JP4367725B2 - 結晶体の2値制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、結晶体の2値制御装置に関し、特に、安定した2値制御の達成に有効な結晶体の2値制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
チョクラルスキー法に代表される単結晶の引き上げ製造法においては、製造された結晶体の直径と該結晶体を引き上げた速度の履歴が結晶体の品質を決める上での重要なパラメータとなる。
【0003】
従って、従来から、直径と引き上げ速度の双方を所望の値に収束させるCZ法の開発が進められており、既に実施化されているものも幾つか見られる。これらの開発された諸技術は、それぞれ特有の興味深い特徴を有し、特有の効果を達成している。以下、これらの代表的な特徴を説明する。
【0004】
第1の技術は、メルト加熱用のヒーターの温度のみを変化させて、結晶体の成長直径を制御する技術である。ヒーターの温度を変化させる理由は、引き上げ結晶体とメルトの界面から放出される熱量と、該界面近傍に流入する熱量との差(以下、「不足熱量」という)を制御するためである。即ち、不足熱量は、結晶体が単位時間当たりに固化する重量(以下、「固化重量」という)を決定する凝固潜熱と密接に関連し、この不足熱量が増加すると、結晶体の重量が所望の値よりも重くなる。その結果、結晶体の成長直径は、該重量の増加に対応して大きくなる。従って、ヒーターの温度を上げて、不足熱量を減少させれば、結晶体の成長直径を所望の値に収束させることができる。
【0005】
当該技術では、引き上げ速度を所望の値に固定することができるため、制御対象が1つでよく、結晶体をゆっくりと引き上げる製造装置では、比較的安定しやすい構成である。以下、この第1の技術が行うような不足熱量に着目した制御系を「温度制御系」という。
【0006】
第2の技術は、結晶体の成長直径を引き上げ速度の調節で制御し、その結果、所望の値からずれた引き上げ速度の偏差に基づいて、ヒーターの温度を変化させる技術である。当該技術では、直径の変化に追従して引き上げ速度が即変化するため、前記第1の技術に比べて応答が速いことを特徴とする。以下、このような引き上げ速度の変化によって直径を制御する制御系を「速度制御系」という。この第2の技術を詳細に記載した文献としては、特公昭52−48111号公報および特公平7−55878号公報がある。
【0007】
第3の技術は、結晶体の成長直径を引き上げ速度で調節する一方、引き上げ開始から終了に至るまでのヒーター温度の理想パターンを導出し、該導出した理想パターンに基づいて、不足熱量を制御する技術である。当該技術では、速度制御系と温度制御系とを独立に構成することができるため、それぞれの制御系に適した設計が可能である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、第1の技術では、ヒーター温度の変化という遅れ要素の多い制御手段を用いているため、直径の変動に対する応答が遅れる。従って、この技術は、結晶体の引き上げ速度が極めて遅く、結晶体の製造に数日間を費やすガリウム・ヒ素等の製造には適しているが、引き上げ速度が速いシリコン等の製造には適していない。
【0009】
一方、第2の技術は、現在主流となっている技術であり、この技術によれば、引き上げ速度の変化によって、結晶体の成長直径が好適に制御される。これは、引き上げ速度の変化に対する直径の応答がヒーター温度の変化に対する直径の応答に比べて、むだ時間や1次遅れの時定数が小さいため、引き上げ速度の操作が即、直径の収束動作に反映されるからである。
【0010】
この第2の技術の速度制御系は、光学式の場合、「比例項+積分項+微分項」で構成され、重量式の場合、「比例項+微分項」で構成される。ここで、光学式の積分項と重量式に比例項は、いずれも結晶体の直径変動の履歴に応答する要素であり、該速度制御系は、熱的環境が一定の場合に、目標値に対する定常偏差を0に収束させる一形の伝達関数(伝達関数の形の定義については後述する)で表現される。従って、制御目標である結晶体の直径は、引き上げ速度の変化によって、定常偏差なく目標値に収束する。
【0011】
しかし、直径の制御に引き上げ速度を変化させた結果、該引き上げ速度は、その目標値との間に偏差を生じる。即ち、直径は目標値に収束するが、引き上げ速度が目標値からずれるため、2値制御が達成されないことになる。これは、引き上げ速度を変化させても、ヒーター温度とルツボの位置によって決まる不足熱量には影響しないため、結晶体の固化重量は、依然目標値からずれたままだからである。
【0012】
換言すると、引き上げ速度は、固化重量を結晶体の断面積と引き上げ長さの2成分に分配する機能は有するが、固化重量を目標値に収束させる機能はなく、実際の固化重量が所望の直径と引き上げ速度を維持できる理想の値からずれている場合には、この引き上げ速度が偏差を持つことになるからである。
【0013】
一般の引き上げ装置では、引き上げと同時にルツボを上昇させて、メルトの液位を一定にする液位一定制御が行われる。従って、不足熱量は、該ルツボの上昇によって常に変動するため、上記理想の値は維持できないことになる。これは、引き上げ速度が不足熱量の変動に追従して偏差を持つことを意味する。ここで、ルツボの位置は、結晶体の品質を決定する重要なパラメータであるため、結晶体の直径および引き上げ速度の制御手段としては使用できない。
【0014】
そこで、上記従来技術では、温度制御系を速度制御系にカスケード接続して、結晶体の直径を収束させることによって発生した引き上げ速度の偏差をなくす構成を採用している。このカスケード制御系は、引き上げ速度の偏差を温度制御系に入力し、該温度制御系でPID演算を行って、ヒーターの温度を制御するものである。
【0015】
しかし、上記カスケード制御には、ヒーターの温度制御を行ったにもかかわらず、引き上げ速度が依然として誤差を有するという問題がある。後に詳細に説明するが、液位一定制御の引き上げにおいて、不足熱量を一定にするための理想的なヒーターの温度パターンは、一次以上の関数となる。そして、一般的な制御理論に従えば、目標値が一次関数(ランプ)の場合、一形制御系では、定常偏差を持ち、二形制御系では、定常偏差がなくなると考えられる。
【0016】
特公昭52−48111号公報に記載されたカスケード制御では、重量偏差をPD演算アンプとPID演算アンプのカスケードに入力し、その出力をヒーター温度の操作量として与えている。従って、当該カスケード制御は、一形制御系を構成するため、重量偏差が定常偏差を持つことになる。
【0017】
ここで、重量偏差が定常偏差を持っても、重量偏差が一定であれば、結晶体の直径は、定常偏差を持たない。しかし、上記従来技術では、重量偏差の「比例要素+微分要素」を引き上げ速度の操作量としている為に、この比例要素が引き上げ速度に定常偏差を生じさせ、2値制御の負の要因となっていると思われる。
【0018】
他方、別のカスケード制御を開示する特公平7ー55878号では、直径偏差を2段のPID演算アンプで構成した速度制御系と温度制御系のカスケード接続に入力し、この出力をヒーター温度の操作量として与えている。従って、当該制御系は、直径偏差に対しては、二形制御系を構成するため、結晶体の直径は、定常偏差を持たないと考えられるが、この制御系は、引き上げ速度の偏差を持つことが本発明者の実験によって確認されている。
【0019】
温度制御系の伝達関数が一形である上記カスケード制御によって、ヒーター温度の操作量を理想的なヒーター温度パターン、例えば、一次関数に合わせるためには、引き上げ速度が常に定常偏差を持つことがわかる。これが引き上げ速度が目標値からずれて定常偏差を持つ理由と考えられる。当該構成では、速度制御系の積分要素が2値制御の負の要因と思われる。
【0020】
上記問題を解決するために、温度制御系に積分要素(遅れ要素)を2〜3段設けて、引き上げ速度を目標値に収束させる技術も考えられているが、このように、温度制御系に多段の遅れ要素を設けると、ハンチング(制御不安定)が生じやすいという問題がある。
【0021】
加えて、この第2の技術では、温度制御系が速度制御系に依存する構成、即ち、温度制御系と速度制御系とがカスケード接続されるため、それぞれに最適な制御系を構成することが困難である。つまり、温度制御系に適した伝達関数と速度制御系に適した伝達関数とは、互いに異なっており、温度制御系を速度制御系の従属構成とすると、温度制御系の設計自由度が速度制御系の構成に拘束されるからである。
【0022】
一方、第3の技術では、不足熱量の制御が所定の理想パターンに依存するため、環境変化に弱いという欠点がある。即ち、結晶体周辺の熱環境は、装置ごとに異なり、該各装置の理想パターンが予め導出したパターンからずれる場合が多い。このため、ある装置で好適な結果が得られた理想パターンであっても、他の装置では使用できない場合が多く、実用化が困難であった。
【0023】
また、理想パターンの導出には、多くの時間を要するため、装置ごとに理想パターンを作成することも困難であり、たとえ、作成したとしても引き上げ時の炉内部品のセッティング、ヒーターおよび黒鉛ルツボの経時変化、水温、気温等に左右され、やはり、理想パターンからずれることになる。
【0024】
結晶体の引き上げ速度は、結晶体の直径やホットゾーンのサイズごとに異なるだけでなく、製造する品種によっても異なるため、これらの要素の掛け算分の理想パターンが必要である。さらに、上記経時変化は、理想パターンのマイナーチェンジを必要とし、使用者に理想パターンの度重なる導出を強要する。
【0025】
上記のような理想パターンからのずれは、不足熱量が理想値からずれる原因となり、不足熱量のずれは、結晶体の成長直径に影響を与える。結晶体の成長直径が目標値からずれると、当該第3の技術に係る速度制御系は、結晶体の成長直径を目標値に収束させるべく、引き上げ速度を変化させる。その結果、結晶体の直径は、目標値に収束するが、引き上げ速度が目標値からずれ、前述した第2の技術と同様に、直径と速度の2値制御が達成できなくなる。
