JP2014206127A - ユニフロー式2サイクルエンジン - Google Patents
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Abstract
【課題】 ターボチャージャを備えたユニフロー2サイクルエンジンにおいて、始動時の燃焼を良好にする。【解決手段】 ユニフロー式2サイクルエンジン1であって、掃気孔19と、吸気通路64と、排気弁31によって開閉される排気通路69と、吸気通路に設けられたコンプレッサ82を備えたターボチャージャ80と、コンプレッサを迂回するバイパス通路72と、バイパス通路を開閉するバイパス弁73と、排気弁を開くタイミングを変化させる排気弁位相可変手段50と、クランクシャフトを回転させるモータ91とを有し、通常運転時に、掃気孔が開かれた期間と一部が重なる第1のタイミングで排気弁が開かれ、エンジン始動時に、バイパス弁が開かれると共に、掃気孔が閉じた後の第2のタイミングで排気弁が開かれ、モータによってクランクシャフトが回転するようにした。【選択図】 図1
Description
本発明は、過給機にターボチャージャを使用したユニフロー式2サイクルエンジンに関する。
2サイクルエンジンにおいて、シリンダボアに連通し、ピストンによって開閉される掃気孔と、掃気孔に連通した吸気通路と、シリンダボアに連続した燃焼室に連通し、排気弁によって燃焼室との連通状態が開閉される排気通路と、吸気通路に設けられた過給機としてのスーパーチャージャとを有するユニフロー式2サイクルエンジンが公知となっている(例えば、特許文献1)。ユニフロー式2サイクルエンジンでは、掃気孔と排気通路とが共に開かれる期間が設定され、スーパーチャージャによって加圧された空気がシリンダボアの下部から燃焼室へ一方向に流れることによって、掃気が確実に行われ、既燃焼ガスがシリンダボア内に残留し難くなる。
このようなユニフロー式2サイクルエンジンにおいて、過給機をスーパーチャージャ(機械式過給機)からターボチャージャ(排気タービン式過給機)に変更すると、排気のエネルギーを有効利用してエンジンの熱効率を高めることができると共に、軽量化及び小型化が可能になる。しかしながら、過給機にターボチャージャを採用した場合、内燃機関の始動時には燃焼が行われておらず排気圧が低いため、ターボチャージャが必要な掃気圧を発生させることができない。そのため、前回の運転停止時にシリンダボア内に残留した既燃焼ガスや、今回の初回の燃焼によって発生した既燃焼ガスをシリンダボア外に確実に排出することができず、その後の燃焼が不安定になるという問題が生じる。また、回転が不十分なターボチャージャのコンプレッサが吸気通路における抵抗となり、吸気が阻害される。
本発明は、以上の背景に鑑みてなされたものであって、ターボチャージャを備えたユニフロー2サイクルエンジンにおいて、始動時の燃焼を良好にすることを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明は、ユニフロー式2サイクルエンジン(1)であって、シリンダボア(8)に連通し、ピストン(14)によって開閉される掃気孔(19)と、前記掃気孔に連通した吸気通路(64)と、前記シリンダボアに連続した燃焼室(22)に連通し、排気弁(31)によって開閉される排気通路(69)と、前記排気通路に設けられたタービン(81)及び前記吸気通路に設けられたコンプレッサ(82)を備えたターボチャージャ(80)と、前記吸気通路における前記コンプレッサよりも上流側と下流側とを連通するバイパス通路(72)と、前記バイパス通路を開閉するバイパス弁(73)と、前記排気弁を開くタイミングを変化させる排気弁位相可変手段(50)と、クランクシャフトを回転させるモータ(91)とを有し、通常運転時に、前記掃気孔が開かれた期間と一部が重なる第1のタイミングで前記排気弁が開かれ、エンジン始動時に、前記バイパス弁が開かれると共に、前記掃気孔が閉じた後の第2のタイミングで前記排気弁が開かれ、前記モータによって前記クランクシャフトが回転されることを特徴とする。
この構成によれば、エンジンの始動時のモータによるクランキング時において、バイパス通路が開かれるため、吸気はコンプレッサを迂回してシリンダボアへと流れることができる。そして、掃気孔が閉じた後の第2のタイミングに排気弁が開かれるため、掃気孔が閉じた後から排気弁が開くまでの期間にシリンダボア内のガスがピストンの上昇によって圧縮され、排気弁が開くと共に排気通路へと押し出される。これにより、シリンダボア内に残留した前回の運転停止時の既燃焼ガス等が排気通路に排出され易くなり、シリンダボア内が新気で満たされ、着火及び燃焼が安定する。また、排気通路のガス圧が上昇することによって、タービンの回転数が上昇し、コンプレッサによる掃気が可能になり、既燃焼ガスの排出が確実になる。
