JP4370912B2 - ジエン化合物の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高純度のジエン化合物の製造方法に関する。また本発明は、クライゼン転移反応を利用したジエン化合物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
オレフィン化合物の製造においては、製造工程中または製造後において二重結合の転移反応が起こり、分子式が同一でありかつ不飽和結合の位置が異なる構造異性体が生成する場合がある。そして、該構造異性体が目的とするオレフィン化合物と同様の反応性を有する化合物である場合には、オレフィン化合物の物性を変化させる等の問題がある。また、該構造異性体の反応性が低い場合には、目的とするオレフィンの反応を阻害する問題もある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
この構造異性体は、目的とするオレフィンと沸点が近いために蒸留法による分離は困難である問題がある。また、沸点が近い化合物の分離に用いうる共沸蒸留法や抽出蒸留法や、クロマトグラフ法による分離を行おうとしても、構造異性体の物性(たとえば、極性等。)は目的とするオレフィンに極めて類似しているため、両者の分離が困難である問題があった。
【0004】
そこで、構造異性体をできるだけ生成させずに、目的とするオレフィンのみを製造する以下の方法が提案されている。
【0005】
(a)下式(A1−1)で表される化合物の気相熱分解反応で下式(A1−2)で表される化合物を得た後に、亜鉛の存在下に脱塩素反応を行うことにより3−ブテニル基を形成させて下式(A)で表される3−ブテニルビニルエーテルを得る方法(特開平1−143843)。
FC(O)CF(CF)OCFCFCFClCFCl(A1−1)、
CF=CFOCFCFCFClCFCl(A1−2)、
CF=CFOCFCFCF=CF(A)。
【0006】
(b)下式(A2−1)で表される化合物を出発物質として、これの熱分解反応を行うことにより下式(A2−2a)で表される化合物を生成させ、つぎに該化合物の脱塩素化反応を行うことによって下式(A)で表される3−ブテニルビニルエーテルを得る方法(特開平2−311438)。
CFClCFClOCFCFCFCFCOF(A2−1)、
CFClCFClOCFCFCF=CF(A2−2a)、
CF=CFOCFCFCF=CF(A)、
CFClCFClOCFCF=CFCF(A2−2b)、
CF=CFOCFCF=CFCF(A−3)。
【0007】
しかし、(a)の方法で用いる式(A1−1)で表される化合物の合成には、多工程を要していた。また、該化合物の製造には、発煙硫酸や一塩化ヨウ素等の取扱いが難しい試薬を用いる問題があった。
【0008】
また(b)の方法では、式(A2−2a)で表される化合物中、1位にフッ素原子を有する3−ブテニル基において二重結合の転移反応が起こり、より熱力学的により安定な式(A2−2b)で表される化合物を生成させる問題が認められた。そして、式(A2−2b)で表される化合物を含むまま脱塩素化を行うと式(A−3)で表される化合物が最終生成物中に混入する問題がある。
【0009】
ここで、式(A2−2a)で表される化合物と式(A2−2b)で表される化合物は、沸点などの性質がほとんど同じであり、また、式(A)で表される化合物と式(A−3)で表される化合物も沸点等の物性がほとんど同じであるため、これらを分離するのは困難であり、純度の高い式(A)で表される化合物を得ることができない問題があった。
【0010】
これらの方法で製造される式(A)で表される化合物は、フッ素樹脂の原料モノマーとして有用な化合物である。しかし式(A−3)で表される化合物の存在下に式(A)で表される化合物を重合させた場合には、著しく重合を阻害する問題が認められ、高い分子量を有するフッ素ポリマーを製造できない問題が認められた。
【0011】
一方、クライゼン転位反応自体は、公知の反応である。含フッ素化合物のクライゼン転移反応の例としては、CF=CFOCHCH=CH、CF(CF)C=CFOCHCH=CH、ClC=CFOCHCH=CH、ClFC=CFOCHCH=CH、およびH(CF)C=CH(CF)=CHCH=CH等の化合物における例(J.Fluorine Chemistry,1992,56,165)、CH=CH(CF)OCHCH=CH、CH=CHOCH(CF)CH=CHの例(J.Org.Chem.,1990,55,1813)、またCF=CFCFOCF=CFをCF=CFCFCFCF=Oにクライゼン転位させた例(特開平2−42038)等が報告されている。
【0012】
