JP4368626B2 - 画像読取装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ファクシミリ装置、スキャナ装置、複写機、デジタル複合機などに適用可能な画像読取装置に関し、特に、原稿の読取面上における現在の読取り位置である主走査方向のスキャンラインを副走査方向に移動させる一方、前記読取面上のスキャンラインを主走査方向全体に渡って照明する光源を備え、その光源から照射され前記読取面上のスキャンラインで反射した光をラインイメージセンサにより光電変換して前記原稿の読取り面に対応した画像データを得る画像読取装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
画像読取装置において主走査ライン単位で原稿を読み取る場合、理想的にはその主走査ラインの画像領域における光の反射率を検出できればよいが、実際は照射した光の反射光の強弱の検出により読み取りを行っている。
【0003】
その場合、照射する光の光量が主走査ライン方向に一様で有れば、反射光の強弱は主走査ラインの画像領域における光の反射率を相当して理想的である。
【0004】
しかし、現実には、光源として使用されるキセノン管やLEDアレイは、主走査方向に一様な光量で発光することはできない。仮にできたとしても、読取光学系における主走査方向の減衰特性の非一様性(ムラ)により、ラインイメージセンサに受光される段階では、光源の光量に主走査方向にムラがあるとのと同等の好ましくない効果を生じる。密着イメージセンサを用いる画像読取装置では、LED光源からの光を導光板を経由して原稿面に照射するものがあるが、その場合も主走査方向の光量分布のムラの問題がある。
【0005】
そのような光源自体、または/及び、読取光学系での主走査方向の光量分布や減衰特性のムラに対応するため、シェーディング板などを配置するなどの物理的な対策をとることもできるが、そのためのスペースが必要であるばかりでなく、装置コストの増大要因ともなる。
【0006】
また、装置ごとの光源の発光特性のバラツキ、読取り光学系における減衰特性のバラツキやそれらのバラツキの経時変化などには全く対応できない。
【0007】
ラインイメージセンサに入射する段階で主走査方向の光源自体、または/及び、読取光学系のムラが解消されていないと、そのムラのうちの明るい領域の画像信号を正しく処理できなければならい後段のアナログ及びデジタルの画像処理において、シェーディング補正処理によりそのムラの補正を行うときに、暗い領域からの画像信号については精度が落ちてしまい画質劣化の原因となる問題点があった。
【0008】
画像読取装置の光源については、特許文献1に記載の提案などの種々の改良がなされてきてはいる。
【0009】
【特許文献1】
特開平5−328025号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特許文献1などの各種提案をもってしても、上記従来技術の問題点を解決することはできないでいた。
【0011】
本発明は係る事情に鑑みてなされたものであり、原稿画像を主走査方向に一様な感度で読み取ることができ、原稿照明のために要する電力消費及び発熱を必要最低限にでき、また、高い画質を維持できる画像読取装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の画像読取装置は、原稿の読取面上における現在の読取り位置である主走査方向のスキャンラインを副走査方向に移動させる一方、上記読取面上のスキャンラインを主走査方向全体に渡って照明する光源を備え、その光源から照射され上記読取面上のスキャンラインで反射した光をラインイメージセンサにより光電変換して上記原稿の読取り面に対応した画像データを得る画像読取装置において、上記光源を複数の光源ブロックが上記主走査方向に複数配列されたものとして構成する一方、上記各光源ブロックのそれぞれについてそれぞれの最大出力光量以下であって設定された光量で点灯駆動する光源ブロック個別駆動手段と、原稿読取開始に先立って、白基準板を上記ラインイメージセンサにより読み取って得られる白画像データの上記主走査方向の信号レベルがほぼ一定となるよう上記光源ブロック個別駆動手段に対して上記各光源ブロックの光量を適応的に設定する光源ブロック別光量設定手段とを備え、上記各光源ブロックの光量の設定及び駆動は所定の駆動周期における発光期間の割合であるデューティ比を変化させることにより行われ、網点原稿を読み取る場合には、上記光源ブロック別光量設定手段は、上記白基準板を上記ラインイメージセンサにより読み取って得られる白画像データの主走査方向の信号レベルがほぼ一定となるよう上記各光源ブロックの光量をデューティ比の設定により適応的に設定する際に、デューティ比の設定値が所定の下限値以下になってしまう場合にはその下限デューティ比以下への設定は行わず、更に上記各光源ブロックのそれぞれについてのデューティ比の設定値の最大値と最小値との差が所定の上限差を越えてしまう場合には、上記各光源ブロックのそれぞれについてのデューティ比の設定値の差が上記上限差以下になる範囲内で上記各光源ブロックのそれぞれについてのデューティ比を設定するようにしたものである。
【0013】
上記光源を構成する上記各光源ブロックのそれぞれについての上記最大出力光量は、上記原稿のスキャンラインからの反射光が上記イメージセンサに入射するまでに通過する読取光学系における主走査方向の既知の減衰特性をほぼ相殺する量に設定するとよい。
【0014】
上記光源を構成する上記各光源ブロックのそれぞれについての上記最大出力光量は、上記原稿のスキャンラインからの反射光が上記イメージセンサに入射するまでに通過する読取光学系における主走査方向においてほぼ左右対称な既知の減衰特性をほぼ相殺する量に設定される一方、上記光源ブロック個別駆動手段は、上記各光源ブロックのうちの上記主走査方向においてほぼ左右対称の位置にある2つの光源ブロックを1つの光源ブロックとして点灯駆動するとよい。
【0015】
上記各光源ブロックは、複数の発光ダイオード素子の主走査方向への並列配列により構成するとよい。
【0016】
