JP4366474B2 - 透析液原液作製装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は人工透析装置に使用される透析液原液を作製するための装置に関し、特に粉末状の薬剤と逆浸透性水とを混合して透析液原液を作製するのに好適な透析液原液作製装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、人工透析装置に使用される透析液原液を作製するための装置では、粉末状の薬剤と逆浸透性水とを混合するのに溶解槽(以下、「原液作製タンク」という)を用いるのが一般的であり、その場合、例えば特開平10−232号公報に記載されているように、所定量の粉末状の薬剤を投入するための開口面を有するホッパーを原液作製タンクの上面に設けるとともに、このホッパーの開口面を下方向に回動させる駆動手段を駆動して、粉末状の薬剤の原液作製タンクへの投入を行うようにしている。
【0003】
このほか、図3に示すように、原液作製タンク10に予め粉末状の透析用薬剤01を原液作製タンク10に入れておき、透析液原液作製の際、タンクの上方から逆浸透性水02を供給して、タンク内で透析用薬剤02と逆浸透性水01との混合を行うようにしたものも提案されている。
【0004】
図3に示す符号1は原液作製タンク10の上部に開口する逆浸透性水02の給水管を、2は給水管1に設けられている給水用開閉弁(電磁弁)を示している。また、符号3は原液作製タンク10の底部に接続された排出管を示しており、この排出管(送液管)3には、原液作製タンク10から取り出された混合液(透析液原液)03をタンク10に循環し、あるいは人工透析装置20または貯蔵タンク(図示せず)に供給する循環ポンプ4が設けられている。この循環ポンプ4は原液作製タンク10の洗浄時、洗浄液の循環用としても機能する。また、符号5は排出管3に設けられている主開閉弁(電磁弁)を示しており、循環ポンプ4の吐出口と主電磁弁5との接続部から分岐して循環通路6が設けられ、この循環通路6に電導度センサ7、電磁弁8が設けられている。この電導度センサ7は透析液原液の電導度を計測するものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記特開平10−232号公報に記載されているものでは、所定量の粉末状の薬剤を入れておくためのホッパーを設ける必要があるほか、原液作製タンクに攪拌装置を設置しなければならない等、コストアップの原因になり、また機構、制御が複雑になる不都合がある。
【0006】
また、図3に示すものでは、原液作製タンク10の底部付近に粉末状の薬剤が溜まり易く、均一な濃度の原液を作製することが困難であり、均一な濃度の原液を作製するには攪拌装置を付設しなければならない等の不都合がある。
【0007】
本発明は、このような不都合な点を解消しようとするもので、所定量の粉末状の薬剤を入れておくためのホッパーを必要とせず、かつ原液作製タンク10の底部付近に粉末状の薬剤が溜まって透析液原液の取り出し管の詰まるのを防止するとともに、攪拌装置を設けることなく、均一な濃度の透析用原液を作製することができるようにした透析液原液作製装置を提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記課題を解決するための第一の手段として、原液作製タンクと、該原液作製タンクに逆浸透性水を供給する給水管と、前記原液作製タンク内で作製された透析液原液を取り出すべく該原液作製タンクの底部に接続された排出管とを備え、前記給水管が、前記排出管に接続されている透析液原液作製装置において、前記給水管の下流に循環ポンプが接続され、該循環ポンプの下流側から分岐して前記原液作製タンクに接続する循環通路が設けられた透析液原液作製装置に構成するものである。
【0009】
また、本発明は、前記透析液原液作製装置において、前記排出管に排出用開閉弁を設けて前記原液作製タンクに接続するとともに、前記給水管を前記排出用開閉弁の下流側に接続して第二の課題解決の手段としている。
【0010】
さらに、本発明は、前記透析液原液作製装置において、前記原液作製タンクに透析用薬剤を投入した後、前記給水管から排出管を経由して前記原液作製タンクに前記逆浸透性水を供給して前記原液作製タンク内で前記透析液原液を作製するようにして第三の課題解決の手段としている。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面により本発明の実施の形態について説明する。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態としての透析液原液作製装置を示しており、図1中図3と同じ部材には同一符号を付し、それらについては、詳細な説明を省略した。
【0013】
