JP4365720B2 - 球面収差補正装置 - Google Patents

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本発明は、電子顕微鏡の照射光学系又は結像光学系で発生する球面収差を補正する球面収差補正装置に関する。
透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope:TEM)では、分解能の値は小さいことが望まれる。例えば、結晶等の原子配列をTEMで直視する場合には、分解能としては0.1nm程度が要求される。この分解能は、電子線の波長λと対物レンズの球面収差係数Cに基づいて決定されていることが知られている。そこで、TEMの分解能の値を小さくするために、電子線の波長λを短くするか、球面収差係数Cを小さくすることが考えられてきた。
電子線の波長λを短くするためには、加速電圧を高くすればよい。加速電圧を高くすることは、比較的容易である。加速電圧が1000kVのTEMでは0.1nm程度の分解能が得られる。しかし、加速電圧を高くすると、装置自体が大きくなってしまう。そこで、現在広く普及している、加速電圧が200kVクラスの比較的小型のTEMにおいて、0.1nm程度の分解能を達成するには、電子線の波長λを短くするよりも、球面収差係数Cを小さくする方が適切であると考えられる。
ところが、通常、TEMの対物レンズとしては、回転対称磁界型レンズが使用されている。しかし、回転対称磁界型レンズでは、凹レンズを形成することができないので、回転対称磁界型レンズをどのように組み合わせても球面収差係数Cを補正することができなかった。
そこで、TEMの上記対物レンズの球面収差係数Cを補正するために、多極子による磁場を導入することが既に提案されている(例えば、非特許文献1を参照。)。これは、例えば多極子コイルとして6極子コイルを用いた場合、6極子コイルが電子線に与える本来の軌道収差項として、対物レンズの球面収差係数Cの補正効果が現れることを利用したものである。具体的には、2組のダブレットレンズと、2個の6極子コイルを組み合わせて球面収差を補正することが提案されている(例えば、非特許文献2を参照。)。
また、本件出願人は、特許文献1にて、二つの多極子間に二つの軸対称レンズを配置した電子顕微鏡の球面収差補正装置において、軸対称レンズ間にできる電子線の集光面内に、光軸と垂直な面内で電子線に回転作用を与える回転補正レンズを配置したことを特徴とする電子顕微鏡の球面収差補正装置を開示した。
図8は、特許文献1に開示した球面収差補正装置を備えた電子顕微鏡の照射光学系の概略構成を示す図である。なお、図8では、偏向系や一部集束系等を省略している。光源1から光軸4に沿って入射した電子線2は、集束レンズ3によって平行光束となされ、球面収差補正光学系5によって球面収差を補正された後、対物レンズ6によって試料7に収束して照射される。
球面収差補正光学系5は、6極子コイルからなる第1の補正子8と、同様に6極子コイルからなる第2の補正子9との間に、2つの軸対称レンズ10及び11を配置し、さらに2つの軸対称レンズ10及び11の間に、回転補正レンズ12を配置した構成である。2つの軸対称レンズ10及び11は、第1の補正子8面上の像を第2の補正子9上に結像するように励磁されている。すなわち、第1の補正子8上の像と第2の補正子9上の像は共役関係にある。
球面収差係数Cを補正する際には、第1の補正子8で3回対称の非点をつくる。第2の補正子9は、第1の補正子8でできた3回非点をキャンセルするように励磁する。このようにすることで元の軸対称な電子線に戻る。
