従来から、被接着部材との間での貼り合せ接着を行うために、基材表面に接着剤を自動的に塗布することのできる接着剤塗布装置が用いられている。接着剤塗布装置としては、基材表面の全面に均一な厚さの接着剤を塗布することのできる装置や、基材表面の特定箇所又は特定の部位を除いた所に接着剤を塗布することのできる装置が用いられている。
基材表面の全面に接着剤を塗布する装置としては、基材表面に当接する転写ローラ面の全周面上に接着剤を塗布し、転写ローラ上に塗布した接着剤を基材表面に転写する構成が多用されている。しかし、表面に凹凸や孔等が形成されている基材表面に対しては、転写ローラを用いた形式の塗布装置では対応することができなかった。このため、表面に凹凸や孔等が形成されている基材に対しては、基材表面の特定箇所又は特定の部位に対して接着剤を塗布することのできる塗布装置が用いられている。
基材表面の特定箇所又は特定の部位の箇所に接着剤を塗布することのできる塗布装置としては、木質パネル製造用接着剤塗布装置(特許文献1参照。)などが提案されている。また、塗布ノズルの塗布及び非塗布状態を手動制御する接着剤塗布装置ではあるが、複数の塗布ノズルを複数組に区分けして、各組に対して塗布状態及び非塗布状態の制御を行うことのできる接着剤塗布装置(特許文献2参照。)が提案されている。
特許文献1に記載された木質パネル製造用接着剤塗布装置は、図10に示すように、枠体58の横方向の芯材56に接着剤を塗布する横方向塗布部50aと、枠体58の縦方向の芯材57に接着剤を塗布する縦方向塗布部50bとから構成されている。
横方向塗布部50aと縦方向塗布部50bとは、ほぼ同様の構成と成っており、枠体58を載せて移動させると共に接着剤を塗布する際の作業台となるワークフィーダ51と、ワークフィーダ51の進行方向に沿った軌道52に案内され、かつワークフィーダ51の上側を移動可能な門形アーム53と、この門形アーム53に配置され枠体58の芯材56、57に接着剤を塗布する複数のノズル54と、ノズル54前方に設置され前記芯材56、57の有無を検知する芯材検知手段55と、芯材検知手段55からの検知信号に基づいて前記ノズル54に接着剤タンク62内の接着剤を送る接着剤圧送用ポンプ63とから該略構成されている。
横方向塗布部50aにおいて横方向の芯材56に接着剤を塗布された枠体58は、横方向塗布部50aにおけるワークフィーダ51によって縦方向塗布部50bのワークフィーダ51へ搬入される。縦方向塗布部50bでは、横方向塗布部50aと同様に行われる塗布作動によって縦方向の芯材57に対して接着剤が塗布される。
門形アーム53の棒体59には、横方向塗布部50aにおいては逆L字形の五つの腕部材60が取り付けられ、縦方向塗布部50bにおいては逆L字形の三つの腕部材60が相互の配置間隔を調整自在に取り付けられている。ノズル固定用部材61の下端部には、接着剤を塗布するノズル54と芯材56、57との当接状態により芯材56、57の有無を検知する芯材検知手段55とが設けられている。
特許文献1に記載された接着剤塗布装置では、ノズル54の開閉制御がノズル毎に設けた芯材検知手段55によって行われている。複数のノズルを一つの組として複数組配設し、各組を組毎に設けた開閉弁により開閉制御を行うことができる接着剤塗布装置は特許文献2に記載されたものなどがある。
図11には、特許文献2に記載された接着剤塗布装置の側面図を示している。接着剤塗布装置71 は、ほぼ水平に延び、かつ、ほぼ平坦な基体表面72上に対して使用される。接着剤塗布装置71によって人口芝等の表面シート73を接着させる基体表面72にウレタンなどから構成された接着剤74を塗布することができる。
接着剤塗布装置1としては、基体表面72上に接着剤を塗布することのできる移動可能な台車75と、同台車75に支持されてオペレータが把持可能とされるハンドル76と、台車75に支持されて接着剤74の貯留が可能とされる貯留タンク78とを備えている。台車75の幅方向には複数並設された多数のノズル79が台車75に支持され、同多数のノズル79からは加圧された接着剤74を吐出することが可能な構成となっている。また、台車75には、案内通路80を介して各ノズル79にそれぞれ接着剤を供給するポンプ81と、このポンプ81を駆動する駆動手段82とが備えられている。
図12に示すように、各ノズル79は台車75の幅方向で互いにほぼ等間隔に配置されており、これらのノズル79は、台車75の幅方向の一側部から他側部に向って複数のノズル群84a〜84cとなるように区画されている。各ノズル群84a〜84cのノズル79の本数は、互いにほぼ同じ数となるように配設されている。
各ノズル群84a〜84cにおける各ノズル79の入口部83側を支持する各連通管85は、連結管86内を通る案内通路80を介して、接着剤を加圧供給するポンプ81の吐出部に連通している。また、各連結管86内にはそれぞれの案内通路80を開閉自在とするアクチュエータ付の開閉弁87が設けられている。
図11に示すように、ハンドル76の把持部77近傍には、操作台88が取り付けられており、操作台88には各開閉弁87をそれぞれ個別に開、閉弁動作させる操作スイッチ等が配設されている。
特許2514737号公報
特開2002−102773号公報
特許文献1に記載された木質パネル製造用接着剤塗布装置では、木質パネルの芯材部分に対して接着剤を塗布することができるが、各芯材に対して一対一で配設したノズル毎には芯材検知手段55をそれぞれ設けなければならないという問題がある。しかも、木質パネルにおける芯材の配置位置が異なる毎に、縦方向塗布部50bにおける逆L字形の三つの腕部材60の間隔調整と同様に位置調整を行い、腕部材60相互の配置間隔を調整しなければならないという問題がある。
また、ノズルは各芯材に対応してそれぞれ配設した構成となっているので、木質パネルの全面に接着剤を塗布するためには、多数のノズルを配設しなければならなくなる。しかもこのときには、配設した各ノズルに対してそれぞれノズルへの開閉制御を行う芯材検知手段55を設けなければならないという問題が生じてしまう。
