JP2000191394A - 結晶体の2値制御装置 - Google Patents

結晶体の2値制御装置

Info

Publication number
JP2000191394A
JP2000191394A JP10370141A JP37014198A JP2000191394A JP 2000191394 A JP2000191394 A JP 2000191394A JP 10370141 A JP10370141 A JP 10370141A JP 37014198 A JP37014198 A JP 37014198A JP 2000191394 A JP2000191394 A JP 2000191394A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
diameter
manipulated variable
crystal
temperature
seed
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP10370141A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4367725B2 (ja
Inventor
Shuji Onoe
修治 尾上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumco Techxiv Corp
Original Assignee
Komatsu Electronic Metals Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Komatsu Electronic Metals Co Ltd filed Critical Komatsu Electronic Metals Co Ltd
Priority to JP37014198A priority Critical patent/JP4367725B2/ja
Priority to TW88117857A priority patent/TW508379B/zh
Priority to PCT/JP1999/007275 priority patent/WO2000039370A1/ja
Publication of JP2000191394A publication Critical patent/JP2000191394A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4367725B2 publication Critical patent/JP4367725B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C30CRYSTAL GROWTH
    • C30BSINGLE-CRYSTAL GROWTH; UNIDIRECTIONAL SOLIDIFICATION OF EUTECTIC MATERIAL OR UNIDIRECTIONAL DEMIXING OF EUTECTOID MATERIAL; REFINING BY ZONE-MELTING OF MATERIAL; PRODUCTION OF A HOMOGENEOUS POLYCRYSTALLINE MATERIAL WITH DEFINED STRUCTURE; SINGLE CRYSTALS OR HOMOGENEOUS POLYCRYSTALLINE MATERIAL WITH DEFINED STRUCTURE; AFTER-TREATMENT OF SINGLE CRYSTALS OR A HOMOGENEOUS POLYCRYSTALLINE MATERIAL WITH DEFINED STRUCTURE; APPARATUS THEREFOR
    • C30B15/00Single-crystal growth by pulling from a melt, e.g. Czochralski method
    • C30B15/20Controlling or regulating
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C30CRYSTAL GROWTH
    • C30BSINGLE-CRYSTAL GROWTH; UNIDIRECTIONAL SOLIDIFICATION OF EUTECTIC MATERIAL OR UNIDIRECTIONAL DEMIXING OF EUTECTOID MATERIAL; REFINING BY ZONE-MELTING OF MATERIAL; PRODUCTION OF A HOMOGENEOUS POLYCRYSTALLINE MATERIAL WITH DEFINED STRUCTURE; SINGLE CRYSTALS OR HOMOGENEOUS POLYCRYSTALLINE MATERIAL WITH DEFINED STRUCTURE; AFTER-TREATMENT OF SINGLE CRYSTALS OR A HOMOGENEOUS POLYCRYSTALLINE MATERIAL WITH DEFINED STRUCTURE; APPARATUS THEREFOR
    • C30B15/00Single-crystal growth by pulling from a melt, e.g. Czochralski method
    • C30B15/20Controlling or regulating
    • C30B15/22Stabilisation or shape controlling of the molten zone near the pulled crystal; Controlling the section of the crystal

