JP4362003B2 - 触媒用樹脂担体及びカルボニル化反応用固体触媒、並びにカルボン酸およびカルボン酸無水物の製造方法 - Google Patents

触媒用樹脂担体及びカルボニル化反応用固体触媒、並びにカルボン酸およびカルボン酸無水物の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、窒素環を含む多孔質架橋構造を有する樹脂を、有機溶媒中で沃化アルキルを混合して4級化することにより形成された触媒用樹脂担体、および、窒素環を含む多孔質架橋構造を有する樹脂と第VIII族金属の塩を用いて製造されたカルボニル化反応用固体触媒、並びに当該触媒を用いて実施されるカルボン酸の製造方法およびカルボン酸無水物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、例えば、貴金属錯体を担持させたピリジン環を有する多孔質架橋構造をもつ樹脂からなるカルボニル化反応用固体触媒を用い、アルコール類およびエーテル類およびオレフィン類から選ばれる被カルボニル化原料と、一酸化炭素とを反応させてカルボニル化合物を製造する方法は知られている。例えば、メタノールのカルボニル化による酢酸の製造方法(特開平6−315637号)、酢酸メチルのカルボニル化による無水酢酸の製造方法(特願平7−303449号)、オレフィン類のヒドロホルミル化によるアルデヒド類の製造方法(特願平7−306735号、特願平7−306736号)などがその代表的なものとして挙げられる。
【0003】
従来より、このような製造方法に用いられるカルボニル化反応用固体触媒の調製方法としては、主として、メタノールのカルボニル化反応の条件である160〜230℃の温度、及び1.0〜2.5MPaのCO分圧の条件のもとに、反応溶媒として炭素数2以上のカルボニル基を含有する有機溶媒をメタノール1重量部に対して0.30重量部以上含有させた反応溶媒を用い、ピリジン環を含有する樹脂の4級化および貴金属錯体陰イオンを結合させる触媒化を同時に行なうことによりなされていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、近年における触媒樹脂担体に対する耐熱安定性および耐摩耗性の改善要求レベルは極めて高く、上記の従来の各方法では、依然として触媒樹脂担体の耐熱安定性および耐摩耗性は不十分であるという問題があった。
【0005】
このような実状のもと、本出願に係る発明者らが、ピリジン環を含有する樹脂の4級化の速度に注目して鋭意実験を行ったところ、4級化の速度を所定の範囲に規制することにより、当該範囲で、触媒樹脂担体の耐熱安定性および耐摩耗性が格段と向上することを見出し、本発明に想到することができたのである。
【0006】
すなわち、本発明は、窒素環を含む多孔質架橋構造を有する樹脂を、有機溶媒中で沃化アルキルを混合して4級化することにより形成された触媒用樹脂担体であって、前記窒素環を含む多孔質架橋構造を有する樹脂の4級化が、0.1〜2.5モル%/分の4級化速度で行なわれてなるように構成される。(4級化速度の定義は、初期の10分間に4級化されたピリジン基のモル数を、仕込み樹脂中のピリジン基のモル数で割り、1分間当たりの値に換算して100%表示したものである)
【0007】
また、触媒用樹脂担体の好ましい態様として、前記窒素環を含む多孔質架橋構造を有する樹脂の4級化が、5〜65℃の操作温度で行なわれてなるように構成される。
【0008】
また、触媒用樹脂担体の好ましい態様として、前記窒素環を含む多孔質架橋構造を有する樹脂は、ビニルピリジン樹脂であり、当該樹脂は、30〜60%の架橋度、0.2〜0.4mL/gの細孔容積および20〜100nmの平均細孔径を有してなるように構成される。
【0009】
また、本発明は、窒素環を含む多孔質架橋構造を有する樹脂と第VIII族金属の塩を用いて製造されたカルボニル化反応用固体触媒であって、当該触媒は、窒素環を含む多孔質架橋構造を有する樹脂を、有機溶媒中で沃化アルキルを混合して0.1〜2.5モル%/分の4級化速度で4級化した後、反応温度を100〜250℃とし、一酸化炭素分圧0.7〜3.0MPa、全反応圧1.5〜6.0MPaの条件下で触媒化反応処理され製造されてなるように構成される。(4級化速度の定義は、初期の10分間に4級化されたピリジン基のモル数を、仕込み樹脂中のピリジン基のモル数で割り、1分間当たりの値に換算して100%表示したものである)
【0010】
また、カルボニル化反応用固体触媒の好ましい態様として、前記窒素環を含む多孔質架橋構造を有する樹脂の4級化が、5〜65℃の操作温度で行なわれてなるように構成される。
【0011】
