工程
14 水中撹拌・破砕工程
14A 炭混入工程
15 パルプ回収工程
16 紙材成形工程
161 圧搾部
162 解砕部
17 乾燥工程
18 紙材
P1 紙片
P2 古紙
Claims (9)
- 廃石膏ボード分離紙片を水中に投入して該紙片に付着した石膏を細分化して分離すると共に該紙片を揉み解し植物組織を水中に分散・懸濁させて、水溶性成分等を溶出させたパルプ液を生成する水中撹拌・破砕工程と、前記パルプ液から石膏、易遊離パルプ、水溶性成分等及び水を分離してパルプを回収するパルプ回収工程と、前記パルプを所定形状に成形する紙材成形工程及び前記紙材を所定の温度で乾燥する乾燥工程を含むことを特徴とする廃石膏ボード分離紙を原料にした紙材の製造方法。
- 前記水中攪拌・破砕工程において、前記紙片を予め128℃以上163℃未満の温度範囲に加熱して処理することを特徴とする請求項1に記載の廃石膏ボード分離紙を原料にした紙材の製造方法。
- 前記水中攪拌・破砕工程において、所定量の古紙を混入することを特徴とする請求項1又は2に記載の廃石膏ボード分離紙を原料にした紙材の製造方法。
- 前記水中攪拌・破砕工程において、所定量の炭を混入することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の廃石膏ボード分離紙を原料にした紙材の製造方法。
- 前記パルプ回収工程において、回収パルプを水洗及び脱水を行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の廃石膏ボードから分離した紙片を原料にした紙材の製造方法。
- 前記紙材成形工程において、成形後の含水率は50〜80重量%の範囲にあることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の廃石膏ボードから分離した紙片を原料にした紙材の製造方法。
- 前記乾燥工程において、128℃未満の温度で乾燥することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の廃石膏ボード分離紙を原料にした紙材の製造方法。
- 廃石膏ボードを所定の形状乃至サイズに破砕する破砕手段と、前記破砕物から紙片を分離・回収する紙片回収手段と、前記紙片を水中に投入して揉み解し植物組織を水中に分散・懸濁させるとともに水溶性成分等を溶出させたパルプ液を生成する水中撹拌・破砕手段と、
前記パルプ液に含まれる石膏、易遊離パルプ及び水溶性成分等並びに水を分離してパルプを分離・回収するパルプ回収手段と、前記パルプを所定形状に成形する紙材成形手段と、前記紙材を所定の温度で乾燥する乾燥手段と、を備えたことを特徴とする紙材製造装置。 - 前記パルプ回収手段には、回収パルプを水洗及び脱水を行う洗浄・脱水部が付設されていることを特徴とする請求項8に記載の紙材製造装置。
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