以下、球面収差の補正について説明する。図9は、6極子コイルの構成、及びその一般的な作用について概略説明するための図である。6極子コイルの構成及びその作用は周知であるが、6極子コイルとは、6極子場を作るために偏向コイルを光軸周りに配置したものである。6極子コイルは、通常、6極子場の位相角ξを自由に制御できるように8個以上のコイルを用いて構成されるが、図9(a)では説明の簡易化のため、6個のコイルを光軸回りに等間隔に配置したものを示している。6極子場は3回対称の磁場である。また、光軸4と各コイルの先端までの距離をボア半径といい、図ではaで表している。更に、6極子場の位相角ξとは、図9(a)に示すように、軌道方程式を導くために定めた基準軸からの位相基準軸のなす光軸回りの角度である。また、図9(b)に示すように、6極子場(第1の補正子8)の光軸方向の長さをZとする。
いま、図9(b)に示すように、光軸4からrの距離のところに、6極子コイルに対して傾きr’で電子線が6極子コイル(第1の補正子8)に入射したとき、この電子線が6極子から出射する際の光軸4からの距離rin−out、そのときの6極子コイルに対する傾きrin−out’は、4次項以上を無視して次のように表される。
in−out=r(1+γ)+kr Lcos(3θ)+k M ・・(1)
in−out’=r’+kr ZNcos(3θ)+k P ・・(2)
ここで、θは6極子場の基準軸から見た電子線の入射角、Zは補正子の長さ、kは6極子場の強度を示す。また、γ、L、M、N、Pは軌道の入射条件で決まる定数であり、次のように表される。
γ=−Z/S ・・・(3)
L=1/2+γ/3+γ/12 ・・・(4)
M=1/12+γ/12+γ/36+γ/252 ・・・(5)
N=1+γ+γ/3 ・・・(6)
P=1/3+5γ/12+γ/6+γ/36 ・・・(7)
ただし、上記(3)式にてSは光源から補正子までの距離である。
上記(1)式の右辺の第1項の「r(1+γ)」は、0次項である。すなわち、電子線が第1の補正子8の6極子場による作用を受けずに素通りする成分を表している。また、上記(1)式の右辺の第2項の「kr Lcos(3θ)」は、第1の補正子8の6極子場による主要な効果、すなわち6極子場によって生じる本来の効果の成分を表している。6極子場は3回対称な磁場であるから、電子線の丸い断面は概略3角形状になるが、これが第2項の効果である。また、上記(1)式の右辺の第3項の「k M」は、第1の補正子8として用いられる6極子場が形成する3次軸対称の収差であって、丁度Cを補正するような軸に対する傾きを持っている。この収差を電子顕微鏡の照射系の球面収差の補正に用いる。
上記(2)式についても同様であり、(2)式の右辺の第1項の「r’」は0次項、第2項の「kr ZLcos(3θ)」は第1の補正子8の6極子場による主要な効果、すなわち6極子場によって生じる本来の効果の成分を表している。また、第3項の「k P」も、第1の補正子8として用いられる6極子場が形成する3次軸対称の収差であって、この収差を電子顕微鏡の照射系の球面収差の補正に用いる。
しかし、6極子場の第1の補正子8により、上記球面収差を補正する際には、上記(1)式及び(2)式の各第2項の主要な効果を考慮しなければならない。6極子場は3回対称な磁場であるから、電子線の丸い断面は3回対称性をもった形状になるが、これが第2項の本来の効果である。つまり、丸い断面を有する電子線が第1の補正子8を通過すると、上記第2項により、出射したときには当該電子線は3回対称の断面を有するように変形されることになる。
そこで、第2の補正子9を、第1の補正子8でできた3回非点をキャンセルするように励磁する。つまり、上記(1)式と(2)式の右辺の各第2項をキャンセルするように励磁する。これを式で示すと以下の(8)、(9)式となる。
in−out=r(1+γ)−kr Lcos(3θ)+k M ・・(8)
in−out’=r’−kr ZNcos(3θ)+k P ・・(9)
したがって、第2の補正子9により、第1の補正子8で生成された電子線の3回非点成分を補正し、元の軸対称な電子線に戻すことができる。また、(8)式、(9)式の各第3項は、第2の補正子9として用いられる6極子場が形成する3次軸対称の収差であって、この収差も電子顕微鏡の照射光学系の球面収差の補正に用いる。
