JP4364997B2 - スイッチング電源回路 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
スイッチング電源回路の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
金属酸化膜形電界効果トランジスタ(以下MOSFETと略す)やMOSFET制御形バイポーラトランジスタ(以下IGBT(Isolated Gate Bipolar Transistor)と略す)、あるいはMOSFET制御形サイリスタ等の高速の電圧制御形半導体素子が、従来のバイポーラトランジスタ等の電流制御形半導体素子と同等価格まで低価格化した。特に、低電圧で動作するものとしては、ドレイン−ソース間耐圧およびドレイン電流容量がそれぞれ60V12Aとなっているエンハンスメント型PchMOSFETは、同じく60V10Aの高速スイッチングトランジスタの半分以下の価格にされたものがある。
【0003】
しかし、電圧制御半導体素子専用のスイッチング電源制御IC(集積回路)、特に、同期整流形のスイッチング電源制御ICは、以前からある非同期整流形のバイポーラトランジスタ適用形スイッチング電源制御ICよりも約10倍近くも高価である。
【0004】
したがって、より低価格の高速スイッチング低電圧電源回路を構成するためには、エンハンスメント型MOSFETとバイポーラトランジスタ適用形スイッチング電源制御ICとを組み合わせて使用することが多くなってきた。
【0005】
以下、エンハンスメント型MOSFETとバイポーラトランジスタ適用形スイッチング電源制御ICとを使用した従来の技術の電源回路について、図7と図5を用いて説明する。
【0006】
図7において、電圧変換部1が図5(i’)に示す回路である場合、正極性降圧形で非同期形のスイッチング電源となり、電圧変換部1が図5(ii)に示す回路である場合、正極性の昇圧形で非同期形のスイッチング電源となり、また、電圧変換部1が図5(iii)に示す回路である場合、反転形で非同期正極性形のスイッチング電源となる。
【0007】
図6は従来技術と本発明のスイッチング電源回路の動作をしめす波形図であり、図6の実線Bは、本発明の電源回路の非同期整流形の場合の動作を示し、図6の点線Aは、MOSFETとバイポーラトランジスタ適用形スイッチング電源制御ICとを用いた従来技術の電源回路の動作を示す。さらに、図6(g)の一点鎖線Cは、本発明の正極性降圧形で同期整流形の場合の動作を示す。
【0008】
以下図6と図7とを用いて、従来の技術の動作を簡単に説明する。
図6、7において、Viは入力非安定正電源、Voは出力電圧、Vrは基準電圧、Zlは負荷、3はバイポーラトランジスタ適用形スイッチング電源制御IC、Q1はPchMOSFET、Q4はNchMOSFET、Q2はNPNトランジスタ、Q3はPNPトランジスタである。電圧変換部1は、転流ダイオードD1、平滑インダクタL1、平滑容量C1を有する。
【0009】
また、R1、R2はゲート駆動抵抗であり、R3は負荷抵抗、R4,R10はゲート−ソース間抵抗、C3は結合容量、D3は直流再生ダイオードである。容量C3は異常時にMOSFET Q4を確実にオフさせるために挿入されている。
【0010】
以上の図6、7においては、正極性の場合について示しているが、負極性の場合には、ダイオードとコンデンサの極性を反転し、MOSFETについてはNchとPchとを逆にすれば良い。
【0011】
図7において、入力非安定正電源ViはMOSFET Q1でスイッチングされ、電圧変換部1において平滑インダクタL1と転流ダイオードD1と平滑容量C1とで直流化され、負荷Zlに出力電圧Voを供給し、出力電圧VoはIC3に帰還され、そこで検出されて、そのバイポーラトランジスタ適用形スイッチング電源制御IC3により出力電圧Voが一定になる様にMOSFET Q1のON/OFF比が制御される。
【0012】
図6(g)(h)(l)(m)の点線Aは、MOSFETとバイポーラトランジスタ適用形スイッチング電源制御ICとを用いたスイッチング電源での従来の技術による回路の動作を示している。この回路の動作について、以下、簡単に説明する。