特許文献2に記載された接着剤塗布装置では、複数のノズル群によって区画され、各ノズル群には複数個のノズルを配した構成となっている。このため、ノズル群単位での開閉弁87の制御により、面材の表面全面に接着剤を塗布することができるようになる。しかし、開閉弁87の開閉制御は、ハンドル76に設けた操作スイッチを作業者が操作することにより行う構成となっているため、常に作業者が操作しなければならない。そのため、仮に基体表面72上に接着剤の非塗布領域が存在したとしても、作業者が同非塗布領域の存在を確認しなかった場合には、非塗布領域に対して接着剤を塗布してしまうという事態が発生する。
また、台車75を押して接着作業を行うと、接着剤を塗布した面上を接着剤の塗布後に車輪89、キャスター90及び作業者が通過することになり、車輪89、キャスター90や作業者の靴等に塗布した接着剤が貼り付いてしまう問題が発生する。台車75を引いて接着作業を行う場合には、車輪89、キャスター90や作業者の靴等に接着剤が貼りつくのを防止することができるが、開閉弁87の開閉操作の度に後ろを振り向きながら開閉弁87の開閉操作を行わなければならないという問題も発生する。
本願発明では、従来の接着剤塗布装置の有している上述した問題点を解決するとともに、基材表面の全面にわたって塗布領域と非塗布領域とを区分けして接着剤を塗布することができ、しかも、塗布領域と非塗布領域とを自動的に設定制御することのできる接着剤塗布装置を用いた接着剤塗布方法を提供することにある。
本願発明の課題は請求項1〜3に記載された方法の発明により達成することができる。
即ち、本願発明では請求項1に記載したように、基材表面に接着剤を塗布する接着剤塗布装置において、塗布ヘッドの長さ方向に沿って配列された複数の塗布ノズルが複数組に区分けされていること、供給コンベアから受け渡された前記基材を、搬送コンベアによって塗布手段による塗布範囲内に搬入し、前記供給コンベアと前記搬送コンベアとの間に配された、ラインセンサカメラを有する画像検出手段によって、前記基材表面を走査して得られたライン画像で、前記基材の形状データ及び前記基材表面における凹凸部や孔部等の配置データを検出すること、
前記画像検出手段から出力された前記形状データ及び配置データを基に、前記凹凸部や孔部等の配置位置を含む所定幅の周辺領域を、前記非塗布領域として規定し、前記基材表面に対する接着剤の塗布領域又は非塗布領域を演算し、同演算した塗布領域又は非塗布領域を規定する制御信号を作成すること、
前記制御信号に基づいて、前記塗布ヘッドを前記基材表面に沿った、前記塗布ヘッドの長さ方向に対して直交する方向に移動させること、かつ同移動時に前記区分けされた組毎に接着剤の塗布制御及び非塗布制御を行い、前記基材表面の塗布領域に対して接着剤を塗布すること、を特徴とする接着剤塗布方法を最も主要な特徴となしている。
また、本願発明では請求項2に記載したように、前記複数の塗布ノズルによる接着剤塗布幅と、前記塗布ヘッドの長さ方向における前記基材の長さ寸法とから、前記塗布ヘッドの接着剤塗布開始位置を設定してなることを主要な特徴としている。
更に、本願発明では請求項3に記載したように、少なくとも前記塗布領域又は非塗布領域、前記基材の形状及び前記凹凸部や孔部等の配置位置を表示してなることを主要な特徴となしている。
本願発明では、複数の塗布ノズルが複数組に区分けされて塗布ヘッドの長さ方向に沿って配列された構成、供給コンベアから受け渡された基材を塗布手段による塗布範囲内に搬入する搬送コンベアを備えた構成、前記供給コンベアと前記搬送コンベアとの間に配したラインセンサカメラを有する画像検出手段を備えた構成を有する接着剤塗布装置を用いた接着剤塗布方法に関するものである。
そして、ラインセンサカメラによって、前記基材表面を走査して得られたライン画像で、前記基材の形状データ及び前記基材表面における凹凸部や孔部等の配置データを検出すること、前記画像検出手段から出力された前記形状データ及び配置データを基に、前記凹凸部や孔部等の配置位置を含む所定幅の周辺領域を、前記非塗布領域として規定し、前記基材表面に対する接着剤の塗布領域又は非塗布領域を演算し、同演算した塗布領域又は非塗布領域を規定する制御信号を作成すること、
前記制御信号に基づいて、前記塗布ヘッドを前記基材表面に沿った、前記塗布ヘッドの長さ方向に対して直交する方向に移動させること、かつ同移動時に前記区分けされた組毎に接着剤の塗布制御及び非塗布制御を行い、前記基材表面の塗布領域に対して接着剤を塗布することを特徴としている。
画像検出手段で検出した基材の形状データと基材表面における凹凸部や孔部等の配置データとによって、塗布領域又は非塗布領域を設定することができるので、形状が異なる基材に対しても、同基材に対応した接着剤の塗布領域又は非塗布領域を適宜設定することができる。しかも、設定した塗布領域又は非塗布領域に基づいて塗布手段を制御することにより、基材表面の所望領域に接着剤を塗布することができる。
基材の形状及び基材表面における凹凸部や孔部等の配置は、座標位置情報を有さない画像認識データとして画像検出手段により検出される。また、画像検出手段において、検出されたこれらの画像認識データに対して、予め設定した座標軸上の位置情報を加えたデータに加工して、上記形状データ及び配置データが検出されることになる。
前記位置情報を加えたデータとするために設定した座標軸と塗布手段における座標軸とを対応させておくことで、同じ座標軸上での位置関係として取り扱うことができる。これによって、基材表面上に形成された凹凸部や孔部等の形状、位置、大きさ等が異なっても、当該部位又は当該部位を含む所定幅の周辺領域を非塗布領域として設定することが可能となる。更に、基材の外周縁から所定幅を含む領域を非塗布領域として設定することもできる。
