JP4364423B2 - 成膜装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は成膜装置に関する。さらに詳しくは、イオンプレーティング等によって基材に膜を形成(成膜)するための成膜装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、イオンプレーティングの装置としては、特公平1−48347号公報に記載された装置が知られている。この装置は真空チャンバ内に成膜対象基材を保持する基材ホルダおよび膜材料を蒸発させる蒸発源を有しており、基材ホルダが電極を構成している。そして、基材ホルダとチャンバの内壁との間、または、基材ホルダと蒸発源との間に高周波電力および直流電圧を印加するための高周波電源および直流電源等を備えている。
【0003】
そして、膜材料を蒸発させるとともに、基材ホルダとチャンバの内壁との間、または、基材ホルダと蒸発源との間に高周波電力および直流電圧を印加することにより、蒸発した膜材料をイオン化および励起して基材に付着させる。
【0004】
かかる装置によって基材に形成される膜のうち、金属酸化物からなる薄膜は物理的な強度に優れており、ガラス等からなる基板の表面の保護層等として用いられる。その他にも、ディスプレイデバイス用のガラス基板の保護層として形成されるものがある。とくに、ガス中での放電によって発光動作させるプラズマディスプレイパネルの保護層では、放電ガス中のイオンの衝撃に対する耐スパッタ性が要求される。耐スパッタ性は膜の性状に大きく依存するため、この要求を満足するためには膜の組織が緻密に形成されていること、すなわち高品質な膜質を有していることが必要である。すなわち、膜と基板との界面から膜の表面の方向に延びるように成長した柱状組織の一つを単位とし、かかる柱状組織が多数充填された構造に形成すること、換言すれば、この柱状組織の数密度を大きくすることが必要である。このためには膜の形成初期の段階で十分に緻密な組織となっている必要がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の成膜装置によってこのような緻密な組織の膜を形成しようとすると、成膜速度を遅くする必要があるので所定の膜厚にまで組織を成長させるのに十分に長い時間がかかる。結果的に生産効率が低下してしまう。また、膜の形成速度をコントロールすることはやっかいな作業である。
【0006】
本発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、基材表面に対する膜の形成過程の初期段階において十分に緻密な組織とするように連続的に成膜することができる成膜装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかる成膜装置は、その内部に高周波電界が生じうる成膜用真空容器と、該成膜用真空容器内に形成されたプラズマ生成空間および成膜対象基材の搬送空間と、成膜対象基材を搬送するための搬送装置と、プラズマ生成空間内に配設された膜材料を含む蒸発源と、上記プラズマ生成空間と搬送空間との間に配設された、蒸発膜材料通過スリットが開口された境界壁とを備えており、上記蒸発膜材料通過スリットが、成膜対象基材の進行方向に沿って上流側から順に配設された小面積の第一スリットと大面積の第二スリットとから構成されている。
【0008】
この成膜装置によれば、小面積の第一スリットを通過する蒸発膜材料による膜形成は緩やかに行われ、大面積の第二スリットを通過する蒸発膜材料による膜形成は相対的に速く行われる。その結果、第一スリットによって膜の形成初期の段階で十分に緻密な組織が得られる。ついで、第二スリットによって従来と変わらない通常の速度で膜が形成されるが、基材の表面に接した初期形成組織が十分に緻密に整列した結晶であるため、そこから成長する結晶によって従来に較べると緻密に整列した組織が得られる。このように形成された膜は従来の膜に較べると結晶性がよくなるのでその膜質が大幅に向上する。
【0009】
そして、上記蒸発膜材料通過スリットが、第二スリットの下流側に小面積の第三スリットをさらに有してなる成膜装置にあっては、第三スリットによって膜形成の最終段階でさらに十分緻密な組織が得られるので、膜質が一層向上するので好ましい。
【0010】
