JP4365687B2 - 分析方法及び分析装置 - Google Patents

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Description

本発明は、試料に含まれる元素について分析するための分析方法及び分析装置に関する。
試料に電子ビームを照射し、そのとき試料から発生する特性X線を検出して試料に含まれる元素分析を行う分析装置として電子プローブマイクロアナライザ(以下、EPMA(Electron Probe Micro Analyzer)という)がある。
このようなEPMAの代表的な構成が特開平2−47543号公報(特許文献1)に記載されており、以下、図面を参照しながら当該特許文献1に示されたEPMAの構成について説明する。
図7は、従来技術におけるEPMAを示す概略構成図である。同図において、101は電子銃、102は加速電極、103及び104は集束レンズ、105は電子ビーム、106は分光結晶、107は検出器、108は処理装置、109は試料、110は制御装置、111は表示装置、112は記憶装置、113はプリンタを示す。
電子銃101から放射された電子ビーム105は、加速電極102、集束レンズ103,104により加速、集束されて試料109に照射される。このとき、図示しない走査コイルにより、電子ビーム105を2次元あるいは直線的に走査することもできるし、また、走査を行わず試料109上の任意に選択した一点に照射することもできる。ここで、試料109側に位置する集束レンズ104は、一般に対物レンズと呼ばれている。
電子ビーム105が照射された試料109からは、試料109に含まれる元素に応じて特性X線が発生し、当該特性X線を分光結晶106と検出器107とにより検出する。特性X線を検出する際には、分光結晶106を低速移動させる。このとき、分光結晶106及び検出器107がローランド円の円周上に位置するように位置制御され、短波長側から長波長側、又は長波長側から短波長側に分光結晶106を低速移動させながらX線の検出が行われる。
図7においては、分光結晶106と検出器107は一組しか示されていないが、1個の分光結晶では特性X線の広い波長範囲をカバーできないので、通常は複数組の分光結晶及び検出器が配置されるようになされている。
検出器107の出力信号は、処理装置108で増幅、波形整形等が行われた後、制御装置110に送られる。制御装置110は、取り込んだデータを基にスペクトルを求めて、試料109に含有された元素の同定(定性分析)を行うことができる。また、試料中に含有されている元素の特性X線のピーク位置に分光結晶106を設定して、ピーク強度を測定することから、元素の濃度測定(定量分析)を行うことができる。また、分光結晶106を該特性X線のピーク位置に設定しておき、電子ビーム105や試料109の位置を2次元または1次元に走査しながら、該特性X線のピーク強度を測定することによって、該元素の試料上の2次元分布の測定(面分析)や1次元分布の測定(線分析)を行うことができる。なお、これらの分析結果は、表示装置111に表示され、また必要に応じてプリンタ113によって印刷される。
そして、定性分析を行う場合には、検出したスペクトルのピーク位置と、記憶装置112に格納されている波長テーブルとを参照することによりスペクトルの各ピーク位置に対応する元素名、特性X線名、回折次数等を検索して元素の同定を行うこととなる。
また、定量分析を行う場合には、検出対象となっている元素の濃度100%からなる標準試料に基づく検出感度データを測定しておき、当該元素のピーク強度と対応する検出感度データとを参照することにより当該元素の濃度を算出する。
なお、定量分析、面分析、及び線分析は、上述の定性分析によって試料109に含有された元素を同定した後に行うこともできるし、また試料109に含有された元素が予めわかっている場合には、その当該元素の情報を取得した後に行うことができる。