画像検出手段としては、光学画像を電気信号に変換して多数の画素に分解して画像情報として検出することのできるラインセンサやエリアセンサ等を使用することができる。ラインセンサやエリアセンサとしては、光電変換素子としてのフォトダイオードや光電管、ホトトランジスタ等を用いたセンサや、固体撮像素子としてのCCD等を配列させて用いたセンサなど公知の画像検出センサを用いることができる。また、画像検出手段としては、基材の形状等を検出する度毎に、同基材の形状等を検出した時点における画像検出センサと基材との相対的な移動量をも合わせて検出しているものである。
特に、画像検出手段として複数のCCDイメージセンサ素子等をライン状に配したラインセンサを用いることで、基材の全表面にわたってラインセンサで走査することができる。これによって、小さな形状の凹凸部や孔部等に対してその位置を正確に、しかもそれらの大きさや形状についても正確に検出することができる。
画像検出手段による基材形状の形状データ及び基材表面における凹凸部、孔部等の配置位置に係わる配置データは、ラインセンサを基材表面に沿って移動させながら順次検出することにより検出することができる。また、ラインセンサを所定部位に固定しておき、基材をラインセンサに対して移動させることで検出することもできる。
画像検出手段としてエリアセンサを用いた場合には、エリアセンサの検出範囲内に基材の全外周縁を配設することができるときには、エリアセンサの検出範囲内に基材を配設することで形状データ及び配置データを検出することもできるが、基材の外形形状が大きいと、基材の外形形状や凹凸部、孔部等の配置位置を正確に検出することが難しくなる。基材の外形形状や凹凸部、孔部等の配置位置を正確に検出するためには、ラインセンサを使用した場合と同様にエリアセンサ又は基材を移動させて両者を相対移動させることで、基材表面全面をエリアセンサで走査することにより、形状データ及び配置データを正確に検出することができる。
なお、本願発明における配置データとしては、画像検出手段に対して設定した座標位置上での凹凸部、孔部の座標位置データ、大きさデータ、形状データに係わる少なくとも1以上の上記データを含んだデータ情報をいうものである。
本願発明では、基材を接着剤塗布装置による塗布範囲内に搬出入する搬送手段を設けることもできる。搬送手段としては、適宜の搬送手段を用いることができ、ベルトコンベア、プッシャーコンベア、吸引コンベア、ローラコンベア等を使用することができ、接着剤の塗布作業時には作業台として機能させることができる。搬送手段を用いて接着剤塗布装置による塗布範囲内に基材を搬入する場合には、搬入端部側に画像検出手段を配設しておき、搬送手段によって移動された基材の画像検出手段に対する移動位置を検出する。
このとき、画像検出手段によって検出された基材の形状及び凹凸部や孔部等に係わる画像認識データに対して、画像検出手段において画像認識データとして検出した基材の被検出部位に対する座標位置データを加えたデータに加工され、基材の形状データ及び基材表面における凹凸部や孔部等の配置データとして検出されることになる。
本願発明では、接着剤塗布手段には移動手段によって移動される塗布ヘッドを設けることができ、同移動手段としては塗布ヘッドを平面上で直交する2方向のうち少なくとも一つの方向に移動させる構成とすることができる。また、塗布ヘッドを平面上で直交する2方向に対して移動させる構成とすることもできる。
平面上で直交する2方向としては、搬送手段による搬出入方向及び同搬出入方向に直交する方向の2方向を規定することも、搬送手段による搬出入方向とは異なる方向を上記2方向として規定することもできる。搬送手段による搬出入方向とは異なる方向を塗布ヘッドの移動方向として規定する場合において、基材が矩形形状を呈しているときには、塗布ヘッドの移動方向に対して基材の外周縁が平行となるように基材を配設しておくことが望ましい。
塗布ヘッドには、搬送手段の搬出入方向又は同搬出入方向とは直交する方向に対して略平行に配列した複数個の塗布ノズルを設けることができる。しかも、同複数個の塗布ノズルを、一つの組に少なくとも1以上の塗布ノズルを有した塗布ノズルの組が複数組に区分けして配設することができる。各塗布ノズルの組に対しては、接着剤供給源との間にそれぞれ開閉弁を設けることができる。そして、各開閉弁及び塗布ヘッドの移動手段を、制御手段からの制御信号によって、それぞれ開閉制御及び駆動制御を行わせることができる。
複数組に区分けした塗布ノズルによって、所定幅での接着剤塗布を基材表面に対して行うことができる。しかも、ある塗布ノズルの組が非塗布領域を通過する場合には、非塗布領域上を通過する塗布ノズルの組の開閉弁を閉鎖し、他の塗布ノズルの組については開閉弁を開放状態としておくことにより、非塗布領域を形成しながら基材表面に接着剤を面状に塗布していくことができる。
塗布ヘッドの幅、即ち配列した複数個の塗布ノズルの塗布幅が、基材表面の幅より短いときには、塗布ヘッドの一方向の移動の後、塗布ヘッドを同一方向に対して直交する方向、即ち塗布ノズルの塗布幅の方向に略塗布ヘッドの幅移動させた後、塗布ヘッドを今度は前記一方向とは逆方向に移動させながら、各塗布ノズルの組の開閉弁の開閉制御を行うことで基材表面全面に対して塗布領域内に接着剤を順次塗布していくことができる。
塗布ヘッドに対してこのようなブロック送りを行わせるのに、上述した塗布ヘッドを移動させる移動手段による2方向送りで行うこともできる。或いは、搬送手段による搬出入方向における基材表面への接着剤の塗布工程は、搬送手段を走向制御することにより行い、塗布ヘッドに対しては前記搬出入方向に対して直交する方向へ移動させることにより行わせることもできる。
塗布ヘッドが2方向に移動できる構成の場合には、接着剤塗布手段を交互に2方向へ移動制御することにより行うことができる。これらにより、基材表面の接着剤塗布領域に対しては接着剤の塗布を行い、非塗布領域に対しては接着剤の塗布を行わないように制御することができる。
