JP4370766B2 - Ｅａ材の取付構造 - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明はＥＡ材（衝撃エネルギー吸収材）の取付構造に係り、特に自動車のトリムに適用するのに好適なＥＡ材の取付構造に関する。
【０００２】
【従来の技術】
自動車のドアトリムには、側面衝突（側突）時の衝撃エネルギー吸収（Ｅｎｅｒｇｙ Ａｂｓｏｒｐｔｉｏｎ：ＥＡ）のために、硬質ウレタンフォームよりなるＥＡ材を取り付けている。このドアトリムに対し、硬質ウレタンフォーム製ＥＡ材を取り付ける方法として、特開２００１−３２２５０７号には、図３，４に示す構造が記載されている。図３は同号公報の図７に記載されたＥＡ材の取付構造を示す断面図、図４（ａ）はこの構造に用いられている筒状体２０の斜視図、図４（ｂ）はこの筒状体２０の断面斜視図である。
【０００３】
この筒状体２０は筒部２１及び張出部２２を一体に備えている。この筒部２１の先端からは内向きに爪部２３が設けられている。トリム３１から突設されたロッド２６の外周面に凹部２７が周設されており、爪部２３が該凹部２７に係合している。
【０００４】
なお、筒部２１には先端から筒部２１の軸心線と平行方向にスリット２４が延設されており、筒部２１はその拡径方向に弾性的に変形可能となっている。
【０００５】
ＥＡ材３３をトリム３１に取り付けるには、ＥＡ材３３の取付孔３４にロッド２６が挿入されるようにＥＡ材３３をトリム３１の面に沿わせ、次いで筒状体２０をロッド２６に嵌合させて押し込み、爪部２３を凹部２７に係合させる。これにより、張出部２２はＥＡ材３３の取付孔３４の周縁部を押さえつける。
【０００６】
なお、この筒部２１は先細形のテーパ形状となっており、取付孔３４に挿入し易いものとなっている。筒状体２０をロッド２６に装着した状態にあっては、筒部２１の外周面が取付孔３４の内周面に密着している。
【０００７】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来のＥＡ材の取付構造にあっては、ＥＡ材をトリム３１に取り付けるに際しては、ＥＡ材をトリム３１に当てがう作業と、その後ロッド２６に筒状体２０を嵌着させる作業との２作業工程が必要となり、作業に手間がかかる。本発明は、ＥＡ材のトリム等の部材への取り付け作業性が著しく改善されたＥＡ材の取付構造を提供することを目的とする。
【０００８】
【課題を解決するための手段】
本発明のＥＡ材の取付構造は、車両のトリムにＥＡ材を取り付けた構造において、該ＥＡ材に一体に設けられた係止部が前記トリムに設けられた開口に係合することにより、該ＥＡ材が該トリムに取り付けられているＥＡ材の取付構造であり、該ＥＡ材は硬質ウレタンフォームよりなり、該係止部は、筒部と、該筒部の後端から外向き鍔状に張り出すアンカーと、筒部の先端から外向き鍔状に張り出すフランジと、筒部の先端面から該筒部の筒軸方向と平行方向に突設された複数の突起と、該突起の突出方向の側面から側方に張り出す爪部とを有しており、該係止部のうち少なくとも該アンカー及び該筒部が該ＥＡ材に非貫通状に埋設され、該係止部のうち少なくとも該フランジの該爪部に対向する面、該突起及び該爪部がＥＡ材の表面から突出しており、該突起は弾性変形可能であり、前記開口に係合されるに際し弾性変形した後、弾性的に復元することにより、該フランジと前記爪部との間で開口の縁部が挟持されており、前記係止部は、ＥＡ材の成形用金型に対し磁気的に吸着保持可能であることを特徴とするものである。
【０００９】
かかるＥＡ材の取付構造にあっては、係止部がＥＡ材と一体化されているので、この係止部付きのＥＡ材を部材に当てがいながら、該係止部をトリムの開口に係合させるという１作業工程にてＥＡ材を部材に取り付けることができる。