ところで、図8に示した球面収差補正光学系5の第1の補正子8にて、上記(1)、(2)式の第3項の収差を用いて電子顕微鏡の照射光学系の球面収差を補正する際に考慮すべき、上記6極子場による主要な効果である3回非点成分には、さらに他の成分による影響も考えなければならない。
つまり、第1の補正子8にて生成された3回非点成分を第2の補正子9にて、上記(8)、(9)式に示した第2項によって単純にキャンセルするという訳にはいかない。
第1の補正子8にて3回非点成分が生成される際には、偏向成分、2回非点補正成分、4回非点成分も生成される。
そこで、上記他の成分である偏向成分、2回非点成分、4回非点成分を補正のために作り出し、これらを制御することが行われる。最近では、上記制御をデジタル制御で行うようになった。
特開2003−92078号公報 「O. Scherzer, Optik 2(1947)114」 「M. Haider, G.Braunshausen and E.Schwan, Optik 99(1995)167」
しかし、デジタル制御のビット分解能は限られているので、偏向成分、2回非点成分、3回非点成分及び4回非点成分をデジタル制御した場合、ビット分解能による電子線への影響はほとんど偏向成分になってしまう。
以下、ビット分解能による電子線への影響がほとんど偏向成分になってしまう理由を説明する。球面収差係数Cを補正するためには、3回非点成分のみが必要である。3回非点成分は上記他の成分に比べて大きい。よって他の成分は、3回非点成分に比べて小さい。3回非点成分に対して上記他の成分は、各磁極の励磁による感度の違いから生成される。感度の違いは、磁極の配置や、形状又は励磁コイルの抵抗値、アンプのゲインの不均一性や、磁性材料の特性の違いや、励磁履歴による理想的な磁場からのずれにもとづく。
すなわち、偏向成分、2回非点成分、4回非点成分は補正のみに関連し、3回非点成分に比べて非常に小さな値となる。もし、各磁極の励磁を各磁極専用のアンプで行い、これらをデジタル制御した場合、それぞれのアンプのダイナミックレンジはメインの3回非点成分に合わせられているため、その他の成分に対して過大なダイナミックレンジを持ってしまう。偏向成分は、電子線をダイレクトに動かす成分であり、アンプのノイズやビット分解能による階段状の値のとびの電子線への影響は、ほとんど偏向成分になってしまうことになる。現在、使用されている最も精度がよい電源制御部においても精度は10−7程度であり、そのようなアンプをもってしても100万倍程度以上の像では、電子線が偏向してしまうために像が動いてしまうことになる。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、上記偏向成分のダイナミックレンジを調整し、電子線のふらつきを抑えながらも、各成分の補正精度を向上することができる球面収差補正装置の提供を目的とする。
本発明に係る球面収差補正装置は、上記課題を解決するために、電子顕微鏡の照射光学系又は結像光学系で発生する球面収差を補正する球面収差補正装置において、複数の極子を形成して上記球面収差係数を補正する第1の補正手段と、上記第1の補正手段の像と共役関係となる像が形成され、かつ複数の極子を形成して上記球面収差係数を補正する第2の補正手段とを備え、上記第1の補正手段及び上記第2の補正手段は、複数の極子を形成する各コアに、3回非点成分用コイルと少なくとも偏向用コイルとを別々に分けて巻く。
複数の極子を形成する各コアには、3回非点成分用コイルと少なくとも偏向用コイルとを別々に分けて巻くので、デジタル制御による分解能は各成分用コイルの固有のダイナミックレンジ持つことになる。よって、必要な成分ごとのダイナミックレンジが調整できるため、補正の精度を向上できる。
