JP4362945B2 - シートの接合方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はシートの接合方法に係り、特に、二次電池用Ni金属フォーム製造用の基材となるウレタンフォームの接合に好適なシートの接合方法であって、接合部の金属付着量を損なうことなく、良好な接合を行える方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
二次電池の極板として活物質の保持に用いられるニッケル網格子(Ni金属フォーム)は、このフォーム製造用の基材となるウレタンフォームにメッキ又は含浸等の方法によりNiを付着させた後、焼成して基材のウレタンフォームを除去することにより製造されている。
【0003】
このウレタンフォームは、大型のブロックから長尺裁断機によりシート状に削ぎ取られ、ロールによって巻き取られて製品とされるが、長尺のウレタンフォームシートを得るためにウレタンフォームを接合する方法としては、従来、次のような方法が提案されている。
【0004】
(1) 接合する2枚のウレタンフォームのシートの接合端辺を揃えて重ね合わせ、この接合端辺部分を加熱加圧することにより接合端辺縁同士を融着する方法。
【0005】
(2) 長尺裁断機でシート状に削ぎ取る前のブロックの状態でその一端と他端とを接着し、環状(無限軌道状)としたものを長尺裁断機でシート状とする。この方法であれば、無限軌道状とした環状ブロックからウレタンフォームのシートを途切れなく連続的に裁断することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の方法のうち、(1)の融着による方法では、加熱加圧された融着部において、ウレタンフォーム本来の多孔性が損なわれるため、これを二次電池のNi金属フォーム製造用の基材として用いた場合、メッキ又は含浸等によるNiの付着量を十分に確保することができず、このため、ウレタンフォームの焼成除去後において、この融着部の機械的強度が不足し、この部分でNi金属フォームが破断するという欠点がある。Ni金属フォーム製造用の基材以外の一般用途においても、加熱加圧部分の厚みが薄くなり、しかもウレタンフォーム本来の多孔性が損なわれ、また、接合端部から切り裂けて破断し易いという欠点があるために、使用不可能となる場合が多い。
【0007】
一方、裁断前にブロックを接着する方法では、裁断後の接着はできないため、例えば、裁断されたシートの欠陥部分を除去して再度接合する場合には適用し得ない。シートの端辺同士を突き合わせるようにしてこの部分を重ね合わせて接着することも可能ではあるが、接着部に段差ができ好ましくない。即ち、この段差は、Ni金属フォーム製造時のメッキないし含浸ムラの原因となり、やはりウレタンフォーム焼失後の破断を引き起こし、また、製造工程のウレタンフォーム搬送ラインでコンベアに引掛かって円滑な搬送ができないなどといった問題を生じる。
【0008】
本発明は上記従来の問題点を解決し、Ni金属フォーム製造用のウレタンフォームの接合に当たり、2枚のシートを強固に接合して均一厚さの接合シートを得ることができ、特に、接合部にメッキないし含浸不良を引き起こすことなく、従って、ウレタンフォームの焼成除去後のNi金属フォームの破断等の問題を回避することができるシートの接合方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明のシートの接合方法は、2枚のシートを接合する方法において、該2枚のシートの接合端部をホットメルト不織布を介して重ね合わせた後、150〜250℃で熱成型することにより、該接合端部同士が接着された接合シートとする方法であって、接合されるシートがウレタンフォームであり、該ウレタンフォームがセル膜を除去した網状化フォームであり、該ホットメルト不織布は、その接着前の厚さが0.05〜0.1mmで接着前の目付が10〜50g/m 2 であり、該接合シートの接合部の厚さが、非接合部の厚さとほぼ同等であることを特徴とする。
【0010】
本発明の方法では、接合端部にホットメルト不織布を挟んで熱成型することにより、熱成型時の熱でホットメルト不織布が溶融して接着剤として機能し、シートを強固に接合することができる。この接合部は十分に多孔性が残されている上に、ホットメルト不織布も多孔性であるため、メッキや含浸によりNi金属を十分に付着させることができ、Ni金属量を確保することができることから、ウレタンフォームの焼成除去後にこの部分でNi金属フォームが破断することはない。
【0011】
しかも、得られる接合シートの接合部の厚さは非接合部の厚さとほぼ同等であるため、取り扱い性に優れ、ウレタンフォームの搬送ラインでコンベアに引掛かることなく、円滑に搬送することができることから、良好な生産性のもとにNi金属フォームを製造することができる。
【0012】
本発明の方法は、特に、二次電池用Ni金属フォーム製造用の基材となるウレタンフォームの製造に好適である。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して本発明のシートの接合方法の実施の形態を詳細に説明する。
【0014】
図1(a),(b)は本発明のシートの接合方法の接合工程を示す断面図である。
【0015】
この方法では、Ni金属フォーム製造用の基材となる2枚のウレタンフォーム1,2の接合端部1A,2Aをホットメルト不織布3を介して重ね合わせ(図1(a))、その後熱成型することにより、厚さが均一な接合シート4を製造する(図1(b))。
【0016】
ホットメルト不織布3としては、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエステル等の不織布を用いることができる。このホットメルト不織布3として、特にウレタンフォーム1,2と同等の伸縮性を有するものを用いた場合には、ウレタンフォーム1,2とホットメルト不織布3との伸びの差によるシワの発生を防止することができ、好ましい。
【0017】
このホットメルト不織布3の厚みが過度に薄いと、十分な接着力を得ることができず、逆に過度に厚いと得られる接合シートの厚さに影響を及ぼすことから、ホットメルト不織布3の接着前の厚さは0.05〜0.1mmとする。また、このホットメルト不織布3はウレタンフォーム1,2の接合部の多孔性の低下を補うために接着前の目付量として10〜50g/m 2 のものである。
