JP4365330B2 - 情報記録再生装置 - Google Patents
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Description
このような多層光ディスクに対して、記録面の位置を判断して記録再生を行う光ディスク装置が提案されている(特許文献1および2参照)。
また、特許文献2には、光ディスクの記録層ごとに設けられた反射膜と対物レンズの焦点が一致したことを検出し、一致した数をカウントして反射膜の位置を判別する手段を備え、対物レンズを光軸に沿って往復運動させ、往移動により焦点が一致した反射膜の全層数をカウントし、復移動により目的の反射層にフォーカス制御をする光ディスク装置が記載されている。
また、多層の記録層を有する光ディスクでも、同様に、光が各記録層に至るまでの距離は短い方が好ましく、記録層の間隔も小さいことが好ましい。
しかし、多層の記録層の間隔を短くした場合、隣接する記録層どうしの熱的な干渉が起こる可能性が高くなる。また、記録層の間隔を短くすると、各記録層ごとのフォーカスエラー信号のS字形状の信号波形が近接することになり、特定の記録層にフォーカス制御をしようとしても、近接した他の記録層からのフォーカスエラー信号の干渉や外乱などが発生するため、目的の特定の記録層以外の層に誤ってフォーカス制御される可能性がある。
さらに、反射膜の全層数をカウントした後、目的の記録層へフォーカス制御する場合は、最初の焦点一致検出は層数を検出するだけで直接目的の位置の記録層に合焦させることはしていないので、フォーカス制御に時間がかかる。また、この場合、目的の記録層へ合焦させる際に外乱等により現在の対物レンズの位置が不明となり、再度フォーカス制御をやり直す必要がある場合もある。
この発明の光照射部は、レーザ光を出射する光源をはじめ、レーザ光が光ディスクに照射されるまでの空間に配置される光学素子などを含むものであり、後述する光照射ブロックに対応する。
また、光検出部は、フォーカス制御のために利用される光検出器であり、後述する第2光検出器に対応する。
さらに、第1のフォーカス検出信号SUBは後述する補助信号SUBに対応し、第2のフォーカス検出信号FESは後述するフォーカスエラー信号FESに対応する。
この発明の第1合焦部は、後述するフォーカス引き込み制御部にほぼ対応する。
このように、第1合焦部による特定の記録層付近への合焦制御(後述する第1合焦制御)を行い、その後、第2合焦部によるその特定の記録層への合焦制御(後述する第2合焦制御)を行っているので、迅速かつ正確なフォーカス制御が可能となる。
この発明の第2合焦部は、後述するフォーカス制御部にほぼ対応する。
記録層ごとに、その記録層付近へ合焦したと判定するための判定条件を、SUBとFESの2つの信号についての条件として設定するので、目的の記録層付近への合焦を判断する場合においてより誤判定の少ない合焦検出ができる。
この場合、前記第1のフォーカス検出信号SUBは、前記第2および第3領域群に属し対角位置関係にある4つの光検出領域で検出された光成分の和から、第2および第3領域群に属する残りの4つの光検出領域で検出された光成分の和を減算した演算値から求めるようにする。
<この発明の情報記録再生装置の構成>
図1に、この発明の情報記録再生装置の構成ブロック図を示す。
この発明の情報記録再生装置は、主として、光照射ブロック(1〜7),情報光検出ブロック(8〜10),フォーカス検出ブロック(11〜13),レンズ駆動ブロック(14,15)およびサーボコントローラブロック(21〜26)とから構成される。
光照射ブロックは、レーザ光を、光ディスク18の記録層に照射する部分であり、レーザ光源(LD)1,コリメートレンズ2,回折格子3,ビームスプリッタ4,1/4波長板5,収差補正光学素子7,対物レンズ6とを備えるブロックである。