また、上記の発明において、ユニフロー式2サイクルエンジンは、前記排気通路の前記タービンよりも上流に設けられ、前記排気通路内のガス圧を検出するガス圧センサ(88)を更に有し、前記エンジン始動時に、前記ガス圧センサの検出値が所定値以上になった場合にターボチャージャによる掃気が可能になったとして、前記バイパス弁を閉方向に変化させると共に、前記排気弁の開位相を前記第2のタイミングから前記第1のタイミングに変化させるとよい。
この構成によれば、ガス圧センサが検出した排気通路内のガス圧に基づいて、ターボチャージャによる掃気を開始することができる。
また、上記の発明において、ユニフロー式2サイクルエンジンは、前記バイパス弁を閉方向に変化させると共に、前記排気弁の開位相を前記第2のタイミングから前記第1のタイミングに変化させた後に、前記燃焼室内にインジェクタにより燃料噴射を行うと共に点火プラグによる着火を行うとよい。
この構成によれば、ターボチャージャによる掃気が可能になり、シリンダボア内が新気で満たされた後に燃料の噴射及び点火を行うことによって、安定した燃焼が開始される。また、燃焼が不安定となる状態での燃料噴射を抑制することによって燃料の節約が図れると共に、排気通路への未燃焼燃料の放出が避けられる。
以上の構成によれば、ターボチャージャを備えたユニフロー2サイクルエンジンにおいて、始動時の燃焼を良好にすることができる。
以下、図面を参照して、本発明を自動車の内燃機関に適用した実施形態について詳細に説明する。
図1は、実施形態に係る内燃機関1を示す構成図である。図1に示すように、内燃機関1は、ユニフロー式2サイクルエンジンであり、シリンダブロック3と、シリンダブロック3の上部に設けられたシリンダヘッド4と、シリンダヘッド4の上部に設けられたヘッドカバー5と、シリンダブロック3の下部に設けられたオイルパン6とを有している。
シリンダブロック3の上部には、上端面に開口するシリンダボア8が形成されている。シリンダブロック3の下部は、下方に向けて開口したクランクケース9を形成している。クランクケース9の下部には、開口を閉じるようにオイルパン6が接合されている。クランクケース9の内側は、クランク室11を形成している。クランク室11には、シリンダボア8の下端が連通している。クランクケース9にはクランクシャフト12が回転可能に支持されている。シリンダボア8には、シリンダボア8の軸線方向に沿って摺動可能にピストン14が受容されている。ピストン14は、コネクティングロッド15を介してクランクシャフト12に連結されている。
シリンダブロック3のシリンダボア8の周囲には、シリンダボア8を囲むように環状の掃気室18が形成されている。シリンダボア8と掃気室18とは、複数の掃気孔19によって連通している。複数の掃気孔19は、シリンダボア8の周方向に沿って、互いに等間隔となるように配置されている。また、各掃気孔19は、ピストン14が所定の位置より下死点側に位置するときに、シリンダボア8と掃気室18とを連通し、ピストン14が所定の位置より上死点側に位置するときにピストン14の側部(スカート部)によって閉塞され、シリンダボア8と掃気室18との連通が遮断される位置に設けられている。
シリンダヘッド4は、シリンダブロック3の上端面に接合されている。シリンダヘッド4は、シリンダボア8の上端に対向する部分に燃焼室凹部21が凹設されている。燃焼室凹部21は、ピストン14の頂部との間に燃焼室22を形成する。シリンダヘッド4には、燃焼室22に先端が臨むようにインジェクタ24及び点火プラグ25が設けられている。
燃焼室凹部21には、排気ポート27の一端が開口している。排気ポート27は他端側がシリンダヘッド4の一側の側部へと延びて開口している。排気ポート27の数は、適宜変更してよい。
排気ポート27と燃焼室凹部21との境界には、排気ポート27を開閉する排気弁31が設けられている。排気弁31は、ポペット弁であり、バルブスプリング33によって閉位置に付勢されている。排気弁31は動弁機構35によって開閉駆動される。
動弁機構35は、シリンダヘッド4に回転可能に支持されたカムシャフト41と、シリンダヘッド4に支持されたロッカシャフト42と、ロッカシャフト42に回転可能に支持されたロッカアーム43と、カムシャフト41の端部に設けられたカム位相可変装置(VTC、排気弁位相可変手段)50を有している。
