JP4371550B2 - 乗降補助装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉄道車両の乗降口とプラットホームとの隙間および段差を解消し、車椅子等による移動を容易にした乗降補助装置に関するものであり、特に本発明は、ホームドアと組み合わせて使用するに好適な乗降補助装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
鉄道車両の停車駅が直線部分にある場合、プラットホーム端と車両の乗降口間の距離は比較的短くなるようになっているが、停車駅が曲線部分にかかっている場合が少なからずあり、このような所ではプラットホーム端と車両の乗降口間が拡がっており、乗降客が線路に落ちる危険もはらんでいた。
また、通常、車両床面はプラットホームより高くなっており、この段差のため、車椅子での乗降には支障があった。
【0003】
このような不具合を解消するため、従来から種々の乗降補助装置が提案されている。
例えば特開平2-212257号公報に開示されるものは、車両停車中、可動踏板が斜め上方に移動してプラットホーム面までせり上がってくることによりプラットホームと停車車両の乗降口との間の隙間を減少させ乗降客の転落防止を図るとともに、車両床面とプラットホームの段差を解消しようとするものである。
また、例えば、特開平7-108926号公報、特開平7-108927号公報に開示されるものは、車両の床面とプラットホーム面との間に進退および傾動可能なステップ板を設け、車両停車中、該ステップ板を前進、傾動させプラットホームと停車車両の乗降口との間の隙間を減少させ段差を解消しようとするものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記特開平2-212257公報に開示されるものは、可動踏板がプラットホーム下から斜め上方にせり上がってくる方式のため、プラットホームを深く掘り下げる必要があり、設置工事費が非常に高くつくという不具合があった。また、可動踏板が前進したときの可動踏板先端と車両床面の段差を小さくしようとすると、可動踏板の傾斜が急になり、車椅子による乗降等には支障が生ずる場合があった。
前記特開平7-108926号公報、特開平7-108927号公報に開示されるものは、ステップ板を傾けるための傾動装置とステップ板を進退させる進退駆動装置が同一駆体の中に配置され、装置構成が比較的複雑であった。
【0005】
また、上記従来例に示されるものは、いずれもプラットホームと車両との間の隙間を減少させるとともに、車両床面との段差を解消する機能を備えたものであるが、実際には、プラットホームの全ての箇所に前記隙間を減少させるとともに段差を解消する機能を備えたホームステップ(以下、「段差および間隙解消型ホームステップ」という)を設置する必要がなく、必要な箇所に上記段差および間隙解消型ホームステップを設置し、その他の箇所には、プラットホームと停車車両の乗降口との間の隙間のみを減少させる機能を備えたホームステップ(「間隙解消型ホームステップ」という)を設置すればよい場合が多い。このため、このような仕様変更に容易に対応できる乗降補助装置が望ましい。
従来の乗降補助装置においては、このような要望に十分対応することができなかった。
【0006】
さらに近年、駅プラットホームからの転落事故が増えており、その対策としてプラットホームにホームドアを設置する駅が増加している。このため、上記乗降補助装置とホームドアとを一体化して構成するのが望まれている。
特に、乗降時の安全を考慮すると、ホームドアが閉じているときに、上記乗降補助装置のステップ板(可動踏板)を動作させ、前記隙間を減少させるとともに段差を解消するのが望ましい。
本発明は上記事情に鑑みなされたものであって、その目的とするところは、装置構成が比較的簡単で、設置工事が容易であり、かつ、装置の仕様変更に容易に対応することができ、さらにホームドアと一体化することができる乗降補助装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を本発明においては、次のようにして解決する。
(1)プラットホーム上の停車車両の乗降口に対応する位置に設置され、車両停車時に開閉動作をするホームドアと、上記ホームドアを収納する戸袋とを備えたホームドア・システムに適用される乗降補助装置において、乗降補助装置を以下のように構成する。