上記ラインイメージセンサから得られる原稿画像データに対して所定の画像補正処理を行う場合に、上記主走査方向において上記各光源ブロックのそれぞれに対応する各部分画像データのそれぞれについて、上記各光源ブロックのそれぞれについて上記光源ブロック別光量設定手段により設定されたそれぞれのデューティ比に適した補正を行うデューティ比適応画像補正手段を更に備えたものである。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0021】
先ず、図1に、本実施の形態に係る画像処理装置1のスキャナ機構について示す。なお、スキャナ機構としては、密着型イメージセンサを用いた等倍タイプのものと、CCDイメージセンサと縮小光学系を用いるタイプとがあるが、本実施の形態に係る画像処理装置1は、後者のタイプである。しかし、本発明は、前者のタイプに対しても同様可能なものである。
【0022】
同図において、装置上面に配置されたコンタクトガラス50には、読み取り対象の原稿が読取面を下にして載置される。
【0023】
スキャンラインLsは原稿上のその位置の主走査方向のライン状の部分画像領域からの反射光がCCD60に結像して読み取られるラインであり、そのスキャンラインLsを中心とする近傍に、コンタクトガラス50の下方に配置された光源ユニット52からの光が照射される。
【0024】
その照射された光は、原稿上のスキャンラインLsの位置のライン状画像領域により反射され、その反射光が、ミラー53,ミラー54,及びミラー55により順次反射されて、縮小光学系を構成するレンズ56に入射し、CCD基板70上に配置されたCCD60のライン状の受光素子群に結像されて光電変換され、原稿上のスキャンラインLsの位置のライン状画像領域に対応する1主走査ライン分のアナログ画像信号が得られ、そのアナログ画像信号は、CCD60を搭載するCCD基板70を介して後述する読取制御部6に送られる。
【0025】
なお、光源ユニット52、ミラー53,54及び55は、図示しないキャリッジに搭載されていて、そのキャリッジが図示しない副走査機構により、本体側に固定されたレンズ56及びCCD60とこの光学的な位置関係を保持したまま図に示す副走査方向に移動することにより、スキャンラインLsが、副走査方向に移動することで、主走査ライン単位のライン状画像データの副走査方向の積み重ねとして原稿の読取面に対応する画像データが得られる。
【0026】
また、コンタクトガラス50上面の端部に配設された白基準板51の位置までスキャンラインLsを移動させ、その位置で1主走査ライン分の画像データを取得した場合、その画像データは、白画像データであり、光源ユニット52の主走査方向の放射光の強度のムラ、ミラー53,54,55、及び、レンズ56の読取光学系における主走査方向の反射または透過光の減衰ムラ、及び、CCD56を構成する主走査方向に多数配置された受光素子間の感度ムラを総合した読取系の総合的なムラを補正するための処理であるシェーディング補正処理などのために使用される。
【0027】
そのような読取系の総合的なムラの補正は、均一な白色の白基準板51を読み取って得られた1主走査ライン分の画像データにおいて、例えば、特定の受光素子から最高の信号レベル100が得られ、別の受光素子から最低の信号レベル50が得られた場合、シェーディング補正では、最低の信号レベル50の受光素子から得られる画像データを2倍にするような処理を行う。しかし、各受光素子から得られる画像信号レベルにばらつきがあり過ぎると、信号レベルの低い受光素子からの画像信号については、アナログの画像処理回路において、そのダイナミックレンジを有効使用できない問題や、アナログの画像信号をディジタルの画像データに変換するA/D変換の際に十分な精度を得られないという問題がある。
【0028】
そのため、CCD60を構成する受光素子相互の光電変換特性のムラは避けられないにしても、光源ユニット52、及び、ミラー53,54,55、レンズ56の読取り光学系におけるムラの補正は、従来から行われていた。
【0029】
具体的には、レンズ56には、COS4乗則により、中心から辺縁に向かって透過光の減衰量が大きくなる(1主走査ライン分の画像データにおいて両端が暗くなる)特性があることが予め分かっているため、その特性をうち消すように、光源ユニット52から原稿の読取面への光の当たり具合を物理的に調節するシェーディング板を配置していた。
【0030】
図1に示す本実施の形態に係る画像処理装置1も図示は省略しているが、シェーディング板を配置して、レンズ56のCOS4乗則分のムラを補正するようにしている。
【0031】
図2に、本実施の形態に係る画像形成装置1のブロック構成について示す。
【0032】
同図において、CPU2は、RAM4を作業領域として使用しつつ、ROM3に書き込まれた制御プログラムに基づいて装置各部を制御したり、各種データ処理を行う中央演算処理装置である。
【0033】
ROM3は、前述したように、CPU2が装置各部を制御するため等の制御プログラムが記憶されているリードオンリメモリである。RAM4は、前述したようにCPU2の作業領域として使用されるランダムアクセスメモリである。
【0034】
パラメータメモリ5は、装置動作に必要な各種情報が記憶されると共に、装置の電源がオフされた状態でもその記憶内容を保持するメモリであり、具体的には、EEPROM(電気的に書き換え可能な読み出し専用メモリ)や、バッテリバックアップされたSRAM(スタティックRAM)などにより構成されるものである。
【0035】
読取制御部6は、詳細は後述するが、光源ユニット52の点灯制御や、副走査機構の駆動制御や、CCD基板70から渡されたアナログ画像信号をA/D変換してデジタルの画像信号に変換してMTF補正などの低レベルの画像処理を施してCPU2に渡すものである。
【0036】
画像データ出力部7は、具体的には、読取制御部6から得られた画像データを、記録紙に印刷形成するプロッタや、ローカルエリアネットワークや所定のシリアルまたはパラレルのインターフェイスなどによりパーソナルコンピュータに代表される他装置に転送するインターフェイス回路である。なお、本発明は、読取制御部6から得られた画像データの使用目的により限定されるものではない。
【0037】
操作表示部8は、ユーザからの操作入力を受け入れるための各種キーが配設される一方、液晶表示装置等の表示器を備え、ユーザに知らせるべき装置の動作状態や、各種メッセージを表示するものである。
