JP4364624B2 - 船舶用タラップ装置 - Google Patents
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Description
フェリーなどの船舶用タラップ装置は、ランプ装置と称せられている。このランプ装置の駆動機構には、例えば、特許文献1に記載の通り、油圧シリンダ方式が一般的に採用されている。フェリー用のランプ装置の本体は、大きな剛性板状体で形成されている。この本体を起倒させるため、油圧式シリンダ方式が必須である。
また、船舶用タラップ装置の船体への配設は、まず、船体に船舶用タラップ装置の駆動機構を取り付ける。この後、タラップ本体を船体に取り付けることとなる。このため、船舶用タラップ装置の設置には、まず、船体側への機構取付が必要となる。すなわち、タラップ装置の船体への設置作業などが煩雑である。かつ、船体側に駆動機構取付スペースが必要となる。
さらに、波の高いときに船舶が着岸する場合がある。所定の位置でタラップ本体を岸壁側に傾倒させて、この傾倒位置で固定する。すると、船体に垂直方向の変位が生じたとき、従来装置ではタラップ本体の先端は、岸壁との間での係合から離れて、またこれが岸壁に打ち付けられる現象を繰り返す。この結果、タラップ本体が破損するおそれが生じる。
また、この発明は、船舶用タラップ装置の船体への取り付けを簡便に実施できる船舶用タラップ装置を提供することを目的とする。
さらに、この発明は、波の高い場合であっても、常に岸壁とスムーズに係止できる船舶用タラップ装置を提供することを目的とする。
船舶用タラップ装置を使用する船舶は限定されない。例えば、フェリー、客船、小形船舶、釣り船などに使用される。特に小形船舶への設置が有効である。
船舶用タラップ装置は、箱形状の本体を有する。この本体が、船体に支持されて起立位置と傾倒位置とをとり得る。箱形状とは、本体が略水平に架け渡された装置使用時、少なくとも天板と底板とを有し、これら両板間に例えば扁平な空間が画成される形状を有することである。この本体の大きさは、用途目的に応じて設定される。本体の内部(上記扁平な空間)には、この本体を駆動するための駆動機構が収容・配設される。
駆動機構とは、箱形状の本体を起倒させるための機構である。この駆動機構には、電動機などが含まれる。その他、ギヤボックスおよびボールジャッキなども含まれる。また、油圧シリンダなどのアクチュエータを含む構成とすることもできる。油圧シリンダであれば、防水性の点で電動機よりも有利である。
また、本体を船体に例えば揺動自在に取り付けることにより、タラップ装置としての機能を発揮することができる。すなわち、船舶用タラップ装置の取り付けが簡便に実施できる。また、船舶用タラップ装置の一部に不具合が生じたとき、別の船舶用タラップ装置と容易に交換できる。ユニットとして交換可能である。
電動機の回転トルクは限定されない。電動機の電力も限定されない。例えば、電動機は、交流式の回転機が使用される。なお、この電動機、配線、電源などに対しては防水機能を持たせるものとする。
ロック手段には、例えば、フックをかけて本体を船体にロックする手段などが挙げられる。このロック手段は、船舶用タラップ装置の本体の内部に配設される。ロック手段は、駆動機構と同様に電動モータを駆動源として構成することもできる。
詳しくは、この装置は、傾倒自在の箱形の本体と、本体内部に配置された伸縮自在の伸縮部材とを備えている。伸縮部材(シリンダ)の長さ方向の一端を、本体に回動自在に取付るとともに、その他端を船体側に回動自在に設けている。本体の傾倒の支点(揺動中心)と、伸縮部材の他端の回動支点とは偏心している。すなわち、垂直面内で揺動中心から所定距離だけ離間して他端回動支点を設けてある。そして、他端回動支点は本体が略水平位置まで(傾倒位置まで)回動したとき、その伸縮方向または上下方向に所定距離だけ移動可能である。その結果、船体の上下動により傾倒位置の本体が、その先端を支点として揺動することができる。すなわち、本体と一体に揺動する伸縮部材は、その他端が移動可能である。
また、駆動機構は本体の内部に配設されることから、本体を船体に回動自在に取り付けることで、タラップ装置の取り付けが終了する。これにより、船舶用タラップ装置の取り付けが簡便に実施できる。