停車車両の乗降口に対応するプラットホーム上の上記ホームドアの下方に配置され、上面がプラットホーム面に一致するように設置され、車両側端がホーム面から上昇するように傾動可能に支持されたホームステップ・ユニットを備え、上記ホームステップ・ユニットは、ホームドア直下もしくはホームドア直下より車両側に設けられたヒンジ機構によりプラットホームに傾動可能に支持され、ホーム面にはホームステップ・ユニットを取り付けたときその上面がホーム面と同一にになる凹部が設けられ、上記ヒンジ機構よりホーム中央よりの部分は、ホームステップ・ユニットが傾動可能なようにホーム中央側に近くなるほど深くなる凹部が設けられ、ホーム面の上記ヒンジ機構よりホーム中央よりには、ホームステップ・ユニットの上面を覆うカバー板が設けられる。
上記ホームステップ・ユニット内にスライド可能に取付けられ、車両停車時は乗降口に向かって前進し、車両不在時にはホームステップ・ユニット内に後退するステップと、上記ステップを前進/後退させる第1の駆動機構と、上記ホームステップ・ユニットの下方に配置され、上記ホームステップ・ユニットの車両側端を上昇/下降させる第2の駆動機構と、上記第1の駆動機構と、第2の駆動機構を制御する制御部とを設け、該制御部を、前記戸袋内に設ける。
上記のように、ホームステップ・ユニット内にスライド可能に取付けられ、車両停車時は乗降口に向かって前進し、車両不在時にはホームステップ・ユニット内に後退するステップをホームステップ・ユニット内にスライド可能に取付け、上記ステップを前進/後退させる第1の駆動機構を上記ホームステップ・ユニット内に設け、また、上記ホームステップ・ユニットの車両側端を上昇/下降させる第2の駆動機構を上記ホームステップ・ユニットの下方に配置したので、第2の駆動機構を除去すれば、そのまま間隙解消型ホームステップとして使用することができ、使用変更に容易に対応することができる。
また、上記のように、ホームステップ・ユニットを支持するヒンジ機構をホームドアの直下もしくはホームドア直下より車両側に設けることにより、ホームドアの開閉に関係なく、ホームステップ・ユニットを傾動させることができる。
さらに、制御部を、ホームステップ・ユニット内に設けずに前記戸袋内に設けたので、ホームステップ・ユニットの高さを低くすることができ、ホームへの設置工事のコストを低減化することができる。
(2)上記(1)において、車両が停止したとき、上記制御部は、ホームドアが開く前に、上記第1の駆動機構を駆動して上記ステップを車両側に前進させるとともに、上記第2の駆動機構を駆動して車両床面とプラットホーム面の段差を解消するように上記ステップを上昇させる。
このため、ホームドアが開く前に、ステップを車両側に前進させるとともに、車両床面とプラットホーム面の段差を解消することができ、安全性を十分に確保することが可能となる。
(3)上記(1)(2)において、上記制御部は、車両が停止したとき、ホームドアが開く前に、上記第1の駆動機構を駆動して上記ステップを車両側に前進させ、次いで上記第2の駆動機構を駆動して車両床面とプラットホーム面の段差を解消するように上記ステップを上昇させ、その後、第1の駆動機構を駆動して、上記ステップを車両側に前進させて車両とステップ間の隙間を減少させる。
上記のようにステップを上昇させた後に、ステップを車両側に前進させることにより、ステップを傾動させたことにより生ずる隙間を解消することができ、車椅子での乗降等をよりスムースに行うことが可能となる。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1、図2は本発明の実施例の乗降補助装置の構成を示す図である。図1(a)は本実施例の乗降補助装置を上から見た図、図(b)は図1(a)をB方向から見た図、図2は図1のA−A断面図である。
図1、図2において、1はプラットホーム、8は車両、9は車両の床面、10は車両側のドアである。2は車両停車時に乗降口に向かって進み、車両出発時には後退するステップであり、同図は、車両8が停車し、ステップ2が車両に向かって接近している状態を示している。
3はホームステップ・ユニットであり、ホームステップ・ユニット3の車両に対向する面の一部は開口している。また、ホームドア直下にはヒンジ機構4が設けられ、また、プラットホーム1には図2の1cに示す凹部が設けられているので、ホームステップ・ユニット3は、該ヒンジ機構4を軸として、図2の点線に示すように傾動可能である。また、ホーム面には、ホームステップ・ユニット3の上面(ヒンジ機構よりホーム中央よりの部分)を覆うカバー板3eが設けられており、このカバー板3eはホーム面に固定されホームステップ・ユニット3が傾動しても移動しない。