【0038】
システムバス11は、上記各部がデータをやり取りするためのデータバス・アドレスバス・制御バス、割り込み信号ラインなどにより構成される信号ラインである。
【0039】
図3に、画像形成装置1の、読取制御部6とそれにハーネス6aを介して接続される光源ユニット82及びCCD基板70ついて示す。なお、読取制御部6は、光源ブロック個別駆動手段に相当するものである。
【0040】
同図において、読取制御部6は、読取制御回路80を備えている。その読取制御回路80は、原稿画像読み取りに係る各種動作を制御するものであり、ステッピングモータの回転制御や各種センサによる動作状態監視などの副走査機構81の制御を行う一方、光源ユニット82の点灯駆動制御を行う。また、CCD基板70へ電源や駆動信号を供給する見返りにアナログの画像信号を渡されそのアナログの画像信号のA/D変換、シェーディング補正、MTF補正などの画像処理を行って得られた画像データを、システムバス9を介してCPU2に渡す。
【0041】
読取制御回路80は、画像処理のために設定情報記憶メモリ82を参照する。その設定情報記録メモリ82の設定内容は、システムバス9を介してCPU2から渡されたものを記憶したものである(後述)。
【0042】
光源ユニット82は、光源ブロックLED_A、LED_B、LED_C、LED_Dが主走査方向直列に配置されて構成されている。
【0043】
それら各ブロックは互いに同一構成であり、多数の互いに同一種類の発光イオード素子が主走査方向に等間隔に並列接続されて構成されていて、実質的に、駆動電流・発光量・発光面積の大きい単一の発光ダイオードと同等である。
【0044】
それら各ブロックは「アノード」側が読取制御部6からのLED電源83に共通に接続されている。
【0045】
一方、各ブロックの「カソード」側は、それぞれ個別に読取制御部6側の各ドライバ回路(LED_A駆動Drなど)に接続されている。
【0046】
LED_X駆動Dr(X=A、B、C、またはD)は、読取制御回路80からのPWM信号(LED_X)により制御され、PWM信号(LED_X)がHighレベルのとき出力は電流を吸い込む、インバータ的なドライブ動作を行う。
【0047】
図4に、図3の構成の光源ユニット82を構成する各光源ブロックLED_X(X=A、B、C、またはD)を点灯駆動するPWM信号(LED_X)について示す図である。
【0048】
各PWM信号は、PWM周期に同期した信号であり、そのPWM周期を副走査速度に対して十分短く設定すれば、実質的に、光源ユニット82として冷陰極管などを用い連続点灯する場合と同等の照明効果を得ることができる。
【0049】
本実施の形態では、PWM周期は、1ライン分の主走査ラインを読み取る期間(CCD60の受光素子の蓄積時間)と同期していて、各読取り主走査ラインにおいて、正確にデューティ比(1蓄積時間において光源が点灯している時間の割合い)を設定できるようにしている。もっとも、PWM周期が蓄積時間よりもずっと短ければ(例えば数百分の1)、PWM期間と主走査ラインの読取期間との同期は不要であるが、大電流負荷の高速スイッチングは回路のコスト増大を招き、ノイズ源ともなるのでPWM期間と主走査ラインの読取期間との同期を図る本実施の形態のやりかたのほうが好ましいといえる。
【0050】
図4においては、各PWM信号(LED_X)のデューティ比が100%(最大出力光量)の状態から各PWM信号(LED_X)のデューティ比が個別に設定された状態に移行した場合を示している。このように、読取制御回路80は、各PWM信号(LED_X)のデューティ比を個別に設定できる。デューティ比の可変設定は、1PWM周期中におけるHighレベルからLowレベルへの移行タイミングの変更設定により行え、ソフトウェアタイマにより出力ポートをON/OFFする制御により容易に実現でき、また、専用のPWM回路にデューティ比設定値を設定することによっても容易に実現できる機能である。
【0051】
図5に、図3の構成の光源ユニット52により原稿を照明して読み取られた1主走査ライン分の白画像データ(白基準板51を読み取って得られた画像データ)例について示す。
【0052】
図5において、1主走査ライン分の白画像データは、光源ブロックLED_Aに対応する部分画像データ、光源ブロックLED_Bに対応する部分画像データ、光源ブロックLED_Cに対応する部分画像データ、及び、光源ブロックLED_Dに対応する部分画像データの各部分画像データが直列に連結されて構成されたものと捉えることができる。厳密に言えば、光源ブロックLED_Aに対応する部分画像データは、光源ブロックLED_Aに隣接する光源ブロックLED_Bからの光による成分も含むことになるが、ブロックLED_Aに比較してずっと遠くにある光であるため、影響は少ない。
【0053】
同図において、点線で示す特性は、後述するLED光量(PWMデューティ比)を調整する制御をする前の最大出力光量でのものであり、前述したように、レンズ56のCOS4乗則によるムラを図示しないシェーディング板で補正した程度のもので、装置ごとのCOS4乗則の特性差や光源ユニット52の装置ごとの特性差(各光源ブロックのデューティ比100%での発光量の相互のばらつき)、及び、それらの特性の経時変化を補正しきれていないため、まだ、かなりのムラが残存している。
【0054】
同図において、実線で示す特定は、後述するLED光量(PWMデューティ比)を調整する制御をした後のものであり、レンズ56のCOS4乗則によるムラをシェーディング板で補正した程度以上に、信号レベルのムラを補正できているのが分かる。
【0055】
本実施の形態に係る画像処理装置1は、光源ユニット52を構成する各光源ブロックLED_X(X=A、B、C、またはD)ごとに、それらを点灯駆動するPWM信号(LED_X)のデューティ比を設定することを特徴としているが、主走査ライン方向の各光源ブロックの領域ごとにデューティ比が異なると、原稿内容よっては、弊害が起こる場合も想定される。
【0056】
具体的には、図6に示すように、原稿画像が、新聞の写真のように、網点で構成されている場合である。
【0057】