【0013】
正極性降圧形と反転形とでは、図6(g)(h)(m)の点線Aのように、バイポーラトランジスタ適用形スイッチング電源制御IC3の出力トランジスタがオンすることで、エミッタフォロワ形トランジスタQ3を介してMOSFET Q1のゲート容量を低いインピーダンスで充電し、ゲート電圧Vg1(図6の(g))を入力非安定正電源Vi−Vbe(通常約11.3V)からIC1の出力トランジスタの飽和電圧Vcesat(約0.3V)とベースエミッタ順電圧Vbe(約0.7V)の和をとった値である約1Vまで降下させて、MOSFETQ1のドレイン電圧Vd1(正極性降圧形の場合図6の(h)、正極性反転形の場合図6の(m))が比較的短い時間でターンオンする。
【0014】
そして、IC3の出力トランジスタがOFFすると、抵抗R3がエミッタフォロワ形トランジスタQ2を介してMOSFET Q1のゲート容量を比較的高いインピーダンスで放電し、ゲート電圧Vg1が、約1VからVi−Vbe(通常約11.3V)まで上昇して、MOSFET Q1のドレイン電圧Vd1は比較的長い時間でターンオフする。
【0015】
正極性の昇圧形では図6(k)(l)の点線のように、IC3の出力トランジスタがエミッタフォロワ形トランジスタQ3を介してMOSFET Q4のゲート容量を駆動することで、MOSFET Q4のゲート容量が放電されて、そのゲート電圧Vg4がVi−Vbe(通常約11.3V)からIC1の出力トランジスタの飽和電圧Vcesat(約0.3V)とベースエミッタ順電圧Vbe(約0.7V)の和の値からダイオードD3の順方向電圧VF(約0.7V)を差し引いた、約0.3Vまで降下して、MOSFET Q4のドレイン電圧Vd4(図6の(l))は比較的長い時間にターンオフする。
【0016】
そして、IC3の出力トランジスタがOFFすると、抵抗R3がエミッタフォロワ形トランジスタQ2を介してMOSFET Q4のゲート容量が放電され、そのゲート電圧Vg4がゆっくりと約0.3VからVi−Vbe−VF(通常約10.6V)まで上昇し、MOSFET Q4のドレイン電圧Vd4(図6の(l))は比較的長い時間でターンオフする。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
MOSFETのゲートソース間(制御)容量はドレインソース耐圧(以下耐圧と略す)とドレイン電流容量(以下電流容量と略す)との積に比例する。耐圧60V電流容量5Aでは通常Pchで約600〜1200pF、Nchで約500〜1000pFである。
【0018】
MOSFETの電流をカットオフさせるゲートチャージ電荷は耐圧と電流との積に比例する。耐圧60Vでは電流1A当たり通常Pchで約1500〜3000pC、Nchで約1000〜2000pCである。
ゲート−ソース間遮断(スレショルド)電圧Vgthは通常1〜3Vで、導通抵抗がほぼ飽和するゲートソース間(制御)電圧も通常3〜5Vで通常12Vの入力電源電圧に比べ、かなり低い。一例として、耐圧60V電流容量3.5AのPchMOSFETでは、遮断電圧Vgthが1.2〜2.2Vであり、導通抵抗がほぼ飽和するときの制御電圧が約4Vとかなり低いものがあるが、その制御容量は約600pFであり、いまだに大きくなっている。
【0019】
そのため、図7と図5(i)(iii)とで、IC3の出力トランジスタがエミッタフォロワ形トランジスタQ3を介して、MOSFET Q1のゲート電圧Vg1を約11.3V(Vi−Vbe)から、約1Vまで急速に降下させる。その途中、MOSFET Q1のゲート電圧の値が通常1〜3Vのゲート−ソース間遮断電圧Vgthとなるときに、エミッタフォロワ形トランジスタQ3のベース電圧とコレクタ電圧との電位差が約10Vとなり、エミッタフォロワ形トランジスタQ3の電流増幅率が100程度と大きく確保されているので、ゲート駆動能力が高くなる。そのため、MOSFET Q1のゲート−ソース間制御電圧Vgs1がゲート−ソース間遮断電圧Vgthを20ns程度のごく短時間に上回り、MOSFET Q1は20ns程度のごく短時間にターンオンする。そのため、電圧変化が必要以上に速くなることで、スイチング波形の高周波雑音成分が増加し、雑音防止フイルタが入力回路部分や出力回路部分に追加する必要があり、回路の小形化の妨げになる。