カム位相可変装置50は、公知のカム位相可変装置であってよく、カムシャフト41の端部に一体に結合されたカム側部材と、カム側部材に対して同軸に相対回転可能に設けられたクランク側部材と、カム側部材とクランク側部材との相対回転位置を変更する駆動装置とを有してよい。駆動装置は、例えば油圧装置や電動モータであってよい。クランク側部材は、タイミングチェーン等の駆動伝達部材によってクランクシャフト12に連結され、クランクシャフト12と同位相で回転する。駆動装置がクランク側部材に対するカム側部材の回転位相を変化させることによって、カムシャフト41のクランクシャフト12に対する回転位相が変化する。
本実施形態では、カム位相可変装置50は、カムシャフト41の端部に同軸に一体に結合されたロータ(カム側部材)51と、ロータ51を所定の角度範囲で回転可能に同軸に受容するハウジング(クランク側部材)52と、ハウジング52の外周部に設けられたスプロケット53と、スプロケット53とクランクシャフト12に設けられたクランクスプロケット(不図示)とに架け渡されたタイミングチェーン54とを有している。ハウジング52には油室56が形成され、ロータ51には径方向突出して油室56に突入し、油室56を区画するベーン57が突設されている。ベーン57と油室56の一側の端壁との間には、ベーン57を油室56の他側の端壁へと付勢する圧縮コイルばねであるばね58が介装されている。ばね58によって、ロータ51及びカムシャフト41は常時、最遅角位置に付勢されている。油圧装置59によって、ベーン57に区画された各油室56に選択的にオイルが供給されると、ばね58の付勢力に抗してロータ51及びカムシャフト41がハウジング52に対して回転し、クランクシャフト12に対する位相を変化させる。油圧装置59は、例えばクランクシャフト12の回転に応じて回転されるオイルポンプ(不図示)を備える。
カムシャフト41は、自身に設けられたカム44でロッカアーム43を所定のタイミングで押し、カムシャフト41に駆動されたロッカアーム43は、バルブスプリング33の付勢力に抗して排気弁31を開方向に押す。これにより、排気弁31が開かれ、燃焼室22と排気ポート27とが連通する。このように、動弁機構35は、排気カムシャフトの回転に応じた所定のタイミングで排気弁31を開く。
カム位相可変装置50を備えた動弁機構35は、クランクシャフト12に対して排気弁31の開くタイミングを変化させることができる。図2は、実施形態に係る内燃機関1の排気弁31を開くタイミングを示す説明図である。図2に示すように、ユニフロー2サイクルエンジンである内燃機関1は、クランクシャフト12の1回転(360°)で1周期が完結し、燃焼はピストン14が上死点(TDC)に位置するときに行われる。ピストン14の下降によって掃気孔19が開かれる期間を掃気工程とすると、掃気工程はピストン14が下死点(BDC)に位置するクランク回転角が180°の位置を中央として前後に同じ角度範囲を有する。
排気弁31は、第1のタイミング(最進角状態)と第2のタイミング(最遅角状態)との間で、カム位相可変装置50によって連続的に開くタイミングを変更することができる。第1のタイミング(最進角状態)は、掃気孔19が開かれた期間と一部が重なる。詳細には、第1のタイミングでは、排気弁31は、ピストン14が上死点から下死点へと下降するときであって、掃気孔19が開かれる前に開かれ、ピストン14が下死点を通過した直後であって、掃気孔19が閉となる前に閉じられる。
第2のタイミング(最遅角状態)では、排気弁31は、掃気孔19が閉じられた後、すなわち掃気工程の後に開閉される。詳細には、第2のタイミングでは、排気弁31は、ピストン14が下死点から上死点へと上昇するときであって、掃気孔19が閉じられた後に開かれ、ピストン14が上死点に達する前に閉じられる。
なお、上記の排気弁31の開かれている期間には、排気弁31の緩衝曲線部に起因するリフトを考慮しないものとする。例えば、第2のタイミングでは、排気弁31の緩衝曲線部に起因する開き始めのリフトは、掃気孔19が閉じられる前に発生してもよいし、排気弁31の緩衝曲線部に起因する閉じ終わりのリフトは、上死点を超えて発生してもよい。
