JP4361496B2 - 土砂改質装置 - Google Patents

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Description

本発明は、土砂改質装置に関し、特に温風を送風して掘削土砂の含水比を低減させる改質を行う土砂改質装置に関する。
例えばシールド工法において、シールド掘進機によって掘削される土砂は、シールド掘進機のカッタフェイスに形成されたスリットから、これの背面の密閉チャンバ内に導入されて泥土として塑性流動化され、スクリュコンベア等を介して密閉チャンバから排出されるものであることから、高含水比の土砂となっている。このような泥土化した高含水比の土砂は、残土搬送車両による運搬や残土処理が困難なものであるため、例えば改質剤を用いて含水比を低減させたり固化させたりした後に、運搬処理等する方法が種々開発されている(例えば、特許文献1参照)。
また、道路工事、宅地造成工事、埋立て浚渫工事、ダム工事等の土砂を大量に取り扱う他の工事においても、例えば掘削土砂を残土として処理する際や土木材料として使用する際に、高含水比の土砂を乾燥させて含水比を低減する改質処理を行なう場合がある(例えば、特許文献2参照)。
特開平9−317836号公報 特開2000−266461号公報
しかしながら、上記従来の改質剤を用いて含水比を低減させる方法によれば、例えばセメント、セメント系固化剤、石灰、珪酸カリウム、珪酸ナトリウム等からなる改質剤は、高価なものであることから、大量の土砂に対して用いるには、多大なコストを要することになる。したがって、このような改質剤を用いることなく土砂の含水比を低減させたり、改質剤の使用量を少なくしつつ含水比を低減させる技術の開発が望まれている。
一方、上記従来の土砂を乾燥させることによって含水比を低減する方法によれば、土砂を内部で乾燥させる縦横数十メートル程度の大きさの建屋を設ける必要があるため、設備が大掛かりになって、特に十分な広さの作業ヤードを確保することのできない例えば都市部における工事では、採用することが困難である。また建屋に開口部を設けて通風させたり、送風機を設けて建屋内に強制的に送風を生じさせて土砂の乾燥を促進することが考えられているが、建屋内に相当の厚さで堆積された土砂の内部にまで風を送り込むことができず、これらの通風や送風によって土砂を効率良く乾燥させることが困難であると共に、特に土砂が高含水比のものである場合に、含水比を所望の値まで低減させるのに長い期間を要することになる。
本発明は、簡易且つコンパクトな構成により、長い期間を要することなく、特に高含水比の土砂の含水比を効率良く低減することのできる土砂改質装置を提供することを目的とする。
本発明は、温風を送風して土砂の含水比を低減させる改質を行う土砂改質装置であって、吹込み口及び排気口を有する送風室と、該送風室に設置されて敷設された土砂を連続搬送する搬送ベルトと、該搬送ベルトの始端部分に前記土砂を所定の厚さで供給する供給敷設手段と、前記送風室に温風を送風する温風送風手段とを備え、前記搬送ベルトによって前記送風室の内部で前記土砂を連続搬送しつつ、前記温風を前記搬送ベルトによる前記土砂の搬送方向と反対の方向に送風するようになっており、前記送風室は、上下に複数段に区画されていて、各区画室に各々前記搬送ベルトが設けられており、上下に隣接する区画室では、前記搬送ベルトによる前記土砂の搬送方向及び前記温風の送風方向が反対方向となっており、且つ上段の区画室に設けられた搬送ベルトの終端部分の直下部分に下段の区画室に設けられた搬送ベルトの始端部分が配置されていて、上下の区画室を連通する連通路を介して上段の搬送ベルトの終端部分から下段の搬送ベルトの始端部分に前記土砂を送り出しつつ、前記土砂をジグザグ状に搬送するようになっており、且つ前記送風室の各区画室には、前記搬送ベルトの終端部分側の端面に開口して前記温風の吹込み口が各々形成されており、前記搬送ベルトの始端部分側の端面に開口して前記温風の排気口が各々形成されており、上下に隣接する区画室では、前記吹込み口及び前記排気口が交互に逆向きに配置されていて、温風の送風方向が一段毎に逆方向を向くようになっている土砂改質装置を提供することにより、上記目的を達成したものである。
さらに、本発明の土砂改質装置によれば、前記供給敷設手段は、前記搬送ベルトの始端部分において幅方向に沿って延設するスリット開口を備えており、該スリット開口を介して前記搬送ベルトに前記土砂を供給敷設するようになっており、該スリット開口は開口厚さを調整可能に構成されていて、前記土砂の敷設厚さを所定の厚さに設定できるようになっていることが好ましい。