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Crystallography & Structural Chemistry (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Metallurgy (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Crystals, And After-Treatments Of Crystals (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】安定した2値制御の達成に有効な結晶体の2値
制御装置を提供する。 【解決手段】重量偏差(GWD)をD型速度操作アンプ
(72)とPID型温度操作アンプ(74)に並列入力
し、シード上昇速度操作量(SLC)と温度操作量(T
C)をそれぞれ独立に生成する。該シード上昇速度操作
量(SLC)は、シード上昇速度(SL)を変化させて
結晶成長直径(GD)を収束させ、温度操作量(TC)
は、ヒーター温度を変化させて不足熱量を所定値に収束
させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、結晶体の2値制御
装置に関し、特に、安定した2値制御の達成に有効な結
晶体の2値制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】チョクラルスキー法に代表される単結晶
の引き上げ製造法においては、製造された結晶体の直径
と該結晶体を引き上げた速度の履歴が結晶体の品質を決
める上での重要なパラメータとなる。
【0003】従って、従来から、直径と引き上げ速度の
双方を所望の値に収束させるCZ法の開発が進められて
おり、既に実施化されているものも幾つか見られる。こ
れらの開発された諸技術は、それぞれ特有の興味深い特
徴を有し、特有の効果を達成している。以下、これらの
代表的な特徴を説明する。
【0004】第1の技術は、メルト加熱用のヒーターの
温度のみを変化させて、結晶体の成長直径を制御する技
術である。ヒーターの温度を変化させる理由は、引き上
げ結晶体とメルトの界面から放出される熱量と、該界面
近傍に流入する熱量との差(以下、「不足熱量」とい
う)を制御するためである。即ち、不足熱量は、結晶体
が単位時間当たりに固化する重量(以下、「固化重量」
という)を決定する凝固潜熱と密接に関連し、この不足
熱量が増加すると、結晶体の重量が所望の値よりも重く
なる。その結果、結晶体の成長直径は、該重量の増加に
対応して大きくなる。従って、ヒーターの温度を上げ
て、不足熱量を減少させれば、結晶体の成長直径を所望
の値に収束させることができる。
【0005】当該技術では、引き上げ速度を所望の値に
固定することができるため、制御対象が1つでよく、結
晶体をゆっくりと引き上げる製造装置では、比較的安定
しやすい構成である。以下、この第1の技術が行うよう
な不足熱量に着目した制御系を「温度制御系」という。
【0006】第2の技術は、結晶体の成長直径を引き上
げ速度の調節で制御し、その結果、所望の値からずれた
引き上げ速度の偏差に基づいて、ヒーターの温度を変化
させる技術である。当該技術では、直径の変化に追従し
て引き上げ速度が即変化するため、前記第1の技術に比
べて応答が速いことを特徴とする。以下、このような引
き上げ速度の変化によって直径を制御する制御系を「速
度制御系」という。この第2の技術を詳細に記載した文
献としては、特公昭52−48111号公報および特公
平7−55878号公報がある。
【0007】第3の技術は、結晶体の成長直径を引き上
げ速度で調節する一方、引き上げ開始から終了に至るま
でのヒーター温度の理想パターンを導出し、該導出した
理想パターンに基づいて、不足熱量を制御する技術であ
る。当該技術では、速度制御系と温度制御系とを独立に
構成することができるため、それぞれの制御系に適した
設計が可能である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、第1の技術で
は、ヒーター温度の変化という遅れ要素の多い制御手段
を用いているため、直径の変動に対する応答が遅れる。
従って、この技術は、結晶体の引き上げ速度が極めて遅
く、結晶体の製造に数日間を費やすガリウム・ヒ素等の
製造には適しているが、引き上げ速度が速いシリコン等
の製造には適していない。
【0009】一方、第2の技術は、現在主流となってい
る技術であり、この技術によれば、引き上げ速度の変化
によって、結晶体の成長直径が好適に制御される。これ
は、引き上げ速度の変化に対する直径の応答がヒーター
温度の変化に対する直径の応答に比べて、むだ時間や1
次遅れの時定数が小さいため、引き上げ速度の操作が
即、直径の収束動作に反映されるからである。
【0010】この第2の技術の速度制御系は、光学式の
場合、「比例項+積分項+微分項」で構成され、重量式
の場合、「比例項+微分項」で構成される。ここで、光
学式の積分項と重量式に比例項は、いずれも結晶体の直
径変動の履歴に応答する要素であり、該速度制御系は、
熱的環境が一定の場合に、目標値に対する定常偏差を0
に収束させる一形の伝達関数(伝達関数の形の定義につ
いては後述する)で表現される。従って、制御目標であ
る結晶体の直径は、引き上げ速度の変化によって、定常
偏差なく目標値に収束する。
【0011】しかし、直径の制御に引き上げ速度を変化
させた結果、該引き上げ速度は、その目標値との間に偏
差を生じる。即ち、直径は目標値に収束するが、引き上
げ速度が目標値からずれるため、2値制御が達成されな
いことになる。これは、引き上げ速度を変化させても、
ヒーター温度とルツボの位置によって決まる不足熱量に
は影響しないため、結晶体の固化重量は、依然目標値か
らずれたままだからである。
【0012】換言すると、引き上げ速度は、固化重量を
結晶体の断面積と引き上げ長さの2成分に分配する機能
は有するが、固化重量を目標値に収束させる機能はな
く、実際の固化重量が所望の直径と引き上げ速度を維持
できる理想の値からずれている場合には、この引き上げ
速度が偏差を持つことになるからである。
【0013】一般の引き上げ装置では、引き上げと同時
にルツボを上昇させて、メルトの液位を一定にする液位
一定制御が行われる。従って、不足熱量は、該ルツボの
上昇によって常に変動するため、上記理想の値は維持で
きないことになる。これは、引き上げ速度が不足熱量の
変動に追従して偏差を持つことを意味する。ここで、ル
ツボの位置は、結晶体の品質を決定する重要なパラメー
タであるため、結晶体の直径および引き上げ速度の制御
手段としては使用できない。
【0014】そこで、上記従来技術では、温度制御系を
速度制御系にカスケード接続して、結晶体の直径を収束
させることによって発生した引き上げ速度の偏差をなく
す構成を採用している。このカスケード制御系は、引き
上げ速度の偏差を温度制御系に入力し、該温度制御系で
PID演算を行って、ヒーターの温度を制御するもので
ある。
【0015】しかし、上記カスケード制御には、ヒータ
ーの温度制御を行ったにもかかわらず、引き上げ速度が
依然として誤差を有するという問題がある。後に詳細に
説明するが、液位一定制御の引き上げにおいて、不足熱
量を一定にするための理想的なヒーターの温度パターン
は、一次以上の関数となる。そして、一般的な制御理論
に従えば、目標値が一次関数(ランプ)の場合、一形制
御系では、定常偏差を持ち、二形制御系では、定常偏差
がなくなると考えられる。
【0016】特公昭52−48111号公報に記載され
たカスケード制御では、重量偏差をPD演算アンプとP
ID演算アンプのカスケードに入力し、その出力をヒー
ター温度の操作量として与えている。従って、当該カス
ケード制御は、一形制御系を構成するため、重量偏差が
定常偏差を持つことになる。
【0017】ここで、重量偏差が定常偏差を持っても、
重量偏差が一定であれば、結晶体の直径は、定常偏差を
持たない。しかし、上記従来技術では、重量偏差の「比
例要素+微分要素」を引き上げ速度の操作量としている
為に、この比例要素が引き上げ速度に定常偏差を生じさ
せ、2値制御の負の要因となっていると思われる。
【0018】他方、別のカスケード制御を開示する特公
平7ー55878号では、直径偏差を2段のPID演算
アンプで構成した速度制御系と温度制御系のカスケード
接続に入力し、この出力をヒーター温度の操作量として
与えている。従って、当該制御系は、直径偏差に対して
は、二形制御系を構成するため、結晶体の直径は、定常
偏差を持たないと考えられるが、この制御系は、引き上
げ速度の偏差を持つことが本発明者の実験によって確認
されている。
【0019】温度制御系の伝達関数が一形である上記カ
スケード制御によって、ヒーター温度の操作量を理想的
なヒーター温度パターン、例えば、一次関数に合わせる
ためには、引き上げ速度が常に定常偏差を持つことがわ
かる。これが引き上げ速度が目標値からずれて定常偏差
を持つ理由と考えられる。当該構成では、速度制御系の
積分要素が2値制御の負の要因と思われる。
【0020】上記問題を解決するために、温度制御系に
積分要素(遅れ要素)を2〜3段設けて、引き上げ速度
を目標値に収束させる技術も考えられているが、このよ
うに、温度制御系に多段の遅れ要素を設けると、ハンチ
ング(制御不安定)が生じやすいという問題がある。
【0021】加えて、この第2の技術では、温度制御系
が速度制御系に依存する構成、即ち、温度制御系と速度
制御系とがカスケード接続されるため、それぞれに最適
な制御系を構成することが困難である。つまり、温度制
御系に適した伝達関数と速度制御系に適した伝達関数と
は、互いに異なっており、温度制御系を速度制御系の従
属構成とすると、温度制御系の設計自由度が速度制御系
の構成に拘束されるからである。
【0022】一方、第3の技術では、不足熱量の制御が
所定の理想パターンに依存するため、環境変化に弱いと
いう欠点がある。即ち、結晶体周辺の熱環境は、装置ご
とに異なり、該各装置の理想パターンが予め導出したパ
ターンからずれる場合が多い。このため、ある装置で好
適な結果が得られた理想パターンであっても、他の装置
では使用できない場合が多く、実用化が困難であった。
【0023】また、理想パターンの導出には、多くの時
間を要するため、装置ごとに理想パターンを作成するこ
とも困難であり、たとえ、作成したとしても引き上げ時
の炉内部品のセッティング、ヒーターおよび黒鉛ルツボ
の経時変化、水温、気温等に左右され、やはり、理想パ
ターンからずれることになる。
【0024】結晶体の引き上げ速度は、結晶体の直径や
ホットゾーンのサイズごとに異なるだけでなく、製造す
る品種によっても異なるため、これらの要素の掛け算分
の理想パターンが必要である。さらに、上記経時変化
は、理想パターンのマイナーチェンジを必要とし、使用
者に理想パターンの度重なる導出を強要する。
【0025】上記のような理想パターンからのずれは、
不足熱量が理想値からずれる原因となり、不足熱量のず
れは、結晶体の成長直径に影響を与える。結晶体の成長
直径が目標値からずれると、当該第3の技術に係る速度
制御系は、結晶体の成長直径を目標値に収束させるべ
く、引き上げ速度を変化させる。その結果、結晶体の直
径は、目標値に収束するが、引き上げ速度が目標値から
ずれ、前述した第2の技術と同様に、直径と速度の2値
制御が達成できなくなる。
【0026】直径制御パラメータ(一般的には、結晶体
の直径と重量)の相違に関係なく、統一した概念で上記
問題点を整理すると、次のようになる。
【0027】まず、結晶体の2値制御は、直径と引き上
げ速度の制御であり、状態変数(例えば、ヒーター温度
やルツボ位置)の変化に応じて、固化重量を一定にする
ヒーター温度の理想パターンは、一次以上の関数であ
る。
【0028】従って、直径と引き上げ速度に定常偏差を
持たせないためには、直径に作用する伝達関数と、引き
上げ速度に作用する伝達関数が二形以上であることが必
要と考える。
【0029】ただし、重量偏差信号は、それ自体に直径
の積分要素を有するため、直径制御に関しては、重量偏
差信号に対して一形制御系を構成すれば、直径要素に対
して二形制御系を構成すると考えられる。前述した従来
の制御系は、直径または直径要素に対して、二形の制御
系を構成しており、直径の定常偏差をなくす機能を有す
る。
【0030】しかし、引き上げ速度から見た伝達関数が
一形の制御系であり、二形の制御系を構成していない。
従って、引き上げ速度にずれが生じ、引き上げ速度に定
常偏差を持つという従来技術に共通の第1の問題点が発
生すると考えられる。
【0031】さらに、上記従来の制御系は、速度制御系
の伝達関数に直径成分に対する積分要素を有し、引き上
げ速度で直径を制御する第1の定値制御PIDを持つ。
そして、該第1の定値制御PIDの操作量に基づいて、
ヒーター温度を操作し、引き上げ速度を制御する第2の
定値制御PIDが該第1の定値制御PIDにカスケード
接続される。このため、2つのPIDが干渉してハンチ
ングする第2の問題点が発生すると考えられる。
【0032】一方、一部の装置では、前記第2の定値制
御PIDの前段または後段に積分要素を持つ制御機能を
追加して、引き上げ速度から見た伝達関数が二形となる
制御系を構成するものがある。しかし、当該構成では、
直径から見た伝達関数が三形となり、積分要素による遅
れが生じる。このため、制御系が不安定となって、ハン
チングする第3の問題点が発生すると考えられる。
【0033】そこで、本発明は、安定した2値制御の達
成に有効な結晶体の2値制御装置を提供することを目的
とする。
【0034】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1記載の発明は、結晶体(10)の引き上げ
速度、即ち、シード上昇速度(SL)の操作量を生成す
るシード上昇速度操作量生成手段(M10)と、該結晶
体(10)周辺の温度を操作する量、即ち、温度操作量
(TC)を生成する温度操作量生成手段(M12)とを
具備し、該結晶体(10)の成長直径、即ち、結晶成長
直径(GD)および前記シード上昇速度(SL)をそれ
ぞれの目標値に収束させる結晶体の2値制御装置におい
て、前記結晶成長直径(GD)の制御に寄与するパラメ
ータ、即ち、直径制御パラメータ(CP)を検出する直
径制御パラメータ検出手段(M14)と、前記直径制御
パラメータ検出手段(M14)が検出した直径制御パラ
メータ(CP)と該直径制御パラメータ(CP)の目標
値との差をとって偏差信号(DEV)を生成する偏差信
号生成手段(M16)とを具備し、前記シード上昇速度
操作量生成手段(M10)は、前記偏差信号生成手段
(M16)が生成した偏差信号(DEV)に基づいて、
前記シード上昇速度(SL)の操作量、即ち、シード上
昇速度操作量(SLC)を生成し、前記温度操作量生成
手段(M12)は、前記偏差信号生成手段(M16)が
生成した偏差信号(DEV)に基づいて、前記温度操作
量(TC)を生成することを特徴とする。
【0035】また、請求項2記載の発明は、請求項1記
載の発明において、前記シード上昇速度操作量生成手段
(M10)は、前記結晶成長直径(GD)の変動履歴に
応答する要素を含まない伝達関数で表現され、前記偏差
信号(DEV)の変動に応じた信号を前記シード上昇速
度操作量(SLC)として出力し、前記温度操作量生成
手段(M12)は、積分要素を含む伝達関数で表現さ
れ、前記偏差信号(DEV)の履歴に応じた信号を前記
温度操作量(TC)として出力することを特徴とする。