【0020】
また、IC3の出力トランジスタがOFFすると、通常約2200Ωの負荷抵抗R3がエミッタフォロワ形トランジスタQ2を介してMOSFET Q1の約600pFの制御容量に充電されていた電荷を放電し、エミッタフォロワ形トランジスタQ2のベース電圧とコレクタ電圧とが同電位になるように変化し、エミッタフォロワ形トランジスタQ2の電流増幅率が10程度に下がることで駆動能力が低くなる。そのため、ゲートチャージ電荷を放電する間は、MOSFETQ1のゲート電圧Vg1の値はVi−Vgth(Vgthは通常1〜3V)の値に200ns程度の比較的長い時間留まることになり、MOSFET Q1は、その200ns程度の比較的長い時間でターンオフする。もし、負荷抵抗R3の抵抗値を半減すれば、MOSFET Q1のターンオフ時間は約3割速くなるが、その場合、負荷抵抗R3での損失が倍増し、総合損失は低減しない。スイッチイング損失が大きくなることで放熱が必要となり、小形化の妨げになる。
【0021】
上述した一例の耐圧60V電流5AのNchのMOSFETの場合であっても、遮断電圧電圧は1.2〜2.2Vであり、導通抵抗がほぼ飽和する制御電圧は約3.5Vと低くても、制御容量は約520PFといまだに大きい。
【0022】
そのため、正極性の昇圧形の場合でも、図7と図5(ii)とで、IC3の出力トランジスタがエミッタフォロワ形トランジスタQ3を介してMOSFET Q4のゲートの制御容量を放電させるようにして、ゲート電圧Vg4をVi−Vbe−VFからVcesat+Vbeへ降下させると、エミッタフォロワ形トランジスタQ3のベース電圧とコレクタ電圧が同電位に近づき、エミッタフォロワ形トランジスタQ3の電流増幅率が10程度に下がってしまい、駆動能力が低くなる。そのため、ゲート電圧Vg4の値通常1〜3Vのゲート−ソース間遮断電圧Vgthに100ns程度の比較的長い時間留まり、その後下回る。そのため、MOSFET Q4は100ns程度の比較的長い時間でターンオフする。
【0023】
また、IC3の出力トランジスタがOFFすると、通常約2200Ωの負荷抵抗R3がエミッタフォロワ形トランジスタQ2を介してMOSFET Q4のゲートの制御容量を充電して、ゲート電圧Vg4が上昇する。このときエミッタフォロワ形トランジスタQ2のベース−コレクタ間電位と電流増幅率とは、それぞれ高い値に確保されているが、やはりゲートチャージ電荷を充電する間、MOSFET Q4のゲート電圧Vg4の値が通常1〜3Vの遮断電圧Vgthに100ns程度の比較的長い時間留まってから上回るため、MOSFET Q4は100ns程度の比較的長い時間でターンオンする。そのため、スイッチイング損失が増加することで、放熱が必要となり小形化の妨げになっていた。
【0024】
また、ダイオードの順方向電圧降下分の損失を少なくできる同期整流回路を用いたものでは、片方のMOSFETのOFF前に他方のMOSFETがONするとなると、貫通電流が流れ、電力損失とスイチング波形の高周波雑音成分が急激に増加する。そのため、オフを速くオンは遅くなるようタイミング調整する必要が有り、バイポーラトランジスタ適用形スイッチング電源制御ICを使用する回路ではターンオフが遅いため、OFFとONとのタイミング調整の回路が複雑で実用困難になり、タイミング調整の回路とMOSFET駆動回路とを内蔵する高価なMOSFET専用の同期整流形スイッチング電源制御ICが必要だった。
【0025】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明は、電圧制御形半導体素子を用いたスイッチング電源回路において、前記電圧制御形半導体素子の制御電極と該制御電極を駆動する駆動回路とを容量結合し、前記容量結合部について直流再生ダイオードで直流再生し、前記電圧制御形半導体素子の遮断電圧時に前記駆動回路の入出力電圧よりも前記駆動回路の電源電圧を十分に高くするようにしたものである。
【0026】