【0026】
直径制御パラメータ(一般的には、結晶体の直径と重量)の相違に関係なく、統一した概念で上記問題点を整理すると、次のようになる。
【0027】
まず、結晶体の2値制御は、直径と引き上げ速度の制御であり、状態変数(例えば、ヒーター温度やルツボ位置)の変化に応じて、固化重量を一定にするヒーター温度の理想パターンは、一次以上の関数である。
【0028】
従って、直径と引き上げ速度に定常偏差を持たせないためには、直径に作用する伝達関数と、引き上げ速度に作用する伝達関数が二形以上であることが必要と考える。
【0029】
ただし、重量偏差信号は、それ自体に直径の積分要素を有するため、直径制御に関しては、重量偏差信号に対して一形制御系を構成すれば、直径要素に対して二形制御系を構成すると考えられる。前述した従来の制御系は、直径または直径要素に対して、二形の制御系を構成しており、直径の定常偏差をなくす機能を有する。
【0030】
しかし、引き上げ速度から見た伝達関数が一形の制御系であり、二形の制御系を構成していない。従って、引き上げ速度にずれが生じ、引き上げ速度に定常偏差を持つという従来技術に共通の第1の問題点が発生すると考えられる。
【0031】
さらに、上記従来の制御系は、速度制御系の伝達関数に直径成分に対する積分要素を有し、引き上げ速度で直径を制御する第1の定値制御PIDを持つ。そして、該第1の定値制御PIDの操作量に基づいて、ヒーター温度を操作し、引き上げ速度を制御する第2の定値制御PIDが該第1の定値制御PIDにカスケード接続される。このため、2つのPIDが干渉してハンチングする第2の問題点が発生すると考えられる。
【0032】
一方、一部の装置では、前記第2の定値制御PIDの前段または後段に積分要素を持つ制御機能を追加して、引き上げ速度から見た伝達関数が二形となる制御系を構成するものがある。しかし、当該構成では、直径から見た伝達関数が三形となり、積分要素による遅れが生じる。このため、制御系が不安定となって、ハンチングする第3の問題点が発生すると考えられる。
【0033】
そこで、本発明は、安定した2値制御の達成に有効な結晶体の2値制御装置を提供することを目的とする。
【0034】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、結晶体(10)の引き上げ速度、即ち、シード上昇速度(SL)の操作量を生成するシード上昇速度操作量生成手段(M10)と、該結晶体(10)周辺の温度を操作する量、即ち、温度操作量(TC)を生成する温度操作量生成手段(M12)とを具備し、該結晶体(10)の成長直径、即ち、結晶成長直径(GD)および前記シード上昇速度(SL)をそれぞれの目標値に収束させる結晶体の2値制御装置において、前記結晶成長直径(GD)の制御に寄与するパラメータ、即ち、直径制御パラメータ(CP)を検出する直径制御パラメータ検出手段(M14)と、前記直径制御パラメータ検出手段(M14)が検出した直径制御パラメータ(CP)と該直径制御パラメータ(CP)の目標値との差をとって偏差信号(DEV)を生成する偏差信号生成手段(M16)とを具備し、前記シード上昇速度操作量生成手段(M10)は、前記偏差信号生成手段(M16)が生成した偏差信号(DEV)に基づいて、前記シード上昇速度(SL)の操作量、即ち、シード上昇速度操作量(SLC)を生成し、前記温度操作量生成手段(M12)は、前記偏差信号生成手段(M16)が生成した偏差信号(DEV)に基づいて、前記温度操作量(TC)を生成することを特徴とする。
【0035】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記シード上昇速度操作量生成手段(M10)は、前記結晶成長直径(GD)の変動履歴に応答する要素を含まない伝達関数で表現され、前記偏差信号(DEV)の変動に応じた信号を前記シード上昇速度操作量(SLC)として出力し、前記温度操作量生成手段(M12)は、積分要素を含む伝達関数で表現され、前記偏差信号(DEV)の履歴に応じた信号を前記温度操作量(TC)として出力することを特徴とする。
【0036】
また、請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明において、前記直径制御パラメータ(CP)は、前記結晶体(10)が成長した重量、即ち、結晶成長重量(GW)であり、前記シード上昇速度操作量生成手段(M10)は、微分要素を含む伝達関数で表現され、前記温度操作量生成手段(M12)は、積分要素を含む伝達関数1段で表現されることを特徴とする。
【0037】
また、請求項4記載の発明は、請求項2記載の発明において、前記直径制御パラメータ(CP)は、前記結晶成長直径(GD)であり、前記シード上昇速度操作量生成手段(M10)は、比例要素を含む伝達関数で表現され、前記温度操作量生成手段(M12)は、積分要素を含む伝達関数2段で表現されることを特徴とする。
【0038】
また、請求項5記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記シード上昇速度操作量生成手段(M10)の伝達関数と前記温度操作量生成手段(M12)の伝達関数との比が二形以上の制御系を構成することを特徴とする。
【0039】
また、請求項6記載の発明は、請求項5記載の発明において、前記シード上昇速度操作量生成手段(M10)は、前記直径制御パラメータ(CP)の直径成分に対する比例要素、微分要素およびこれらの組み合わせから選択して構成され、不足熱量に対する固化重量を結晶体(10)の断面積と該結晶体(10)の引き上げ長さの2成分に分配することを特徴とする。
【0040】
また、請求項7記載の発明は、請求項5記載の発明において、前記直径制御パラメータ(CP)は、前記結晶体(10)が成長した重量、即ち、結晶成長重量(GW)であり、前記シード上昇速度操作量生成手段(M10)は、微分要素を含む伝達関数で表現され、前記温度操作量生成手段(M12)は、積分要素を含む伝達関数1段で表現されることを特徴とする。
【0041】
また、請求項8記載の発明は、請求項5記載の発明において、前記直径制御パラメータ(CP)は、前記結晶成長直径(GD)であり、前記シード上昇速度操作量生成手段(M10)は、比例要素を含む伝達関数で表現され、前記温度操作量生成手段(M12)は、積分要素を含む伝達関数2段で表現されることを特徴とする。
【0042】
【発明の実施の形態】
(発明の概要)
本発明の特徴は、偏差信号DEVに基づいて、シード上昇速度操作量SLCと温度操作量TCをそれぞれ独立に生成することにある。即ち、シード上昇速度SLの変化による結晶成長直径GDの迅速な収束と、ヒーター温度の変化による不足熱量の変動抑制をそれぞれ独立して行う。これにより、シード上昇速度SLは、結晶成長直径GDの収束に作用し、温度操作量TCは、不足熱量の変動を抑制して、結晶成長直径GDの収束作用によって変化したシード上昇速度SLを収束させる。その結果、結晶成長直径GDとシード上昇速度SLの2値制御が好適に達成される(図3参照)。
【0043】
(発明プロセス)
本発明者は、以下に示すプロセスを通して、上記従来の課題を解決し得る本発明を完成させるに至った。
【0044】
まず、結晶体の成長直径(以下、「結晶成長直径GD」という)の変動に影響を与える要因としては、結晶体の引き上げ速度(以下、「シード上昇速度SL」という)と、不足熱量が考えられる。ここで、シード上昇速度SLは、種結晶(以下、「シード」という)を上昇させる移動機構に依存するパラメータであり、比較的変動しにくいパラメータである。
【0045】
これに対し、不足熱量は、ルツボとヒーターとの距離、ホットゾーン部品の設置状態および劣化、該ホットゾーン部品を冷却する冷却水の水温変化等によって変化し、シード上昇速度SLに比べて変動しやすいパラメータである。
【0046】
そこで、結晶成長直径GDの変動の主な原因は、不足熱量の変動であると仮定し、結晶成長直径GDの変動に応じて不足熱量を制御する構成を採用した。
【0047】
しかし、不足熱量の制御には、ヒーター温度の変化という遅れ要素の多い制御手段が用いられるため、この構成のみでは、結晶成長直径GDの変動に対する応答速度が遅くなる。
【0048】
そこで、結晶成長直径GDの変動に対する応答速度を速くする手段として、結晶成長直径GDの変動に応じてシード上昇速度SLを変化させる構成を採用した。ただし、結晶体の2値制御においては、シード上昇速度SLを所定の目標値に収束させる必要があることにも留意しなければならない。即ち、結晶体の2値制御では、結晶成長直径GDとシード上昇速度SLの双方を所望の目標値に収束させることが重要である。
【0049】
ここで、上記思考プロセスを逆行し、シード上昇速度SLが目標値からずれる原因を再度考えてみると、このずれは、結晶成長直径GDの変動を抑えるための該シード上昇速度SLの変化であることがわかる。さらに、この思考プロセスを逆行すると、結晶成長直径GDの変動は、不足熱量の変動が原因であることがわかる。
【0050】
従って、不足熱量の変動を解消すれば、結晶成長直径GDが目標値に収束し、その結果、シード上昇速度SLも目標値に収束することが予想できる。換言すると、結晶成長直径GDが目標値と一致しているときは、シード上昇速度SLも目標値と一致していることになる。即ち、結晶体の2値制御が達成される。
【0051】
このように、結晶成長直径GDの変動に応じて、シード上昇速度SLと不足熱量をそれぞれ独立に変化させれば、結晶成長直径GDとシード上昇速度SLの双方を所望の値に収束させることが可能になる。
【0052】
次に、本発明者は、シード上昇速度SLをどのように変化させるかについて検討し、次のような結論を得た。即ち、シード上昇速度SLは、2値制御の制御目標であるため、シード上昇速度SLの操作量(以下、「シード上昇速度操作量SLC」という)が発散方向に働く要素を当該操作量の生成ブロックに含めることは好ましくない。発散方向に働く要素として考えられるのは、過去の変動履歴に応答する要素、即ち、直径偏差の積分要素と、重量偏差の比例要素および積分要素である。