また、上記蒸発膜材料通過スリットに、成膜対象基材の搬送方向に移動可能な調整板が配設されており、該調整板が移動することにより蒸発膜材料通過スリットの開口面積が変更されるように構成されてなる成膜装置にあっては、簡易な構成によって膜の形成速度を変更することができるので好ましい。この場合の小面積および大面積は調整板によって達成されるもの故、境界壁に形成された開口は全て同一面積であってもよい。
【0011】
また、上記成膜用真空容器内における搬送空間の上流側に、搬送空間と隔離および連通可能に配設されたイオンボンバード室を備えており、該イオンボンバード室が真空化可能であり且つその内部に高周波電界が生じるように構成されており、イオンボンバード室にプラズマソースガス供給装置が配設されてなる成膜装置にあっては、基材に対する成膜処理に先だってイオンボンバード処理を施して基材の表面を清浄にすることが可能となる。
【0012】
上記の本発明にかかる成膜装置であって、その成膜用真空容器に隣接して、それぞれが成膜用真空容器と隔離および連通可能に配設された真空化可能な成膜対象基材供給室および成膜対象基材送出室を備えており、上記搬送装置が、成膜対象基材を成膜対象基材供給室から成膜用真空容器を通して成膜対象基材送出室に搬送するように構成されてなる成膜装置にあっては、基材を順次基材供給室から成膜用真空容器を通して成膜しつつ基材送出室に送り出すことができる。いわゆるインライン式の成膜装置が実現する。
【0013】
また、前述した搬送装置が、成膜対象の基材を保持するための保持装置と、該保持装置を移動させて成膜用スリット上を通過させるための移動装置と、上記保持装置に高周波電力を供給するための給電装置とを備えており、上記保持装置が高周波電界を生じさせるための電極としての機能を有してなる成膜装置にあっては、保持装置が成膜対象の基材を成膜用スリット上を通過させるときに保持装置に給電されることによって高周波電界が生じるので(上記保持装置が電極として機能するので)、基材の成膜面にとって効果的な範囲にプラズマが生じるため、効率のよい成膜装置が実現する。
【0014】
なお、上記搬送装置としては以下のごとき種々の好ましい形態がある。
【0015】
第一に、保持装置が電極板とこの電極板の下面に成膜対象基材を把持するためのクランプとを有するもの。
【0016】
第二に、保持装置が、表面に電極が形成された成膜対象基材を保持するための装置であって、中央部に開口を有する枠状の電極部材を有しており、この開口部が、成膜対象基材における少なくとも成膜対象範囲であるもの。
【0017】
第三に、上記移動装置として、保持装置が載置される複数個のローラを採用し、このローラのうちの少なくとも一部を、保持装置を搬送する方向に回転する回転駆動ローラとして構成したもの。
【0018】
第四に、上記移動装置として、保持装置が移動可能に係合されるレールと、このレールに係合した保持装置に接続されて保持装置を移動させるワイヤとから構成したもの。
【0019】
第五に、上記給電装置が移動装置を通して保持装置に給電するように構成したもの。
【0020】
第六に、移動装置を通して保持装置に給電される上記搬送装置のうち、上記移動装置が前述のローラを用いた移動装置から構成されたものとしては、上記ローラのうち、成膜空間の範囲に配列された全ローラまたはこのうちの一部に給電されるように構成したものがある。または、移動装置を通して保持装置に給電される上記搬送装置のうち、上記移動装置がレールとワイヤとを用いた移動装置から構成されたものとしては、上記レールのうち、成膜空間の範囲に給電されるように構成したものがある。たとえば、レール全長のうちの成膜空間の範囲のみ導電性材料から形成する等である。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照しながら本発明の成膜装置の実施形態を説明する。
【0022】
図1に示すのは、複数の成膜対象基材(以下、単に基材という)Wを順次搬送しながら連続して各基材Wの表面に成膜するためのいわゆるインライン式の成膜装置1である。
【0023】
この成膜装置1は真空容器2を備えており、この内部には下部のプラズマ生成空間3と上部の基材搬送空間4とが形成されている。両空間3、4ともに真空に排気されるように構成されている。プラズマ生成空間3と基材搬送空間4との境界には、両空間3、4同士を連通する成膜用スリット5が開口された境界壁6が形成されている。成膜用スリット5は、プラズマ生成空間3で生じたプラズマ状の膜材料Mが通過して、基材搬送空間4を移動する基材Wに到達させるためのものである。
【0024】
