JP4370834B2 - 液晶装置、及び電子機器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶装置、及び電子機器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
液晶プロジェクタ等の投射型表示装置に搭載される光変調装置や、携帯電話等に搭載される直視型表示装置として用いられる液晶装置は、対向配置された一対の基板の内面に設けられた矩形枠状のシール材の内側に液晶層が挟持された構成を備えたものが一般的である。この種の液晶装置では、液晶層中に水分や不純物イオンが混入すると、液晶が劣化して表示品質が低下するため、係る水分等の侵入を防ぐための技術が種々提案されている。例えば、シール材の外周部にて水分を吸収する工夫をしたもの(特許文献1参照)や、液晶層中に吸水材を分散させたもの(特許文献2参照)が知られている。
【0003】
【特許文献1】
特開平6−123882号公報
【特許文献2】
特開平6−167698号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、シール材の外周側に吸水材を用いたものでは、液晶装置内部にわずかに存在する水分に対しては効果が得られないという問題があり、液晶層中に吸水材を分散させたものでは、吸水材の液晶特性に対する影響が皆無ではないため、表示特性に影響しない程度に分散量を少なくした場合、十分な吸水効果が得られず、液晶の劣化が生じるおそれがある。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するために成されたものであって、液晶装置内に存在する水分や、外部から侵入する水分を効果的に除去することができ、高い信頼性と優れた表示品質とを兼ね備えた液晶装置を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、互いに対向して配置された一対の基板と、前記両基板間に挟持された液晶層とを具備した液晶装置において、少なくとも一方の前記基板の内面側に、MgOからなる吸湿層が設けられ、複数の画素が配列されてなる表示領域を有しており、前記表示領域内において、前記吸湿層が、隣接する前記画素の間の領域に選択的に形成されていることを特徴とする液晶装置を提供する。
また本発明は、互いに対向して配置された一対の基板と、一対の前記基板の間に挟持された液晶層と、前記液晶層を一対の前記基板間に封止するシール材とを備え、前記シール材の内側に、表示領域と、前記表示領域と前記シール材との間に配置された非表示領域とが形成されている液晶装置において、少なくとも一方の前記基板の内面側に、吸水性又は吸湿性を有するとともに透光性を有する機能膜が設けられており、前記非表示領域に形成された前記機能膜の膜厚が、前記表示領域に形成された前記機能膜の膜厚よりも大きいことを特徴とする。
このように吸水性又は吸湿性を有する機能膜(吸湿層)を基板内面に設ける構成とすることで、液晶に直接影響する装置内部の水分を効果的に除去することが可能になり、経時的な液晶の劣化を防止して、液晶装置の信頼性を高めることができる。また基板上に設けられるスイッチング素子等を水分から保護できるという効果も得られる。このように基板内面に設けられた機能膜上には、さらに液晶装置の構成部材を配置することが可能であるため、機能膜と液晶とが直接に接触しない構成も容易に実現でき、従って、機能膜と液晶との相性を考慮することなく機能膜の構成材料を選択できるという利点もある。
尚、上記機能膜は、少なくとも一方の基板の内面側に設けられていればよいが、両方の基板のそれぞれの内面側に設けることもでき、このような構成とすることで、さらに良好な吸湿作用が得られ、液晶装置の信頼性向上に寄与し得る。
【0007】
本発明の液晶装置では、前記機能膜が、透光性を有して構成されており、画素の表示領域を含む平面領域に設けられている構成とすることができる。このような構成とすれば、基板の液晶層側全面に前記機能膜を設けることが可能になり、広い面積に設けられた機能膜により水分の除去が効率的に行われ、特に信頼性に優れる液晶装置を提供することができる。また、機能膜を全面ベタ状に形成すれば、機能膜の形成工程を極めて簡素にできるという利点もある。
【0008】
この構成の液晶装置では、前記機能膜の膜厚が、5nm〜100nmであることが好ましい。機能膜が5nm未満の場合、機能膜による吸湿効果を十分に得られない。一方、画素の表示領域を含む領域に上記機能膜を形成する場合、液晶を駆動するための電極(画素電極等)と液晶層との距離が大きくなるため、機能膜の膜厚を100nm以下として、駆動電圧の過度の上昇や表示の焼き付き等が生じないようにすることが望ましい。