フォーカス検出ブロックは、BSプリズム8で分光された反射光を受けてフォーカスエラー信号(FES)および補助信号(SUB)を生成するための検出信号を生成する部分であり、ウェッジプリズム11,集光レンズ12,第2光検出器13とを備えるブロックである。
ウェッジプリズム11によって、反射光は2つの光ビームに分離され、2つの光ビームは、第2検出器13の異なる位置にスポットを形成する。第2光検出器13は後述するように複数の光検出領域を持ち、各領域ごとにスポットに対応した検出信号を出力する。
サーボコントローラブロック20は、第2光検出器13で得られた検出信号からフォーカス制御をするための制御信号を生成する部分であり、主として、FES生成部21,フォーカス制御部22,補助信号生成部23,フォーカス引き込み制御部24,記憶部26および切替制御部25とから構成される。
この発明の光ディスク18は、ポリカーボネートのような基板100上に、中間層,コート層と、反射層101と記録層102を積層した構造を備える。
また、図2に示すように、反射層101と記録層102とは複数組積層され、第1記録層102に合焦されかつ第1反射層101によって反射された光により第1記録層102に記録された情報が読み出される。また第2記録層102に合焦され第2反射層101によって反射された光により、第2記録層102に記録された情報が読み出される。
一方、第2光検出器13により検出された光は、サーボコントローラ20によりフォーカスエラー信号(FES)と、その補助信号(SUB)の生成に用いられる。この2つの信号(FES,SUB)は、後述するような記録層の判定を行うフォーカス引き込み制御部24で用いられる。
また、フォーカスエラー信号(FES)は、フォーカス引き込み処理により目的の記録層付近へのフォーカス制御をした後、さらにフォーカス制御部22で目的の記録層への正確な合焦を行うために用いられる。
特に、各記録層ごとに検出されるべきFESとSUBの両信号のしきい値や範囲(判定条件)を予め定めておき、第2光検出器13によって検出された光から現実に測定されたFESとSUBとが、予め定められたどの判定条件を満たすかをチェックすることにより、目的の記録層付近に合焦されたか否かを判断する。以下、このフォーカス引き込み処理を第1合焦処理とも呼ぶ。
フォーカス引き込み処理が完了した後は、要求された目的の記録層への正確な合焦を行うために、FESのみを用いた微小な合焦制御処理が行われる。この合焦制御処理を第2合焦処理とも呼ぶ。
また、2段階でフォーカス制御をするものの目的の記録層を直接探すような制御をしているので、従来のように、一旦すべての記録層の数をカウントするような制御をした後さらに目的の記録層に合焦させるようなフォーカス制御をする場合よりも、フォーカス制御の速度を速くすることができ、やり直しのない正確なフォーカス制御ができる。
以下、この発明の特徴的な部分であるサーボコントローラ20の動作を中心に、この発明のフォーカス制御の処理内容について説明する。
記憶部26は、FESやSUBの判定条件や判定レベルの情報をはじめ、各機能ブロックの演算に必要なデータを記憶する部分であり、判定条件などの固定情報の記憶にはROMや不揮発性の記憶素子が用いられる。
また、FESやSUBの判定条件は予め設計段階や初期設定段階で決定し、ROM等に書き換えできないように記憶してもよいが、現実の使用段階でも微調整ができるように、書き換え可能な不揮発性の記憶素子に記憶してもよい。
また、補助信号生成部23も同様に、第2光検出器13で受光した光に対応する検出信号から予め定義した演算式により、補助信号(SUB)の数値を生成するものである。
この発明では、前記したように、まずフォーカス引き込み制御部24による目的の記録層付近への合焦制御(第1合焦)が行われ、その後、フォーカス制御部22による目的の記録層への正確な合焦制御(第2合焦)が行われる。
選択部がフォーカス引き込み制御部24からの指示信号を受けてこの第1合焦が成功したと判断した場合は、スイッチを切り換え、フォーカス制御部22から与えられる指示信号を、フォーカス駆動部15へ出力する。