試料の定量分析、面分析、及び線分析において、試料に含有された元素が予めわかっており、当該元素の情報を取得している場合では、広い波長範囲でのスペクトルの検出することはせずに、当該情報に含まれた分析対象とされている元素に対応する特性X線のピーク強度のみを検出している。この場合、分光結晶106を移動させる際に、分析対象の元素の特性X線が検出される波長範囲のみを分光結晶106を低速移動させながらX線を計数して、ピークの検出を行う。
特開平2−47543号公報
上記のように、試料に含有された元素が予めわかっており、当該元素の定量分析、面分析及び線分析を行う場合においては、当該元素に対応する特性X線のみを検出(測定)する。検出(測定)可能な当該特性X線としては、1次の特性X線(以下、1次線という)及びそれより高い回折次数となる高次の特性X線(以下、高次線という)がある。
定量分析、面分析、及び線分析の場合、通常は最も強度の大きな1次線が用いられる。しかしながら、分析の対象となった元素の1次線のピークに他の元素の特性X線のピークが重なる場合があり、そのような場合には、測定対象元素の1次線のピーク強度を求めても、当該強度データの信頼性は低いものとなる。この場合には、分析対象の当該元素の1次線より高次となる特性X線(例えば、2次の特性X線(以下、2次線という))のピーク強度を取得して分析を行う必要がある。
このように、当該元素の1次線ではなく高次線を用いる必要がでてくる場合としては、上記のように当該1次線が他の元素の特性X線と重なり合ったときの他に、当該1次線のピーク強度の検出値が、検出器や処理装置の適正使用範囲を超えて高すぎる場合も考えられる。
定量分析、面分析、及び線分析の対象とされた元素の1次線又は高次線を検出する際に、従来技術においては、各回折次数における特性X線のピーク波形の半価幅(FWHM)が回折次数が高くなるにつれて狭くなるにもかかわらず、1次線のピーク検出時に用いられる分光結晶の波長掃引幅を、高次線のピーク検出時にもそのまま適用して波長掃引を行っていた。そのため、高次線のピーク検出時には、不必要な範囲まで波長掃引することとなり、無駄な測定時間が発生して効率良く分析を行うことができなかった。
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、無駄な測定時間をなくすことにより、分析を効率良く行うことのできる分析方法及び分析装置を提供することを目的とする。
本発明における分析方法は、試料に荷電粒子ビームを照射し、試料から発生する特性X線を分光結晶に入射させるとともに当該特性X線ごとに設定された波長掃引幅で分光結晶を移動させ、これにより当該特性X線を分光して分光後の特性X線を検出する分析方法であって、1次の特性X線に対応する波長掃引幅をW 、該1次の特性X線の分光結晶による回折角をΘ 、n次の特性X線に対応する波長掃引幅をW 、該n次の特性X線の分光結晶による回折角をΘ としたときに、当該n次の特性X線に対応する波長掃引幅W を、
=(cosΘ /cosΘ )*W の式に基づいて設定することを特徴とする。
また、本発明における分析装置は、試料に荷電粒子ビームを照射する手段と、試料から発生する特性X線が入射する分光結晶を有し、当該特性X線ごとに設定された波長掃引幅で分光結晶を移動して当該特性X線を分光する分光手段と、分光後の特性X線を検出する手段と、これら各手段のうちの少なくとも分光手段の制御を行う演算制御部とを備えた分析装置であって、演算制御部は、1次の特性X線に対応する波長掃引幅をW 、該1次の特性X線の分光結晶による回折角をΘ 、n次の特性X線に対応する波長掃引幅をW 、該n次の特性X線の分光結晶による回折角をΘ としたときに、当該n次の特性X線に対応する波長掃引幅W を、W =(cosΘ /cosΘ )*W の式に基づいて設定することを特徴とする。
本発明においては、上記式に基づき、試料から発生する特性X線の回折次数に応じて、分光結晶の波長掃引幅を変化させるようにする。
よって、高次の特性X線のピーク検出時には分光結晶の波長掃引幅を適切に狭く設定することができ、効率良く分析を行うことができる。

よって、高次の特性X線のピーク検出時には分光結晶の波長掃引幅を狭く設定することができ、効率良く分析を行うことができる。