【0009】
本発明の液晶装置では、前記機能膜が、画素の周辺領域に設けられている構成とすることもできる。この構成によれば、前記機能膜を画素の表示領域外に設けるようにすることで、機能膜による光の吸収が表示輝度に影響しないようにすることができ、明るい表示が得られる液晶装置を提供することができる。また、機能膜が表示に影響しないため、吸湿性、吸水性を優先して機能膜の材質を選択でき、膜厚も大きくできるので、形成領域が狭くなっても十分な吸湿性、吸水性を備える機能膜を形成できる。
【0010】
この構成の液晶装置では、前記機能膜の膜厚が、5nm〜1000nmであることが好ましい。機能膜の膜厚が5nm未満では、十分な吸水、吸湿効果を得ることができない。また、画素の表示領域外に機能膜を設ける場合、表示領域内に機能膜を設ける場合に比して厚い膜厚に形成することができるが、厚くするほど機能膜による段差が大きくなり、この段差に起因して配向膜の形成工程やラビング工程の困難性が増したり、段差周辺の液晶分子に配向不良を生じやすくなるため、1000nm以下の膜厚とすることが望ましい。
【0011】
本発明の液晶装置では、前記機能膜が、前記一対の基板の液晶層側に設けられた配向膜の下層に設けられている構成とすることが好ましい。この構成によれば、上記機能膜と液晶層との間に配向膜が介在するので、液晶と機能膜とが直接接触せず、機能膜自身による液晶の劣化や配向不良が生じるのを防止できる。また、配向膜の種類によっては、電極等の不純物が配向膜を貫通して液晶を劣化させる場合があるが、この構成とすることで、機能膜により前記不純物が液晶層へ拡散するのを防止できるという効果も得られる。
【0012】
また、本発明の液晶装置では、前記機能膜が、前記一対の基板の液晶層側に設けられた配向膜の表面に設けられている構成も適用可能である。このような構成とすれば、機能膜による水分の除去を最も効率よく行うことが可能になる。
【0013】
次に、本発明は、先に記載の本発明の液晶装置を備えたことを特徴とする電子機器を提供する。係る電子機器では、先の本発明の液晶装置を採用したことで、信頼性及び表示品質に優れた表示部を備えたものとなる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照して詳しく説明する。
(第1の実施の形態)
本実施の形態の液晶装置は、アクティブマトリクス型液晶装置である。
図1は、液晶装置の表示領域を構成するマトリクス状に配置された複数の画素におけるスイッチング素子、信号線等の等価回路図であり、図2は、データ線、走査線、画素電極等が形成されたTFTアレイ基板の相隣接する複数の画素群の平面図である。また、図3は、図2のA−A’線断面図であり、図4は、図2のB−B’線断面図である。
尚、図1〜図4においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならせてある。
【0015】
本実施の形態の液晶装置において、図1に示すように、画像表示領域を構成するマトリクス状に配置された複数の画素には、画素電極9と、この画素電極9を制御するためのスイッチング素子である薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor, 以下、TFTと略記する)30がそれぞれ形成されており、画像信号が供給されるデータ線6aが当該TFT30のソースに電気的に接続されている。データ線6aに書き込む画像信号S1、S2、…、Snは、この順に線順次に供給されるか、あるいは相隣接する複数のデータ線6a同士に対してグループ毎に供給される。また、走査線3aがTFT30のゲートに電気的に接続されており、複数の走査線3aに対して走査信号G1、G2、…、Gmが所定のタイミングでパルス的に線順次で印加される。画素電極9はTFT30のドレインに電気的に接続されており、スイッチング素子であるTFT30を一定期間だけオンすることにより、データ線6aから供給される画像信号S1、S2、…、Snを所定のタイミングで書き込む。また、保持された画像信号がリークするのを防ぐために、画素電極9と対向電極との間に形成される液晶容量と並列に蓄積容量70が付加されている。
【0016】
