JP4367009B2 - ヒートシンク付き気密端子およびその製造方法 - Google Patents

ヒートシンク付き気密端子およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はヒートシンク付き気密端子およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のヒートシンク付き気密端子としては、ヒートシンク上部を半導体素子搭載面側に段付き形状を形成した状態で張り出し固定している。またその製造方法としては、ヒートシンクの半導体素子搭載面と半導体素子搭載面と相対する裏面とを押圧することで偏平成形しているものがあった(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図3は、前記特許文献1に記載された従来のヒートシンク付き気密端子を示すものである。
【0004】
図3において、鉄−ニッケル合金からなるベース101に貫通孔(図示せず。)およびコイニング102が形成されている。貫通孔(図示せず。)には鉄−ニッケル−コバルト合金(以下、コバールと称す)からなるリード103が挿通され封着ガラス(図示せず。)で気密絶縁に封着されている。また、半導体素子搭載面104を備えたヒートシンク105がベース101の主面106に、ろう材(図示せず。)を介して接着し気密端子107を構成している。
【0005】
図4は、前記特許文献1に記載された従来のヒートシンク付き気密端子の製造方法を示す工程フローに沿った断面図である。図4において、図3と同じ構成の説明は省略する。108はダイ、109はポンチでありヒートシンク105に偏平成形を行う。
【0006】
所定厚さの鉄・ニッケル合金の金属板を押し出しプレス後に打ち抜いたベース101と、適宜の長さに切断したリード103と、タブレット状に成形した封着ガラス(図示せず。)とを、グラファイト製の封着治具(図示せず。)を用いて所定の位置関係に組み立てた後、中性ないし弱還元性の雰囲気中で約980〜1000℃に加熱して、封着ガラス(図示せず。)を溶融させて、リード103を気密絶縁に封着する(図4(a))。
【0007】
ベース101の主面106に銅で形成したヒートシンク105をろう材(図示せず。)を介して中性ないし弱還元性の雰囲気中で約800℃に加熱し接着する(図4(b))。
【0008】
ヒートシンク105は半導体素子(図示せず。)搭載位置B’よりも予めl’だけ後退した位置に接着されている。
【0009】
ベース101を位置規制治具(図示せず。)に固定した後、ヒートシンク105に対して、ダイ108とポンチ109により偏平成形加工を行う(図4(c)、図4(d))。ダイ108が水平移動して所定位置に停止した後にポンチ109が水平移動してヒートシンク105を挟み込み押圧して、ヒートシンク105の半導体素子搭載面104を形成している。
【0010】
【特許文献1 】
特開平02−174179号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の構成では、ベース101の主面106と接着しているヒートシンク105の半導体素子搭載面104の下端に段付きが形成される。また、大きなR形状が形成される場合もあり、半導体素子搭載面104を十分に確保することができない。これは、素子寸法が大きくなる高出力タイプの半導体素子を搭載する場合、ヒートシンク105の全高を高くする必要が生じるなど非常に不都合がある。また、例えば半導体素子(図示せず。)としてレーザーダイオードを用いる場合、半導体素子(図示せず。)の寸法が大きくなると、発光点がヒートシンク105の上方に移動せざるを得なくなり光学特性を設計し直す必要があるという課題を有していた。
【0012】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、ヒートシンク105を大型化することなく半導体素子搭載面104の面積を十分確保し、高出力タイプの半導体素子を搭載することができるヒートシンク付き気密端子とその製造方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
前記従来の課題を解決するために、本発明のヒートシンク付き気密端子は、貫通孔とコイニング部とを有するベースと、ベースと一体になったヒートシンクと、貫通孔に挿通したリードと、ベースとリードとを封着ガラスを介して気密絶縁的に封着されたヒートシンク付き気密端子において、ベース主面に略直交状態でヒートシンクの半導体素子搭載面が形成され、半導体素子搭載面として形成された平坦面のベース側の下端部がベース主面上方0.1mm以下または前記ベース主面下方に形成され、ヒートシンクの半導体素子搭載面がコイニング内部に配置されたことを特徴とする