本発明に係る球面収差補正装置の上記第1の補正手段と上記第2の補正手段は、2回非点成分用コイル、4回非点成分用コイルを上記各コアに、上記3回非点成分用発生コイル、偏向用コイルと別々に分けて巻き、偏向用コイル、2非点成分用コイル、4回非点成分用コイルの巻き数を3回非点成分用コイルの巻き数よりも少なくすることが望ましい。
3回非点成分は上記他の成分に比べて大きいので、3回非点成分用コイルの巻き数を多くする。また、複数の極子を形成する各コアには、3回非点成分用コイル、偏向用コイルばかりでなく、2回非点成分用コイル、4回非点成分用コイルも別々に分けて巻くので、デジタル制御による分解能は各成分用コイルの固有のダイナミックレンジ持つことになる。
本発明に係る球面収差補正装置は、上記偏向用コイル、2回非点成分用コイル、4回非点成分用コイルの励磁電流を各成分ごとに一つの電源から供給することが好ましい。
本発明の球面収差補正装置によれば、複数の極子を形成する各コアには、3回非点成分用コイルと少なくとも偏向用コイルとを別々に分けて巻くので、電子線の偏向成分のダイナミックレンジを調整し、電子線のふらつきを押さえることが出来る。照射光学系に使用した場合は入射位置のふらつきを低減することができる。また、結像光学系に使用した場合は像の揺れを低減することができる。
また、補正子のつなぎの結線について、それぞれの成分を一つの電流アンプで励磁することによって、電子線のふらつきを抑制し、かつ各非点成分の補正精度を向上することができる。このことは、照射光学系に使用したときには、入射位置のふらつきと補正条件の安定性、結像光学系に使用したときは像の揺れを向上することになる。
また、補正コイルを各成分毎に別々にし、各コイルで同一コアに巻くことによって3回非点の他の成分、つまり2回非点成分、偏向成分、4回非点成分を補正子の同一面上で除去することが可能となる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を説明する。図1は、本発明による電子顕微鏡の球面収差補正装置の実施の形態を示す図である。この球面収差補正装置は、照射光学系によって発生された球面収差を補正する球面収差補正光学系20と、球面収差補正光学系20に用いられる二つの補正子の各極子コイルに適切な励磁電流を供給するための制御部と電源部を有する電源制御部26と、電源制御部26に接続されて使用者による操作を受け付ける操作部27とから構成される。なお、図では、偏向系や一部集束系等を省略している。
光源1から光軸4に沿って入射された電子線2は、集束レンズ3によって平行光束となされ、球面収差補正光学系20によって球面収差を補正された後、対物レンズ6によって試料7に収束して照射される。
球面収差補正光学系20は、12個の磁極を用いて2組の6極子を形成する第1の補正子21と、同様に12個の磁極を用いて2組の6極子を形成する第2の補正子22との間に、2つの軸対称レンズ23及び24を配置し、さらに2つの軸対称レンズ23及び24の間に、回転補正レンズ25を配置した構成である。2つの軸対称レンズ23及び24は、第1の補正子21面上の像を第2の補正子22上に結像するように励磁されている。すなわち、第1の補正子21上の像と第2の補正子22上の像は共役関係にある。
図2は、第1の補正子21の構成を示す図である。図1に示した第1の補正子21を一点鎖線XX’に沿って切断したときの断面図として示している。第1の補正子21は、12個の磁極を用いて2組の6つの極子を作るために偏向コイルを光軸4の回りに配置したものである。すなわち、図2に示すように、第1の補正子21は、M、M・・・M12の12個の磁極を外ヨーク51から光軸4に向けて配置している。各磁極のポールピースを形成するコア52には、後述するように、従来一つのコイルで行っていた電子線の3回非点成分、偏向成分、2回非点成分、4回非点成分の発生を別々に分けるために、各専用のコイルが巻き回しされている。この各専用のコイルのコア52への巻き回しについては後述する。