しかし、これらの文献においては、4位にフッ素原子が結合した2−ブテニル骨格を有する化合物にクライゼン転移させた例は報告していない。該例について記載される文献としては、4位にリン原子を含有する基が結合したCH=CHOCHCH=CHCFPO(OCHCHを140℃に加熱することによってCH=CHCH(CFPO(OCHCH)CHCH=Oに変換した文献がある(Chem.Commun.,2000,1691)。しかし、リン原子を含まない本発明の式(2)で表される化合物において、同様の条件で反応を行ったところ、クライゼン転移反応は全く進行しなかった。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、二重結合の転移反応が起こりうる式(1)で表されるジエン化合物と、該式(1)で表されるジエン化合物の二重結合が転移した構造を有する式(2)で表される化合物との混合物において、式(2)で表される化合物のクライゼン転移反応を利用して、より高純度の式(1)で表されるジエン化合物を得ることを目的とする。また、本発明はこれまで適用されたことがなかった新規な基質においてクライゼン転移反応を行うことによるジエン化合物の製造方法を提供する。
【0014】
すなわち本発明は、下記の各発明に関する。
1.下式(1)で表されるジエン化合物と下式(2)で表される化合物とを含む混合物において、式(2)で表される化合物のクライゼン転移反応を起こさせしめることによってクライゼン転移反応生成物と式(1)で表されるジエン化合物を含む生成物を生成させ、つぎに該式(1)で表されるジエン化合物を分離することを特徴とする高純度の式(1)で表されるジエン化合物の製造方法。ただし、下式中のR〜Rは、互いに同一であっても異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、1価炭化水素基、エーテル性酸素原子含有1価炭化水素基、ハロゲン化された1価炭化水素基、またはハロゲン化されたエーテル性酸素原子含有1価炭化水素基を示す。
CR=CRCFRCROCR=CR(1)
CFRCR=CRCROCR=CR(2)。
【0015】
2.クライゼン転移反応により下式(3)で表される化合物が生成する前記1に記載の製造方法。ただし、下式中の記号は上記と同じ意味を示す。
CR=CRCR(CFR)CRCR=O(3)。
【0016】
3.式(2)で表される化合物が下式(2a)で表される化合物である場合において、クライゼン転移反応により下式(3a)で表される化合物が生成する前記1または2に記載の製造方法。ただし、下式中の記号は上記と同じ意味を示す。
CFRCF=CRCROCF=CR(2a)
CR=CRC(CFR)=CR(3a)。
【0017】
4.R〜Rが、互いに同一であっても異なっていてもよく、フッ素原子、水素原子、塩素原子、トリフルオロメチル基、またはトリフルオロメトキシ基である前記1、2、または3に記載の製造方法。
【0018】
5.R〜Rが、全てフッ素原子である前記1、2、3、または4に記載の製造方法。
【0019】
6.混合物を気相で加熱することによってクライゼン転移反応を起こさせしめる前記1、2、3、4、または5に記載の製造方法。
【0020】
7.不活性ガス、または、反応温度で気体になる不活性溶媒の存在下にクライゼン転移反応を起こせしめる前記6に記載の製造方法。
【0021】
8.重合禁止剤の存在下にクライゼン転移反応を行う前記1〜7のいずれかに記載の製造方法。
【0022】
9.150〜400℃に加熱することによりクライゼン転移反応を起こさせしめる前記1〜8のいずれかに記載の製造方法。
【0023】
10.式(2)で表される化合物が、式(1)で表される化合物における二重結合の転移反応により生成した化合物、または、下式(1B−3)で表される化合物における脱塩素化反応により生成した化合物である前記1〜9のいずれかに記載の製造方法。ただし、下式中の記号は上記と同じ意味を示す。
【0024】
CFRCR=CRCROCClR−CClR(1B−3)。
【0025】
11.前記1〜10のいずれかの方法で得た高純度の式(1)で表されるジエン化合物、または、該ジエン化合物と該ジエン化合物と重合しうる化合物を重合させることを特徴とする含フッ素重合体の製造方法。
【0026】
12.下式(2)で表される化合物においてクライゼン転移反応を行うことを特徴とする下式(3)で表される化合物の製造方法。ただし、下式中のR〜Rは、互いに同一であっても異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、1価炭化水素基、エーテル性酸素原子含有1価炭化水素基、ハロゲン化された1価炭化水素基、またはハロゲン化されたエーテル性酸素原子含有1価炭化水素基を示す。