【0036】また、請求項3記載の発明は、請求項2記
載の発明において、前記直径制御パラメータ(CP)
は、前記結晶体(10)が成長した重量、即ち、結晶成
長重量(GW)であり、前記シード上昇速度操作量生成
手段(M10)は、微分要素を含む伝達関数で表現さ
れ、前記温度操作量生成手段(M12)は、積分要素を
含む伝達関数1段で表現されることを特徴とする。
【0037】また、請求項4記載の発明は、請求項2記
載の発明において、前記直径制御パラメータ(CP)
は、前記結晶成長直径(GD)であり、前記シード上昇
速度操作量生成手段(M10)は、比例要素を含む伝達
関数で表現され、前記温度操作量生成手段(M12)
は、積分要素を含む伝達関数2段で表現されることを特
徴とする。
【0038】また、請求項5記載の発明は、請求項1記
載の発明において、前記シード上昇速度操作量生成手段
(M10)の伝達関数と前記温度操作量生成手段(M1
2)の伝達関数との比が二形以上の制御系を構成するこ
とを特徴とする。
【0039】また、請求項6記載の発明は、請求項5記
載の発明において、前記シード上昇速度操作量生成手段
(M10)は、前記直径制御パラメータ(CP)の直径
成分に対する比例要素、微分要素およびこれらの組み合
わせから選択して構成され、不足熱量に対する固化重量
を結晶体(10)の断面積と該結晶体(10)の引き上
げ長さの2成分に分配することを特徴とする。
【0040】また、請求項7記載の発明は、請求項5記
載の発明において、前記直径制御パラメータ(CP)
は、前記結晶体(10)が成長した重量、即ち、結晶成
長重量(GW)であり、前記シード上昇速度操作量生成
手段(M10)は、微分要素を含む伝達関数で表現さ
れ、前記温度操作量生成手段(M12)は、積分要素を
含む伝達関数1段で表現されることを特徴とする。
【0041】また、請求項8記載の発明は、請求項5記
載の発明において、前記直径制御パラメータ(CP)
は、前記結晶成長直径(GD)であり、前記シード上昇
速度操作量生成手段(M10)は、比例要素を含む伝達
関数で表現され、前記温度操作量生成手段(M12)
は、積分要素を含む伝達関数2段で表現されることを特
徴とする。
【0042】
【発明の実施の形態】(発明の概要)本発明の特徴は、
偏差信号DEVに基づいて、シード上昇速度操作量SL
Cと温度操作量TCをそれぞれ独立に生成することにあ
る。即ち、シード上昇速度SLの変化による結晶成長直
径GDの迅速な収束と、ヒーター温度の変化による不足
熱量の変動抑制をそれぞれ独立して行う。これにより、
シード上昇速度SLは、結晶成長直径GDの収束に作用
し、温度操作量TCは、不足熱量の変動を抑制して、結
晶成長直径GDの収束作用によって変化したシード上昇
速度SLを収束させる。その結果、結晶成長直径GDと
シード上昇速度SLの2値制御が好適に達成される(図
3参照)。
【0043】(発明プロセス)本発明者は、以下に示す
プロセスを通して、上記従来の課題を解決し得る本発明
を完成させるに至った。
【0044】まず、結晶体の成長直径(以下、「結晶成
長直径GD」という)の変動に影響を与える要因として
は、結晶体の引き上げ速度(以下、「シード上昇速度S
L」という)と、不足熱量が考えられる。ここで、シー
ド上昇速度SLは、種結晶(以下、「シード」という)
を上昇させる移動機構に依存するパラメータであり、比
較的変動しにくいパラメータである。
【0045】これに対し、不足熱量は、ルツボとヒータ
ーとの距離、ホットゾーン部品の設置状態および劣化、
該ホットゾーン部品を冷却する冷却水の水温変化等によ
って変化し、シード上昇速度SLに比べて変動しやすい
パラメータである。
【0046】そこで、結晶成長直径GDの変動の主な原
因は、不足熱量の変動であると仮定し、結晶成長直径G
Dの変動に応じて不足熱量を制御する構成を採用した。
【0047】しかし、不足熱量の制御には、ヒーター温
度の変化という遅れ要素の多い制御手段が用いられるた
め、この構成のみでは、結晶成長直径GDの変動に対す
る応答速度が遅くなる。
【0048】そこで、結晶成長直径GDの変動に対する
応答速度を速くする手段として、結晶成長直径GDの変
動に応じてシード上昇速度SLを変化させる構成を採用
した。ただし、結晶体の2値制御においては、シード上
昇速度SLを所定の目標値に収束させる必要があること
にも留意しなければならない。即ち、結晶体の2値制御
では、結晶成長直径GDとシード上昇速度SLの双方を
所望の目標値に収束させることが重要である。
【0049】ここで、上記思考プロセスを逆行し、シー
ド上昇速度SLが目標値からずれる原因を再度考えてみ
ると、このずれは、結晶成長直径GDの変動を抑えるた
めの該シード上昇速度SLの変化であることがわかる。
さらに、この思考プロセスを逆行すると、結晶成長直径
GDの変動は、不足熱量の変動が原因であることがわか
る。
【0050】従って、不足熱量の変動を解消すれば、結
晶成長直径GDが目標値に収束し、その結果、シード上
昇速度SLも目標値に収束することが予想できる。換言
すると、結晶成長直径GDが目標値と一致しているとき
は、シード上昇速度SLも目標値と一致していることに
なる。即ち、結晶体の2値制御が達成される。
【0051】このように、結晶成長直径GDの変動に応
じて、シード上昇速度SLと不足熱量をそれぞれ独立に
変化させれば、結晶成長直径GDとシード上昇速度SL
の双方を所望の値に収束させることが可能になる。
【0052】次に、本発明者は、シード上昇速度SLを
どのように変化させるかについて検討し、次のような結
論を得た。即ち、シード上昇速度SLは、2値制御の制
御目標であるため、シード上昇速度SLの操作量(以
下、「シード上昇速度操作量SLC」という)が発散方
向に働く要素を当該操作量の生成ブロックに含めること
は好ましくない。発散方向に働く要素として考えられる
のは、過去の変動履歴に応答する要素、即ち、直径偏差
の積分要素と、重量偏差の比例要素および積分要素であ
る。
【0053】従って、シード上昇速度操作量SLCの生
成ブロックは、微分要素と比例要素を用いて構成するこ
とが好適である。この微分要素と比例要素の好適な組み
込み方は、重量式と光学式で若干異なり、具体的な構成
については、後の説明で明らかにする。
【0054】続いて、本発明者は、不足熱量をどのよう
に変化させるかについて検討し、次のような結論を得
た。即ち、不足熱量が変動する主な原因は、ルツボの上
昇であり、ルツボが上昇すると、該上昇した分だけヒー
ターとの距離が離れて、メルトへの供給熱量が減少する
とともに、ルツボおよびメルトからの放出熱が増加する
のである。
【0055】従って、不足熱量の変動を押さえるには、
ルツボが上昇した分だけヒーターの温度を上昇させる必
要がある。前述したヒーター温度の理想パターンは、こ
のような観点から導出され、不足熱量の制御に寄与し得
る。しかし、前述したように、理想パターンのみでは、
環境変化に左右されやすいため、理想パターンのみに依
存しない構成が好適である。
【0056】そこで、本発明者は、理想パターンに代わ
る構成を見出すべく、まず、理想パターンの導出方法を
詳細に検討した。その結果を以下に示す。尚、以下の説
明において、結晶体の育成は、液位一定の条件で行い、
結晶体育成中のルツボの温度は一定とする。
【0057】図1は、一般的な引き上げ装置におけるヒ
ーターとルツボの位置関係を示す断面図である。同図に
示すように、メルト12を収容したルツボ14の周りに
は、該メルト12に熱を供給するヒーター16が配設さ
れる。そして、このような系においては、ヒーター16
からメルト12に向かって、QINの熱量が供給され、
結晶体10、メルト12およびルツボ14からQOUT
の熱量が放出される。
【0058】ルツボ14の高さをL、ヒーター16の上
面からルツボ14の上面までの高さをxとすると、ヒー
ター16とルツボ14の間の熱抵抗は、 ここで:KIN=供給側比例定数; 上式で表すことができる。
【0059】また、ルツボ14と該ルツボ14周辺雰囲
気との間の熱抵抗は、 ここで:KOUT=放出側比例定数; 上式で表すことができる。
【0060】従って、供給側と放出側の熱伝導性(コン
ダクタンス)は、それぞれ、 上記のようになる。
【0061】従って、ヒーター16の温度をT、ルツ
ボ14の温度をTとすると、ヒーター16からルツボ
14に供給される熱量QINと、ルツボ14から放出さ
れる熱量QOUTは、それぞれ、 上記のようになる。
【0062】そして、不足熱量は、 上式で定義される。
【0063】次に、ルツボ14が上昇したときの熱量変
化を考える。即ち、xがΔxだけ変化したときのQIN
およびQOUTの変化量ΔQINおよびΔQOUTは、 上式で表すことができる。
【0064】ここで、QINおよびQOUTがΔQIN
およびΔQOUTだけ変化すると、不足熱量が変動す
る。従って、この変動分をヒーター16の温度で押さえ
るには、 上記の方程式を満たす必要がある。
【0065】続いて、式10から式7を引いて、上記方
程式を展開すると、 上式のようになる。
【0066】この式に式3、式8、式9を代入すると、 となり、これをさらに展開して、 上式を得る。
【0067】そして、この式を積分して、 ここで:C=積分定数; 上式を得る。
【0068】さらに、この式を展開して、 上式を得る。
【0069】そして、x=0のときのTをTとし
て、上式中のCを解くと、 上記のようになる。
【0070】そして、この式を式15に代入して、 ヒーター温度の理想パターンを示す上式を得る。
【0071】図2は、式17で表現されるヒーター温度
の理想パターンを図示するグラフである。同図に示すよ
うに、ヒーター温度の理想パターンは、ルツボ14の上
昇に対してある関数をもって上昇する曲線となる。
【0072】ここで、同図に示す−0.2L〜0.4L
までの範囲が引き上げ領域の一般的な範囲である。従っ
て、ヒーター温度を変化させる範囲は、−0.2L〜
0.4Lまでの範囲でよい。よって、ヒーター温度の理
想パターンは、 上記一次関数の集合で近似可能、即ち、線形区分近似が
可能であることがわかる。
【0073】そこで、本発明者は、上記線形区分近似可
能な温度パターンがフィードバック制御系で生成可能で
あると考え、これを実現する構成を模索した。その課程
を以下に示す。
【0074】まず、前述したように、本発明では、結晶
成長直径GDの変動に応じて不足熱量を制御する構成を
採用するため、温度制御系の入力は、結晶成長直径GD
の変動量に対応した信号(以下、「偏差信号DEV」と
いう)となる。
【0075】前述したように、結晶成長直径GD変動の
主な原因は、不足熱量の変動であり、不足熱量の変動の
主な原因は、ルツボの上昇である。従って、ルツボが上
昇するたびに、上記偏差信号DEVが正の値を持つこと
になる。
【0076】そこで、本発明者は、この偏差信号DEV
の正の値を変動履歴として積算すれば、前記温度パター
ンが生成可能であると考え、多くのシミュレーションと
実験を通じて、偏差信号DEVの積分値が前記温度パタ
ーンとして有効に機能することを明らかにした。このよ
うに、偏差信号DEVから生成された温度パターンは、
引き上げ環境の変化を吸収し、多彩な環境下におけるそ
れぞれの理想パターンに自己整合する。
【0077】直径制御パラメータ(一般的には、結晶体
の直径と重量)の相違に関係なく、統一した概念で本発
明の制御概念を説明すると、次のようになる。
【0078】第1は、直径から見た伝達関数が二形の制
御系を構成することである。第2は、引き上げ速度から
見た伝達関数が二形の制御系を構成することである。
【0079】第3は、不足熱量を制御して固化重量を目
的の重量に合わせる機能は、温度制御系に持たせて、該
温度制御系を不足熱量の制御に最適な態様で構成するこ
とである。換言すると、引き上げ速度の制御には、固化
重量を結晶体の面積と引き上げ長さに分配する機能を持
たせて、直径成分に対する積分要素を含まない構成とす
る。このような構成を実現するために、本発明では、直
径制御パラメーターの偏差を速度制御系と温度制御系に
並列入力する。
【0080】第4は、上記第1乃至第3の概念におい
て、積分要素を最少の段数で構成し、制御系の最も安定
した状態を得ることである。
【0081】本発明は、上記観点から構成された発明で
あり、結晶体2値制御の発展に寄与する技術を提供す
る。
【0082】(第1の形態)本形態は、偏差信号DEV
の並列入力に関する構成を例示する。
【0083】図3は、本発明の第1の形態に係る2値制
御装置の構成を示す概念図である。以下、同図に基づい
て、本発明の第1の形態の構成を説明する。
【0084】結晶体10は、本発明によって製造される
目的物であり、単結晶シリコンやその他、引き上げによ
って製造される各種結晶体が該当する。本発明では、こ
の結晶体10の結晶成長直径GDと、該結晶体10を成
長させる際のシード上昇速度SLとを所望の値に収束さ
せる。
【0085】メルト12は、結晶体10の原料を溶融さ
せた原料融液であり、単結晶シリコンを製造する場合に
は、多結晶シリコンを溶融してこのメルト12を生成す
る。
【0086】ルツボ14は、メルト12を収容する容器
であり、単結晶シリコンの製造では、黒鉛るつぼの内側
に石英るつぼを積層して形成されたものが一般に使用さ
れる。このルツボ14は、メルト12の液位を一定にす
るために、結晶体10の固化量に応じて上昇する。
【0087】ヒーター16は、ルツボ14の外周に配設
され、外部からの制御信号に従って、メルト12への供
給熱量を制御する。この制御の概要を簡単に説明する
と、次のようになる。即ち、ルツボ14の上昇によっ
て、ヒーター16とルツボ14の間の距離が大きくなる
と、メルト12に対する供給熱量が少なくなり、不足熱
量が大きくなる。その結果、結晶体10が固化しやすく
なって、結晶成長直径GDが変動する。この変動を解消
するために、ヒーター16の温度を上昇させて、不足熱
量を所定の値に収束させる。
【0088】シード18は、結晶体10の種となる結晶
であり、結晶体10を成長させる際には、まず、このシ
ード18をメルト12の表面に浸漬し、該浸漬したシー
ド18を静かに回転させながら上方に引き上げる。いわ
ゆるネッキングによる無転位化を行う。その後、該シー
ド18を所定の引き上げ速度、即ち、シード上昇速度S
Lで引き上げて、該シード18の下に結晶体10を成長
させる。結晶体10は、シード18がメルト12に触れ
た際に、メルト12が該シード18を通して熱を失い、
その結果、シード18の下にメルト12が凝固して成長
する。このとき、結晶体10は、シード18の結晶方位
に従って成長する。このシード18は、シードチャック
20を介してワイヤー22に固定され、ワイヤードラム
24の巻き取り動作によって上昇する。
【0089】直径制御パラメータ検出手段M14は、前
記結晶成長直径GDの制御に寄与するパラメータ、即
ち、直径制御パラメータCPを検出し、該検出した値を
偏差信号生成手段M16に出力する。直径制御パラメー
タCPとしては、結晶体10が成長した重量(以下、
「結晶成長重量GW」という)と、結晶成長直径GDが
使用できる。これらのパラメータは、それぞれ、重量セ
ンサ26および直径センサ28を用いて測定可能であ
る。重量センサ26の公知例としては、ロードセルと称
されるひずみゲージ式の荷重測定器があり、一方、直径
センサ28の公知例としては、光学式の長さ測定器があ
る。
【0090】偏差信号生成手段M16は、前記直径制御
パラメータ検出手段M14が検出した直径制御パラメー
タCPと該直径制御パラメータCPの目標値との差をと