また、第2合焦処理が完了した後、次の第1合焦処理を行う場合には、フォーカス引き込み制御部24から与えられる指示信号をフォーカス駆動部15へ出力するように、スイッチを切り換える。
フォーカスアクチュエータ14は、対物レンズ6に取付けられ、与えられた制御信号に基づいて対物レンズ6と光ディスク18との距離Lを調整する。
この対物レンズ6と光ディスク18との距離Lが変化することにより、第2光検出器13で検出される反射光のスポット位置や形状も変化するので、生成されるFESやSUBも変化する。変化したFESとSUBを測定し、各ブロックの光学素子とサーボコントローラ20とによって、最終的にFESがほぼゼロとなるまでフォーカスサーボが繰り返され、第1合焦処理が実行されて目的の記録層付近への合焦がされた後、FESがゼロとなったときに、第2合焦処理が終了する。
次に、この発明で用いるフォーカスエラー信号(FES)と、補助信号(SUB)の具体例について説明する。
図3に、この発明の第2光検出器13の光検出面の一実施例の平面図を示す。
図3(b)に示すように、第2光検出器13の光検出面は8つの領域(a〜h)に分割されているものとする。各領域に照射された光成分はそれぞれ電気信号に変換され、別々にFES生成部21と補助信号生成部23に与えられる。
図3(a)は、2つの記録層(111,112)を持つ光ディスクの概略断面図を示している。このような光ディスクの第1記録層111に焦点が合うようにフォーカス制御をした場合、ウェッジプリズム11および集光レンズ12を通過した第1記録層からの反射光は、たとえば図3(c)に示すように、第2光検出器13で検出される。
また、図3(d)は、光ディスクの第1記録層111に焦点が合うようにフォーカス制御をした場合の第2記録層からの反射光による第2検出器13の光検出面のスポットを示している。領域cおよびdと、領域hおよびgに、それぞれ半円状のスポットを形成する。両スポットともほぼ同じ面積となる。
フォーカスエラー信号(FES)=
((b+f)−(c+g)−((a+e)−(d+h)))/SUM
補助信号(SUB)=
((a+e)−(d+h))/(a+d+e+h)
ここで、a〜hは、第2検出器13の光検出面の各領域で検出された光成分に対応して出力される電気信号成分(電圧値)を意味する。
また、SUMは検出された合計値、すなわちSUM=a+b+c+d+e+f+g+hとし、第2光検出部13の光検出面で検出される反射光全体の光量に対応する電気信号値を意味する。
第1演算量S1と第2演算量S2とは、4つの領域のうち対角関係にある位置の2つの領域の電気信号成分の和から、他の対角関係にある位置の2つの領域の電気信号成分の和を引いたものである。
後述するように、FESの値とともに、この補助信号SUBの値がどの判定条件を満たしているかを見ることにより、現在合焦している可能性のある記録層の位置を特定することができる。
すなわち、FESとSUBの両方を用いることにより、目的の記録層付近への合焦制御(第1合焦)が行われ、その後に、FESのみを用いた正確な合焦制御(第2合焦)が行われる。
図4によれば、FESは、第1層の合焦位置(原点)および第2層の合焦位置の両側でそれぞれピークを持つ。一方、SUBは、第1層の合焦位置(原点)付近では負の値を持つが、第2層の合焦位置付近では、正の値を示している。
(1)第1記録層付近へ合焦したと判定される条件
|FES|>L1 かつ
SUB<L2(L2≦L1)
(2)第2記録層付近へ合焦したと判定される条件
|FES|>L1 かつ
SUB>L2(L2≦L1)
ただし、図4の場合は、L2の値としてゼロを採用することもできる。このとき、|FES|>L1かつSUB<0であれば、第1記録層付近への合焦ができたと判断される。一方、|FES|>L1かつSUB>0であれば第2記録層付近への合焦ができたと判断される。