CFRCR=CRCROCR=CR(2)
CR=CRCR(CFR)CRCR=O(3)。
【0027】
13.式(2a)で表される化合物をソーダ灰またはガラスビーズの存在下で加熱することを特徴とする下式(3a)で表される化合物の製造方法。ただし、下式中のR、R、R、R、R、R、およびRは、互いに同一であっても異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、1価炭化水素基、エーテル性酸素原子含有1価炭化水素基、ハロゲン化された1価炭化水素基、またはハロゲン化されたエーテル性酸素原子含有1価炭化水素基を示す。
CFRCF=CRCROCF=CR(2
CR=CRC(CFR)=CR(3a)。
【0028】
【発明の実施の形態】
本明細書においては、式(1)で表されるジエン化合物を、ジエン化合物(1)と記す。他の化合物においても同様に記す。
ジエン化合物(1)において、R〜Rは、互いに同一であっても異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、1価炭化水素基、エーテル性酸素原子含有1価炭化水素基、ハロゲン化された1価炭化水素基、またはハロゲン化されたエーテル性酸素原子含有1価炭化水素基を示す。ハロゲン原子としては、フッ素原子または塩素原子が好ましく、フッ素原子が特に好ましい。1価炭化水素基としては、アルキル基が好ましい。エーテル性酸素原子含有1価炭化水素基としては、アルコキシ基が好ましい。
【0029】
〜Rがハロゲン化された基である場合には、フッ素化された基であるのが好ましい。ハロゲン化された1価炭化水素基としては、フルオロアルキル基が好ましく、ペルフルオロアルキル基が特に好ましい。ハロゲン化されたエーテル性酸素原子含有1価炭化水素基としては、フルオロアルコキシ基が好ましく、ペルフルオロアルコキシ基が好ましい。
【0030】
〜Rとしては、水素原子、フッ素原子、フッ素化された1価炭化水素基、またはフッ素化されたエーテル性酸素原子含有1価炭化水素基が好ましく、フッ素原子またはフッ素化された1価飽和有機基が特に好ましく、特にフッ素原子、水素原子、フルオロアルキル基、フルオロアルコキシ基がとりわけ好ましい。さらにR〜Rとしては、フッ素原子、ペルフルオロ化されたこれらの基が好ましく、フッ素原子、トリフルオロメチル基、またはトリフルオロメトキシ基であるのが特に好ましい。
【0031】
さらに本発明のジエン化合物(1)としては、重合性の不飽和結合を有する化合物が特に有用であることから、R、R、R、およびRがフッ素原子である化合物が好ましい。また残余の基(R〜R、R)は、フッ素原子、ペルフルオロアルキル基、ペルフルオロアルコキシ基であるのが好ましく、特にフッ素原子であるのが特に好ましい。
【0032】
ジエン化合物(1)の入手方法は特に限定されない。該ジエン化合物(1)の具体例としては、下記化合物が挙げられる。該化合物中の2つの重結合の立体配置は、それぞれ、EであってもZであってもよい。
【0033】
CF=CF−CF−CF−O−CF=CF
CF=CF−CF−CF(CF)−O−CF=CF
CF=CF−CF(OCF)−CF−O−CF=CF
CH=CH−CF−CF−O−CF=CF
CH=CH−CF(CF)−CF−O−CF=CF
CF=CH−CF−CF−O−CF=CF
CF=CH−CF(CF)−CF−O−CF=CF
CF=CF−CF−CH−O−CF=CF
CF=CF−CF−CCl−O−CF=CF
CF=CF−CF−CHCl−O−CF=CF
【0034】
本発明においては、ジエン化合物(1)と化合物(2)とを含む混合物を用いる。化合物(2)中の基(R〜R)は上記と同じ意味を示し、ジエン化合物(1)に対応する基である。これらの化合物は、4位にフッ素原子が結合した2−ブテニル骨格を有する化合物である。化合物(2)中の2つの二重結合の立体配置は、それぞれ、EであってもZであってもよい。
【0035】
CF−CF=CF−CF−O−CF=CF
CF−CF=CF−CF(CF)−O−CF=CF
CF−CF=C(OCF)−CF−O−CF=CF
CHF−CH=CF−CF−O−CF=CF
CHF−CH=C(CF)−CF−O−CF=CF
CHF−CH=CF−CF−O−CF=CF
CF−CH=C(CF)−CF−O−CF=CF
CF−CF=CF−CH−O−CF=CF
CF−CF=CF−CCl−O−CF=CF
CF−CF=CF−CHCl−O−CF=CF
【0036】