以下、図面を参照して本発明における分析方法及び分析装置について説明する。
まず、図1を参照して、本発明における分析装置であるEPMAで用いられる波長分散形直進集光式X線分光器の原理を説明する。ここで、図1は、波長分散形直進集光式X線分光器の原理を説明するための概略図である。
このX線分光器は、湾曲形X線分光結晶Cを備えており、当該分光結晶Cが、電子ビームによる試料上でのX線発生点Sから一定取出し角度αだけ傾斜した直線(図中のl)上を移動する。このとき、X線発生点S、分光結晶C、及びX線検出器の検出部Dは、常に一定半径Rのローランド円上に位置するようにされている。そして、距離SCと距離CDとが等しくなるように保たれている。また、分光結晶Cは結晶格子面が曲率半径2Rに湾曲されており、当該結晶格子面は常にローランド円の中心Oを向くようになっている。
ここで、距離SCを分光位置Lという。また、試料上のX線発生点Sからの特性X線の分光結晶Cへの入射角をΘとすると、図1より明らかなように次式の関係がある。
L=2R*sinΘ …1式
また、分光結晶Cの回折条件は、特性X線の波長をλ、分光結晶Cの格子面間隔をdとすると次式となる。
2d*sinΘ=nλ …2式
ここで、上記nは、正の整数で回折次数である。
よって、上記1式及び2式より、次式が導かれる。
L=(2R/2d)*nλ …3式
すなわち、分光位置Lを測定することにより、回折された特性X線の波長λを知ることができる。定性分析を行う場合には、これにより試料に含まれる元素の同定をすることができる。
さらに、波長分解能をΔλ/λとすると、上記2式より、Δλ/λは次式として導かれる。
Δλ/λ=ΔΘ*cotΘ …式4
ここで、(ΔΘ)=(Δω)+(Δy)であって、Δωは分光結晶C自身の固有反射幅、Δyは分光結晶C上の入射角度誤差幅(分光結晶Cへの特性X線の入射角度幅)である。
また、波長分散形直進集光式X線分光器においては、上記3式より、Δλ/λ=ΔL/Lであるから、スペクトルのピーク波形の半価幅ΔLは、上記1式及び4式から次式として導かれる。
ΔL=2R*ΔΘ*cosΘ …5式
よって、1次線とn次線(回折次数n次の特性X線)の回折角度をそれぞれΘ,Θとし、また1次線とn次線の半価幅をそれぞれΔL,ΔLとすると、ΔLとΔLは次式で表現される。
ΔL=2R*ΔΘ*cosΘ
ΔL=2R*ΔΘ*cosΘ
従って、n次線と1次線の半価幅の比ΔL/ΔLは、次式となる。
ΔL/ΔL=(cosΘ/cosΘ)*(ΔΘ/ΔΘ) …6式
波長分散形直進集光式X線分光器においては、上記Δωは一定であるが、回折次数の高い高次線ほど分光位置Lが大きくてΔyは小さいので、ΔΘ<ΔΘとなる。
従って、ΔLn<(cosΘn/cosΘ1)*ΔL1となる。
ここで、一例として、検出対象の元素がSi(シリコン)の場合での特性X線のピーク波形を図2及び図3に示す。図2は、分光結晶がTAPのときでのSiKαの1次線の波形を示す図である。図3は、同じく分光結晶がTAPのときでのSiKαの2次線の波形を示す図である。なお、図2及び図3において、縦軸は、各回折次数でのピーク強度で規格化したX線強度で、横軸は分光位置Lである。
図2に示された1次線の波形と図3に示された2次線の波形とを比較してわかるように、回折次数が高くなるほど半価幅(FWHM)が狭くなり、波長分解能が良くなることがわかる。
さらに、簡単にするためΔL/ΔL=cosΘ/cosΘとして、n次線と1次線の半価幅比を計算した結果を図4に示す。ここで、図4は、分光位置及び回折次数に対する半価幅比と波長分解能比(Δλ/λ)とを示す図である。
同図から、波形の半価幅が、1次線よりも高次となる回折次数の高いものほど狭くなり、波長分解能が小さくて良いことがわかる。
ここで、分光結晶がTAPのときでのSiKαの半価幅比と波長分解能比とを抽出して示したものを図5に示す。同図から明らかなように、SiKαの2次線は1次線と比べて、半価幅が約0.87(0.867)、波長分解能が約0.43(0.433)となることがわかる。また、SiKαの3次線は1次線に比べて、半価幅が約0.58(0.581)となり、波長分解能が約0.19(0.194)となることがわかる。