また、本発明は、上記課題を解決するために、MOSFETの制御電圧が遮断電圧Vgthでの駆動回路の出力電圧と電源電圧の差電圧を確保し、遮断電圧Vgthでの駆動回路の駆動インピーダンスを低下させる事によりゲートチャージ電荷を早く放電させて、MOSFET Q1とQ4のターンオン期間やターンオフ期間をより短くする。
【0027】
さらに、エミッタフォロワ等の駆動回路の電源電圧を高くするために、電位差の絶対値がより大きい電源電圧Vhを用いるようにしても良い。ここで、MOSFETの制御電圧としては、遮断時であれば反極性でも良いので、MOSFETの制御電極と駆動回路とを容量結合させ、制御電極とソース電極とを直列接続した直流再生ダイオードでもって接続する。MOSFETの制御電圧が遮断電圧Vgthである場合、駆動回路の電源電圧と出力電圧との電位差が、直流再生ダイオードの順方向導通電圧分増加するので、駆動回路の電源電圧を高くしなくとも、MOSFETの制御電圧が遮断電圧Vgthでの駆動回路の駆動インピーダンスが低下する。
【0028】
さらに、MOSFETの導通抵抗がほぼ飽和する制御電圧と、MOSFETの制御電圧を容量結合後に直流再生させる直流再生ダイオードの順方向導通電圧または直列個数とを反比例させて、遮断電圧Vgthでの駆動回路の電源電圧と出力電圧との差電圧と駆動インピーダンスの低さとの必要分を安定に確保して、ターンオンとターンオフとを早くする。
【0029】
同期整流形スイッチング電源では、制御電極の直流再生ダイオードの直列個数を入力電源電圧に比例させて増加させることで、駆動回路出力の中間値では、Q1とQ4とがともにオフし、そのため、入力電源電圧が一定なら同期整流のターンオンやターンオフのタイミングの調整が簡単になる。
【0030】
さらに、MOSFETの制御電圧を導通時は導通抵抗がほぼ飽和する制御電圧付近にして制御電圧を一定の小振幅とすることで、MOSFETの駆動電力を低減することができる。
【0031】
同期整流形スイッチング電源では、制御電圧が一定の小振幅となれば、入力電源電圧が非安定でも、あるいは、制御電極の直流再生ダイオードの直列個数が所定の個数よりも少ないとしても、駆動回路出力電圧の中間値では、MOSFETQ1、Q4がともにオフし、同期整流回路のターンオンやターンオフのタイミングの調整が非常に簡単になる。
【0032】
また、MOSFET Q1,Q4のゲートをOFFさせるための抵抗よりも、ONさせるための抵抗を高くし、ゲートをONさせるための抵抗はゲート容量に反比例させて、MOSFET Q1,Q4の一方がOFF直後に他方がONするようにすれば、同期整流回路のタイミングを調整する必要がなく、安定に同期整流が行える。
【0033】
図8にMOSFETとバイポーラトランジスタ適用形スイッチング電源制御ICとを用いたスイッチング電源での本発明の全体構成をしめす。図8の電圧変換部1を図5(i')とすれば正極性降圧形であり、電圧変換部1を図5(ii)とすれば正極性の昇圧形スイッチング電源であり、電圧変換部1を図5(iii)とすれば反転形スイッチング電源である。図6の(g)は、MOSFET Q1のゲート電圧Vg1、図6の(h)はMOSFET Q1、Q4のドレイン電圧Vd1およびVd4、図6の(k)はMOSFET Q4のゲート電圧Vg4、図6の(l)はMOSFET Q4のドレイン電圧Vd4、図6の(m)はMOSFET Q1のドレイン電圧Vd1である。
【0034】
図6の実線Bは本発明の非同期整流形の場合の動作を示し、図6の点線AはMOSFETとバイポーラトランジスタ適用形スイッチング電源制御ICとを用いた従来技術の場合の動作を示し、図6(g)(k)の一点鎖線Cは絶対値の高い電源電圧Vhを用いてエミッタフォロワ等の駆動回路の電源電圧を高くした本発明の非同期整流形の場合の動作を示し、図6(h)の一点鎖線Dは本発明の同期整流形の場合の動作を示す。
【0035】
図6、8において、Viは入力非安定正電源、VccとVhは安定化正電源である。なお、より簡易な回路実現方法としては、VccとVhの代わりに、Viを代用することである。ここで、Voは出力電圧、Zlは負荷、3はバイポーラトランジスタ適用形スイッチング電源制御IC、Q1はPchMOSFET、Q4はNchMOSFETである。電圧変換部1は、転流ダイオードD1、平滑インダクタL1、平滑容量C1を有する。R4、R10はゲートソース間抵抗であり、2はMOSFETの駆動回路である。