【0053】
従って、シード上昇速度操作量SLCの生成ブロックは、微分要素と比例要素を用いて構成することが好適である。この微分要素と比例要素の好適な組み込み方は、重量式と光学式で若干異なり、具体的な構成については、後の説明で明らかにする。
【0054】
続いて、本発明者は、不足熱量をどのように変化させるかについて検討し、次のような結論を得た。即ち、不足熱量が変動する主な原因は、ルツボの上昇であり、ルツボが上昇すると、該上昇した分だけヒーターとの距離が離れて、メルトへの供給熱量が減少するとともに、ルツボおよびメルトからの放出熱が増加するのである。
【0055】
従って、不足熱量の変動を押さえるには、ルツボが上昇した分だけヒーターの温度を上昇させる必要がある。前述したヒーター温度の理想パターンは、このような観点から導出され、不足熱量の制御に寄与し得る。しかし、前述したように、理想パターンのみでは、環境変化に左右されやすいため、理想パターンのみに依存しない構成が好適である。
【0056】
そこで、本発明者は、理想パターンに代わる構成を見出すべく、まず、理想パターンの導出方法を詳細に検討した。その結果を以下に示す。尚、以下の説明において、結晶体の育成は、液位一定の条件で行い、結晶体育成中のルツボの温度は一定とする。
【0057】
図1は、一般的な引き上げ装置におけるヒーターとルツボの位置関係を示す断面図である。同図に示すように、メルト12を収容したルツボ14の周りには、該メルト12に熱を供給するヒーター16が配設される。そして、このような系においては、ヒーター16からメルト12に向かって、QINの熱量が供給され、結晶体10、メルト12およびルツボ14からQOUTの熱量が放出される。
【0058】
ルツボ14の高さをL、ヒーター16の上面からルツボ14の上面までの高さをxとすると、ヒーター16とルツボ14の間の熱抵抗は、
ここで:KIN=供給側比例定数;
上式で表すことができる。
【0059】
また、ルツボ14と該ルツボ14周辺雰囲気との間の熱抵抗は、
ここで:KOUT=放出側比例定数;
上式で表すことができる。
【0060】
従って、供給側と放出側の熱伝導性(コンダクタンス)は、それぞれ、
上記のようになる。
【0061】
従って、ヒーター16の温度をTH、ルツボ14の温度をTCとすると、ヒーター16からルツボ14に供給される熱量QINと、ルツボ14から放出される熱量QOUTは、それぞれ、
上記のようになる。
【0062】
そして、不足熱量は、
上式で定義される。
【0063】
次に、ルツボ14が上昇したときの熱量変化を考える。即ち、xがΔxだけ変化したときのQINおよびQOUTの変化量ΔQINおよびΔQOUTは、
上式で表すことができる。
【0064】
ここで、QINおよびQOUTがΔQINおよびΔQOUTだけ変化すると、不足熱量が変動する。従って、この変動分をヒーター16の温度で押さえるには、
上記の方程式を満たす必要がある。
【0065】
続いて、式10から式7を引いて、上記方程式を展開すると、
上式のようになる。
【0066】
この式に式3、式8、式9を代入すると、
となり、これをさらに展開して、
上式を得る。
【0067】
そして、この式を積分して、
ここで:C=積分定数;
上式を得る。
【0068】
さらに、この式を展開して、
上式を得る。
【0069】
そして、x=0のときのTHをT0として、上式中のCを解くと、
上記のようになる。
【0070】
そして、この式を式15に代入して、
ヒーター温度の理想パターンを示す上式を得る。
【0071】
図2は、式17で表現されるヒーター温度の理想パターンを図示するグラフである。同図に示すように、ヒーター温度の理想パターンは、ルツボ14の上昇に対してある関数をもって上昇する曲線となる。
【0072】
ここで、同図に示す−0.2L〜0.4Lまでの範囲が引き上げ領域の一般的な範囲である。従って、ヒーター温度を変化させる範囲は、−0.2L〜0.4Lまでの範囲でよい。よって、ヒーター温度の理想パターンは、
上記一次関数の集合で近似可能、即ち、線形区分近似が可能であることがわかる。
【0073】
そこで、本発明者は、上記線形区分近似可能な温度パターンがフィードバック制御系で生成可能であると考え、これを実現する構成を模索した。その課程を以下に示す。
【0074】
まず、前述したように、本発明では、結晶成長直径GDの変動に応じて不足熱量を制御する構成を採用するため、温度制御系の入力は、結晶成長直径GDの変動量に対応した信号(以下、「偏差信号DEV」という)となる。
【0075】
前述したように、結晶成長直径GD変動の主な原因は、不足熱量の変動であり、不足熱量の変動の主な原因は、ルツボの上昇である。従って、ルツボが上昇するたびに、上記偏差信号DEVが正の値を持つことになる。
【0076】
そこで、本発明者は、この偏差信号DEVの正の値を変動履歴として積算すれば、前記温度パターンが生成可能であると考え、多くのシミュレーションと実験を通じて、偏差信号DEVの積分値が前記温度パターンとして有効に機能することを明らかにした。このように、偏差信号DEVから生成された温度パターンは、引き上げ環境の変化を吸収し、多彩な環境下におけるそれぞれの理想パターンに自己整合する。
【0077】
直径制御パラメータ(一般的には、結晶体の直径と重量)の相違に関係なく、統一した概念で本発明の制御概念を説明すると、次のようになる。
【0078】
第1は、直径から見た伝達関数が二形の制御系を構成することである。第2は、引き上げ速度から見た伝達関数が二形の制御系を構成することである。
【0079】
第3は、不足熱量を制御して固化重量を目的の重量に合わせる機能は、温度制御系に持たせて、該温度制御系を不足熱量の制御に最適な態様で構成することである。換言すると、引き上げ速度の制御には、固化重量を結晶体の面積と引き上げ長さに分配する機能を持たせて、直径成分に対する積分要素を含まない構成とする。このような構成を実現するために、本発明では、直径制御パラメーターの偏差を速度制御系と温度制御系に並列入力する。
【0080】
第4は、上記第1乃至第3の概念において、積分要素を最少の段数で構成し、制御系の最も安定した状態を得ることである。
【0081】
本発明は、上記観点から構成された発明であり、結晶体2値制御の発展に寄与する技術を提供する。
【0082】
(第1の形態)
本形態は、偏差信号DEVの並列入力に関する構成を例示する。
【0083】
図3は、本発明の第1の形態に係る2値制御装置の構成を示す概念図である。以下、同図に基づいて、本発明の第1の形態の構成を説明する。
【0084】
結晶体10は、本発明によって製造される目的物であり、単結晶シリコンやその他、引き上げによって製造される各種結晶体が該当する。本発明では、この結晶体10の結晶成長直径GDと、該結晶体10を成長させる際のシード上昇速度SLとを所望の値に収束させる。
【0085】
メルト12は、結晶体10の原料を溶融させた原料融液であり、単結晶シリコンを製造する場合には、多結晶シリコンを溶融してこのメルト12を生成する。
【0086】
ルツボ14は、メルト12を収容する容器であり、単結晶シリコンの製造では、黒鉛るつぼの内側に石英るつぼを積層して形成されたものが一般に使用される。このルツボ14は、メルト12の液位を一定にするために、結晶体10の固化量に応じて上昇する。
【0087】
ヒーター16は、ルツボ14の外周に配設され、外部からの制御信号に従って、メルト12への供給熱量を制御する。この制御の概要を簡単に説明すると、次のようになる。即ち、ルツボ14の上昇によって、ヒーター16とルツボ14の間の距離が大きくなると、メルト12に対する供給熱量が少なくなり、不足熱量が大きくなる。その結果、結晶体10が固化しやすくなって、結晶成長直径GDが変動する。この変動を解消するために、ヒーター16の温度を上昇させて、不足熱量を所定の値に収束させる。
【0088】
シード18は、結晶体10の種となる結晶であり、結晶体10を成長させる際には、まず、このシード18をメルト12の表面に浸漬し、該浸漬したシード18を静かに回転させながら上方に引き上げる。いわゆるネッキングによる無転位化を行う。その後、該シード18を所定の引き上げ速度、即ち、シード上昇速度SLで引き上げて、該シード18の下に結晶体10を成長させる。結晶体10は、シード18がメルト12に触れた際に、メルト12が該シード18を通して熱を失い、その結果、シード18の下にメルト12が凝固して成長する。このとき、結晶体10は、シード18の結晶方位に従って成長する。このシード18は、シードチャック20を介してワイヤー22に固定され、ワイヤードラム24の巻き取り動作によって上昇する。
【0089】
直径制御パラメータ検出手段M14は、前記結晶成長直径GDの制御に寄与するパラメータ、即ち、直径制御パラメータCPを検出し、該検出した値を偏差信号生成手段M16に出力する。直径制御パラメータCPとしては、結晶体10が成長した重量(以下、「結晶成長重量GW」という)と、結晶成長直径GDが使用できる。これらのパラメータは、それぞれ、重量センサ26および直径センサ28を用いて測定可能である。重量センサ26の公知例としては、ロードセルと称されるひずみゲージ式の荷重測定器があり、一方、直径センサ28の公知例としては、光学式の長さ測定器がある。
【0090】
偏差信号生成手段M16は、前記直径制御パラメータ検出手段M14が検出した直径制御パラメータCPと該直径制御パラメータCPの目標値との差をとって偏差信号DEVを生成し、該生成した偏差信号DEVをシード上昇速度操作量生成手段M10と温度操作量生成手段M12に出力する。具体的には、「直径制御パラメータCP−目標値」が偏差信号DEVとなる。
【0091】