【００１０】
本発明では、係止部は弾性変形可能であり、前記開口に係合されるに際し弾性変形した後、弾性的に復元することにより該開口に係合している構成とすることにより、係止部を開口に対し容易に取り付けることができる。
【００１２】
かかるＥＡ材の取付構造であれば、突起を開口に差し込みながらＥＡ材を部材に当てがうことにより部材へのＥＡ材の取り付けを行うことができる。また、突起が開口の縁部に沿って複数個設けられることにより、ＥＡ材の部材面に沿う方向の動き（ガタツキ）が防止される。
【００１３】
本発明では、係止部はフランジを有しており、該フランジと前記爪部との間で開口の前記縁部が挟持されている。このフランジを設けておくことにより、ＥＡ材の部材接離方向への動き（ガタツキ）が防止される。
【００１４】
本発明では、突起の基部（筒部及びアンカー）がＥＡ材に埋設されているので、突起とＥＡ材との結合強度を高めることができる。また、係止部の基部がＥＡ材を貫通しないように設けられているので、係止部近傍におけるＥＡ材の衝撃吸収特性を高めることができる。
【００１５】
本発明では、ＥＡ材は硬質ウレタンフォームである。このＥＡ材に対しては、係止部を、その基部を埋設させることにより強固に一体化させることができる。
【００１６】
このＥＡ材を製造する場合、ＥＡ材成形用の金型に該係止部を磁力により保持させておくようにすることにより、成形を効率良く行うことができる。また、係止部がフランジを有しているので、磁力によりこのフランジが金型に密着し、バリの発生が防止される。
【００１７】
このＥＡ材の取付構造は、自動車キャビンの内面に沿って配置される頭部保護パッドやピラーパッドの取り付けに好適であるが、これに限定されるものではない。
【００１８】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。図１（ａ）は実施の形態に係るＥＡ材の取付構造を示す略水平方向の断面図、図１（ｂ）はこのＥＡ材の取付構造の係止部の側面図、図２（ａ）は係止部付きＥＡ材の製造方法を説明する断面図、図２（ｂ）は図２（ａ）の一部の拡大図である。
【００１９】
図１の通り、硬質ウレタンフォームよりなる板状のＥＡ材１が部材としてのトリム（この実施の形態ではドアトリム）２に対し係止部３を介して取り付けられている。この実施の形態では、被係止部として開口４が該トリム２に設けられており、係止部３は該開口４に係合している。この開口４は円形であることが好ましいが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【００２０】
この係止部３は、筒部６と、該筒部６の後端から外向き鍔状に張り出すアンカー５と、筒部６の先端から外向き鍔状に張り出すフランジ７と、筒部６の先端面から該筒部６の筒軸方向と平行方向に突設された複数（この実施の形態では２個）の突起８，８とを有する。この突起８，８は開口４の直径方向に対峙して設けられている。なお、突起８の数は、２〜４個程度が実用的である。
【００２１】
この突起８の突出方向の側面には、側方に張り出すように爪部８ａが設けられており、この爪部８ａとフランジ７との間にスペース９が存在している。この爪部８ａは、フランジ７に接近するほど側方への張り出し高さが大きくなっており、突起８，８の外側の側面は先細状のテーパ面となっている。これにより、突起８，８は開口４に容易に挿入可能である。
【００２２】
この係止部３は、合成樹脂により全体として一体に成形されており、突起８，８は接近方向に弾性的に変形可能となっている。
【００２３】