さらに、船舶用タラップ装置には、船体に垂直方向の変位が生じたとき、本体がその先端を支点として揺動自在に設けられる。これにより、波のある状態でも、常に船舶用タラップ装置を岸壁に係止することができる。
まず、図1(a)および図1(b)参照して、船舶用タラップ装置10の全体構成について説明する。
図1(a)および図1(b)に示すように、本実施例に係る船舶用タラップ装置10は、箱形状の本体11を有している。すなわち、本体11は、所定厚みを有し、平たい箱形状を有している。具体的には、本体11は、鋼板、木材、積層材など任意の材質からなる、所定幅、所定長さの略矩形の天板および底板と、これら天板と底板との間に所定の扁平な空間を画成するための所定幅の側板とを有している。箱形状の本体11の厚みは、基端部から先端に向け小さくなるよう形成されている。
そして、本体11は、船体100に対して、この本体11の基端部を中心にして回動自在に設けられている。具体的には、船体100側方部の上面(甲板)の所定位置に所定間隔離間して一対の支持軸51を軸受け材55を介して軸支し、この支持軸51を軸支する軸受け材57を上記本体11の天板裏面下端部に固着してある。すなわち、天板つまり本体11は支持軸51を中心にして垂直面内で揺動自在に支持されているのである。その揺動角度は少なくとも90度として、本体11を起立位置(略垂直位置)と傾倒位置(略水平位置)との間で揺動(起倒)させることができる。
図2(a)および(b)に示すように、船体100の上面に、所定間隔離れて固定板62、支持板63を介して一対の軸受け材57が固定され、これらの軸受け材57に支持軸51が回動自在にそれぞれ支持されている。本体11の天板の裏面下部には所定間隔離間して一対の軸受け材55が固着されている。そして、これらの軸受け材55にはそれぞれ上記一対の支持軸51が回動自在に支持されている。すなわち、本体11は支持軸51を支点としてその基端部で船体100に垂直面内で回動自在(揺動自在または起倒自在)に支持されているのである。
本体11は、その内部に、この本体11を起倒させるための駆動機構を備えている。また、本体11内には、起立位置でこの本体11を船体100にロックするロック手段を収納している。駆動機構およびロック手段は、共に本体11の内部の天板と底板との間の扁平な空間内に配設される。さらに、本体11は、着岸して本体11が傾倒状態のとき、この本体11の表面の幅方向両側に展開される手摺り41を備えている。
電動機12は、交流式の電動機12である。この電動機の回転軸(出力軸)の回転は、ギヤボックス13を介して略水平方向に延びるジャッキ作用軸34の回転に変換される。すなわち、電動機12の出力軸先端がギヤボックス13内のギヤ機構に連係され、このギヤ機構を介してジャッキ作用軸34が所定の回転速度で回転することとなる。電動機12およびギヤボックス13は、一体化させたものでもよい。
ギヤボックス13には、回転自在の細長い軸からなる一対のジャッキ作用軸34の各一端が連結されている。各ジャッキ作用軸34の他端にはねじ山が形成され、その各他端は、それぞれ一対のボールジャッキ14の図示しないジャッキ受け孔を貫通して各ボールジャッキ14のラック状のジャッキ軸15に螺合されている。
各ボールジャッキ14は、そのジャッキ軸15が図1(b)にて垂直方向に出没自在に設けられ、その先端は2又の連結部16はピン53を介して第1のレバー54の一端に回動自在に連結されている。第1のレバー54の他端は上記支持軸51にキー結合されている。図2(b)に示すように、支持軸51に対してピン53は第1のレバー54の長さ分だけ偏心して位置している。
よって、ボールジャッキ14のジャッキ軸15の伸縮により天板すなわちタラップの箱状本体11が支持軸51を支点として垂直面内で所定角度回動することとなる。
図2(a)に示すように、船体100側に2枚の固定板(ベース板)62が設けられる。このベース板62上に垂直方向に三角形の支持板63が配設される。そして、この支持板63に第2の軸受け材57が固設される。矩形板からなる本体11天板の両側面の基端部側には、それぞれ切り欠き65が設けられる。そして、上記各部材(62,63,57など)は、この切り欠き65に対応する部分に設けられている。
一方、本体11(天板)の基端部に、第1の軸受け材55が固着される。この第1の軸受け材55は、本体11の天板裏面に固着されている。第1の軸受け材55には、支持軸51が挿入され、この軸受け部分に海水の侵入を防止するパッキン材56がそれぞれ設けられている。