また、上記プラズマ生成空間3には蒸発源7と電極8とが配設されており、基材搬送空間4には基材Wの搬送装置9と基材加熱用ヒータ10a、10bとが配設されている。蒸発源7は膜材料Mと、この膜材料Mを載置するための開放容器(以下、るつぼという)11と、るつぼ11上の膜材料Mを加熱して蒸発させるための電子銃12とから構成される。符号13はガス供給装置であり、必要に応じて反応ガス、プラズマ生成用ガス等を真空容器2内へ供給するためのものである。符号14は容器2内を真空にするための排気装置である。
【0025】
電極8は境界壁6の直下に配設されている。この電極8には、高周波電源15およびマッチング回路16並びに直流電源17が接続されている。これにより、電極8と真空容器2の内壁との間にプラズマを生成させる高周波電力および直流バイアス電圧が印加される。プラズマ中でイオン化した膜材料がバイアス電圧によって加速されて基材表面に付着する。
【0026】
図2には上記成膜用スリット5が示されている。成膜用スリット5は小面積の第一スリット51および第三スリット53並びに大面積の第二スリット52から構成されている。第一スリット51および第三スリット53と第二スリット52とは、その幅方向の寸法は同一にされているが、基材Wの搬送方向の寸法については第一スリット51および第三スリット53が小さく、第二スリット52が大きくされている。
【0027】
基材Wが基材搬送空間4を等速度で移動する場合は、この基材Wの表面に対して、小面積のスリット51、53を通過する蒸発膜材料による膜形成は緩やかに行われ、大面積のスリット52を通過する蒸発膜材料による膜形成は相対的に速く行われる。このように、基材Wの搬送速度、蒸発源等の制御に依ることなく膜の形成速度を複数段に変更することが可能となる。その結果、第一スリット51によって膜の形成初期の段階で十分に緻密な組織が得られる。ついで、第二スリット52によって従来と変わらない通常の速度で膜が形成されるが、基材W表面に接した初期形成組織が十分に緻密に整列した結晶であるため、そこから成長する結晶によって従来に較べると緻密に整列した組織が得られる。ついで第三スリット53によって膜形成の最終段階でさらに十分緻密な組織が得られる。
【0028】
このように形成された膜は従来の膜に較べると膜質が大幅に向上する。本発明ではとくに第三スリット53を設ける必要もなく高い膜質が得られるが、第三スリット53を設けることによって膜質が一層向上するので好ましい。たとえばプラズマディスプレイパネルとして用いる場合、保護膜の表面が特に高い耐スパッタ性を示すので膜の長寿命化を図ることができる。
【0029】
図3には異なる成膜用スリット60が示されている。この成膜用スリット60は、小面積の第一スリット61および第三スリット63並びに大面積の第二スリット62の全てについてその開口面積を変更することができるものである。各スリット61、62、63の幅寸法は同一であって変更できないが、長手方向(基材の搬送方向)の寸法が増減しうるようにされている。具体的には、各スリット61、62、63に対してその長手方向に摺動して開口を開閉しうる調整板71、72、73が配設されている。この構成により、各調整板71、72、73を個別に移動させて開口面積を変更する。この場合、三つのスリットを境界壁6に同一寸法で開口しておいてもよい。
【0030】
図1に示すように、基材Wの搬送方向でいう基材搬送空間4の上流側にはイオンボンバード室18が配設されている。イオンボンバード室18と基材搬送空間4との境界には、絶縁機能を有する開閉扉19が配設されている。イオンボンバード室18は独立して真空に排気されるように排気装置14に接続されている。イオンボンバード室18の内部には電極20およびガス供給装置21が配設されており、電極20には高周波電源22が接続されている。これにより、イオンボンバード室18を真空排気したあとにアルゴンまたは酸素等のプラズマソースガスを供給し、電極20とイオンボンバード室18の内壁との間に高周波電力を印加してプラズマを形成する。発生した正イオンを直流バイアス電圧によって加速して基板に衝突させ(イオンボンバード)、基材Wの表面の付着不純物などを除去する。
【0031】
イオンボンバード室18の上流側には基材供給室24が配設され、基材搬送空間4の下流側には基材送出室25が配設されている。基材供給室24とイオンボンバード室18との境界、および、基材搬送空間4と基材送出室25との境界には、それぞれ絶縁機能を有する開閉扉26、27が配設されている。両室24、25ともに個別に真空に排気されるように排気装置14に接続されている。
【0032】