ここで、直径制御パラメータCPとして、結晶成長重量GWを使用する場合には、結晶体10が所望の形状で成長したときの重量が前記直径制御パラメータCPの目標値となる。一方、直径制御パラメータCPとして、結晶成長直径GDを使用する場合には、結晶体10の所望直径が前記直径制御パラメータCPの目標値となる。これらの目標値は、結晶体10が成長した長さ(以下、「結晶成長長さGL」という)に対応させた設定値をプログラムパターンとして予め記憶しておく。そして、偏差信号生成手段M16に入力する値は、実際の結晶成長長さGLを検出し、該検出した値と前記プログラムパターンとを対応させて決定する。
【0092】
シード上昇速度操作量生成手段M10は、前記偏差信号生成手段M16が生成した偏差信号DEVに基づいて、シード上昇速度SLの操作量(以下、「シード上昇速度操作量SLC」という)を生成する。
【0093】
シード上昇速度SLは、前述した直径制御パラメータCPの目標値と同様に、所望の目標値が結晶成長長さGLと対応させて予め記憶される。そして、該記憶されたシード上昇速度SLの目標値に前記生成されたシード上昇速度操作量SLCを減算して、シード上昇速度SLを決定する。ワイヤードラム24は、この決定されたシード上昇速度SLに基づいて、ワイヤー22を巻き取る。その結果、シード18および結晶体10は、該シード上昇速度SLで上昇する。
【0094】
ここで、シード上昇速度SLは、2値制御の制御対象であるため、可能な限り速く目標値に収束させる必要がある。従って、シード上昇速度操作量生成手段M10は、結晶成長直径GDの変動履歴に応答する要素を含まないことが重要である。即ち、結晶成長直径GDの変動履歴に応答する要素は、結晶成長直径GDが一度でも変動すると、その後、定値を出力し続けるため、シード上昇速度SLが発散するからである。
【0095】
温度操作量生成手段M12は、前記偏差信号生成手段M16が生成した偏差信号DEVに基づいて、結晶体10周辺の温度を操作する量(以下、「温度操作量TC」という)を生成する。この温度操作量TCの生成には、前述の発明プロセスで説明したように、積分要素が利用される。これにより、環境の変化を吸収したヒーター16温度の理想的なパターンが温度操作量TCとして生成される。
【0096】
従って、ヒーター温度の理想パターンを予め導出し、結晶成長長さGLに対応させて記憶しておく必要はなく、上記温度操作量TCが自己整合的にヒーター温度の理想パターンを形成する。尚、本発明は、予め導出したヒーター温度の理想パターンを補助的に使用することを除外するものではない。即ち、本発明では、予め導出したヒーター温度の理想パターンを上記温度操作量TCに加算して、ヒーター16の温度を決定してもよい。このような構成により、結晶成長直径GDの変化が急峻な部分、例えば、肩広げ初期や肩決め直下の好適な制御が期待できる。
【0097】
ここで、図3に示したシード上昇速度操作量生成手段M10と温度操作量生成手段M12の接続形態に着目すると、これらは、偏差信号生成手段M16に並列接続された構成となっている。そこで、このような並列接続構成が結晶成長直径GDとシード上昇速度SLの2値制御に有効であるか否かを考察する。
【0098】
まず、シード上昇速度操作量生成手段M10の伝達関数をGV(s)、温度操作量生成手段M12の伝達関数をGT(s)とし、引き上げ速度から見た伝達関数、即ち、これらの並列構成の合成伝達関数G(s)をGT(s)/GV(s)で定義する。
【0099】
次に、偏差信号DEVをE(s)、直径制御パラメータCPの変化をR(s)とすると、偏差伝達関数は、
上記のようになる。
【0100】
従って、定常偏差は、
上式で表現できる。
【0101】
前述の発明プロセスで説明したように、ヒーター温度の理想パターンは、図2に示すような曲線で変化する。従って、ヒーター温度の理想パターンが不足熱量を一定にするパターンであることを考慮すると、該パターンが不足熱量の変化を表し、結晶成長直径GDの変動がこのパターンにおよそ従うと考えることができる。よって、直径制御パラメータCPの変化R(s)は、一次関数で近似可能である。
【0102】
R(s)を一次関数で表すと、1/s2になるので、式20は、
上記のように展開できる。
【0103】
従って、定常偏差εが0に収束するG(s)は、
ここで:A1、A2、B1、B2、C1、C2、D1、D2=ラプラス演算子sを含まない任意の変数;x=前記任意の変数から取り出し可能なラプラス演算子sの乗数;
上式を満たす必要がある。
【0104】
本発明では、このラプラス演算子sの乗数xに対応して、制御系の形式をx形と定義する。例えば、x=2の制御系は、二形制御系であり、x=3の制御系は、三形制御系である。従って、二形以上の制御系を構成すれば、定常偏差が0に収束し、結晶成長直径GDとシード上昇速度SLの2値制御が達成できる。換言すると、本発明に係る2値制御系は、並列二形制御系であると言える。
【0105】
従って、シード上昇速度操作量生成手段M10と温度操作量生成手段M12については、偏差信号生成手段M16に対して並列に接続するとともに、これらの伝達関数の比が二形以上の制御系となるように、それぞれの伝達関数を決定する。
【0106】
以上説明した本発明の第1の形態によれば、シード上昇速度操作量SLCおよび温度操作量TCが偏差信号DEVに基づいて生成されるため、シード上昇速度SLを結晶成長直径GDの収束手段として使用し、ヒーターの温度をシード上昇速度SLの収束手段としてそれぞれ独立に使用することができる。その結果、結晶成長直径GDとシード上昇速度SLの2値制御が自己整合的に達成できる。さらに、このような偏差信号DEVを速度制御系と温度制御系に並列入力する構成によれば、それぞれの制御に適した伝達関数を独立して使用することができるため、安定した2値制御が可能となる。
【0107】
(第2の形態)
本発明の第2の形態は、重量式引き上げ装置への本発明の適用可能性を例示する。
【0108】
図4は、本発明の第2の形態に係る2値制御装置の構成を示すブロック図である。以下、同図(a)に基づいて、本発明の第2の形態の構成を説明する。尚、前述した第1の形態に準ずる構成要素については、同一符号を付して説明を省略し、以下の説明では、第1の形態と異なる部分を主に説明する。
【0109】
直径制御パラメータ検出手段M14は、結晶成長重量GWを直径制御パラメータCPとして検出し、該検出した値を偏差信号生成手段M16に出力する。
【0110】
偏差信号生成手段M16は、直径制御パラメータ検出手段M14が検出した結晶成長重量GWと該結晶成長重量GWの目標値との差(以下、「重量偏差GWD」という)を生成し、該生成した重量偏差GWDをシード上昇速度操作量生成手段M10と温度操作量生成手段M12に出力する。
【0111】
シード上昇速度操作量生成手段M10は、微分項を含む伝達関数で表現され、重量偏差GWDの変動に応じた信号をシード上昇速度操作量SLCとして出力する。シード上昇速度操作量生成手段M10を微分要素で構成した理由は、前述の発明プロセスで説明したように、シード上昇速度SLを結晶成長直径GDの収束手段として使用するからである。
【0112】
即ち、結晶成長直径GDが変動すると、結晶成長重量GWの変化率が変動し、該変動に追従して重量偏差GWDが変化する。従って、重量偏差GWDの変化は、結晶成長直径GDの変動を意味するため、重量偏差GWDの変化に応じてシード上昇速度SLを変化させれば、結晶成長直径GDを目標値に収束させることができる。微分要素は、重量偏差GWDの変化を捉えて、該変化の量に応じた信号を出力するため、シード上昇速度操作量SLCの生成手段として好適である。
【0113】
ここで、シード上昇速度SLが2値制御の制御対象であることに留意する必要がある。即ち、重量偏差GWDに応じてシード上昇速度SLを変化させた場合には、重量偏差GWDを0にすることで該シード上昇速度SLを即座に目標値に戻す必要がある。この目標値に戻るまでの時間が長いと、結晶体10の品質に影響するからである。
【0114】
従って、シード上昇速度操作量生成手段M10に結晶成長直径GDの変動履歴に応答する要素を含めることは好ましくない。当該要素は、シード上昇速度SLを発散させる方向に作用するからである。重量式の場合、この要素に該当するのは、積分要素と比例要素である。
【0115】
積分要素は、重量偏差GWDの値を積算してゆくため、一旦、重量偏差GWDが値を持つと、シード上昇速度SLが発散する。比例要素は、以下のように作用する。
【0116】
即ち、重量偏差GWDは、結晶成長重量GWが結晶体10の全体が所望形状で成長したときの目標値と比較されて生成された信号であるため、ルツボ14の上昇によって発生する不足熱量の増加は、単位時間当たりの固化重量を増加させる。即ち、重量偏差GWDが増加する。シード上昇速度操作量生成手段M10の微分要素は、重量偏差GWDの増加を鋭く捉え、温度の上昇による働きとともに重量偏差GWDの勾配を無くす方向に作用する。この勾配が0になるまでの間(シード上昇速度操作量が0になるまでの間)、重量偏差GWDの値が蓄積される。その結果、重量偏差GWDは、長い引き上げ時間の間では、例えば、数時間ごとの階段状変化として増加してゆく(図6(a)参照)。
【0117】
結晶成長直径GDとシード上昇速度SLの2値制御では、このように増加した重量偏差GWDを0にするよりも、結晶成長直径GDとシード上昇速度SLを目標値に収束させることが重要である。比例要素は、重量偏差GWDを0に収束させる方向に作用し、シード上昇速度SLの不要な変化をもたらす。
【0118】
このことを別の観点から述べると、重量偏差GWDが0にならなくても、重量偏差GWDの勾配が0になれば、結晶成長直径GDは目標値に収束する。従って、重量偏差GWDを過去の履歴に遡って補償する必要はない。本発明では、この重量偏差GWDの履歴が以後の引き上げプロセスにおいて温度の操作量を決定する情報となる。
【0119】