また、各コア52から光軸4に向けて、各磁極による極子54が形成される。各極子54に付された矢印は、磁界の向きを示している。この第1の補正子21では、特に、磁極M及びM、磁極M及びM、磁極M及びM10による磁界の発生方向を同じとするように各コア52に励磁コイル53を巻き、磁界が逆の発生方向になるように磁極M及びM、磁極M及びM、磁極M11及びM12の各コア52に励磁コイル53を巻き回している。よって、2組の6つの極子54が形成されている。なお、第2の補正子22の構成も同様である。
図2に断面を示した第1の補正子21は、集束レンズ3を通って球面収差補正光学系20に入射した電子線2の球面収差を、上記(1)式及び(2)式の各第3項を用いて補正する。ここで補正される球面収差は、照射光学系の対物レンズによって生じたものである。
このとき、第1の補正子21は、3回非点成分を生成する。また、6極子コイルを用いて3回非点成分が生成される際には、偏向成分、2回非点補正成分、4回非点成分が生成される。これらの他の成分は、各磁極の励磁による感度の違いから生成される。感度の違いは、磁極の配置や、形状又は励磁コイルの抵抗値、アンプのゲインの不均一性や磁性材料の特性のふらつきによる理想的な磁場からのずれにもとづく。
図3には、偏向成分、2回非点成分、3回非点成分、4回非点成分が元々断面の丸い電子線に及ぼす影響を図示する。偏向成分は光軸をシフトさせる。2回非点成分は楕円に、3回非点成分は三角形、4回非点成分は四角形に変形してしまう。実際には、3回非点成分に上記偏向成分、2回非点成分、4回非点成分が重畳されてしまので、偏向成分が電子線をシフトし、さらに3回非点成分による丸い電子線を3回対称の断面の電子線にする変換に、2回非点成分が楕円、4回非点成分が4回対称の要素を加えてしまう。また、これらのシフト、楕円、四角には回転分も加えられる。このため、第2の補正子22によって単純に上記3回非点成分のみをキャンセルしようとしても、3回対称のビームに加えられた上記2回非点成分による楕円、4回非点成分による四角の要素が、偏向成分による電子線のシフト成分と共に残ってしまうことになる。そこで、これら偏向成分、2回非点成分、3回非点成分、4回非点成分による影響をキャンセルする必要がある。
そこで、電源制御部26は、第1の補正子21に接続し、第1の補正子21によって生成された3回非点成分に基づいて、第1の補正子21による上記3回非点成分の発生に伴う、その他の成分を補正する補正信号を生成する。そして、電源制御部26は、生成した補正信号を第2の補正子22に供給し、第2の補正子22に、上記他の成分である偏向成分、2回非点成分、4回非点成分を補正させる。もちろん、第2の補正子22は、上記(8)、(9)式に示した各第3項の収差を用いて照射系の球面収差も補正する。
本発明は、従来、一つのコイルで行っていた上記3回非点成分、偏向成分、2回非点成分及び4回非点成分の発生を、別々のコイルに分けて、各成分ごとに一つの電源から供給することに特徴がある。以下、二つの実施例を挙げて詳細に説明する。
(実施例1)
従来、一つのコイルで行っていた上記3回非点成分、偏向成分、2回非点成分及び4回非点成分の発生を図4に示す巻き方のように、別々のコイルに分けて、各成分ごとに一つのアンプで制御を行う。
図4は、第1の補正子21及び第2の補正子22における、3回非点成分、偏向成分、2回非点成分、4回非点成分の各専用のコイルの巻き回しの具体例を示す図である。各磁極のコア(ポールピース)52の長手方向(図4における一点鎖線矢印L)に沿って、3回非点用コイル53a、2回非点用コイル53b、偏向用コイル53c及び4回非点用コイル53dをLからLに向けて順番に並べて巻く。補正子21及び第2の補正子22についてそれぞれの回転成分を発生するように、各成分に対して第1の補正子21及び第2の補正子22に共通に2組の電源を用意している。