本実施の形態の液晶装置の場合、図2に示すように、TFTアレイ基板上に、マトリクス状に複数の透明な矩形状の画素電極9が設けられており、画素電極9aの縦横の境界に各々沿ってデータ線6a、走査線3aおよび容量線3bが設けられている。データ線6aは、例えばポリシリコン膜からなる半導体層1aのうち、後述のソース領域にコンタクトホール5を介して電気的に接続されており、画素電極9aは、半導体層1aのうち、後述のドレイン領域にコンタクトホール8を介して電気的に接続されている。また、半導体層1aのうち、後述のチャネル領域(図中左上がりの斜線の領域)に対向するように走査線3aが配置されており、走査線3aはチャネル領域に対向する部分でゲート電極として機能する。なお、半導体層1aはポリシリコンに限るものではなく、例えば単結晶シリコンにより形成してもよい。
【0017】
容量線3bは、走査線3aに沿って略直線状に伸びる本線部(すなわち、平面的に見て、走査線3aに沿って形成された第1領域)と、データ線6aと交差する箇所からデータ線6aに沿って前段側(図中上向き)に突出した突出部(すなわち、平面的に見て、データ線6aに沿って延設された第2領域)とを有する。そして、図2中、右上がりの斜線で示した領域には、複数の第1遮光膜11aが設けられている。より具体的には、第1遮光膜11aは、夫々、画素部において半導体層1aのチャネル領域を含むTFT30をTFTアレイ基板の側から見て覆う位置に設けられており、さらに、容量線3bの本線部に対向して走査線3aに沿って直線状に伸びる本線部と、データ線6aと交差する箇所からデータ線6aに沿って隣接する後段側(すなわち、図中下向き)に突出した突出部とを有する。第1遮光膜11aの各段(画素行)における下向きの突出部の先端は、データ線6a下において次段における容量線3bの上向きの突出部の先端と重なっている。この重なった箇所には、第1遮光膜11aと容量線3bとを相互に電気的に接続するコンタクトホール13が設けられている。すなわち、本実施の形態では、第1遮光膜11aは、コンタクトホール13により前段あるいは後段の容量線3bに電気的に接続されている。
【0018】
次に、断面構造を見ると、図3に示すように、本実施の形態の液晶装置は、一対の透明基板を有しており、その一方の基板をなすTFTアレイ基板10と、これに対向配置された他方の基板をなす対向基板20とを備えている。TFTアレイ基板10は例えば石英基板やハードガラスを基体としてなり、対向基板20は例えばガラス基板や石英基板を基体としてなるものである。
【0019】
TFTアレイ基板10には、例えばインジウム錫酸化物(Indium Tin Oxide,以下、ITOと略記する)等の透明導電膜からなる画素電極9が設けられ、TFTアレイ基板10上の各画素電極9に隣接する位置に、各画素電極9をスイッチング制御する画素スイッチング用TFT30が設けられている。画素スイッチング用TFT30は、LDD(Lightly Doped Drain)構造を有しており、走査線3a、当該走査線3aからの電界によりチャネルが形成される半導体層1aのチャネル領域1a’、走査線3aと半導体層1aとを絶縁する絶縁薄膜(ゲート絶縁膜)2、データ線6a、半導体層1aの低濃度ソース領域1bおよび低濃度ドレイン領域1c、半導体層1aの高濃度ソース領域1dおよび高濃度ドレイン領域1eを備えている。
【0020】
また、上記走査線3a上、絶縁薄膜2上を含むTFTアレイ基板10上には、高濃度ソース領域1dへ通じるコンタクトホール5、および高濃度ドレイン領域1eへ通じるコンタクトホール8が各々形成された第2層間絶縁膜4が形成されている。つまり、データ線6aは、第2層間絶縁膜4を貫通するコンタクトホール5を介して高濃度ソース領域1dに電気的に接続されている。
【0021】
また、データ線6a上および第2層間絶縁膜4上には、高濃度ドレイン領域1eへ通じるコンタクトホール8が形成された第3層間絶縁膜7が形成されている。つまり、高濃度ドレイン領域1eは、第2層間絶縁膜4、第3層間絶縁膜7を貫通するコンタクトホール8を介して画素電極9と電気的に接続されている。なお、画素電極9と高濃度ドレイン領域1eとは、データ線6aと同一レイヤーのAl膜や走査線3bと同一レイヤーのポリシリコン膜を中継して電気的に接続する構成としてもよい。
【0022】
また、本実施の形態では、図3および図4に示すように、ゲート絶縁膜となる絶縁薄膜2を走査線3aの一部からなるゲート電極に対向する位置から延設して誘電体膜として用い、半導体層1aを延設して図2に示す平面視略L字状の第1蓄積容量電極1fとし、さらにこれらに対向する容量線3bの一部を第2蓄積容量電極とすることにより、蓄積容量70が構成されている。
【0023】