温度操作量生成手段M12は、積分項を含む伝達関数で表現され、重量偏差GWDの履歴に応じた信号を前記温度操作量TCとして出力する。温度操作量生成手段M12に積分要素を含める理由は、前述の発明プロセスで説明した通りである。尚、この温度操作量生成手段M12については、微分要素および比例要素が弊害となることはなく、同図に示すように、PIDとして使用可能である。
【0120】
次に、この第2の形態の構成が二形以上の制御系を構成するか否かを検証する。尚、以下の説明では、KV=速度変換定数、KT=温度変換定数、TDV=速度制御系微分時間、TDT=温度制御系微分時間、TIV=速度制御系積分時間、TIT=温度制御系積分時間、αV=速度制御系微分係数、αT=温度制御系微分係数とする。
【0121】
まず、シード上昇速度操作量生成手段M10の伝達関数GV(s)の完全微分形を考えてみると、該GV(s)は、
上記のように表現できる。
【0122】
一方、GT(s)は、PIDであるので、
上記のようになる。
【0123】
従って、合成伝達関数G(s)は、
上式のようになり、S2が分母に存在するので、当該構成は、二形であることがわかる。
【0124】
次に、シード上昇速度操作量生成手段M10の伝達関数GV(s)の不完全微分形を考えてみると、該GV(s)は、
上記のように表現できる。
【0125】
一方、GT(s)は、PIDであるので、
上記のようになる。
【0126】
従って、合成伝達関数G(s)は、
上式のようになり、S2が分母に存在するので、当該構成は、二形であることがわかる。
【0127】
ここで、同図(a)に示すブロック図は、同図(b)に示すブロック図に変換することができる。この同図(b)に示すブロック構成は、同図(a)に示すブロック構成と同様に、結晶成長直径GDの制御に関して二形制御系であるとともに、シード上昇速度SLの制御に関しても二形制御系であることがわかる。さらに、図4(a)に示す構成は、最少の積分要素で目的を達成しているため、安定な制御系となることがわかる。
【0128】
以上、微分要素が完全微分および不完全微分の双方で二形制御系となることが確認できた。従って、以後、二形制御系であるか否かを確認する際には、制御系で一般的に使用される不完全微分のみを考察する。
【0129】
次に、積分要素を多段接続した場合について考えてみる。
【0130】
まず、図4の温度操作量生成手段M12のPIDブロックに積分要素をカスケード接続した場合について考えてみると、当該構成の合成伝達関数G(s)も三形の制御系になり、理想ヒーター温度のパターンが一次以上の関数であっても、シード上昇速度SLは定常偏差なく収束する。従って、温度操作量生成手段M12を2段以上の積分要素で構成することも有効である。ただし、積分要素の段数を増加した場合には、ハンチングが起こりやすくなるため、安定した制御系を構築したい場合には、積分要素を最小の段数とすることが好ましい。
【0131】
図5は、本発明の第2の形態の変形例を示すブロック図である。同図に示すように、シード上昇速度操作量生成手段M10は、1次微分要素D1と2次微分要素D2の和で構成することができる。以下、同図に示す構成が二形以上の制御系を構成するか否かを検証する。
【0132】
まず、シード上昇速度操作量生成手段M10の伝達関数GV(s)の不完全微分形を考えてみると、該GV(s)は、
上記のように表現できる。
【0133】
GT(s)は、式27と同じであるため、合成伝達関数G(s)は、
上式のようになり、S2が分母に存在するので、当該構成は、二形であることがわかる。また、結晶成長直径GDの制御に関して二形制御系であるとともに、シード上昇速度SLの制御に関しても二形制御系であることがわかる。さらに、当該各構成は、最少の積分要素で目的を達成しているため、安定な制御系となることがわかる。
【0134】
図6は、本発明の第2の形態の作用を説明する模式的タイムチャートである。同図(a)は、重量偏差GWDの挙動を示し、同図(b)は、該重量偏差GWDの挙動に基づいて生成されたシード上昇速度操作量SLCと、温度操作量TCの変化を示す。以下、この図6に基づいて、第2の形態の作用を説明する。
【0135】
まず、ルツボ14が上昇すると、供給熱量と放出熱量の均衡がくずれて、不足熱量が大きくなる。その結果、結晶体10が固化しやすくなり、結晶成長重量GWが増加する。結晶成長重量GWが増加すると、同図(a)に示すように、重量偏差GWDが増加する。
【0136】
シード上昇速度操作量生成手段M10は、重量偏差GWDを微分して、同図(b)に示すような重量偏差GWDの変化に対応した操作量、即ち、シード上昇速度操作量SLCを生成する。その結果、結晶成長直径GDが目標値に向かって収束し始める。
【0137】
同時に、温度操作量生成手段M12は、重量偏差GWDを積分して、温度操作量TCを増加させる。その結果、該温度操作量TCの増加に応じて、ヒーター16の温度が上昇し、不足熱量が変動前の値に近づいてゆく。
【0138】
不足熱量が所定値に近づくにつれて、結晶体10の固化しやすさが元に戻り、重量偏差GWDの増加がやわらぐ。その結果、シード上昇速度操作量SLCが減少し、結晶成長直径GDが目標値に収束した時点で0になる。即ち、結晶成長直径GDとシード上昇速度SLが目標値に収束する。この状態が続くと、重量偏差GWDは定値で安定し、同図(a)の水平部分の出力となる。
【0139】
そして、再び、ルツボ14の上昇によって、不足熱量が大きくなると、上記のような作用を繰り返し、結晶成長直径GDとシード上昇速度SLを目標値に収束させる。
【0140】
上記作用の繰り返しによる挙動パターンを同図に示したタイムチャートに基づいて説明すると、まず、重量偏差GWDは、結晶成長直径GDの挙動に応じて、増加と安定を繰り返し、同図(a)に示すような階段状の出力となる。一方、シード上昇速度操作量SLCは、重量偏差GWDの勾配に反応して増加し、重量偏差GWDが安定方向に向かうと0に収束する作用を繰り返し、同図(b)のSLCに示すような出力となる。他方、温度操作量TCは、重量偏差GWDの大きさに応じた傾きで増加し、同図(b)のTCに示すような温度パターンを出力する。換言すると、この温度パターンは、重量偏差GWDの履歴の積算値として出力されるパターンであり、結晶成長系の複雑な環境変化を吸収した理想的なパターンとなる。
【0141】
尚、同図に示したタイムチャートは、実際の成長モデルを簡易化して示したものであり、実際の挙動は、同図に示すものよりも複雑となる。
【0142】
以上説明した本発明の第2の形態によれば、重量偏差GWDの変動に応じて、シード上昇速度操作量SLCが生成され、温度操作量TCが自己整合的にヒーター温度の理想パターンを形成するため、シード上昇速度SLの変動を最小限に押さえた構成で結晶成長直径GDの収束が期待できる。その結果、好適な2値制御が達成される。
【0143】
ここで、補足説明として、再度、シード上昇速度SLの比例要素の不利益な作用について述べる。重量偏差がある値を持って安定しているとき(一定値)は、温度の操作量が一定の勾配で増加して安定している。ここで、重量偏差を0に収束させる比例要素は、温度の操作量の一定勾配の増加を止め、その傾きを減少させる。このため、比例要素を含む速度制御系は、温度を上げなければならないときに温度を下げる方向に作用し、制御系が不安定となってハンチングを起こすと考えられる。
【0144】
(第3の形態)
本発明の第3の形態は、光学式引き上げ装置への本発明の適用可能性を例示する。
【0145】
図7は、本発明の第3の形態に係る2値制御装置の構成を示すブロック図である。以下、同図に基づいて、本発明の第3の形態の構成を説明する。尚、前述した第1の形態に準ずる構成要素については、同一符号を付して説明を省略し、以下の説明では、第1の形態と異なる部分を主に説明する。
【0146】
直径制御パラメータ検出手段M14は、結晶成長直径GDを直径制御パラメータCPとして検出し、該検出した値を偏差信号生成手段M16に出力する。
【0147】
偏差信号生成手段M16は、直径制御パラメータ検出手段M14が検出した結晶成長直径GDと該結晶成長直径GDの目標値との差(以下、「直径偏差GDD」という)を生成し、該生成した直径偏差GDDをシード上昇速度操作量生成手段M10と温度操作量生成手段M12に出力する。
【0148】
シード上昇速度操作量生成手段M10は、比例項を含む伝達関数で表現され、直径偏差GDDに応じた信号をシード上昇速度操作量SLCとして出力する。シード上昇速度操作量生成手段M10を比例要素で構成した理由は、直径偏差GDDが0となったときに結晶成長直径GDが目標値となるからである。
【0149】
ここで、シード上昇速度SLが2値制御の制御対象であることに留意すると、直径偏差GDDの増加によって変化させたシード上昇速度SLは、即座に目標値に戻す必要がある。前述したように、この目標値に戻るまでの時間が長いと、結晶体10の品質に影響するからである。
【0150】
従って、シード上昇速度操作量生成手段M10に結晶成長直径GDの変動履歴に応答する要素を含めることは好ましくない。当該要素は、シード上昇速度SLを発散させる方向に作用するからである。光学式の場合、この要素に該当するのは、直径偏差GDDの値を積算する積分要素である。
【0151】
温度操作量生成手段M12は、積分項を含む伝達関数で表現され、直径偏差GDDの履歴に応じた信号を前記温度操作量TCとして出力する。温度操作量生成手段M12に積分要素を含める理由は、前述の発明プロセスで説明した通りである。尚、この温度操作量生成手段M12については、微分要素および比例要素が弊害となることはなく、同図に示すように、PIDとして使用可能である。
【0152】
次に、この第3の形態の構成が二形以上の制御系を構成するか否かを検証する。まず、シード上昇速度操作量生成手段M10の伝達関数GV(s)は、
上記のようになる。
【0153】
そして、GT(s)は、
上記のようになる。
【0154】
従って、合成伝達関数G(s)は、