図6において、主走査方向に同一の網点パターン(6個の黒丸の集まり)が2つ並んでいて、左側のパターンが光源ブロックLED_Aからの照明により読み取られ、右側のパターンが光源ブロックLED_Bからの照明により読み取られる。
【0058】
その場合、光源ブロックLED_Aのデューティ比(1蓄積時間でのON(発光)期間の割合)は約75%であり、光源ブロックLED_Bのデューティ比は約50%であり、網点画像を構成する各黒丸の主走査方向の位置に対応するCCD60を構成する各画素の受光素子がそれぞれ「見る」黒丸の見え方は、相当違ったものとなる。もし、原稿画像が一定以上の太さの文字や線画であれば、そのような問題は生じにくいが、網点画像は微細な点の集合として構成されるため、各光源ブロックに対応して網点画像を読み取って得られた各部分画像データが互いに違った印象の画像となってしまうような問題が生じ得る。
【0059】
そのため、各光源ブロックにおけるデューティ比は、網点原稿を考慮すれば、あまり小さすぎてもよくないし、また、各光源ブロックについてのデューティ比の相互のバラツキが一定幅以上であってもよくないということになる。
【0060】
また、画像処理のうち、MTF補正では、網点画像を読み取った場合に、その補正の効果が顕著にでやすい傾向があり、本実施の形態のように、各光源ブロックにおける点灯のデューティ比が異なるような場合には、光源点灯のデューティ比が小さいほど網点のビートが大きくなるため、デューティ比が小さい場合は、MTF補正を小さくするなどの適切な対応をとることが望ましい。
【0061】
本実施の形態では後述するように、白画像信号のレベルの平坦化ばかりを優先したのでは原稿が網点原稿である場合に弊害が生じ得ることを考慮して、適切に対応できるようにする。
【0062】
図7に、画像形成装置1のRAM4、パラメータメモリ5、及び、読取制御部6が備える設定情報記憶メモリ82における本発明に特徴的な記憶内容について示す。
【0063】
RAM4には、白基準画像データのための記憶領域4aと光源ブロック別情報設定テーブルのための作業用の記憶領域4bが確保されている。
【0064】
パラメータメモリ5に、予め、記憶領域5aに、白画像信号レベル目標範囲設定テーブル、記憶領域5bに、デューティ比制限値設定テーブル5b、記憶領域5cに、デューティ比/MTF補正用データ対応テーブルが設定・記憶されている。
【0065】
設定情報記憶メモリ82には、記憶領域82aに、シェーディング補正用データ、記憶領域82bに、光源ブロック別情報設定テーブルが記憶される。なお、記憶領域82aに記憶されるシェーディング補正用データは、CPU2が側での後述する調整作業における最終的な設定状態で白基準板51を読み取って記憶領域4aに一時記憶された白基準画像データが転送設定されるものである。また、記憶領域82bに記憶されるテーブルについても同様に、RAM4の記憶領域4bから転送設定されるものである(詳細後述)。
【0066】
図8(a)及び(b)に、それぞれ、記憶領域4a(82a)に記憶される白画像データ(シェーディング補正用データ)、及び、記憶領域4b(82b)に記憶される光源ブロック別情報設定テーブルの内容について示す。
【0067】
同図(a)において、白画像データ(シェーディング補正用データ)は、図5において既に説明したように、光源ブロックLED_Aに対応する部分画像データ、光源ブロックLED_Bに対応する部分画像データ、光源ブロックLED_Cに対応する部分画像データ、及び、光源ブロックLED_Dに対応する部分画像データの各部分画像データが直列に連結されて構成されるものである。白画像データに限らず、原稿画像を読み取って得られる画像データについても同様であることはいうまでもない。
【0068】
同図(b)において、光源ブロック別情報設定テーブルは、各光源ブロックに対応した「デューティ比」及び「MTF補正用データ」との対応付けにより構成されている。
【0069】
図9に、記憶領域5aの白画像信号レベル目標値設定テーブル、記憶領域5bのデューティ比制限値設定テーブル、及び、記憶領域5cのデューティ比/MTF補正用データ対応テーブルの内容について示す。
【0070】
それらの記憶内容は、後述する、CPU2における原稿画像読取処理手順において参照されるものである。また、それらの記憶内容は、書き換え可能なパラメータメモリ5に記憶されるため、より最適な値、または、ユーザの所望するところに応じた値に設定変更可能である。
【0071】
白画像信号レベル目標値設定テーブル5aは、白基準板51を読み取って得た白画像信号のレベルが収まるべき範囲(「上限」と「下限」)を示している。
図においては「上限」が83%、「下限」が77%と設定されている。その場合100%は、読取制御回路80のA/D変換機能において扱える最大入力電圧に相当する。「上限」は、100%に設定し得るものであるが、光源が明るすぎてA/D変換の最大入力電圧を超過している場合と区別できないため、「83」%に設定している。それにより、光源ユニット82を構成する各ブロックのデューティ比100%時の光量が必ずA/D変換の最大入力電圧以下になるように精度よく調整しないで、おおまかに多少明るめに設定しておいても、後述するデューティ比の調整により適応的に最適な光量に調整できる。
【0072】
デューティ比制限値設定テーブル5bは、網点原稿を考慮して、各光源ブロックについて設定されるデューティ比を制限するためのものであり、下限(Dmin:現設定50%)、及び、上限差(ΔD:現20%)により構成されている。現設定は、各光源ブロックについてのデューティ比は全て50%以上でなければならず、かつ、各光源ブロックについてのデューティ比間の差は20%以下でなければならないことを意味している。
【0073】
デューティ比/MTF補正用データ対応テーブルは、デューティ比30%以上100%までの1%刻みのデューティ比(で網点画像を読み取る場合)のそれぞれに対応する最適なMTF補正用データ(フィルタ係数群)の組み合わせにより構成されている。なお、MTF補正用データはデューティ比の関数として演算生成するようにしてもよい。
【0074】
次に、CPU2が、光源ブロック別光量設定手段として行う、原稿画像読取処理手順について、図10ないし図12を参照して説明する。
【0075】