図1に示すように、シリンダブロック3には、掃気室18から外面へと延びる吸気ポート61が形成されている。シリンダブロック3の外面には、吸気ポート61と連通するように吸気管62の下流端が接合されている。吸気管62の上流端は吸気入口63を構成する。吸気管62の内側の通路、吸気ポート61、及び掃気室18は吸気通路64を構成し、掃気孔19を介してシリンダボア8と連通している。
シリンダヘッド4には、排気ポート27と連通するように排気管66の上流端が接合されている。排気管66の経路上には、上流側から排気浄化装置67、マフラー(不図示)が設けられ、排気管66の下流端は排気出口68を構成する。排気ポート27及び排気管66の内側の通路は、排気通路69を構成し、上流端が排気弁31を介して燃焼室22に連通している。排気浄化装置67は、酸化触媒や還元触媒等を含み、酸化や還元によって排気ガス中の炭化水素、一酸化炭素、窒素酸化物等を除去する装置である。本実施形態では、排気浄化装置67は三元触媒を含む。
排気管66の経路上にはターボチャージャ80のタービン81が設けられ、吸気管62の経路上にはターボチャージャ80のコンプレッサ82が設けられている。タービン81内にはタービンブレード84が回転可能に配置され、コンプレッサ82内にはコンプレッサブレード85が回転可能に配置され、タービンブレード84とコンプレッサブレード85とはシャフト86によって連結されている。これにより、タービン81によって駆動されるコンプレッサ82が構成されている。
吸気管62には、コンプレッサ82を迂回するようにバイパス管71が設けられている。バイパス管71の内側に形成されるバイパス通路72は、その一端(上流端)が吸気通路64のコンプレッサ82よりも吸気入口63側(上流側)に連通し、その他端(下流端)が吸気通路64のコンプレッサ82よりも吸気ポート61側(下流側)に連通している。バイパス管71には、バイパス通路72の開度(流路断面籍)を連続的に変更可能なバイパス弁73が設けられている。バイパス弁73は、バタフライ弁等の公知の弁であってよい。
排気管66のタービン81よりも上流側には、その内側のガス圧を検出するガス圧センサ88が設けられている。
内燃機関1のクランクシャフト12は、電動モータ91の回転軸に連結されている。電動モータ91は、ハイブリッド車両において駆動源として使用されるものであってよい。クランクシャフト12と電動モータ91の回転軸との間にはクラッチが設けられてもよい。
自動車の適所には、イグニッションスイッチ93が設けられている。イグニッションスイッチ93は、内燃機関1を始動する際に運転者が操作するスイッチであり、操作された際に信号を出力する。
自動車には、内燃機関1を制御するECU100が設けられている。ECU100は、マイクロプロセッサや、ROM、RAM等を集積したLSIデバイスや組み込み電子デバイスとして構成される。ECU100には、イグニッションスイッチ93及びガス圧センサ88からの信号が入力される。ECU100は、バイパス弁73及びカム位相可変装置50を制御する。
図3を参照して、ECU100による制御について説明する。図3は、実施形態に係る内燃機関1の始動制御を示すフロー図である。ECU100に、イグニッションスイッチ93からの操作信号が入力されると、ECU100は、図3に示す内燃機関始動制御を実行する。
最初に、S1でECU100は、バイパス弁73の開度を全開にするためにバイパス弁73を駆動制御すると共に、排気弁31の開期間を第2のタイミングにするためにカム位相可変装置50の油圧装置59を制御する。なお、本実施形態では、カム位相可変装置50は、ばね58に付勢され、初期位置において最遅角位置に維持され、排気弁31の開期間は第2のタイミングになっている。続いて、S2でECU100は電動モータ91を回転させるために電動モータ91を駆動制御する。
S1でのECU100によるバイパス弁73の制御によって、バイパス通路72が開かれ、吸気入口63から掃気孔19へターボチャージャ80のコンプレッサ82を迂回した流路が確保される。そして、S2でのECU100による電動モータ91の駆動制御によって、電動モータ91の回転軸に連結されたクランクシャフト12が回転され、ピストン14がシリンダボア8内を往復運動する。ピストン14がシリンダボア8内を往復運動すると、吸気通路及びバイパス通路72を通してシリンダボア8及び燃焼室22内に空気が吸い込まれると共に、排気弁31が開いた際に排気通路69に排気が吐き出される。このとき、S1でのECU100によるカム位相可変装置50の制御によって、排気弁31は掃気孔19が閉じられた後に開かれる第2のタイミングに開かれる。そのため、掃気孔19が開かれたときにシリンダボア及び燃焼室22内に吸い込まれた空気は、掃気孔19が閉じられた後から排気弁31が開くまでの間にピストン14の上昇によって圧縮される。これにより、排気弁31が開くと、シリンダ8及び燃焼室22内に残留した前回の運転停止時の既燃焼ガスが排気通路69へと流れ易くなる。