図4に示したコイルの巻き方の具体例にあっては、それぞれのコイルの巻き数と電流の積(起磁力)の最大値は、それぞれの成分の補正に必要な値に設定する。特に、偏向成分、2回非点成分、4回非点成分の巻き数は、3回非点成分の巻き数よりも少なくする。このことによって、必要な成分毎のダイナミックレンジが調整されるため、補正の精度が向上する。
また、3回非点成分、偏向成分、2回非点成分、4回非点成分を発生する別々のコイルを同一のコアと磁極を持つ磁気回路に組み入れることにより、それぞれの補正成分を用いて補正を第1の補正子21及び第2の補正子22の面上で行うことが可能になる。
また、図4に示した巻き方にあっては、3回非点成分、2回非点成分、偏向成分、4回非点成分を発生する別々のコイル53a、53b、53c及びを53dを成分毎に分け、それぞれの成分毎につなぎ、成分ごとに一つのアンプで制御を行っている。
図5は、第1の補正子21及び第2の補正子22における各極子にて3回非点成分を発生するコイル53a(53A)を一つおきの極子毎に接続した例を示す図である。図5(a)は第1の補正子21にあって6極子を構成する奇数磁極M、M、M、M、M、M11のコア52に巻かれた3回非点成分発生コイル53aの結線を示す。これらの3回非点成分発生コイル53aは、6極子成分補正電源1による定電流源(I)61によって電流の供給を受ける。磁極Mのコアに巻かれたコイル53aのi端側は定電流源(I)61に接続され、f端側は磁極Mのコアに巻かれたコイル53aのf端側に接続されている。磁極Mのコアに巻かれたコイル53aのi端側は、磁極Mのコアに巻かれたコイル53aのi端側に接続されている。磁極Mのコアに巻かれたコイル53aのf端側は磁極Mのコアに巻かれたコイル53aのf端側に接続されている。磁極Mのコアに巻かれたコイル53aのi端側は、磁極Mのコアに巻かれたコイル53aのf端側に接続されている。磁極Mのコアに巻かれたコイル53aのi端側は磁極M11のコアに巻かれたコイル53a11のf端側に接続されている。磁極M11のコアに巻かれたコイル53a11のi端側は定電流源(I)61に接続されている。
図5(b)は第1の補正子21の他の6極子を構成する偶数磁極M、M、M、M、M10、M12のコア52に巻かれた3回非点成分発生コイル53aの結線を示す。これらの3回非点成分発生コイル53aは、6極子成分補正電源2による定電流源(I)62によって電流の供給を受ける。磁極Mのコアに巻かれたコイル53aのi端側は上記定電流源(I)61とは異なる定電流源(I)62に接続され、f端側は磁極Mのコアに巻かれたコイル53aのf端側に接続されている。磁極Mのコアに巻かれたコイル53aのi端側は、磁極Mのコアに巻かれたコイル53aのi端側に接続されている。磁極Mのコアに巻かれたコイル53aのf端側は磁極Mのコアに巻かれたコイル53aのf端側に接続されている。磁極Mのコアに巻かれたコイル53aのi端側は、磁極M10のコアに巻かれたコイル53a10のf端側に接続されている。磁極M10のコアに巻かれたコイル53a10のi端側は磁極M12のコアに巻かれたコイル53a12のf端側に接続されている。磁極M12のコアに巻かれたコイル53a12のi端側は定電流源(I)62に接続されている。
図5(c)は第2の補正子22の6極子を構成する奇数磁極M、M、M、M、M、M11のコア52に巻かれた3回非点成分発生コイル53Aの結線を示す。これらの3回非点成分発生コイル53aは、第1の補正子21の奇数磁極M、M、M、M、M、M11のコア52に巻かれた3回非点成分発生コイル53aと共通に6極子成分補正電源1による定電流源(I)61によって電流の供給を受ける。磁極Mのコアに巻かれたコイル53Aのi端側、磁極Mのコアに巻かれたコイル53Aのi端側、・・・磁極M11のコアに巻かれたコイル53A11のi端側は共通とされ、定電流源(I)61に接続されている。また、磁極Mのコアに巻かれたコイル53Aのf端側、磁極Mのコアに巻かれたコイル53Aのf端側、・・・磁極M11のコアに巻かれたコイル53A11のf端側には可変抵抗Rv1、Rv3、・・・Rv11が接続された上で共通とされ、定電流源(I)61に接続されている。可変抵抗Rv1、Rv3、・・・Rv11の抵抗値を調整することにより3回非点成分をキャンセルする。