このため、第2の駆動機構21によりホームステップ・ユニット3の一方端を上昇させたとき、同図の点線に示すようにホームステップ・ユニット3は傾く。その際、ホームステップ・ユニット3の右側(ヒンジ機構4よりプラットホームの中央側)は同図に示すようにプラットホーム面より低くなるが、カバー板3eが設けられているので、ホーム面に凹部ができることはない。
また、ホームステップ・ユニット3は上記ヒンジ機構4を軸としているので、ホームドアが閉じていても、ホームステップ・ユニット3を傾動させることができる。
ステップ2は該ホームステップ・ユニット3に対して前進/後退可能に取り付けられ、ホームステップ・ユニット3内には、ステップ2を前進/後退させる第1の駆動機構(後述する)が設けられている。ステップ2が後退しているとき、ステップ2全体がホームステップ・ユニット3内に収納され、上記第1の駆動機構によりステップ2を前進させると、ステップ2はホームステップ・ユニット3に設けられた上記開口から車両方向に向かって突出する。
【0009】
ホームステップ・ユニット3の下方には、ステップ2とともにホームステップ・ユニット3を、図2の点線に示すように傾動させる第2の駆動機構21が設けられている。第2の駆動機構21によりホームステップ・ユニット3を傾けステップ2の車両側端を上昇させることにより、ステップと車両床面の段差が解消される。
5はホームドア用戸袋、6はホームドアであり、ホームドア6は車両が停止し、車両のドアが開くとき開き、車両のドアが閉じるとホームドア6も閉じる。同図はホームドアが閉じている状態を示している。
ホームドア用戸袋には、上記第1、第2の駆動機構を制御する制御部30を収納する制御部収納部7が設けられている。
【0010】
図1、図2は、本実施例の乗降補助装置を前記した「段差および間隙解消型ホームステップ」として使用する場合の構成例であるが、前記したように、必ずしも、プラットホームの全ての箇所に「段差および間隙解消型ホームステップ」を設置する必要がなく、例えば、車両の前よりのドアと車両の後ろよりのドアに対応した位置に「段差および間隙解消型ホームステップ」を設置し、その他のドアに対応した位置には、「間隙解消型ホームステップ」を設置する場合が想定される。
このように本実施例の乗降補助装置を「間隙解消型ホームステップ」として使用する場合には、図1、図2において、ヒンジ機構4を設けず、ホームステップユニット3をプラットホーム1に固定し、第2の駆動機構21を除去する。
本実施例によれば、同一のホームステップユニット3を複数用意しておき、間隙解消型ホームステップとして使用する場合には、そのままホームステップ・ユニット3をプラットホーム1に固定し、また、「段差および間隙解消型ホームステップ」として使用する場合には、ヒンジ機構4を設けてプラットホーム1にホームステップ・ユニット3を傾動可能に取付け、その下方に第2の駆動機構21を設ければよい。したがって、種類の異なった複数のホームステップ・ユニット3を用意しておく必要がなく、仕様変更に極めて容易に対応できる。このためコストの低減化を図ることもできる。
【0011】
図3は、上記ホームステップ・ユニット3の構成例を示す図である。同図(a)はホームステップ・ユニット3を上から見た図、同図(b)(c)は同図(a)のA−A断面図であり、(b)はステップ2が前進した状態を示し、(c)はステップ2が後退した状態を示している。
図3に示すように、ホームステップ・ユニット3の車両に対向する面には開口3aが設けられており、また、ホームドアの直下に対応する位置の両端部には図3(a)に示すようにヒンジピン4aが取り付けられている。ヒンジピン4aはホームステップ・ユニットの箱荷重に十分に耐える強度を持ち、ホームステップ・ユニット3の左右に固定される。
また、ホームステップ・ユニット3の下部板3bには、図3(b)(c)に示すようにボールネジナット21aが回動可能に取付けられ、該ボールネジナット21aは後述するように、第2の駆動機構21のボールネジと螺合している。
【0012】
ホームステップ・ユニット3内にはレールガイド3cが取り付けられ、レールガイド3cにはスライド部材2aが摺動可能に係合しており、スライド部材2aは、ステップ2に取り付けられた可動板2bに取り付けられている。