また、排気弁31が開くと、圧縮された空気が排気通路69へと流れ、排気通路69のガス圧が上昇し、タービン81が駆動される。電動モータ91の回転数が上昇すると、それに応じてピストン14の往復動の速度が上昇し、空気の吸い込み及び吐き出しが促進され、排気通路69内のガス圧が増大する。これにより、タービン81及びタービン81に連結されたコンプレッサ82が駆動される。
ステップS3では、ECU100は、圧力センサからの検出信号に基づいて、排気通路69内のガス圧が所定の閾値Ps以上になったか否かを判定する。閾値Psは、タービン81を回転させ、コンプレッサ82による昇圧が掃気のために必要な最低限の圧力となるときの値として設定される。すなわち、ガス圧が閾値Ps以上になると、タービン81の回転速度が所定値以上になり、コンプレッサ82が掃気を行うために最低限の掃気圧を生じることができる。
S3での判定において、排気通路69内のガス圧が所定の閾値Ps未満の場合(No)、排気通路69内のガス圧が閾値Ps以上となるまで、S3の判定を繰り返す。電動モータ91は始動直後、停止状態から時間の経過と共に回転数が増大するため、S3の判定は時間の経過に応じて比較的早期にYesになる。
S3での判定において、排気通路69内のガス圧が所定の閾値Ps以上の場合(Yes)、ECU100は、S4において、バイパス弁73の開度を全閉にするためにバイパス弁73を駆動制御する。同時に、ECU100は、排気弁31の開期間を第1のタイミングにするためにカム位相可変装置50の油圧装置59を駆動制御する。油圧装置59は、油室56にオイルを供給し、ばね58の付勢力に抗してハウジング52に対してロータ51を回転させ、クランクシャフト12に対するロータ51及びカムシャフト41の位相を最進角位置に移動させる。なお、油圧装置59のオイルポンプをクランクシャフト12によって駆動する構成とした場合でも、クランクシャフト12は電動モータ91に回転されているため、油圧装置59は油圧を発生させることができる。
S4でのECU100によるバイパス弁73の制御によって、バイパス通路72が閉じられ、吸気は吸気入口63からコンプレッサ82を通って掃気孔19へと流れるようになる。このとき、排気通路69のガス圧が閾値Ps以上となっているため、コンプレッサ82は掃気に必要な掃気圧を生じることができる。また、ECU100によるカム位相可変装置50の制御によって、排気弁31は掃気孔19が開かれている期間に開かれる進角状態になっているため、コンプレッサ82による掃気圧により、シリンダボア8及び燃焼室22のガスが排気通路69に掃気されるようになる。これにより、シリンダボア8内及び燃焼室22内に前回の運転停止時に生じた既燃焼ガスが排気通路69へと排出され、シリンダボア8及び燃焼室22内が新気で満たされるようになる。この状態で、点火による燃焼開始が可能になる。
続いて、ECU100は、S5において、燃料噴射を開始するためにインジェクタ24を駆動制御すると共に、点火を開始するために点火プラグ25を駆動制御する。これにより、燃焼が開始される。
以上の構成によれば、ユニフロー式2サイクルエンジンである内燃機関1において、ターボチャージャ80を過給機として使用することができる。内燃機関1の始動時、すなわちクランキング時に、バイパス通路72を開くことによって、コンプレッサ82を迂回した空気の流路が形成され、シリンダボア8の往復運動によってシリンダボア8内に空気が吸入される。内燃機関1の始動時には排気通路69内のガス圧が低いために、ターボチャージャ80は掃気を十分に行えないだけでなく、コンプレッサ82が吸気の流路抵抗となることが懸念されるが、バイパス通路72を開くことでコンプレッサ82が吸気の抵抗となることがなくなる。
また、排気弁31が、掃気孔19が閉じられた後の第2のタイミングで開かれるため、シリンダボア8及び燃焼室22内のガスは、ピストン14の上昇によって圧縮される。そのため、排気弁31が開かれた際に、排気通路69に加圧されたガスが流れ、タービン81の駆動(タービンブレード84の回転)が促進される。これにより、コンプレッサ82の駆動が促進され、ターボチャージャ80による掃気が可能になる。排気通路69のガス圧を一層増大させたい場合には、掃気孔19が閉じられたときから排気弁31が開かれるまでの期間を長くするとよい。掃気孔19が閉じられたときから排気弁31が開かれるまでの期間を長くするほど、シリンダボア8及び燃焼室22内のガスの圧縮量が大きくなるため、排気弁31が開かれた際に排気通路69のガス圧が増大する。