図5(d)は第2の補正子22の他の6極子を構成する偶数磁極M、M、M、M、M10、M12のコア52に巻かれた3回非点成分発生コイル53Aの結線を示す。これらの3回非点成分発生コイル53は、第1の補正子21の偶数磁極M、M、M、M、M10、M12のコア52に巻かれた3回非点成分発生コイル53aと共通に6極子成分補正電源2による定電流源(I)62によって電流の供給を受ける。磁極Mのコアに巻かれたコイル53Aのi端側、磁極Mのコアに巻かれたコイル53Aのi端側、・・・磁極M12のコアに巻かれたコイル53A12のi端側は共通とされ、定電流源(I)61とは異なる定電流源(I)62に接続されている。また、磁極Mのコアに巻かれたコイル53Aのf端側、磁極Mのコアに巻かれたコイル53Aのf端側、・・・磁極M12のコアに巻かれたコイル53A12のf端側には可変抵抗Rv2、Rv4、・・・Rv12が接続された上で共通とされ、定電流源(I)62に接続されている。可変抵抗Rv2、Rv4、・・・Rv12の抵抗値を調整することにより3回非点成分をキャンセルする。
図5にて説明したような結線を他の成分についても行えば、偏向成分以外は各磁極が軸上でキャンセルするような磁場を発生するための電流を制御するために、実用上、最も問題となる偏向成分の磁場を大幅に低減することが可能となる。
(実施例2)
図6は、上記各専用コイルの巻き回しの他の具体例を示す図である。各磁極のコア52の長手方向(図6における一点鎖線矢印L)に断面平行になるように、コア52側から3回非点用コイル53a、2回非点用コイル53b、偏向コイル53c及び4回非点用コイル53dを重ねて巻く。このコイルの巻き方以外は前記第1の実施例と同様であるので説明を省略する。
(実施例3)
3回非点成分、偏向成分、2回非点成分及び4回非点成分を発生するための各コイルの巻き方は、図4及び図6に示したのと同様である。ただし、最も励磁電流が多く安定度が要求される、第1の補正子21及び第2の補正子22の6極子の励磁を一つの電流アンプで行い、二つの補正子の励磁のバランスは抵抗比で調整する。
図7は、第1の補正子21の奇数磁極M、M、M、M、M、M11による6極子と、第2の補正子22の奇数磁極M、M、M、M、M、M11による6極子の励磁を一つの定電流源63で行う構成を示す図である。特に、3回非点成分発生のコイル53a(53A)の結線を示す。
第1の補正子21の磁極Mのコアに巻かれたコイル53aのi端側、磁極Mのコアに巻かれたコイル53aのi端側、・・・磁極M11のコアに巻かれたコイル53A11のi端側は共通とされ、定電流源(I)63に接続されている。また、磁極Mのコアに巻かれたコイル53aのf端側、磁極Mのコアに巻かれたコイル53aのf端側、・・・磁極M11のコアに巻かれたコイル53a11のf端側には可変抵抗Rav1、Rav3、・・・Rav11が接続された上で共通とされ、定電流源(I)63に接続されている。可変抵抗Rav1、Rav3、・・・Rav11の抵抗値を調整することにより3回非点成分をキャンセルする。