先ず、図10において、先ず、操作表示部8を介して読取開始を指示する所定の操作入力があるかを監視し(判断S101のNoのループ)、読取開始操作があると(判断S101のYes)、読取制御回路80にシステムバス9を介して指示して、シェーディング補正データ82aをクリアさせる(処理S102)。シェーディング補正データ82aをクリアするということは、読取制御回路80におけるシェーディング補正処理を無効に設定して、無補正の白画像データを得ることができるようにすることである。
【0076】
そして、スキャンラインLsを待機位置(図1において白基準板51より左側)から白基準板51の位置まで読取制御回路80に指示して移動させる(処理S103)。
【0077】
そして、各光源ブロックのデューティ比を全て100%に設定して点灯を開始する(処理S104)。処理S104は、読取制御回路80に対して全光源ブロックについてデューティ比100%を設定すると共に、対応するMTF補正用データに無補正となるダミーのデータを設定した光源ブロック別情報設定テーブル4bを転送すると共にテーブル82bとして設定して点灯開始するよう指示することにより実現される。
【0078】
そして、1ライン分の画像データを読取制御回路80により読み取らせ、白基準画像データ4aとして取得する。
【0079】
その取得した白基準画像データは、図5の点線で示される波形に相当し、各光源ブロックにそれぞれ対応する各部分画像データの信号レベルのムラが大きい、そのムラのなかには、CCD60を構成する各受光素子の感度の隣接する画素間の微視的なバラツキの成分も含まれ、その微視的な成分についてはシェーディング補正でしか補正できないが、それ以外の成分、つまり、読取光学系での主走査方向の減衰ムラ、光源ユニット82の主走査方向の光量のムラ、及び、受光素子の感度の巨視的なムラに起因する成分については光源ユニット82の主走査方向の実質的な光量(1主走査ラインに相当する蓄積時間における点灯時間の割合:デューティ比)の調整により可能である。
【0080】
そこで、各光源ブロックに対応する読み取り領域の部分画像データのそれぞれについて、各画素(受光素子)からの信号レベルの平均値を算出する(処理S106)。その平均値のバラツキが、各光源ブロックにおける実質的な光量の調整により補正すべきバラツキである。
【0081】
そして、各光源ブロックについての最適デューティ比を概算してテーブル4bに記載テーブル82b転送・設定した上で、読取制御回路80に再度光源ユニット82を点灯させる(処理S107)。
【0082】
その場合の概算は、例えばブロックLED_Aにおける平均値が80%、LED_Bにおける平均値が90%、LED_Cにおける平均値が100%、LED_Dにおける平均値が95%である場合、デューティ比と白画像信号レベルとが比例する関係とすると(実際は比例するとは限らないがデューティ比と白画像信号レベルとの実際の関係は実験的に容易に知ることができる)、図9(a)に示したように、白画像信号レベルの目標値は、下限77%、上限83%であるため、その中間の80%を目標値として計算する。具体的には、LED_Aについては、ちょうど平均値が80%なのでデューティ比は100%のままにする。LED_Bについては平均値が90%なので、デューティ比は100*80/90=89%に変更する。LED_Cについては、平均値が100%なのでデューティ比は100*80/100=80%に変更する。LED_Dについては平均値が95%なので、100*80/95=84%に変更する。
【0083】
そのようにして概算されたデューティ比での点灯が開始された後(処理S107)、図11の処理201に移行して、1ライン分の色基準画像を読取・取得する(処理S201)。
【0084】
そして、その新たに取得した白基準画像データについて、図10の処理S106と同様に、各光源ブロックに対応する部分画像データのそれそれについて平均値を算出し(処理S202)、その平均値が全て目標範囲(77%以上83%以下)の場合には、デューティ比の設定が確定したことになるため、処理S205に移行するが(判断S203の)、目標範囲外の場合には(判断S203のNo)、目標範囲外のブロックについてのみデューティ比を微調整し、設定し、その設定したデューティ比での再点灯を開始して(処理204)、処理201に戻る。
【0085】
処理S204での微調整は、具体的には、平均値が上限83%を越えているブロックについてのデューティ比を−1%、平均値が下限77%を下回っているブロックについてのデューティ比を+1%する処理であり、その微調整の後、再度処理S201及び処理202を判断S203がYesになるまで行う。
【0086】
それにより、判断S203がYesとなったときのテーブル4bにおける各光源ブロックにおける設定デューティ比は、各ブロックの白画像信号レベルの平均値が、77%以上83%以下の目標範囲内に収まりような値に設定されたことになり、白画像信号のレベルは、図5の実線示した波形のように平坦化されたことになる。
【0087】
ここまでの処理は、白画像データの信号レベルの平坦化を優先した処理であるが、原稿が網点原稿である場合には前述したように、各光源ブロックでのデューティ比が小さすぎたり、差が有りすぎたりすると得られる画像データにおける画質に影響するため、デューティ比が図9(b)に示したDmin以下の光源ブロックの有無を確認し(処理S205)、ない場合には(判断S206のNo)、処理S208に移行するが、ある場合には(判断S206のYes)、該当するブロックについてデューティ比をDminに修正する(処理S207)。
【0088】
それにより、デューティ比がDmin以下になることが避けられるため、網点原稿読取り時の画質劣化を避けられる。もっとも、その場合、白画像データの信号レベルの平坦性がある程度損なわれるがやむを得ない。
【0089】
