JP4368710B2 - アクリル系重合体及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、アクリル系重合体及びその製造方法に関し、特に、粘着剤、接着剤、塗料、プラスチックフィルム等の改質剤として有用である低分子量のアクリル系重合体及びその製造方法に関する。また、前記低分子量のアクリル系重合体を改質剤として用いられたアクリル系重合体やアクリル系粘着剤組成物およびこれらの製造方法に関する。
アクリル系重合体は、一般的に、溶液重合方法、乳化重合方法、懸濁重合方法、塊状重合方法などの重合方法により製造されている。これらの重合方法のうち、例えば、溶液重合方法では、有機溶剤が媒体として用いられているため、重合反応の際の温度制御が容易であり、また、得られるアクリル系重合体(アクリル系ポリマー)が、ガラス転移温度(Tg)が低いものであっても、高いものであっても、別段に問題なく重合することができる、そのため、アクリル系重合体の調製に際しては、溶液重合方法が広く利用されている。しかしながら、溶液重合において、アクリル系重合体のみを反応系内から取り出す際には、大量の有機溶剤を揮発させなければならず、この揮発に要するエネルギーおよび溶剤の回収や処理に手間がかかってしまうという問題が生じている。また、近年の環境問題の観点からも、大量の有機溶剤の使用は好ましくないといえる。
また、乳化重合方法や懸濁重合方法では、水が媒体として用いられているため、有機溶剤を用いなくても、溶液重合方法と同様に、重合反応の際の温度制御が容易である。しかしながら、得られるアクリル系重合体のTgが、重合温度よりも著しく低い場合は、特に、重合粒子の安定性の点で問題が生じやすい。このような乳化重合方法や懸濁重合方法において、安定性を確保するためには、乳化剤(界面活性剤など)や分散剤などが必要となるが、重合物中に界面活性剤や分散剤が混入するために、純粋なアクリル系重合体を得にくいという問題もある。さらに、親水性の異なる単量体(モノマー)を共重合しようとした場合、組成にバラツキが生じたり、懸濁や乳化が困難となったりする場合がある。さらにまた、アクリル系重合体を取り出す際には、重合体の沈殿、濾過、乾燥工程が必要となり、作業が複雑で生産性も低い場合がある。
これらの重合方法に対して、塊状重合方法では、有機溶剤や水などの媒体を用いず、さらには、界面活性剤や分散剤も用いないので、工業的には有利な方法であるといえる。しかしながら、アクリル系単量体(アクリル系モノマー)のように、反応が激しい単量体成分(モノマー成分)を用いた場合、重合のコントロールが困難となり、その暴走反応により、最悪の場合は、爆発の危険すらある。また、得られるポリマーのTgが高い場合には、重合率が高くなった際に、重合系が高粘度となり、撹拌が困難となる。この際、反応物の粘度を下げるために、高温を維持しなければならないが、高温を維持し続けると、ゲル化物や劣化物が生じる問題がある。また、このような高粘度の重合物の場合、例えば、反応釜からの取り出しが容易でないという問題もある。
一方、各種粘着剤等の改質剤として、例えば、低分子量のアクリル系重合体が用いられている。このような低分子量のアクリル系重合体において、特に、紫外線重合による粘着剤における改質剤として使用される場合、低分子量のアクリル系重合体中に、未反応のモノマー成分(残存モノマー)や連鎖移動剤などが混入されていると、粘着剤のベースポリマーを重合する際の紫外線重合時に、重合反応速度の低下や、紫外線重合により得られるポリマーの分子量の低下が生じてしまうという問題がある。そのため、低分子量のアクリル系重合体中には、残存モノマーや、連鎖移動剤などの重合時に使用される各種処理剤(連鎖移動剤、乳化剤、分散剤など)の残存量が少ない又は全くないことが重要である。
このような低分子量のアクリル系重合体を、前述のような重合方法により製造した場合、前述のような各種製造方法に応じた問題点がある。
なお、アクリル系重合体のうち、粘着剤のベースポリマー等として用いられる高分子量のアクリル系重合体を製造する方法として、希釈剤として二酸化炭素を用いて重合を行う方法が開示されている(特許文献1〜特許文献2参照)。
特開2000−192007号公報 特開2000−169802号公報
従って、本発明の目的は、重量平均分子量が10万以下の低分子量のアクリル系重合体を、有機溶剤、乳化剤や分散剤を使用しなくても、また、単量体成分の種類や、得られるアクリル系重合体のガラス転移温度に関係なく、安定した重合性で重合を行うことができ、しかも、反応混合物から容易に分離することができ、優れた生産性および安全性で製造することが可能である低分子量のアクリル系重合体の製造方法、および該製造方法により得られる低分子量のアクリル系重合体を提供することにある。
本発明の他の目的は、重量平均分子量が10万以下の低分子量のアクリル系重合体が重合反応系内に含まれていても、重合反応速度の低下や重量平均分子量の低下を生じさせずに、高分子量のアクリル系重合体を容易に製造することができる高分子量のアクリル系重合体の製造方法、および該製造方法により得られる高分子量のアクリル系重合体を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、改質剤として、重量平均分子量が10万以下の低分子量のアクリル系重合体を含有していても、優れた凝集力を発揮するアクリル系粘着剤組成物を優れた生産性で製造することができるアクリル系粘着剤組成物を製造する方法、および該製造方法により得られるアクリル系粘着剤組成物を提供することにある。
本発明者らは前記目的を達成するために鋭意検討した結果、二酸化炭素を希釈剤として用いたラジカル重合反応により、低分子量のアクリル系重合体を製造すると、有機溶剤、乳化剤や分散剤を使用しなくても、また、単量体成分の種類や、得られるアクリル系重合体のガラス転移温度に関係なく、安定した重合性で低分子量のアクリル系重合体の重合を行うことができ、しかも、反応混合物から低分子量のアクリル系重合体を容易に分離することができ、優れた生産性および安全性で製造することが可能であることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて完成されたものである。
すなわち、本発明は、重量平均分子量が10万を超える高分子量のアクリル系重合体を製造する方法であって、(メタ)アクリル酸エステルを少なくとも含有する単量体成分(a)と、希釈剤として二酸化炭素を用い、単量体主成分としてアクリル系単量体を含有する単量体成分をラジカル重合させることにより、重量平均分子量が1000〜50000の低分子量のアクリル系重合体を調製した後、二酸化炭素を利用して、反応混合物から残存物を取り除き、前記低分子量のアクリル系重合体を分離することにより得られる該重量平均分子量が1000〜50000の低分子量のアクリル系重合体(b)とを含む単量体組成物に、活性エネルギー光線を照射して、光重合させることにより、重量平均分子量が10万を超える高分子量のアクリル系重合体を製造することを特徴とする高分子量のアクリル系重合体の製造方法を提供するとともに、重量平均分子量が10万を超える高分子量のアクリル系重合体であって、前記高分子量のアクリル系重合体の製造方法により得られたことを特徴とする高分子量のアクリル系重合体を提供する。
本発明は、さらに、アクリル系重合体を主成分として含有するアクリル系粘着剤組成物を製造する方法であって、(メタ)アクリル酸エステルを少なくとも含有する単量体成分(a)と、希釈剤として二酸化炭素を用い、単量体主成分としてアクリル系単量体を含有する単量体成分をラジカル重合させることにより、重量平均分子量が1000〜50000の低分子量のアクリル系重合体を調製した後、二酸化炭素を利用して、反応混合物から残存物を取り除き、前記低分子量のアクリル系重合体を分離することにより得られる該重量平均分子量が1000〜50000の低分子量のアクリル系重合体(b)とを含む単量体組成物に、活性エネルギー光線を照射し光重合させて、重量平均分子量が10万を超える高分子量のアクリル系重合体を調製することにより、アクリル系粘着剤組成物を製造することを特徴とするアクリル系粘着剤組成物の製造方法を提供するとともに、アクリル系重合体を主成分として含有するアクリル系粘着剤組成物であって、前記アクリル系粘着剤組成物の製造方法により得られたことを特徴とするアクリル系粘着剤組成物を提供する。
なお、本明細書では、上記の発明のほか、重量平均分子量が10万以下の低分子量のアクリル系重合体を製造する方法であって、希釈剤として二酸化炭素を用い、単量体主成分としてアクリル系単量体を含有する単量体成分をラジカル重合させることにより、低分子量のアクリル系重合体を製造することを特徴とする低分子量のアクリル系重合体の製造方法、及びこの製造方法により得られる低分子量のアクリル系重合体についても説明する。
本発明の低分子量のアクリル系重合体の製造方法によれば、重量平均分子量が10万以下の低分子量のアクリル系重合体を、有機溶剤、乳化剤や分散剤を使用しなくても、また、単量体成分の種類や、得られるアクリル系重合体のガラス転移温度に関係なく、安定した重合性で重合を行うことができ、しかも、反応混合物から容易に分離することができ、優れた生産性および安全性で製造することが可能である。
また、本発明の高分子量のアクリル系重合体の製造方法によれば、重量平均分子量が10万以下の低分子量のアクリル系重合体が重合反応系内に含まれていても、重合反応速度の低下や重量平均分子量の低下を生じさせずに、高分子量のアクリル系重合体を容易に製造することができる。
さらにまた、本発明のアクリル系粘着剤組成物の製造方法によれば、改質剤として、重量平均分子量が10万以下の低分子量のアクリル系重合体を含有していても、優れた凝集力を発揮するアクリル系粘着剤組成物を優れた生産性で製造することができる。
[低分子量のアクリル系重合体]