混合物中の化合物(2)の割合の上限は、ジエン化合物(1)と化合物(2)の合計量に対して化合物(2)が50質量%であるのが好ましく、10質量%であるのが特に好ましい。一方、化合物(2)の割合の下限は特に限定されず、通常の場合には、ジエン化合物(1)と化合物(2)の合計量に対して化合物(2)が、0.003質量%であるのが好ましく、特に0.03質量%であるのが好ましい。本発明の方法によれば、化合物(2)の量が300質量ppm程度であっても、これを分離でき、高純度のジエン化合物(1)を製造できる。
【0037】
化合物(2)の入手方法は限定されないが、本発明における化合物(2)は、ジエン化合物(1)において二重結合の転移反応が起こることにより生成した化合物であるのが好ましい。ジエン化合物(1)は、Rが結合した炭素原子にフッ素原子が結合した特徴ある構造を有する化合物であるが故に、二重結合の転移反応が起こりうる化合物であり、該転移反応が起こった場合には化合物(2)が生成する。
【0038】
たとえば、ジエン化合物(1)のR〜Rの全てがフッ素原子である下記化合物(1a−1)の転移反応は、以下のメカニズムで進行して、生成物は、通常は下記化合物(1a−1)と化合物(2a−1)の混合物になる。
【0039】
【化1】
Figure 0004370912
【0040】
本発明における混合物は、ジエン化合物(1)の二重結合の転移反応により生成した化合物(2)を含むジエン化合物(1)と化合物(2)との混合物であるのが好ましい。すなわち、本発明は目的とするジエン化合物(1)の一部に二重結合の転移反応が起こることによって生成した混合物から、化合物(2)を分離する方法として用いられるのが好ましい。
【0041】
本発明の混合物が生成する例としては、ジエン化合物(1)の製造時の反応生成物が挙げられる。ジエン化合物(1)を製造時の反応条件がジエン化合物(1)の転移反応を起こしうる条件である場合には、反応生成物中に化合物(2)が存在しうる。
【0042】
本発明の混合物の入手方法の具体例としては、下記化合物(1B−1)の熱分解反応の反応生成物、下記化合物(1B−2)の脱塩素化反応の反応生成物等が挙げられる。ここで、化合物(1B−2)の脱塩素化反応において、化合物(1B−2)が下記化合物(1B−3)との混合物である場合においても、脱塩素化反応の反応生成物は、化合物(1)と化合物(2)との混合物になりうる。ただし、下式中の記号は上記と同じ意味を示す。
【0043】
FCOCRCRFCFRCROCR=CR(1B−1)、
CR=CRCFRCROCClR−CClR(1B−2)、
CFRCR=CRCROCClR−CClR(1B−3)。
この化合物(1B−3)は化合物(1B−2)の二重結合の転移により容易に生成しうる化合物である。
【0044】
本発明の混合物中には、ジエン化合物(1)および化合物(2)とともに、他の化合物が含まれていてもよい。他の化合物としては、ジエン化合物(1)および化合物(2)の転移反応生成物と分離できる化合物、ジエン化合物(1)、化合物(2)、および化合物(2)の転移反応生成物と反応しない化合物から選択される化合物であるのが好ましく、該他の化合物としては、特に限定されない。
【0045】
本発明においては、混合物中の化合物(2)においてクライゼン転移反応を起こせしめることによってクライゼン転移反応生成物とジエン化合物(1)を含む生成物を生成させる。クライゼン転移反応は、混合物をクライゼン転移反応が起こりうる温度以上にすることによって実施でき、通常は加熱することにより実施できる。加熱時の温度は、ジエン化合物(1)および化合物(2)の沸点よりも高い温度であるのが好ましく、通常は150〜400℃が好ましく、200℃〜350℃が特に好ましく、270〜320℃がとりわけ好ましい。また混合物が低温反応の生成物であって、クライゼン転移反応が常温以下で起こりうる場合には、反応生成物を常温にするだけでクライゼン転移反応を進行させうる。
【0046】
クライゼン転移反応は気相反応で実施するのが好ましく、本発明の混合物を気相の状態で加熱することによって実施するのが好ましい。また化合物(2)の転移反応の反応速度は温度依存性であるため、反応温度を高く設定できる気相反応で実施した場合には、反応時間を短くすることができる。反応時間が短時間であることは、化合物(1)や化合物(2)が重合しうる化合物である場合には、重合反応防止しながら、目的とするクライゼン転移反応だけを進行させうる利点がある。
【0047】
気相反応においては、混合物の加熱は、ジエン化合物(1)および化合物(2)の両沸点よりも高温に加熱した気化器に導入し気化させた後に、加熱した反応器に導入することにより実施するのが好ましい。反応器の形状や形式が特に限定されず、通常は筒状反応器を用いるのが好ましい。また混合物は、反応器中に連続的に導入し、生成物を連続的に排出するのが好ましい。気体状の混合物の反応器中での滞留時間は1〜30秒程度が好ましく、4〜20秒が特に好ましく、6〜15秒がとりわけ好ましい。滞留時間を適切な範囲にすることによって、重合反応を防止しながら、目的とするクライゼン転移反応を進行させうる。