また、カルボニル化反応用固体触媒の好ましい態様として、前記窒素環を含む多孔質架橋構造を有する樹脂は、ビニルピリジン樹脂であり、当該樹脂は、30〜60%の架橋度、0.2〜0.4mL/gの細孔容積および20〜100nmの平均細孔径を有してなるように構成される。
【0012】
また、本発明は、アルコール類をカルボニル化することによりなされるカルボン酸の製造方法であって、該方法は、前記カルボニル化反応用固体触媒を用いて行なわれるように構成される。
【0013】
また、本発明は、アルコールとカルボン酸のエステル類をカルボニル化することによりなされるカルボン酸無水物の製造方法であって、該方法は、前記カルボニル化反応用固体触媒を用いて行なわれるように構成される。
【0014】
本発明においては、ピリジン環を含有する樹脂4級化処理と、触媒化処理とを分けて行い、かつピリジン環を含有する樹脂の4級化の速度を所定範囲に制御する。これにより、触媒樹脂担体の物理構造の変化を穏やかにすることができ、部分的な重合鎖の切断等が抑制でき、結果として触媒樹脂担体の耐熱安定性および耐摩耗性が格段と向上するものと考えられる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0016】
本発明の貴金属錯体を担持するために用いられる触媒用樹脂担体
本発明の触媒用樹脂担体は、窒素環を含む多孔質架橋構造を有する樹脂を、有機溶媒中で沃化アルキルを混合して4級化することにより形成された触媒用樹脂担体である。そして、本発明においては、前記窒素環を含む多孔質架橋構造を有する樹脂の4級化が、0.1〜25モル%/分、より好ましくは0.3〜2.3モル%/分の4級化速度で行なわれ、耐熱安定性および耐摩耗性が飛躍的に優れた担体が形成されるところに大きな特徴がある。4級化速度が、2.5モル%/分を超えると、樹脂担体の物理構造の変化が急激に起こり、部分的な重合鎖の切断等が生じるためか、結果として触媒樹脂担体の耐熱安定性および耐摩耗性の飛躍的な改善が見られないという不都合が生じてしまう。また、4級化速度が、0.1モル%/分未満となると、樹脂の4級化に必要な時間が長くなってしまい、経済的な面からの不都合が生じる。
【0017】
本発明にいう4級化速度とは、初期の10分間に4級化されたピリジン基のモル数を、仕込み樹脂中のピリジン基のモル数で割り、1分間当たりの値に換算して100%表示したものをいう。
【0018】
通常、反応初期の沃化アルキル濃度が最も高いので、いわゆる初期4級化速度が最大の4級化速度であり、初期4級化速度を前記範囲内に制御するようにすればよい。
【0019】
このような4級化速度を規制するパラメータとしては、4級化の際の操作温度、用いる有機溶媒の種類、沃化アルキルの濃度などが挙げられる。また、樹脂の細孔容積、平均細孔径など用いる樹脂の物理性状によって4級化速度が異なる。
【0020】
これらの中でも、4級化の温度の設定が大きな影響を及ぼす。後述する実施例からもわかるように、4級化の温度は、上記4級化速度との関係から5〜65℃、好ましくは10〜60℃の操作温度で行なうのがよい。4級化の操作温度が65℃を超えると、樹脂担体の物理構造の変化が急激に起こりすぎて、結果として触媒樹脂担体の耐熱安定性および耐摩耗性の飛躍的な改善が見られない傾向にある。また、4級化の操作温度が5℃未満となると、反応器を冷却するための新たな装置が必要となるわりには、樹脂担体の耐熱安定性および耐摩耗性について格別の改善が見られないという不都合が生じる傾向にある。
【0021】
なお、有機溶媒としては、メタノール、酢酸、酢酸メチル、その他のアルコール類、カルボン酸類、カルボン酸エステル類等の極性溶媒が用いられる。また、有機溶媒中に限られた範囲の水が含まれてもよい。これらの中でも、反応を行う際に分離する必要がないという観点から、目的生成物を溶媒として用いることが好ましい。
【0022】
また、後述する実施例からもわかるように、本発明の4級化速度を、4級化完了時の樹脂の樹脂体積膨張率という観点からみれば、樹脂体積膨張率は20%未満、特に15%未満、さらには7%未満の範囲内に設定されることになる。下限は、0.5%程度であることが実験的に確認されている。樹脂体積膨張率の値が20%を超えると、本発明の作用効果を発現することができない程度に樹脂担体の物理構造の変化が著しくなっているものと考えられる。
【0023】
4級化工程における低い体積膨張率は、酢酸等を用いて実現可能である。
ここで体積膨張率δは、最終的な使用溶媒中の4級化樹脂の体積V4から4級化前の使用溶媒中の樹脂体積V0を引いた値を、V0で除した値の%表示で定義される(δ=(V4ーV0)/V0×100)。
【0024】