搬送手段による走向搬送を利用する場合において、塗布ヘッドにおける塗布ノズルの配列方向が搬送手段による搬送方向に略平行に配列されているときには、塗布ヘッドを搬送手段による搬出入方向と直交する方向に移動させ、塗布ヘッドが基材の一側端部まで来たときに搬送手段を駆動して基材を搬送手段による搬出入方向へ略塗布ヘッドの幅分移動させ、その後塗布ヘッドを先程とは逆の方向に移動さることにより、基材表面の塗布領域に接着剤を順次塗布していくことができる。このときも、非塗布領域に対しては、接着剤の塗布を行わないように接着剤の塗布制御を行う必要がある。
また、塗布ヘッドにおける塗布ノズルの配列方向が搬送手段による搬送方向と直交する方向に略平行に配列されているときには、搬送手段を走向させて接着剤の塗布を行わせる。搬送手段による基材の走行途中で非塗布領域が塗布ノズルの下方に来たときには、該当する塗布ノズルに対して接着剤の塗布を中止し、非塗布領域を通過した後に中止していた塗布ノズルに対して塗布の再開を行う。非塗布領域に対しては非塗布作業を行いながら、基材の他端側が塗布ヘッドの下方まで到達したら、全ての塗布ノズルに対して接着剤の塗布を中止し、塗布ヘッドを塗布ノズルの配列方向に横移動させ、搬送手段を今度は逆方向に走向駆動させて基材表面への接着剤の塗布を順次行っていくこともできる。
基材の形状、凹凸部や孔部等の配置及び塗布領域、非塗布領域を重ね合わせてディスプレイ等の表示画面に表示させることもできる。表示画面には、塗布ヘッドの現在位置を表示させることも、接着剤の塗布済みの領域についての表示色と未塗布部領域を示す領域の表示色とを異ならせて表示させることもできる。表示手段を用いることにより、接着剤の塗布状況を確認することや、表示手段を見ながら非塗布領域の修正、追加等の作業を行うことができるようになる。
これにより、接着剤を塗布する基材の形状及び基材表面における凹凸部や孔部等の位置を画像認識情報として、画像検出手段によって正確に検出することができる。正確に検出した形状データや配置データから、基材表面における塗布領域又は非塗布領域を設定することができ、設定した塗布領域に対して接着剤を塗布することができるようになる。
このため、接着剤を塗布する基材の形状や基材表面における凹凸部や孔部等の位置、大きさ、形状が異なった基材に対しても、当該基材に対する接着剤の塗布領域を正確に設定することができ、設定した塗布領域に基づいて基材表面の塗布領域に接着剤を塗布することができるようになる。
同一の形状及び凹凸部や孔部等の配置構成を有する複数の基材に対してそれぞれ接着剤を塗布する場合には、接着剤を塗布する基材毎に基材の形状データ及び凹凸部や孔部等の配置データの検出を行わずに、それ以前に設定した塗布領域又は非塗布領域の設定値を利用して、当該基材表面における接着領域に接着剤を塗布するようにすることもできる。この場合において、配置データの検出を行わない基材に対しては、形状データを用いて接着剤を塗布すべき基材の基準座標位置と接着剤塗布手段における基準座標位置とを対応させておく必要がある。
基材の基準座標位置と接着剤塗布手段における基準座標位置とが異なっているときには、両基準座標位置間のオフセット量を演算して、予め設定した塗布領域又は非塗布領域の設定値を同オフセット量に基づいて修正しておく必要がある。
形状データや配置データの検出としては、本願発明の接着剤塗布装置において上述したようにエリアセンサ、ラインセンサ等を使用して検出することができる。特に、ラインセンサを用いてライン画像として形状データや配置データを検出するときには、ラインセンサと基材とを相対移動させることにより、ラインセンサで基材表面を走査して形状データや配置データを検出することができる。
本願発明では、複数の塗布ノズルをライン状に配設し、ライン状に配設した複数の塗布ノズルを複数組に区分けするとともに、塗布領域又は非塗布領域に係わる制御信号に基づいて、各組に対して接着剤の供給、遮断制御を行うことで、基材表面の塗布領域に対して接着剤を塗布することができる。
また、画像検出手段で検出した基材表面における凹凸部や孔部等の配設位置を含む所定幅の周辺領域を非塗布領域として設定することもできる。前記所定幅としては、予め基材の大きさ、凹凸部や孔部等の大きさ等に応じて所定幅をそれぞれ設定しておくことも、一定の幅として設定しておくこともできる。また、幾つかの非塗布領域パターンを予め複数設定しておき、凹凸部や孔部等の大きさ等に応じて予め設定しておいた非塗布領域パターンから所望の非塗布領域パターンを選択するなどの設定方法を行うこともできる。更に、基材の外周縁から所定幅の領域を非塗布領域として設定することもできる。
しかも、少なくとも1個以上の塗布ノズルを一つの組として複数組構成し、各組毎に接着剤の供給遮断の制御を行うことで、基材表面上に面状に接着剤を塗布していくことができるようになる。また、所定の領域に対しては非塗布領域として設定することができる。同非塗布領域を通過する塗布ノズルの組に対しては、非塗布領域通過中だけ接着剤の供給を遮断することにより、基材表面に接着剤が塗布されていない領域を形成することができる。
本願請求項2に記載したように、ライン状に配設した複数の塗布ノズルを用いる場合には、ライン状に配設した塗布ノズルによる接着剤塗布幅と、同ライン方向における基材の長さ寸法とから、ライン状に配した塗布ノズルの接着剤塗布開始位置を設定することができる。
即ち、ライン状に配設した複数の塗布ノズルのライン方向と同方向における基材の長さ寸法から、ライン状に配した塗布ノズルを前記基材の長さ寸法に対してどの開始位置から接着剤の塗布を開始させれば、効率よく塗布作業を終了させることができるのかを演算処理や予め設定した判断プログラム等によって求めることができる。これによって、接着剤の塗布を効率よくしかも塗布ノズルの開閉弁の開閉操作を少なくすることができるようになり、しかも、一つの非塗布領域に対して複数組の塗布ノズルの組が同時に通過しないように、或いは非塗布領域を通過する塗布ノズルの組数を少なくなるように設定することができる。
本願請求項3に記載したように、基材の形状、凹凸部や孔部等の配置及び塗布領域、非塗布領域を重ね合わせて或いは別々に一つの画面上に多分割した状態等でディスプレイ等の表示画面に表示させることもできる。塗布ノズルの組についても同一画面上に表示させることで、表示画面を見ながら現在の塗布状況を確認することもできる。また、表示画面上には、塗布ヘッド等の位置を表示させることもできる。或いは、表示画面を見ながら塗布領域又は非塗布領域の修正等を行うこともできる。