【0014】
その製造方法は、貫通孔とコイニング部とを有するベースと前記貫通孔に挿通されたリードとを封着ガラスを介して気密絶縁的に封着する工程と、前記ベース主面にヒートシンクを一体に設ける工程と、ポンチおよびダイによる扁平形成で前記ヒートシンクに前記ベース主面に略直交状態で半導体素子搭載面を設ける工程とを備えたヒートシンク付き気密端子の製造方法であって、前記半導体素子搭載面を成形する工程は、前記ヒートシンク端面を、予め前記コイニング寄りに設け、且つその一部を前記コイニング内部に配置し、前記ヒートシンク端面を押圧して、前記ベース主面上方0.1mm以下または前記ベース主面下方に形成することを特徴とする
【0015】
本構成によって、ヒートシンクを大型化することなく半導体素子搭載面の面積を十分確保し、高出力タイプの半導体素子を搭載することができるヒートシンク付き気密端子とその製造方法を提供することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0017】
(実施の形態)
図1(a)は、本発明の実施の形態におけるヒートシンク付き気密端子の断面図であり、図1(b)および図1(c)は図1(a)のA部拡大図である。
【0018】
図1において、例えば鉄−ニッケル合金からなるベース1に貫通孔(図示せず。)およびコイニング2が形成されている。貫通孔(図示せず。)には例えば鉄−ニッケル−コバルト合金(以下、コバールと称す)からなるリード3が挿通され封着ガラス(図示せず。)で気密絶縁に封着されている。半導体素子搭載面4を備えたヒートシンク5がベース1の主面6に、ろう材(図示せず。)を介して接着し気密端子7を構成している。
【0019】
このとき、実施例1はベース1の主面6から半導体素子搭載面4下端部までの距離wが0.1mm以下に略直交状態で、且つヒートシンク5の半導体素子搭載面4がコイニング2部内に配置されている。(図1(b))。
【0020】
実施例2は半導体素子搭載面4下端部がベース1の主面6下方に略直交状態で、且つヒートシンク5の半導体素子搭載面4がコイニング2部内に配置されている。(図1(c))。これによれば、ヒートシンク5を大型化することなく半導体素子搭載面4の面積を十分確保することができる。また、従来レーザーダイオード(図示せず。)を搭載するときに必要としていたヒートシンク5を大型化することや発光点が変わり光学特性を設計し直すということが無くなる。
【0021】
図2は、本発明の実施の形態におけるヒートシンク付き気密端子の製造工程フローに沿った断面図である。図2において、図1と同じ構成の説明は省略する。ヒートシンク5はダイ8およびポンチ9で偏平成形され半導体素子搭載面4を形成している。
【0022】
気密端子7は、例えば、ベース1およびリード3に鉄−ニッケル−コバルト合金(以下、コバールと称する)を用い、ベース1とリード3とを封着する封着ガラス(図示せず。)に硬質ガラスを用いた整合タイプ、ベース1に低炭素鋼を用い、リード3に鉄−ニッケル合金を用い、ベースとリードとを封着する封着ガラス(図示せず。)に軟質ガラスを用いた圧縮タイプなど従来からある構成と同様であるので詳細な説明は省略する。
【0023】
詳細な構成を下記に説明する。
【0024】
所定厚さの鉄・ニッケル合金の金属板を押し出しプレスにより貫通孔(図示せず。)およびコイニング2とを形成したベース1と、適宜の長さに切断したリード3と、タブレット状に成形した封着ガラス(図示せず。)とを、グラファイト製の封着治具(図示せず。)を用いて所定の位置関係に組み立てた後、中性ないし弱還元性の雰囲気中で約980〜1000℃に加熱して、封着ガラス(図示せず。)を溶融させて、リード3を気密絶縁に封着する(図2(a))。
【0025】
ベース1の主面6に銅で形成したヒートシンク5をろう材(図示せず。)を介して中性ないし弱還元性の雰囲気中で約300℃から800℃に加熱し接着する(図2(b))。
【0026】
このとき、ヒートシンク5は半導体素子(図示せず。)搭載位置Bよりも予めlだけ前進し、且つコイニング2部内に配置し接着している。
【0027】
ベース1を位置規制治具(図示せず。)に固定した後、ヒートシンク5に対して、ダイ8が水平移動して所定の位置に停止した後にポンチ9が垂直移動した後、水平移動してヒートシンク5を挟み込み押圧して、ヒートシンク5の半導体素子搭載面4を所定位置に偏平成形加工を行う(図2(c)、図2(d))。