って偏差信号DEVを生成し、該生成した偏差信号DE
Vをシード上昇速度操作量生成手段M10と温度操作量
生成手段M12に出力する。具体的には、「直径制御パ
ラメータCP−目標値」が偏差信号DEVとなる。
【0091】ここで、直径制御パラメータCPとして、
結晶成長重量GWを使用する場合には、結晶体10が所
望の形状で成長したときの重量が前記直径制御パラメー
タCPの目標値となる。一方、直径制御パラメータCP
として、結晶成長直径GDを使用する場合には、結晶体
10の所望直径が前記直径制御パラメータCPの目標値
となる。これらの目標値は、結晶体10が成長した長さ
(以下、「結晶成長長さGL」という)に対応させた設
定値をプログラムパターンとして予め記憶しておく。そ
して、偏差信号生成手段M16に入力する値は、実際の
結晶成長長さGLを検出し、該検出した値と前記プログ
ラムパターンとを対応させて決定する。
【0092】シード上昇速度操作量生成手段M10は、
前記偏差信号生成手段M16が生成した偏差信号DEV
に基づいて、シード上昇速度SLの操作量(以下、「シ
ード上昇速度操作量SLC」という)を生成する。
【0093】シード上昇速度SLは、前述した直径制御
パラメータCPの目標値と同様に、所望の目標値が結晶
成長長さGLと対応させて予め記憶される。そして、該
記憶されたシード上昇速度SLの目標値に前記生成され
たシード上昇速度操作量SLCを減算して、シード上昇
速度SLを決定する。ワイヤードラム24は、この決定
されたシード上昇速度SLに基づいて、ワイヤー22を
巻き取る。その結果、シード18および結晶体10は、
該シード上昇速度SLで上昇する。
【0094】ここで、シード上昇速度SLは、2値制御
の制御対象であるため、可能な限り速く目標値に収束さ
せる必要がある。従って、シード上昇速度操作量生成手
段M10は、結晶成長直径GDの変動履歴に応答する要
素を含まないことが重要である。即ち、結晶成長直径G
Dの変動履歴に応答する要素は、結晶成長直径GDが一
度でも変動すると、その後、定値を出力し続けるため、
シード上昇速度SLが発散するからである。
【0095】温度操作量生成手段M12は、前記偏差信
号生成手段M16が生成した偏差信号DEVに基づい
て、結晶体10周辺の温度を操作する量(以下、「温度
操作量TC」という)を生成する。この温度操作量TC
の生成には、前述の発明プロセスで説明したように、積
分要素が利用される。これにより、環境の変化を吸収し
たヒーター16温度の理想的なパターンが温度操作量T
Cとして生成される。
【0096】従って、ヒーター温度の理想パターンを予
め導出し、結晶成長長さGLに対応させて記憶しておく
必要はなく、上記温度操作量TCが自己整合的にヒータ
ー温度の理想パターンを形成する。尚、本発明は、予め
導出したヒーター温度の理想パターンを補助的に使用す
ることを除外するものではない。即ち、本発明では、予
め導出したヒーター温度の理想パターンを上記温度操作
量TCに加算して、ヒーター16の温度を決定してもよ
い。このような構成により、結晶成長直径GDの変化が
急峻な部分、例えば、肩広げ初期や肩決め直下の好適な
制御が期待できる。
【0097】ここで、図3に示したシード上昇速度操作
量生成手段M10と温度操作量生成手段M12の接続形
態に着目すると、これらは、偏差信号生成手段M16に
並列接続された構成となっている。そこで、このような
並列接続構成が結晶成長直径GDとシード上昇速度SL
の2値制御に有効であるか否かを考察する。
【0098】まず、シード上昇速度操作量生成手段M1
0の伝達関数をG(s)、温度操作量生成手段M12
の伝達関数をG(s)とし、引き上げ速度から見た伝
達関数、即ち、これらの並列構成の合成伝達関数G
(s)をG(s)/G(s)で定義する。
【0099】次に、偏差信号DEVをE(s)、直径制
御パラメータCPの変化をR(s)とすると、偏差伝達
関数は、 上記のようになる。
【0100】従って、定常偏差は、 上式で表現できる。
【0101】前述の発明プロセスで説明したように、ヒ
ーター温度の理想パターンは、図2に示すような曲線で
変化する。従って、ヒーター温度の理想パターンが不足
熱量を一定にするパターンであることを考慮すると、該
パターンが不足熱量の変化を表し、結晶成長直径GDの
変動がこのパターンにおよそ従うと考えることができ
る。よって、直径制御パラメータCPの変化R(s)
は、一次関数で近似可能である。
【0102】R(s)を一次関数で表すと、1/s
なるので、式20は、 上記のように展開できる。
【0103】従って、定常偏差εが0に収束するG
(s)は、 ここで:A、A、B、B、C、C、D
=ラプラス演算子sを含まない任意の変数;x=前
記任意の変数から取り出し可能なラプラス演算子sの乗
数; 上式を満たす必要がある。
【0104】本発明では、このラプラス演算子sの乗数
xに対応して、制御系の形式をx形と定義する。例え
ば、x=2の制御系は、二形制御系であり、x=3の制
御系は、三形制御系である。従って、二形以上の制御系
を構成すれば、定常偏差が0に収束し、結晶成長直径G
Dとシード上昇速度SLの2値制御が達成できる。換言
すると、本発明に係る2値制御系は、並列二形制御系で
あると言える。
【0105】従って、シード上昇速度操作量生成手段M
10と温度操作量生成手段M12については、偏差信号
生成手段M16に対して並列に接続するとともに、これ
らの伝達関数の比が二形以上の制御系となるように、そ
れぞれの伝達関数を決定する。
【0106】以上説明した本発明の第1の形態によれ
ば、シード上昇速度操作量SLCおよび温度操作量TC
が偏差信号DEVに基づいて生成されるため、シード上
昇速度SLを結晶成長直径GDの収束手段として使用
し、ヒーターの温度をシード上昇速度SLの収束手段と
してそれぞれ独立に使用することができる。その結果、
結晶成長直径GDとシード上昇速度SLの2値制御が自
己整合的に達成できる。さらに、このような偏差信号D
EVを速度制御系と温度制御系に並列入力する構成によ
れば、それぞれの制御に適した伝達関数を独立して使用
することができるため、安定した2値制御が可能とな
る。
【0107】(第2の形態)本発明の第2の形態は、重
量式引き上げ装置への本発明の適用可能性を例示する。
【0108】図4は、本発明の第2の形態に係る2値制
御装置の構成を示すブロック図である。以下、同図
(a)に基づいて、本発明の第2の形態の構成を説明す
る。尚、前述した第1の形態に準ずる構成要素について
は、同一符号を付して説明を省略し、以下の説明では、
第1の形態と異なる部分を主に説明する。
【0109】直径制御パラメータ検出手段M14は、結
晶成長重量GWを直径制御パラメータCPとして検出
し、該検出した値を偏差信号生成手段M16に出力す
る。
【0110】偏差信号生成手段M16は、直径制御パラ
メータ検出手段M14が検出した結晶成長重量GWと該
結晶成長重量GWの目標値との差(以下、「重量偏差G
WD」という)を生成し、該生成した重量偏差GWDを
シード上昇速度操作量生成手段M10と温度操作量生成
手段M12に出力する。
【0111】シード上昇速度操作量生成手段M10は、
微分項を含む伝達関数で表現され、重量偏差GWDの変
動に応じた信号をシード上昇速度操作量SLCとして出
力する。シード上昇速度操作量生成手段M10を微分要
素で構成した理由は、前述の発明プロセスで説明したよ
うに、シード上昇速度SLを結晶成長直径GDの収束手
段として使用するからである。
【0112】即ち、結晶成長直径GDが変動すると、結
晶成長重量GWの変化率が変動し、該変動に追従して重
量偏差GWDが変化する。従って、重量偏差GWDの変
化は、結晶成長直径GDの変動を意味するため、重量偏
差GWDの変化に応じてシード上昇速度SLを変化させ
れば、結晶成長直径GDを目標値に収束させることがで
きる。微分要素は、重量偏差GWDの変化を捉えて、該
変化の量に応じた信号を出力するため、シード上昇速度
操作量SLCの生成手段として好適である。
【0113】ここで、シード上昇速度SLが2値制御の
制御対象であることに留意する必要がある。即ち、重量
偏差GWDに応じてシード上昇速度SLを変化させた場
合には、重量偏差GWDを0にすることで該シード上昇
速度SLを即座に目標値に戻す必要がある。この目標値
に戻るまでの時間が長いと、結晶体10の品質に影響す
るからである。
【0114】従って、シード上昇速度操作量生成手段M
10に結晶成長直径GDの変動履歴に応答する要素を含
めることは好ましくない。当該要素は、シード上昇速度
SLを発散させる方向に作用するからである。重量式の
場合、この要素に該当するのは、積分要素と比例要素で
ある。
【0115】積分要素は、重量偏差GWDの値を積算し
てゆくため、一旦、重量偏差GWDが値を持つと、シー
ド上昇速度SLが発散する。比例要素は、以下のように
作用する。
【0116】即ち、重量偏差GWDは、結晶成長重量G
Wが結晶体10の全体が所望形状で成長したときの目標
値と比較されて生成された信号であるため、ルツボ14
の上昇によって発生する不足熱量の増加は、単位時間当
たりの固化重量を増加させる。即ち、重量偏差GWDが
増加する。シード上昇速度操作量生成手段M10の微分
要素は、重量偏差GWDの増加を鋭く捉え、温度の上昇
による働きとともに重量偏差GWDの勾配を無くす方向
に作用する。この勾配が0になるまでの間(シード上昇
速度操作量が0になるまでの間)、重量偏差GWDの値
が蓄積される。その結果、重量偏差GWDは、長い引き
上げ時間の間では、例えば、数時間ごとの階段状変化と
して増加してゆく(図6(a)参照)。
【0117】結晶成長直径GDとシード上昇速度SLの
2値制御では、このように増加した重量偏差GWDを0
にするよりも、結晶成長直径GDとシード上昇速度SL
を目標値に収束させることが重要である。比例要素は、
重量偏差GWDを0に収束させる方向に作用し、シード
上昇速度SLの不要な変化をもたらす。
【0118】このことを別の観点から述べると、重量偏
差GWDが0にならなくても、重量偏差GWDの勾配が
0になれば、結晶成長直径GDは目標値に収束する。従
って、重量偏差GWDを過去の履歴に遡って補償する必
要はない。本発明では、この重量偏差GWDの履歴が以
後の引き上げプロセスにおいて温度の操作量を決定する
情報となる。
【0119】温度操作量生成手段M12は、積分項を含
む伝達関数で表現され、重量偏差GWDの履歴に応じた
信号を前記温度操作量TCとして出力する。温度操作量
生成手段M12に積分要素を含める理由は、前述の発明
プロセスで説明した通りである。尚、この温度操作量生
成手段M12については、微分要素および比例要素が弊
害となることはなく、同図に示すように、PIDとして
使用可能である。
【0120】次に、この第2の形態の構成が二形以上の
制御系を構成するか否かを検証する。尚、以下の説明で
は、K=速度変換定数、K=温度変換定数、TDV
=速度制御系微分時間、TDT=温度制御系微分時間、
IV=速度制御系積分時間、TIT=温度制御系積分
時間、α=速度制御系微分係数、α=温度制御系微
分係数とする。
【0121】まず、シード上昇速度操作量生成手段M1
0の伝達関数G(s)の完全微分形を考えてみると、
該G(s)は、 上記のように表現できる。
【0122】一方、G(s)は、PIDであるので、 上記のようになる。
【0123】従って、合成伝達関数G(s)は、 上式のようになり、Sが分母に存在するので、当該構
成は、二形であることがわかる。
【0124】次に、シード上昇速度操作量生成手段M1
0の伝達関数G(s)の不完全微分形を考えてみる
と、該G(s)は、 上記のように表現できる。
【0125】一方、G(s)は、PIDであるので、 上記のようになる。
【0126】従って、合成伝達関数G(s)は、 上式のようになり、Sが分母に存在するので、当該構
成は、二形であることがわかる。
【0127】ここで、同図(a)に示すブロック図は、
同図(b)に示すブロック図に変換することができる。
この同図(b)に示すブロック構成は、同図(a)に示
すブロック構成と同様に、結晶成長直径GDの制御に関
して二形制御系であるとともに、シード上昇速度SLの
制御に関しても二形制御系であることがわかる。さら
に、図4(a)に示す構成は、最少の積分要素で目的を
達成しているため、安定な制御系となることがわかる。
【0128】以上、微分要素が完全微分および不完全微
分の双方で二形制御系となることが確認できた。従っ
て、以後、二形制御系であるか否かを確認する際には、
制御系で一般的に使用される不完全微分のみを考察す
る。
【0129】次に、積分要素を多段接続した場合につい
て考えてみる。
【0130】まず、図4の温度操作量生成手段M12の
PIDブロックに積分要素をカスケード接続した場合に
ついて考えてみると、当該構成の合成伝達関数G(s)
も三形の制御系になり、理想ヒーター温度のパターンが
一次以上の関数であっても、シード上昇速度SLは定常
偏差なく収束する。従って、温度操作量生成手段M12
を2段以上の積分要素で構成することも有効である。た
だし、積分要素の段数を増加した場合には、ハンチング
が起こりやすくなるため、安定した制御系を構築したい
場合には、積分要素を最小の段数とすることが好まし
い。
【0131】図5は、本発明の第2の形態の変形例を示
すブロック図である。同図に示すように、シード上昇速
度操作量生成手段M10は、1次微分要素D1と2次微
分要素D2の和で構成することができる。以下、同図に
示す構成が二形以上の制御系を構成するか否かを検証す
る。
【0132】まず、シード上昇速度操作量生成手段M1
0の伝達関数G(s)の不完全微分形を考えてみる
と、該G(s)は、 上記のように表現できる。
【0133】G(s)は、式27と同じであるため、
合成伝達関数G(s)は、 上式のようになり、Sが分母に存在するので、当該構
成は、二形であることがわかる。また、結晶成長直径G
Dの制御に関して二形制御系であるとともに、シード上
昇速度SLの制御に関しても二形制御系であることがわ
かる。さらに、当該各構成は、最少の積分要素で目的を
達成しているため、安定な制御系となることがわかる。
【0134】図6は、本発明の第2の形態の作用を説明
する模式的タイムチャートである。同図(a)は、重量
偏差GWDの挙動を示し、同図(b)は、該重量偏差G
WDの挙動に基づいて生成されたシード上昇速度操作量
SLCと、温度操作量TCの変化を示す。以下、この図
6に基づいて、第2の形態の作用を説明する。
【0135】まず、ルツボ14が上昇すると、供給熱量
と放出熱量の均衡がくずれて、不足熱量が大きくなる。
その結果、結晶体10が固化しやすくなり、結晶成長重
量GWが増加する。結晶成長重量GWが増加すると、同
図(a)に示すように、重量偏差GWDが増加する。
【0136】シード上昇速度操作量生成手段M10は、
重量偏差GWDを微分して、同図(b)に示すような重
量偏差GWDの変化に対応した操作量、即ち、シード上
昇速度操作量SLCを生成する。その結果、結晶成長直
径GDが目標値に向かって収束し始める。
【0137】同時に、温度操作量生成手段M12は、重
量偏差GWDを積分して、温度操作量TCを増加させ
る。その結果、該温度操作量TCの増加に応じて、ヒー
ター16の温度が上昇し、不足熱量が変動前の値に近づ
いてゆく。
【0138】不足熱量が所定値に近づくにつれて、結晶
体10の固化しやすさが元に戻り、重量偏差GWDの増
加がやわらぐ。その結果、シード上昇速度操作量SLC
が減少し、結晶成長直径GDが目標値に収束した時点で