また、図3に示すように、TFTアレイ基板10表面の各画素スイッチング用TFT30に対応する位置には、第1遮光膜11aが設けられている。また、第1遮光膜11aと複数の画素スイッチング用TFT30との間には、第1層間絶縁膜12が設けられている。第1層間絶縁膜12は、画素スイッチング用TFT30を構成する半導体層1aを第1遮光膜11aから電気的に絶縁するために設けられるものである。さらに、第1層間絶縁膜12は、TFTアレイ基板10の全面に形成されており、第1遮光膜11aパターンの段差を解消するために表面が研磨され、平坦化処理が施されている。
【0024】
さらに、蓄積容量70においては、図3に示すように、第1遮光膜11aは、第2蓄積容量電極としての容量線3bの反対側において第1蓄積容量電極1fに第1層間絶縁膜12を介して第3蓄積容量電極として対向配置されることにより(図3の右側の蓄積容量70参照)、蓄積容量が更に付与されるように構成されている。また、図2および図3に示したように、TFTアレイ基板10に第1遮光膜11aを設けるのに加えて、コンタクトホール13を介して第1遮光膜11aは、前段あるいは後段の容量線3bに電気的に接続するように構成されている。
【0025】
他方、対向基板20には、ほぼ全面にわたって対向電極21が設けられている。対向電極21は、TFTアレイ基板10の画素電極9と同様、ITO等の透明導電膜から形成されている。
そして、TFTアレイ基板10における画素電極9上および第3層間絶縁膜7上に、吸湿層31が設けられており、対向基板20における対向電極21上に、吸湿層32が設けられている。さらに、これらの吸湿層31,32をそれぞれ覆うように配向膜40,60が設けられ、これらの基板間に液晶が挟持されて液晶層50が形成されている。
上記配向膜40,60としては、特に限定はなく、ポリイミド等の有機材料からなるものや、酸化シリコン等の無機材料からなるものを適宜用いることができる。
【0026】
本実施の形態の液晶装置は、図3及び図4に示すように、TFTアレイ基板10の配向膜40と、画素電極9、第3層間絶縁膜7との間の基板10全面に吸湿層31が設けられ、対向基板20の配向膜60と、対向電極21との間の基板20全面に吸湿層32が設けられている点に特徴を有している。吸湿層31,32としては、例えばMgOやSiO等、吸水性と透光性とを備えた材料の薄膜により構成することができる。
本実施形態の場合、基板10,20の液晶層50側全面に吸湿層31,32が設けられているので、基板本体10A、20A及びこれらの液晶層50側に設けられた各部材に存在する水分が、液晶層50へ移動するのを遮断することができ、もって液晶層50に劣化が生じるのを防止することができる。また、多湿環境にて液晶装置を使用する際には、液晶層50を封止しているシール材(図示略)を透過して水分が液晶層50中に侵入する可能性があるが、その場合にも、吸湿層31,32により効果的に水分の除去を行うことができるので、液晶層50を水分から保護することができ、さらには上記水分が、画素電極9や対向電極21、TFT30等に及ぶのを効果的に防止することができる。
【0027】
また、本実施形態の場合、配向膜40,60の下側に吸湿層31,32が設けられているので、吸湿層31,32と液晶層50とが直接に接触することがなく、従って、これらの吸湿層を設けたことにより液晶の配向制御性が低下したり、液晶に劣化を生じることはない。
また、配向膜40,60として無機材料の斜方蒸着膜を用いた場合には、画素電極9や対向電極21の構成材として用いられるITO、Al、Ag等から拡散される不純物により液晶に劣化を生じる場合があったが、本実施形態では、吸湿層31,32が配向膜40,60と画素電極9,対向電極20との間に設けられているため、電極9,20からの不純物の拡散を吸湿層31,32により遮断することができ、この点においても液晶装置の信頼性を高め得る技術として有効である。
【0028】
本実施形態に係る吸湿層31,32の膜厚は、画素の表示領域内で5nm〜100nmの範囲とすることが好ましい。膜厚が5nm未満の場合には、吸湿層31,32にて十分な吸湿効果が得られず、パネル内部に存在する水分や外部から侵入する水分により液晶等に劣化を生じるおそれがある。一方、100nmを超える場合には、画素電極9と液晶層50との距離が大きくなりすぎるために、焼き付き等の表示不良が生じるおそれがある。
また、本実施の形態では、吸湿層31,32の膜厚が基板全面でほぼ均一であるとして説明しているが、これらの吸湿層31,32は、基板面上で部位により異なる膜厚に形成してもよいのは勿論であり、例えば、液晶装置の表示エリア(画素電極9がマトリクス状に配置されている領域)と、シール材との間の非表示領域の吸湿層31,32の膜厚を相対的に厚く形成し、シール材を透過して侵入する水分の除去をこの非表示領域にて効率的に行えるようにすることもできる。尚、吸湿層31,32の非表示領域における膜厚は、100nm以上としても構わない。