【0028】
ポンチ9はヒートシンク5と接触し、且つ所定の面積を有したポンチ面10とポンチ面10を支持する支持部11からなり、支持部11がベース1と接触を防止するため、逃がし部12が形成されている(図2(e))。さらに、ヒートシンク5を挟み込むときにはその一部が主面6よりもコイニング2部内にポンチ面10を位置している。これによれば、半導体素子搭載面4の下端に生じるRは半導体素子(図示せず。)搭載に影響がでない0.1mm程度に抑えることができ、さらに半導体素子搭載面4の下端に形成されていた段付きの発生も無くすことが可能となり、半導体素子搭載面4の面積を十分に確保するものである。
【0029】
なお、本実施の形態では、半導体素子搭載面4を形成するときに、ダイ8が水平移動した後にポンチ9を垂直移動させた後ポンチ9を水平移動したが、ダイ8とポンチ9を同時に移動させてもよく、さらに、半導体素子搭載面4を形成するときに、ポンチ9を垂直移動した後、水平移動し押圧したが、ベース1を垂直移動した後、ポンチ9を水平移動し押圧してもよい。
【0030】
以上、本発明によるヒートシンク付き気密端子とその製造方法について説明したが、本発明の思想に逸脱しない限り適宜変更可能である。
【0031】
【発明の効果】
以上のように、本発明のヒートシンク付き気密端子およびその製造方法によれば、ヒートシンク5を大型化することなく半導体素子搭載面4の面積を十分確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)本発明の実施の形態におけるヒートシンク付き気密端子の断面図
(b)本発明の実施の形態における実施例1の図1(a)のA部拡大断面図
(c)本発明の実施の形態における実施例2の図1(a)のA部拡大断面図
【図2】(a)(b)(c)本発明の実施の形態におけるヒートシンク付き気密端子の製造工程フローに沿った断面図
(d)偏平成形加工工程の拡大断面図
(e)ポンチ斜視図
【図3】従来のヒートシンク付き気密端子を示した断面図
【図4】(a)(b)(c)従来のヒートシンク付き気密端子の製造工程フローに沿った断面図
(d)偏平成形加工工程の拡大断面図
【符号の説明】
1 ベース
2 コイニング
3 リード
4 半導体素子搭載面
5 ヒートシンク
6 主面
7 気密端子
8 ダイ
9 ポンチ
10 ポンチ面
11 支持部
12 逃がし部
101 ベース
102 コイニング
103 リード
104 半導体素子搭載面
105 ヒートシンク
106 主面
107 気密端子
108 ダイ
109 ポンチ

Claims (3)

  1. 貫通孔とコイニング部とを有するベースと、前記ベースと一体になったヒートシンクと、前記貫通孔に挿通したリードと、前記ベースと前記リードとを封着ガラスを介して気密絶縁的に封着されたヒートシンク付き気密端子において、前記ベース主面に略直交状態で前記ヒートシンクの半導体素子搭載面が形成され、前記半導体素子搭載面として形成された平坦面の前記ベース側の下端部が前記ベース主面上方0.1mm以下または前記ベース主面下方に形成され、前記ヒートシンクの半導体素子搭載面が前記コイニング内部に配置されたことを特徴とするヒートシンク付き気密端子。
  2. 貫通孔とコイニング部とを有するベースと前記貫通孔に挿通されたリードとを封着ガラスを介して気密絶縁的に封着する工程と、前記ベース主面にヒートシンクを一体に設ける工程と、ポンチおよびダイによる扁平形成で前記ヒートシンクに前記ベース主面に略直交状態で半導体素子搭載面を設ける工程とを備えたヒートシンク付き気密端子の製造方法であって、前記半導体素子搭載面を成形する工程は、前記ヒートシンク端面を、予め前記コイニング寄りに設け、且つその一部を前記コイニング内部に配置し、前記ヒートシンク端面を押圧して、前記半導体素子搭載面として形成された平坦面の前記ベース側の下端部が、前記ベース主面上方0.1mm以下または前記ベース主面下方に形成することを特徴とするヒートシンク付き気密端子の製造方法。
  3. 前記ポンチが前記ベース主面に対して垂直方向移動し垂直位置合わせした後、または前記ベースを前記ポンチ方向へ垂直方向移動し垂直位置合わせした後、前記ポンチが前記ベース主面に対して水平方向移動することにより、前記ヒートシンクに半導体素子搭載面を形成することを特徴とする請求項2に記載のヒートシンク付き気密端子の製造方法。
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