0になる。即ち、結晶成長直径GDとシード上昇速度S
Lが目標値に収束する。この状態が続くと、重量偏差G
WDは定値で安定し、同図(a)の水平部分の出力とな
る。
【0139】そして、再び、ルツボ14の上昇によっ
て、不足熱量が大きくなると、上記のような作用を繰り
返し、結晶成長直径GDとシード上昇速度SLを目標値
に収束させる。
【0140】上記作用の繰り返しによる挙動パターンを
同図に示したタイムチャートに基づいて説明すると、ま
ず、重量偏差GWDは、結晶成長直径GDの挙動に応じ
て、増加と安定を繰り返し、同図(a)に示すような階
段状の出力となる。一方、シード上昇速度操作量SLC
は、重量偏差GWDの勾配に反応して増加し、重量偏差
GWDが安定方向に向かうと0に収束する作用を繰り返
し、同図(b)のSLCに示すような出力となる。他
方、温度操作量TCは、重量偏差GWDの大きさに応じ
た傾きで増加し、同図(b)のTCに示すような温度パ
ターンを出力する。換言すると、この温度パターンは、
重量偏差GWDの履歴の積算値として出力されるパター
ンであり、結晶成長系の複雑な環境変化を吸収した理想
的なパターンとなる。
【0141】尚、同図に示したタイムチャートは、実際
の成長モデルを簡易化して示したものであり、実際の挙
動は、同図に示すものよりも複雑となる。
【0142】以上説明した本発明の第2の形態によれ
ば、重量偏差GWDの変動に応じて、シード上昇速度操
作量SLCが生成され、温度操作量TCが自己整合的に
ヒーター温度の理想パターンを形成するため、シード上
昇速度SLの変動を最小限に押さえた構成で結晶成長直
径GDの収束が期待できる。その結果、好適な2値制御
が達成される。
【0143】ここで、補足説明として、再度、シード上
昇速度SLの比例要素の不利益な作用について述べる。
重量偏差がある値を持って安定しているとき(一定値)
は、温度の操作量が一定の勾配で増加して安定してい
る。ここで、重量偏差を0に収束させる比例要素は、温
度の操作量の一定勾配の増加を止め、その傾きを減少さ
せる。このため、比例要素を含む速度制御系は、温度を
上げなければならないときに温度を下げる方向に作用
し、制御系が不安定となってハンチングを起こすと考え
られる。
【0144】(第3の形態)本発明の第3の形態は、光
学式引き上げ装置への本発明の適用可能性を例示する。
【0145】図7は、本発明の第3の形態に係る2値制
御装置の構成を示すブロック図である。以下、同図に基
づいて、本発明の第3の形態の構成を説明する。尚、前
述した第1の形態に準ずる構成要素については、同一符
号を付して説明を省略し、以下の説明では、第1の形態
と異なる部分を主に説明する。
【0146】直径制御パラメータ検出手段M14は、結
晶成長直径GDを直径制御パラメータCPとして検出
し、該検出した値を偏差信号生成手段M16に出力す
る。
【0147】偏差信号生成手段M16は、直径制御パラ
メータ検出手段M14が検出した結晶成長直径GDと該
結晶成長直径GDの目標値との差(以下、「直径偏差G
DD」という)を生成し、該生成した直径偏差GDDを
シード上昇速度操作量生成手段M10と温度操作量生成
手段M12に出力する。
【0148】シード上昇速度操作量生成手段M10は、
比例項を含む伝達関数で表現され、直径偏差GDDに応
じた信号をシード上昇速度操作量SLCとして出力す
る。シード上昇速度操作量生成手段M10を比例要素で
構成した理由は、直径偏差GDDが0となったときに結
晶成長直径GDが目標値となるからである。
【0149】ここで、シード上昇速度SLが2値制御の
制御対象であることに留意すると、直径偏差GDDの増
加によって変化させたシード上昇速度SLは、即座に目
標値に戻す必要がある。前述したように、この目標値に
戻るまでの時間が長いと、結晶体10の品質に影響する
からである。
【0150】従って、シード上昇速度操作量生成手段M
10に結晶成長直径GDの変動履歴に応答する要素を含
めることは好ましくない。当該要素は、シード上昇速度
SLを発散させる方向に作用するからである。光学式の
場合、この要素に該当するのは、直径偏差GDDの値を
積算する積分要素である。
【0151】温度操作量生成手段M12は、積分項を含
む伝達関数で表現され、直径偏差GDDの履歴に応じた
信号を前記温度操作量TCとして出力する。温度操作量
生成手段M12に積分要素を含める理由は、前述の発明
プロセスで説明した通りである。尚、この温度操作量生
成手段M12については、微分要素および比例要素が弊
害となることはなく、同図に示すように、PIDとして
使用可能である。
【0152】次に、この第3の形態の構成が二形以上の
制御系を構成するか否かを検証する。まず、シード上昇
速度操作量生成手段M10の伝達関数G(s)は、 上記のようになる。
【0153】そして、G(s)は、 上記のようになる。
【0154】従って、合成伝達関数G(s)は、 上式のように表現でき、Sが分母に存在するので、当
該構成は、二形であることがわかる。また、結晶成長直
径GDの制御に関して二形制御系であるとともに、シー
ド上昇速度SLの制御に関しても二形制御系であること
がわかる。さらに、当該各構成は、最少の積分要素で目
的を達成しているため、安定な制御系となることがわか
る。
【0155】温度操作量生成手段M12のPIDブロッ
クに積分要素を3段以上カスケード接続した構成につい
ては、前述した第2の形態と同様に、三形となるため、
理想ヒーター温度のパターンが一次以上の関数であって
もシード上昇速度SLは定常偏差なく収束する。ただ
し、積分要素の段数増加は、ハンチングの原因となるた
め、注意が必要である。
【0156】図8は、本発明の第3の形態の変形例を示
すブロック図である。同図に示すように、シード上昇速
度操作量生成手段M10は、比例要素と微分要素の和で
構成することができる。以下、同図に示す構成が二形以
上の制御系を構成するか否かを検証する。
【0157】まず、シード上昇速度操作量生成手段M1
0の伝達関数G(s)は、 上記のように表現できる。
【0158】G(s)は、式32と同じであるため、
合成伝達関数G(s)は、 上式のようになり、Sが分母に存在するので、当該構
成は、二形であることがわかる。また、結晶成長直径G
Dの制御に関して二形制御系であるとともに、シード上
昇速度SLの制御に関しても二形制御系であることがわ
かる。さらに、当該各構成は、最少の積分要素で目的を
達成しているため、安定な制御系となることがわかる。
【0159】図9は、本発明の第3の形態の作用を説明
する模式的タイムチャートである。同図(a)は、直径
偏差GDDの挙動を示し、同図(b)は、該直径偏差G
DDが積分要素1段通過した後の出力を示し、同図
(c)は、該直径偏差GDDの挙動に基づいて生成され
たシード上昇速度操作量SLCと、温度操作量TCの変
化を示す。以下、この図9に基づいて、第3の形態の作
用を説明する。
【0160】まず、ルツボ14が上昇すると、供給熱量
と放出熱量の均衡がくずれて、不足熱量が大きくなる。
その結果、結晶体10が固化しやすくなり、結晶成長直
径GDが増加する。結晶成長直径GDが増加すると、同
図(a)に示すように、直径偏差GDDが増加する。
【0161】シード上昇速度操作量生成手段M10の比
例要素は、直径偏差GDDを定数倍して、同図(c)に
示すような直径偏差GDDの大きさに対応した操作量を
生成する。その結果、結晶成長直径GDが目標値に向か
って収束し始める。
【0162】同時に、温度操作量生成手段M12は、直
径偏差GDDを積分して、結晶成長直径GDの変動履歴
を積算値として生成する。そして、さらに、この積算値
を積分して、温度操作量TCを増加させる。その結果、
該温度操作量TCの増加に応じて、ヒーター16の温度
が上昇し、不足熱量が変動前の値に近づいてゆく。
【0163】不足熱量が所定値に近づくにつれて、結晶
体10の固化しやすさが元に戻り、直径偏差GDDの増
加がやわらぐ。その結果、シード上昇速度操作量SLC
が減少し、結晶成長直径GDが目標値に収束した時点で
0になる。即ち、結晶成長直径GDとシード上昇速度S
Lが目標値に収束する。この状態が続くと、直径偏差G
DDは0で安定し、同図(a)の水平部分の出力とな
る。
【0164】そして、再び、ルツボ14の上昇によっ
て、不足熱量が大きくなると、上記のような作用を繰り
返し、結晶成長直径GDとシード上昇速度SLを目標値
に収束させる。
【0165】上記作用の繰り返しによる挙動パターンを
同図に示したタイムチャートに基づいて説明すると、ま
ず、直径偏差GDDは、結晶成長直径GDの挙動に応じ
て、増加と安定を繰り返し、同図(a)に示すような出
力となる。従って、直径偏差GDDに応答するシード上
昇速度操作量SLCは、同図(c)のSLCのようにな
る。
【0166】一方、直径偏差GDDの積分値は、直径偏
差GDDが変動するたびに積算されて、同図(b)に示
すような階段状の出力となる。その結果、温度操作量T
Cは、直径偏差GDDの積分値、即ち、同図(b)に示
す積分出力値に応じた傾きで増加し、同図(c)のTC
に示すような温度パターンを出力する。換言すると、こ
の温度パターンは、直径偏差GDDの履歴の積算値とし
て出力されるパターンであり、結晶成長系の複雑な環境
変化を吸収した理想的なパターンとなる。
【0167】尚、同図に示したタイムチャートは、実際
の成長モデルを簡易化して示したものであり、実際の挙
動は、同図に示すものよりも複雑となる。
【0168】以上説明した本発明の第3の形態によれ
ば、直径偏差GDDの大きさに応じたシード上昇速度操
作量SLCが生成され、温度操作量TCが自己整合的に
ヒーター温度の理想パターンを形成するため、シード上
昇速度SLの変動を最小限に押さえた構成で結晶成長直
径GDの収束が期待できる。その結果、好適な2値制御
が達成される。
【0169】ここで、補足的説明として、本形態でシー
ド上昇速度SLに積分要素を持った場合、シード上昇速
度SLの積分要素の不利益な点について述べる。直径偏
差が0で安定していても過去に直径偏差を持った履歴が
あると、該積分要素は、操作量を持つ。従って、直径と
引き上げ速度の両方が目標値に収束した安定状態を得る
ことができないと考えられる。過去の履歴において、直
径偏差の正方向の積分値と負方向の積分値が一致してキ
ャンセルアウトする条件であれば、2値制御可能である
といえるが、引き上げ法による理想温度パターンは、前
述のように一定ではなく、最低一次関数的に増加するた
め、このような条件は存在しないと考えられる。
【0170】たとえ、前述の従来技術で説明した第3の
技術のように、ヒーター温度の理想パターンを併用した
としても、理想パターンは、結晶引き上げのバッチごと
に異なるため、正方向の積分値と負方向の積分値を一致
させて、キャンセルアウトすることは、事実上困難であ
ると考えられる。
【0171】
【実施例】(要約)重量偏差GWDをD型速度操作アン
プ72とPID型温度操作アンプ74に並列入力し、シ
ード上昇速度操作量SLCと温度操作量TCをそれぞれ
独立に生成する。該シード上昇速度操作量SLCは、シ
ード上昇速度SLを変化させて結晶成長直径GDを収束
させ、温度操作量TCは、ヒーター温度を変化させて不
足熱量を所定値に収束させる(図13参照)。
【0172】(好適な実施例)図10は、本発明の好適
な実施例に係る結晶体の2値制御装置の構成を示す一部
断面図である。以下、同図に基づいて、該2値制御装置
の構成を説明する。この実施例では、重量式と光学式を
同時に説明し、本発明がいずれの方法でも実施可能であ
ることを明確にする。尚、前述の発明の実施形態で説明
した構成要素については、同一符号を付して詳細説明を
省略する。また、以下の説明において、信号名の後ろに
付加した<>は、単位を示すものとする。
【0173】主制御部30は、シード制御部32と、ル
ツボ制御部48と、ヒーター制御部34とを駆使して、
結晶成長直径GDとシード上昇速度SLの2値制御を実
行する。この主制御部30は、該2値制御を達成するた
めに、シード上昇速度SLと、ルツボの上昇速度と、ヒ
ーターの温度を決定し、該決定した値をシード制御部3
2と、ルツボ制御部48と、ヒーター制御部34にそれ
ぞれ出力する。さらに、この主制御部30は、メルト1
2の液位を一定にするために、結晶体10の成長に伴っ
て、ルツボ14を所定の比率で上昇させる液位一定制御
を行う。尚、この液位一定制御は、公知の技術であるた
め、その詳細については省略し、以下の説明では、シー
ド18の上昇高さが結晶成長長さGLと等価であるもの
として説明する。
【0174】シード制御部32は、シード18の昇降お
よび回転に関する制御機構と結晶成長重量GWを測定す
る重量センサ26を有し(図11参照)、主制御部30
が決定したシード上昇速度SLでシード18を上昇させ
る。
【0175】ルツボ制御部48は、ルツボ14の昇降お
よび回転に関する制御機構を有し(図11参照)、主制
御部30が決定した速度でルツボ14を上昇させる。
【0176】ヒーター制御部34は、主制御部30の出
力HPWR<volt>信号に基づいて、HCNT<W
/h>信号を生成し、該生成した信号をヒーター16に
出力する。その結果、ヒーター16は、HCNT<W/
h>に応じて発熱し、ルツボ14に熱量が供給される。
【0177】直径センサ28は、メルト12の上方に配
設され、結晶成長直径GDを光学的に検出する。そし
て、該検出した値をGD<volt>信号として主制御
部30に出力する。この直径センサ28は、光学式の場
合に使用する。
【0178】保温筒40は、ヒーター16の外周に配設
され、ヒーター16から放出された熱をその内側に保持
し、ルツボ14への供熱効率を向上させる。
【0179】温度センサ42は、保温筒40の内部に配
設され、保温筒40周辺温度を検出する。そして、該検
出した温度をTMP<volt>信号として主制御部3
0に出力する。尚、この温度センサ42に代えて、保温
筒40の周辺に放射温度計を配設し、保温筒40の内側
を構成するシールド材の温度を測定してもよい。
【0180】チャンバー38は、結晶体10と、ルツボ
14やヒーター16等のホットゾーン部品をその内部に
気密収容する。このチャンバー38内には、アルゴンガ
スが供給される。
【0181】ルツボシャフト46は、ルツボ支持台44
の下面に固定され、ルツボ制御部48から供給された動
力によって、昇降および回転する。ルツボ支持台44
は、ルツボ14をその上面に載置し、ルツボシャフト4
6の上下動および回転に追従して移動する。その結果、
ルツボ14が昇降および回転する。
【0182】図11は、図10に示したシード制御部3
2とルツボ制御部48の構成を示すブロック図である。
以下、同図に基づいて、シード制御部32とルツボ制御
部48の構成を説明する。
【0183】第1モーターアンプ54−1は、主制御部
30の出力SL<volt>信号を設定信号として受け
取り、第1ギア52−1の回転速度を参照しながらモー
ター駆動電力SCNT<volt>を生成する。そし
て、該生成した信号を第1モーター50−1に出力す
る。
【0184】第1モーター50−1は、第1モーターア
ンプ54−1の出力SCNTに応じて第1ギア52−1
を回転させる。その結果、ワイヤードラム24が回転し
て、ワイヤー22が巻き取られ、シード18が上昇す
る。尚、シード18を下降させる場合には、第1モータ
ー50−1を逆回転させる。
【0185】第1ロータリーエンコーダ56−1は、第
1ギア52−1の回転速度をパルス信号に変換して、第
1パルスカウンタ58−1に出力する。第1パルスカウ
ンタ58−1は、第1ロータリーエンコーダ56−1か