本発明の重量平均分子量が10万以下の低分子量のアクリル系重合体(「低分子アクリル系重合体」と称する場合がある)は、希釈剤として二酸化炭素を用いて、単量体主成分としてアクリル系単量体(アクリル系モノマー)を含有する単量体成分(モノマー成分)をラジカル重合させることにより、製造されている。すなわち、本発明では、溶液重合方法、乳化重合方法、懸濁重合方法、塊状重合方法などの一般的な重合方法を利用しておらず、二酸化炭素を希釈剤としたラジカル重合方法を利用している。このように、二酸化炭素を希釈剤として用いて、二酸化炭素中でラジカル重合を行っているので、例えば、溶液重合の場合のように、有機溶剤を用いなくてもよく、有機溶剤の回収や処理が必要でない。しかも、有機溶剤を用いなくてもよいので、環境問題の観点からも良好である。
また、乳化重合や懸濁重合の場合のように、乳化剤(界面活性剤など)や分散剤を用いなくてもよく、そのため、製造された低分子アクリル系重合体中への乳化剤や分散剤の混入を防止することができる。さらにまた、二酸化炭素中でのラジカル重合のため、単量体成分の親水性や疎水性の特性に関係なく、単量体成分を系中に容易に良好な分散性で分散させることができる。従って、単量体成分として、親水性の異なる2種以上の単量体成分が用いられていても、これらの2種以上の単量体成分は系中に良好な分散性で分散されていることにより、組成のバラツキがほとんど又は全くない低分子アクリル系重合体(すなわち、一定又はほぼ一定の組成を有する低分子アクリル系重合体)を製造することができる。
さらに、アクリル系単量体として、激しい反応性を示すアクリル系単量体が用いられていても、二酸化炭素の希釈効果により、反応系内が撹拌等により分散された状態を保持することができるので、重合性(反応性)をコントロールすることができ、安定した重合性で重合を行うことができる。しかも、得られる低分子アクリル系重合体のガラス転移温度(Tg)が高い場合であっても、二酸化炭素を希釈剤として用いているので、重合系の温度を高温で維持しなくても、反応系内を低粘度に保持することができ、重合率が高くなった際に重合系の粘度が撹拌できないほど高粘度にならない。従って、急激な反応の進行に伴う増粘や反応の暴走を防止することができ、容易に反応を制御することができる。また、高温に維持しなくてもよいので、ゲル化物や劣化物が生じるおそれもない。
特に、本発明の製造方法では、乳化剤や分散剤などを用いる必要がなく、重合を行うのに最小限の成分(例えば、単量体成分、重合開始剤や連鎖移動剤など)のみを用いて重合を行うことができる。そのため、重合後、反応混合物中には、低分子アクリル系重合体以外の固形分として残存する残存物(未反応の単量体成分や重合開始剤、連鎖移動剤など)は、希釈剤として用いた二酸化炭素により取り除くことができる。従って、煩雑な操作を行わなくても、希釈剤として用いた二酸化炭素を用いて、反応混合物から低分子アクリル系重合体を容易に且つ高純度で分離することができ、重合後の精製性も良好である。
なお、得られた低分子アクリル系重合体中に、未反応の単量体成分(残存モノマー)や連鎖移動剤などが残存していると、低分子アクリル系重合体を、紫外線重合型粘着剤の改質剤として用いる場合、紫外線の照射による重合時における重合速度の低下や、紫外線照射による重合により得られるポリマーの分子量(重量平均分子量)の低下が生じてしまい、目的とする高分子量のアクリル系重合体を得ることが困難になる。しかしながら、本発明では、前述のように、低分子アクリル系重合体を高純度で分離することができ、低分子アクリル系重合体中に混入している残存モノマーや連鎖移動剤等の割合が低減されているので、低分子アクリル系重合体を紫外線重合型粘着剤の改質剤として用いても、紫外線の照射による重合時における重合速度の低下や、紫外線照射による重合により得られるポリマーの分子量(重量平均分子量)の低下を抑制または防止することができる。
従って、本発明の製造方法によると、優れた生産性および安全性で、低分子アクリル系重合体を高い純度で製造することができる。
なお、低分子アクリル系重合体の重量平均分子量としては、10万以下であれば特に制限されないが、例えば、500〜100000の範囲から選択することができる。低分子アクリル系重合体の重量平均分子量としては、好ましくは1000〜50000(さらに好ましくは2000〜30000、特に3000〜10000)である。低分子アクリル系重合体の重量平均分子量は、重合開始剤や連鎖移動剤の種類やその使用量、重合の際の温度や時間の他、単量体成分の濃度などによりコントロールすることができる。
(単量体成分)
単量体成分としては、単量体主成分としてアクリル系単量体を用いていればよい。アクリル系単量体等の単量体成分としては、親水性又は疎水性のいずれの特性を有していてもよく、また、該単量体成分の重合により得られるアクリル系重合体のガラス転移温度も高くても(例えば、100℃を超える温度であっても)、低くても(例えば、0℃未満の温度であっても)よい。単量体成分は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
単量体成分において、単量体主成分として用いられるアクリル系単量体としては、アクリロイル基又はメタクリロイル基(これらを「(メタ)アクリロイル基」と総称する場合がある)を有するアクリル系化合物であれば特に制限されない。アクリル系単量体は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
より具体的には、アクリル系単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸(アクリル酸、メタクリル酸)、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル)、非芳香族性環含有アクリル系単量体、芳香族性環含有アクリル系単量体、ヒドロキシル基含有アクリル系単量体、エポキシ基含有アクリル系単量体、アルコキシ基含有アクリル系単量体、アミド基含有アクリル系単量体、シアノ基含有アクリル系単量体、アミノ基含有アクリル系単量体、イソシアネート基含有アクリル系単量体、アジリジン基含有アクリル系単量体、ハロゲン原子含有アクリル系単量体、ケイ素原子含有アクリル系単量体、多官能性アクリル系単量体などが挙げられる。
前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシルなどのアルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステル[(メタ)アクリル酸C1-20アルキルエステル]などが挙げられる。
また、前記非芳香族性環含有アクリル系単量体において、非芳香族性環としては、例えば、非芳香族性脂環式環(シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環などのシクロアルカン環;シクロヘキセン環などのシクロアルケン環など)、非芳香族性橋かけ環(例えば、ピナン、ピネン、ボルナン、ノルボルナン、ノルボルネンなどにおける二環式炭化水素環;アダマンタンなどにおける三環式炭化水素環の他、四環式炭化水素環などの橋かけ式炭化水素環など)などが挙げられる。具体的には、非芳香族性環含有アクリル系単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘプチル、(メタ)アクリル酸シクロオクチル等の(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル;(メタ)アクリル酸ボルニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル等の非芳香族性橋かけ環を有する(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられる。
さらに、前記芳香族性環含有アクリル系単量体において、芳香族性環としては、例えば、芳香族炭化水素環(例えば、ベンゼン環や、ナフタレン等における縮合炭素環など)や、各種芳香族性複素環などが挙げられる。具体的には、芳香族性環含有アクリル系単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ナフチル等の(メタ)アクリル酸アリールエステル;(メタ)アクリル酸フェノキシエチル等の(メタ)アクリル酸アリールオキシアルキルエステル;(メタ)アクリル酸ベンジルエステル等の(メタ)アクリル酸アリールアルキルエステルなどが挙げられる。
ヒドロキシル基含有アクリル系単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル;ポリエチレングリコールの(メタ)アクリル酸モノエステル体、ポリプロピレングリコールの(メタ)アクリル酸モノエステル体等の(モノ又はポリ)アルキレングリコールの(メタ)アクリル酸モノエステル体などが挙げられる。エポキシ基含有アクリル系単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸メチルグリシジルなどが挙げられる。アルコキシ基含有アクリル系単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル等の(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルなどが挙げられる。