上式のように表現でき、S2が分母に存在するので、当該構成は、二形であることがわかる。また、結晶成長直径GDの制御に関して二形制御系であるとともに、シード上昇速度SLの制御に関しても二形制御系であることがわかる。さらに、当該各構成は、最少の積分要素で目的を達成しているため、安定な制御系となることがわかる。
【0155】
温度操作量生成手段M12のPIDブロックに積分要素を3段以上カスケード接続した構成については、前述した第2の形態と同様に、三形となるため、理想ヒーター温度のパターンが一次以上の関数であってもシード上昇速度SLは定常偏差なく収束する。ただし、積分要素の段数増加は、ハンチングの原因となるため、注意が必要である。
【0156】
図8は、本発明の第3の形態の変形例を示すブロック図である。同図に示すように、シード上昇速度操作量生成手段M10は、比例要素と微分要素の和で構成することができる。以下、同図に示す構成が二形以上の制御系を構成するか否かを検証する。
【0157】
まず、シード上昇速度操作量生成手段M10の伝達関数GV(s)は、
上記のように表現できる。
【0158】
GT(s)は、式32と同じであるため、合成伝達関数G(s)は、
上式のようになり、S2が分母に存在するので、当該構成は、二形であることがわかる。また、結晶成長直径GDの制御に関して二形制御系であるとともに、シード上昇速度SLの制御に関しても二形制御系であることがわかる。さらに、当該各構成は、最少の積分要素で目的を達成しているため、安定な制御系となることがわかる。
【0159】
図9は、本発明の第3の形態の作用を説明する模式的タイムチャートである。同図(a)は、直径偏差GDDの挙動を示し、同図(b)は、該直径偏差GDDが積分要素1段通過した後の出力を示し、同図(c)は、該直径偏差GDDの挙動に基づいて生成されたシード上昇速度操作量SLCと、温度操作量TCの変化を示す。以下、この図9に基づいて、第3の形態の作用を説明する。
【0160】
まず、ルツボ14が上昇すると、供給熱量と放出熱量の均衡がくずれて、不足熱量が大きくなる。その結果、結晶体10が固化しやすくなり、結晶成長直径GDが増加する。結晶成長直径GDが増加すると、同図(a)に示すように、直径偏差GDDが増加する。
【0161】
シード上昇速度操作量生成手段M10の比例要素は、直径偏差GDDを定数倍して、同図(c)に示すような直径偏差GDDの大きさに対応した操作量を生成する。その結果、結晶成長直径GDが目標値に向かって収束し始める。
【0162】
同時に、温度操作量生成手段M12は、直径偏差GDDを積分して、結晶成長直径GDの変動履歴を積算値として生成する。そして、さらに、この積算値を積分して、温度操作量TCを増加させる。その結果、該温度操作量TCの増加に応じて、ヒーター16の温度が上昇し、不足熱量が変動前の値に近づいてゆく。
【0163】
不足熱量が所定値に近づくにつれて、結晶体10の固化しやすさが元に戻り、直径偏差GDDの増加がやわらぐ。その結果、シード上昇速度操作量SLCが減少し、結晶成長直径GDが目標値に収束した時点で0になる。即ち、結晶成長直径GDとシード上昇速度SLが目標値に収束する。この状態が続くと、直径偏差GDDは0で安定し、同図(a)の水平部分の出力となる。
【0164】
そして、再び、ルツボ14の上昇によって、不足熱量が大きくなると、上記のような作用を繰り返し、結晶成長直径GDとシード上昇速度SLを目標値に収束させる。
【0165】
上記作用の繰り返しによる挙動パターンを同図に示したタイムチャートに基づいて説明すると、まず、直径偏差GDDは、結晶成長直径GDの挙動に応じて、増加と安定を繰り返し、同図(a)に示すような出力となる。従って、直径偏差GDDに応答するシード上昇速度操作量SLCは、同図(c)のSLCのようになる。
【0166】
一方、直径偏差GDDの積分値は、直径偏差GDDが変動するたびに積算されて、同図(b)に示すような階段状の出力となる。その結果、温度操作量TCは、直径偏差GDDの積分値、即ち、同図(b)に示す積分出力値に応じた傾きで増加し、同図(c)のTCに示すような温度パターンを出力する。換言すると、この温度パターンは、直径偏差GDDの履歴の積算値として出力されるパターンであり、結晶成長系の複雑な環境変化を吸収した理想的なパターンとなる。
【0167】
尚、同図に示したタイムチャートは、実際の成長モデルを簡易化して示したものであり、実際の挙動は、同図に示すものよりも複雑となる。
【0168】
以上説明した本発明の第3の形態によれば、直径偏差GDDの大きさに応じたシード上昇速度操作量SLCが生成され、温度操作量TCが自己整合的にヒーター温度の理想パターンを形成するため、シード上昇速度SLの変動を最小限に押さえた構成で結晶成長直径GDの収束が期待できる。その結果、好適な2値制御が達成される。
【0169】
ここで、補足的説明として、本形態でシード上昇速度SLに積分要素を持った場合、シード上昇速度SLの積分要素の不利益な点について述べる。直径偏差が0で安定していても過去に直径偏差を持った履歴があると、該積分要素は、操作量を持つ。従って、直径と引き上げ速度の両方が目標値に収束した安定状態を得ることができないと考えられる。過去の履歴において、直径偏差の正方向の積分値と負方向の積分値が一致してキャンセルアウトする条件であれば、2値制御可能であるといえるが、引き上げ法による理想温度パターンは、前述のように一定ではなく、最低一次関数的に増加するため、このような条件は存在しないと考えられる。
【0170】
たとえ、前述の従来技術で説明した第3の技術のように、ヒーター温度の理想パターンを併用したとしても、理想パターンは、結晶引き上げのバッチごとに異なるため、正方向の積分値と負方向の積分値を一致させて、キャンセルアウトすることは、事実上困難であると考えられる。
【0171】
【実施例】
(要約)
重量偏差GWDをD型速度操作アンプ72とPID型温度操作アンプ74に並列入力し、シード上昇速度操作量SLCと温度操作量TCをそれぞれ独立に生成する。該シード上昇速度操作量SLCは、シード上昇速度SLを変化させて結晶成長直径GDを収束させ、温度操作量TCは、ヒーター温度を変化させて不足熱量を所定値に収束させる(図13参照)。
【0172】
(好適な実施例)
図10は、本発明の好適な実施例に係る結晶体の2値制御装置の構成を示す一部断面図である。以下、同図に基づいて、該2値制御装置の構成を説明する。この実施例では、重量式と光学式を同時に説明し、本発明がいずれの方法でも実施可能であることを明確にする。尚、前述の発明の実施形態で説明した構成要素については、同一符号を付して詳細説明を省略する。また、以下の説明において、信号名の後ろに付加した<>は、単位を示すものとする。
【0173】
主制御部30は、シード制御部32と、ルツボ制御部48と、ヒーター制御部34とを駆使して、結晶成長直径GDとシード上昇速度SLの2値制御を実行する。この主制御部30は、該2値制御を達成するために、シード上昇速度SLと、ルツボの上昇速度と、ヒーターの温度を決定し、該決定した値をシード制御部32と、ルツボ制御部48と、ヒーター制御部34にそれぞれ出力する。さらに、この主制御部30は、メルト12の液位を一定にするために、結晶体10の成長に伴って、ルツボ14を所定の比率で上昇させる液位一定制御を行う。尚、この液位一定制御は、公知の技術であるため、その詳細については省略し、以下の説明では、シード18の上昇高さが結晶成長長さGLと等価であるものとして説明する。
【0174】
シード制御部32は、シード18の昇降および回転に関する制御機構と結晶成長重量GWを測定する重量センサ26を有し(図11参照)、主制御部30が決定したシード上昇速度SLでシード18を上昇させる。
【0175】
ルツボ制御部48は、ルツボ14の昇降および回転に関する制御機構を有し(図11参照)、主制御部30が決定した速度でルツボ14を上昇させる。
【0176】
ヒーター制御部34は、主制御部30の出力HPWR<volt>信号に基づいて、HCNT<W/h>信号を生成し、該生成した信号をヒーター16に出力する。その結果、ヒーター16は、HCNT<W/h>に応じて発熱し、ルツボ14に熱量が供給される。
【0177】
直径センサ28は、メルト12の上方に配設され、結晶成長直径GDを光学的に検出する。そして、該検出した値をGD<volt>信号として主制御部30に出力する。この直径センサ28は、光学式の場合に使用する。
【0178】
保温筒40は、ヒーター16の外周に配設され、ヒーター16から放出された熱をその内側に保持し、ルツボ14への供熱効率を向上させる。
【0179】
温度センサ42は、保温筒40の内部に配設され、保温筒40周辺温度を検出する。そして、該検出した温度をTMP<volt>信号として主制御部30に出力する。尚、この温度センサ42に代えて、保温筒40の周辺に放射温度計を配設し、保温筒40の内側を構成するシールド材の温度を測定してもよい。
【0180】
チャンバー38は、結晶体10と、ルツボ14やヒーター16等のホットゾーン部品をその内部に気密収容する。このチャンバー38内には、アルゴンガスが供給される。
【0181】
ルツボシャフト46は、ルツボ支持台44の下面に固定され、ルツボ制御部48から供給された動力によって、昇降および回転する。ルツボ支持台44は、ルツボ14をその上面に載置し、ルツボシャフト46の上下動および回転に追従して移動する。その結果、ルツボ14が昇降および回転する。
【0182】
図11は、図10に示したシード制御部32とルツボ制御部48の構成を示すブロック図である。以下、同図に基づいて、シード制御部32とルツボ制御部48の構成を説明する。
【0183】
第1モーターアンプ54−1は、主制御部30の出力SL<volt>信号を設定信号として受け取り、第1ギア52−1の回転速度を参照しながらモーター駆動電力SCNT<volt>を生成する。そして、該生成した信号を第1モーター50−1に出力する。
【0184】
第1モーター50−1は、第1モーターアンプ54−1の出力SCNTに応じて第1ギア52−1を回転させる。その結果、ワイヤードラム24が回転して、ワイヤー22が巻き取られ、シード18が上昇する。尚、シード18を下降させる場合には、第1モーター50−1を逆回転させる。