処理208では更に、デューティ比差、つまり、最大のデューティ比に設定されたブロックと、最小のデューティ比に設定されてブロックのデューティ比差が図9(b)に示した上限差ΔDを越えているか否かを確認し(処理208)、越えていない場合には(判断S209のNo)、処理S211に移行するが、越えている場合には(判断S209のYes)、ΔD以下になるまで、デューティ比が最小のブロックのデューティ比を大きくして、ΔD以下になるようにしてから(処理S210)、処理S211に移行する。もっとも、ΔD以下に調整する方法はそれに限らず、例えばΔDが20%で、デューティ比が最大のブロックのデューティ比が90%で、デューティ比が最小のブロックのデューティ比が60%の場合、それぞれ85%、及び、65%に変更して相互に歩み寄ることにより、調整するようにしてもよい。その過程で例えばデューティ比が63%の別のブロックがデューティ比最低のブロックとして現出したような場合には同様の調整を繰り返すことで、ΔDを越えないように調整できる。
【0090】
これにより、原稿が網点原稿である場合の画質劣化を未然に防止できる。なお、この網点原稿を考慮したデューティ比の調整は、白画像データの信号レベルの平坦性を損なうものであるため、通常の文字原稿や線画原稿のときには行わないようにするようにしてもよい。具体的には、操作表示部8に、原稿の内容を「文字または線画」、「網点画像」のいずれかに設定できるようにして、「網点画像」に設定された場合のみ、処理S205ないし処理S210を行うようにしてもよい。それにより、「文字または線画」原稿のときの画質を最良化できる。
【0091】
そして処理S211では、最終的に各光源ブロックについて設定したデューティ比(光量)での白基準板51を読み取って白基準画像データ4aとして取得し(処理S211)、図12の処理S301に移行して、その最後に読み取った白基準画像データ4aをシェーディング補正用データ82aとして設定すると共に(処理S301)、図9(c)に示したデューティ比/MTF補正用データ対応テーブルを参照して、テーブル4bにおいて最終的に設定した各光源ブロックにおけるデューティ比に応じたMTF補正用データをテーブル82bとして設定する(処理S302)。なお、この処理S302も、「網点画像」に設定された場合のみ行うようにできるものであり、「文字または線画」の場合には別パターンの補正用データを適用するようにしてもよい。
【0092】
それにより、白基準画像データが可能な限り平坦化されると共に、光源ブロックのデューティ比のばらつきに応じた最適な補正用データでのMTF補正が可能となる。
【0093】
そして、読取制御回路80に指示して原稿画像の読取りを開始し(処理S303)、読取制御回路80からシステムバス9を介して得られる1主走査ライン単位の画像データをRAM4に蓄積したり、解像度変換したり、符号化圧縮処理したりしつつ、画像データ出力部7により画像データを出力する(印刷出力、転送など)(処理S306)。
【0094】
処理S306は、原稿1ページ分の読み取りが完了するまで継続され(判断S305のNoのループ)、読み取りが完了すると(判断S305のYes)、光源ユニット82を消灯し(各光源ブロックについてのPWM信号のデューティ比を0にする)スキャンラインLsを待機位置まで戻して(処理307)、処理Sを終了する。
【0095】
なお、処理S304の読み取りでは、画像形成装置1が原稿自動給紙装置を備えていれば、複数ページの原稿を連続読み取りしてよい。
【0096】
また、処理S304の読み取りでは、読取制御回路80において、1主走査ライン単位でCCD基板70から得られる画像信号をA/D変化し、処理S301により設定されたシェーディング補正データ82aを参照してシェーディング補正し、更に、光源ブロック別情報設定テーブル82bを参照してMTF補正が行われる。その場合のMTF補正では、LED_AないしLED_Dの各光源ブロックに対応する主走査方向の部分画像データのそれぞれについて、テーブル82bに設定されたMTF補正用データが切り換え参照されて、デューティ比適応画像補正手段としての画像補正処理が行われる。
【0097】
図13に、図3に示した光源ユニット82における各光源ブロックの配置構成の変形例について示す。
【0098】
図13において、図3と異なる点の1つはLED_AないしLED_Eの5つの光源ブロックの主走査方向の直列配置により光源ユニット82が構成されている点にある。
【0099】
しかし、それは本質的な相違点ではなく、最大の相違点は、中心のLED_Cの両隣のLED_B及びDの「カソード」側が互いに接続されて共通のLED_BD駆動Drに接続されている点である。また、両端のLED_A及びEの「カソード」側が互いに接続されて共通のLED_AE駆動Drに接続されている点である。
【0100】
このように、物理的には、主走査方向にLED_AないしEの5つの光源ブロックが直列に接続される一方で、電気的にはLED_C、LED_AE、LED_BDの3つの光源ブロックのみで構成されることになる。
【0101】
これにより、ハーネス6aの本数を削減でき、また、駆動Dr回路の数も減らすことができる。
【0102】
その場合、LED_A及びLED_Eの2つの光源ブロックの光量(デューティ比)が、単一のPWM信号(LED_AE)により制御され、また、LED_B及びLED_Dの2つの光源ブロックの光量(デューティ比)が、単一のPWM信号(LED_BD)により制御されることになり、図14に示すように、独立してデューティ比を設定できない。
【0103】
しかし、それでも十分に白画像データの信号レベルの平坦化を図ることができる。それは、白画像データの信号レベルの主走査方向のムラは、ラインイメージセンサとしてCCDを用いた本実施の形態に係る画像処理装置1の場合、レンズ56によりCOS4乗則により左右対象に発生する主走査方向での透過光の減衰の程度の違いに起因する成分が、図15において一点鎖線の波形に示すように、支配的であるためである。
【0104】
逆に言えば、COS4乗則に起因する主走査方向に左右対象に発生する透過光の減衰の程度の違いは、装置毎に異なるCCD60における各受光素子の感度のバラツキなどとは違って、予め発生すること、及び、発生のしかたの傾向が分かっているものであるため、デューティ比100%時における各光源ブロックの最大出力光量を不均等にすることで予め相殺することができる。
【0105】
具体的には、図15に模式的に示すように、光源ブロックLED_AないしLED_Eを主走査方向に直列配置するばかりでなく、各ブロックを構成する発光ダイオード素子の配置密度を、COS4乗則による減衰の少ない中心部を担当するLED_Cについては、低く、減衰の多い両端部を点灯するLED_A及びLED_Eについては、高く、その中間のLED_B及びLED_Dについては、中程度の密度というように、不均等に配置する。