また、第2の補正子22の磁極Mのコアに巻かれたコイル53Aのi端側、磁極Mのコアに巻かれたコイル53Aのi端側、・・・磁極M11のコアに巻かれたコイル53A11のi端側は共通とされ、定電流源(I)63に接続されている。また、磁極Mのコアに巻かれたコイル53Aのf端側、磁極Mのコアに巻かれたコイル53Aのf端側、・・・磁極M11のコアに巻かれたコイル53A11のf端側には可変抵抗RAv1、RAv3、・・・RAv11が接続された上で共通とされ、定電流源(I)63に、可変抵抗Rvcを介して接続されている。可変抵抗RAv1、RAv3、・・・RAv11の抵抗値を調整することにより3回非点成分をキャンセルする。さらに、可変抵抗Rvcにより抵抗比を調整し、第1の補正子21と第2の補正子22の励磁のバランスを抵抗比により調整する。このことによって、第1の補正子21と第2の補正子22の3回非点成分のキャンセルが回路上の抵抗比で行えるために3回非点の調整精度が向上する。なぜならば、第1の補正子21と第2の補正子22のコイルはキャンセルする様に励磁されるため、同一アンプにより一定の比で3回非点成分の励磁を作り出せば、この比によってキャンセルは常にされる。電流のふらつきによる補正強度のふらつきにのみ効き、3回非点成分の電子線に対する影響は最小に抑えられる。
第1の補正子21及び第2の補正子22は、上記実施例1及び実施例2に示したように、3回非点用コイル53a、2回非点用コイル53b、偏向用コイル53c及び4回非点用コイル53dを各磁極のコア(ポールピース)に別々に巻き回している。このため、電子線の偏向成分のダイナミックレンジを調整し、電子線のふらつきを押さえることが出来る。照射光学系に使用した場合は入射位置のふらつきを低減することができる。
電子顕微鏡の球面収差補正装置の構成を示す図である。 第1の補正子の構成を示す断面図である。 偏向成分、2回非点成分、3回非点成分、4回非点成分が元々丸い断面の電子線に及ぼす影響を示す図である。 コアに対する各非点成分生成用コイルの巻き回しの具体例を示す図である。 第1の補正子及び第2の補正子の3回非点成分生成用コイルの結線図である。 コアに対する各非点成分生成用コイルの巻き回しの他の具体例を示す図である。 第1の補正子及び第2の補正子において最も励磁電流が多く安定度が要求される上下の6極子の3回非点成分生成用コイルの結線図である。 従来の球面収差補正装置を備えた電子顕微鏡の照射系の概略構成を示す図である。 6極子コイルの構成、及びその一般的な作用について概略説明するための図である。
符号の説明
1 光源、2 電子線、3 集束レンズ、4 光軸、6 対物レンズ、7 試料、20 球面収差補正光学系、21 第1の補正子、22 第2の補正子、23 軸対称レンズ、24 軸対称レンズ、25 回転補正レンズ、26 電源制御部、27 操作部、53a 3回非点用コイル、53b 2回非点用コイル、53c 偏向コイル、53d 4回非点用コイル、61,62,63 定電流源

Claims (2)

  1. 電子顕微鏡の照射光学系又は結像光学系で発生する球面収差を補正する球面収差補正装置において、
    複数の極子を形成して上記球面収差係数を補正する第1の補正手段と、
    上記第1の補正手段の像と共役関係となる像が形成され、かつ複数の極子を形成して上記球面収差係数を補正する第2の補正手段とを備え、
    上記第1の補正手段及び上記第2の補正手段においては、複数の極子を形成する各コアに、3回非点成分発生用コイルと偏向成分発生用コイルとが別々に分けて巻かれており、
    上記各コアに巻かれた3回非点成分発生用コイルどうしがつながれて、それらの3回非点成分発生用コイルに一つの電源から励磁電流が供給されると共に、
    上記各コアに巻かれた偏向成分発生用コイルどうしがつながれて、それらの偏向成分発生用コイルに一つの電源から励磁電流が供給される
    ことを特徴とする球面収差補正装置。
  2. 上記第1の補正手段と上記第2の補正手段は、2回非点成分発生用コイルを上記各コアに、上記3回非点成分発生用コイル、偏向成分発生用コイルと別々に分けて巻き、偏向成分発生用コイル、2回非点成分発生用コイルの巻き数を3回非点成分発生用コイルの巻き数よりも少なくすることを特徴とする請求項1記載の球面収差補正装置。
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