具体的な測定方法は、樹脂を使用溶媒中に浸して十分に溶媒和した後、樹脂と使用溶媒をメスシリンダに入れる。そして、常温にて樹脂体積(V0およびV4)を測定すればよい。
【0025】
本発明における窒素環を含む多孔質架橋構造を有する樹脂としては、多孔質架橋構造を有するビニルピリジン系樹脂(以下、単に『VP樹脂』と称する)が好適である。
【0026】
VP樹脂は、ビニルピリジン系単量体と、架橋剤としての2個のビニル基を持つ化合物を共重合させることによって製造される。VP樹脂を得るための共重合方法は、従来すでに公知となっている方法を用いればよく、例えば、(1)沈殿剤添加法、(2)線状重合体添加法、(3)膨潤剤・沈殿剤添加法、(4)希釈剤・線重合体添加法等が使用される。
【0027】
本発明で用いられるVP樹脂は、架橋度が30〜60%のものが好ましい。VP樹脂の架橋度が小さくなりすぎると、触媒の耐久性及び耐摩耗性が低下する傾向が生じる。この一方で、VP樹脂の架橋度が大きくなりすぎると、触媒活性が低下する傾向が生じてしまう。
【0028】
さらに、本発明で用いられるVP樹脂の細孔容積は、0.2〜0.4mL/gが好ましく、平均細孔径は、20〜100nmが好ましい。細孔容積および平均細孔径が小さくなり過ぎると触媒活性が低下する傾向にあり、また、細孔容積および平均細孔径が大きくなり過ぎると耐摩耗性が低下する傾向にある。
【0029】
本発明で用いられるVP樹脂の好ましい製造方法については、特公昭61−25731号公報に詳細に記載されている。すなわち、この公報記載の方法によると、VP樹脂は、ビニルピリジン系単量体と、2個のビニル基を持つ架橋剤と、必要に応じて用いられるビニル単量体との混合物を、ラジカル重合反応触媒の存在下で重合反応させることによって製造される。この場合、重合反応は、水を媒体とする水系懸濁重合が採用される。また、重合反応系には、懸濁安定剤及び沈殿剤が添加される。懸濁安定剤としては、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリメタクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、澱粉、ゼラチン、スチレン/無水マレイン酸共重合体のアンモニウム塩等の水溶性高分子、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、ベントナイト、ケイ酸マグネシウム等の無機塩が用いられる。また、反応系には、塩化ナトリウムや、亜硝酸ナトリウムを添加することができる。沈殿剤としては、単量体に対しては溶剤として作用するが、生成ポリマーに対しては貧溶媒として作用する有機溶媒、例えば、イソオクタン等の炭素数5〜10の炭化水素の他、アルコール、エステル等が用いられる。
【0030】
このようなVP樹脂の製造方法において、その架橋度は架橋剤の添加量でコントロールすることができ、その細孔容積及び平均細孔径は、沈殿剤の種類とその添加量によって主にコントロールすることができる。さらには、懸濁安定剤の種類とその添加量及び反応温度等によりコントロールすることもできる。
【0031】
VP樹脂を得るために用いられるビニルピリジン系単量体としては、4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、ピリジン環にメチル基やエチル基等の低級アルキル基を有する4−ビニルピリジン誘導体または2−ビニルピリジン誘導体等が挙げられる。また、このようなビニルピリジン系単量体には、他のビニル単量体、例えば、スチレン、ビニルトルエン等の芳香族系ビニル単量体またはアクリル酸メチル、メタクリル酸メチルなどの脂肪族系ビニル単量体を混入させることができる。これらのビニル単量体の混入量は、全単量体中、30モル%以下、特に、1〜30モル%、好ましくは20モル%以下、特に、5〜20モル%にするのがよい。
【0032】
前記ビニルピリジン系単量体を共重合させる架橋剤は、2個のビニル基を有する化合物である。このようなものとしては、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン等の芳香族化合物の他、ジアクリル酸エチレングリコール、ブタジエン等の脂肪族化合物を挙げることができる。工業的に用いられるジビニルベンゼンは通常約50モル%のエチルビニルベンゼンを含んでいるが、本発明では、このようなジビニルベンゼンを用いることもできる。このような架橋剤の使用量は、所望するVP樹脂の架橋度に応じで適宜、定めればよい。
【0033】
本発明で用いられるVP樹脂の粒径は、0.01〜4mm、好ましくは0.1〜2mm、より好ましくは0.4〜1mmの粒状体として用いられ、その好ましい形状は球状体である。