そして、第1の軸受け材55および第2の軸受け材57に1本の支持軸(ピン)51が軸支される。これにより、船体100に対して、支持軸51を支点として、本体11が回動自在(起倒自在)に設けられることとなる。
また、略三角形の第1のレバー54の一角には、レバー作用部材(連結部)16がピン53により回動自在に連結される。レバー作用部材16は、一端が二本足を有し、この二本足で第1のレバー54を挟みこむようにして、この第1のレバー54に連結される。このレバー作用部材16の他端は、上記ボールジャッキ14に設けられたジャッキ軸15の先端に連結されている。
図2(b)に示すように、略L字の第2のレバー52の先端は、ベース板62上に垂直に固定された当接板60に当接されている。また、この第2のレバー52の頂部には切り欠き部66が設けられる。この切り欠き部66には、当接板60の上端にピン59支持されたストッパ58が係合されている。このストッパ58は、切り欠き部66に係合して第2のレバー52(支持軸51)の図3で時計回り方向の回動を規制している。この規制により54の先端のピン53を中心として本体11が回動する(倒れる)こととなる。
また、本体11には、ストッパ58を押し上げるストッパ解除部材61が、このストッパ58の直下に設けられている。起倒位置でストッパ58を押し上げて、支持軸51の回動を可能とする。その結果、支持軸51とピン53とがそれぞれ回動自在となり、船体のアップダウンに追従して本体が揺動可能となる。
第1のロックフック連結棒35の一端側(ピストン22側)には、第2のロックフック連結棒24の一端が、第3のピン93で連結されている。第2のロックフック連結棒24は、本体11上部に垂直に設けられる。
また、第1のロックフック連結棒35の他端側には、第3のロックフック連結棒28が、第4のピン94で連結されている。第3のロックフック連結棒28は、本体11下部に垂直に設けられる。
第2のロックフック棒24の他端は、本体11の側面側上方に設けられたブーメラン形状の第1のフック板33aと第5のピン95で連結される。第1のフック板33aは、第6のピン96を支点として回動自在に設けられる。
第3のロックフック棒28の他端は、本体11の側面側下方に設けられたブーメラン形状の第2のフック板33bと第7のピン97で連結される。第2のフック板33bは、第8のピン98を支点として回動自在に設けられる。
さらに、本体11には、着岸したときに人や荷物が容易に乗降できるように、タラップ板19がこの本体11の先端側に設けられる。このタラップ板19は、本体11の先端を軸に回動自在に取り付けられている。タラップ板19は、本体11に内部に配設されたウインチ17とチェーン18で連結されている。チェーン18は、ウインチ17から本体11の基端部に設けられた滑車36を介し、本体11の乗降面を通してタラップ板19の先端部に連結される。
本体11の先端には、この本体11を岸壁側200に係止する車輪46が設けられている。そして、本体11が岸壁側200に係止されたときを検知するリミッタスイッチ45が、この本体11の内部に配設されている。
まず、本体11を傾倒させる方法について説明する。
図1(b)に示すように、まず、本体11が起立の状態で、図示しないスイッチ信号により電動機12の図示しない回転軸を回転(正転)する。この回転軸の回転により、ギヤボックス13を介してジャッキ作用軸34が回転する。ジャッキ作用軸34は、その回転をボールジャッキ14のジャッキ軸15に伝達する。
図3に示すように、ボールジャッキ14のジャッキ軸15は、ボールジャッキ14の方向(A方向)に向かって収縮する。この収縮により、これに連結されたレバー作用部材(連結部)16にもA方向に力が作用する。そして、このレバー作用部材16にピン53で連結された第1のレバー54が、支持軸(ピン)51を支点としてB方向に回動する。これに伴い、第1のレバー54と同じ支持軸51に固設された第2のレバー52もB方向に回動する。
このとき、第2のレバー52の頂部には、切り欠き部66が設けられている。この切り欠き部66には、ストッパ58が係合されている。これにより、第2のレバー52のB方向への回動が抑えられる。よって、第1のレバー54の回動も固定される。