【0185】
第1ロータリーエンコーダ56−1は、第1ギア52−1の回転速度をパルス信号に変換して、第1パルスカウンタ58−1に出力する。第1パルスカウンタ58−1は、第1ロータリーエンコーダ56−1から受信したパルス信号を計数し、この計数した結果をSLH信号(シード上昇高さ)として主制御部30に出力する。尚、シード18が下降しているときは、第1パルスカウンタ58−1の計数値がデクリメントされる。
【0186】
シード制御部32内には、同図に示した構成の他、シード18を回転させる構成が設けられる。この構成は、上述したシード18を上昇させる構成に準ずるものであり、ここでは説明を省略する。
【0187】
第2モーターアンプ54−2は、主制御部30の出力CL<volt>信号を設定信号として受け取り、第2ギア52−2の回転速度を参照しながらモーター駆動電力CCNT<volt>を生成する。そして、該生成した信号を第2モーター50−2に出力する。
【0188】
第2モーター50−2は、第2モーターアンプ54−2の出力CCNTに応じて第2ギア52−2を回転させる。その結果、ルツボシャフト46が上方向に移動して、ルツボ14が上昇する。尚、ルツボ14を下降させる場合には、第2モーター50−2を逆回転させる。
【0189】
ルツボ制御部48内には、同図に示した構成の他、ルツボ14を回転させる構成が設けられる。この構成は、上述したルツボ14を上昇させる構成に準ずるものであり、ここでは説明を省略する。
【0190】
図12は、図10に示したヒーター制御部34の構成を示すブロック図である。同図に示すように、ヒーター制御部34は、サイリスタと電力センサを用いたフィードバック制御系で構成される。このような構成は、周知の技術であるため、詳細な説明は省略する。
【0191】
図13は、図10に示した主制御部30の重量式に係る第1ブロックの構成を示すブロック図である。以下、同図を用いて、この重量式に係る第1ブロックの構成を説明する。尚、以下の説明では、伝達関数に含まれるパラメータを次のように統一して使用する。
【0192】
KV=速度変換定数、KT=温度変換定数、TDV=速度制御系微分時間、TDT=温度制御系微分時間、TIV=速度制御系積分時間、TIT=温度制御系積分時間、αV=速度制御系微分係数、αT=温度制御系微分係数、PV=速度制御系比例ゲイン、PT=温度制御系比例ゲイン。
【0193】
第1アンプ66−1は、デジタル入力信号SLHをSLH<mm>に変換し、該SLH<mm>を結晶成長長さGL<mm>とし、該生成した値を第1演算実行部68−1と、目標直径決定部78と、図14に示す目標速度決定部80に出力する。尚、上記第1アンプ66−1および第3アンプ66−3の後段は、ソフトウェアで構成する。
【0194】
目標直径決定部78は、結晶成長長さGLに対応する目標直径をプログラムパターンとして予め記憶し、GL<mm>を該プログラムパターンに当てはめて、該当する目標直径を決定する。そして、該決定した値をGD(GL)<mm>として第1演算実行部68−1と、図14に示す第2演算実行部68−2に出力する。
【0195】
第1演算実行部68−1は、
ここで:Dcrystal=結晶体10の比重;π=円周率;GL=結晶成長長さ;GD(GL)=目標直径;
上記演算を実行して、前記目標直径に対応する目標重量を予測する。そして、該予測した重量GPW<g>を第2減算器70−2に出力する。
【0196】
第3アンプ66−3は、アナログ入力信号GW<volt>をGW<g>に変換し、該GW<g>を第2減算器70−2およびルツボ直径決定部82に出力する。この第3アンプ66−3の後段は、ソフトウェアで構成する。
【0197】
第2減算器70−2は、GPW<g>とGW<g>の差をとって、重量偏差GWD<g>を生成し、該生成した値をD型速度操作アンプ72と、PID型温度操作アンプ74に出力する。
【0198】
D型速度操作アンプ72は、
上記伝達関数でGWD<g>を処理して、シード上昇速度操作量SLC<mm/min>を生成する。そして、該生成した値を図14に示す第5減算器70−5に出力する。
【0199】
PID型温度操作アンプ74は、
上記伝達関数でGWD<g>を処理して、温度操作量TC<℃>を生成する。そして、該生成した値を図15に示す第3減算器70−3に出力する。
【0200】
図14は、図10に示した主制御部30の重量式に係る第2ブロックの構成を示すブロック図である。以下、同図を用いて、この重量式に係る第2ブロックの構成を説明する。
【0201】
目標速度決定部80は、結晶成長長さGLに対応する目標速度をプログラムパターンとして予め記憶し、GL<mm>を該プログラムパターンに当てはめて、該当する目標速度を決定する。そして、該決定した値をSL(GL)<mm>として第5減算器70−5に出力する。
【0202】
第5減算器70−5は、SL(GL)<mm/min>とSLC<mm/min>との差をとって、シード上昇速度SL<mm/min>を生成する。そして、該生成した値を第4アンプ66−4と第2演算実行部68−2に出力する。
【0203】
第4アンプ66−4は、上記第5減算器70−5の出力をアナログ信号SL<volt>に変換し、図11に示す第1モーターアンプ54−1に出力する。この第4アンプ66−4の後段は、ハードウェアで構成する。
【0204】
ルツボ直径決定部82は、ルツボ14の深さと該深さにおけるルツボ14の直径とを対応させて予め記憶し、該記憶内容に基づいて、メルト12の液面と接する部分のルツボ直径を決定する。具体的には、第3アンプ66−3の出力GW<g>を前記記憶したルツボ14の深さに対応させて、該当するルツボ14の直径を割り出す。そして、該決定した直径CI(GL)<mm>を第2演算実行部68−2に出力する。
【0205】
第2演算実行部68−2は、
ここで:Dcrystal=結晶体10の比重;GD(GL)=目標直径;Dmelt=メルト12の比重;CI(GL)=メルト12の液面が接触した部分のルツボ14の直径;SL=シード上昇速度;
上記比率演算を実行して、液位を一定にするために必要なルツボ上昇速度CL<mm/min>を算出する。そして、該算出した値を第5アンプ66−5に出力する。
【0206】
第5アンプ66−5は、CL<mm/min>をアナログ信号CL<volt>に変換し、図11に示す第2モーターアンプ54−2に出力する。この第5アンプ66−5の後段は、ハードウェアで構成する。
【0207】
図15は、図10に示した主制御部30の第3ブロックの構成を示すブロック図である。以下、同図を用いて、この第3ブロックの構成を説明する。尚、このブロックは、重量式と光学式で共通である。
【0208】
第3減算器70−3は、ヒーター16の設定温度Tset<℃>とTC<℃>との差をとって、ヒーター温度HT<℃>を生成する。そして、該生成した値を第6アンプ66−6に出力する。
【0209】
第6アンプ66−6は、HT<℃>をアナログ信号HT<volt>に変換し、第4減算器70−4に出力する。この第6アンプ66−6の後段は、ハードウェアで構成する。
【0210】
第4減算器70−4は、HT<volt>信号と温度センサ42の出力TMP<volt>との差をとって、温度偏差HTD<volt>を生成する。そして、該生成した信号をPID型温度制御アンプ84に出力する。
【0211】
PID型温度制御アンプ84は、
上記伝達関数でHTD<volt>を処理して、電力信号HPWR<volt>を生成する。そして、該生成した値を図10に示すヒーター制御部34に出力する。
【0212】
図16は、図10に示した主制御部30の光学式に係る第1ブロックの構成を示すブロック図である。本発明に係る2値制御装置を光学式で構成する場合には、この同図に示す第1ブロックを図13に示した重量式に係る第1ブロックに代えて使用する。以下、この図16を用いて、この光学式に係る第1ブロックの構成を説明する。尚、重量式に係る第1ブロックと同一の構成要素については、同一符号を付して説明を省略し、以下の説明では、重量式に係る第1ブロックと異なる部分を主に説明する。
【0213】
第7アンプ66−7は、図10に示した直径センサ28のアナログ出力GD<volt>をGD<mm>に変換し、該GD<mm>を第2減算器70−2と、図17に示す第3演算実行部68−3に出力する。この第7アンプ66−7の後段は、ソフトウェアで構成する。
【0214】
第2減算器70−2は、目標直径決定部78が生成したGD(GL)<mm>とGD<mm>との差をとって、直径偏差GDD<mm>を生成する。そして、該生成した値をPD型速度操作アンプ86と、I型温度操作アンプ88に出力する。
【0215】
PD型速度操作アンプ86は、
上記伝達関数でGDD<mm>を処理して、シード上昇速度操作量SLC<mm/min>を生成する。そして、該生成した値を図17に示す第5減算器70−5に出力する。
【0216】
I型温度操作アンプ88は、
上記伝達関数でGDD<mm>を処理して、その結果をPID型温度操作アンプ74に出力する。PID型温度操作アンプ74は、前述した重量式と同じ形態のものを使用し、各定数は、別途調整する。尚、I型温度操作アンプ88とPID型温度操作アンプ74の接続順序は、同図に示すものと逆にしてもよい。
【0217】
図17は、図10に示した主制御部30の光学式に係る第2ブロックの構成を示すブロック図である。本発明に係る2値制御装置を光学式で構成する場合には、この同図に示す第2ブロックを図14に示した重量式に係る第2ブロックに代えて使用する。以下、この図17を用いて、この光学式に係る第2ブロックの構成を説明する。尚、重量式に係る第2ブロックと同一の構成要素については、同一符号を付して説明を省略し、以下の説明では、重量式に係る第2ブロックと異なる部分を主に説明する。
【0218】