【0048】
また、気相での混合物の加熱は、不活性ガス、または、反応温度で気体になる不活性溶媒の存在下で行うのが好ましい。不活性ガスとしては、アルゴンガス、窒素ガス、ヘリウムガス等が挙げられる。不活性ガスの量は原料混合物ガスに対して3〜10倍容量が好ましい。不活性ガスを存在させることにより、反応の操作性を改善できる。また不活性媒体を存在させることにより、重合反応を防止できる。不活性溶媒としては、加熱時の温度で気体状になり、かつ、加熱時の温度において不活性である溶媒から選択され、たとえば、ペルフルオロカーボン類、塩素化フッ素化炭化水素等などが挙げられる。不活性溶媒の量は、ジエン化合物(1)と化合物(2)の総濃度が10〜30モル%程度になる量が好ましい。
一方、クライゼン転移反応を液相反応で実施する場合には、加圧下で加熱することにより実施するのが好ましい。
【0049】
さらに、ジエン化合物(1)、化合物(2)、および転移反応生成物が重合しうる化合物である場合には、クライゼン転移反応は、気相で行う場合においても、液相で行う場合においても、重合禁止剤の存在下に実施するのが好ましい。重合禁止剤としては、α−ピネン、ジフェニルピクリルヒドラジル、トリ−p−ニトロフェニルメチル、p−ベンゾキノン、p−tert−ブチルカテコール、ニトロソベンゼン、ピクリンサン、ジチオベンゾイルジスルフィド等が挙げられる。重合禁止剤の使用量は、ジエン化合物(1)と化合物(2)の総量に対して0.01〜10質量%であるのが好ましく、特に0.01〜5質量%であるのが好ましく、とりわけ0.2〜1質量%未満であるのが好ましい。
【0050】
また、クライゼン転移反応を液相反応で実施する場合には、重合反応を防止するために、反応系を充分に脱気するのが好ましい。液相反応においては、溶媒を存在させてもよい。溶媒としては極性溶媒が好ましい。また必要に応じて、触媒(酸等)の存在下に実施してもよい。
【0051】
本発明においては、化合物(2)においてクライゼン転移反応が起こさせる。化合物(2)は下式で表される6員環遷移状態を経由できる化合物であるため、クライゼン転位を起こし下式(3)で表される転移反応生成物を生成させる。
CR=CRCR(CFR)CRCR=O(3)
【0052】
【化2】
Figure 0004370912
【0053】
クライゼン転移反応生成物は、通常の場合は化合物(3)であるが、化合物(2)のRおよびRがフッ素原子である化合物(2a)においては、反応条件によっては下記化合物(3a)が生成しうる。ただし、下式中の記号は上記と同じ意味を示す。
CR=CRC(CFR)=CR(3a)
【0054】
【化3】
Figure 0004370912
【0055】
化合物(3a)が生成しうる条件としては、ソーダ灰、ガラスビーズの存在下に加熱することによって、クライゼン転移反応を実施できる。
化合物(3)の具体例としては、下記化合物が挙げられる。
CF=CF−CF(CF)−CF−COF、
CFCF=CF−CF(CF)−CF−COF、
CF=C(OCF)−CF(CF)−CF−COF、
CF=CF−CF(CHF)−CFCOF、
CF=C(CF)−CH(CHF)−CF−COF、
CF=CF−CF(CHF)−CF−COF、
CF=C(CF)−CH(CF)−CF−COF、
CH=CF−CF(CF)−CFCOF、
CCl=CF−CF(CF)−CF−COF、
CHCl=CF−CF(CF)−CF−COF。
【0056】
化合物(3a)の具体例としては、下記化合物が挙げられる。
CF=CF−C(CF)=CF
CFCF=CF−C(CF)=CF
CF=C(OCF)−CF(CF)=CF
CF=CF−CF(CHF)=CF
CF=CF−C(CHF)=CF
CH=CF−C(CF)=CF
CCl=CF−C(CF)=CF
CHCl=CF−C(CF)=CF
【0057】
一方、ジエン化合物(1)は6員環遷移状態をとりえない化合物であるため、クライゼン転移反応の反応後の生成物からそのまま回収できる
本発明においては、つぎに、(方法1);該ジエン化合物(1)とクライゼン転移反応生成物を分離することにより高い純度のジエン化合物(1)が得られる。
または、つぎに(方法2);クライゼン転移反応生成物を誘導体化した後にジエン化合物(1)とクライゼン転移反応生成物の誘導体化物を分離することにより高い純度のジエン化合物(1)が得られる。
【0058】