【0106】
各ブロックを構成する発光ダイオードをデューティ比100%において最大定格(例えば電流30mA)で駆動するとすると、単位面積当たりの配置個数が発光量の密度に相当することになる。デューティ比100%における駆動電流を可変することで、発光量の密度を主走査方向に可変することも可能であるが、その分必要な発光ダイオード素子の数は増加する。
【0107】
なお、特定の光源ブロック、例えば、LED_Eにおいて、発光ダイオード素子を主走査方向に均等配置するのではなく、端に行くほど配置密度が高くなるように配置してもよい。その場合、いっそうきめ細かく、COS4乗則要因の白画像信号レベルのムラを補正できる。
【0108】
また、光源ブロックを構成する発光ダイオード素子の主走査方向の配置密度の調整は、主走査方向で左右対象のムラの補正ばかりでなく主走査方向で左右非対称だが予め予測できる性質のムラの補正に対して有効であることはいうまでもない。ただしその場合、1つ1つの光源ブロックを個別に駆動する必要がある。
【0109】
また、そのような各光源ブロックにおける発光ダイオード素子の配置密度の工夫によりCOS4乗則要因の白画像信号レベルのムラを図15の点線で示す波形に示すように補正できることで、シェーディング補正板による物理的な補正は不要となり、その分装置の小型化、低コスト化が図れる。
【0110】
更に、図14及び図15の構成で、図10ないし図12の原稿読取処理手順を行うことで、各光源ブロックについての適応的な光量(デューティ比)調整を行い、図15の実線で示す波形に示すように、白画像データの信号レベルの更なる平坦化が可能なのは明らかである。ただし、その場合、デューティ比の調整対象が、LED_AないしLED_Dの4つからLED_C、LED_AE、LED_BDの3つに変更になる点が異なる。デューティ比の調整から見た光源ブロックが減ることで、制御も単純化される。
【0111】
また、LED_A及びLED_E、または、LED_B及びLED_Dにはそれぞれ共通のMTF補正用データが適用される一方、主走査方向に互いに離れて配置されているため、適用されるMTF補正用データの切り換えはその点を考慮する必要がある。
【0112】
なお、以上説明した実施の形態においては、各光源ブロックを多数の発光ダイオード素子の並列位置により構成したが、各光源ブロックを例えば面発光素子により構成してもよく、また、各光源ブロックの発光量の調節を駆動信号のデューティ比ではなく、供給電圧や電流のリニアな増減により行うようにしてもよい。
以上説明してきたような画像読取装置によれば、上記光源から上記原稿の読取面上のスキャンラインに上記光源から照射される光量の主走査方向の分布が上記白画像データの上記主走査方向の信号レベルが平坦になるように適応的に制御されるため、後段の画像処理でのシェーディング補正なしでも画像の濃度ムラをほぼ解消でき、後段の画像処理においてシェーディング補正を行う場合でも、画像情報の欠落を最小限に抑えることができるため、得られる画像データの画質の向上が可能となる効果が得られる。また、上記各光源ブロックにおける発光量は、必要にして十分な量に自動的に調整されるため、原稿照明に要する電力消費や発熱を必要最低限にすることが可能となる。
また、上記読取光学系における既知の減衰特性を相殺するようにすれば上記各光源ブロックの光量の調節幅が浪費されることがないため、当該調節幅を有効に活用して各光源ブロックにおける光量調節を余裕をもって行うことが可能となる効果が得られる。また、各光源ブロックの最大出力光量の設定により上記読取光学系における既知の減衰特性を相殺するようにすれば、その減衰特性の相殺のためのシェーディング板などの物理的な付加物が不要となるため、その分スペースの削減が可能となる。
また、上記ラインイメージセンサとしてCCDを用い上記読取光学系としてレンズを含む縮小光学系を適用した場合レンズのCOS4乗則により主走査方向の左右両端に近いほど左右対称に減衰量が増す特性の場合に、ほぼ左右対称の位置にある2つの光源ブロックを1つの光源ブロックとして駆動するようにすれば、駆動回路や配線を簡略化でき、また、シェーディング板などの物理的な付加物による補正が不要となるため、その分スペースの削減が可能となる。
また、出力光量に比較して電力消費の少ない発光ダイオード素子の並列配列により上記各光源ブロックが構成されようにすれば、原稿照明に係る発熱や電力消費の低減をいっそう図ることが可能となる。
また、デューティ比を変化させるいわゆるPWM制御により、上記各光源ブロックの光量が個別設定できるようにすれば、余分の発熱なしに光量調節を行うことが可能となる。
また、原稿の内容が網点画像である場合もあり得ることに鑑みて、所定の下限値以下のデューティ比になってしまう光源ブロックがないようにすれば、網点画像を読み取って得られる画像データにおける各光源ブロックにおける設定デューティ比の違いに起因する主走査方向での網点出力のビートの変化が極端に異なってしまうことを制限でき、画質劣化防止を図ることが可能となる。
また、原稿の内容が網点画像である場合もあり得ることに鑑みて、所定の上限差以上に各光源ブロックにおけるデューティ比の設定値の差がなってしまうことがないうようにすれば、網点画像を読み取って得られる画像データにおける各光源ブロックにおける設定デューティ比の違いに起因する主走査方向での網点出力のビートの変化の異なりを一定程度以下に制限でき、画質劣化防止を図ることが可能となる。
また、得られた画像データに対してMTF補正処理Sなどの画像処理を行う場合に、各光源ブロックについて設定されたデューティ比で点灯駆動された光源による照明により読み取られた各部分画像データについて各デューティ比に最適な補正を行うようにすれば、主走査方向の各光源ブロックにおける点灯駆動のデューティ比が互いに異なることに起因する画質劣化を防止でき高画質を維持することが可能となる。
【0113】
【発明の効果】