ら受信したパルス信号を計数し、この計数した結果をS
LH信号(シード上昇高さ)として主制御部30に出力
する。尚、シード18が下降しているときは、第1パル
スカウンタ58−1の計数値がデクリメントされる。
【0186】シード制御部32内には、同図に示した構
成の他、シード18を回転させる構成が設けられる。こ
の構成は、上述したシード18を上昇させる構成に準ず
るものであり、ここでは説明を省略する。
【0187】第2モーターアンプ54−2は、主制御部
30の出力CL<volt>信号を設定信号として受け
取り、第2ギア52−2の回転速度を参照しながらモー
ター駆動電力CCNT<volt>を生成する。そし
て、該生成した信号を第2モーター50−2に出力す
る。
【0188】第2モーター50−2は、第2モーターア
ンプ54−2の出力CCNTに応じて第2ギア52−2
を回転させる。その結果、ルツボシャフト46が上方向
に移動して、ルツボ14が上昇する。尚、ルツボ14を
下降させる場合には、第2モーター50−2を逆回転さ
せる。
【0189】ルツボ制御部48内には、同図に示した構
成の他、ルツボ14を回転させる構成が設けられる。こ
の構成は、上述したルツボ14を上昇させる構成に準ず
るものであり、ここでは説明を省略する。
【0190】図12は、図10に示したヒーター制御部
34の構成を示すブロック図である。同図に示すよう
に、ヒーター制御部34は、サイリスタと電力センサを
用いたフィードバック制御系で構成される。このような
構成は、周知の技術であるため、詳細な説明は省略す
る。
【0191】図13は、図10に示した主制御部30の
重量式に係る第1ブロックの構成を示すブロック図であ
る。以下、同図を用いて、この重量式に係る第1ブロッ
クの構成を説明する。尚、以下の説明では、伝達関数に
含まれるパラメータを次のように統一して使用する。
【0192】K=速度変換定数、K=温度変換定
数、TDV=速度制御系微分時間、T DT=温度制御系
微分時間、TIV=速度制御系積分時間、TIT=温度
制御系積分時間、α=速度制御系微分係数、α=温
度制御系微分係数、P=速度制御系比例ゲイン、P
=温度制御系比例ゲイン。
【0193】第1アンプ66−1は、デジタル入力信号
SLHをSLH<mm>に変換し、該SLH<mm>を
結晶成長長さGL<mm>とし、該生成した値を第1演
算実行部68−1と、目標直径決定部78と、図14に
示す目標速度決定部80に出力する。尚、上記第1アン
プ66−1および第3アンプ66−3の後段は、ソフト
ウェアで構成する。
【0194】目標直径決定部78は、結晶成長長さGL
に対応する目標直径をプログラムパターンとして予め記
憶し、GL<mm>を該プログラムパターンに当てはめ
て、該当する目標直径を決定する。そして、該決定した
値をGD(GL)<mm>として第1演算実行部68−
1と、図14に示す第2演算実行部68−2に出力す
る。
【0195】第1演算実行部68−1は、 ここで:Dcrystal=結晶体10の比重;π=円
周率;GL=結晶成長長さ;GD(GL)=目標直径; 上記演算を実行して、前記目標直径に対応する目標重量
を予測する。そして、該予測した重量GPW<g>を第
2減算器70−2に出力する。
【0196】第3アンプ66−3は、アナログ入力信号
GW<volt>をGW<g>に変換し、該GW<g>
を第2減算器70−2およびルツボ直径決定部82に出
力する。この第3アンプ66−3の後段は、ソフトウェ
アで構成する。
【0197】第2減算器70−2は、GPW<g>とG
W<g>の差をとって、重量偏差GWD<g>を生成
し、該生成した値をD型速度操作アンプ72と、PID
型温度操作アンプ74に出力する。
【0198】D型速度操作アンプ72は、 上記伝達関数でGWD<g>を処理して、シード上昇速
度操作量SLC<mm/min>を生成する。そして、
該生成した値を図14に示す第5減算器70−5に出力
する。
【0199】PID型温度操作アンプ74は、 上記伝達関数でGWD<g>を処理して、温度操作量T
C<℃>を生成する。そして、該生成した値を図15に
示す第3減算器70−3に出力する。
【0200】図14は、図10に示した主制御部30の
重量式に係る第2ブロックの構成を示すブロック図であ
る。以下、同図を用いて、この重量式に係る第2ブロッ
クの構成を説明する。
【0201】目標速度決定部80は、結晶成長長さGL
に対応する目標速度をプログラムパターンとして予め記
憶し、GL<mm>を該プログラムパターンに当てはめ
て、該当する目標速度を決定する。そして、該決定した
値をSL(GL)<mm>として第5減算器70−5に
出力する。
【0202】第5減算器70−5は、SL(GL)<m
m/min>とSLC<mm/min>との差をとっ
て、シード上昇速度SL<mm/min>を生成する。
そして、該生成した値を第4アンプ66−4と第2演算
実行部68−2に出力する。
【0203】第4アンプ66−4は、上記第5減算器7
0−5の出力をアナログ信号SL<volt>に変換
し、図11に示す第1モーターアンプ54−1に出力す
る。この第4アンプ66−4の後段は、ハードウェアで
構成する。
【0204】ルツボ直径決定部82は、ルツボ14の深
さと該深さにおけるルツボ14の直径とを対応させて予
め記憶し、該記憶内容に基づいて、メルト12の液面と
接する部分のルツボ直径を決定する。具体的には、第3
アンプ66−3の出力GW<g>を前記記憶したルツボ
14の深さに対応させて、該当するルツボ14の直径を
割り出す。そして、該決定した直径CI(GL)<mm
>を第2演算実行部68−2に出力する。
【0205】第2演算実行部68−2は、 ここで:Dcrystal=結晶体10の比重;GD
(GL)=目標直径;Dmelt=メルト12の比重;
CI(GL)=メルト12の液面が接触した部分のルツ
ボ14の直径;SL=シード上昇速度; 上記比率演算を実行して、液位を一定にするために必要
なルツボ上昇速度CL<mm/min>を算出する。そ
して、該算出した値を第5アンプ66−5に出力する。
【0206】第5アンプ66−5は、CL<mm/mi
n>をアナログ信号CL<volt>に変換し、図11
に示す第2モーターアンプ54−2に出力する。この第
5アンプ66−5の後段は、ハードウェアで構成する。
【0207】図15は、図10に示した主制御部30の
第3ブロックの構成を示すブロック図である。以下、同
図を用いて、この第3ブロックの構成を説明する。尚、
このブロックは、重量式と光学式で共通である。
【0208】第3減算器70−3は、ヒーター16の設
定温度Tset<℃>とTC<℃>との差をとって、ヒ
ーター温度HT<℃>を生成する。そして、該生成した
値を第6アンプ66−6に出力する。
【0209】第6アンプ66−6は、HT<℃>をアナ
ログ信号HT<volt>に変換し、第4減算器70−
4に出力する。この第6アンプ66−6の後段は、ハー
ドウェアで構成する。
【0210】第4減算器70−4は、HT<volt>
信号と温度センサ42の出力TMP<volt>との差
をとって、温度偏差HTD<volt>を生成する。そ
して、該生成した信号をPID型温度制御アンプ84に
出力する。
【0211】PID型温度制御アンプ84は、 上記伝達関数でHTD<volt>を処理して、電力信
号HPWR<volt>を生成する。そして、該生成し
た値を図10に示すヒーター制御部34に出力する。
【0212】図16は、図10に示した主制御部30の
光学式に係る第1ブロックの構成を示すブロック図であ
る。本発明に係る2値制御装置を光学式で構成する場合
には、この同図に示す第1ブロックを図13に示した重
量式に係る第1ブロックに代えて使用する。以下、この
図16を用いて、この光学式に係る第1ブロックの構成
を説明する。尚、重量式に係る第1ブロックと同一の構
成要素については、同一符号を付して説明を省略し、以
下の説明では、重量式に係る第1ブロックと異なる部分
を主に説明する。
【0213】第7アンプ66−7は、図10に示した直
径センサ28のアナログ出力GD<volt>をGD<
mm>に変換し、該GD<mm>を第2減算器70−2
と、図17に示す第3演算実行部68−3に出力する。
この第7アンプ66−7の後段は、ソフトウェアで構成
する。
【0214】第2減算器70−2は、目標直径決定部7
8が生成したGD(GL)<mm>とGD<mm>との
差をとって、直径偏差GDD<mm>を生成する。そし
て、該生成した値をPD型速度操作アンプ86と、I型
温度操作アンプ88に出力する。
【0215】PD型速度操作アンプ86は、 上記伝達関数でGDD<mm>を処理して、シード上昇
速度操作量SLC<mm/min>を生成する。そし
て、該生成した値を図17に示す第5減算器70−5に
出力する。
【0216】I型温度操作アンプ88は、 上記伝達関数でGDD<mm>を処理して、その結果を
PID型温度操作アンプ74に出力する。PID型温度
操作アンプ74は、前述した重量式と同じ形態のものを
使用し、各定数は、別途調整する。尚、I型温度操作ア
ンプ88とPID型温度操作アンプ74の接続順序は、
同図に示すものと逆にしてもよい。
【0217】図17は、図10に示した主制御部30の
光学式に係る第2ブロックの構成を示すブロック図であ
る。本発明に係る2値制御装置を光学式で構成する場合
には、この同図に示す第2ブロックを図14に示した重
量式に係る第2ブロックに代えて使用する。以下、この
図17を用いて、この光学式に係る第2ブロックの構成
を説明する。尚、重量式に係る第2ブロックと同一の構
成要素については、同一符号を付して説明を省略し、以
下の説明では、重量式に係る第2ブロックと異なる部分
を主に説明する。
【0218】ルツボ直径決定部82は、ルツボ14の深
さと該深さにおけるルツボ14の直径とを対応させて予
め記憶し、該記憶した内容に基づいて、メルト12の液
面と接する部分のルツボ直径を決定する。具体的には、
GL<mm>とGD<mm>とを用いて、結晶成長重量
GWを算出し、該算出した値を前記記憶したルツボ14
の深さに対応させて、該当する直径を割り出す。
【0219】第3演算実行部68−3は、 ここで:Dcrystal=結晶体10の比重;GD=
検出直径;Dmelt=メルト12の比重;CI(G
L)=メルト12の液面が接触した部分のルツボ14の
直径;SL=シード上昇速度; 上記比率演算を実行して、液位を一定にするために必要
なルツボ上昇速度CL<mm/min>を算出する。そ
して、該算出した値を第5アンプ66−5に出力する。
【0220】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
安定した2値制御の達成に有効な結晶体の2値制御装置
を提供することができる。
【0221】また、本発明の第1の形態によれば、シー
ド上昇速度操作量SLCおよび温度操作量TCが偏差信
号DEVに基づいて生成されるため、シード上昇速度S
Lを結晶成長直径GDの収束手段として使用し、ヒータ
ーの温度をシード上昇速度SLの収束手段としてそれぞ
れ独立に使用することができる。その結果、結晶成長直
径GDとシード上昇速度SLの2値制御が自己整合的に
達成できる。さらに、このような偏差信号DEVを速度
制御系と温度制御系に並列入力する構成によれば、それ
ぞれの制御に適した伝達関数を独立して使用することが
できるため、安定した2値制御が可能となる。
【0222】また、本発明の第2の形態によれば、重量
偏差GWDの変動に応じて、シード上昇速度操作量SL
Cが生成され、温度操作量TCが自己整合的にヒーター
温度の理想パターンを形成するため、シード上昇速度S
Lの変動を最小限に押さえた構成で結晶成長直径GDの
収束が期待できる。その結果、好適な2値制御が達成さ
れる。
【0223】また、本発明の第3の形態によれば、直径
偏差GDDの大きさに応じたシード上昇速度操作量SL
Cが生成され、温度操作量TCが自己整合的にヒーター
温度の理想パターンを形成するため、シード上昇速度S
Lの変動を最小限に押さえた構成で結晶成長直径GDの
収束が期待できる。その結果、好適な2値制御が達成さ
れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一般的な引き上げ装置におけるヒーターとルツ
ボの位置関係を示す断面図である。
【図2】式17で表現されるヒーター温度の理想パター
ンを図示するグラフである。
【図3】本発明の第1の形態に係る2値制御装置の構成
を示す概念図である。
【図4】本発明の第2の形態に係る2値制御装置の構成
を示すブロック図である。
【図5】本発明の第2の形態の変形例を示すブロック図
である。
【図6】本発明の第2の形態の作用を説明する模式的タ
イムチャートである。
【図7】本発明の第3の形態に係る2値制御装置の構成
を示すブロック図である。
【図8】本発明の第3の形態の変形例を示すブロック図
である。
【図9】本発明の第3の形態の作用を説明する模式的タ
イムチャートである。
【図10】本発明の好適な実施例に係る結晶体の2値制
御装置の構成を示す一部断面図である。
【図11】図10に示したシード制御部32とルツボ制
御部48の構成を示すブロック図である。
【図12】図10に示したヒーター制御部34の構成を
示すブロック図である。
【図13】図10に示した主制御部30の重量式に係る
第1ブロックの構成を示すブロック図である。
【図14】図10に示した主制御部30の重量式に係る
第2ブロックの構成を示すブロック図である。
【図15】図10に示した主制御部30の第3ブロック
の構成を示すブロック図である。
【図16】図10に示した主制御部30の光学式に係る
第1ブロックの構成を示すブロック図である。
【図17】図10に示した主制御部30の光学式に係る
第2ブロックの構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
10…結晶体、12…メルト、14…ルツボ、16…ヒ
ーター、18…シード、20…シードチャック、22…
ワイヤー、24…ワイヤードラム、26…重量センサ、
28…直径センサ、30…主制御部、32…シード制御
部、34…ヒーター制御部、38…チャンバー、40…
保温筒、42…温度センサ、44…ルツボ支持台、46
…ルツボシャフト、48…ルツボ制御部、50−1…第
1モーター、50−2…第2モーター、52−1…第1
ギア、52−2…第2ギア、54−1…第1モーターア
ンプ、54−2…第2モーターアンプ、56−1…第1
ロータリーエンコーダ、58−1…第1パルスカウン
タ、60…サイリスタコントローラ、62…交流直流変
換器、64…電力センサ、66−1…第1アンプ、66
−3…第3アンプ、66−4…第4アンプ、66−5…
第5アンプ、66−6…第6アンプ、66−7…第7ア
ンプ、68−1…第1演算実行部、68−2…第2演算
実行部、68−3…第3演算実行部、70−2…第2減
算器、70−3…第3減算器、70−4…第4減算器、
70−5…第5減算器、72…D型速度操作アンプ、7
4…PID型温度操作アンプ、78…目標直径決定部、
80…目標速度決定部、82…ルツボ直径決定部、84
…PID型温度制御アンプ、86…PD型速度操作アン
プ、88…I型温度操作アンプ、M10…シード上昇速
度操作量生成手段、M12…温度操作量生成手段、M1
4…直径制御パラメータ検出手段、M16…偏差信号生
成手段、CP…直径制御パラメータ、DEV…偏差信
号、GD…結晶成長直径、GDD…直径偏差、GL…結
晶成長長さ、GW…結晶成長重量、GWD…重量偏差、
SL…シード上昇速度、SLC…シード上昇速度操作
量、TC…温度操作量