方法1において、生成物中に含まれるジエン化合物(1)と転移反応生成物を分離する方法としては、特に限定されず、蒸留法、クロマトグラフ法、水洗等の方法が挙げられる。たとえば、ジエン化合物(1)とクライゼン転移反応生成物の沸点が異なる場合には、蒸留により容易に分離できる。また、転移反応生成物の末端に水溶性の基(たとえば−COF基、−COCl基等。)が存在する場合には、水洗により容易に分離できる。また、他の分離方法(たとえば、クロマトグラフ法による分離)等による分離を行ってもよい。また、クライゼン転位反応生成物が化合物(3)である場合には、化合物(3)とジエン化合物(1)とは同一分子量になるが、化合物(3)には極性の異なるカルボニル基が存在するために、クロマトグラフ法や蒸留法、カルボニル基に水和物を形成させる等の方法により容易にジエン化合物(1)と分離できる。
【0059】
方法2においては、クライゼン転移反応生成物を誘導体化した後に、ジエン化合物(1)とクライゼン転移反応生成物の誘導体化物を分離する。誘導体化の方法としては、たとえば、転移反応生成物が化合物(3)である場合には、カルボニル基部分の反応性を利用して、他の化合物に誘導化した後にジエン化合物(1)から公知の方法により分離してもよい。他の化合物に誘導化する方法としては、付加反応により分子量を増加させる方法、カルボニル基を還元して水酸基に変換する方法、等が挙げられる。さらに、誘導体化物後の分離方法としては、方法1における方法と同様の方法が採用できる。
【0060】
本発明の方法によれば、化合物(1)と化合物(2)の混合物から、クライゼン転移反応を利用して化合物(1)を分離し、より高純度の化合物(1)を得ることができる。本発明の方法により得られた化合物(1)が重合性の化合物である場合には、重合反応を阻害しうる化合物(2)が分離されているため、高分子量のフッ素ポリマーを製造できる。
【0061】
さらに、本発明においては、化合物(2)においてクライゼン転移反応を行うことを特徴とする下記化合物(3)の製造方法も提供される。また、本発明は下記化合物(2a)において、ガラズビーズまたはソーダ灰の存在下に加熱することを特徴とする下記化合物(3a)の製造方法を提供する。ただし、式中の記号は上記と同じ意味を示す、これらの製造方法は、化合物(2)と化合物(1)との混合物のクライゼン転移反応における反応と同様に実施できる。
【0062】
CFRCR=CRCROCR=CR(2)、
CR=CRCR(CFR)CRCR=O(3)、
CR=CRC(CFR)=CR(3a)。
【0063】
【実施例】
以下に本発明を実施例を挙げて具体的に説明するが、これらによって本発明は限定されない。
【0064】
[参考例1]
インコネル製1インチ反応管に充填高20cmになるようにガラスビーズを充填し330℃に熱した。式CFClCFClO(CFCOFで表される化合物(300g、0.725モル)を窒素ガスで10vol%になるように希釈して反応管に導入した。線速を2.0cm/sに制御し、反応ガスのガラスビーズ層中での滞留時間を10秒に保ちながら反応を行った。反応出口ガスはドライアイス−エタノールトラップで捕集した。トラップ捕集液(250g)をガスクロマトグラフィー(GC)で分析した結果、原料の転化率は99.9%であり、CFClCFClOCFCFCF=CFが選択率90.4%であり、二重結合が転移したCFClCFClOCFCF=CFCF(シス体およびトランス体の混合物)が選択率4.8%で生成していた。CFClCFClOCFCF=CFCFを蒸留精製およびシリカゲルカラムクロマトグラフィで分離しようとしたが、分離はできなかった。
【0065】
[参考例2]
参考例1で得た生成物の混合物(0.7モル)を滴下漏斗に入れた。一方、1Lのフラスコにジメチルホルムアミド(7.0モル)および亜鉛(3.5モル)を仕込んだ。1Lフラスコ上部に精留塔を装着し、滴下漏斗から混合物を連続的に滴下しながら蒸留を行い、蒸留生成物としての脱塩素生成物を連続的に抜き出した。抜き出した液(156g)をGCで分析したところ、CF=CFOCFCFCF=CFを収率72%で得た。
【0066】
該液中には、CFClCFClOCFCF=CFCFの脱塩素化物であるCF=CFOCFCF=CFCFが含まれ、その量はCF=CFOCFCFCF=CFに対して10%(GCのピーク面積%)であった。CF=CFOCFCF=CFCFは蒸留精製およびシリカゲルカラムクロマトグラフィでは分離はできなかった。
【0067】
[実施例1]