図5に、3層ディスクのスポット形状を示すが、ここでは、最下層を第ゼロ層とし、その上を第1層、さらにその上を第2層としている。
この場合、最下層の第ゼロ層に合焦したときのスポットは、図5に示すように、領域aとb、領域eとfに半円状パターンとして検出される。また、図6に示す3層ディスクのFESでは、第1層のピークの左側に、第ゼロ層のピークが現れている。
図6において、第1層付近に合焦したことを検出する判定条件は、次の式で定義することができる。
(3)第1記録層付近へ合焦したと判定される条件
|FES|>L1 かつ
|SUB|<L2(L2≦L1)
(4)第ゼロ層付近へ合焦したと判定される条件
|FES|>L1 かつ
SUB<−L2<0
(5)第2層付近へ合焦したと判定される条件
|FES|>L1 かつ
SUB>L2>0
図6に示す3層ディスクの場合は、第ゼロ層の判定条件のSUBは上限が定められ、第2層の判定条件のSUBは下限が定められるが、第1層の判定条件のSUBは上限および下限による数値範囲が定められる。
このように、記録層ごとに、その合焦の判定条件が定義されるが、4層以上の多層ディスクの場合も同様に、FESとSUBの下限値又は上限値や数値範囲によって各記録層付近への合焦の判定条件がそれぞれ定義される。
ここでは、この発明の情報記録再生装置のフォーカス制御処理の一実施例を説明する。前記したように、この発明のフォーカス制御処理は、FESとSUBを用いた第1合焦処理と、その後に行われるFESを用いた第2合焦処理とからなる。
図7のフローチャートのステップS1からS6までが第1合焦処理にほぼ対応し、ステップS11からS16までが第2合焦処理にほぼ対応する。
まず、図示しないパソコン等の上位装置からユーザデータの記録再生要求が情報記録再生装置に送られる。この要求には、記録すべきデータそのものの他に、光ディスクのどの位置に記録すべきかを示す情報(論理アドレス情報)も含まれている。情報記録再生装置のCPUは、制御プログラムに基づいて、論理アドレス情報を、光ディスクの物理アドレスに変換する処理を行う。物理アドレスは、サーボコントローラ20に与えられる。
変換された物理アドレスには、光ディスクの中の複数の記録層のうち、記録再生すべき目的の記録層の位置(あるいは番号など)が含まれ、目的の記録層の位置がサーボコントローラ20に指示される。
目的の層への移動のために、フォーカスサーボをOFFとする。フォーカスサーボをOFFするとは、具体的には、フォーカス制御部がフォーカス駆動部を通じてアクチュエータを駆動していた動作を解除することを意味する。
次に、スポットの最適化のために、収差補正動作をONとする。収差補正とは、図とは別途設けられた駆動部が、収差補正光学系を用いて、透過層厚みの違いによる球面収差を補正することを意味する。
次に、指示された目的の記録層付近への第1合焦のために、フォーカス駆動部15がアクチュエータ14を駆動して、対物レンズ6と光ディスク18との距離Lを調整する。このとき、フォーカス引き込み制御部24からの指示信号が、フォーカス駆動部15に与えられるように、切替制御部25のスイッチが切替えられる。
アクチュエータが駆動され、距離Lが変化されるのに伴って、第2光検出器13で検出されるスポットの形状も変化する。したがって、FES生成部21および補助信号生成部23により生成されるFESおよびSUBも変化する。そして、両生成部(21,23)で生成されたFESとSUBは、フォーカス引き込み制御部24に与えられる。ここでは、フォーカス引き込み制御部24が、目的の記録層に対応づけて記憶部26に記憶されていたFESの判定レベルを読み出し、生成されたFESの数値と判定レベルとを比較する。
一方、判定条件を満たした場合、ステップS6へ進む。
次に、SUBの比較判定を行う。ここでは、フォーカス引き込み制御部24が、目的の記録層に対応づけて記憶部26に記憶されていたSUBの判定条件を読み出し、生成されたSUBの数値が判定条件を満たすか否かチェックする。