また、ステップ2にはボールネジナット11aが取り付けられ、ボールネジナット11aはホームステップ・ユニット3内に設けられた前進/後退用電動機11bにより駆動されるボールネジ11cと螺合している。したがって、前進/後退用電動機11bを一方の方向に回転させることにより、ステップ2は前進し、図3(b)に示すように上記開口3aから突出する。また、前進/後退用電動機11bを他方向に回転させることにより、ステップ2は後退し、図3(c)に示すようにホームステップ・ユニット3内に収納される(上記ボールネジナット11a、前進/後退用電動機11b、ボールネジ11cからなる駆動機構を第1の駆動機構11という)。
【0013】
図4はホームステップ・ユニット3のプラットホーム1への取付けを説明する図であり、図4(a)はホームステップ・ユニット3がプラットホーム1に取り付けられていない状態を示し、図4(b)はホームステップ・ユニット3をプラットホームに取り付けた状態を示し、図4(c)はヒンジ機構の構成例を示している。
プラットホーム面には図4(a)に示すようにホームステップ・ユニット3を取り付けたとき、その上面がホーム面と同一平面になるように凹部1aが形成され、凹部1aのプラットホーム端側には、前記したボールネジナット21aが貫通する貫通穴1bが設けられている。また、ホームドア直下の両端には前記ホームステップ・ユニット3のヒンジピン4aと係合するヒンジベース4bが設けられている。さらに、上記ヒンジベース4bよりホーム中央よりの部分は、前記したようにホームステップ・ユニットが傾動可能なように、ホーム中央側に近くなるほど深くなる凹部1cが設けられている。
【0014】
ホームステップ・ユニット3は、図4(b)に示すように上記プラットホーム1に設けられた凹部1a内に設置され、ホームステップ・ユニット3に取付けられたヒンジピン4aは図4(c)に示すようにヒンジベース4bに設けられた凹部と係合する。上記のようにホームステップ・ユニット3を設置した後、ヒンジベース4bにヒンジ4cを取付け、ホームステップ・ユニット3を傾動可能に支持する。なお、上記例では、ヒンジ機構4をホームステップ・ユニット3の両側に設ける場合について示したが、ヒンジ機構4をホームステップ・ユニット3内に収納することもできる。
なお、以上の説明では、ヒンジ機構4をホームドア直下に設ける場合について説明したが、ヒンジ機構4を、ホームドアの直下より車両側(プラットホーム端側)に設ければ、ホームドア閉じた状態でホームステップ・ユニット3を傾動させることができる。その場合は前記したカバー板3eをヒンジ機構4が設けられる位置まで延長する。
図4では、本実施例の乗降補助装置を「段差および間隙解消型ホームステップ」として使用する場合の構成例であるが、例えば、本実施例の乗降補助装置を「間隙解消型ホームステップ」として機能させる場合には、プラットホーム1に上記ヒンジベース4b、貫通穴1b、凹部1cを設ける必要はない。
【0015】
図5は前記第2の駆動機構21の構成例を示す図である。図5(a)は側面図、図5(b)は正面図であり、この例では、第2の駆動機構が2セット設けられ、それらが同期運転される場合を示している。
図5において、3bはホームステップ・ユニット下部板であり、該下部板3bには、ボールネジナット21aが取付け部材3dにより回動可能に取り付けられている。21bはボールネジであり、上記ボールネジナット21aと螺合している。ボールネジ21bは、クラッチ21cを介して昇降用電動機21dの軸に連結されている。昇降用電動機21dは例えば電磁ブレーキ付、ギヤ付きのモータである(上記ボールネジナット21a、21bはボールネジ、クラッチ21c、昇降用電動機21dから駆動機構を第2の駆動機構21という)。
【0016】
図5において、車両床面とプラットホーム1の段差を解消するため、ホームステップ・ユニット3を傾動させる場合には、昇降用電動機21dを一方の方向に所定回転数だけ回転させる。これにより、クラッチ21cを介してボールネジ21bが回転し、ボールネジナット21aが上昇し、図5(a)の段差解消位置まで上昇する。次いで、昇降用電動機21dの電磁ブレーキを動作させ、その位置に保持させる。また、ホームステップ・ユニット3を水平状態に戻す場合には、上記電磁ブレーキを解除して、昇降用電動機21dを他方向に所定回転数だけ回転させる。これにより、クラッチ21cを介してボールネジ21bが回転し、ボールネジナット21aが下降し、図5(a)のホーム床面位置(水平位置)まで戻る。