ターボチャージャ80による掃気が可能か否か、すなわちターボチャージャ80による掃気圧がシリンダボア8及び燃焼室22内のガスを十分に排出することができる圧力に達したか否かは、排気通路69に設けられたガス圧センサ88の検出値、すなわち排気通路69内のガス圧に基づいて判断される。排気通路69内のガス圧に応じてタービン81の回転数が増大するため、コンプレッサ82の回転数に応じて増大する掃気圧を排気通路69内のガス圧から掃気に必要な値に達したか否かを判断することができる。
ガス圧センサ88の検出値、すなわち排気通路69内のガス圧に基づいて、ターボチャージャ80による掃気が可能と判断された後は、バイパス弁73を閉じる方向に制御することによって、コンプレッサ82を通過する空気量がより増大する。同時に、カム位相可変装置50を制御して排気弁31を第1タイミングで開くことによって、掃気孔19と排気弁31とが共に開かれる期間が設定されるため、ターボチャージャ80による掃気が行われるようになる。これにより、シリンダボア8及び燃焼室22内に残留した既燃焼ガスが確実に排出され、シリンダボア8及び燃焼室22内が新気で満たされるようになる。これにより、燃焼が安定する。
ターボチャージャ80による掃気が開始され、シリンダボア8及び燃焼室22内が新気で満たされた後にインジェクタ24による燃料の噴射を開始し、同時に点火プラグ25による点火を開始することによって、安定した燃焼が開始される。また、シリンダボア8及び燃焼室22内に既燃焼ガスが残留している可能性がある状態でのインジェクタ24による燃料噴射を抑制することによって燃料の節約が図れると共に、排気通路69への未燃焼燃料の放出が避けられる。
本実施形態に使用される電動モータ91は、ハイブリッド車等において駆動用に使用されるモータを兼用することができるため、別途モータを設ける必要がない。なお、他の実施形態では、電動モータ91に従来のクランキングにおいて使用されるスタータモータを適用してもよい。
内燃機関1の始動が完了した通常状態では、バイパス弁73の開度を制御することによって、バイパス通路72及びコンプレッサ82を流れるガス量を変更し、掃気圧を変更することができる。
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。例えば、上記の実施形態ではガス圧センサ88の検出値に基づいて、ターボチャージャ80が掃気可能な状態であるか否かを判断したが、他の手法によっても判断することができる。例えば、イグニッションスイッチ93が操作されてからの経過時間を計測し、経過時間が所定時間に達したときに、ターボチャージャ80が掃気可能な状態であると判断してもよい。また、クランクケース9にクランクシャフト12の回転角を検出するクランク角センサ95を設け、クランク角センサ95の検出値であるクランク角を微分することによってエンジン回転数を演算し、エンジン回転数が所定値(例えば、1000rpm)に達したときに、ターボチャージャ80が掃気可能な状態であると判定してもよい。
上記実施形態では、排気弁位相可変手段の一例として公知のカム位相可変手段(VTC)を適用したが、他の構成に代替してもよい。例えば、排気弁31をソレノイドによって開閉駆動する場合には、ソレノイドに印加する電圧の位相を変化させることによって、排気弁31を開くタイミングを変更してもよい。
1…内燃機関、3…シリンダブロック、4…シリンダヘッド、8…シリンダボア、12…クランクシャフト、14…ピストン、18…掃気室、19…掃気孔、22…燃焼室、24…インジェクタ、25…点火プラグ、27…排気ポート、31…排気弁、35…動弁機構、41…カムシャフト、50…カム位相可変装置(排気弁位相可変手段)、51…ロータ、52…ハウジング、53…スプロケット、54…タイミングチェーン、59…油圧装置、61…吸気ポート、62…吸気管、64…吸気通路、66…排気管、68…排気出口、69…排気通路、71…バイパス管、72…バイパス通路、73…バイパス弁、80…ターボチャージャ、81…タービン、82…コンプレッサ、88…ガス圧センサ、91…電動モータ、93…イグニッションスイッチ、95…クランク角センサ、100…ECU