たとえば2層ディスクで、目的の記録層が第1層の場合、前記した判定条件のうち、SUB<L2が読み出され、生成したSUBが判定レベルL2よりも小さいか否かチェックされる。
この比較の結果、判定条件を満たさない場合、ステップS4へ戻り、再度アクチュエータ14を駆動させ、距離Lを調整する。
一方、判定条件を満たした場合、FESとSUBの両方について、目的の記録層に対応する判定条件を満たしたことになるので、現在目的の記録層の付近に合焦した状態になったと判断される。すなわち、第1合焦が成功したと判断される。
ステップS5では、FESが図8のレベル1(L1)よりも大きいか否かが判定され、ステップS6では、SUBが図8のレベル2(L2)よりも小さいか否かが判定され、条件を満たさない場合は、図の矢印の方向にFESやSUBが変化するように、アクチュエータが駆動される。
ここでは、目的の記録層への正確な合焦をするために、フォーカス引き込み制御部がアクチュエータ14の加速方向の決定のパラメータであるFES符号の判別を行う。たとえば、図8の場合アクチュエータが合焦位置より遠い場合は、FES符号は正となり、アクチュエータの加速方向をディスクに近づける方向とする。また、アクチュエータが合焦位置より近い場合は、FES符号は負となり、アクチュエータの加速方向をディスクから遠ざける方向とする。
また、この後は、FESのみに基づいて合焦処理を行うので、フォーカス制御部22からの指示信号がフォーカス駆動部15へ与えられるように、切替制御部25のスイッチが切り替えられる。
フォーカス駆動部15が、ステップS11で決定された方向に、アクチュエータ14を駆動させる。
FESの変化量に基づいて、目的の記録層についてのFESピークを通過したかどうかを判別する。たとえば、FESが正の値のときFESの値が時間に対し増加するように変化した場合は微分極性は正であるので、FESピークをまだ通過していないことがわかり、再度ステップS13を繰り返す。
一方、FESの値が時間に対して減少するように変化した場合は、微分極性は負であるので、FESピークを通過して正確な合焦方向に向かってアクチュエータが駆動されていることがわかる。この場合は、ステップS14へ進む。
次に、フォーカス制御部22は、FES生成部21で生成されたFESが、正確な合焦と判定できる判定条件を満たすか否かチェックする。たとえば、記憶部26に、2層ディスクの第1記録層に合焦したと判定できるFESレベルとして、図8に示すレベルL3が記憶されていたとすると、生成されたFESがレベルL3よりも小さいか否か判定する。生成されたFESがレベルL3以上の場合、まだ合焦に至っていないので、再度ステップS14を繰り返す。
一方、生成されたFESがレベルL3よりも小さくなった場合、第1記憶層に正確に合焦されたと判断し、ステップS15へ進む。
以上の処理により、目的の記録層への合焦がほぼ成功したので、ここでは、アクチュエータを加速するように駆動していた制御を中止し、逆に減速する制御をする。
次に、目的の層で情報信号再生のために、フォーカスサーボをONとする。ここで、フォーカスサーボをONとするとは、フォーカス制御部が、フォーカス駆動部を通じてアクチュエータ駆動して目的の層に追従動作を行うことを意味する。
以上の処理により、目的とする記録層に対してFESをほぼゼロとする第2合焦処理が終了する。この後、目的の記録層に対するデータの記録処理や、第1の光検出器10を利用したデータの再生処理が実行される。
次に、いくつかの多層ディスクについて計算したFESとSUBの一実施例について、説明する。
(計算例1)
2層ディスクのFESとSUBの計算例を示す。ここでは、2層ディスクは、下層の記録層を第0層、上層の記録層を第1層と表現する。
図9に2層ディスクの第0層への合焦を行った場合のFESとSUBのグラフを示し、図10に第1層への合焦を行った場合のFESとSUBのグラフを示す。横軸は合焦点からのデフォーカスの距離(μm)を示している。原点の位置が正確に合焦された位置を示している。