図1では、本願発明に係わる接着剤塗布装置の全体概略図を示している。図2には、接着剤塗布装置の一部断面図を示している。図3は、塗布部における要部断面図を示し、図4には、塗布ヘッド及び接着剤導入部の一部断面図を示している。図5は、塗布ヘッドの要部断面図を示している。図6は、塗布ヘッドの作動説明図を示している。図7は、ディスプレイに表示した基材形状等の説明図を示している。図8は、基材表面に接着剤を塗布する作業を説明する図である。図9は、画像検出手段による作動状況を説明するフローチャートである。
図1には、供給コンベア2、搬送コンベア3及び排出コンベア4の搬送手段を備えた接着剤塗布装置1の全体的な配置関係を示している。搬送手段は、必ずしも設けなければならないとするものではない。搬送コンベア3の代わりに基材載置台を配設し、基材を同基材載置台上に載置して、基材の形状等を検出した後、検出結果に基づいて基材表面に接着剤を塗布し、接着剤塗布済みの基材を基材載置台から取り除く構成とすることもできる。基材載置台への搬出入は作業者が直接行うことも吸引搬送手段等の適宜の搬送手段を用いて行うこともできる。
また、排出コンベア4を用いずに搬送コンベア3を用いて接着剤塗布済みの基材を供給コンベア2に排出する構成にすることもできる。このように、機材11の搬送手段としては、適宜の構成を採用することができるものであり、図1に示した構成に限定されるものではない。
図1に示すように、供給コンベア2と搬送コンベア3との間には、即ち、搬送コンベア3における基材11の搬入端には、画像検出手段5のラインセンサカメラ5aと発光体5bとが配設されている。発光体5bは、供給コンベア2及び搬送コンベア3の搬送面より下面側に配設され、同発光体5bと対峙する位置にはラインセンサカメラ5aが配設されている。
発光体5bとしては、供給コンベア2の搬送方向に対して直交する方向、即ち、図1の紙面に垂直方向、に延びる線状の投光機、例えば、蛍光灯等を用いることができる。投光機としては、供給コンベア2により縦方向に搬送さている基材11の横幅よりも長い幅にわたって、光を投光することができる構成としておくことが必要である。また、発光体5bをラインセンサカメラ5aと同じ側に配し、基材11からの反射光をラインセンサカメラ5aで検出する構成と摺ることもできる。
画像検出手段5における画像素子としてCCDをライン状に搭載したラインセンサカメラ5aを用いた例について以下において説明を行うが、画像検出手段5に使用する画像検出用のセンサとしては、ラインセンサカメラ5aに限定されるものではない。ラインセンサカメラ5a以外にも、光学的な画像を検出することのできる画像素子を線状に複数配列したラインセンサ、画像素子をマトリックス状に配列したエリアセンサ、画像素子としてCCDを搭載したエリアセンサカメラ等を使用することができるものである。
また、ラインセンサカメラ5aは、搬送コンベア3における基材11の搬入端に固定して配設した例について説明を行うが、ラインセンサカメラ5aを以下において説明する搬送コンベア3の搬送方向と同方向に移動可能な塗布部6と同様に搬送コンベア3の搬送方向に移動可能な基台上に載置しておくこともできる。
供給コンベア2、搬送コンベア3及び排出コンベア4は、図示せぬ駆動源からの駆動力により個別に走向制御することができる。これらの各コンベア2〜4は、それぞれ左右両端に配した一対のローラ2a、3a,4a間に搬送ベルト2b、3b、4bが掛け回わされ、それぞれ左右両端における一方のローラが駆動ローラとして構成されている。また、左右両端のローラ2a、3a,4a間にも所定間隔毎にローラが配設され、搬送ベルト2b、3b、4bを内側から支持する構成となっている。
基材1を搬送コンベア3に搬入するときには、供給コンベア2と搬送コンベア3とは同期して等速走行させて基材11を搬送することができ、接着剤塗布済みの基材11を搬送コンベア3から排出コンベア4に排出するときには、搬送コンベア3と排出コンベア4とは同期して等速走行させて基材11を搬送することができる。
また、これ以外の場合においても必要なときには適宜の組合せにより、供給コンベア2、搬送コンベア3及び排出コンベア4の間で相互に同期させて等速走向制御を行うことができる。更に、各コンベア2〜4の走行速度、走行量は図示せぬ回転計等により計測でき、各コンベア2〜4の走向制御を行える構成となっている。
供給コンベア2と搬送コンベア3とにより搬入される基材11は、ラインセンサカメラ5aによって検出され、検出した画像情報は画像検出手段5の一部である画像解析部8に送られる。画像解析部8では、搬送コンベア3の走行速度とともにラインセンサカメラ5aによって検出した画像情報に基づいて、基材11の形状、基材11の表面に形成された凹凸部や孔部等の配置位置、大きさ、形状の解析が行われる。
このとき、供給コンベア2及び搬送コンベア3の搬送面と平行な面における寸法として、基材11の形状、基材11の表面に形成された凹凸部や孔部等の配置位置、大きさ、形状の解析が行われる。特に、前記平行な面として基材11の表面と一致させた面としておくことが、その後の接着剤塗布制御において制御し易い制御データとして取り扱うことができる。
画像解析部8で解析された解析データ、基材11の搬送コンベア3上での停止位置データ等に基づいて、制御部7の中央処理部7aでは搬送コンベア3上に載置された基材に対して、接着剤の塗布領域、非塗布領域を設定することになる。設定した塗布領域、非塗布領域、基材の形状、基材表面における凹凸部や孔部等の情報は、ディスプレイ10に表示することができる。また、駆動制御部9に対して中央処理部7aから制御信号を出力して、塗布部6を駆動制御することができる。