参考例2で得たCF=CFOCFCFCF=CFとCF=CFOCFCF=CFCFとを含む抜き出し液(50g)を100℃に加熱した気化器に導入し気化させた後、窒素ガスで30vol%に希釈した。これを310℃に加熱した100cmインコネル製1/2インチ反応器に導入した。線速を8.3cm/sに制御し、反応ガスの滞留時間を12秒に保った。出口ガスをドライアイス−エタノールで冷却した−78℃のガラス管中を通過させることにより液化し、これを回収して回収液(48g)を得た。回収液をGCで分析した結果、CF=CFOCFCFCF=CFとCF=CFCF(CF)CFCOFの存在が確認され、CF=CFOCFCF=CFCFの存在は認められなかった。CF=CFOCFCFCF=CFの収率は92%であった。回収液を蒸留して、GC純度が99.9%以上のCF=CFOCFCFCF=CFを得た。
【0068】
[実施例2]
参考例2で得た抜き出し液(30g)を、CFClCFCHClF(R225cb、70g)と混合して溶液を得た。この溶液を、100℃に加熱した気化器に導入して気化した後、窒素ガスで90vol%に希釈した。これを310℃に加熱した100cmインコネル製1/2インチ反応器に導入した。線速を8.3cm/sに制御し、反応ガスの滞留時間を12秒に保った。出口ガスを氷水トラップで0℃に冷却したガラス管を通過させて液化し、これを回収して回収液(98g)を得た。回収液をGCで分析した結果、CF=CFOCFCFCF=CFとCF=CFCF(CF)CFCOFの存在が確認され、CF=CFOCFCF=CFCFの存在は認められなかった。CF=CFOCFCFCF=CFの収率は93%であった。回収液を蒸留して、GC純度が99.9%以上のCF=CFOCFCFCF=CFを得た。
【0069】
[実施例3]
参考例2で得た抜き出し液(50g)を100℃に加熱した気化器に導入し予め気化した後、そのまま310℃に加熱した100cmインコネル製1/2インチ反応器に導入した。線速を8.3cm/sに制御し、反応ガスの滞留時間を12秒に保った。出口ガスを氷水トラップで0℃に冷却したガラス管を通過させて液化し、これを回収して回収液(48g)を得た。回収液をGCで分析した結果、CF=CFOCFCFCF=CFとCF=CFCF(CF)CFCOFの存在が確認され、CF=CFOCFCF=CFCFの存在は認められなかった。CF=CFOCFCFCF=CFの重合が若干認められ、CF=CFOCFCFCF=CFの収率は79%であった。回収液を蒸留して、GC純度が99.9%以上のCF=CFOCFCFCF=CFを得た。
【0070】
[実施例4]
参考例2で得た抜き出し液(49g)に重合禁止剤(2−ピネン、1g)を添加して溶液とした。この溶液を100℃に加熱した気化器に導入して気化した後、310℃に加熱した100cmインコネル製1/2インチ反応器に導入した。線速を8.3cm/sに制御し、反応ガスの滞留時間を12秒に保った。出口ガスを氷水トラップで0℃に冷却したガラス管を通過させて液化し、これを回収して回収液(48g)を得た。回収液をGCで分析した結果、CF=CFOCFCFCF=CFとCF=CFCF(CF)CFCOFの存在が確認され、CF=CFOCFCF=CFCFの存在は認められなかった。CF=CFOCFCFCF=CFの収率は92%であった。回収液を蒸留して、GC純度が99.9%以上のCF=CFOCFCFCF=CFを得た。
【0071】
[実施例5]
実施例1で得たCF=CFOCFCF=CFCFを含まないCF=CFOCFCFCF=CF(150g)と、メタノール(23.7g)、開始剤([(CHCHOCO]、3g)、分散剤(6.7g、花王社製商品名:レベノールWZ)、超純水(800g)を1Lセパラブルフラスコに仕込み、40℃にて20時間、50℃にて6時間の計26時間攪拌し、重合を行った。得られたスラリーを4μmのろ過膜を通し、100℃にて20時間乾燥させ、下式で表される繰返し単位を有する環化重合体を得た。環化重合体の収率は93%であり、固有粘度は0.35であった。
【0072】
【化4】
Figure 0004370912
【0073】
[比較例1]
CF=CFOCFCF=CFCFを0.08質量%含むCF=CFOCFCFCF=CFを用いて、実施例5と同様の方法で重合反応で行ったところ、環化重合体の収率は87%で、固有粘度は0.31であった。
【0074】
[比較例2]
CF=CFOCFCF=CFCFを0.15質量%含むCF=CFOCFCFCF=CFを実施例5と同様の処方を用いて重合を行ったところ、環化重合体の収率は85%で、固有粘度は0.30であった。
【0075】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、特別な試薬や煩雑な手法を用いることなく、化合物(1)と、化合物(1)と同一分子式でありかつ同一分子量である化合物(2)を含む混合物から、化合物(2)を分離して高い純度の化合物(1)を得ることができる。本発明の方法により製造される化合物(1)が重合しうる化合物である場合においても、本発明の方法によれば、化合物(1)を実質的に重合させることなく化合物(2)を分離させることができる。さらに重合しうる化合物(1)においては、重合を阻害する化合物(2)が分離されることから、該化合物(1)を重合させてより高い分子量を有するフッ素ポリマーを製造できる。