さらにまた、本発明の土砂改質装置によれば、前記供給敷設手段は、前記土砂を加圧状態で収容する圧密ホッパーを備えており、該圧密ホッパーから押し出される前記土砂を強制圧密排水させながら前記搬送ベルトに供給敷設するようになっていることが好ましい。
本発明の土砂改質装置によれば、簡易且つコンパクトな構成により、長い期間を要することなく、特に高含水比の土砂の含水比を効率良く低減することができる。
本発明の好ましい一実施形態に係る土砂改質装置10は、例えば泥土圧シールド工法によるトンネル工事として、硬質粘性土の地盤に対して掘削外径が例えば4m程度の泥土圧式シールド掘進機を用いてシールドトンネルを掘削施工する際に、シールド掘進機から図1,図2に示す地上の作業ヤード50にポンプ圧送される掘削土砂である高含水比の泥土12の含水比を、ダンプトラック等の残土運搬車両51によって運搬可能な状態となるように低減させ、好ましくは普通残土として再利用可能なように改質処理して搬出できるようにする際に採用されたものである。
すなわち、本実施形態では、泥土圧シールド工法において、シールド掘進機(図示せず)からポンプ圧送される高含水比の泥土12を、残土搬送車両51によって搬送可能な状態に改質して搬出させるための泥土処理方法は、ポンプ圧送されてきた泥土12に温風14を送風して含水比を低減させる工程(図3参照)と、この含水比を低減させた泥土12に改質剤を添加混合して残土搬送車両51に積み込む工程とからなり、温風14を送風して含水比を低減させる工程において、本実施形態の土砂改質装置10が用いられる。
そして、本実施形態の土砂改質装置10は、温風14を送風して土砂(泥土)12の含水比を低減させる改質を行う装置であって、図3に示すように、吹込み口30及び排気口31を有する送風室16と、送風室16に設置されて敷設された泥土12を連続搬送する搬送ベルト15a,15b,15c,15dと、最上段の搬送ベルト15aの始端部分18に泥土12を所定の厚さで供給する供給敷設手段11と、送風室16に温風14を送風する温風送風手段13とを備え、搬送ベルト15a,15b,15c,15dによって送風室16の内部で泥土12を連続搬送しつつ、温風14を搬送ベルト15a,15b,15c,15dによる泥土12の搬送方向Xと反対の方向Yに送風するようになっている。
また、本実施形態では、送風室16は、仕切り板17によって上下に複数段(4段)に区画されていて、各区画室16a,16b,16c,16dに各々搬送ベルト15a,15b,15c,15dが設けられており、上下に隣接する区画室16a,16b,16c,16dでは、搬送ベルト15a,15b,15c,15dによる泥土12の搬送方向X及び温風14の送風方向Yが反対方向となっており、且つ上段の区画室16a,16b,16cに設けられた搬送ベルト15a,15b,15cの終端部分19の直下部分に下段の区画室16b,16c,16dに設けられた搬送ベルト15b,15c,15dの始端部分18が配置されている。また、上下の区画室16a,16b,16c,16dを連通する、仕切り板17に設けられた連通路20を介して上段の搬送ベルト15a,15b,15cの終端部分19から下段の搬送ベルト15b,15c,15dの始端部分18に泥土12を送り出しつつ、泥土12をジグザグ状に搬送しながら温風14を反対方向Yに送風して、泥土12の含水比を低減させるようになっている。
本実施形態によれば、地上の作業ヤード50には、図1及び図2に示すように、圧送されてきた泥土を改質処理して搬出する設備として、土砂ホッパ21、可変式スクリューコンベア22、改質処理設備架台23、土砂ピット24、積込み重機52、残土搬送車両51等が配置されており、また改質処理設備架台23には、本実施形態の土砂改質装置10の他、改質剤用サイロ27、二軸パドル式改質剤混合装置28等が設けられている。
本実施形態の土砂改質装置10を構成する送風室16は、例えば金属製の中空6面体形状の箱体であって、例えば長さ1000cm、幅150cm、高さ350cm程度の大きさを備えている。送風室16は、3枚の仕切り板17によって上下方向に4段の区画室16a,16b,16c,16dに区画されていて、各区画室16a,16b,16c,16dには各々搬送ベルト15a,15b,15c,15dが設置されている。