塗布部6の構成としては、図1における左右方向と図1の紙面に垂直な方向との2方向に移動することができる構成となっている。塗布部6の図1における左右方向への移動を行わせる代わりに、搬送コンベア3を走向制御して搬送コンベア3上の基材11を図1の左右方向に移動させることもできる。
図2に示すように、搬送ベルト3の上方を搬送ベルト3に沿って走向する形で門型アーム15が配設されている。門型アーム15は、搬送コンベア3を横切る形で架け渡した梁部15bと同梁部15bの両端に固定した一対の支柱15aとから構成されている。各支柱15aは、床上に載置された支持部材13に配設したガイドレール14に案内支持され、搬送コンベア3の搬送方向と同方向に前後動自在に配設されている。
門型アーム15は、支柱15aに配設したモータ30の回転軸30aに取り付けた歯車31を備えており、搬送コンベア3の搬送方向に沿って支持部材13に取り付けたラック32と歯車31との噛合により、モータ30を正逆転制御することにより、搬送コンベア3の搬送方向と同方向である前後動自在に移動制御することができる。門型アーム15の往復動制御は、図1に示した制御手段7からの制御信号により制御される。
塗布部6は、門型アーム15の梁部15bに配設したガイドレール16aに沿って左右方向に往復動する左右動部材21と、左右動部材21に配設したガイドレール18に沿って上下動する上下動部材19とを備えている。上下動部材19は、左右動部材21に配設した塗布ヘッド昇降用シリンダ20により、上下方向に移動することができる。
上下動部材19には、複数の塗布ノズル24(図4参照)を備えた塗布ヘッド17が配設されている。塗布ヘッド17における塗布ノズルは、接着剤導入部22と連通し、同接着剤導入部22は図示せぬ接着剤供給源と接続されている。また、上下動部材19には、塗布ヘッド17に配した塗布ノズルと接着剤導入部22との間で接着剤の接続、遮断を行う開閉弁36(図5参照)の開閉用シリンダ23が配設されている。
搬送コンベア3は、門型アーム15内を図2における紙面に垂直方向に配設されている。搬送コンベア3におけるローラ3aは搬送ベルト3bを支持し、搬送ベルト3b上に載置された基材11を支持することができる。各ローラ3aの回転軸3cは、基台12に回転自在に支承されている。
図3に示すように、門型アーム15の梁部15bにはガイドレール16aを備えたガイドレール部材16が配設されている、ガイドレール部材16を狭持する形で、左右動部材21はガイドレール部材16に摺動自在に支持されている。左右動部材21は、ガイドレール16aによって案内されるとともに、左右動部材21に設けたモータ33の回転軸33aに取り付けた歯車35と、ガイドレール部材16に配設したラック35とが噛合している。モータ33の正逆転回転を制御することにより、図3における紙面に垂直な方向に往復動制御することができる。
左右動部材21には、塗布昇降用シリンダ20が配設され、塗布昇降用シリンダ20におけるシリンダロッド20aの開放端が上下動部材19に固定されている。上下動部材19は、左右動部材21に設けたガイドレール18に支持案内されて、図6に示す塗布ノズルによる接着剤塗布作業位置と塗布ノズルの退避位置との上下2つの位置間を移動することができる。上下動部材19には、図4の説明において詳説する接着剤導入部22、塗布ヘッド17と、図5の説明において詳説する開閉用シリンダ23等が配設されている。
尚、門型アーム15及び左右動部材21の往復動を行わせる直線往復動機構としては、ラックと歯車とを用いた直線往復動機構を用いているが、ラックと歯車とによる直線往復動機構に限定されるものではない。ラックと歯車とによる直線往復動機構以外にもボールスクリューを用いた直線往復動機構、リニアモータを用いた直線往復動機構を用いることができる。
また、駆動プーリーと従動プーリーとの間にループ状に張り回した線条体の一部に往復動部材を取り付け、駆動プールを回転駆動させることで往復動部材に往復動を行わせる直線往復動機構等も用いることができ、各種公知の直線往復動機構を、門型アーム15及び左右動部材21の往復動を行わせる直線往復動機構として採用することができるものである。
上下動部材19を上下2つの位置間を移動させる機構としては、ピストン・シリンダによる往復動機構以外にも、上述した直線往復動機構を含む各種公知の直線往復動機構を採用することができるものである。特に、往復動する間で任意の位置に位置決め停止することのできる直線往復動機構を用いたときは、接着剤の塗布途中で基材表面に形成された凹凸部や穴部等に対応させて、塗布ヘッド17の基材に対する近接離間を行わせることができる。これにより、凸部等との干渉を避けるように塗布ヘッド17を退避させることや、基材表面の凹部内に塗布ノズルを挿入して凹部面に接着剤を塗布することもできる。
図4に示すように、塗布ヘッド17には複数の塗布ノズル24が直線状に配されている。複数の塗布ノズル24は、複数個づつひとつの組として区分けされ、塗布ノズル24の組が複数形成されている。図4では、塗布ノズルの組として2組の例を示しているが、塗布ノズルの組は2組に限定されるものではなく、しかも、各組における塗布ノズルの数も図示例のように7個に限定されるものではない。
各組に区分けされる塗布ノズルの個数は、少なくとも1個以上の塗布ノズルから構成されていればよく、また、各組みに含まれる塗布ノズルの個数も、各組とも同じ塗布ノズルの個数とすることも各組異ならした塗布ノズルの個数等とすることができる。
図2、図4に示すように塗布ヘッド17は、搬送コンベア3を横切る方向に配列しているが、搬送コンベア3の搬送方向に沿って塗布ノズルを配列する構成とすることもできる。塗布ヘッド17の移動については、図8の説明において詳説することとする。
図4に示すように、接着剤導入部22には主剤導入部27、硬化剤導入部28及び洗浄剤導入部29が配設されている。主剤導入部27には図示せぬ主剤供給源と接続管27aにより連通している。硬化剤導入部28には図示せぬ硬化剤供給源と接続管28aにより連通しており、洗浄剤導入部29には図示せぬ洗浄剤供給源と接続管29aにより連通している。主剤供給源、硬化剤供給源及び洗浄剤供給源には、それぞれの主剤、硬化剤及び洗浄剤の貯蔵タンク及び供給用のポンプ等が配設されている。