【0034】
カルボニル化反応用固体触媒
本発明のカルボニル化反応用固体触媒は、触媒化前に予め所定の4級化速度で4級化処理がなされた上記の触媒用樹脂担体が実質的に用いられる。つまり、本発明のカルボニル化反応用固体触媒を製造するに際しては、ピリジン環を含有する樹脂の沃化アルキルによる4級化処理と、第VIII族金属のカルボニル錯体をイオン的に結合させる触媒化処理とを分けて行い、かつ前記ピリジン環を含有する樹脂の4級化の速度を所定範囲に制御しているところに発明の特徴がある。これにより、触媒樹脂担体の耐熱安定性および耐摩耗性が格段と向上するのである。
【0035】
以下、詳細に説明する。
本発明のカルボニル化反応用固体触媒は、窒素環を含む多孔質架橋構造を有する樹脂と第VIII族金属の塩を用いた製造されたカルボニル化反応用固体触媒であって、当該触媒は、
(I)窒素環を含む多孔質架橋構造を有する樹脂を、有機溶媒中で沃化アルキルを混合して0.1〜2.5モル%/分の4級化速度で4級化する工程(いわゆる4級化処理)、および
(II)しかる後、反応温度を100〜250℃とし、一酸化炭素分圧0.7〜3.0MPa、全反応圧1.5〜6.0MPaの条件下で触媒化反応処理される(いわゆる触媒化処理)。
【0036】
以下、上記工程(I)の4級化処理と、工程(II)の触媒化処理に分けて説明する。なお、工程(I)と工程(II)では各処理目的に応じて処理温度が異なっており、工程(I)では4級化をマイルドに進行させるために、例えば5〜65℃の温度条件、工程(II)では第VIII族金属のカルボニル錯体をイオン的に結合させるために100〜250℃の温度条件となっている。なお、工業的観点から、後述する触媒化処理に必要なCOは、工程(I)の最初から、供給するようにしてもよい。工程(I)と工程(II)とでは、温度条件が異なり、工程(II)で初めて触媒化処理可能な温度になるからである。
【0037】
上記工程(I)の4級化処理
ここでの4級化処理は上記の触媒用樹脂担体の製造における説明と同様であるので、ここでの重複する説明は省略する。この工程で重要なポイントは、4級化速度を0.1〜2.5モル%/分の範囲内とし、触媒樹脂担体の物理構造の変化を急激にさせないことである。4級化の温度条件(5〜65℃、好ましくは10〜60℃)や、樹脂体積膨張率(20%未満、特に15%未満、さらには7%未満)への配慮も上述したとおりである。
【0038】
上記工程(II)の触媒化処理
ここでの触媒化処理とは、上記4級化処理された樹脂担体のピリジン環の少なくとも1つに、例えばロジウムカルボニル錯体陰イオンなどの第VIII族金属カルボニル錯体陰イオン(貴金属錯体陰イオン)を結合させる処理である。
【0039】
この触媒化処理を行うためには、4級化処理されたVP樹脂を、一酸化炭素加圧下において、ヨウ化アルキルを含む溶媒中で例えばロジウム塩などの第VIII族金属の塩と接触させればよい。
【0040】
用いられる第VIII族金属としては、上記のロジウム、コバルト、ルテニウム、イリジウム等が好適例として挙げられる。特に、酢酸の製造にあっては、ロジウムが好適に用いられる。
【0041】
触媒化処理においては、通常、メタノールのカルボニル化反応条件下で、ロジウム塩と4級化処理されたVP樹脂を接触させればよい。この場合の接触反応において、VP樹脂に含まれるピリジン環の沃化アルキルで4級化されたピリジニウに、ロジウム塩とヨウ化アルキルと一酸化炭素との反応により生成したロジウムカルボニル錯体[Rh(CO)22]- がイオン的に結合する。
【0042】
このような触媒化処理は、反応温度100〜250℃、好ましくは、130〜230℃、一酸化炭素分圧0.7〜3.0MPa、好ましく1.0〜2.5MPa、全反応圧は1.5〜6.0MPa、好ましくは2.0〜5.0MPaの条件下に行なわれる。
【0043】
反応温度が100℃未満になると、極めて低いカルボニル化反応速度しか得られないために工業的に許容できない傾向にあり、また、250℃を超えると、樹脂の分解が促進されるため、使用条件として好ましくない傾向にある。
【0044】
また、一酸化炭素分圧が0.7MPa未満となると、安定なロジウムカルボニル錯体を形成できず、十分なカルボニル化反応速度が得られない。この一方で、一酸化炭素分圧が3.0MPaを超えても、カルボニル化反応速度はあまり向上せず、格別の反応系の利点は得られず、経済的観点からは、そのCO分圧は3.0MPa程度にするのがよい。
【0045】
また、全反応圧が1.5MPa未満となると、溶媒の気相分圧によりCO分圧を0.7MPa以上に保持できなくなる場合が生じる。全反応圧が6.0MPaを超えると、反応器として、特別の耐圧容器を使用する必要がでてくるが、格別の反応上の利点は得られない。