【0017】
また、例えば電気系統が故障した場合には、クラッチ21cの係合を解除し、人の重さ等でホームステップ・ユニット3に荷重を掛け、ボールネジ21bを回転させて、ホームステップ・ユニット3を水平位置まで戻す。このため、ボールネジ21bのピッチは人の荷重で回転する程度のピッチに選定する。
なお、図5では、第2の駆動機構21を2セット設ける場合について示したが、図6に示すように、第2の駆動機構21を1台設けてホームステップ・ユニット3を傾動させるようにしてもよい。なお、この場合は、図6に示すようにホームステップ・ユニット下部板3bを補強板3b’で補強するのが望ましい。
【0018】
図7は、本実施例における制御部30の構成例を示す図であり、本実施例の制御部30は例えば、前記したようにホームドア用戸袋5に設けられた制御部収納部7に収納される。
上記のように制御部30をホームドア用戸袋5の一部膨らませた部分に収納することにより、ホームステップ・ユニット3を極力薄くすることができ、その結果、プラットホームの工事を大幅に減らすことを可能になる。
なお、制御部30の一部をホームステップ・ユニット3内に設置してもよい。すなわち、制御部30の一部をホームステップ・ユニット3に移してもその高さが高くならず、しかも、それにより、ホームドア用戸袋5に設けられた制御部収納部7の膨らみが、制御部30全体を上記ホームドア用戸袋5に入れるよりも少なくて済む場合は、制御部30の一部をホームステップ・ユニット3側に移したほうがよい。
この場合には、制御部30とホームステップ・ユニット3の間で制御信号を光ファイバー等で伝達すればノイズの問題も生じない。
なお、図1では、制御部収納部7をホームドア用戸袋5のプラットホーム端側(車両側)に膨らませたが、逆側(プラットホーム中央側)に膨らませることも本発明の一例であることはもちろんである。さらには、戸袋のプラットホーム端側(車両側)及び逆側(プラットホーム中央側)の両方を膨らませるのも本発明の一実施例である。
【0019】
図7において、31は前記第1、第2の駆動機構11,21を制御する制御装置であり、例えばマイクロコンピュータ等から構成される。32は第1の駆動機構11を駆動する出力部、33は第2の駆動機構21を駆動する出力部である。上記出力部32,33は出力部用電源34から電源が供給され、上記制御装置31は制御装置用電源35から電源が供給される。
制御装置31は、ホームドアを制御するホームドア制御装置36から与えられる動作指令により動作し、車両がプラットホームに停車したのち、上記出力部32,33により第1、第2の駆動機構11,21を駆動し、ステップの前進/後退、ホームステップ・ユニット3の昇降を制御する。
【0020】
次に本実施例の乗降補助装置の動作について説明する。
(1) プラットホーム1に車両が停止すると、ホームドア制御装置36から、制御装置31に動作指令が与えられ、制御装置31は出力部32を介して第1の駆動機構11を駆動し、ホームステップ・ユニット3のステップ2を前進させる。このステップ2の前進動作は0.5秒程度で完了する。ついで、制御装置31は出力部33を介して第2の駆動機構21を駆動して、ホームステップ・ユニット3の一方端を車両床面とプラットホームの段差を解消するように上昇(ホームステップ・ユニット3を傾動)させる。この傾動動作は例えば0.5秒以下で完了する。なお、上記ステップ2の前進と、ホームステップ・ユニット3の傾動を同時に行ってもよい。
ステップ2がほぼ所定の位置まで前進し、かつホームステップ・ユニット3が上記段差を解消できる位置まで傾動すると、制御装置31はホームドア制御装置36に完了信号を返す。
なお、ホームステップ・ユニット3を傾動することにより、車両とステップ2の先端に隙間が生じる場合には、制御装置31が出力部32を介して再度、第1の駆動機構11を駆動し、ホームステップ・ユニット3のステップ2を前進させ、上記隙間を解消するようにしてもよい。
(2) ホームドア制御装置36は上記信号が送られてくるとホームドア6を開く(通常、車掌の確認の基に車両のドアもこのとき開く)。
【0021】
(3) 乗降客の乗降が終わるとホームドア制御装置36はホームドア6が閉じる(通常、車掌の確認の基に車両のドアもこのとき閉じる)。