Claims (3)
- ユニフロー式2サイクルエンジンであって、
シリンダボアに連通し、ピストンによって開閉される掃気孔と、
前記掃気孔に連通した吸気通路と、
前記シリンダボアに連続した燃焼室に連通し、排気弁によって開閉される排気通路と、
前記排気通路に設けられたタービン及び前記吸気通路に設けられたコンプレッサを備えたターボチャージャと、
前記吸気通路における前記コンプレッサよりも上流側と下流側とを連通するバイパス通路と、
前記バイパス通路を開閉するバイパス弁と、
前記排気弁を開くタイミングを変化させる排気弁位相可変手段と、
クランクシャフトを回転させるモータとを有し、
通常運転時に、前記掃気孔が開かれた期間と一部が重なる第1のタイミングで前記排気弁が開かれ、エンジン始動時に、前記バイパス弁が開かれると共に、前記掃気孔が閉じた後の第2のタイミングで前記排気弁が開かれ、前記モータによって前記クランクシャフトが回転されることを特徴とすることを特徴とするユニフロー式2サイクルエンジン。 - 前記排気通路の前記タービンよりも上流に設けられ、前記排気通路内のガス圧を検出するガス圧センサを更に有し、
前記エンジン始動時に、前記ガス圧センサの検出値が所定値以上になった場合にターボチャージャによる掃気が可能になったとして、前記バイパス弁を閉方向に変化させると共に、前記排気弁の開位相を前記第2のタイミングから前記第1のタイミングに変化させることを特徴とする請求項1に記載のユニフロー式2サイクルエンジン。 - 前記バイパス弁を閉方向に変化させると共に、前記排気弁の開位相を前記第2のタイミングから前記第1のタイミングに変化させた後に、前記燃焼室内にインジェクタにより燃料噴射を行うと共に点火プラグによる着火を行うことを特徴とする請求項2に記載のユニフロー式2サイクルエンジン。
Priority Applications (1)
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JP2013084931A JP2014206127A (ja) | 2013-04-15 | 2013-04-15 | ユニフロー式2サイクルエンジン |
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JP2013084931A JP2014206127A (ja) | 2013-04-15 | 2013-04-15 | ユニフロー式2サイクルエンジン |
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ID=52119872
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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EP3263864A4 (en) * | 2015-02-27 | 2018-01-03 | Mitsubishi Heavy Industries, Ltd. | Engine start-up device, start-up method, and ship equipped with start-up device |
JP2020200831A (ja) * | 2019-06-13 | 2020-12-17 | エムエーエヌ・エナジー・ソリューションズ・フィリアル・アフ・エムエーエヌ・エナジー・ソリューションズ・エスイー・ティスクランド | 大型2ストロークユニフロー掃気ガス燃料エンジン、及び、燃焼室の状態を制御する方法 |
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2013
- 2013-04-15 JP JP2013084931A patent/JP2014206127A/ja active Pending
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JP7000501B2 (ja) | 2019-06-13 | 2022-01-19 | エムエーエヌ・エナジー・ソリューションズ・フィリアル・アフ・エムエーエヌ・エナジー・ソリューションズ・エスイー・ティスクランド | 大型2ストロークユニフロー掃気ガス燃料エンジン、及び、燃焼室の状態を制御する方法 |
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