アミド基含有アクリル系単量体としては、例えば、(メタ)アクリルアミド;N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシ(メタ)アクリルアミド等の(N−置換)(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。シアノ基含有アクリル系単量体としては、例えば、(メタ)アクリロニトリル(アクリロニトリル、メタクリロニトリル)などが挙げられる。アミノ基含有アクリル系単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸アミノエチル等の(メタ)アクリル酸アミノアルキル;(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチル等の(N−置換)(メタ)アクリル酸アミノアルキルなどが挙げられる。イソシアネート基含有アクリル系単量体としては、例えば、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネートなどが挙げられる。アジリジン基含有アクリル系単量体としては、例えば、(メタ)アクリロイルアジリジンなどが挙げられる。
ハロゲン原子含有アクリル系単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸2−クロロエチルなどが挙げられる。ケイ素原子含有アクリル系単量体としては、例えば、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリロイルオキシアルキルトリアルコキシシランや、該(メタ)アクリロイルオキシアルキルトリアルコキシシランに対応した(メタ)アクリロイルオキシアルキル(ジ又はモノ)アルコキシシランなどが挙げられる。
多官能性アクリル系単量体としては、例えば、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、ジビニルベンゼン、ブチルジ(メタ)アクリレート、ヘキシルジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
本発明では、単量体成分としては、前記アクリル系単量体とラジカル重合が可能な単量体(「共重合性モノマー」と称する場合がある)を用いることもできる。このような共重合性モノマーとしては、例えば、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸等のカルボキシル基含有ビニル系モノマーやその酸無水物(無水マレイン酸、無水イコタン酸など);酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル系モノマー;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなどのスチレン系モノマー;エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエンなどのオレフィン系モノマー;塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン原子含有モノマー;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテルなどのビニルエーテル系モノマー;N−シクロヘキシルマレイミド、N−イソプロピルマレイミドなどのイミド基含有モノマー;ビニルスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸基含有モノマー;2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェートなどのリン酸基含有モノマー;N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニルピリジン、N−ビニルピペリドン、N−ビニルピリミジン、N−ビニルピペラジン、N−ビニルピラジン、N−ビニルピロール、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルオキサゾール等の複素環含有ビニル系モノマーなどが挙げられる。
(重合開始剤)
アクリル系単量体のラジカル重合の際には、重合開始剤を用いることができる。重合開始剤としては、特に制限されず、通常のラジカル重合の際に用いられる重合開始剤から適宜選択して用いることができ、例えば、熱分解型重合開始剤や、紫外線等の光線により分解する光開始剤(光重合開始剤)などが挙げられる。熱分解型重合開始剤としては、例えば、40℃〜100℃の温度で重合を行う場合は、ベンゾイルパーオキサイド、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジクミルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカンの過酸化物系重合開始剤や、2,2´−アゾビスイソブチロニトリル、2,2´−アゾビスイソバレロニトリル、2,2´−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2´−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2´−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1´−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2´−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン、ジメチル−2,2´−アゾビス(2−メチルプロピオネート等のアゾ系重合開始剤などを用いることができる。また、20℃〜40℃の温度で重合を行う場合は、ベンゾイルパーオキサイドとジメチルアニリンとの2元系開始剤(レドックス系開始剤)などが挙げられる。また、光開始剤としては、下記に示されるような光重合開始剤(例えば、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイドなど)を用いることができる。なお、光開始剤の開始剤分解速度は、重合温度の影響をほとんど受けないので、重合開始剤として光開始剤を用いた場合、重合温度は、実質的にどのような温度であってもよい。
重合開始剤の使用量は、アクリル系単量体の重合の際に通常使用される使用量であればよく、例えば、全単量体成分100重量部に対して0.005〜10重量部(好ましくは0.05〜5重量部)程度である。
低分子アクリル系重合体は、重合開始剤の使用量(配合量)や、重合温度の調整によって、重量平均分子量が10万以下となるようにコントロールすることができるが、この場合、重合開始剤の使用量が多くなってしまう。そのため、重合に際しては、連鎖移動剤を用いることが好ましい。連鎖移動剤としては、例えば、炭素数が1〜15のアルキルメルカプタン(ラウリルメルカプタンなど)、ベンジルメルカプタン、グリシジルメルカプタン、チオグリコール酸、チオグリコール酸2−エチルヘキシル、3−メルカプトプロピオン酸、2−メルカプトエタノール、ベンジルアルコール、α−メチルベンジルアルコール、2,3−ジメチルカプト−1−プロパノール、α−メチルスチレンダイマーなどが挙げられる。また、ロジン酸、ロジン酸エステル、テルペン樹脂などのオリゴマー類も、連鎖移動剤の代わりに、分子量調整のために用いることができる。連鎖移動剤の使用量としては、特に制限されず、例えば、全単量体成分100重量部に対して0.005〜20重量部(好ましくは0.05〜10重量部)程度である。
(二酸化炭素)
本発明では、二酸化炭素を希釈剤として用いている。二酸化炭素の使用量としては、特に制限されず、例えば、全単量体成分100重量部に対して5重量部以上(5〜2000重量部)の範囲から選択することができ、好ましくは20〜900重量部である。希釈剤としては、通常は、二酸化炭素のみで十分であるが、必要に応じて、混合性の改良等のために、少量の有機溶剤(例えば、トルエン、ヘキサン、酢酸エチル)などが用いられていてもよい。
なお、二酸化炭素としては、高純度の二酸化炭素を用いることが重要である。このような二酸化炭素の純度としては、95%以上(好ましくは99%以上、さらに好ましくは99.5%以上)であることが望ましい。
(製造方法)
本発明では、単量体主成分としてアクリル系単量体を含有する単量体成分と、重合開始剤と、希釈剤としての二酸化炭素と、必要に応じて連鎖移動剤との混合物中を重合に付すことにより、低分子アクリル系重合体を製造することができる。重合開始剤は、単量体成分と別個に反応容器に供給してもよいが、予め単量体成分と混合した混合物の状態で反応容器に供給してもよい。また、連鎖移動剤も重合開始剤と同様に、単量体成分と別個に、又は予め単量体成分と混合した混合物の状態で、反応容器に供給することができる。
重合の際の圧力、温度、時間などの各条件は、特に制限されず、それぞれ、単量体成分の種類やその使用量、他の条件などに応じて適宜選択することができる。具体的には、重合の際の圧力(重合圧力)としては、例えば、5.73〜40MPa(好ましくは7.3〜30MPa、さらに好ましくは10〜25MPa)程度である。また、重合の際の温度(重合温度)としては、例えば、20〜100℃(好ましくは30〜90℃、さらに好ましくは40〜70℃)の範囲から選択することができる。従って、5.73〜40MPaの重合圧力に調整された二酸化炭素中、20〜100℃の重合温度で重合を行うことができるので、超臨界状態の二酸化炭素中で重合を行うことができる。なお、重合圧力や重合温度は、必要に応じて、数段階に設定されていてもよく、また連続的に変化するように設定されていてもよい。
さらにまた、重合の際に要する時間(重合時間)としては、通常、2〜20時間(好ましくは3〜15時間、さらに好ましくは5〜12時間)程度である。