本発明においては、試料に含有された元素が予めわかっており、当該元素の定量分析、面分析、及び線分析を行う場合において、当該元素に対応する特性X線のピークを検出する際に、n次線に対応する分光結晶の波長掃引幅Wを、1次線対応する分光結晶の波長掃引幅Wに対して次式のように設定する。
=(cosΘ/cosΘ)*W …7式
例えば、分光結晶がTAPのときでのSiKαの2次線に対応する分光結晶の波長掃引幅Wは、1次線に対応する分光結晶の分析範囲Wの0.87倍となる。また、SiKαの3次線に対応する分光結晶の波長掃引幅Wは、1次線に対応する分光結晶の分析範囲Wの0.58倍となる。なお、実際にはΔL<(cosΘ/cosΘ)*ΔLであるので、上記7式で設定されるn次線に対応する分光結晶の波長掃引幅Wは十分にカバーされた範囲となっている。そして、通常この波長掃引幅Wは、n次線のピーク位置の理論値を中心に設定される。
以上が、本発明におけるn次線に対応する分光結晶の波長掃引幅の算出方法について説明したものである。次いで、以下に、本発明における分析装置の構成について説明する。
図6は、本発明における分析装置を示す概略構成図である。同図において、1は電子銃であり、この電子銃1から放出された電子ビーム(荷電粒子ビーム)6は、加速電極1aで加速され、集束レンズ2及び対物レンズ4により、試料7上に細く集束されて照射される。このとき、走査コイル3によって電子ビーム6が適宜偏向され、これにより電子ビーム6が試料7上を走査したり、試料7上での所定位置にスポット照射される。
電子ビーム6が照射された試料7からは、試料7に含まれている元素に応じた特性X線8が発生する。試料7から発生した特性X線8は、分光結晶9を介して検出器11により検出される。
検出器11は、特性X線8の検出結果に基づいて検出信号を処理部17に出力する。検出器11からの検出信号は、処理部17において、増幅や波形整形等の処理が施され、演算制御部18に送られる。
電子銃1、加速電極1a、集束レンズ2、走査コイル3、及び対物レンズ4は、装置を構成する鏡筒12内に配置されている。また、試料7は、試料室13内に配置された試料ステージ機構5に載置されている。そして、鏡筒12と試料室13は、それぞれ図示しない排気手段によって内部が排気されて真空引きされる。電子ビーム6が試料7に照射される際には、鏡筒12内及び試料室13内は、それぞれ所定の真空度に真空引きされた状態となっている。
鏡筒12内の集束レンズ2、走査コイル3、及び対物レンズ4によって電子光学系23が構成されている。そして、電子銃1、加速電極1a、及び当該電子光学系23は、駆動部14によってそれぞれ駆動される。
分光結晶9と検出器11は、駆動機構10に取り付けられている。この駆動機構10によって、分光結晶9及び検出器11は、連動して所定の方向に動かされることとなる。そして、駆動機構10は、駆動部15によって駆動される。
分光結晶9の動きについて詳述すると、定性分析、面分析、及び線分析の対象とされた元素の特性X線のピーク強度が得られる位置に対応して分光結晶9の波長掃引幅が設定されており、この波長掃引幅内において分光結晶9が低速移動しながら検出器11で検出されたX線を計数して、ピークの検出が行われることとなる。そして、当該波長掃引幅から外れた領域においては、X線の計数は行われることなく分光結晶9は高速移送されることとなる。なお、当該波長掃引幅は、検出される特性X線の回折次数に応じて上記7式により算出されて設定される。
試料7を載置する試料ステージ機構5は、駆動部16によって駆動される。これにより、試料7は、水平方向、垂直方向、傾斜方向、及び回転方向に移動することとなる。
上記各駆動部14〜16及び処理部17は、演算制御部18に接続されている。さらに、この演算制御部18には記憶部19が接続されているとともに、表示部21及び入力部22が接続されている。演算制御部18は、本分析装置の各構成要素の制御を行うとともに、当該制御を実行する上で必要となる演算を行う。