いずれもFESを実線で示し、SUBを破線で示している。また、第0層と第1層の記録層の間隔を15μmとした。
図9および図10によれば、第1層付近への合焦の判定条件は、|FES|>0.3かつSUB>0とすればよいことがわかる。
また、第0層付近への合焦の判定条件は、|FES|<0.3かつSUB<0とすればよい。
3層ディスクのFESとSUBの計算例を示す。
図11に、3層ディスクの最下層の第0層への合焦を行ったときのFESとSUB、図12に、3層ディスクの中間の第1層への合焦を行ったときのFESとSUB、図13に、3層ディスクの最上層の第2層への合焦を行ったときのFESとSUBのグラフをそれぞれ示す。
図11によれば、第0層付近への合焦の判定条件は、FES>0.3かつSUB<−0.3とすればよいことがわかる。
図12によれば、第1層付近への合焦の判定条件は、|FES|>0.3かつ|SUB|<0.3とすればよいことがわかる。また、図13によれば、第2層付近への合焦の判定条件は、|FES|>0.3かつSUB>0.3とすればよいことがわかる。
4層ディスクのFESとSUBの計算例を示す。
図14に、4層ディスクの最下層の第0層への合焦を行ったときのFESとSUB、図15に、4層ディスクの第1層への合焦を行ったときのFESとSUB、図16に、4層ディスクの第2層への合焦を行ったときのFESとSUB、図17に、4層ディスクの最上層の第3層への合焦を行ったときのFESとSUBのグラフをそれぞれ示す。
第0層付近の合焦条件:
FES>0.3 かつ SUB<−0.5
第1層付近の合焦条件:
|FES|>0.3 かつ −0.5<SUB<−0.1
第2層付近の合焦条件:
|FES|>0.3 かつ −0.1<SUB<0.5
第3層付近の合焦条件:
|FES|>0.3 かつ SUB>0.5
4層ディスクのFESとSUBについて、別の計算例を示す。
記録層が多層になればなるほど、SUBの線形性が失われ、局所的なピークが出現するようになる。たとえば、図16に示したSUBのグラフでは、デフォーカスの値が0および10の位置付近に極大ピークが表れ、これが合焦の誤判定となる場合もある。そこで、誤判定を少なくするために、第2光検出器13の光検出面を追加し、追加面で検出された光成分も利用してSUBを計算することにより、SUBの波形の非線形性を減らすようにすることが好ましい。
ここで、8つの分割領域(a〜h)は、図3(a)に示したものと同じであるが、さらにその外側に4つの検出領域(i,j,k,l)を追加している。このような12個の光検出面を持つ第2光検出器13を持つ場合、SUBを求める式を次のように定義する。
SUB=((a+e+i+k)−(d+h+j+l))/(a+d+e+h+i+j+k+l)
FESは、前記したものと同じ式を用いるものとする。
このように、光検出器13の中心から外側により離れた位置で検出された光を利用すれば、SUBの波形の局所的なピークを減らすことができるので、第1合焦の誤判定を減らすことができる。
図19は、4層ディスクの最下層の第0層への合焦を行ったときのFESとSUB、図20は、4層ディスクの第1層への合焦を行ったときのFESとSUB、図21は、4層ディスクの第2層への合焦を行ったときのFESとSUB、図22は、4層ディスクの最上層の第3層への合焦を行ったときのFESとSUBをそれぞれ示す。
また、SUBの判定条件の数値をより広めに設定することもできる。
第0層付近への合焦条件:
FES>0.3 かつ SUB<−0.5
第1層付近の合焦条件:
|FES|>0.3 かつ −0.5<SUB<0.0
第2層付近の合焦条件:
|FES|>0.3 かつ 0.0<SUB<0.5
第3層付近の合焦条件:
|FES|>0.3 かつ SUB>0.5
なお、上記計算例に示したFESおよびSUBの判定条件の上下限の数値および範囲は一実施例であって、この条件に限るものではない。
2 コリメートレンズ
3 回折格子
4 ビームスプリッタ