本発明では、低分子アクリル系重合体を調製した後、希釈剤としての二酸化炭素を用いて洗浄することにより、残存モノマー、重合開始剤、連鎖移動剤などの残存物を取り除くことができる。具体的には、例えば、反応容器内に、単量体主成分としてアクリル系単量体を含有する単量体成分と、重合開始剤と、希釈剤としての二酸化炭素と、必要に応じて連鎖移動剤とを供給して、撹拌下、所定の重合圧力および重合温度で、所定の重合時間、重合を行って、低分子アクリル系重合体を調製した後、撹拌をとめて反応混合物を静置させると、反応混合物は、二酸化炭素を含む上層である二酸化炭素層と、低分子アクリル系重合体および二酸化炭素を含む下層である低分子アクリル系重合体混合層とに相分離される。上層の二酸化炭素層には、残存モノマー、重合開始剤や連鎖移動剤などが含まれている。そのため、低分子アクリル系重合体を調製した後、撹拌をとめて、反応容器内の反応混合物を静置させて、反応混合物を、上層の二酸化炭素層と、下層の低分子アクリル系重合体混合層とに相分離させ、その後、二酸化炭素(フレッシュな二酸化炭素)を反応容器内(特に、上層部側)に供給しながら(例えば、反応容器の上部から供給しながら)、上層(残存モノマー、重合開始剤や連鎖移動剤などを含む二酸化炭素層)を反応容器から排出して、上層を二酸化炭素により置換して、反応混合物を洗浄することにより、残存モノマー、重合開始剤や連鎖移動剤などを反応混合物から効果的に除去することができる。
この際、二酸化炭素を供給しながら上層を排出して、上層を二酸化炭素により置換した後、必要に応じて、さらに、反応容器内の反応混合物を撹拌により混合させてから、静置させることにより上層の二酸化炭素層と、下層の低分子アクリル系重合体混合層とに相分離させ、その後、二酸化炭素を反応容器内に供給しながら上層を反応容器から排出する操作を繰り返して、希釈剤としての二酸化炭素を用いての洗浄を複数回行うことができ、これにより、反応混合物から、残存モノマー、重合開始剤、連鎖移動剤などの残存物をさらに取り除くことができる。
なお、二酸化炭素により反応混合物を洗浄する際の圧力(例えば、二酸化炭素を供給しながら上層を排出する際の圧力や、上層を排出させて供給した二酸化炭素により置換した後に、反応容器内の反応混合物を撹拌させる際の圧力など)としては、特に制限されないが、7〜40MPaであることが好ましく、重合時の圧力が7MPa以上である場合、7〜(重合時の圧力)MPaであることが特に好ましい。
二酸化炭素を用いて反応混合物を洗浄した後、反応容器内の下層の低分子アクリル系重合体混合層は、二酸化炭素を含んだ高圧の状態から脱圧することにより、低分子アクリル系重合体混合層から二酸化炭素を容易に除去することができ、高度に精製された低分子アクリル系重合体を取り出すことができる。
このように、二酸化炭素を用いて反応混合物を洗浄するという容易な分離操作により、反応混合物から残存モノマー、重合開始剤、連鎖移動剤などの残存物を効果的に取り除いて、低分子アクリル系重合体を高純度で分離することができる。
[高分子量のアクリル系重合体]
本発明の重量平均分子量が10万を超える高分子量のアクリル系重合体(「高分子アクリル系重合体」と称する場合がある)は、(メタ)アクリル酸エステルを少なくとも含有する単量体成分と、前記低分子アクリル系重合体とを含む単量体組成物に、活性エネルギー光線を照射して、光重合させることにより、製造されている。このように、高分子アクリル系重合体を調製する際の重合反応系内に重量平均分子量が10万以下の低分子量のアクリル系重合体が含まれていても、該低分子量のアクリル系重合体が、前述のような二酸化炭素を希釈剤として用いたラジカル重合反応により調製された低分子アクリル系重合体であるので、重合反応速度の低下や重量平均分子量の低下を生じさせずに、高分子アクリル系重合体を容易に製造することができる。
高分子アクリル系重合体の重量平均分子量としては、10万を超えていれば特に制限されないが、例えば、100000〜3000000の範囲から選択することができる。高分子アクリル系重合体の重量平均分子量としては、好ましくは200000〜2000000(さらに好ましくは300000〜1500000)である。高分子アクリル系重合体の重量平均分子量は、重合開始剤や連鎖移動剤の種類やその使用量、重合の際の温度や時間の他、単量体成分の濃度などによりコントロールすることができる。
このような高分子アクリル系重合体において、単量体成分として用いられる(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを好適に用いることができる。前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシルなどの(メタ)アクリル酸C1-20アルキルエステル[好ましくは(メタ)アクリル酸C2-14アルキルエステル、さらに好ましくは(メタ)アクリル酸C2-10アルキルエステル]などが挙げられる。
また、(メタ)アクリル酸アルキルエステル以外の(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、前記低分子アクリル系重合体の単量体成分として例示の非芳香族性環含有アクリル系単量体、芳香族性環含有アクリル系単量体などが挙げられる。
なお、(メタ)アクリル酸エステルは、単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
本発明では、(メタ)アクリル酸エステルは、単量体成分の単量体主成分として用いられていることが好ましい。(メタ)アクリル酸エステルの割合としては、単量体成分全量に対して60重量%以上(好ましくは80重量%以上)であることが好ましい。
高分子アクリル系重合体を調製する際の単量体成分としては、前記(メタ)アクリル酸エステルと共重合が可能なモノマーが1種又は2種以上組み合わせられて用いられていてもよい。このような(メタ)アクリル酸エステルと共重合が可能なモノマーとしては、前記低分子アクリル系重合体の単量体成分として例示の(メタ)アクリル酸、ヒドロキシル基含有アクリル系単量体、エポキシ基含有アクリル系単量体、アルコキシ基含有アクリル系単量体、アミド基含有アクリル系単量体、シアノ基含有アクリル系単量体、アミノ基含有アクリル系単量体、イソシアネート基含有アクリル系単量体、アジリジン基含有アクリル系単量体、ハロゲン原子含有アクリル系単量体、ケイ素原子含有アクリル系単量体、多官能性アクリル系単量体、カルボキシル基含有ビニル系モノマーやその酸無水物、ビニルエステル系モノマー、スチレン系モノマー、オレフィン系モノマー、ハロゲン原子含有モノマー、ビニルエーテル系モノマー、イミド基含有モノマー、スルホン酸基含有モノマー、リン酸基含有モノマー、複素環含有ビニル系モノマーなどが挙げられる。
なお、(メタ)アクリル酸エステルを少なくとも含有する単量体成分は、予め部分的に重合されていてもよく、この場合、部分的に重合される単量体成分の割合としては、例えば、単量体成分全量に対して30重量%以下(好ましくは1〜20重量%、さらに好ましくは5〜15重量%)の範囲から選択することができる。
一方、低分子アクリル系重合体は、高分子アクリル系重合体の改質剤として用いられているので、低分子アクリル系重合体の使用量としては、得られる高分子アクリル系重合体100重量部に対して0.1〜100重量部(好ましくは0.5〜50重量部、さらに好ましくは5〜30重量部)の範囲から選択することができる。
高分子アクリル系重合体は、活性エネルギー光線による光重合により調製されているので、高分子アクリル系重合体の調製に際しては、光重合開始剤が用いられている。このような光重合開始剤としては、特に制限されず、例えば、ベンゾインエーテル系光重合開始剤、アセトフェノン系光重合開始剤、α−ケトール系光重合開始剤、芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤、光活性オキシム系光重合開始剤、ベンゾイン系光重合開始剤、ベンジル系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、ケタール系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤などが挙げられる。光重合開始剤は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
具体的には、ベンゾインエーテル系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、アニソールメチルエーテルなどが挙げられる。アセトフェノン系光重合開始剤としては、例えば、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノンなどが挙げられる。α−ケトール系光重合開始剤としては、例えば、2−メチル−2−ヒドロキシプロピオフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエチル)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オンなどが挙げられる。芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤としては、例えば、2−ナフタレンスルホニルクロライドなどが挙げられる。光活性オキシム系光重合開始剤としては、例えば、1−フェニル−1,1−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)−オキシムなどが挙げられる。
また、ベンゾイン系光重合開始剤には、例えば、ベンゾインなどが含まれる。ベンジル系光重合開始剤には、例えば、ベンジルなどが含まれる。ベンゾフェノン系光重合開始剤には、例えば、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、3,3´−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、ポリビニルベンゾフェノン、α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどが含まれる。ケタール系光重合開始剤には、例えば、ベンジルジメチルケタールなどが含まれる。チオキサントン系光重合開始剤には、例えば、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、ドデシルチオキサントンなどが含まれる。