【0046】
なお、触媒化処理に際しては、上述したようにロジウム塩等の第VIII族金属の塩が混合される必要がある。混合の時期は、上記工程(I)または工程(II)の内、いずれかの工程で行えばよいが、工業的には操作上の簡便性を考慮して工程(I)で混合しておくことが望ましい。
【0047】
前記第VIII族金属の塩の好適例であるロジウム塩としては、塩化ロジウムや、臭化ロジウム、ヨウ化ロジウム等のハロゲン化ロジウム;酢酸ロジウムやプロピオン酸ロジウム等のカルボン酸ロジウム塩といった水溶性の塩が挙げられる。これらの塩は、限られた水を含有する極性溶媒中で容易に溶解する。
【0048】
また、本発明で用いられるヨウ化アルキルとしては、ヨウ化メチル、ヨウ化エチル、ヨウ化プロピル等の炭素数1〜5の低級アルキル基を有するものが挙げられる。中でも、特に、ヨウ化メチルの使用が好ましい。例えば、ロジウム塩に対するヨウ化アルキルの使用割合は、ロジウム塩1モル当たり、ヨウ化アルキル2〜2000モル、好ましくは、50〜500モルの割合である。
【0049】
なお、有機溶媒としては、メタノール、酢酸、酢酸メチル、その他のアルコール類、カルボン酸類、カルボン酸エステル類等の極性溶媒が用いられる。また、有機溶媒中に限られた範囲の水が含まれてもよい。これらの中でも、反応を行う際に分離する必要がないという観点から、目的生成物を溶媒として用いることが好ましい。
【0050】
なお、VP樹脂に担持されたロジウムカルボニル錯体などのVIII族金属カルボニル錯体の担持量は、VP樹脂に対して、VIII族金属換算量で、0.2〜8.0重量%、好ましくは0.5〜4.0重量%の範囲である。
【0051】
カルボン酸およびカルボン酸無水物の製造方法
上述してきたようなカルボニル化反応用固体触媒は、カルボン酸やカルボン酸無水物などのカルボニル化合物製造用触媒として用いられる。カルボン酸は、例えば、アルコール類をカルボニル化することにより製造される。カルボン酸無水物は、例えばアルコールとカルボン酸のエステル類をカルボニル化することにより製造される。
【0052】
本発明のカルボン酸やカルボン酸無水物の製造反応は、いわゆる不均一反応系で行われる。すなわち上記のカルボニル化反応用固体触媒を用いて、被カルボニル化原料と、一酸化炭素とを反応させて酢酸などのカルボン酸、無水酢酸などのカルボン酸無水物が製造される。
【0053】
被カルボニル化原料としては、アルコール類、エーテル類(例えば、ジアルキルエーテル)およびオレフィン類などが好適に用いられる。特に、酢酸の製造にあっては、例えば、ヨウ化メチルの存在下、反応溶媒中でメタノールおよびジメチルエーテルのなかから選ばれる被カルボニル化原料と、一酸化炭素とを反応させることによって、酢酸が製造される。
【0054】
本発明における好適な一例である酢酸の製造方法において、被カルボニル化原料と一酸化炭素を反応させるカルボニル化工程は、前述したVP樹脂に担持させたロジウムカルボニル錯体触媒を用い、ヨウ化アルキルの存在下、有機溶媒中で被カルボニル化原料と一酸化炭素とを反応させることにより行われる。酢酸の製造における被カルボニル化原料としては、メタノールおよびジアルキルエーテル(例えば、ジメチルエーテル)の中から適宜選定される。カルボニル化反応は、種々の反応器を用いて実施することができる。このような反応器の形式としては、例えば、固定床、混合槽、膨張床などが挙げられる。
【0055】
反応器内における触媒充填量は、一般には、反応器内溶液に対して2〜40wt%であるが、混合槽反応器の場合、2〜25wt%に選ぶのがよい。
【0056】
反応溶媒(有機溶媒)としては、従来公知の各種のものが用いられるが、一般には、炭素数が2以上のカルボニル基含有有機溶媒を含むものが用いられる。このような反応溶媒としては、酢酸、酢酸メチル等のカルボン酸やカルボン酸エステル等が挙げられる。中でも、酢酸を用いるのが好ましい。また、有機溶媒は、水を含有することができる。この場合、有機溶媒中の水の含有率は、反応生成液中の水分濃度が、0.5〜10wt%、好ましくは、2〜7wt%、さらに好ましくは、3〜5wt%となるような量とされる。ヨウ化アルキルとしては、炭素数1〜5のヨウ化アルキルが用いられる。中でも特にヨウ化メチルを使用することが好ましい。水分濃度が0.5%未満となると、十分なカルボニル化反応速度が得られず、10%を超えると例えばロジウムのリーチングが大きくなる。
【0057】
