JP4362957B2 - ジカルボン酸ジフロライドの分離・精製方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ジカルボン酸ジフロライドの分離・精製方法に関する。更に詳しくは、パーフルオロジビニルエーテルの合成中間体として有用なジカルボン酸ジフロライドの分離・精製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般式
FOCCF(CF3)O(CF2)n+2OCF(CF3)COF [A]
で表わされるジカルボン酸ジフロライドは、これに炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩を反応させることにより、パーフルオロジビニルエーテル
CF2=CFO(CF2)n+2OCF=CF2
を合成することができる。
【0003】
かかるジカルボン酸ジフロライド[A]は、一般式
FOC(CF2)nCOF
で表わされるジカルボン酸ジフロライドにヘキサフルオロプロペンオキシドを反応させることにより合成されるが(米国特許第3,114,778号明細書)、その際一般式
FOCCF(CF3)OCF2CF(CF3)O(CF2)n+1COF [B]
で表わされるジカルボン酸ジフロライドの副生を避けることができない。
【0004】
しかるに、これらのジカルボン酸ジフロライド[A]と[B]とは、分子量が同じ異性体であり、沸点差が殆んどないことから、一般的な蒸留操作で分離することは困難である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、分子量が同じ異性体であり、沸点差が殆んどないジカルボン酸ジフロライド異性体混合物から所望のジカルボン酸ジフロライドのみを効率的に分離しかつ精製する方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
かかる本発明の目的は、一般式
FOCCF(CF3)O(CF2)n+2OCF(CF3)COF [A]
(ここで、nは0または1以上の整数である)および一般式
FOCCF(CF3)OCF2CF(CF3)O(CF2)n+1COF [B]
(ここで、nは0または1以上の整数である)で表わされるジカルボン酸ジフロライド異性体混合物を、炭素数が3以上でかつ側鎖を有するアルコールでモノエステル化した後(A)成分を蒸留してジカルボン酸ジフロライドを分離・精製する方法によって達成される。
【0007】
【発明の実施の形態】
ジカルボン酸ジフロライド[A]および[B]よりなる異性体混合物の末端カルボン酸フロライド基のモノエステル化に用いられるアルコールは、炭素数が3以上でかつ側鎖を有するアルコールであり、例えば2-プロパノール、2-メチル-1-プロパノール、4-へプタノール、2,2-ジメチル-1-プロパノール、2,4-ジメチル-3-ペンタノール等が挙げられる。
【0008】
このような立体構造を有する分枝アルコールを用いてモノエステル化反応すると、主としてジカルボン酸ジフロライド[B]のモノエステル化反応が起り、蒸留操作でのジカルボン酸ジフロライド[A]との分離を容易にする。これに対して、炭素数が2以下あるいは炭素数が3以上であっても側鎖を有しないアルコールを用いた場合には、ジカルボン酸ジフロライド[A]および[B]のモノエステル化反応がほぼ平行して起り、ジカルボン酸ジフロライド[A]の回収量を低下させる。
【0009】
モノエステル化反応は、ジカルボン酸ジフロライド[B]に対して0.5〜10倍モル量、好ましくは約1〜4倍モル量のアルコールを用い、約-60〜60℃の温度で行われる。反応温度は、低い方が選択性は向上するものの、冷却装置の能力や経済性などを考慮すれば、約-40〜20℃で反応させることが好ましい。
【0010】
この反応は、溶媒の存在下または不存在下で行なうことができ、溶媒を用いる場合には、反応を阻害しない限り任意のものを使用し得るが、ジカルボン酸ジフロライドの合成段階でも使用されているジグライム、テトラグライム等が好んで用いられる。なお、エステル化反応時に副生するフッ化水素は、反応系に共存させたフッ化ナトリウム等のアルカリ金属フッ化物除酸剤に吸着させることで、反応容器の腐食などを抑制することができる。
【0011】
モノエステル化されたジカルボン酸ジフロライド異性体混合物は、ジカルボン酸ジフロライド[A]、[B]およびそれらのモノエステル化物の混合物よりなり、ジカルボン酸ジフロライド[B]に対してより多くのアルコールを用いればそれの完全モノエステル化も可能であり、しかるにこのような完全モノエステル化させてジカルボン酸ジフロライド[B]をなくすと、ジカルボン酸ジフロライド[A]の回収率も低下するので、ジカルボン酸ジフロライド[B]のモノエステル化を約80%にとどめて、ジカルボン酸ジフロライド[A]の回収率を適当に保つことも必要である。
【0012】
このような各成分からなるモノエステル化されたジカルボン酸ジフロライド異性体混合物は、ジカルボン酸ジフロライド[B]のかなりの割合がモノエステル化されているため、常圧条件下または減圧条件下で蒸留することにより、容易に高純度のジカルボン酸ジフロライド[A]を分離しかつ精製することができる。