なお、この係止部３を構成する合成樹脂には、フェライト粒子などの強磁性粒子が分散されており、且つ該強磁性粒子に着磁処理を施すことにより係止部３は帯磁したものとなっている。これにより、この係止部３はＥＡ材１の成形用の金型に磁気的に吸着保持可能となっている。
【００２４】
図１の通り、係止部３は、その筒部６及びアンカー５がＥＡ材１中に埋設されている。フランジ７は、この実施の形態では、その下面がＥＡ材１の表面と面一状となっているが、フランジ７の下半部がＥＡ材１中に埋設され、フランジ７の上半部がＥＡ材１の表面から突出してもよい。フランジ７が例えば図１に図示の如くＥＡ材１の表面から突出していると、爪部８ａとフランジ７とでトリム２を挟持することにより、ＥＡ材１とトリム２との接離方向の位置関係が一義的に定まったものとなる。
【００２５】
この係止部３は、図１では１個のみ図示されているが、ＥＡ材１の大きさや形状に応じ２個以上設けられてもよい。係止部３の位置もＥＡ材１の大きさや形状に応じて選定される。
【００２６】
この係止部３付きのＥＡ材１は、突起８，８を開口４に差し込みながらトリム２に当てがうことにより該トリム２に取り付けられる。ＥＡ材１をトリム２に押し付けると、突起８，８が開口４に押し込まれる。爪部８ａが開口４の内周面に押し付けられることにより、該突起８，８が接近方向に撓みながら開口４に差し込まれる。そして、爪部８ａが開口４を通り抜けると、突起８，８が弾性的に元の形状に復帰し、各突起８の側面が開口４の内周面に弾性的に押し付けられると共に、爪部８ａとフランジ７とで、スペース９に入り込んだ開口４の縁部を挟持する。このように、係止部３付きのＥＡ材１をトリム２に重ねるという１作業工程のみでＥＡ材１をトリム２に取り付けることができ、取付作業効率が著しく向上する。また、係止部３の複数の突起８が開口４の内周面に弾性的に押し付けられると共に、各突起８の爪部８ａとフランジ７とで開口４の縁部を挟持しているので、ＥＡ材１がトリム２の面方向及び接離方向のいずれにも不動であり、ＥＡ材１の取付がきわめてしっかりしたものとなる。
【００２７】
図１（ａ）の通り、係止部３は、その筒部６及びアンカー５がＥＡ材１中に埋設されている。このように係止部３がＥＡ材１を貫通しておらず、係止部３付近においてもＥＡ材１が十分な厚みを有しているところから、この係止部３付近においてもＥＡ材１の衝撃吸収特性が良好である。
【００２８】
このＥＡ材１の取付構造にあっては、係止部３及び開口４の配置や個数は任意であり、種々様々な形状のＥＡ材であってもトリムに対ししっかりとしかも容易に取り付けることができる。また、ＥＡ材が軟質であっても、係止部３及び開口４の数を多くすることにより、ＥＡ材をしっかりと留め付けることができる。
【００２９】
この係止部３付きＥＡ材１を製造するには、図２のように下金型１０及び上金型１１よりなる金型を用い、この上金型１１のキャビティ面に係止部３を保持させておき、キャビティ内に合成樹脂材料（硬質ウレタンフォーム材料）を供給して成形すればよい。下金型１０内にウレタンの原液を供給し、これを発泡させればよい。なお、射出発泡成形としてもよい。
【００３０】
係止部３を保持する上金型１１には、該係止部３の突起８，８を受け入れる凹部１２が設けられている。また、この凹部１２の入口部分には、強磁性材料（例えば鉄コバルト合金などの合金、あるいはフェライト等のセラミック材料）よりなる環状体１３が設けられている。この環状体１３及び係止部３の一方を着磁させることにより、係止部３を環状体１３に対し磁気的に吸着保持可能である。なお、通常は環状体１３を着磁させておく。環状体１３は電磁石にて構成されてもよい。
【００３１】
この環状体１３の下面にフランジ７の上面を磁気的に吸着保持させて上記の成形を行う。金型内で合成樹脂が所定程度硬化した後、成形品を脱型することにより、係止部３付きのＥＡ材１が得られる。