反応器内における反応溶媒の量は、上記被カルボニル化原料の1重量部に対し、0.30重量部以上に規定することがよい。好ましい有機溶媒量は、被カルボニル化原料1重量部に対し2.40重量部以上である。反応溶液中の有機溶媒量を上記の範囲内に保持することにより、触媒の活性中心であるロジウムカルボニル錯体(貴金属錯体)の反応活性が高められるとともに、ロジウムカルボニル錯体(貴金属錯体)とVP樹脂との結合安定性も向上し、高い反応速度でかつVP樹脂からのロジウム(貴金属)の離脱を効果的に防止して、被カルボニル化原料のカルボニル化反応を円滑に進行させることができる。さらに重要なことは、反応器内の有機溶媒量を前記の範囲内に保持することによって、例えば0.7MPaという極めて低いCO分圧条件下においてもロジウム錯体(貴金属錯体)が安定に存在し、高い反応速度で被カルボニル化原料のカルボニル化反応を進行させることができる。このことは、反応器として特別の耐圧容器を使用する必要がなくなり、反応器コストを大幅に節約でき、実用性ある経済的カルボニル化合物(酢酸)製造プロセスが得られることを意味する。
【0058】
特に、酢酸の製造において、被カルボニル化原料のカルボニル化反応を行う際のCO分圧(一酸化炭素分圧)は、0.7MPa以上あればよく、好ましくは1.0MPa以上である。このCO分圧を特に高くしても反応速度はあまり向上せず、格別の反応上の利点は得られない。従って、経済的観点からはそのCO分圧は、0.7〜3.0MPa、好ましくは、1.0〜2.5MPaの範囲に規定するのがよい。CO分圧をこのような範囲に保持することによって、全反応圧力を経済的な1.5〜6.0MPa、さらに好ましくは2.0〜5.0MPaという低圧に保持することができる。なお、無水酢酸の製造におけるCO分圧は、0.7〜6.0MPaの範囲に規定するのがよい。
【0059】
カルボニル化反応における反応温度は100〜250℃、好ましくは130〜230℃である。また、反応系におけるヨウ化アルキルの存在量は、反応器内溶液中、1〜40重量%、好ましくは5〜30重量%である。
【0060】
被カルボニル化原料としてメタノールを用いる場合のカルボニル化反応においては、下記反応式(1)の主反応とともに、下記反応式(2)、(3)の副反応が起る。
【0061】
CH3OH+CO →CH3COOH (1)
CH3COOH+CH3OH⇔CH3COOCH3+H2O (2)
2CH3OH ⇔CH3OCH3+H2O (3)
【0062】
本発明において、カルボニル化合物としての酢酸を収率よく製造するには、前記副反応(2)、(3)を抑え、含酸素化合物のカルボニル化反応(1)を選択的に進行させることが必要になる。このためには、有機溶媒として、酢酸メチルや水を含むものを用いるのが有効である。
【0063】
被カルボニル化原料のカルボニル化に用いる反応器の具体例としては、反応液を撹拌翼で撹拌する撹拌混合式反応器や、反応液を気泡で撹拌する気泡塔型反応器等の反応器が好適に用いられる。
【0064】
【実施例】
以下に具体的実施例を示し、本発明をさらに詳細に説明する。
【0065】
(I)触媒用樹脂担体の製造
(実施例I−1)
250mLのオートクレーブ中にピリジン樹脂(架橋度:48%、細孔容積0.33mL/g、平均細孔径:36nm)14.0gと有機溶媒メタノール96.0gを仕込んだ後、沃化メチル25.0gを加え、撹拌しながら反応温度を17℃に設定した。その後、樹脂の4級化が完全に進行するように、15時間撹拌して4級化樹脂を得た。反応液中の沃化メチルの減少速度から樹脂の4級化速度を算出した。本実施例では、バッチ式の反応であるので、いわゆる初期4級化速度が最大の4級化速度となる。4級化速度の測定に際しては、初期の10分間に4級化されたピリジン基のモル数を測定し、この値を仕込み樹脂中のピリジン基のモル数で割り、1分間当たりの値に換算して100%表示した。
【0066】
当該実施例における4級化速度は、1.2モル%/分であった。
【0067】
また、4級化前と4級化終了後の樹脂体積の変化率から当該4級化工程における樹脂の体積膨張率δを求めた。体積膨張率δの定義は上述したとおりであり、当該実施例における体積膨張率δは、11%であった。
【0068】
(実施例I−2)
上記実施例I−1において、有機溶媒として用いたメタノールを酢酸に代えた。それ以外は上記実施例I−1と同様にして、実施例I−2における4級化樹脂を得た。当該実施例における4級化速度は、0.9モル%/分であり、また、体積膨張率δは、2%であった。
【0069】
比較例3
上記実施例I−1において、4級化の反応温度を17℃から60℃に代えた。それ以外は上記実施例I−1と同様にして、比較例3における4級化樹脂を得た。当該実施例における4級化速度は、2.3モル%/分であり、また、体積膨張率δは、15%であった。
【0070】
(実施例I−4)