(4) ホームドア制御装置36から制御装置31にその旨が通知されると、制御装置31は出力部33を介して第2の駆動機構21を駆動して、ホームステップ・ユニット3の一方端を下降させ水平位置まで戻す。なお、その際、上記(1) でホームステップ・ユニット3が傾動することにより生じた隙間を解消するため、上昇後、ステップ2を前進させている場合には、まずステップ2を前進させた分だけ後退させたのち、ホームステップ・ユニット3の一方端を下降させ水平位置まで戻す。
ついで、制御装置31は出力部32を介して第1の駆動機構11を駆動し、ホームステップ・ユニット3のステップ2を後退させる。ステップ2の後退動作が完了するとホームドア制御装置36にステップ2の後退が完了したことを通知する。
なお、上記ホームステップ・ユニット3の一方端を下降させ水平位置まで戻す動作と、ステップ2の後退動作を同時に行ってもよい。
その後、ホームドア制御装置36は安全を確認したのち、車両が発車可能であることを車両に通知する。
【0022】
なお、上記実施例では、ヒンジ機構4をホームドア直下に設けており、これにより、ホームドア6が閉じているときでも、ホームステップ・ユニット3の車両側端を上昇させることができるが、ホームドアが開いているときに、ホームステップ・ユニット3の車両側端を上昇させるのであれば、図8に示すように、ホームステップ・ユニット3の開口が設けられた面に対向する面(ホームステップ・ユニット3のプラットホーム中央側)の上端部の両側にヒンジ機構4を設けてもよい。このように構成すれば、ホームステップ・ユニット3上昇時の傾斜を小さくすることができる。
この場合には、図8に示すように図2に示したカバー板3eは不要であり、また、プラットホーム1に凹部1cを設ける必要はない。
図8のように構成する場合には、前記(1) 〜(4) の乗降補助装置の動作において、ホームドアが開いた後に、ホームステップ・ユニット3の車両側端を上昇させ、ホームステップ・ユニット3の上昇が完了すると、乗降客に、例えばチャイム等で車椅子での通行が可能であることを知らせる。
また、乗降が終了すると、まずホームステップ・ユニット3を水平状態に戻し、ついで、ホームドア6を閉じる。
【0023】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明においては以下の効果を得ることができる。
(1)ホームステップ・ユニット内にステップ2を前進/後退させる第1の駆動機構を設け、また、ホームステップ・ユニットの下方にホームステップ・ユニットを傾動させる第2の駆動機構を配置し、ホームステップ・ユニット自体を上記第2の駆動機構により傾動させるようにしたので、比較的簡単な機構で、車両とプラットホームの隙間の減少と、車両床面とプラットホームの段差の解消を図ることができる。
(2)ホームステップ・ユニット内には、ステップを前進/後退させる第1の駆動機構のみを設ければよいので、ホームステップ・ユニットの高さを低くすることができホームに設置する際の工事を容易し、工事のためのコストの低減化を図ることができる。
(3)車両床面とプラットホームの段差の解消を図る第2の駆動機構をホームステップ・ユニットと一体化せず、その下方に配置したので、同一のホームステップ・ユニットを「段差および間隙解消型ホームステップ」として、また「間隙解消型ホームステップ」として使用することができる。このため、コストを低減化することができ、また、施工工事も容易となる。
(4)ステップを収納したホームステップ・ユニット自体を傾動させ車両床面とプラットホームの段差の解消を図っているので、段差解消時の傾斜を比較的緩やかにすることができ、車椅子による乗降に支障が生ずることがない。
(5)ホームステップ・ユニットを傾動可能に支持するヒンジ機構をホームドア直下もしくはホームドア直下より車両側(プラットホーム端側)に設けることにより、ホームドアが閉じていてもホームステップ・ユニットを傾動させることができる。このため、乗降時の安全を十分に確保することができる。
(6)車両が停止したとき、上記第1の駆動機構を駆動して上記ステップを車両側に前進させ、また、上記第2の駆動機構を駆動して車両床面とプラットホーム面の段差を解消するように上記ステップを上昇させ、その後、第1の駆動機構を駆動して、上記ステップを車両側にさらに前進させるようにすれば、ホームステップ・ユニットが傾動したことにより生じた車両とステップ間の隙間を減少させることができ、車椅子等による乗降が容易となる。