記憶部19には、分析実行時に必要とされる分析対象元素の特性X線の波長と分光位置L(高次のものを含む)、分析対象の元素ごとの1次線の波長掃引幅W1、及び上記7式等の必要な演算式が格納されている。
表示部21は、LCDやCRT等の表示装置からなり、実行された分析の分析結果等を必要に応じて表示する。また、入力部22は、マウスやジョイスティック等のポインティングデバイス及びキーボード等を備えている。本分析装置を使用して試料7の分析を行うオペレータは、入力部22を操作することにより、検出対象となる試料を指定したり、分析条件を設定したりすることができる。
このような構成からなる分析装置を用いて試料7を定性分析する分析方法について、以下に説明する。
まず、鏡筒12内及び試料室13内を、それぞれ所定の真空度に真空引きしておく。その後、演算制御部18によって駆動部14を制御することにより、電子銃1、加速電極1a、及び電子光学系23をそれぞれ所定条件にて駆動する。これにより、試料ステージ機構5に載置された試料7の所定位置に電子ビーム6がスポット照射される。
電子ビーム6がスポット照射された試料7からは、特性X線8が発生する。この特性X線8は分光結晶9に入射する。駆動機構10による駆動により、分光結晶9及び検出器11は、連動して所定の方向に動かされ、分光結晶9に入射した特性X線8は分光結晶9の回折条件を満たす位置で回折され、回折後の特性X線8は検出器11によって検出される。
分光結晶9は、通常、分析対象となっている元素の1次線のピーク強度が得られる波長掃引幅の起点に高速で移送される。当該起点に分光結晶9が到達した後、分光結晶9は当該波長掃引幅内においてその終点まで低速で移動しながら検出器11で検出したX線を計数する。これにより、当該1次線のピーク位置を見つけることができ、該ピーク位置に分光結晶9を設定して、所定時間計数することにより、当該1次線のピーク強度を取得することができる。
得られた1次線のピーク強度を基に、当該元素の濃度を適切に算出することができる場合には、この元素に関する定量分析は終了することとなるが、当該1次線のピーク強度が他の元素の特性X線強度と重なり合っていたり、検出値が高すぎたりして当該濃度を適切に算出することができない場合がある。
この場合には、当該元素の1次線より高次となる高次線のピーク強度を取得して濃度分析を行うこととなる。そして、高次線として2次線(2次の特性X線)のピーク強度を検出する際には、分光結晶9は当該元素の2次線のピーク強度が得られる波長掃引幅の起点に高速で移送される。当該起点に分光結晶9が到達した後、分光結晶9は当該波長掃引幅内においてその終点まで低速で移動しながら検出器11で検出したX線を計数する。これにより、当該2次線のピーク強度を見つけることができ、該ピーク強度に分光結晶9を設定して、所定時間計数することにより、当該2次線のピーク強度を取得することができる。
当該2次線のピーク強度でも当該濃度を適切に算出することができない場合には、上述と同様にして、3次線(3次の特性X線)のピーク強度の検出を行う。
そして、分析の対象とされた元素の特性X線の適正なピーク強度を取得できる回折次数の特性X線を用いて取得された適正なピーク値を基に、当該元素の濃度を適切に算出する。
なお、線分析と面分析は、分析の対象とされた元素の特性X線のピーク位置に分光結晶9を設定した状態で、試料7上の所定の位置に電子ビーム6をスポット照射しておき、試料ステージ機構5を駆動部16によって駆動することにより、試料7を1次元(線分析)又は2次元(面分析)に走査しながら、該特性X線のピーク強度を測定するものである。これによって、該元素の試料7上の1次元分布の測定(線分析)や2次元分布の測定(面分析)を行うことができる。
線分析と面分析においても定量分析と同様に、分析対象とされた元素の適正な回折次数の特性X線を用いる。そして、回折次数に応じた波長掃引幅で分光結晶9を起点から終点まで低速で移動しながら検出器11で検出したX線を計数し、対応する回折次線の特性X線のピーク位置を見つけるが、このピーク位置の見つけ方は、上述した定量分析で用いたものと同一の方法である。