上記実施例I−1において、4級化の反応温度を17℃から5℃に代えた。それ以外は上記実施例I−1と同様にして、実施例I−4における4級化樹脂を得た。当該実施例における4級化速度は、0.8モル%/分であり、また、体積膨張率δは、10%であった。
【0071】
(比較例I−1)
上記実施例I−1において、4級化の反応温度を17℃から120℃に代えた。それ以外は上記実施例I−1と同様にして、比較例I−1における4級化樹脂を得た。当該比較例における4級化速度は、5モル%/分であり、また、体積膨張率δは、22%であった。
【0072】
(比較例I−2)
上記実施例I−1において、4級化の反応温度を17℃から80℃に代えた。それ以外は上記実施例I−1と同様にして、比較例I−1における4級化樹脂を得た。当該比較例における4級化速度は、3.3モル%/分であり、また、体積膨張率δは、20%であった。
【0073】
(II)カルボニル化反応用固体触媒の製造
上記の各4級化ビニルピリジン樹脂のそれぞれと、酢酸ロジウム0.30gとを、メタノール40g、酢酸75g、沃化メチル25gからなる混合液に加え、これを撹拌器付オートクレーブに仕込み、180℃、4.0MPa、1000rpmの条件下で、1時間反応させた。その後、内容物をオートクレーブから取り出し、メタノールで洗浄して、ロジウム錯体が担持されたビニルピリジン系樹脂からなる各触媒を得た(実施例I−1、実施例I−2、実施例I−4相当触媒;および比較例I−1、比較例I−2、比較例3相当触媒)。
【0074】
さらに下記に示す追加の比較例I−3として、4級化処理と触媒化処理を同一操作条件で同時処理する一般的な従来法の実験も行った。
【0075】
(比較例I−3)
ビニルピリジン樹脂14.0g(乾燥重量)と酢酸ロジウム0.30gを、メタノール40g、酢酸75g、沃化メチル25gからなる混合液に加え、これを攪拌器付きオートクレーブに仕込み、180℃、4MPa,1000rpmの条件下で1時間反応させた。その後、この反応内容物をオートクレーブから取り出し、メタノールで洗浄して、ロジウム錯体が担持されたビニルピリジン系樹脂からなる触媒を得た。
【0076】
これらの各触媒について、下記の要領で、耐摩耗性試験および耐熱安定性試験を行った。
【0077】
耐摩耗性試験
上記の各実施例および各比較例の触媒7.5g(ビニルピリジン樹脂担体の乾燥重量)、酢酸150gを、内径:57mm,高さ:145mmの300mL(ミリリットル)のガラスオートクレーブに入れ、高さ:8mm,幅:32mmのテフロン製2枚45度傾斜パドル翼型攪拌翼にて1000rpm,180℃,0.6MPaの条件で65時間攪拌し、攪拌停止後に液中に浮遊する微粒子を0.1μmのテフロン製メンブレンフィルターで濾過し、そのフィルターに捕集された微粒子重量を測定し、微粉化速度wt%/hrに換算して耐摩耗性を評価した。数値が小さいほど耐摩耗性に優れる。
【0078】
耐熱安定性試験
触媒としては、上記の各実施例および各比較例の触媒をそれぞれ用い、触媒3.0g(ビニルピリジン樹脂担体の乾燥重量)をオートクレーブ内に予め酢酸および沃化メチルとともに内容量60mLの混合槽流通式反応器に仕込み、この混合槽流通式反応器を用いて、180℃、4.0MPaの条件下で160時間カルボニル化反応を実際に行ない、樹脂触媒の耐熱安定性を評価した。反応器に供給する原料は、COを15NL/hr、メタノール9g/hr、沃化メチル5g/hr、酢酸16g/hrとし、ジメチルエーテル0.1wt%、沃化メチル13.5wt%、メタノール0.7wt%、酢酸57.0wt%、酢酸メチル23.0wt%、水5.7wt%からなる反応生成物を連続的に得た(いずれの実施例および比較例も同様な組成のものを得ることができた)。この時の反応器出口の窒素濃度を測定し、流量と窒素濃度の経時変化から脱ピリジン環速度を求め、耐熱安定性の評価値とした。数値が小さいほど耐熱安定性に優れる。ちなみに上記製造方法は、本発明における酢酸の製造方法に該当するものでもある。
【0079】
これらの結果を下記表1に示した。
【0080】
【表1】
Figure 0004362003
【0081】
表1の結果より本発明の効果は明らかである。すなわち、本発明実施例では、ピリジン環を含有する樹脂4級化処理と、触媒化処理とを分けて行い、かつピリジン環を含有する樹脂の4級化の速度を所定範囲に制御しているので、触媒樹脂担体の物理構造の変化を穏やかにすることができると思われ、結果として触媒樹脂担体の耐熱安定性および耐摩耗性が格段と向上することがわかる。
【0082】