かかる構成により、基材供給室24はそこに基材Wが搬入された後に真空にされ、その後扉26が開かれて基材Wがイオンボンバード室18に搬入され、扉26が閉止される。基材Wはイオンボンバード室18においてイオンボンバード処理された後、扉19が開かれて基材搬送空間4に搬入され、扉19が閉止される。基材搬送空間4において成膜が終了した基材Wは、既に真空状態にある基材送出室25との間の扉27が開かれたあとで基材送出室25に搬入される。その後、扉27が閉じられてから基材Wは基材送出室25から搬出される。かかる動作が連続してなされる。以上説明した連続処理工程における基材Wの搬送は搬送装置9によってなされる。
【0033】
図4に搬送装置の例が示されている。まず、基材搬送空間4内に基材Wの進行方向に沿って多数個のローラ29が配列されている。これらローラ29のうち、成膜用スリット5の範囲に配列されたローラ29bのみ左右両側に相互に間隔をおいて配列されている。このローラ29の各列に支持されるように無端ベルト30が掛け回されている。ローラ列の両端のローラ29aの一方または両方が回転駆動される駆動ローラである。イオンボンバード室18、基材供給室24および基材送出室25にも同様の搬送用のローラ29およびベルト30が配設されている。かかる構成により、基材Wはその左右両辺が両側のベルト30に載置されたうえで、ベルト30がイオンボンバード室18側から基材送出室25側へと回動することによって搬送される。成膜用スリット5の範囲における両側のベルト30同士の間隔およびローラ29同士の間隔は、上記基材Wの所定の膜形成範囲が確保されるような大きさとされている。なお、全てのローラ29を左右両側に相互に間隔をおいて配列してもよい。また、ベルト30を用いずに、全ローラ29、または、一個おきまたは二個おき等のローラを駆動ローラとして基材Wを搬送するようにしてもよい。
【0034】
本発明においてはベルト30とローラ29に限定されることはない。たとえば、図5に示すようにローラに代えて左右両側にレール31を敷設し、基材Wを載置するための枠状のトレイ32を上記レール31に移動可能に係合したものを用いてもよい。このトレイ32には基材Wの所定の膜形成範囲をカバーする開口33が形成されている。また、トレイ32は、イオンボンバード室18側および基材送出室25側に配設された図示しない駆動ローラに掛け回されたワイヤ35に接続されており、イオンボンバード室18側と基材送出室25側との間を往復動させられる。イオンボンバード室18、基材供給室24および基材送出室25には前述の搬送用のローラ29およびベルト30を配設しておけばよい。
【0035】
図1において、符号10a、10bは基材Wを加熱するためのヒータである。また、成膜用スリット5の上方のヒータ10aの下面に近接して、ヒータ10aを覆うようにヒータ防護部材40が配設されている。このヒータ防護部材40はアースされたメッシュから構成されており、プラズマを生成するときの高周波を遮断してヒータ10aを防護するものである。
【0036】
以上の実施形態では電極8が真空容器2内に固定されている。しかし、本発明はかかる構成に限定されない。電極は、成膜対象である基材Wの膜形成面側に有効なプラズマが生成されように高周波電界が生じるように配置され、また、イオン化された膜材料が上記膜形成面に向けて加速されて衝突し、膜形成面での拡散が促進するような直流電界が生じるように配置されるのが好ましい。
【0037】
斜め下方から見た図6には、かかる観点から良好に構成され且つ配置された電極41が示されている。すなわち、真空容器内に固定された電極ではない。図1の基材搬送空間4における電極8および搬送装置9に代えて以下のごとく電極機能を有する搬送装置を備えるものである。この電極41は基材Wを保持する保持装置としての機能を有しており、電極板部42とその下面に基材Wを把持するためのクリップ部43とを有している。クリップ部43によって自動的に基材が把持される。クリップ部43による基材Wの把持部分は成膜対象範囲外となるようにされている。この電極41は基材Wの進行方向に沿って配列された多数個のローラ29の上に載置されて搬送される。ローラ29の配列は、クリップ部43との干渉を避けるために基材Wの進行方向の左右両側に相互に間隔をおいて配列されているが、左右のローラ同士の間隔は図2におけると同様である。全ローラ29、または、一個おきまたは二個おき等のローラが駆動ローラとして基材Wを搬送するようにされている。
【0038】