さらに、レバー作用部材16にA方向の力が作用すると、レバー作用部材16および第1のレバー54を連結しているピン53を支点として、レバー作用部材16およびジャッキ軸15にC方向の力が作用する。これに、本体11の重力が加わり、これにより、本体11は、岸壁側200に傾倒される。
図4は、本体11が岸壁側200に傾倒された状態を示した図である。このとき、ボールジャッキ14のジャッキ軸15は、ボールジャッキ14の本体に収まった状態になっている。
まず、スイッチ信号により、電動機12の図示しない回転軸を回転(逆転)させる。この回転軸の逆転により、図1(b)に示すジャッキ作用軸34は、回動する。この回動により、ボールジャッキ14に設けられたジャッキ軸15は、本体11の基端部に向かって(D方向)伸びていく。
図4に示すように、上記ジャッキ軸15のD方向の伸びにより、これに連結されたレバー作用部材16にも(D方向)に力が作用する。そして、このレバー作用部材16のD方向の移動により、支持軸51を支点として、第1のレバー54がE方向に回動する。
これに伴い、同じ支持軸51に固設された第2のレバー52もE方向に回動する。第2のレバー52がE方向に回動すると、船体側100の当接板60にこの先端が当接される。この当接により、第2のレバー52の回動が抑えられる。同時に、第1のレバー54の回動も抑えられる。
第1のレバー54の回動が抑えられた状態で、さらにレバー作用部材16のD方向に力が作用する。すると、第1のレバー54を連結しているピン53を支点として、レバー作用部材16およびジャッキ軸15にF方向の力が作用する。すなわち、本体11を船体側に起立させる力が作用することになる。これにより、本体11は起立位置まで戻される。
傾倒位置で本体11の先端が岸壁に係止し、本体11の回動を固定する。すると、船体に垂直方向の変位が生じたとき、本体11が岸壁200から一瞬離れ、またこれが岸壁200に打ち付けられる現象を繰り返す。そこで、ある程度の高さの波のある場合でも、常に岸壁200に係止できるようにした。
すなわち、図1(a)(b)に示すように、本体11内部の先端には、リミットスイッチ45が設けられる。本体11が岸壁200に接地すると、リミットスイッチ45が岸壁200の接地を検知して接地信号を発生させる。そして、この信号を電動機12へ送信し、電動機12の回転軸を所定期間正転させる。
図5(a)に示すように、ボールジャッキ14に設けられたジャッキ軸15は、ボールジャッキ14の方向(H方向)に収縮する。これにより、第1のレバー54は、支持軸51を支点としてI方向に回動する。また、支持軸51に連結されている第2のレバー52もI方向に回動する。
このとき、第2のレバー52の頂部には、切り欠き部66が設けられている。この切り欠き部66には、ストッパ58が係合されている。よって、第2のレバー52および第1のレバー54のJ方向の動きが制限される。
一方、本体11には、ストッパ58の直下にストッパ解除部材61が設けられている。このストッパー解除部材61は、本体11と一体成形されている。本体11の回動に伴って、ストッパ解除部材61が、このストッパ58を押し上げる。これにより、第2のレバー52の回動の制限が解除される。したがって、本体11は、船体の垂直方向の変位が最も大きくなるまで、さらにG方向に回動可能となる。
図5(b)に示すように、船体の垂直方向の変位が最も大きくなったとき、第2のレバー52と当設板60の壁面との間に隙間Kが生じる。この隙間Kの発生により、本体11は支持軸(ピン)51を中心軸として垂直方向に揺動自在となる。一方、本体11の先端は岸壁200に係止している。この結果、船体100に垂直方向の変位が生じたとき、本体11はその先端を支点として揺動自在に設けることができる。
なお、船体100に垂直方向の変位が生じたとき、本体11は岸壁側200では水平方向に若干往復動する。そこで、図1に示すように、水平方向に往復動しやすいよう本体11の裏面側には車輪46が設けられている。
以上の結果、船舶用タラップ装置10は、岸壁200に接地した状態で常に揺動自在となる。
図1に示すように、図示しないスイッチ信号により、ロック用電動シリンダ20の電動機21aを回転させて、シリンダ21bに配設されたピストン22を上方に伸ばす。すると、このピストン22に第1のピン91で連結された第1のロックフック棒35の一端が押し上げられる。同時に、この第1のロックフック棒35の他端は、第2のピン92を支点として下方に向かって回動する。これにより、第2のロックフック棒24が上方に向かって押し上げられる。また、第3のロックフック棒28は、下方に向かって押し下げられる。