なお、上記の各実施例および比較例の触媒を各々オートクレーブに入れ、メタノール40g、酢酸75g、沃化メチル25gを仕込み、180℃、4.0MPa,1000rpmの条件下で1時間反応させ、反応中に消費されたCO量すなわち、反応に関与したCO量を測定し、1時間当たり、1リットル当たりの反応量(Space Time Yield)を触媒活性として算出したところ、実施例サンプルでは、10.6モル/L/hrとなり、比較例では10.2モル/L/hrとなり、実施例の触媒は、比較例の触媒に比べて、少なくとも同等以上の触媒活性を有することが確認できた。
【0083】
(III)本発明における無水酢酸の製造実験
反応容器中央部に撹拌翼が備えられ、反応容器底部に原料供給ラインおよび反応性ガス供給ラインが備えられ、反応容器の塔頂にガス抜き出しラインおよび冷却器が備えられ、反応容器液面上部に製品抜き出しラインが備えられている撹拌混合式反応器を用いて、無水酢酸の製造実験を行った。反応器内部に実施例I−1の触媒を充填し、原料供給ラインから原料化合物(酢酸メチル:45wt%、酢酸:38wt%、沃化メチル:17wt%)を200重量部/hrの流量で反応器内に供給し、反応性ガス供給ラインから水素(5モル%)およびCO(95モル%)を含む反応性ガスを16重量部/hrの流量で反応器内に供給し液中に噴出させつつカルボニル化反応させた。反応液は、製品抜き出しラインから抜き出し、また、未反応ガス(H2,CO)および気化した反応液は、塔頂のガス抜き出しラインから抜き出し、冷却器で凝縮させた一部を反応容器内に返送するようにした。反応条件は、温度:190℃、CO圧:2.0MPa、全圧:5.0MPa、触媒充填量:5wt%/反応液、攪拌速度:300rpmとし、製品抜き出しラインからの反応液組成は、酢酸メチル:18wt%、酢酸:43wt%、沃化メチル:16wt%、無水酢酸:23wt%であった。
【0084】
【発明の効果】
上記の結果より、本発明の効果は明らかである。すなわち、本発明では、ピリジン環を含有する樹脂4級化処理と、触媒化処理とを分けて行い、かつピリジン環を含有する樹脂の4級化の速度を所定範囲に制御しているので、触媒樹脂担体の耐熱安定性および耐摩耗性が格段と向上する。

Claims (6)

  1. 窒素環を含む多孔質架橋構造を有する樹脂を、有機溶媒中で沃化アルキルを混合して4級化することにより形成された触媒用樹脂担体であって、
    前記窒素環を含む多孔質架橋構造を有する樹脂は、ビニルピリジン樹脂であり、当該樹脂は、30〜60%の架橋度、0.2〜0.4mL/gの細孔容積および20〜100nmの平均細孔径を有しており、
    前記窒素環を含む多孔質架橋構造を有する樹脂の4級化が、0.6〜1.2モル%/分の4級化速度で行なわれてなることを特徴とする触媒用樹脂担体。
    (4級化速度の定義は、初期の10分間に4級化されたピリジン基のモル数を、仕込み樹脂中のピリジン基のモル数で割り、1分間当たりの値に換算して100%表示したものである)
  2. 前記窒素環を含む多孔質架橋構造を有する樹脂の4級化が、5〜17℃の操作温度で行なわれてなる請求項1に記載の触媒用樹脂担体。
  3. 窒素環を含む多孔質架橋構造を有する樹脂と第VIII族金属の塩を用いてなるカルボニル化反応用固体触媒の製造方法であって、
    該方法は、
    30〜60%の架橋度、0.2〜0.4mL/gの細孔容積および20〜100nmの平均細孔径を有してなるビニルピリジン樹脂を、有機溶媒中で沃化アルキルを混合して0.6〜1.2モル%/分の4級化速度で4級化した後、反応温度を100〜250℃、一酸化炭素分圧0.7〜3.0MPa、全反応圧1.5〜6.0MPaの条件下で触媒化反応処理するカルボニル化反応用固体触媒の製造方法
    (4級化速度の定義は、初期の10分間に4級化されたピリジン基のモル数を、仕込み樹脂中のピリジン基のモル数で割り、1分間当たりの値に換算して100%表示したものである)
  4. 前記窒素環を含む多孔質架橋構造を有する樹脂の4級化が、5〜17℃の操作温度で行なわれてなる請求項3に記載のカルボニル化反応用固体触媒の製造方法
  5. アルコール類をカルボニル化することによりなされるカルボン酸の製造方法であって、該方法は、前記請求項3または請求項4に記載された方法で製造されたカルボニル化反応用固体触媒を用いて行なわれることを特徴とするカルボン酸の製造方法。
  6. アルコールとカルボン酸のエステル類をカルボニル化することによりなされるカルボン酸無水物の製造方法であって、該方法は、前記請求項3または請求項4に記載された方法で製造されたカルボニル化反応用固体触媒を用いて行なわれることを特徴とするカルボン酸無水物の製造方法。
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