【0013】
【発明の効果】
FOC(CF2)nCOFにヘキサフルオロプロペンオキサイドを反応させることにより得られるジカルボン酸ジフロライドは、沸点差の殆んどない異性体混合物として得られるが、それらを特定の分枝アルコールでモノエステル化することにより、パーフルオロジビニルエーテルの合成中間体として有用なジカルボン酸ジフロライドを蒸留法により容易にかつ高純度なものとして得ることができる。
【0014】
【実施例】
次に、実施例について本発明を説明する。
【0015】
参考例
ドライアイス-メタノールコンデンサを備えた容量500mlのガラス製反応容器に、反応溶媒としてのジグライム151gおよび触媒としてのフッ化セシウム11.7gを仕込み、内温が0℃になるように冷却しながら攪拌を行ない、減圧化した後、FOC(CF2)2COF 50g(0.26モル)を仕込み、そこにヘキサフルオロプロペンオキシド300g(0.65モル)を3時間かけて滴下した。
【0016】
滴下終了後静置して分層させ、ジグライム上層と分離した下層として、
(A) FOCCF(CF3)O(CF2)4OCF(CF3)COF 71.5モル%
(B) FOCCF(CF3)OCF2CF(CF3)O(CF2)3COF 28.5モル%
よりなるジカルボン酸ジフロライド異性体混合物を409.5g得た。
【0017】
実施例1
容量100mlのガラス製反応容器に、参考例で得られたジカルボン酸ジフロライド異性体混合物21.0g(0.04モル)および除酸剤としてのNaF 2gを仕込み、反応容器を氷水で冷却しながら、4-へプタノールを2.7g(異性体混合物中のB成分に対して2.05倍モル量)加えた。
【0018】
反応混合物をガスクロマトグラフィーにより分析した結果、(A)成分71.5モル%は(A)成分44.3モル%、(A)成分のモノエステル27.2モル%となり、また(B)成分28.5モル%はその全量がモノエステル化した混合物21.3gを得た。
【0019】
この反応混合物を、内径10mm、長さ100mmのビグリュウ管を取り付けた蒸留装置で減圧蒸留して、留出温度50〜60℃(30Torr)の留分6.3gを回収した。この留分は、ガスクロマトグラフィーでの純度が99.0%の(A)成分であった。
【0020】
実施例2
実施例1において、4-へプタノールの代りに2,4-ジメチル-3-ペンタノール2.0g(異性体混合物中のB成分に対して1.50倍モル量)を用いてエステル化反応を行ない、(A)成分71.5モル%は(A)成分57.6モル%、(A)成分のモノエステル13.9モル%となり、(B)成分28.5モル%は(B)成分0.9モル%、(B)成分のモノエステル27.6モル%となった混合物21.2gを得た。
【0021】
この反応混合物について、実施例1と同様の減圧蒸留を行ない、純度が98.9%の(A)成分を回収した。
【0022】
実施例3
実施例1において、(A)成分90.9モル%、(B)成分9.1モル%よりなるジカルボン酸ジフロライド異性体混合物23.8g(0.05モル%)およびNaF 0.5gを用い、4-へプタノールの代りに2,4-ジメチル-3-ペンタノール2.0g(異性体混合物中のB成分に対して3.8倍モル量)を用いてエステル化反応を行ない、(A)成分90.9モル%は(A)成分71.7モル%、(A)成分のモノエステル19.2モル%となり、(B)成分9.1モル%は(B)成分0.8モル%、(B)成分のモノエステル8.3モル%となった混合物21.2gを得た。
【0023】
この反応混合物について、内径10mm、長さ100mmのビグリュウ管を取り付けた蒸留装置で蒸留を行ない、留出温度110〜112℃の留分11.8gを回収した。この留分は、純度が98.9%の(A)成分であった。
【0024】
比較例
実施例1において、4-へプタノールの代りにメタノール0.55g(異性体混合物中のB成分に対して1.50倍モル量)を用いてエステル化反応を行ない、(A)成分71.5モル%は(A)成分41.9モル%、(A)成分のモノエステル29.6モル%となり、(B)成分28.5モル%は(B)成分15.1モル%、(B)成分のモノエステル13.4モル%となった混合物20.3gを得た。
Claims (2)
- 一般式
FOCCF(CF3)O(CF2)n+2OCF(CF3)COF [A]
(ここで、nは0または1以上の整数である)および一般式
FOCCF(CF3)OCF2CF(CF3)O(CF2)n+1COF [B]
(ここで、nは0または1以上の整数である)で表わされるジカルボン酸ジフロライド異性体混合物を、炭素数が3以上でかつ側鎖を有するアルコールでモノエステル化した後(A)成分を蒸留することを特徴とするジカルボン酸ジフロライドの分離・精製方法。 - (B)成分に対し0.5〜10倍モル量のアルコールが用いられる請求項1記載のジカルボン酸ジフロライドの分離・精製方法。
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