以上説明した本発明の画像読取装置によれば、原稿画像を主走査方向に一様な感度で読み取ることができ、原稿照明のために要する電力消費及び発熱を必要最低限にでき、また、原稿が網点原稿である場合の画質劣化を未然に防止でき高い画質を維持できるという効果を得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像処理装置のスキャナ機構について示す模式断面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る画像形成装置のブロック構成について示す図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の、読取制御部とそれにハーネスを介して接続される光源ユニット及びCCD基板などについて示す図である。
【図4】図3に示す構成の光源ユニットを構成する各光源ブロックを点灯駆動するPWM信号について示す図である。
【図5】図3に示す構成の光源ユニットから白基準板に照射された反射光を読み取って得られる白基準画像データの信号レベル例について示す図である。
【図6】網点原稿を読み取る場合の光源の点灯駆動のデューティ比の違いによる読み取られ方の違いについて説明するための図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る画像形成装置のRAM、パラメータメモリ、及び、設定情報記憶メモリの記憶内容について示す図である。
【図8】白画像データ(シェーディング補正用データ)及び光源ブロック別情報設定テーブルの内容について示す図である。
【図9】白画像信号レベル目標値設定テーブル、デューティ比制限値設定テーブル、及び、デューティ比/MTF補正用データ対応テーブルの内容について示す図である。
【図10】本発明の実施の形態に係る画像形成装置における原稿画像読取処理手順について示すフローチャートである。
【図11】図10と共に、本発明の実施の形態に係る画像形成装置における原稿画像読取処理手順について示すフローチャートである。
【図12】図10及び図11と共に、本発明の実施の形態に係る画像形成装置における原稿画像読取処理手順について示すフローチャートである。
【図13】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の、読取制御部とそれにハーネスを介して接続される光源ユニット及びCCD基板などについて示す、図3の構成の変形例である。
【図14】図13に示す構成の光源ユニットを構成する各光源ブロックを点灯駆動するPWM信号について示す図である。
【図15】図13に示す構成の光源ユニットから白基準板に照射された反射光を読み取って得られる白基準画像データの信号レベル例について示す図である。
【符号の説明】
1 画像形成装置
6 読取制御部
52 光源ユニット
60 CCD
Claims (5)
- 原稿の読取面上における現在の読取り位置である主走査方向のスキャンラインを副走査方向に移動させる一方、前記読取面上のスキャンラインを主走査方向全体に渡って照明する光源を備え、その光源から照射され前記読取面上のスキャンラインで反射した光をラインイメージセンサにより光電変換して前記原稿の読取り面に対応した画像データを得る画像読取装置において、
前記光源を複数の光源ブロックが前記主走査方向に複数配列されたものとして構成する一方、
前記各光源ブロックのそれぞれについてそれぞれの最大出力光量以下であって設定された光量で点灯駆動する光源ブロック個別駆動手段と、
原稿読取開始に先立って、白基準板を前記ラインイメージセンサにより読み取って得られる白画像データの前記主走査方向の信号レベルがほぼ一定となるよう前記光源ブロック個別駆動手段に対して前記各光源ブロックの光量を適応的に設定する光源ブロック別光量設定手段とを備え、
前記各光源ブロックの光量の設定及び駆動は所定の駆動周期における発光期間の割合であるデューティ比を変化させることにより行われ、
網点原稿を読み取る場合には、前記光源ブロック別光量設定手段は、前記白基準板を前記ラインイメージセンサにより読み取って得られる白画像データの主走査方向の信号レベルがほぼ一定となるよう前記各光源ブロックの光量をデューティ比の設定により適応的に設定する際に、デューティ比の設定値が所定の下限値以下になってしまう場合にはその下限デューティ比以下への設定は行わず、更に前記各光源ブロックのそれぞれについてのデューティ比の設定値の最大値と最小値との差が所定の上限差を越えてしまう場合には、前記各光源ブロックのそれぞれについてのデューティ比の設定値の差が前記上限差以下になる範囲内で前記各光源ブロックのそれぞれについてのデューティ比を設定することを特徴とする画像読取装置。 - 前記光源を構成する前記各光源ブロックのそれぞれについての前記最大出力光量は、前記原稿のスキャンラインからの反射光が前記イメージセンサに入射するまでに通過する読取光学系における主走査方向の既知の減衰特性をほぼ相殺する量に設定されることを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
- 前記光源を構成する前記各光源ブロックのそれぞれについての前記最大出力光量は、前記原稿のスキャンラインからの反射光が前記イメージセンサに入射するまでに通過する読取光学系における主走査方向においてほぼ左右対称な既知の減衰特性をほぼ相殺する量に設定される一方、
前記光源ブロック個別駆動手段は、前記各光源ブロックのうちの前記主走査方向においてほぼ左右対称の位置にある2つの光源ブロックを1つの光源ブロックとして点灯駆動することを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。 - 前記各光源ブロックは、複数の発光ダイオード素子の主走査方向への並列配列により構成されることを特徴とする請求項1、2または3のいずれかに記載の画像読取装置。
- 前記ラインイメージセンサから得られる原稿画像データに対して所定の画像補正処理を行う場合に、前記主走査方向において前記各光源ブロックのそれぞれに対応する各部分画像データのそれぞれについて、前記各光源ブロックのそれぞれについて前記光源ブロック別光量設定手段により設定されたそれぞれのデューティ比に適した補正を行うデューティ比適応画像補正手段を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
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