【００３２】
なお、フランジ７が環状体１３に磁気吸着力により密着するため、フランジ７と環状体１３との間に合成樹脂が入り込んでバリが発生することが防止される。
【００３３】
上記実施の形態は本発明の一例であり、本発明は図示以外の形態をもとりうる。例えば、フランジ７やアンカー５は図示以外の形状とされてもよい。
【００３４】
【発明の効果】
以上の通り、本発明によると、ＥＡ材をトリム等の部材に対し容易に取り付けることが可能となる。本発明によると、ＥＡ材による衝撃吸収特性を向上させたり、種々の形状、大きさ、硬度のＥＡ材であっても部材に対ししっかりと取り付けたりすることも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図１】図１（ａ）は実施の形態に係るＥＡ材の取付構造を示す断面図、図１（ｂ）はこのＥＡ材の取付構造の係止部の側面図である。
【図２】図２（ａ）は係止部付きＥＡ材の製造方法を説明する断面図、図２（ｂ）は図２（ａ）の一部の拡大図である。
【図３】従来例を示す断面図である。
【図４】図３の構造の説明図である。
【符号の説明】
１ ＥＡ材
２ トリム
３ 係止部
４ 開口
５ アンカー
６ 筒部
７ フランジ
８ 突起
８ａ 爪部
９ スペース
１０ 下金型
１１ 上金型
１２ 凹部
１３ 環状体
【発明の属する技術分野】
本発明はＥＡ材（衝撃エネルギー吸収材）の取付構造に係り、特に自動車のトリムに適用するのに好適なＥＡ材の取付構造に関する。
【０００２】
【従来の技術】
自動車のドアトリムには、側面衝突（側突）時の衝撃エネルギー吸収（Ｅｎｅｒｇｙ Ａｂｓｏｒｐｔｉｏｎ：ＥＡ）のために、硬質ウレタンフォームよりなるＥＡ材を取り付けている。このドアトリムに対し、硬質ウレタンフォーム製ＥＡ材を取り付ける方法として、特開２００１−３２２５０７号には、図３，４に示す構造が記載されている。図３は同号公報の図７に記載されたＥＡ材の取付構造を示す断面図、図４（ａ）はこの構造に用いられている筒状体２０の斜視図、図４（ｂ）はこの筒状体２０の断面斜視図である。
【０００３】
この筒状体２０は筒部２１及び張出部２２を一体に備えている。この筒部２１の先端からは内向きに爪部２３が設けられている。トリム３１から突設されたロッド２６の外周面に凹部２７が周設されており、爪部２３が該凹部２７に係合している。
【０００４】
なお、筒部２１には先端から筒部２１の軸心線と平行方向にスリット２４が延設されており、筒部２１はその拡径方向に弾性的に変形可能となっている。
【０００５】
ＥＡ材３３をトリム３１に取り付けるには、ＥＡ材３３の取付孔３４にロッド２６が挿入されるようにＥＡ材３３をトリム３１の面に沿わせ、次いで筒状体２０をロッド２６に嵌合させて押し込み、爪部２３を凹部２７に係合させる。これにより、張出部２２はＥＡ材３３の取付孔３４の周縁部を押さえつける。
【０００６】
なお、この筒部２１は先細形のテーパ形状となっており、取付孔３４に挿入し易いものとなっている。筒状体２０をロッド２６に装着した状態にあっては、筒部２１の外周面が取付孔３４の内周面に密着している。
【０００７】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来のＥＡ材の取付構造にあっては、ＥＡ材をトリム３１に取り付けるに際しては、ＥＡ材をトリム３１に当てがう作業と、その後ロッド２６に筒状体２０を嵌着させる作業との２作業工程が必要となり、作業に手間がかかる。本発明は、ＥＡ材のトリム等の部材への取り付け作業性が著しく改善されたＥＡ材の取付構造を提供することを目的とする。
【０００８】
【課題を解決するための手段】