光重合開始剤の使用量としては、特に制限されないが、例えば、高分子アクリル系重合体を形成するための全単量体成分100重量部に対して0.01〜5重量部(好ましくは0.05〜3重量部)の範囲から選択することができる。
光重合開始剤は、活性エネルギー光線の照射により活性化され、単量体成分の反応を生じて光重合が行われる。前記活性エネルギー光線としては、例えば、α線、β線、γ線、中性子線、電子線などの電離性放射線や、紫外線などが挙げられ、特に、紫外線が好適である。また、活性エネルギー光線の照射エネルギーや、その照射時間などは特に制限されず、光重合開始剤を活性化させて、単量体成分の反応を生じさせることができる照射エネルギーや照射時間などであればよい。
なお、本発明では、低分子アクリル系重合体や高分子アクリル系重合体の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)により測定することができる。より具体的には、GPC測定装置として、商品名「HLC−8120GPC」(東ソー株式会社製)を用いて、ポリスチレン換算値により、次のGPCの測定条件で測定して求めることができる。
GPCの測定条件
・サンプル濃度:0.1重量%(テトラヒドロフラン溶液)
・サンプル注入量:100μl
・溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
・流量(流速):0.5mL/min
・カラム温度(測定温度):40℃
・カラム:商品名「TSK GEL GMHHR−H(20)」(東ソー株式会社製)を2本連結
・検出器:示差屈折計
[アクリル系粘着剤組成物]
本発明のアクリル系粘着剤組成物は、アクリル系重合体を主成分として含有するアクリル系粘着剤組成物であり、(メタ)アクリル酸エステルを少なくとも含有する単量体成分と、前記低分子アクリル系重合体とを含む単量体組成物に、活性エネルギー光線を照射し光重合させて、高分子アクリル系重合体を調製することにより、製造されている。なお、このアクリル系粘着剤組成物における低分子アクリル系重合体は、前記低分子アクリル系重合体の項に記載の低分子アクリル系重合体と同様である。また、アクリル系粘着剤組成物における高分子アクリル系重合体は、前記高分子アクリル系重合体の項に記載の高分子アクリル系重合体と同様である。
このようなアクリル系粘着剤組成物において、低分子アクリル系重合体は改質剤として用いられている。また、高分子アクリル系重合体はベースポリマーとして用いられており、アクリル系粘着剤組成物中に含有される主成分としてのアクリル系重合体である。このように、アクリル系粘着剤組成物を調製する際の単量体組成物中に、改質剤として低分子量のアクリル系重合体が含まれていても、該低分子量のアクリル系重合体が、前述のような二酸化炭素を希釈剤として用いたラジカル重合反応により調製された低分子アクリル系重合体であるので、重合反応速度の低下や重量平均分子量の低下を生じさせずに、高分子アクリル系重合体を調製することができる。従って、改質剤として低分子量のアクリル系重合体を含有していても、優れた凝集力を発揮するアクリル系粘着剤組成物を優れた生産性で得ることができる。
なお、アクリル系粘着剤組成物において、単量体成分として用いられている(メタ)アクリル酸エステルとしては、前記高分子アクリル系重合体を製造する際に用いられる(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられる。該アクリル系粘着剤組成物においても、前記高分子アクリル系重合体の場合と同様に、単量体成分として、(メタ)アクリル酸エステルと共重合が可能なモノマーが1種又は2種以上組み合わせられて用いられていてもよく、該(メタ)アクリル酸エステルと共重合が可能なモノマーとしては、前記と同様のモノマーを用いることができる。
なお、(メタ)アクリル酸エステルを少なくとも含有する単量体成分は、前記高分子アクリル系重合体の場合と同様に、予め部分的に重合されていてもよく、この場合、部分的に重合される単量体成分の割合としては、前記と同様に、例えば、単量体成分全量に対して30重量%以下(好ましくは1〜20重量%、さらに好ましくは5〜15重量%)の範囲から選択することができる。
一方、低分子アクリル系重合体は、アクリル系粘着剤組成物の改質剤(または、ベースポリマーとしての高分子アクリル系重合体の改質剤)として用いられているので、低分子アクリル系重合体の使用量としては、得られる高分子アクリル系重合体100重量部に対して0.1〜100重量部(好ましくは0.5〜50重量部、さらに好ましくは5〜30重量部)の範囲から選択することができる。
なお、アクリル系粘着剤組成物の調製に際しては、前記高分子アクリル系重合体の光重合の際に用いられる光重合開始剤から適宜選択して用いることができる。まお、重合開始剤の使用量としても、前記と同様の範囲から選択することができる。
また、アクリル系粘着剤組成物の調製の際に照射される活性エネルギー光線としては、前記高分子アクリル系重合体の光重合の際に照射する活性エネルギー光線として例示の活性エネルギー光線から適宜選択することができ、特に紫外線が好適である。なお、活性エネルギー光線の照射エネルギーや照射時間等も、前記と同様に特に制限されない。
このようなアクリル系粘着剤組成物には、低分子アクリル系重合体や、(メタ)アクリル酸エステルを少なくとも含有する単量体成分又は高分子アクリル系重合体以外の成分として、必要に応じて、酸化防止剤、老化防止剤、粘着付与剤、可塑剤、軟化剤、充填剤、着色剤(顔料や染料など)、架橋剤、界面活性剤、帯電防止剤などの公知の添加剤が含まれていてもよい。
本発明のアクリル系粘着剤組成物は、エネルギー線硬化型粘着テープ又はシートにおけるエネルギー線硬化型粘着剤層を形成する粘着剤組成物として利用することができる。すなわち、本発明のエネルギー線硬化型粘着テープ又はシートは、前記アクリル系粘着剤組成物により形成されたエネルギー線硬化型粘着剤層を有している。このようなエネルギー線硬化型粘着テープ又はシートとしては、(1)基材の少なくとも一方の面にエネルギー線硬化型粘着剤層が形成され且つ基材の両面側に粘着面が形成された構成の基材付きエネルギー線硬化型両面粘着テープ又はシート、(2)基材の一方の面にエネルギー線硬化型粘着剤層が形成された構成の基材付きエネルギー線硬化型粘着テープ又はシート、(3)エネルギー線硬化型粘着剤層のみから形成された構成の基材レスエネルギー線硬化型両面粘着テープ又はシートなどが挙げられる。
なお、エネルギー線硬化型粘着テープ又はシートが、基材付きエネルギー線硬化型両面粘着テープ又はシートである場合、基材の両面に形成された粘着剤層がエネルギー線硬化型粘着剤層であってもよく、基材の一方の面に形成された粘着剤層がエネルギー線硬化型粘着剤層であり、且つ基材の他方の面に形成された粘着剤層が前記エネルギー線硬化型粘着剤層以外の粘着剤層であってもよい。
また、エネルギー線硬化型粘着テープ又はシートは、ロール状に巻回された形態で形成されていてもよく、シートが積層された形態で形成されていてもよい。すなわち、本発明のエネルギー線硬化型粘着テープ又はシートは、シート状、テープ状などの形態を有することができる。なお、エネルギー線硬化型粘着テープ又はシートがロール状に巻回された形態を有している場合、例えば、エネルギー線硬化型粘着剤層等の粘着剤層を、セパレータや基材の背面側に形成された剥離処理層により保護した状態でロール状に巻回することにより作製することができる。
(エネルギー線硬化型粘着剤層)
エネルギー線硬化型粘着剤層は、前記アクリル系粘着剤組成物により形成されている。エネルギー線硬化型粘着剤層の厚みとしては、特に制限されず、例えば、5〜3000μm(好ましくは10〜300μm、さらに好ましくは20〜100μm)の範囲から選択することができる。
なお、エネルギー線硬化型粘着剤層は単層、複層の何れの形態を有していてもよい。
(基材)
エネルギー線硬化型粘着テープ又はシートが、基材を有している場合、基材としては、特に制限されず、例えば、紙などの紙系基材;布、不織布、ネットなどの繊維系基材;金属箔、金属板などの金属系基材;プラスチックのフィルムやシートなどのプラスチック系基材;ゴムシートなどのゴム系基材;発泡シートなどの発泡体や、これらの積層体(特に、プラスチック系基材と他の基材との積層体や、プラスチックフィルム(又はシート)同士の積層体など)等の適宜な薄葉体を用いることができる。基材としては、プラスチックのフィルムやシートなどのプラスチック系基材を好適に用いることができる。このようなプラスチックのフィルムやシートにおける素材としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のα−オレフィンをモノマー成分とするオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル系樹脂;ポリ塩化ビニル(PVC);酢酸ビニル系樹脂;ポリフェニレンスルフィド(PPS);ポリアミド(ナイロン)、全芳香族ポリアミド(アラミド)等のアミド系樹脂;ポリイミド系樹脂;ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などが挙げられる。これらの素材は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
なお、基材としては、活性エネルギー光線の透過を阻害しないものを使用することが好ましい。