接着剤導入部22に供給された主剤及び硬化剤は、混合部26として構成された、例えばスタティックミキサにより混合されて第1流路25aに導入される。第1流路25aによって等分に分配された接着剤は、それぞれ第1流路25aの両端から第2流路25bに導入される。第2流路25bに導入された接着剤は、各塗布ノズル24から均等に排出されるように、流路径を異ならせて配設した分岐流路25cに導入される。分岐流路25cの端部には塗布ノズル24が配設され、各塗布ノズル24から一定量の接着剤を排出することができるようになっている。
また、塗布ノズル24の目詰まり防止用や、接着剤塗布装置1を連続して使用しない場合等において、混合部26で混合した接着剤が、硬化してしまわないように洗浄剤導入部29から洗浄剤を導入して、接着剤導入部22や塗布ヘッド17及び混合部26内等の洗浄を行うことができる。
各分岐流路25c内には、図5に示すような開閉弁36が配設され、開閉用シリンダ23の作動によってシリンダロッド23aを縮長させることにより流路を塞ぎ、開閉弁36の開閉動作を行うことができる。図4、図5の図示例では1つの開閉弁36によって、2個1組とした塗布ノズル24に対する弁の開閉動作を行わせている。
塗布ノズル24の組としては2個1組に限定されるものではなく、一組一個の塗布ノズルとすることも、開閉弁を第1通路25aと第2通路とを結ぶ流路上に配設することにより、図4に示すように14個の塗布ノズル24を1組として構成することもできる。しかも、開閉弁の開閉動作だけで14個の塗布ノズル24に対して接着剤の供給、停止制御を同時に行うことができる。
各組に配設する塗布ノズル24の個数は、各組とも同じ個数に限定されるものではない。特に、基材における凹凸部や孔部等の配置位置が偏在して形成されている場合等においては、塗布ヘッド17を基材表面に沿って移動させたときに、同部位又は周辺領域上を通過することになる組での塗布ノズル24の個数が少なくなるように、各組における塗布ノズル数を適宜設定しておくこともできる。
1つの開閉弁36で開閉制御することのできる塗布ノズル24の個数は、1以上の適宜の個数とすることができる。しかし、基材表面への接着剤の塗布をきめ細かく制御するためには、一つの開閉弁36で開閉制御することの塗布ノズル24の個数としては、1個または2個としておくことが望ましい。
次に、図1に示す画像検出手段5によって検出された、搬入された基材11の形状及び基材11の表面に形成された凹凸部や孔部等の配置位置について、図9のフローチャートと図1とを用いて説明を行う。電源スイッチがON状態となるとか、走査開始信号が入力されるなどして、画像検出手段5による検出開始がステップ3で確認されると、走査工程が開始される。走査工程が開始されると、基材情報の更新を行い、発光体5bを点灯させる。同時に、供給コンベア2及び搬送コンベア3を駆動して、基材11を図1の左方向に向かって搬入する。
このとき、供給コンベア2及び搬送コンベア3を等速走向させておき、ラインセンサカメラ5bから取り込んだ画像情報と基材11の移動位置とを対応させて検出することになる。即ち、搬送コンベア3又は供給コンベア2がパルスモータにより駆動制御されている場合には、基材11の先端縁がラインセンサカメラで検出されたときの、搬送コンベア3又は供給コンベア2の回転パルス数を初期値にセットする。
供給コンベア2又は搬送コンベア3がパルスモータで駆動制御されていないときには、供給コンベア2又は搬送コンベア3の駆動ローラの回転数を計数することや、回転数計測器を基材11に当接して基材11の移動量を検出する等適宜の検出方法を用いて基材11の移動量を検出することになる。即ち、ラインセンサカメラ5aで検出した基材の先端縁を予め中央処理部7a内に設定しておいた一つの座標軸上における線分として認定する。
基材11が、供給コンベア2と搬送コンベア3とによって搬入されると、ラインセンサカメラ5aと基材11の搬入量とによって、搬入された基材の搬入量が増大するのに伴って、即ち、基材11の先端がラインセンサカメラ5aの検出位置から遠ざかるしたがって、前記認定した線分が前記一つの座標軸から、側縁を形成しながら他方の直交する軸方向に延びていく状態が検出されていくことになる。
線分から延びる側縁は、基材11の先端縁に繋がる外周縁が検出されたものである。また、このとき、基材11の表面に形成された凹凸部や孔部等の位置、大きさ、形状は、基材11の先端縁からの距離として検出されることになる。基材11の形状等は、基材11の後端縁がラインセンサカメラ5aによって検出されるまで、順次検出されていく。
ステップ12で基材11の後端縁が検出されると、画像検出手段5による画像検出が終了する。ただ、基材11の後端縁が検出された位置で基材11の搬入を停止すると、塗布部6が接着剤の塗布の途中で画像検出手段5に当接してしまう事態が発生し、基材11の表面に接着剤を塗布することができない領域を生成してしまう。このため、接着剤を塗布することのできない領域を無くすために、基材11を所定量更に搬入する必要がある。ステップ14で基材11の後端が画像検出手段から所定量離れたことを確認すると、搬送コンベア3の走向を停止する。
供給コンベア2は、基材11の後端縁がラインセンサカメラ5aによって検出された時点で走行の停止を行うことも、搬送コンベア3と同時に走行を停止することなど、適宜の停止可能状態において走行を停止させることができる。
図7には、画像検出手段5で検出した基材11の形状、孔部としての孔11aや開口11bの画像情報と基材の位置情報とから画像解析部8で解析した結果、及び中央処理部7aにて演算処理した基材11に対する塗布領域42と非塗布領域43を一つの画面40上に重ね合わせて表示した例を示している。