第2のロックフック棒24が上方に押し上げられると、第1のフック板33aの一端が押し上げられる。これにより、第1のフック板33aの他端は、第6のピン96を支点として押し下げられ、これが本体11の内部に格納される。
一方、第3のロックフック棒28の押し下げにより、これに第7のピン97で連結された第2のフック板33bが第8のピン98を支点として押し上げられ、第2のフック板33bが本体11の内部に格納される。
以上のような一連の動作により、船体100へのフックが解除される。船体100にフックをかける場合は、上記とは逆の動きを実施する。
図1に示すように、本体11の表面には、手摺り部42、手摺り支持棒43a、43bおよび手摺り連結棒44などが一体化した手摺り41が折り畳まれている。着岸時には、手動または自動により、手摺り部42および手摺り支持棒43a、43bは、本体11の基端部に設けられた手摺り連結棒44により展開される。これにより、本体11の表面には手摺り41が展開される。
本体11の先端には、本体11の厚みによる段差を緩和するためのタラップ板19が設けられている。着岸時には、手動で回動してタラップ板19を岸壁側200に展開させる。起立位置では、ウインチ17のモータを回してチェーン18で引っ張り、タラップ板19を本体11に格納させる。
本実施例に係る船舶用タラップ装置10は、上記実施例1に係る船舶用タラップ装置10に対して、以下の変更を加えたものである。すなわち、上記第1のレバー54および第2のレバー52の構造を一体化した点である。
具体的には、図6に示すように、棒状のカム作用部材76が設けられ、この先端には、円柱体の嵌合ピン78aと長円柱状の嵌合ピン78bとが配設される。
また、図6に示すように、上記実施例1の第1のレバー54と第2のレバー52とを一体化したカム部材75が設けられる。カム部材75は、その本体が略円柱状である。この本体には、上記支持軸51を貫通させて固設する貫通孔82が設けられる。また、カム部材75の長さ方向の両端には、人間の手のように突出した嵌合部材79a、79bがそれぞれ設けられる。
各嵌合部材79a、79bの先端には、上記円柱状および長円柱状の嵌合ピン78a、78bが嵌合される嵌合孔81a、81bがそれぞれ配設されている。
図7(a)に示すように、一方の嵌合孔81aは、嵌合部材79aの先端側の一部が欠けている。また、この嵌合孔81aの下方には、先端に向けて略水平に長く形成された揺動面80が形成されている。
また、図7(b)に示すように、他方の嵌合部材79bの先端には、長円柱状の嵌合ピンが嵌合される長円柱状の嵌合孔81bが設けられる。この嵌合孔81bもその一部が欠けている。
図8(a)および図8(b)に示すように、カム作用部材76およびカム部材75は、本体11の内部に配設される。すなわち、第1の回転受け材55および第2の回転受け材57に支持軸51が軸着される。カム部材75は、この支持軸51が貫通され、この支持軸51にピン64で固設される。そして、このカム部材75には、カム部材75の嵌合孔81a、81bにカム作用部材76が嵌合される。また、カム作用部材76は、ボールジャッキ14に備えられたジャッキ軸15と連結される。その他の構成は、上記実施例1と同じである。
まず、本体11を傾倒させる方法について説明する。
スイッチ信号の入力からボールジャッキ14にジャッキ軸15が収縮する工程までは上記実施例1と同じである。
図7(a)および図7(b)に示すように、嵌合孔81a、81bは、カム作用部材76の嵌合ピン78a、78bの当接面となる。これにより、カム作用部材76は、嵌合ピン78a、78bを支点として回動することができる。
図7(a)に示すように、カム作用部材76に設けられた円柱体の嵌合ピン78aは、円形の嵌合孔81aに嵌合されている。このため、カム作用部材76は、嵌合ピン78aを支点として図7(a)中の時計回りまたは反時計回りに回動できる。
一方、図7(b)に示すように、長円柱体の嵌合ピン78bは、嵌合部材79bの先端の長円形の嵌合孔81bに嵌合されている。このため、カム作用部材76は、L方向への回動が制限される。一方、嵌合孔81bの一部は欠けている。よって、カム作用部材76は、この欠けた部分の方向、すなわち、嵌合ピン78bを支点としてK方向のみに回動する。