基材の厚さは、強度や柔軟性、使用目的などに応じて適宜に選択でき、例えば、一般的には1000μm以下(例えば、1〜1000μm)、好ましくは1〜500μm、さらに好ましくは3〜300μm程度であるが、これらに限定されない。なお、基材は単層の形態を有していてもよく、積層された形態を有していてもよい。
基材の表面には、慣用の表面処理、例えば、コロナ処理、クロム酸処理、オゾン暴露、火炎暴露、高圧電撃暴露、イオン化放射線処理等の化学的又は物理的方法による酸化処理等が施されていてもよく、下塗り剤や剥離剤等によるコーティング処理等が施されていてもよい。
(他の粘着剤層)
エネルギー線硬化型粘着テープ又はシートが、前記エネルギー線硬化型粘着剤層以外の粘着剤層を有している場合、該粘着剤層としては、公知の粘着剤(例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、ウレタン系粘着剤、フッ素系粘着剤、エポキシ系粘着剤など)を用いて、公知の粘着剤層の形成方法を利用して形成することができる。また、粘着剤層の厚みは、特に制限されず、目的や使用方法などに応じて適宜選択することができる。
本発明では、エネルギー線硬化型粘着剤層等の粘着剤層の保護のために、粘着剤層上にセパレータ(剥離ライナー)を積層しておくのが望ましい。セパレータとしては、特に制限されず、公知のセパレータから適宜選択して用いることができる。
なお、エネルギー線硬化型粘着テープ又はシートは、他の層(例えば、中間層、下塗り層など)を有していてもよい。
エネルギー線硬化型粘着テープ又はシートは、例えば、(メタ)アクリル酸エステルを少なくとも含有する単量体成分と、前記低分子アクリル系重合体とを含む単量体組成物を、基材やセパレータの所定の面に、乾燥後の厚さが所定の厚さとなるように塗布した後、活性エネルギー光線を照射し光重合させる方法、セパレータの所定の面に、乾燥後の厚さが所定の厚さとなるように塗布し、活性エネルギー光線を照射し光重合させてエネルギー線硬化型粘着剤層を形成した後、該エネルギー線硬化型粘着剤層を基材の所定の面に転写させる方法や、これらの方法を組み合わせた方法などにより、作製することができる。
なお、アクリル系粘着剤組成物やアクリル系粘着剤組成物を調製するための単量体組成物の塗布に際しては、慣用のコーター(例えば、グラビヤロールコーター、リバースロールコーター、キスロールコーター、ディップロールコーター、バーコーター、ナイフコーター、スプレーコーターなど)を用いることができる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
(UV重合性組成物の作製例)
モノマー成分として、ブチルアクリレート:95重量部と、アクリル酸:5重量部と、光重合開始剤として、商品名「イルガキュアー651」(チバ・スペシャリティー・ケミカル社製):0.35重量部、および商品名「イルガキュアー184」(チバ・スペシャリティー・ケミカル社製):0.35重量部とを、4つ口フラスコに投入し、窒素雰囲気下で紫外線(UV)に暴露して、単量体成分の一部を光重合させることによって、重合率が10%である部分的に重合された組成物(部分重合モノマーシロップ)を作製した。
(実施例1)
シクロヘキシルメタクリレート:250重量部、2−メルカプトエタノール:7.5重量部、および商品名「パーブチルO」(日本油脂株式会社製):2.5重量部を、25℃の状態で、ステンレス製高圧容器(内容量:500mL)に投入し、蓋をして撹拌羽根により撹拌しながら、高圧容器の上部のガス供給口を開けて徐々に高純度の二酸化炭素を流し込み、高圧容器内の圧力(内圧)が2MPaになった時点で、一旦その状態を保持した。数秒後、高圧容器の上部の排出口を開けて、二酸化炭素を排出しながら高圧容器内を常圧まで戻した。この二酸化炭素の供給及び排出の操作を5回繰り返して、高圧容器内に残存する空気を二酸化炭素で置換した。この二酸化炭素の置換操作のあと、前記と同様にして、25℃の状態で、高純度の二酸化炭素を高圧容器内に供給(投入)し、一旦7MPaの圧力に保持した。その後、高圧容器内の温度(内部温度)を70℃まで上昇させるため、外浴電気ヒーターを加熱した。内部温度を上昇させながら、二酸化炭素を供給することで、段階的に内圧を上げていき、最終的に内部温度が70℃に達した時点で内圧を25MPaに調整した。この状態で、10時間保持して重合を行った。
重合終了後、撹拌を止めて静置させると、二酸化炭素層と、シクロヘキシルメタクリレートをモノマー主成分とするアクリル系重合体(シクロヘキシルメタクリレート系重合体)および二酸化炭素を含有する混合層(シクロヘキシルメタクリレート系重合体を含む二酸化炭素層)とに相分離したような状態となった。
ここで、高圧容器の底部のガス供給口を開けて、次に上部の排出口を開けて、高純度の二酸化炭素を供給するとともに、高圧容器内の二酸化炭素層の二酸化炭素をトラップを通して排出させた。この際、内圧は、ガス供給口より前に設置された保圧弁により25MPaに保持させている。二酸化炭素の排出量をガスメーターで計測しながら、おおおそ、高圧容器内の二酸化炭素が入れ替わった時点(約80mL排出させた時点)で、ガス供給口および排出口を閉めて、二酸化炭素の供給および排出をやめた。その後、また、撹拌を行って、高純度の二酸化炭素層と、シクロヘキシルメタクリレート系重合体を含む二酸化炭素層とを混合した後、撹拌を停止し静置して、相分離させ、再度、二酸化炭素の供給及び排出の操作(二酸化炭素の入れ替え操作)を行った。
次に、撹拌しながら、ステンレス製高圧容器の底部の排出口より、シクロヘキシルメタクリレート系重合体溶液を、大気圧下のガラス瓶内に放出することで、乾燥した粉末状のシクロヘキシルメタクリレート系重合体を得た。このシクロヘキシルメタクリレート系重合体の重量平均分子量(Mw)を、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)測定によって求めたところ、3900であった。また、ガスクロマトグラフィー(GC)測定により、残存成分を測定したところ、モノマー成分としてのシクロヘキシルメタクリレートが0.8重量%、2−メルカプトエタノールは検出限界以下(0.01重量%以下)であった。
このようにして得られたシクロヘキシルメタクリレート系重合体を、重量平均分子量が10万以下の低分子量のアクリル系重合体として用いて、そのまま、UV重合性組成物の作製例で得られた部分重合モノマーシロップに20重量部配合し、撹拌して溶解させて、紫外線硬化型粘着剤組成物(「粘着剤用UVシロップA」と称する場合がある)を調製した。
前記粘着剤用UVシロップAに、トリメチロールプロパントリアクリレートを0.15重量部投入して、撹拌して混合した後に、基材としてのポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み:25μm)の片面に、紫外線照射により光重合(UV重合)を行った後の厚みが60μmとなるように塗布し、その塗膜表面を、カバーフィルムとしてのシリコーン系剥離処理剤により離型処理が施されたポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み:38μm)により覆った。その後、ブラックライト蛍光ランプを用いて、商品名「UVチェッカーUVR−T1」(株式会社トプコン製;受光部として商品名「UD−T36」を用いている)で測定した際の照度が4mW/cm2で1分間、紫外線を照射させて、さらに、前記カバーフィルムを剥離した後、130℃で3分間乾燥処理を行い、接着力又は保持力を測定するための粘着テープ又はシート(接着力・保持力測定用粘着テープ又はシート)を作製した。
また、前記粘着剤用UVシロップAに、トリメチロールプロパントリアクリレートを0.15重量部投入して、撹拌して混合した後に、シリコーン系剥離処理剤により離型処理が施されたポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み:25μm;セパレータ)の離型処理面に、紫外線照射により光重合(UV重合)を行った後の厚みが60μmとなるように塗布し、その塗膜表面を、カバーフィルムとしてのシリコーン系剥離処理剤により離型処理が施されたポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み:38μm)により覆った。その後、ブラックライト蛍光ランプを用いて、商品名「UVチェッカーUVR−T1」(株式会社トプコン製;受光部として商品名「UD−T36」を用いている)で測定した際の照度が4mW/cm2で1分間、紫外線を照射させて、重合率又はゲル分率を測定するための粘着テープ又はシート(重合率・ゲル分率測定用粘着テープ又はシート)を作製した。なお、重合率を測定する際には、前記重合率・ゲル分率測定用粘着テープ又はシートをそのまま用い(重合率測定用粘着テープ又はシート)、一方、ゲル分率を測定する際には、前記重合率・ゲル分率測定用粘着テープ又はシートからカバーフィルムを剥離した後、130℃で3分間乾燥処理を行った粘着テープ又はシート(ゲル分率測定用粘着テープ又はシート)を用いる。
(実施例2)
イソボルニルアクリレート:250重量部、2−メルカプトエタノール:7.5重量部、および商品名「パーヘキシルD」(日本油脂株式会社製):2.5重量部を、25℃の状態で、ステンレス製高圧容器(内容量:500mL)に投入し、蓋をして撹拌羽根により撹拌しながら、高圧容器の上部のガス供給口を開けて徐々に高純度の二酸化炭素を流し込み、高圧容器内の圧力(内圧)が2MPaになった時点で、一旦その状態を保持した。数秒後、高圧容器の上部の排出口を開けて、二酸化炭素を排出しながら高圧容器内を常圧まで戻した。この二酸化炭素の供給及び排出の操作を5回繰り返して、高圧容器内に残存する空気を二酸化炭素で置換した。この二酸化炭素の置換操作のあと、前記と同様にして、25℃の状態で、高純度の二酸化炭素を高圧容器内に供給(投入)し、一旦7MPaの圧力に保持した。その後、高圧容器内の温度(内部温度)を70℃まで上昇させるため、外浴電気ヒーターを加熱した。内部温度を上昇させながら、二酸化炭素を供給することで、段階的に内圧を上げていき、最終的に内部温度が70℃に達した時点で内圧を25MPaに調整した。この状態で、10時間保持して重合を行った。