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 結晶体(10)の引き上げ速度、即ち、
    シード上昇速度(SL)の操作量を生成するシード上昇
    速度操作量生成手段(M10)と、該結晶体(10)周
    辺の温度を操作する量、即ち、温度操作量(TC)を生
    成する温度操作量生成手段(M12)とを具備し、該結
    晶体(10)の成長直径、即ち、結晶成長直径(GD)
    および前記シード上昇速度(SL)をそれぞれの目標値
    に収束させる結晶体の2値制御装置において、 前記結晶成長直径(GD)の制御に寄与するパラメー
    タ、即ち、直径制御パラメータ(CP)を検出する直径
    制御パラメータ検出手段(M14)と、 前記直径制御パラメータ検出手段(M14)が検出した
    直径制御パラメータ(CP)と該直径制御パラメータ
    (CP)の目標値との差をとって偏差信号(DEV)を
    生成する偏差信号生成手段(M16)とを具備し、 前記シード上昇速度操作量生成手段(M10)は、 前記偏差信号生成手段(M16)が生成した偏差信号
    (DEV)に基づいて、前記シード上昇速度(SL)の
    操作量、即ち、シード上昇速度操作量(SLC)を生成
    し、 前記温度操作量生成手段(M12)は、 前記偏差信号生成手段(M16)が生成した偏差信号
    (DEV)に基づいて、前記温度操作量(TC)を生成
    することを特徴とする結晶体の2値制御装置。
  2. 【請求項2】 前記シード上昇速度操作量生成手段(M
    10)は、 前記結晶成長直径(GD)の変動履歴に応答する要素を
    含まない伝達関数で表現され、前記偏差信号(DEV)
    の変動に応じた信号を前記シード上昇速度操作量(SL
    C)として出力し、 前記温度操作量生成手段(M12)は、 積分要素を含む伝達関数で表現され、前記偏差信号(D
    EV)の履歴に応じた信号を前記温度操作量(TC)と
    して出力することを特徴とする請求項1記載の結晶体の
    2値制御装置。
  3. 【請求項3】 前記直径制御パラメータ(CP)は、 前記結晶体(10)が成長した重量、即ち、結晶成長重
    量(GW)であり、 前記シード上昇速度操作量生成手段(M10)は、 微分要素を含む伝達関数で表現され、 前記温度操作量生成手段(M12)は、 積分要素を含む伝達関数1段で表現されることを特徴と
    する請求項2記載の結晶体の2値制御装置。
  4. 【請求項4】 前記直径制御パラメータ(CP)は、 前記結晶成長直径(GD)であり、 前記シード上昇速度操作量生成手段(M10)は、 比例要素を含む伝達関数で表現され、 前記温度操作量生成手段(M12)は、 積分要素を含む伝達関数2段で表現されることを特徴と
    する請求項2記載の結晶体の2値制御装置。
  5. 【請求項5】 前記シード上昇速度操作量生成手段(M
    10)の伝達関数と前記温度操作量生成手段(M12)
    の伝達関数との比が二形以上の制御系を構成することを
    特徴とする請求項1記載の結晶体の2値制御装置。
  6. 【請求項6】 前記シード上昇速度操作量生成手段(M
    10)は、 前記直径制御パラメータ(CP)の直径成分に対する比
    例要素、微分要素およびこれらの組み合わせから選択し
    て構成され、不足熱量に対する固化重量を結晶体(1
    0)の断面積と該結晶体(10)の引き上げ長さの2成
    分に分配することを特徴とする請求項5記載の結晶体の
    2値制御装置。
  7. 【請求項7】 前記直径制御パラメータ(CP)は、 前記結晶体(10)が成長した重量、即ち、結晶成長重
    量(GW)であり、 前記シード上昇速度操作量生成手段(M10)は、 微分要素を含む伝達関数で表現され、 前記温度操作量生成手段(M12)は、 積分要素を含む伝達関数1段で表現されることを特徴と
    する請求項5記載の結晶体の2値制御装置。
  8. 【請求項8】 前記直径制御パラメータ(CP)は、 前記結晶成長直径(GD)であり、 前記シード上昇速度操作量生成手段(M10)は、 比例要素を含む伝達関数で表現され、 前記温度操作量生成手段(M12)は、 積分要素を含む伝達関数2段で表現されることを特徴と
    する請求項5記載の結晶体の2値制御装置。
JP37014198A 1998-12-25 1998-12-25 結晶体の2値制御装置 Expired - Lifetime JP4367725B2 (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP37014198A JP4367725B2 (ja) 1998-12-25 1998-12-25 結晶体の2値制御装置
TW88117857A TW508379B (en) 1998-12-25 1999-10-15 Binart controller for crystal body
PCT/JP1999/007275 WO2000039370A1 (fr) 1998-12-25 1999-12-24 Controleur binaire pour corps cristallin