図8(a)および図8(b)に示すように、ボールジャッキ14には、ジャッキ軸15が設けられている。ジャッキ軸15が、ボールジャッキの本体14に向かって収縮する。すると、これに連結されたカム作用部材76は、カム部材75の嵌合孔81a、81bに当接されながら岸壁側200へ回動する。これに本体11の重力を伴って、これにより、本体11を岸壁側200に傾倒させることができる。
次に、この実施例に係る本体11を起立させる方法について説明する。
スイッチ信号の入力からボールジャッキ14からジャッキ軸15が伸ばされる工程までは上記実施例1と同じである。
図8(a)に示すように、ジャッキ軸15の伸びにより、カム作用部材76には、N方向の力が作用する。そして、カム作用部材76の円柱状および長円柱状の嵌合ピン78a、78bがそれぞれ、カム部材75の嵌合孔81a、81bの受け面に当設される。図7(a)に示すように、嵌合孔81aは円形の当接面を有している。この当接面へのカム作用部材76の当接は、このカム作用部材76に起立させる方向に回動する力が作用することになる。これにより、カム作用部材76およびジャッキ軸15にも船体の方向に力が作用する。この結果、本体11を起立位置まで戻すことができる。
上記実施例1と同様に、本体11が岸壁200と接地する部分に、リミットスイッチ45が設けられる。本体11が岸壁200に接地すると、リミットスイッチ45が着岸を検知する。そして、着岸検知の信号を発生させ、この信号を電動機12へ送信する。電動機12の回転軸を所定期間正転させる。
図9(a)に示すように、ジャッキ軸15が、ボールジャッキ14の方向(P方向)に収縮する。これにより、カム作用部材76もP方向に移動する。そして、カム作用部材76の円柱状の嵌合ピン78aおよび長円柱状の嵌合ピン78bは、カム部材75の嵌合孔81a、81bの切り欠け部からQ方向に抜脱する。
図9(b)に示すように、カム作用部材76のカム部材75からの抜けを防止するために、嵌合孔81aの揺動面80は、その面が長く形成されている。円柱状の嵌合ピン78aおよび長円柱状の嵌合ピン78bは、この揺動面80に沿って移動する。そして、この揺動面80の先端近くまで移動する。揺動面80にある嵌合ピン78aは円柱状の形を有している。よって、カム作用部材76は、嵌合ピン78a、78bを支点として垂直方向に揺動自在となる。すなわち、本体11もこの嵌合ピン78a、78bを支点として垂直方向に揺動自在となる。
一方、本体11は、傾倒位置で本体11の先端が岸壁に係止している。したがって、船体に垂直方向の変位が生じたときは、本体11は、岸壁に係止している先端を支点として揺動自在となる。この結果、船体に垂直方向の変位が生じたとき、本体11を常に岸壁に係止することができる。
すなわち、本体の起立位置では伸縮部材(ボールジャッキのジャッキ軸)の伸縮方向の移動を規制し、傾倒位置ではその移動を許容することにより、傾倒位置での垂直面内での本体の揺動を可能とする。
以上の結果、実施例1よりカム部材75を簡単な構造とすることにより、揺動自在な船舶用タラップ装置10を得ることができる。
11 本体、
12 電動機。
Claims (4)
- 船体に支持されて起立位置と傾倒位置とをとり得る箱形状を有する本体と、この本体をこれら起立位置と傾倒位置との間で起倒させる駆動機構とを備えた船舶用タラップ装置であって、
上記駆動機構が、上記本体の内部に配設された船舶用タラップ装置。 - 上記駆動機構には、電動機が含まれる請求項1に記載の船舶用タラップ装置。
- 上記本体を上記起立位置で船体にロックするロック手段が、この本体の内部に配設された請求項1または請求項2に記載の船舶用タラップ装置。
- 上記傾倒位置で本体の先端が岸壁に係止し、船体に垂直方向の変位が生じたとき、本体がその先端を支点として揺動自在に設けられた請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の船舶用タラップ装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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