重合終了後、撹拌を止めて静置させると、二酸化炭素層と、イソボルニルアクリレートをモノマー主成分とするアクリル系重合体(イソボルニルアクリレート系重合体)および二酸化炭素を含有する混合層(イソボルニルアクリレート系重合体を含む二酸化炭素層)とに相分離したような状態となった。
ここで、高圧容器の底部のガス供給口を開けて、次に上部の排出口を開けて、高純度の二酸化炭素を供給するとともに、高圧容器内の二酸化炭素層の二酸化炭素をトラップを通して排出させた。この際、内圧は、ガス供給口より前に設置された保圧弁により25MPaに保持させている。二酸化炭素の排出量をガスメーターで計測しながら、おおおそ、高圧容器内の二酸化炭素が入れ替わった時点(約80mL排出させた時点)で、ガス供給口および排出口を閉めて、二酸化炭素の供給および排出をやめた。その後、また、撹拌を行って、高純度の二酸化炭素層と、イソボルニルアクリレート系重合体を含む二酸化炭素層とを混合した後、撹拌を停止し静置して、相分離させ、再度、二酸化炭素の供給及び排出の操作(二酸化炭素の入れ替え操作)を行った。
次に、撹拌しながら、ステンレス製高圧容器の底部の排出口より、イソボルニルアクリレート系重合体溶液を、大気圧下のガラス瓶内に放出することで、乾燥した粉末状のイソボルニルアクリレート系重合体を得た。このイソボルニルアクリレート系重合体の重量平均分子量(Mw)を、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)測定によって求めたところ、4100であった。また、ガスクロマトグラフィー(GC)測定により、残存成分を測定したところ、モノマー成分としてのイソボルニルアクリレートが0.5重量%、2−メルカプトエタノールは検出限界以下(0.01重量%以下)であった。
このようにして得られたイソボルニルアクリレート系重合体を重量平均分子量が10万以下の低分子量のアクリル系重合体として用いて、そのまま、UV重合性組成物の作製例で得られた部分重合モノマーシロップに20重量部配合し、撹拌して溶解させて、紫外線硬化型粘着剤組成物(「粘着剤用UVシロップB」と称する場合がある)を調製した。
前記粘着剤用UVシロップBを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、接着力・保持力測定用粘着テープ又はシート、重合率・ゲル分率測定用粘着テープ又はシート(重合率測定用粘着テープ又はシート、ゲル分率測定用粘着テープ又はシート)を作製した。
(比較例1)
シクロヘキシルメタクリレート:200重量部、2−メルカプトエタノール:6重量部、アゾビスイソブチロニトリル:0.6重量部を、200重量部のトルエン中に混合した混合物を、4つ口フラスコに投入し、この混合物(反応液)を撹拌しながらフラスコ内に窒素を吹き込み窒素雰囲気にした後、フラスコをウォーターバスを用いて加温して、反応液温度を70℃に6時間維持した。その後、ウォーターバスの温度を80℃に設定して、反応液温度を80℃に昇温させて1時間維持した、その後に、室温まで冷却して、シクロヘキシルメタクリレートをモノマー主成分とするアクリル系重合体(シクロヘキシルメタクリレート系重合体)のトルエン溶液を得た。
このシクロヘキシルメタクリレート系重合体のトルエン溶液から、シクロヘキシルメタクリレート系重合体を取り出すために、過剰量(約4L)のメタノール中に、メタノールを撹拌しながら、シクロヘキシルメタクリレート系重合体のトルエン溶液を徐々に滴下して、シクロヘキシルメタクリレート系重合体を析出させた。全量を滴下した後、撹拌を止めて、シクロヘキシルメタクリレート系重合体が沈殿するまで静置して、上澄み液を除去して沈殿物を取り出した。その後、減圧乾燥機を用いて、加熱温度:100℃、減圧度:3hPaの加熱減圧処理を10時間行い、沈殿物を乾燥し、シクロヘキシルメタクリレート系重合体の固形物を得た。このシクロヘキシルメタクリレート系重合体の重量平均分子量(Mw)を、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)測定によって求めたところ、3800であった。また、ガスクロマトグラフィー(GC)測定により、残存成分を測定したところ、モノマー成分としてのシクロヘキシルメタクリレートが0.5重量%、2−メルカプトエタノールは0.01重量%以下であった。
このようにして得られたシクロヘキシルメタクリレート系重合体を、重量平均分子量が10万以下の低分子量のアクリル系重合体として用いて、そのまま、UV重合性組成物の作製例で得られた部分重合モノマーシロップに20重量部配合し、撹拌して溶解させて、紫外線硬化型粘着剤組成物(「粘着剤用UVシロップC」と称する場合がある)を調製した。
前記粘着剤用UVシロップCを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、接着力・保持力測定用粘着テープ又はシート、重合率・ゲル分率測定用粘着テープ又はシート(重合率測定用粘着テープ又はシート、ゲル分率測定用粘着テープ又はシート)を作製した。
(比較例2)
シクロヘキシルメタクリレート:200重量部を4つ口フラスコに投入し、撹拌しながらフラスコ内に窒素を吹き込み窒素雰囲気にした。オイルバスを用いて、フラスコ内のシクロヘキシルメタクリレート液(反応液温度)を90℃まで昇温し、その後に、2−メルカプトエタノール:6重量部を添加した。2−メルカプトエタノールの添加から液温が130℃程度までゆっくりと上昇し、それに伴って、反応液には粘性がついてきて粘度が高くなってきた。液温の上昇が止まったのを確認してオイルバスを130℃まで上昇させた。その後、1時間ごとにオイルバスの設定温度を10℃ずつ高くしていき、オイルバス設定温度が180℃になった後、1時間攪拌を続けた。次に、フラスコ中への窒素の吹き込みを停止し、オイルバスでの180℃の加温状態を維持しながら、減圧ポンプ(真空ポンプ)により徐々にフラスコ内を減圧していった。減圧により発生した留出物を取り除きながら、フラスコ内が3hPaとなってから、さらに2時間攪拌を続けて、留出物を除去しつづけた。次に、減圧ポンプを停止させ、フラスコ内に窒素を吹き込んで常圧まで戻した。これを、高温状態のままでフラスコからステンレス製の平皿に流し込み、室温まで自然冷却した。冷却後に、ガラス状に硬まったシクロヘキシルメタクリレート系重合体をハンマーによって粉砕して、ステンレスバットより取り出した。この得られたシクロヘキシルメタクリレート系重合体の重量平均分子量(Mw)を、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)測定によって求めたところ、3900であった。また、ガスクロマトグラフィー(GC)測定により、残存成分を測定したところ、モノマー成分としてのシクロヘキシルメタクリレートが2.3重量%、2−メルカプトエタノールは検出限界以下(0.01重量%以下)であった。
このようにして得られたシクロヘキシルメタクリレート系重合体を、重量平均分子量が10万以下の低分子量のアクリル系重合体として用いて、そのまま、UV重合性組成物の作製例で得られた部分重合モノマーシロップに20重量部配合し、撹拌して溶解させて、紫外線硬化型粘着剤組成物(「粘着剤用UVシロップD」と称する場合がある)を調製した。
前記粘着剤用UVシロップDを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、接着力・保持力測定用粘着テープ又はシート、重合率・ゲル分率測定用粘着テープ又はシート(重合率測定用粘着テープ又はシート、ゲル分率測定用粘着テープ又はシート)を作製した。
(比較例3)
シクロヘキシルメタクリレート:200重量部を4つ口フラスコに投入し、撹拌しながらフラスコ内に窒素を吹き込み窒素雰囲気にした。オイルバスを用いて、フラスコ内のシクロヘキシルメタクリレート液(反応液温度)を90℃まで昇温し、その後に、2−メルカプトエタノール:6重量部を添加した。2−メルカプトエタノールの添加から液温が130℃程度までゆっくりと上昇し、それに伴って、反応液には粘性がついてきて粘度が高くなってきた。液温の上昇が止まったのを確認してオイルバスを130℃まで上昇させた。その後、1時間ごとにオイルバスの設定温度を10℃ずつ高くしていき、オイルバス設定温度が180℃になった後、そのまま3時間攪拌を続けた。次に、これを高温状態のままフラスコからステンレス製の平皿に流し込み、室温まで自然冷却した。冷却後に、ガラス状に硬まったシクロヘキシルメタクリレート系重合体をハンマーによって粉砕して、ステンレスバットより取り出した。この得られたシクロヘキシルメタクリレート系重合体の重量平均分子量(Mw)を、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)測定によって求めたところ、3900であった。また、ガスクロマトグラフィー(GC)測定により、残存成分を測定したところ、モノマー成分としてのシクロヘキシルメタクリレートが11重量%、2−メルカプトエタノールは0.12重量%であった。
このようにして得られたシクロヘキシルメタクリレート系重合体を、重量平均分子量が10万以下の低分子量のアクリル系重合体として用いて、そのまま、UV重合性組成物の作製例で得られた部分重合モノマーシロップに20重量部配合し、撹拌して溶解させて、紫外線硬化型粘着剤組成物(「粘着剤用UVシロップE」と称する場合がある)を調製した。