ここで、上記の各回折次数での特性X線のピーク強度の検出時における分光結晶9の波長掃引幅は、当該特性X線の回折次数に応じて変化させることとする。すなわち、この波長掃引幅は、当該元素の特性X線の回折次数が高くなるのに応じて狭く設定することとなる。
具体的には、1次の特性X線に対応する分光結晶9の波長掃引幅をW、n次の特性X線に対応する分光結晶9の波長掃引幅をW、1次と該n次の特性X線の分光結晶による回折角度をそれぞれΘ,Θとしたときに、当該n次の特性X線に対応する分光結晶9の波長掃引幅Wを、上記7式である
=(cosΘ/cosΘ)*W
の式に基づいて設定する。
この波長掃引幅Wの算出及び設定は、演算制御部18が、記憶部19から必要なデータ及び上記7式を読み出して実行する。ここで、記憶部19には、上述のごとく、分析実行時に必要とされる分析対象元素の特性X線の波長と分光位置L(高次のものを含む)、分析対象の元素ごとの1次線の波長掃引幅W1、及び上記7式等の必要な演算式が格納されている。
演算制御部18は、特性X線の回折次数に応じて設定された分光結晶9の波長掃引幅Wに基づいて駆動部15を制御する。これにより駆動機構10が駆動制御され、分光結晶9が、回折次数nに対応する当該波長掃引幅Wに基づいて移動することとなり、検出器11もこれに対応して動かされる。
このように本発明においては、試料から発生する特性X線の回折次数に応じて、分光結晶の波長掃引幅を変化させるようにする。
よって、高次の特性X線のピーク強度検出時には分光結晶の波長掃引幅を狭く設定することができ、効率良く分析を行うことができる。
波長分散形直進集光式X線分光器の原理を説明するための概略図である。 分光結晶がTAPのときでのSiKαの1次線の波形を示す図である。 分光結晶がTAPのときでのSiKαの2次線の波形を示す図である。 分光位置及び回折次数に対する半価幅と波長分解能比とを示す図である。 SiKαの半価幅比と波長分解能比とを抽出して示した図である。 本発明における分析装置を示す概略構成図である。 従来技術におけるEPMAを示す概略構成図である。
符号の説明
1…電子銃、1a…加速電極、2…集束レンズ、3…走査コイル、4…対物レンズ、5…試料ステージ機構、6…電子ビーム(荷電粒子ビーム)、7…試料、8…特性X線、9…分光結晶、10…駆動機構、11…検出器、15…駆動部、17…処理部、18…演算処理部、19…記憶部

Claims (2)

  1. 試料に荷電粒子ビームを照射し、試料から発生する特性X線を分光結晶に入射させるとともに当該特性X線ごとに設定された波長掃引幅で分光結晶を移動させ、これにより当該特性X線を分光して分光後の特性X線を検出する分析方法であって、
    1次の特性X線に対応する波長掃引幅をW 、該1次の特性X線の分光結晶による回折角をΘ 、n次の特性X線に対応する波長掃引幅をW 、該n次の特性X線の分光結晶による回折角をΘ としたときに、当該n次の特性X線に対応する波長掃引幅W を、
    =(cosΘ /cosΘ )*W
    の式に基づいて設定することを特徴とする分析方法。
  2. 試料に荷電粒子ビームを照射する手段と、試料から発生する特性X線が入射する分光結晶を有し、当該特性X線ごとに設定された波長掃引幅で分光結晶を移動して当該特性X線を分光する分光手段と、分光後の特性X線を検出する手段と、これら各手段のうちの少なくとも分光手段の制御を行う演算制御部とを備えた分析装置であって、
    演算制御部は、1次の特性X線に対応する波長掃引幅をW 、該1次の特性X線の分光結晶による回折角をΘ 、n次の特性X線に対応する波長掃引幅をW 、該n次の特性X線の分光結晶による回折角をΘ としたときに、当該n次の特性X線に対応する波長掃引幅W を、
    =(cosΘ /cosΘ )*W
    の式に基づいて設定することを特徴とする分析装置。
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