【0029】
このように、本実施形態の液晶装置によれば、TFTアレイ基板10及び対向基板20のそれぞれの液晶層50側に吸湿層31,32が設けられているので、パネル内部に存在する水分や、シール材を透過して外部から液晶層50中に侵入する水分を効果的に除去することができる。これにより、経時的な液晶の劣化が極めて生じ難く、長期間に渡り高品位の表示を得ることが可能であり、高信頼性の液晶装置を提供することができる。また、吸湿層31,32を配向膜40,60の下層側に設ける構成としたことで、吸湿材31,32によって液晶が劣化したり、液晶の配向制御性が低下するという問題が生じないため、液晶装置の表示品質を低下させることなく信頼性を向上させることができる利点がある。
【0030】
(第2の実施の形態)
上記第1の実施の形態では、基板10,20の全面に吸湿層32,22を設けた構成としたが、係る吸湿層(機能膜)を画素の表示領域の外側に設けることもできる。本実施の形態では、このように画素電極9の外周に吸湿層を設けた場合の構成について図5を参照して説明する。尚、以下の本実施の形態の液晶装置は、上記吸湿層の構成以外は、第1の実施の形態の液晶装置とほぼ同様の構成を備えており、必要に応じて図1ないし図4を参酌して説明することとする。
【0031】
図5は、本実施の形態の液晶装置の部分断面図であり、同図に示す断面構造は、平面的には図2のB−B’線に対応している。図6は、本実施の形態の液晶装置のTFTアレイ基板10に設けられた吸湿層33の部分平面構造を示す図である。
図5に示すように、本実施の形態の液晶装置では、TFTアレイ基板10の配向膜40と第3層間絶縁膜7との間の画素電極9と同層に、吸湿層33が設けられており、この吸湿層33は、図6に示す如く平面視格子状を成して、マトリクス状に配置された画素電極9の間に設けられている。対向基板20の構成は、図3に示した第1の実施形態の液晶装置と同様である。
【0032】
本実施形態の場合、画素電極9の外周端に沿って吸湿層33が設けられているので、先の第1実施形態の液晶装置に比して、画素電極9と液晶層50との距離が大きくならず、駆動電圧の点で有利である。また、吸湿層による光の吸収が、表示輝度に影響しないため、明るい表示を得やすいという利点がある。
吸湿層33の膜厚は、5nm〜1000nmの範囲とすることが好ましい。5nm未満の場合、十分な吸湿効果が得られず、水分による液晶の劣化が生じ易くなる。また、吸湿層33は、画素の表示領域外に設けられており、その膜厚が表示品質に影響することがないため、第1の実施形態に比して厚く形成することができるが、1000nmを超える膜厚では、TFTアレイ基板10表面の段差が大きくなることにより、配向膜40の形成が困難になったり、配向膜へのラビング処理時に膜剥がれが生じやすくなる等の問題が生じ易くなる。また、上記段差が大きくなると、その周辺で液晶の配向乱れが生じ、コントラストや輝度の低下を生じるため好ましくない。
吸湿層33としては、先の吸湿層31と同様、MgOやSiO等を用いることができるが、本実施の形態では、吸湿層33は画素の表示領域外に設けられているため、必ずしも透光性を備えている必要はない。さらに、本実施形態の場合、吸湿層33は画素の表示領域外に設けられるため、吸湿層33により液晶の配向制御を行う必要がないことから、液晶に対して劣化、配向不良等のを及ぼさない材料を選択することで、配向膜40上に吸湿層33を配置することが可能になる。この場合、液晶層50内に含まれる水分の吸収をさらに効果的に行うことができ、また配向膜40の形成や配向処理が容易になるという利点が得られる。
【0033】
尚、上記第1、第2実施形態では、TFTアレイ基板10の内面、及び対向基板20の内面の両方に、吸湿層31ないし33を設けた構成として、良好な吸湿作用を得られるようにしているが、これらの基板10,20のうち、少なくとも一方の基板の内面に吸湿層が設けられていれば、係る吸湿層による吸湿作用を得ることが可能であり、液晶層50を保護して液晶装置の信頼性を高めることができる。
【0034】
[電子機器]
以下、上記の液晶装置を用いた電子機器の一例として、投射型表示装置について説明する。
図7は、3つの液晶ライトバルブを用いた、いわゆる3板式の投射型液晶表示装置の一例を示す概略構成図である。ここでは上記実施の形態の液晶装置を液晶ライトバルブとして用いている。図中、符号510は光源、513,514はダイクロイックミラー、515,516,517は反射ミラー、518,519,520はリレーレンズ、522,523,524は液晶ライトバルブ、525はクロスダイクロイックプリズム、526は投射レンズ系を示す。