図7に示すように、成膜用スリット5の両側に配列されたローラ29bの全て、または、そのうちのいずれか(たとえば、成膜用スリット5範囲の上流端および/または下流端)には給電用のシュー(給電シュー)44が弾力的に押圧する状態で配設されている。この給電シュー44には前述の高周波電源15およびマッチング回路16並びに直流電源17が接続されている。これによってローラ29bを通して上記電極41に給電される。この構成によれば、基材Wが成膜用スリット5に至ったときに基材Wの上方の電極板部42と真空容器2の内壁(またはるつぼ)との間に高周波電力および直流電圧が印加される。
【0039】
また、本発明においては電極41の搬送装置としてはローラ29bに限定されることはない。たとえば、図5に示したようにローラに代えて左右両側にレール31を敷設し、このレール31に電極41を移動可能に係合するようにしてもよい。そして、電極41に、イオンボンバード室18側および基材送出室25側に配設された図示しない駆動ローラに掛け回されたワイヤ35を接続し、イオンボンバード室18側と基材送出室25側との間を往復動させるようにすればよい。給電はレール31またはワイヤ35を通して行えばよい。レール31を通して給電する場合に、レール31を成膜用スリット5の範囲のみ導電材から形成しておけば、基材Wが成膜用スリット5に至ったときに電極板部42と真空容器2の内壁(またはるつぼ)との間に高周波電力および直流電圧が印加されることになる。
【0040】
図8には、基材自体に電極が形成されている基材、たとえばプラズマディスプレイパネルの前面板(以下、単に基材という)Pを搬送するための搬送装置45が示されている。この基材Pは、ガラス基板Paの表面に左右両辺から櫛歯形状の表示電極(透明電極)Ta、Tbが相互にかみ合うように形成されたものである。これらの透明電極Ta、Tbの上面にはバス電極としての金属電極(図示せず)が形成されている。この搬送装置45は基材Pの上記電極Ta、Tbを利用して高周波電力および直流電圧を印加するものである。
【0041】
この搬送装置45は、基材Pを載置するための枠状のトレイ46と、基材Pの進行方向に沿って配列された多数個のローラ29とから構成されている。ローラ29のうち、成膜用スリット5の範囲に配列されたローラ29bのみ左右両側に相互に間隔をおいて配列されている。トレイ46はその左右両辺が両側のローラ29の上に載置されて搬送される。トレイ46には、その上に載置される基材Pの所定の膜形成範囲をカバーする開口47が形成されている。また、左右のローラ29b同士の間隔等は図4および図6におけると同様である。全ローラ29、または、一個おきまたは二個おき等のローラが駆動ローラとして基材Wを搬送するようにされている。そして、成膜用スリット5の両側に配列されたローラ29bの全て、または、そのうちのいずれかには前述の給電シュー44(図7)が弾力的に押圧する状態で配設されている。この給電シュー44には前述の各電源等15、16、17が接続されている。したがって、上記トレイ46は、給電されたローラに接触すれば電極部材となる。
【0042】
したがって、基材Pをトレイ46上に載置すれば基材Pの電極Ta、Tbがトレイ46と接触しているので、このトレイ46が成膜用スリット5に至って給電されているローラ29bに達すると基材Pと真空容器2の内壁(またはるつぼ)との間に高周波電力および直流電圧が印加される。
【0043】
本発明においては上記ローラ29に限定されることはない。
【0044】
たとえば、図9に示すようにローラに代えて左右両側にレール31を敷設し、各レール31にクランプ部材または載置部材48を移動可能に配設したものを用いてもよい。なお、図9では基材Pがその短手方向に搬送される場合を例に取っている。基材Pはその両辺の電極Ta、Tbが載置部材48に接触するように載置される。両載置部材48は、イオンボンバード室18側および基材送出室25側に配設された図示しない駆動ローラに掛け回されたワイヤ35に接続され、イオンボンバード室18側と基材送出室25側との間を往復動させられる。
【0045】
いずれにしても、基材Pの電極を効果的に利用することができる。
【0046】
以上説明した電極機能を有する搬送装置は、基材搬送空間4における成膜用スリットの範囲で給電されるように構成されている。しかし、イオンボンバード室18内においてもこの電極機能を有する搬送装置を用いることは可能である。そして、イオンボンバード室18内においてもこの搬送装置に給電するようにすればよい。かかる構成によればイオンボンバード室18に固設された電極20は不要となる。
【0047】
