JP4364463B2 - ウォータハンマを防止する機構を備えた内燃機関 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エアランにより機関を始動するタイプの内燃機関におけるエアラン実行時のウォータハンマを防止する機構に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
エアラン実行時には始動弁を開き、燃焼室内に圧縮空気を流入させる。燃焼室内に圧縮空気を流入させることで、各気筒のピストンが押し下げられ、機関が回転する。吸気弁と排気弁は、機関の回転と連動するように、カム,ギヤトレンなどの機構を介して開閉するようになっている。燃焼室内の空気圧の変動により自動的に開閉するようになっている。この状態で燃焼室内に混合気又は燃料のみを供給し、着火することにより機関は始動する。
【0003】
ところで、給気通路内に水が溜まっていると、この水はエアラン実行時に圧縮空気に押されて一気に燃焼室内に入り込み、いわゆるウォータハンマ現象が起こる。エアラン開始からこのウォータハンマ現象が現れるまで数秒程度かかるため、給気通路内に水が溜まっているか否かは予め認識することはできず、ウォータハンマ現象が生じて初めて認識することができる。しかし、ウォータハンマは機関の故障につながり、給気通路内に水が溜まっていることを予知できなければ回避することは困難である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明では、給気通路内に水(溜まり水)が存在していても、ウォータハンマを回避することができる機構を備えた内燃機関を提供することを課題としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため請求項1の発明では、圧縮空気を燃焼室に供給する圧縮空気供給管に設けた空気バルブを開くことによってエアランを実行する内燃機関において、給気通路に接続される水抜通路と、前記水抜通路の途中に配置される水抜バルブと、前記給気通路内に水が溜まったことを検出できる、水検出センサと、前記水抜バルブ及び前記空気バルブの開閉を制御する、バルブ開閉手段と、を備えており、前記バルブ開閉手段は、前記内燃機関の始動時に、前記水抜バルブからの信号に基づいて、前記給気通路内の溜まり水が確認できる間は前記水抜バルブを開放し、前記溜まり水が確認できなくなると前記水抜バルブを閉鎖し、その後、前記空気バルブを開放することによってエアランを実行する。
【0006】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明によるウォータハンマを防止する機構を備えた内燃機関100の部分系統図である。内燃機関100のシリンダヘッド1には、給気管8と燃焼室3とを連通させる給気連絡管20が設けてあり、また、排気管10と燃焼室3とを連通させる排気連絡管21が設けてある。
【0007】
給気管8は、図示しない過給機で圧縮された空気を図示しないインタクーラまで導く。内燃機関100は複数気筒(例えば6気筒)であり、図1はそのうちの1つの気筒について着目したものである。
【0008】
給気管8と給気連絡管20とで給気通路9が形成されており、排気管10と排気連絡管21とで排気通路11が形成されている。給気通路9と燃焼室3とは吸気弁5が開閉することにより連通又は遮断されるようになっており、また、排気通路11と燃焼室3とは排気弁6が開閉することにより連通又は遮断されるようになっている。
【0009】
燃焼室3には、さらに始動弁7が設けてある。この始動弁7が開閉することにより、内燃機関100の外部に設置した空気槽18から圧縮空気供給通路24を介して供給される圧縮空気を燃焼室3内へ流入させたり、流入を阻止することができる。内燃機関100は、圧縮空気始動式のエンジンである。
【0010】
給気管8には途中に水抜バルブ13を備えた水抜通路12が設けてある。水抜バルブ13は、信号線15を介してCPU17から制御信号を受け、CPU17により開閉が制御される。
【0011】
また、給気管8内にはセンサ14が設けてある。このセンサ14は、給気通路9内に水が溜まったことを検出し、信号線16を介して検出信号をCPU17へ伝送するようになっている。
【0012】
空気槽18には圧縮機19で生成された圧縮空気が貯蔵されている。この圧縮空気は、圧縮空気供給管24の途中に設けたバルブ22を開き、始動弁7を開くことにより燃焼室3内へ供給することができる。バルブ22は、CPU17と信号線23で接続されており、CPU17により開閉制御される。
【0013】
次に動作の説明をする。内燃機関100を始動させる際、まずCPU17はセンサ14からの信号により、給気通路9内の溜まり水30の有無を確認する。もし、溜まり水30が給気通路9内になければCPU17は信号線23を介してバルブ22へ制御信号を送ってバルブ22を開き、空気槽18内の圧縮空気を燃焼室3内へ流入させる。
【0014】
圧縮空気が供給された燃焼室3は、ピストン4が下降し、機関を回転させ始める。機関の吸気行程で吸気弁5が開き、給気通路9内の空気が燃焼室3内に流入する。排気行程においてピストン4が上昇を始めると排気弁6が開き、燃焼室3内の空気は排気通路21を経て外部へ排出される。このピストン4の往復運動及び吸気弁5と排気弁6の開閉が始まると、燃料又は混合気を燃焼室内へ供給することにより、機関が運転状態となる。機関が運転状態になれば、例えば人手でバルブ22と始動弁7を閉じ、燃焼室3内への空気槽18内の圧縮空気の供給を停止させる。
【0015】
給気通路9内に溜まり水30があることがセンサ14により検出されると、CPU17は信号線15を介して水抜バルブ13へ制御信号を送り、水抜バルブ13を開いて水抜通路12から溜まり水30を抜く。センサ14が給気通路9内の水を確認できなくなるとCPU17は水抜バルブ13を閉じ、バルブ22を開き、空気槽18内の圧縮空気を燃焼室3内へ流入させエアランを開始する。その後の内燃機関100の始動までの動作は上述した動作と同じである。
【0016】
給気通路9内に溜まり水30がなくなるとエアランを実行し、内燃機関100を空運転させ、内燃機関100の始動準備は完了し、エアランを終了してから内燃機関100を始動させる。
【0017】
【発明の効果】
請求項1の発明では、給気通路9内に溜まり水30がない状態でエアランを実行し、エアラン終了後に内燃機関100を始動させるようにしたので、ウォータハンマを起こすことなく安全に始動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のウォータハンマを防止する機構を備えた内燃機関の部分系統図である。
【符号の説明】
1 シリンダヘッド
2 シリンダライナ
3 燃焼室
4 ピストン
5 吸気弁
6 排気弁
7 始動弁
8 給気管
9 吸気通路
10 排気管
11 排気通路
12 水抜通路
13 水抜バルブ
14 センサ(水検出センサ)
17 CPU(バルブ開閉手段)
18 空気槽
19 圧縮空気
30 溜まり水
100 内燃機関
Claims (1)
- 圧縮空気を燃焼室に供給する圧縮空気供給管に設けた空気バルブを開くことによってエアランを実行する内燃機関において、
給気通路に接続される水抜通路と、
前記水抜通路の途中に配置される水抜バルブと、
前記給気通路内に水が溜まったことを検出できる、水検出センサと、
前記水抜バルブ及び前記空気バルブの開閉を制御する、バルブ開閉手段と、
を備えており、
前記バルブ開閉手段は、前記内燃機関の始動時に、
前記水抜バルブからの信号に基づいて、前記給気通路内の溜まり水が確認できる間は前記水抜バルブを開放し、
前記溜まり水が確認できなくなると前記水抜バルブを閉鎖し、
その後、前記空気バルブを開放することによってエアランを実行する、
ことを特徴とするウォータハンマを防止する機構を備えた内燃機関。
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