図1に示すように、この実施形態の透析液原液作製装置では、原液作製タンク10の底部に排出用開閉弁(電動弁)11を設けた排出管3が接続されており、原液作製タンク側を上流側とした場合に、排出管3の排出用開閉弁(電動弁)11の下流側で、かつ循環ポンプ4の上流側に、逆浸透性水02の供給管としての給水管1が接続されている。符号2は給水管1に設けられている給水用開閉弁(電磁弁)を示している。
【0014】
排出管3に、循環ポンプ4、主開閉弁5が接続されて、原液作製タンク10で作製された透析液原液03が循環ポンプ4により、人工透析装置20に供給できるようになっている点は、上記の図3のものと同様である。
【0015】
さらに、排出管3の循環ポンプ4の下流側から分岐して、循環通路6が設けられており、この循環通路6に電導度センサ7、電磁弁8が設けられていて、この電導度センサ7は透析液原液の電導度を計測する点も図3のものと同様である。
【0016】
上記の構成により、この実施形態の透析液原液作製装置では、予め透析用薬剤01を原液作製タンク10内に入れておき、その後で、排出用開閉弁11と給水用開閉弁2とを開いて、逆浸透性水02を原液作製タンク10の底部から導入して、原液作製タンク10内で透析用薬剤01と逆浸透性水02とを混合して、透析液原液を作製することができる。
【0017】
この際、逆浸透性水02は原液作製タンク10の底部から導入されるため、原液作製タンク10の底部や排出口付近が透析用薬剤01で詰まっていても、逆浸透性水02が原液作製タンク10内に噴出して、流路を確保し、原液作製タンク10内に逆浸透性水02が供給される。逆浸透性水02を供給しながら、電磁弁8を開き、循環ポンプ4を運転することにより、図1に示す矢印の方向にて、原液作製タンク10内の透析用薬剤01と撹拌、混合させて、均一な透析液原液を作製することが可能となる。
【0018】
また、逆浸透性水02を原液作製タンク10の底部から導入する構成であるため、原液作製タンク10の底部付近が詰まることを防止でき、原液作製タンク10内で作製された透析液原液の取り出し、あるいは循環洗浄に支障を来すことも防止することができる。
【0019】
さらに、原液作製タンク10内に、攪拌装置などが設けられていないため、原液作製タンク10内の洗浄効果を高めることができる。このほか、攪拌装置を設置するためのコストをなくすことにより、透析液原液作製装置の製作コストや運転コストを低減することが可能となる。
【0020】
図2のフローチャートは、この実施形態の透析液原液作製装置の使用の一例を示すものである。
このフローチャートに示すように、原液作製タンク10の洗浄、消毒(ステップA3)の終了後、原液作製タンク10に翌日分の透析用薬剤01をセットしておき(ステップA4)、前日の自動運転の終了後、当日の朝、自動運転(ステップA0)により、逆浸透性水02を原液作製タンク10に供給して透析液原液を作製することが可能となる。
【0021】
また、日中の業務時にも、原液作製タンクが空になった時点(逆浸透性水02が入ってない状態)で透析用薬剤01を投入する(ステップB2)ことも可能であるため、担当者の時間的拘束を軽減することも可能となる。
【0022】
図2に示す例では、前回の透析液原液作製工程で作製された透析液原液の全てを循環ポンプ4を駆動して、原液貯留タンク30に送液する。これにより、原液作製タンク10は空になり、透析液原液作製装置は「原液準備溶解終了」となる(ステップA1)。
【0023】
次に、原液貯留タンク30から透析液原液が透析液供給装置に送られる(ステップA2)。透析用薬剤01の追加の必要のない場合、ルートYにより、ステップA3にいたる。
【0024】
透析用薬剤01の追加が必要な場合、ルートZを取り、ステップB1,ステップB2を経て、追加の透析用薬剤01の溶解が完了(ステップB3)すると、原液作製タンク10から透析液原液が原液貯留タンク30に送られる(ステップB4)。
【0025】
原液作製タンク10が空になったことが検知され(ステップB5)てから、さらに透析用薬剤01の追加が必要な場合には、ルートXでステップB1に戻る。透析用薬剤01の追加の必要が無い場合には、ステップA3に移り、原液作製タンク10の洗浄・殺菌が行われ、原液作製タンク10の洗浄・殺菌の終了後、翌日使用する透析液原液を作製するための透析用薬剤01が原液作製タンク10にセットされ、その事が報知される(ステップA4)。
【0026】
翌日使用する透析液原液を作製するための透析用薬剤01が原液作製タンク10にセットされたことが確認されると、「投入完了」のスイッチを押す(ステップA5)。これにより、透析液原液作製装置は自動運転状態となる。
【0027】
翌朝、自動運転を開始すると、逆浸透性水02が原液作製タンク10に供給され、透析液原液の作製が開始する(ステップA0)。
【0028】