【発明の効果】
本発明によれば、膜の形成過程の初期段階において十分に緻密な組織とするように連続的に成膜することができる。とくに酸化マグネシウム(MgO)のように成膜初期の膜が薄い状態において結晶化しにくい膜材料に対しては有効である。MgOに限らず、融点が高い酸化金属、たとえば酸化珪素(SiO2)、二酸化チタン(TiO2)酸化アルミニウム(Al25)なども結晶化しにくいため、これらの膜を形成する場合も有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の成膜装置の一実施形態を示す断面図である。
【図2】図1の成膜装置における成膜用スリットの一例を示す斜視図である。
【図3】図1の成膜装置における成膜用スリットの他の例を示す斜視図である。
【図4】本発明の成膜装置の他の実施形態における搬送装置の一実施形態を示す斜視図である。
【図5】本発明の搬送装置の他の実施形態を示す斜視図である。
【図6】本発明の搬送装置のさらに他の実施形態を示す、斜め下方から見た斜視図である。
【図7】図4のIIV−IIV線断面図である。
【図8】本発明の搬送装置のさらに他の実施形態を示す平面図である。
【図9】本発明の搬送装置のさらに他の実施形態を示す平面図である。
【符号の説明】
1 成膜装置
2 真空容器
3 プラズマ生成空間
4 基材搬送空間
5 成膜用スリット
51 第一スリット
52 第二スリット
53 第三スリット
6 境界壁
7 蒸発源
8 電極
9 搬送装置
10a、10b 基材加熱用ヒータ
11 るつぼ
12 電子銃
13 ガス供給装置
14 排気装置
15 高周波電源
16 マッチング回路
17 直流電源
18 イオンボンバード室
19 開閉扉
20 電極
21 ガス供給装置
22 高周波電源
24 基材供給室
25 基材送出室
26、27 扉
29 ローラ
29a 駆動ローラ
29b 両側ローラ
30 ベルト
31 レール
32 トレイ
33 開口
34 膜材料供給装置
35 ワイヤ
40 ヒータ防護部材
41 電極
42 電極板部
43 クリップ部
44 給電シュー
45 搬送装置
46 トレイ
47 開口
40 ガス供給装置
41 排気装置
60 成膜用スリット
61 第一スリット
62 第二スリット
63 第三スリット
71、72、73 調整板
P、W 基材

Claims (6)

  1. その内部に高周波電界が生じうる成膜用真空容器と、該成膜用真空容器内に形成されたプラズマ生成空間および成膜対象基材の搬送空間と、成膜対象基材を搬送するための搬送装置と、プラズマ生成空間内に配設された膜材料を含む蒸発源と、上記プラズマ生成空間と搬送空間との間に配設された、蒸発膜材料通過スリットが開口された境界壁とを備えており、
    上記蒸発膜材料通過スリットが、成膜対象基材の進行方向に沿って上流側から順に配設された小面積の第一スリットと大面積の第二スリットとから構成されてなる成膜装置。
  2. 上記蒸発膜材料通過スリットが、第二スリットの下流側に小面積の第三スリットをさらに有してなる請求項1記載の成膜装置。
  3. 上記蒸発膜材料通過スリットに、成膜対象基材の搬送方向に移動可能な調整板が配設されており、該調整板が移動することにより蒸発膜材料通過スリットの開口面積が変更されるように構成されてなる請求項1記載の成膜装置。
  4. 上記成膜用真空容器内における搬送空間の上流側に、搬送空間と隔離および連通可能に配設されたイオンボンバード室を備えており、該イオンボンバード室が真空化可能であり且つその内部に高周波電界が生じるように構成されており、イオンボンバード室にプラズマソースガス供給装置が配設されてなる請求項1記載の成膜装置。
  5. 上記成膜用真空容器に隣接して、それぞれが成膜用真空容器と隔離および連通可能に配設された真空化可能な成膜対象基材供給室および成膜対象基材送出室が配設されており、上記搬送装置が、成膜対象基材を成膜対象基材供給室から成膜用真空容器を通して成膜対象基材送出室に搬送するように構成されてなる請求項1記載の成膜装置。
  6. 上記搬送装置が、成膜対象の基材を保持するための保持装置と、該保持装置を移動させて成膜用スリット上を通過させるための移動装置と、上記保持装置に高周波電力を供給するための給電装置とを備えており、
    上記保持装置が高周波電界を生じさせるための電極としての機能を有してなる請求項1記載の成膜装置。
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