本発明のＥＡ材の取付構造は、車両のトリムにＥＡ材を取り付けた構造において、該ＥＡ材に一体に設けられた係止部が前記トリムに設けられた開口に係合することにより、該ＥＡ材が該トリムに取り付けられているＥＡ材の取付構造であり、該ＥＡ材は硬質ウレタンフォームよりなり、該係止部は、筒部と、該筒部の後端から外向き鍔状に張り出すアンカーと、筒部の先端から外向き鍔状に張り出すフランジと、筒部の先端面から該筒部の筒軸方向と平行方向に突設された複数の突起と、該突起の突出方向の側面から側方に張り出す爪部とを有しており、該係止部のうち少なくとも該アンカー及び該筒部が該ＥＡ材に非貫通状に埋設され、該係止部のうち少なくとも該フランジの該爪部に対向する面、該突起及び該爪部がＥＡ材の表面から突出しており、該突起は弾性変形可能であり、前記開口に係合されるに際し弾性変形した後、弾性的に復元することにより、該フランジと前記爪部との間で開口の縁部が挟持されており、前記係止部は、ＥＡ材の成形用金型に対し磁気的に吸着保持可能であることを特徴とするものである。
【０００９】
かかるＥＡ材の取付構造にあっては、係止部がＥＡ材と一体化されているので、この係止部付きのＥＡ材を部材に当てがいながら、該係止部をトリムの開口に係合させるという１作業工程にてＥＡ材を部材に取り付けることができる。
【００１０】
本発明では、係止部は弾性変形可能であり、前記開口に係合されるに際し弾性変形した後、弾性的に復元することにより該開口に係合している構成とすることにより、係止部を開口に対し容易に取り付けることができる。
【００１２】
かかるＥＡ材の取付構造であれば、突起を開口に差し込みながらＥＡ材を部材に当てがうことにより部材へのＥＡ材の取り付けを行うことができる。また、突起が開口の縁部に沿って複数個設けられることにより、ＥＡ材の部材面に沿う方向の動き（ガタツキ）が防止される。
【００１３】
本発明では、係止部はフランジを有しており、該フランジと前記爪部との間で開口の前記縁部が挟持されている。このフランジを設けておくことにより、ＥＡ材の部材接離方向への動き（ガタツキ）が防止される。
【００１４】
本発明では、突起の基部（筒部及びアンカー）がＥＡ材に埋設されているので、突起とＥＡ材との結合強度を高めることができる。また、係止部の基部がＥＡ材を貫通しないように設けられているので、係止部近傍におけるＥＡ材の衝撃吸収特性を高めることができる。
【００１５】
本発明では、ＥＡ材は硬質ウレタンフォームである。このＥＡ材に対しては、係止部を、その基部を埋設させることにより強固に一体化させることができる。
【００１６】
このＥＡ材を製造する場合、ＥＡ材成形用の金型に該係止部を磁力により保持させておくようにすることにより、成形を効率良く行うことができる。また、係止部がフランジを有しているので、磁力によりこのフランジが金型に密着し、バリの発生が防止される。
【００１７】
このＥＡ材の取付構造は、自動車キャビンの内面に沿って配置される頭部保護パッドやピラーパッドの取り付けに好適であるが、これに限定されるものではない。
【００１８】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。図１（ａ）は実施の形態に係るＥＡ材の取付構造を示す略水平方向の断面図、図１（ｂ）はこのＥＡ材の取付構造の係止部の側面図、図２（ａ）は係止部付きＥＡ材の製造方法を説明する断面図、図２（ｂ）は図２（ａ）の一部の拡大図である。
【００１９】
図１の通り、硬質ウレタンフォームよりなる板状のＥＡ材１が部材としてのトリム（この実施の形態ではドアトリム）２に対し係止部３を介して取り付けられている。この実施の形態では、被係止部として開口４が該トリム２に設けられており、係止部３は該開口４に係合している。この開口４は円形であることが好ましいが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【００２０】