尚、本願発明における孔部は、上述の孔11aや開口11b等を包含した構成を指称しているものである。また、上記基材11としてドア用のパネルを用いたときには、孔11aのうち小径の孔は、主にドアに取り付ける装飾用部材の取付金具用の孔として使用することができ、最も大径の孔はドアノブを取り付けるための孔として使用することができる。また、開口11bは、郵便受け用の開口として使用することができる。
基材11としてドア用のパネルを用いた場合であっても、孔11a及び開口11bを上述の用途に限定して使用されるものではなく、孔11aを覗き窓用の孔として使用するなど、他の用途に対しても適宜使用することができるものである。また、孔11a及び開口11bの形成位置、大きさ形状も図示例に限定されるものではない。
画面40における下辺部47が、画像検出手段5の検出位置に対応する一つの座標軸を表している。下辺部47と基材11の後端縁46bとの間の距離が、図9におけるステップ14により確認されるまで、即ち、基材11の後端縁46bがラインセンサカメラ5aによって検出されてから移動する所定量を表している。尚、画面40における表示と画像解析部8で用いた座標軸とは、所定量オフセットした状態で表示させるこことができるので、画面40における下辺部47とラインセンサカメラ5aの配設位置とを一致させて表示させることは、必ずしも必要なことではない。
塗布領域42の設定方法としては、例えば、基材11の表面全面を塗布領域として予め規定しておくとともに、予め複数種の大きさの四角形の領域を非塗布領域43として設定しておき、基材表面における孔11aや開口11b等に対応した非塗布領域43をそれぞれ選択して、選択した各非塗布領域43を前記塗布領域42の領域の中から除いていく設定方法などがある。
即ち、画像検出手段5により検出した基材表面における孔11aや開口11b等の中心位置と、予め設定しておいた前記複数種の四角形の中心とを一致させ、複数種の四角形の中から前記孔11aや開口11b等の外周を内包し、かつ最小形状となる四角形を選択することで孔11aや開口11b等に対しての非塗布領域43をそれぞれ設定することができる。
或いは、画像検出手段5により検出した基材表面における孔11aや開口11b等の中心位置と大きさとに基づいて、同中心位置と中心を一致させ、かつ前記凹凸部や孔部等の大きさよりプラスαだけ大きな四角形を自動設定すること等によっても塗布領域42と非塗布領域43とを設定することができる。これ以外にも適宜の演算手法を用いて塗布領域42と非塗布領域43とを設定することもできるものである。
非塗布領域43としては、四角形の領域としているが多角形形状の領域等適宜の形状で非塗布領域を設定することもできる。また、本願発明の実施例では、図8に示すように基材11の長手方向に沿って塗布ヘッド17を移動させる構成としているので、図7における基材11の左端における非塗布領域43a、43bのように孔の大きさが異なっても、同じ横幅の非塗布領域43a、43bを設定することもできる。
これは、図4に示すように一列に配列した塗布ノズル24が、基材11の長手方向に沿って移動するので、各開閉弁36の開閉制御を簡単にするために行ったものである。非塗布領域43bに対しても他の同一形状の孔における非塗布領域43と同じ大きさの非塗布領域となるように設定することもできる。また、必要に応じて、基材の外周縁から所定幅内を非塗布領域として設定することもできる。
塗布領域42と非塗布領域43とが設定されると、同設定及び基材11の形状、凹凸部や孔部等の位置を図1におけるディスプレイ10に表示する。作業者は、ディスプレイ10に表示された塗布領域42、非塗布領域43を確認することができる。塗布領域42、非塗布領域43を確認したときに、塗布領域又は非塗布領域の修正を行いたいときには、図示せぬ入力手段を用いて塗布領域又は非塗布領域の修正を行うことができる。
その後、塗布工程に移り、図8に示すように塗布ヘッド17を基材に対して移動させ、制御装置からの制御指令に基づいて基材表面の塗布領域に接着剤44を塗布していく。塗布の途中で非塗布領域43上を通過する塗布ノズルに対しては、対応する開閉弁36を当該塗布ノズルが非塗布領域43を通過するまで閉鎖状態に維持する。通過塗布ヘッド17が基材の他端部に到達したときには、前述した開閉弁36を全て閉鎖して、塗布ヘッド17を基材11の幅方向に所定量移動させる。
塗布ヘッド17が所定量基材の幅方向に移動した後、開閉弁36を開放するとともに塗布ヘッド17を先程とは逆向きに基材11の長手方向に移動させる。塗布の途中で非塗布領域43にきたときには、対応する塗布ノズルの開閉弁36に対して非地布領域を通過するまで閉鎖する。非塗布領域の通過後は閉鎖していた開閉弁36を開放して、塗布作業を続行する。これを繰り返して基材11に対する塗布領域への接着剤の塗布を行う。
塗布ヘッド17の基材11の長手方向への移動は、図2で示した門型アーム15を移動させることで行うことができるが、門型アーム15を移動させずに搬送コンベア3を走向させることで基材11を塗布ヘッド17に対して基材11の長手方向に移動させることで行わせることもできる。
図8では、塗布ヘッド17は搬送コンベア3の搬送方向に移動しながら基材表面に接着剤を順次塗布する作業について説明したが、塗布ノズル24の配列方向を搬送ベルト3の搬送方向と平行な方向、即ち、上述した塗布ノズル24の配列方向とは90度回転させた配列方向とすることができる。
この場合には、図8の状態では基材11の横幅方向に順次接着剤を塗布していくことになるが、非塗布領域に対して接着剤を塗布させない機構については、上述の基材11の長手方向に沿って塗布ヘッド17を移動させて塗布する場合と同様に行うことができる。
また、例えば、塗布ヘッド17の長さの整数倍が基材11の横幅とならないときには、塗布ヘッド17を基材11の一方の側縁から所定量横幅方向に突出させた状態で塗布作業を開始し、基材11の他方の側縁から塗布ヘッド17が幅方向に突出した状態で最後の塗布作業を行うように、塗布ヘッド17の開始位置を制御することができる。これにより、塗布作業中における塗布ノズル24の開閉弁36に対する閉鎖制御を頻繁に行わないようにすることができる。