Claims (13)

  1. 下式(1)で表されるジエン化合物と下式(2)で表される化合物とを含む混合物において、式(2)で表される化合物のクライゼン転移反応を起こさせしめることによってクライゼン転移反応生成物と式(1)で表されるジエン化合物を含む生成物を生成させ、つぎに該式(1)で表されるジエン化合物を分離することを特徴とする高純度の式(1)で表されるジエン化合物の製造方法。ただし、下式中のR〜Rは、互いに同一であっても異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、1価炭化水素基、エーテル性酸素原子含有1価炭化水素基、ハロゲン化された1価炭化水素基、またはハロゲン化されたエーテル性酸素原子含有1価炭化水素基を示す。
    CR=CRCFRCROCR=CR(1)
    CFRCR=CRCROCR=CR(2)
  2. クライゼン転移反応により下式(3)で表される化合物が生成する請求項1に記載の製造方法。ただし、下式中の記号は上記と同じ意味を示す。
    CR=CRCR(CFR)CRCR=O(3)
  3. 式(2)で表される化合物が下式(2a)で表される化合物である場合において、クライゼン転移反応により下式(3a)で表される化合物が生成する請求項1または2に記載の製造方法。ただし、下式中の記号は上記と同じ意味を示す。
    CFRCF=CRCROCF=CR(2a)
    CR=CRC(CFR)=CR(3a)
  4. 〜Rが、互いに同一であっても異なっていてもよく、フッ素原子、水素原子、塩素原子、トリフルオロメチル基、またはトリフルオロメトキシ基である請求項1、2、または3に記載の製造方法。
  5. 〜Rが、全てフッ素原子である請求項1、2、3、または4に記載の製造方法。
  6. 混合物を気相で加熱することによってクライゼン転移反応を起こさせしめる請求項1、2、3、4、または5に記載の製造方法。
  7. 不活性ガス、または、反応温度で気体になる不活性溶媒の存在下にクライゼン転移反応を起こせしめる請求項6に記載の製造方法。
  8. 重合禁止剤の存在下にクライゼン転移反応を行う請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法。
  9. 150〜400℃に加熱することによりクライゼン転移反応を起こさせしめる請求項1〜8のいずれかに記載の製造方法。
  10. 式(2)で表される化合物が、式(1)で表される化合物における二重結合の転移反応により生成した化合物、または、下式(1B−3)で表される化合物における脱塩素化反応により生成した化合物である請求項1〜9のいずれかに記載の製造方法。ただし、下式中の記号は上記と同じ意味を示す。
    CFRCR=CRCROCClR−CClR(1B−3)
  11. 請求項1〜10のいずれかの方法で得た高純度の式(1)で表されるジエン化合物、または、該ジエン化合物と該ジエン化合物と重合しうる化合物を重合させることを特徴とする含フッ素重合体の製造方法。
  12. 下式(2)で表される化合物においてクライゼン転移反応を行うことを特徴とする下式(3)で表される化合物の製造方法。ただし、下式中のR〜Rは、互いに同一であっても異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、1価炭化水素基、エーテル性酸素原子含有1価炭化水素基、ハロゲン化された1価炭化水素基、またはハロゲン化されたエーテル性酸素原子含有1価炭化水素基を示す。
    CFRCR=CRCROCR=CR(2)
    CR=CRCR(CFR)CRCR=O(3)
  13. 式(2a)で表される化合物をソーダ灰またはガラスビーズの存在下で加熱することを特徴とする下式(3a)で表される化合物の製造方法。ただし、下式中のR、R、R、R、R、R、およびRは、互いに同一であっても異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、1価炭化水素基、エーテル性酸素原子含有1価炭化水素基、ハロゲン化された1価炭化水素基、またはハロゲン化されたエーテル性酸素原子含有1価炭化水素基を示す。
    CFRCF=CRCROCF=CR(2
    CR=CRC(CFR)=CR(3a)
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