【0018】
この目付量が過度に大きいと、接合部の多孔性の低下を十分に補うことができず、過度に小さくてもメッキ、含浸により所望の網状物を得ることが困難となる上に、ホットメルト不織布3の取り扱い性も悪くなる。
【0019】
なお、このホットメルト不織布3の幅(図1(a)のW1)は、得られる接合シート4の接合界面の長さよりも若干大きいことが、十分な接合強度を得る上で好ましく、また、このウレタンフォーム1,2の接合端部1A,2Aの重ね合わせ部分の幅についても過度に小さいと十分な接合強度が得られず、逆に過度に大きいと接合コストが徒に高騰することから、これらの幅は、ウレタンフォーム1,2の寸法にもよるが、通常の場合、接合端部1A,2Aの重ね合わせ部分の幅W2は20〜50mmとし、ホットメルト不織布3の幅W1は、この重ね合わせ部分の幅W2と得られる接合シート4の厚さとの合計よりも5〜50mm程度大きい幅とするのが好ましい。
【0020】
なお、熱成型条件は、均一厚みの接合シートが得られる条件であれば良く、特に制限はないが、150〜250℃で行う。なお、この成型に当っては、所望とするシート厚みと同じ厚さのスペーサを挿入して成型厚みを設定すれば良い。
【0021】
このようにして得られたシート4は、そのままロールに巻き取られるか、或いは、そのまま搬送ラインで搬送され、次のNi金属フォーム製造工程等へ送給される。
【0022】
本発明のシートの接合方法は、Ni金属フォーム製造用のウレタンフォームの接合に限らず、シート接合後、メッキ、含浸等により金属、セラミック、或いはサーメット、その他の物質を付着させて網状体を製造する際の基材となる各種フォームの接合、その他、あらゆる用途のシートの接合に有効に適用可能である。このような接合に用いるウレタンフォームは、特に、熱成型性や接合後の含浸性等の面からセル膜を除去した網状化フォームである。
【0023】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
【0024】
実施例1,2
Ni金属フォーム製造用のウレタンフォーム(セル膜を除去した網状化フォーム)((株)ブリヂストン社製「HR−50」幅1000mm、厚み1.8mm)を図1(a),(b)に示す手順で接合して厚み1.8mmの均一厚さの接合シートを製造した。
【0025】
接合部の重ね合わせ部分の幅W2は30mmとし、また、ホットメルト不織布としては幅W150mmの下記のものを用い、熱成型条件は200℃で60秒とした。
ウレタン不織布 :カネボウ繊維(株)製「エクスパンシオーネUHO−25」
厚さ0.2mm、目付25g/m2、ホットメルト性あり、
伸縮性はウレタンフォームとほぼ同等。
ポリアミド不織布:日東紡績(株)製「PQA1001」
厚さ0.1mm、目付24g/m2、ホットメルト性あり、
伸縮性はウレタンフォームと異なる。
【0026】
得られた接合シートの引張強度を調べ、結果を表1に示した。
【0027】
なお、表1には、比較例1,2として、通常の溶着により、上記ウレタンフォームを同様に接合して得られた接合シートの引張強度と、上記ウレタンフォーム自体の引張強度を併記した。
【0028】
【表1】
【0029】
表1より明らかなように、本発明によれば、ウレタンフォームを強固に接合することができる。しかも、得られる接合シートは均一厚さであるため取り扱い性に優れ、Ni金属フォーム製造用の基材の他、各種用途に極めて有用である。
【0030】
なお、実施例1,2において、得られた接合シートに導電性カーボンを塗布した後(平均目付量:0.0030g/cm2)、電気メッキにより金属Niを付着させ(平均目付量:0.044g/cm2)、その後、還元性雰囲気中にて500℃で焼成した後、800℃でアニールしてウレタンフォームを焼失させてNi金属フォームとしたところ、焼成後の破断も無く、接合部のシワ等も無い、良好なNi金属フォームを製造することができた。
【0031】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明のシートの接合方法によれば、ウレタンフォームシートを強固に接合することができる。本発明の方法は特に、二次電池用Ni金属フォーム製造用の基材となるウレタンフォームの製造に好適であり、接合部のフォームの多孔性の低下をホットメルト不織布で補うことができる。このため、Ni金属フォームの製造工程におけるメッキ又は含浸処理において、接合部にもNiを十分に付着させることができるため、ウレタンフォームを焼成除去した後のNi金属フォームの破断等の問題を回避して高品質のNi金属フォームを歩留り良く製造することができることがわかる。しかも、得られる接合シートは均一厚さであるため、取り扱い性に優れ、生産性の向上に有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のシートの接合方法の接合工程を示す断面図である。
【符号の説明】
1,2 ウレタンフォーム
3 ホットメルト不織布
4 接合シート
Claims (3)
- 2枚のシートを接合する方法において、該2枚のシートの接合端部をホットメルト不織布を介して重ね合わせた後、150〜250℃で熱成型することにより、該接合端部同士が接着された接合シートとする方法であって、
接合されるシートがウレタンフォームであり、該ウレタンフォームがセル膜を除去した網状化フォームであり、
該ホットメルト不織布は、その接着前の厚さが0.05〜0.1mmで接着前の目付が10〜50g/m 2 であり、
該接合シートの接合部の厚さが、非接合部の厚さとほぼ同等であることを特徴とするシートの接合方法。 - 請求項1において、該ウレタンフォームがNi金属フォーム製造用の基材であることを特徴とするシートの接合方法。
- 請求項1又は2において、接合端部1A,2Aの重ね合わせ部分の幅W 2 が20〜50mmであり、ホットメルト不織布3の幅W 1 が、この重ね合わせ部分の幅W 2 と得られる接合シート4の厚さとの合計よりも5〜50mm大きい幅であることを特徴とするシート接合方法。
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