ルツボ直径決定部82は、ルツボ14の深さと該深さにおけるルツボ14の直径とを対応させて予め記憶し、該記憶した内容に基づいて、メルト12の液面と接する部分のルツボ直径を決定する。具体的には、GL<mm>とGD<mm>とを用いて、結晶成長重量GWを算出し、該算出した値を前記記憶したルツボ14の深さに対応させて、該当する直径を割り出す。
【0219】
第3演算実行部68−3は、
ここで:Dcrystal=結晶体10の比重;GD=検出直径;Dmelt=メルト12の比重;CI(GL)=メルト12の液面が接触した部分のルツボ14の直径;SL=シード上昇速度;
上記比率演算を実行して、液位を一定にするために必要なルツボ上昇速度CL<mm/min>を算出する。そして、該算出した値を第5アンプ66−5に出力する。
【0220】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、安定した2値制御の達成に有効な結晶体の2値制御装置を提供することができる。
【0221】
また、本発明の第1の形態によれば、シード上昇速度操作量SLCおよび温度操作量TCが偏差信号DEVに基づいて生成されるため、シード上昇速度SLを結晶成長直径GDの収束手段として使用し、ヒーターの温度をシード上昇速度SLの収束手段としてそれぞれ独立に使用することができる。その結果、結晶成長直径GDとシード上昇速度SLの2値制御が自己整合的に達成できる。さらに、このような偏差信号DEVを速度制御系と温度制御系に並列入力する構成によれば、それぞれの制御に適した伝達関数を独立して使用することができるため、安定した2値制御が可能となる。
【0222】
また、本発明の第2の形態によれば、重量偏差GWDの変動に応じて、シード上昇速度操作量SLCが生成され、温度操作量TCが自己整合的にヒーター温度の理想パターンを形成するため、シード上昇速度SLの変動を最小限に押さえた構成で結晶成長直径GDの収束が期待できる。その結果、好適な2値制御が達成される。
【0223】
また、本発明の第3の形態によれば、直径偏差GDDの大きさに応じたシード上昇速度操作量SLCが生成され、温度操作量TCが自己整合的にヒーター温度の理想パターンを形成するため、シード上昇速度SLの変動を最小限に押さえた構成で結晶成長直径GDの収束が期待できる。その結果、好適な2値制御が達成される。
【図面の簡単な説明】
【図1】一般的な引き上げ装置におけるヒーターとルツボの位置関係を示す断面図である。
【図2】式17で表現されるヒーター温度の理想パターンを図示するグラフである。
【図3】本発明の第1の形態に係る2値制御装置の構成を示す概念図である。
【図4】本発明の第2の形態に係る2値制御装置の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の第2の形態の変形例を示すブロック図である。
【図6】本発明の第2の形態の作用を説明する模式的タイムチャートである。
【図7】本発明の第3の形態に係る2値制御装置の構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の第3の形態の変形例を示すブロック図である。
【図9】本発明の第3の形態の作用を説明する模式的タイムチャートである。
【図10】本発明の好適な実施例に係る結晶体の2値制御装置の構成を示す一部断面図である。
【図11】図10に示したシード制御部32とルツボ制御部48の構成を示すブロック図である。
【図12】図10に示したヒーター制御部34の構成を示すブロック図である。
【図13】図10に示した主制御部30の重量式に係る第1ブロックの構成を示すブロック図である。
【図14】図10に示した主制御部30の重量式に係る第2ブロックの構成を示すブロック図である。
【図15】図10に示した主制御部30の第3ブロックの構成を示すブロック図である。
【図16】図10に示した主制御部30の光学式に係る第1ブロックの構成を示すブロック図である。
【図17】図10に示した主制御部30の光学式に係る第2ブロックの構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
10…結晶体、12…メルト、14…ルツボ、16…ヒーター、18…シード、20…シードチャック、22…ワイヤー、24…ワイヤードラム、26…重量センサ、28…直径センサ、30…主制御部、32…シード制御部、34…ヒーター制御部、38…チャンバー、40…保温筒、42…温度センサ、44…ルツボ支持台、46…ルツボシャフト、48…ルツボ制御部、50−1…第1モーター、50−2…第2モーター、52−1…第1ギア、52−2…第2ギア、54−1…第1モーターアンプ、54−2…第2モーターアンプ、56−1…第1ロータリーエンコーダ、58−1…第1パルスカウンタ、60…サイリスタコントローラ、62…交流直流変換器、64…電力センサ、66−1…第1アンプ、66−3…第3アンプ、66−4…第4アンプ、66−5…第5アンプ、66−6…第6アンプ、66−7…第7アンプ、68−1…第1演算実行部、68−2…第2演算実行部、68−3…第3演算実行部、70−2…第2減算器、70−3…第3減算器、70−4…第4減算器、70−5…第5減算器、72…D型速度操作アンプ、74…PID型温度操作アンプ、78…目標直径決定部、80…目標速度決定部、82…ルツボ直径決定部、84…PID型温度制御アンプ、86…PD型速度操作アンプ、88…I型温度操作アンプ、M10…シード上昇速度操作量生成手段、M12…温度操作量生成手段、M14…直径制御パラメータ検出手段、M16…偏差信号生成手段、CP…直径制御パラメータ、DEV…偏差信号、GD…結晶成長直径、GDD…直径偏差、GL…結晶成長長さ、GW…結晶成長重量、GWD…重量偏差、SL…シード上昇速度、SLC…シード上昇速度操作量、TC…温度操作量
Claims (4)
- 結晶体(10)の引き上げ速度を示すシード上昇速度(SL)の操作量を生成するシード上昇速度操作量生成手段(M10)と、該結晶体(10)周辺の温度を操作する量を示す温度操作量(TC)を生成する温度操作量生成手段(M12)とを具備し、該結晶体(10)の成長直径を示す結晶成長直径(GD)および前記シード上昇速度(SL)をそれぞれ目標値に収束させる結晶体の2値制御装置において、
前記2値制御装置は、
結晶体(10)が成長したときの重量を示す結晶成長重量(GW)を検出する結晶成長重量検出手段(M14)と、
前記結晶成長重量検出手段(M14)で検出された結晶成長重量(GW)と、該結晶成長重量(GW)の目標値との差をとって偏差信号(DEV)を生成する偏差信号生成手段(M16)とを具備し、
前記シード上昇速度操作量生成手段(M10)は、
前記偏差信号生成手段(M16)が生成した偏差信号(DEV)に基づいて、独立にシード上昇速度操作量(SLC)
を生成し、
前記温度操作量生成手段(M12)は、
前記偏差信号生成手段(M16)が生成した偏差信号(DEV)に基づいて、独立に温度操作量(TC)を生成するものであり、
前記シード上昇速度操作量生成手段(M10)は、
微分項を含み、比例項と積分項を含まない伝達関数(Gv(s))で構成され、
前記温度操作量生成手段(M12)は、
積分項を含む伝達関数(GT(s))で構成されており、
これら並列構成の合成伝達関数(G(s))は、
二形以上の形式
(ただし:A1、A2、B1、B2、C1、C2、D1、D2は、ラプラス演算子sを含まない任意の変数;xは、2以上で、前記任意の変数から取り出し可能なラプラス演算子sの乗数)
で表されるように構成されていること
を特徴とする結晶体の2値制御装置。 - 結晶体(10)の引き上げ速度を示すシード上昇速度(SL)の操作量を生成するシード上昇速度操作量生成手段(M10)と、該結晶体(10)周辺の温度を操作する量を示す温度操作量(TC)を生成する温度操作量生成手段(M12)とを具備し、該結晶体(10)の成長直径を示す結晶成長直径(GD)および前記シード上昇速度(SL)をそれぞれ目標値に収束させる結晶体の2値制御装置において、
前記2値制御装置は、
結晶成長直径(GD)を検出する結晶成長直径検出手段(M14)と、
前記結晶成長直径検出手段(M14)で検出された結晶成長直径(GD)と、該結晶成長直径(GD)の目標値との差をとって偏差信号(DEV)を生成する偏差信号生成手段(M16)とを具備し、
前記シード上昇速度操作量生成手段(M10)は、
前記偏差信号生成手段(M16)が生成した偏差信号(DEV)に基づいて、独立にシード上昇速度操作量(SLC)
を生成し、
前記温度操作量生成手段(M12)は、
前記偏差信号生成手段(M16)が生成した偏差信号(DEV)に基づいて、独立に温度操作量(TC)を生成するものであり、
前記シード上昇速度操作量生成手段(M10)は、
比例項を含み、積分項を含まない伝達関数(Gv(s))で構成され、
前記温度操作量生成手段(M12)は、
積分項を含む伝達関数(GT(s))で構成されており、
これら並列構成の合成伝達関数(G(s))は、
二形以上の形式
(ただし:A1、A2、B1、B2、C1、C2、D1、D2は、ラプラス演算子sを含まない任意の変数;xは、2以上で、前記任意の変数から取り出し可能なラプラス演算子sの乗数)
で表されるように構成されていること
を特徴とする結晶体の2値制御装置。 - 前記シード上昇速度操作量生成手段(M10)は、
微分項のみまたは1次微分項と2次微分項の和のみからなる伝達関数(Gv(s))で構成され、
前記並列構成の合成伝達関数(G(s))は、二形の形式(xは、2)
で表されるように構成されていること
を特徴とする請求項1記載の結晶体の2値制御装置。 - 前記シード上昇速度操作量生成手段(M10)は、
比例項のみまたは比例項と微分項の和のみからなる伝達関数(Gv(s))で構成され、
前記並列構成の合成伝達関数(G(s))は、二形の形式(xは、2)
で表されるように構成されていること
を特徴とする請求項2記載の結晶体の2値制御装置。
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