(7)ホームドアと本発明の装置を一体化し、第1、第2の駆動機構を制御する制御部をホームドア用戸袋に設けられた制御部収納部に収納することにより、ホームステップ・ユニットを極力薄くすることができ、その結果、プラットホームの工事を大幅に減らすことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の乗降補助装置の構成を示す図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】ホームステップ・ユニットの構成例を示す図である。
【図4】ホームステップ・ユニットのプラットホームへの取付けを説明する図である。
【図5】第2の駆動機構の構成例を示す図である。
【図6】1台の駆動機構によりホームステップ・ユニットを傾動させる場合を示す図である。
【図7】制御部の構成例を示す図である。
【図8】本発明の実施例の変形例を示す図である。
【符号の説明】
1 プラットホーム
1a 凹部
1b 貫通穴
1c 凹部
2 ステップ
2a スライド部材
2b 可動板
3 ホームステップ・ユニット
3a 開口
3b 下部板
3c レールガイド
3d 取付け部材
3e カバー板
4 ヒンジ機構
4a ヒンジピン
4b ヒンジベース
4c ヒンジ
5 ホームドア用戸袋
6 ホームドア
7 制御部収納部
8 車両
9 車両の床面
10 車両側ドア
11 第1の駆動機構
11a ボールネジナット
11b 前進/後退用電動機
11c ボールネジ
21 第2の駆動機構
21a ボールネジナット
21b ボールネジ
21c クラッチ
21d 昇降用電動機
30 制御部
31 制御装置
32 第1の駆動機構を駆動する出力部
33 第2の駆動機構を駆動する出力部
34 出力部用電源
35 制御装置用電源
36 ホームドア制御装置

Claims (3)

  1. プラットホーム上の停車車両の乗降口に対応する位置に設置され、車両停車時に開閉動作をするホームドアと、
    上記ホームドアを収納する戸袋とを備えたホームドア・システムに適用される乗降補助装置であって、
    停車車両の乗降口に対応するプラットホーム上の上記ホームドアの下方に配置され、上面がプラットホーム面に一致するように設置され、車両側端がホーム面から上昇するように傾動可能に支持されたホームステップ・ユニットを備え、
    上記ホームステップ・ユニットは、ホームドア直下もしくはホームドア直下より車両側に設けられたヒンジ機構によりプラットホームに傾動可能に支持されており、
    ホーム面にはホームステップ・ユニットを取り付けたときその上面がホーム面と同一にになる凹部が設けられ、上記ヒンジ機構よりホーム中央よりの部分は、ホームステップ・ユニットが傾動可能なようにホーム中央側に近くなるほど深くなる凹部が設けられ、
    ホーム面の上記ヒンジ機構よりホーム中央よりには、ホームステップ・ユニットの上面を覆うカバー板が設けられており、
    上記ホームステップ・ユニット内には、車両停車時は乗降口に向かって前進し、車両不在時にはホームステップ・ユニット内に後退するスライド可能に取付けられたステップと、上記ステップを前進/後退させる第1の駆動機構とが設けられ、
    上記ホームステップ・ユニットの下方には、上記ホームステップ・ユニットの車両側端を上昇/下降させる第2の駆動機構が配置され、
    上記第1の駆動機構と、第2の駆動機構を制御する制御部が、前記戸袋内に設けられている
    ことを特徴とする乗降補助装置。
  2. 上記制御部は、車両が停止したとき、ホームドアが開く前に、上記第1の駆動機構を駆動して上記ステップを車両側に前進させるとともに、上記第2の駆動機構を駆動して車両床面とプラットホーム面の段差を解消するように上記ステップを上昇させる
    ことを特徴とする請求項1の乗降補助装置。
  3. 上記制御部は、車両が停止したとき、ホームドアが開く前に、上記第1の駆動機構を駆動して上記ステップを車両側に前進させ、次いで上記第2の駆動機構を駆動して車両床面とプラットホーム面の段差を解消するように上記ステップを上昇させ、その後、第1の駆動機構を駆動して、上記ステップを車両側に前進させて車両とステップ間の隙間を減少させる
    ことを特徴とする請求項1の乗降補助装置。
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