前記粘着剤用UVシロップEを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、接着力・保持力測定用粘着テープ又はシート、重合率・ゲル分率測定用粘着テープ又はシート(重合率測定用粘着テープ又はシート、ゲル分率測定用粘着テープ又はシート)を作製した。
なお、実施例1〜2及び比較例1〜3において、重合体の重量平均分子量(Mw)を求める際のゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)測定では、GPC測定装置として商品名「HLC−8120GPC」(東ソー株式会社製)を用い、次のGPCの測定条件でポリスチレン換算値により測定した。
GPCの測定条件
・サンプル濃度:0.1重量%(テトラヒドロフラン溶液)
・サンプル注入量:100μl
・溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
・流量(流速):0.5mL/min
・カラム温度(測定温度):40℃
・カラム:商品名「TSK GEL GMHHR−H(20)」(東ソー株式会社製)を2本連結
・検出器:示差屈折計
また、実施例1〜2及び比較例1〜3において、残存成分を測定する際のガスクロマトグラフィー(GC)測定では、試料:約1gをメスフラスコに秤量した後、テトラヒドロフランで10mlにメスアップし、この溶液を、GC測定装置として商品名「HP5890II」(HEWLETT PACKARD社製)を用い、次のGCの測定条件で測定した。
GCの測定条件
・カラム:DB−1 1.5μm(0.544mmφ×30M)
・キャリアーガス:He(ヘリウム) 12.0ml/min(定流モード)
・カラムヘッド圧:52kPa(40℃)
・注入口:スプリット(スプリット比2.5:1、150℃)
・カラム温度:最初に40℃で3分間保持し、その後、10℃/minの昇温速度で260℃まで昇温していき、260℃で5分間保持する
・検出器:FID(温度:280℃)
(評価)
実施例1〜2および比較例1〜3で得られた接着力・保持力測定用粘着テープ又はシートおよび重合率・ゲル分率測定用粘着テープ又はシート(重合率測定用粘着テープ又はシート、ゲル分率測定用粘着テープ又はシート)の評価用の粘着テープ又はシートを用いて、重合率、ゲル分率、接着力、保持力を、下記の測定方法又は評価方法により評価した。なお、評価結果は、表1に示した。
(重合率の測定方法)
各実施例、各比較例に係る重合率測定用粘着テープ又はシートから、セパレータおよびカバーフィルムを剥離させて得られる紫外線硬化型粘着剤層の重量(初期重量)を測定し、この初期重量を「X1」とする。次に、初期重量の測定後、130℃で2時間乾燥させて重量(乾燥後重量)を測定し、この乾燥後重量を「X2」とする。このようにして測定された初期重量X1と、乾燥後重量X2とを用いて、下記式(1)を利用して、重合率(%)を算出した。
重合率(%)=(X2/X1)×100 (1)
(ゲル分率の測定方法)
各実施例、各比較例に係るゲル分率測定用粘着テープ又はシートから、セパレータおよびカバーフィルムを剥離させて得られる紫外線硬化型粘着剤層から0.1g程度の紫外線硬化型粘着剤層を切断して小片を取り出し、該小片の紫外線硬化型粘着剤層を秤量し、この重量を「浸漬前重量」と称する。その後、この小片の紫外線硬化型粘着剤層を酢酸エチル(約30g)中に7日間浸漬させた。次に、酢酸エチルに溶解しなかったゲル分(粘着剤分)を取り出し、130℃で2時間乾燥した後、秤量し、この重量を「浸漬後重量」と称する。このようにして測定された浸漬前重量と、浸漬後重量とを用いて、下記式(2)を利用して、ゲル分率(%)を算出した。
ゲル分率(%)=(浸漬後重量/浸漬前重量)×100 (2)
(接着力の測定方法)
各実施例、各比較例に係る接着力・保持力測定用粘着テープ又はシートを、幅が20mm、長さが150mmとなるように切断して、接着力用試験片を作製した。この接着力用試験片を用いて、JIS Z 0237に準じて、接着力を測定した。具体的には、前記接着力用試験片を、23℃の温度下で、被着体であるステンレス板(表面は、#280サンドペーパーにより研磨済み)の上に、2kgのローラーを1往復させる方法により貼り合わせた。貼り合わせから30分経過後に、引張試験機にて剥離角度:180°、引張り速度:300mm/分で、接着力(N/20mm)を測定した。
(保持力の評価方法)
各実施例、各比較例に係る接着力・保持力測定用粘着テープ又はシートを、幅が10mm、長さが150mmとなるように切断して、保持力用試験片を作製した。この保持力用試験片を用い、また、被着体としてベークライト樹脂板を用いて、JIS Z 0237に準じて、接着力を測定した。具体的には、前記保持力用試験片を、10mm×20mmの面積で、ベークライト樹脂板の端に、2kgのローラーを1往復させる方法により貼り合わせた。保持力用試験片のうち、ベークライト樹脂板に貼り合わせられていない部分(長さが130mmの部分)は、粘着面を内側にして折り重ねた。23℃で30分以上経過した後、80℃に温調(温度調整)された恒温槽付き保持力試験機に、保持力用試験片が垂直に垂れ下がるように取り付け、30分経過後に、折り重ねた部分の端に、500gの重りによる荷重をかけた。その後、1時間経過後に、保持力用試験片がずれた距離を測定し、このずれた距離により、保持力を評価した。なお、落下した場合は、荷重をかけた後に落下した時間を求めた。従って、前記ずれた距離が短いほど保持力は良好である。
Figure 0004368710
実施例1〜2では、重量平均分子量が10万以下の低分子量のアクリル系重合体は、重合後に多大なエネルギーや時間を要する分離操作(乾燥工程など)を行う必要がなく、また、取り出した重合体を、そのまま、部分重合モノマーシロップに投入しても、重合速度の低下や、重合により得られる重合体の重量平均分子量の低下を生じさせずに、目的とする紫外線硬化型粘着テープ又はシートを得ることができることが確認された。
一方、比較例1では、重量平均分子量が10万以下の低分子量のアクリル系重合体が溶液重合により調製されており、重合後に溶剤から重合体を分離、乾燥する際に、同時に残存したモノマーや連鎖移動剤も分離することができ、そのため、重合速度の低下や、重合により得られる重合体の重量平均分子量の低下を生じさせずに、目的とする紫外線硬化型粘着テープ又はシートを得ることができる。しかし、重量平均分子量が10万以下の低分子量のアクリル系重合体の分離操作に関しては、多量の貧溶媒や、多量の乾燥エネルギー、時間が必要となる。
また、比較例2や3では、重量平均分子量が10万以下の低分子量のアクリル系重合体が塊状重合により調製されており、そのため、有機溶剤を用いていないので、有機溶剤の分離操作は必要ないが、前記比較例2のような溶液重合に比べると、少量のモノマー成分が未反応で残存していまいやすく、この場合は、重合後に、重合体から残存モノマーおよび連鎖移動剤を揮発処理させる必要があり、比較例2の場合と同様に、やはり多大なエネルギー、時間を必要とする。特に、比較例3では、塊状重合により得られたアクリル系重合体を、分離操作することなしに、部分重合モノマーシロップに配合したために、重合率(%)やゲル分率(%)の低下が見られ、それに伴い、粘着性能においては、保持性能が低下している。

Claims (5)

  1. 重量平均分子量が10万を超える高分子量のアクリル系重合体を製造する方法であって、(メタ)アクリル酸エステルを少なくとも含有する単量体成分(a)と、希釈剤として二酸化炭素を用い、単量体主成分としてアクリル系単量体を含有する単量体成分をラジカル重合させることにより、重量平均分子量が1000〜50000の低分子量のアクリル系重合体を調製した後、二酸化炭素を利用して、反応混合物から残存物を取り除き、前記低分子量のアクリル系重合体を分離することにより得られる該重量平均分子量が1000〜50000の低分子量のアクリル系重合体(b)とを含む単量体組成物に、活性エネルギー光線を照射して、光重合させることにより、重量平均分子量が10万を超える高分子量のアクリル系重合体を製造することを特徴とする高分子量のアクリル系重合体の製造方法。
  2. 重量平均分子量が10万を超える高分子量のアクリル系重合体であって、請求項記載の高分子量のアクリル系重合体の製造方法により得られたことを特徴とする高分子量のアクリル系重合体。
  3. アクリル系重合体を主成分として含有するアクリル系粘着剤組成物を製造する方法であって、(メタ)アクリル酸エステルを少なくとも含有する単量体成分(a)と、希釈剤として二酸化炭素を用い、単量体主成分としてアクリル系単量体を含有する単量体成分をラジカル重合させることにより、重量平均分子量が1000〜50000の低分子量のアクリル系重合体を調製した後、二酸化炭素を利用して、反応混合物から残存物を取り除き、前記低分子量のアクリル系重合体を分離することにより得られる該重量平均分子量が1000〜50000の低分子量のアクリル系重合体(b)とを含む単量体組成物に、活性エネルギー光線を照射し光重合させて、重量平均分子量が10万を超える高分子量のアクリル系重合体を調製することにより、アクリル系粘着剤組成物を製造することを特徴とするアクリル系粘着剤組成物の製造方法。
  4. アクリル系重合体を主成分として含有するアクリル系粘着剤組成物であって、請求項記載のアクリル系粘着剤組成物の製造方法により得られたことを特徴とするアクリル系粘着剤組成物。
  5. エネルギー線硬化型粘着剤層を有するエネルギー線硬化型粘着テープ又はシートであって、前記エネルギー線硬化型粘着剤層が、請求項に記載のアクリル系粘着剤組成物により形成されていることを特徴とするエネルギー線硬化型粘着テープ又はシート。
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