このように、この実施形態の透析液原液作製装置では、逆浸透性水02が原液作製タンク10の底部から導入される構成となっているため、原液作製タンク10の底部や排出口付近が透析用薬剤01で詰まっていても、逆浸透性水02が原液作製タンク10内に噴出して、流路を確保し、原液作製タンク10内に逆浸透性水02が供給される。逆浸透性水02を供給しながら、電磁弁8を開き、循環ポンプ4を正逆両方向に運転することにより、図1に示す矢印の方向にて、原液作製タンク10内の透析用薬剤01と撹拌、混合させて、均一な透析液原液を作製することが可能となる。
【0029】
また、逆浸透性水02を原液作製タンク10の底部から導入する構成であるため、原液作製タンク10の底部付近が詰まることを防止でき、原液作製タンク10内で作製された透析液原液の取り出し、あるいは循環洗浄に支障を来すことも防止できる。
【0030】
さらに、原液作製タンク10内に、攪拌装置などが設けられていないため、原液作製タンク10内の洗浄が容易になるほか、攪拌装置を設置するためのコストをなくすことにより、透析液原液作製装置の製作コストや運転コストを低減することが可能となる。
【0031】
原液作製タンク10の洗浄、殺菌の終了後、原液作製タンク10に翌日分の透析用薬剤01をセットしておき、当日の朝、自動運転により、逆浸透性水02を原液作製タンク10に供給して透析液原液を作製することが可能となる。
【0032】
また、日中の業務時にも、原液作製タンクが空になった時点(逆浸透性水02が入ってない状態)で透析用薬剤01を投入することも可能であるため、担当者の時間的拘束を軽減することも可能となる。
【0033】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、以下のような効果が得られる。
逆浸透性水が、原液作製タンクの底部から導入される構成としたことにより、原液作製タンクの底部や排出口付近が透析用薬剤で詰まっていても、逆浸透性水が原液作製タンク内に噴出して、流路を確保し、原液作製タンク内に逆浸透性水が供給される。逆浸透性水を供給しながら、電磁弁を開き、循環ポンプを運転することにより、図1に示す矢印の方向にて、原液作製タンク内の透析用薬剤と撹拌、混合させて、均一な透析液原液を作製することが可能となる。
(2)逆浸透性水を原液作製タンクの底部から導入する構成であるため、原液作製タンクの底部付近が詰まることを防止でき、原液作製タンク内で作製された透析液原液の取り出し、あるいは循環洗浄に支障を来すことも防止できる。
(3)原液作製タンク内に攪拌装置などを設ける必要がないため、原液作製タンク内の洗浄効果を高めることができる。また、攪拌装置を設置するためのコストをなくすことにより、透析液原液作製装置の製作コストや運転コストを低減することが可能となる。
(4)原液作製タンクの洗浄、殺菌の終了後、原液作製タンクに翌日分の透析用薬剤をセットしておき、当日の朝、自動運転により、逆浸透性水を原液作製タンクに供給して透析液原液を作製することが可能となる。
また、日中の業務時にも、原液作製タンクが空になった時点(逆浸透性水が入ってない状態)で透析用薬剤01を投入することも可能であるため、担当者の時間的拘束を軽減することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施の形態に係る透析液原液作製装置の概略図である。
【図2】図1の実施の形態に係る透析液原液作製装置の一使用例の動作フローチャートである。
【図3】従来の透析液原液作製装置の概略図である。
【符号の説明】
01 透析用薬剤
02 逆浸透性水
03 透析液原液
1 給水管
2 給水用開閉弁(電磁弁)
3 排出管
4 循環ポンプ
5 主開閉弁
6 循環通路
7 電導度センサ
8 開閉弁
10 原液作製タンク
11 排出用開閉弁(電磁弁)
20 人工透析装置
30 原液貯留タンク
Claims (3)
- 原液作製タンクと、該原液作製タンクに逆浸透性水を供給する給水管と、前記原液作製タンク内で作製された透析液原液を取り出すべく該原液作製タンクの底部に接続された排出管とを備え、前記給水管が、前記排出管に接続されている透析液原液作製装置において、前記給水管の下流に循環ポンプが接続され、該循環ポンプの下流側から分岐して前記原液作製タンクに接続する循環通路が設けられたことを特徴とする透析液原液作製装置。
- 前記排出管が排出用開閉弁を介して前記原液作製タンクに接続されるとともに、前記給水管が前記排出用開閉弁の下流側に接続されてなる請求項1に記載の透析液原液作製装置。
- 前記原液作製タンクに透析用薬剤が投入された後、前記給水管から前記排出管を介して前記原液作製タンクに前記逆浸透性水が供給されて前記原液作製タンク内で前記透析液原液が作製されることからなる請求項1または請求項2に記載の透析液原液作製装置。
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