この係止部３は、筒部６と、該筒部６の後端から外向き鍔状に張り出すアンカー５と、筒部６の先端から外向き鍔状に張り出すフランジ７と、筒部６の先端面から該筒部６の筒軸方向と平行方向に突設された複数（この実施の形態では２個）の突起８，８とを有する。この突起８，８は開口４の直径方向に対峙して設けられている。なお、突起８の数は、２〜４個程度が実用的である。
【００２１】
この突起８の突出方向の側面には、側方に張り出すように爪部８ａが設けられており、この爪部８ａとフランジ７との間にスペース９が存在している。この爪部８ａは、フランジ７に接近するほど側方への張り出し高さが大きくなっており、突起８，８の外側の側面は先細状のテーパ面となっている。これにより、突起８，８は開口４に容易に挿入可能である。
【００２２】
この係止部３は、合成樹脂により全体として一体に成形されており、突起８，８は接近方向に弾性的に変形可能となっている。
【００２３】
なお、この係止部３を構成する合成樹脂には、フェライト粒子などの強磁性粒子が分散されており、且つ該強磁性粒子に着磁処理を施すことにより係止部３は帯磁したものとなっている。これにより、この係止部３はＥＡ材１の成形用の金型に磁気的に吸着保持可能となっている。
【００２４】
図１の通り、係止部３は、その筒部６及びアンカー５がＥＡ材１中に埋設されている。フランジ７は、この実施の形態では、その下面がＥＡ材１の表面と面一状となっているが、フランジ７の下半部がＥＡ材１中に埋設され、フランジ７の上半部がＥＡ材１の表面から突出してもよい。フランジ７が例えば図１に図示の如くＥＡ材１の表面から突出していると、爪部８ａとフランジ７とでトリム２を挟持することにより、ＥＡ材１とトリム２との接離方向の位置関係が一義的に定まったものとなる。
【００２５】
この係止部３は、図１では１個のみ図示されているが、ＥＡ材１の大きさや形状に応じ２個以上設けられてもよい。係止部３の位置もＥＡ材１の大きさや形状に応じて選定される。
【００２６】
この係止部３付きのＥＡ材１は、突起８，８を開口４に差し込みながらトリム２に当てがうことにより該トリム２に取り付けられる。ＥＡ材１をトリム２に押し付けると、突起８，８が開口４に押し込まれる。爪部８ａが開口４の内周面に押し付けられることにより、該突起８，８が接近方向に撓みながら開口４に差し込まれる。そして、爪部８ａが開口４を通り抜けると、突起８，８が弾性的に元の形状に復帰し、各突起８の側面が開口４の内周面に弾性的に押し付けられると共に、爪部８ａとフランジ７とで、スペース９に入り込んだ開口４の縁部を挟持する。このように、係止部３付きのＥＡ材１をトリム２に重ねるという１作業工程のみでＥＡ材１をトリム２に取り付けることができ、取付作業効率が著しく向上する。また、係止部３の複数の突起８が開口４の内周面に弾性的に押し付けられると共に、各突起８の爪部８ａとフランジ７とで開口４の縁部を挟持しているので、ＥＡ材１がトリム２の面方向及び接離方向のいずれにも不動であり、ＥＡ材１の取付がきわめてしっかりしたものとなる。
【００２７】
図１（ａ）の通り、係止部３は、その筒部６及びアンカー５がＥＡ材１中に埋設されている。このように係止部３がＥＡ材１を貫通しておらず、係止部３付近においてもＥＡ材１が十分な厚みを有しているところから、この係止部３付近においてもＥＡ材１の衝撃吸収特性が良好である。
【００２８】
このＥＡ材１の取付構造にあっては、係止部３及び開口４の配置や個数は任意であり、種々様々な形状のＥＡ材であってもトリムに対ししっかりとしかも容易に取り付けることができる。また、ＥＡ材が軟質であっても、係止部３及び開口４の数を多くすることにより、ＥＡ材をしっかりと留め付けることができる。