5 1/4波長板
6 対物レンズ
7 収差補正光学素子
8 BSプリズム
9 集光レンズ
10 第1光検出器
11 ウェッジプリズム
12 集光レンズ
13 第2光検出器
14 フォーカスアクチュエータ
15 フォーカス駆動部
18 光ディスク
20 サーボコントローラ
21 FES生成部
22 フォーカス制御部
23 補助信号生成部
24 フォーカス引き込み制御部
25 切替制御部
26 記憶部
Claims (5)
- 複数の記録層が積層された多層光ディスクにレーザ光を集光照射する光照射部と、
複数の光検出領域に分割された光検出面を持ち、特定の記録層によって反射された前記レーザ光の反射光を各検出領域で検出する光検出部と、
光検出面の中心を含まない外側の所定数の光検出領域で検出された光成分を利用して第1のフォーカス検出信号SUBを生成する第1信号生成部と、
光検出面の中心を含む内側の所定数の光検出領域で検出された光成分と前記外側の光検出領域で検出された光成分とを利用して、特定の記録層へのレーザ光の合焦を判定するための第2のフォーカス検出信号FESを生成する第2信号生成部と、
前記第1信号生成部によって生成された第1のフォーカス検出信号SUBと、前記第2信号生成部によって生成された第2のフォーカス検出信号FESとが、予め設定されたSUBおよびFESの判定条件を満たしたときに、その判定条件に対応づけられた特定の記録層付近にレーザ光の焦点が合焦していると判定する第1合焦部とを備え、
前記光検出部の光検出面が、その中心を含む4つの光検出領域からなる第1領域群と、中心を含まず前記第1領域群の外側に配置された4つの光検出領域からなる第2領域群と、
前記第2領域群を構成する各光検出領域のさらに外側に、4つの光検出領域からなる第3領域群とを備えたことを特徴とする情報記録再生装置。 - 前記第1のフォーカス検出信号SUBは、前記第2および第3領域群に属し対角位置関係にある4つの光検出領域で検出された光成分の和から、第2および第3領域群に属する残りの4つの光検出領域で検出された光成分の和を減算した演算値から求められることを特徴とする請求項1の情報記録再生装置。
- 前記第2のフォーカス検出信号FESは、前記第1領域群に属する4つの光検出領域のうち対角関係にある位置の2つの領域の光成分の和から、他の対角関係にある位置の2つの領域の光成分の和を引いた演算値である第1演算量S1と、
前記第2領域群に属する4つの光検出領域のうち対角関係にある位置の2つの領域の光成分の和から、他の対角関係にある位置の2つの領域の光成分の和を引いた演算値である第2演算量S2との差(S1−S2)を、前記光検出部で検出された反射光全体の光成分の和で割った値であることを特徴とする請求項1または2の情報記録再生装置。 - 前記第2信号生成部によって生成された第2のフォーカス検出信号FESが、特定の記録層へ合焦したと判定するために予め設定されたFESの判定条件を満たしたときに、その特定の記録層へ合焦したと判定する第2合焦部を備え、前記第1合焦部が特定の記録層付近にレーザ光が合焦したことを判定した後、前記第2合焦部による合焦判定を行うことを特徴とする請求項1,2または3のいずれかの情報記録再生装置。
- 前記第1および第2のフォーカス検出信号(SUB,FES)の判定条件を予め記憶した記憶部を備え、前記判定条件は、多層光ディスクの記録層ごとに予め設定されていることを特徴とする請求項1,2,3または4のいずれかの情報記録再生装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005006696A JP4365330B2 (ja) | 2005-01-13 | 2005-01-13 | 情報記録再生装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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