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP37014198A JP4367725B2 (ja) 1998-12-25 1998-12-25 結晶体の2値制御装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2000191394A true JP2000191394A (ja) 2000-07-11
JP4367725B2 JP4367725B2 (ja) 2009-11-18

Family

ID=18496171

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP37014198A Expired - Lifetime JP4367725B2 (ja) 1998-12-25 1998-12-25 結晶体の2値制御装置

Country Status (3)

Country Link
JP (1) JP4367725B2 (ja)
TW (1) TW508379B (ja)
WO (1) WO2000039370A1 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012001386A (ja) * 2010-06-16 2012-01-05 Shin Etsu Handotai Co Ltd 単結晶製造装置及び湯漏れ検出方法

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
AU2003290909A1 (en) * 2002-07-05 2004-03-11 Sumitomo Mitsubishi Silicon Corporation Method of producing silicon monocrystal

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2814035B2 (ja) * 1992-05-19 1998-10-22 コマツ電子金属株式会社 半導体単結晶の直径制御方法およびその装置

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012001386A (ja) * 2010-06-16 2012-01-05 Shin Etsu Handotai Co Ltd 単結晶製造装置及び湯漏れ検出方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP4367725B2 (ja) 2009-11-18
WO2000039370A1 (fr) 2000-07-06
TW508379B (en) 2002-11-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100690218B1 (ko) 성장 공정 중에 실리콘 결정의 직경을 제어하는 방법 및장치
KR101408629B1 (ko) 성장 프로세스에서 실리콘 결정 잉곳의 직경을 제어하는 방법 및 장치
CN111129550B (zh) 燃料电池系统的pid控制方法
JP4853802B2 (ja) シリコン単結晶の製造方法
WO2007020744A1 (ja) チョクラルスキー法による単結晶製造装置のような無駄時間をもつ時変系制御対象のための制御システム及び方法
JPWO2004018742A1 (ja) シリコン単結晶を製造する方法
US20230228000A1 (en) Method and apparatus for manufacturing defect-free monocrystalline silicon crystal
JP2003512282A (ja) 半導体結晶の成長を制御する方法
US5968263A (en) Open-loop method and system for controlling growth of semiconductor crystal
JP2000191394A (ja) 結晶体の2値制御装置
US5164039A (en) Apparatus for controlling the diameter of silicon single crystal
JP4414504B2 (ja) 結晶体の直径制御装置
JP4484268B2 (ja) 結晶体の製造方法
CN115857315B (zh) 基于事件触发的半导体硅单晶生长模型预测控制方法
CN115198351B (zh) 一种自动生长低温敏感人工晶体材料加热功率控制方法
CN115467014A (zh) 单晶硅制备装置及方法
JP2010105914A (ja) 結晶体の製造方法
JP2005035823A (ja) 単結晶製造装置及び単結晶製造方法
Wu et al. An ADRC-based CZ Silicon Single Crystal Growth Control Technology
Wu et al. The Research on Distributed Fully Automatic Control Scheme of Solar Monocrystal Silicon CZ Grower
JP4293393B2 (ja) 結晶体の製造装置および製造方法
KR20140011615A (ko) 단결정 실리콘 잉곳 제조 장치 및 방법
CN115584557A (zh) 一种温度控制方法和设备、单晶炉
CN115537914A (zh) 单晶硅制备装置及方法
JP2009007249A (ja) 結晶体の製造装置および製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20051117

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090414

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090519

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090818

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090820

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120904

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130904

Year of fee payment: 4

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term