【0036】
なお、負極性の場合では、上述した正極性の場合と比べ、ダイオードとコンデンサの極性を反転し、MOSFETとしてはNchとPchとを入れ替えるようにすれば良い。
【0037】
図8において、入力非安定正電源ViはMOSFET Q1,Q4でスイッチングされ、平滑インダクタL1と転流ダイオードD1と平滑容量C1とで直流化され、負荷Zlに出力電圧Voを供給し、バイポーラトランジスタ適用形スイッチング電源制御IC3は、検出した出力電圧Voが一定になる様に、MOSFET Q1,Q4のON/OFF比を制御する。
【0038】
また、IGBTを使用した例では、上記MOSFETの使用例のゲートを同じくゲート、ソースをエミッタ、ドレインをコレクタとすれば良い。また、MOSFET制御形サイリスタを使用した例では、上記MOSFETの使用例のゲートを同じくゲート、ソースをカソード、ドレインをアノードとすれば良い。
【0039】
【発明の実施の形態】
図1〜図4は本発明のスイッチング電源の、MOSFET駆動回路のMOSFETの制御電圧が遮断電圧Vgthでの駆動インピーダンスを低下させる実施例を示した図であり、本発明のスイッチング電源の全体構成を示す図8のMOSFET駆動回路2とその周辺回路である。図6(g)〜(m)内に付した(a)〜(d)の符号は、図1〜図4にそれぞれ(a)〜(d)を付した回路の動作を表すための波形を示したものである。
【0040】
図1〜4、図6、図8において、Viは入力非安定正電源、Voは出力電圧、Zlは負荷、3はバイポーラトランジスタ適用形スイッチング電源制御IC、2はアンバッファインバータIC、Q1はPchMOSFET、 Q2はNPNトランジスタ、Q3はPNPトランジスタ、Q4はNchMOSFET、D1は転流ダイオード、D2,D3は直流再生ダイオード、D4〜D9は逆流防止ダイオード、L1は平滑インダクタ、C1は平滑容量、C2,C3は交流結合容量である。
【0041】
また、R1およびR2はゲート駆動抵抗、R3は負荷抵抗、R4、R10はゲート−ソース間抵抗、R5,R8はゲートON抵抗、R6,R9はゲートOFF抵抗である。
【0042】
負極性の場合は、正極性の場合に比べダイオードとコンデンサの極性を反転し、MOSFETのNchとPchとを逆にすれば良い。
【0043】
図1(a)の様に、出力電圧やスイッチングパルスのブートストラップ電圧等のより電位差の大きい電源電圧Vhを追加して、エミッタフォロワ形トランジスタ等を用いた駆動回路の電源電圧を高くするとしても良い。
【0044】
また、図2(b)、図3(c)、図4(d)の様に、制御電圧を容量C2、C3で容量結合させて、直流再生させる直流再生ダイオードD2、D3により、遮断時は反極性にし、遮断電圧Vgthでの電圧制御形半導体素子の制御電極を駆動する回路の入出力電圧よりも、その駆動回路の電源電圧を、電圧制御形半導体素子の遮断電圧時に十分に高くすることで、駆動インピーダンスを低下させて、ターンオフを早くする。そうすることで、電源電圧を高くしなくてもよいので、低損失のままとすることができる。
【0045】
また、図2(b)の様に、直流再生ダイオードD2、D3を直列接続させて、エミッタフォロワ形トランジスタのベース電圧とコレクタ電圧の電位差と電流増幅率とを確保して、ターンオフを早くするようにする。そうすれば、追加部品を少なくできる。同期整流形スイッチング電源では、直流再生ダイオードD2、D3の直列数を多くして、駆動電圧の中間値ではMOSFETQ1,Q4がともにオフするようにさせる。なお、MOSFETの制御電極の容量が100PFより十分小さくなれば、タイミングの調整が不要になる。
【0046】