【0035】
光源510は、超高圧水銀灯等のランプ511とランプ511の光を反射するリフレクタ512とから構成されている。青色光・緑色光反射のダイクロイックミラー513は、光源510からの白色光のうちの赤色光を透過させるとともに、青色光と緑色光とを反射する。透過した赤色光は反射ミラー517で反射され、赤色光用液晶ライトバルブ522に入射される。
【0036】
一方、ダイクロイックミラー513で反射された色光のうち、緑色光は、緑色光反射のダイクロイックミラー514によって反射され、緑色用液晶ライトバルブ523に入射される。一方、青色光は、第2のダイクロイックミラー514も透過する。青色光に対しては、光路長が緑色光、赤色光と異なるのを補償するために、入射レンズ518、リレーレンズ519、出射レンズ520を含むリレーレンズ系からなる導光手段521が設けられ、これを介して青色光が青色光用液晶ライトバルブ524に入射される。
【0037】
各ライトバルブにより変調された3つの色光は、クロスダイクロイックプリズム525に入射する。このプリズムは、4つの直角プリズムが貼り合わされ、その内面に赤色光を反射する誘電体多層膜と青色光を反射する誘電体多層膜とが十字状に形成されたものである。これらの誘電体多層膜によって3つの色光が合成されて、カラー画像を表す光が形成される。合成された光は、投射光学系である投射レンズ系526によってスクリーン527上に投射され、画像が拡大されて表示される。
【0038】
この投射型液晶表示装置は、上記の液晶装置を備えたものであるので、経時的な液晶の劣化が極めて生じ難く、高い信頼性と優れた表示品位とを兼ね備えた投射型表示装置となっている。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明の第1実施形態の液晶装置の等価回路図。
【図2】 図2は、同、複数の画素の平面図。
【図3】 図3は、図2のA−A’線に沿う断面図。
【図4】 図4は、図2のB−B’線に沿う断面図。
【図5】 図5は、第2実施形態に係る部分断面図。
【図6】 図6は、同、吸湿層の部分平面構成図。
【図7】 図7は、電子機器の一例を示す構成図。
【符号の説明】
3a 走査線、 3b 容量線、 6a データ線、 9 画素電極、
10 TFTアレイ基板、 20 対向基板、 21 対向電極、
30 TFT、 31〜33 吸湿層(機能膜)、 40,60 配向膜、
50 液晶層、 70 蓄積容量
Claims (7)
- 互いに対向して配置された一対の基板と、前記両基板間に挟持された液晶層とを具備した液晶装置において、
少なくとも一方の前記基板の内面側に、MgOからなる吸湿層が設けられ、
複数の画素が配列されてなる表示領域を有しており、
前記表示領域内において、前記吸湿層が、隣接する前記画素の間の領域に選択的に形成されていることを特徴とする液晶装置。 - 前記吸湿層が、一対の前記基板の前記液晶層側に設けられた配向膜の前記液晶層側の面に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の液晶装置。
- 互いに対向して配置された一対の基板と、一対の前記基板の間に挟持された液晶層と、前記液晶層を一対の前記基板間に封止するシール材とを備え、前記シール材の内側に、表示領域と、前記表示領域と前記シール材との間に配置された非表示領域とが形成されている液晶装置において、
少なくとも一方の前記基板の内面側に、吸水性又は吸湿性を有するとともに透光性を有する機能膜が設けられており、
前記非表示領域に形成された前記機能膜の膜厚が、前記表示領域に形成された前記機能膜の膜厚よりも大きいことを特徴とする液晶装置。 - 前記表示領域に形成された前記機能膜の膜厚が、5nm〜100nmであり、前記非表示領域に形成された前記機能膜の膜厚が5nm〜1000nmであることを特徴とする請求項3に記載の液晶装置。
- 前記機能膜が、一対の前記基板の前記液晶層側に設けられた配向膜の下層に設けられていることを特徴とする請求項3又は4に記載の液晶装置。
- 前記機能膜が、一対の前記基板の前記液晶層側に設けられた配向膜の前記液晶層側の面に設けられていることを特徴とする請求項3又は4に記載の液晶装置。
- 請求項1ないし6のいずれか1項に記載の液晶装置を備えたことを特徴とする電子機器。
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