【００２９】
この係止部３付きＥＡ材１を製造するには、図２のように下金型１０及び上金型１１よりなる金型を用い、この上金型１１のキャビティ面に係止部３を保持させておき、キャビティ内に合成樹脂材料（硬質ウレタンフォーム材料）を供給して成形すればよい。下金型１０内にウレタンの原液を供給し、これを発泡させればよい。なお、射出発泡成形としてもよい。
【００３０】
係止部３を保持する上金型１１には、該係止部３の突起８，８を受け入れる凹部１２が設けられている。また、この凹部１２の入口部分には、強磁性材料（例えば鉄コバルト合金などの合金、あるいはフェライト等のセラミック材料）よりなる環状体１３が設けられている。この環状体１３及び係止部３の一方を着磁させることにより、係止部３を環状体１３に対し磁気的に吸着保持可能である。なお、通常は環状体１３を着磁させておく。環状体１３は電磁石にて構成されてもよい。
【００３１】
この環状体１３の下面にフランジ７の上面を磁気的に吸着保持させて上記の成形を行う。金型内で合成樹脂が所定程度硬化した後、成形品を脱型することにより、係止部３付きのＥＡ材１が得られる。
【００３２】
なお、フランジ７が環状体１３に磁気吸着力により密着するため、フランジ７と環状体１３との間に合成樹脂が入り込んでバリが発生することが防止される。
【００３３】
上記実施の形態は本発明の一例であり、本発明は図示以外の形態をもとりうる。例えば、フランジ７やアンカー５は図示以外の形状とされてもよい。
【００３４】
【発明の効果】
以上の通り、本発明によると、ＥＡ材をトリム等の部材に対し容易に取り付けることが可能となる。本発明によると、ＥＡ材による衝撃吸収特性を向上させたり、種々の形状、大きさ、硬度のＥＡ材であっても部材に対ししっかりと取り付けたりすることも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図１】図１（ａ）は実施の形態に係るＥＡ材の取付構造を示す断面図、図１（ｂ）はこのＥＡ材の取付構造の係止部の側面図である。
【図２】図２（ａ）は係止部付きＥＡ材の製造方法を説明する断面図、図２（ｂ）は図２（ａ）の一部の拡大図である。
【図３】従来例を示す断面図である。
【図４】図３の構造の説明図である。
【符号の説明】
１ ＥＡ材
２ トリム
３ 係止部
４ 開口
５ アンカー
６ 筒部
７ フランジ
８ 突起
８ａ 爪部
９ スペース
１０ 下金型
１１ 上金型
１２ 凹部
１３ 環状体
Claims (1)
- 車両のトリムにＥＡ材を取り付けた構造において、該ＥＡ材に一体に設けられた係止部が前記トリムに設けられた開口に係合することにより、該ＥＡ材が該トリムに取り付けられているＥＡ材の取付構造であり、
該ＥＡ材は硬質ウレタンフォームよりなり、
該係止部は、筒部と、該筒部の後端から外向き鍔状に張り出すアンカーと、筒部の先端から外向き鍔状に張り出すフランジと、筒部の先端面から該筒部の筒軸方向と平行方向に突設された複数の突起と、該突起の突出方向の側面から側方に張り出す爪部とを有しており、
該係止部のうち少なくとも該アンカー及び該筒部が該ＥＡ材に非貫通状に埋設され、該係止部のうち少なくとも該フランジの該爪部に対向する面、該突起及び該爪部がＥＡ材の表面から突出しており、
該突起は弾性変形可能であり、前記開口に係合されるに際し弾性変形した後、弾性的に復元することにより、該フランジと前記爪部との間で開口の縁部が挟持されており、
前記係止部は、ＥＡ材の成形用金型に対し磁気的に吸着保持可能であることを特徴とするＥＡ材の取付構造。
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