さらに低損失にするには、MOSFETの制御電圧の導通時に導通抵抗がほぼ飽和する制御電圧付近で制御電圧を小振幅とし、MOSFETの駆動電力を低減する。その場合、制御電圧が小振幅なので、図3(c)の様にアンバッファインバータIC2(1/6)〜IC2(6/6)を用いた2段方式の駆動回路を構成しても良い。このとき、MOSFETを駆動するパルス電流を供給する定電圧源Vccや逆流防止ダイオードD6〜D9が必要になる。この定電圧源Vccは入力電源電圧や出力電圧やスイッチング電源制御回路の電源電圧と共用できないので、その分の実装面積が増加することになる。
【0047】
そこで、図4(d)の様に、定電圧源Vccに負荷抵抗R3のみ接続することで、供給電流を数mAに減らし、定電圧源Vccを小形表面実装ICで得られるようにする。ここで、IC3の出力トランジスタのコレクタ電流が一定になる様に負荷抵抗R3は制御電圧の振幅に反比例させて、よりMOSFET Q1のターンオンとターンオフの期間をより短期間になるようにさせる。
【0048】
同期整流形スイッチング電源では、図3(c)、図4(d)の様に、MOSFET Q1,Q4のゲートをOFFさせる抵抗R6、R9よりも、ONさせる抵抗R5、R8を高くする。また、ゲートをONさせる抵抗R5、R8はゲート容量に反比例させて、MOSFET Q1,Q4の一方がOFF直後に他方をONさせて、同期整流のタイミングを調整する。
【0049】
上述した一例の耐圧60VのMOSFETでは、導通抵抗がほぼ飽和する制御電圧はNchの場合で約3.5Vに対し、Pchの場合では約4Vであり、また、制御容量はNchの場合で約520PFに対し、Pchの場合約520PFである。そのため、Nchでは、Pchよりも導通抵抗がほぼ飽和する制御電圧と制御容量は約1割以上低い。そのため、PchMOSFETの制御インピーダンスよりもNchMOSFETの制御インピーダンスを高くし、PchMOSFETの導通時の制御電圧の絶対値よりも、NchMOSFETの導通時の制御電圧の絶対値を低くする。そのため、例えば、直流再生ダイオードの直列個数を、PchよりもNchの方が多くなるようにすればよい。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、MOSFETのターンオフ期間やターンオン期間がより短い期間となり、スイッチイング損失が低減する。また、放熱面積が小形になり、MOSFETのパッケージと放熱器とを小形化することができる。さらに、MOSFETの制御電圧を小振幅としてMOSFETの駆動電力を低減することで、駆動回路を小形化することができる。
【0051】
さらに、MOSFETのゲートをOFFさせる抵抗よりも、ONさせる抵抗が高く、
不必要に速い電圧変化が制限されることで、スイチング波形の高周波雑音成分があまり増加されることなく、従って、雑音防止フイルタの追加が不要となり、その分小形化できる。
【0052】
さらに、同期整流形スイッチング電源において、入力電源電圧が非安定でも、安定にMOSFETのターンオン期間よりターンオフ期間が短くなり、ターンオン期間とターンオフ期間とのタイミングを調整するための回路が不要になる。
【0053】
タイミング調整回路やMOSFET駆動回路を内蔵するMOSFET専用の同期整流形スイッチング電源制御用ICのような高価なICを使用せずに、より低価格な電源制御ICと、同じくより低価格なMOSFETとを用いることでより低価格化するとともに、スイッチング電源のスイッチング損失と転流ダイオードの順方向降下電圧損失とを低減し、かつ、MOSFETと転流ダイオードとのパッケージと放熱器と電源とを小形化することができる。
【0054】
以上のように、本発明のスイッチング電源回路では、放熱器や雑音防止フイルタが省略できるので、小形化になる。
【0055】
上述した一例のSOP外形でコンプリメンタリ1組で耐圧60VのMOSFETの導通抵抗はPchで約160mΩ,Nchでは約60mΩと低く、1A程度まで導通時損失は無視できる。ターンオン期間は約40nsでターンオフ期間は約20nsとなり、周期10μs、周波数100KHz程度まで、スイッチング損失や転流ダイオードの順方向降下電圧による損失を無視できる。そのため、低価格で低損失の小形スイッチング電源が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のスイッチング電源回路の一実施例のブロック構成を示す図。
【図2】本発明のスイッチング電源回路の一実施例のブロック構成を示す図。
【図3】本発明のスイッチング電源回路の一実施例のブロック構成を示す図。
【図4】本発明のスイッチング電源回路の一実施例のブロック構成を示す図。
【図5】電源変換部1の内部回路構成例を示す図。
【図6】従来技術と本発明のスイッチング電源回路の動作をしめす波形図。
【図7】従来の技術によるスイッチング電源回路のブロック構成例を示す図。
【図8】本発明のスイッチング電源回路の一実施例のブロック構成を示す図。
【符号の説明】
Zl:負荷、 3:バイポーラトランジスタ適用形スイッチング電源制御IC、 2:アンバッファインバータIC、 Q1:PchMOSFET、 Q2:NPNトランジスタ、 Q3:PNPトランジスタ、 Q4:NchMOSFET、 D1:転流ダイオード、 D2,D3:直流再生ダイオード、 D4〜D9:逆流防止ダイオード、 L1:平滑インダクタ、 C1:平滑容量、 C2,C3:交流結合容量、 R1,R2:ゲート駆動抵抗、 R3:負荷抵抗、 R4,R10:ゲート−ソース間抵抗、 R5,R8:ゲートON抵抗、 R6,R9:ゲートOFF抵抗。
Claims (4)
- NchMOSFETとPchMOSFETとを用いた同期整流形スイッチング回路において、該NchMOSFETの制御電極と該PchMOSFETの制御電極とを駆動する単一インバータICで駆動される複数並列したインバータICと、該NchMOSFETの制御電極と該PchMOSFETの制御電極とを容量結合し、該インバータICの電源をMOSFETの制御電圧の導通時に導通抵抗がほぼ飽和する制御電圧付近の定電圧源とし、該PchMOSFETのゲートソース間(以下制御)電圧を該PchMOSFETの制御電圧が遮断時に導通時の制御電圧と反極性になる方向に直流再生させる直流再生ダイオードを該PchMOSFETのゲートソース間に接続し、該NchMOSFETの制御電圧を該NchMOSFETの制御電圧が遮断時に導通時の制御電圧と反極性になる方向に直流再生させる直流再生ダイオードを該NchMOSFETのゲートソース間に接続することを特徴とする回路。
- NchMOSFETとPchMOSFETとを用いた同期整流形スイッチング回路において、該NchMOSFETの制御電極と該PchMOSFETの制御電極とを駆動する単一回路で駆動される駆動回路と該NchMOSFETの制御電極と該PchMOSFETの制御電極とを容量結合し、該PchMOSFETの制御電圧を該PchMOSFETの制御電圧が遮断時に導通時の制御電圧と反極性になる方向に直流再生させる直流再生ダイオードをN(Nは自然数)ヶ該PchMOSFETのゲートソース間に直列接続し、該NchMOSFETの制御電圧を容量結合後に該NchMOSFETの制御電圧が遮断時に導通時の制御電圧と反極性になる方向に直流再生させる直流再生ダイオードをN+M(Mは自然数)ヶ直列該NchMOSFETのゲートソース間に接続することを特徴とする回路。
- MOSFETを用いたスイッチング電源回路において、該MOSFETの制御電極を駆動する駆動回路と該MOSFETの制御電極とを容量結合し、該駆動回路の電源をMOSFETの制御電圧の導通時に導通抵抗がほぼ飽和する制御電圧付近の定電圧源とし、該MOSFETの制御電圧が遮断時に導通時の制御電圧と反極性になる方向に直流再生させる直流再生ダイオードを該MOSFETのゲートソース間に複数直列接続することを特徴とする回路。
- MOSFETとNPNトランジスタのエミッタフォロワとPNPトランジスタのエミッタフォロワとを用いたスイッチング電源回路において、該MOSFETの制御電極を駆動する該NPNトランジスタのエミッタフォロワと該PNPトランジスタのエミッタフォロワと該MOSFETの制御電極とを容量結合し、該MOSFETの制御電圧が遮断時に導通時の制御電圧と反極性になる方向に直流再生させる直流再生ダイオードを該MOSFETのゲートソース間に複数直列接続することを特徴とする回路。
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