送風室16の各区画室16a,16b,16c,16dには、搬送ベルト15a,15b,15c,15dの終端部分19側の端面に開口して、温風ダクト29と連通する吹込み口30が各々形成されており、搬送ベルト15a,15b,15c,15dの始端部分18側の端面に開口して、排気口31が各々形成されている。これによって、温風ファン32から温風ダクト29及び吹込み口30を介して各区画室16a,16b,16c,16dに給送される、好ましくは30〜50℃の温風14は、始端部分18から終端部分19に向かう搬送ベルト15a,15b,15c,15dによる泥土12の搬送方向Xとは反対の、吹込み口30から排気口31に向かう方向Yに送風される。各区画室16a,16b,16c,16dにおける温風14の送風方向Yを、泥土12の搬送方向Xとは反対の方向とすることにより、泥土12に含まれる水分の泥土12の表面を経た蒸発や乾燥を効率良く促進させて、泥土12の含水比を効果的に低減させることが可能になる。ここで、温風ダクト29、吹込み口30、排気口31、及び温風ファン32は、本実施形態の土砂改質装置10における温風送風手段13を構成する。
また、本実施形態では、送風室16の最上段の区画室16aに設けられた搬送ベルト15aに泥土12を所定の厚さで供給敷設する供給敷設手段11は、土砂ホッパ21から供給される泥土12を収容する泥土敷設ホッパー26と、泥土敷設ホッパー26の下端部に開口形成され、搬送ベルト15aの始端部分において当該搬送ベルト15aの幅方向に沿って延設するスリット開口25と、泥土敷設ホッパー26の下端部に設けられ、スリット開口25の開口厚さを調整するスリット幅調整機構34とによって構成される。スリット幅調整機構34は、例えば図4(a),(b)に拡大して示すように、弧状断面の固定調整板34aと、弧状断面部分を備える略L字断面形状の可動調整板34bと、可動調整板34bを泥土敷設ホッパー26の外周面に沿って上下にスライド移動させるジャッキ34cとからなる。そして、ジャッキ34cを伸縮させて固定調整板34aと可動調整板34bとの間の間隔を調整することにより、スリット開口25の開口厚さを調整し、スリット開口25を介して供給敷設される泥土12の敷設厚さを所定の厚さtに容易に設定することができるようになっている。
なお、本実施形態では、搬送ベルト15aに敷設される泥土12の所定の厚さtは、30〜50mmとすることが好ましい。泥土12の厚さtが30mmよりも小さいと、土砂改質装置10による処理能力が不足することになり、泥土12の厚さtが50mmよりも大きいと、敷設層の深い部分における泥土12の含水比の低減効果が十分に得られないことになる。
さらに、本実施形態では、図5に示すように、泥土敷設ホッパー26は泥土12を加圧状態で収容する圧密ホッパーとなっており、可変式スクリューコンベア22を介した土砂ホッパ21からの送り出しによって、泥土敷設ホッパー26には泥土12が圧密状態で供給される。また供給された圧密状態の泥土12が、可変式スクリューコンベア22の作動によってスリット開口25から搬送ベルト15aにさらに押し出されることにより搬送ベルト15aに敷設される際に、泥土12は強制圧密排水されることによって、内部に含まれる水分が敷設層の表面に表面水として浮き出てくることになる。したがって、浮き出た表面水を温風14の送風によって乾燥除去することにより、泥土12の含水比をさらに効率良く低減させることが可能になる。
そして、本実施形態では、排泥管53を介してシールド掘進機からポンプ圧送されてきた泥土12は、土砂ホッパ21に一旦蓄積された後に、土砂ホッパ21と泥土敷設ホッパー26とを接続する可変式スクリューコンベア22を経て泥土敷設ホッパー26に供給される。泥土敷設ホッパー26に供給された泥土12は、図3に示すように、供給敷設手段11のスリット開口25を介して、送風室16の最上段の区画室16aに設けられた、例えばベルトコンベアによる好ましくは120cm以上の幅の搬送ベルト15aの始端部分18に、好ましくは30〜50mmの厚さtで敷設される。敷設された泥土12は、搬送ベルト15aの駆動によってX方向に連続搬送されると共に、温風14が送風されて、含水比を低減させる工程が行われる。
本実施形態では、最上段の区画室16aで搬送ベルト15aにより搬送されて終端部分19に至った泥土12は、仕切り板17に設けられた連通路20を介して2段目の区画室16bの搬送ベルト15bの始端部分18に送り出され、搬送ベルト15bによって、最上段の区画室16aにおける搬送方向Xとは反対の搬送方向Xに搬送される。また、2段目の区画室16bで搬送ベルト15bにより搬送されて終端部分19に至った泥土12は、仕切り板17に設けられた連通路20を介して3段目の区画室16cの搬送ベルト15cの始端部分18に送り出され、搬送ベルト15cによって、2段目の区画室16bにおける搬送方向Xとは反対の搬送方向Xに搬送される。さらに、3段目の区画室16cで搬送ベルト15cにより搬送されて終端部分19に至った泥土12は、仕切り板17に設けられた連通路20を介して4段目の区画室16dの搬送ベルト15dの始端部分18に送り出され、搬送ベルト15dによって、3段目の区画室16cにおける搬送方向Xとは反対の搬送方向Xに搬送される。
ここで、本実施形態では、上下の区画室16a,16b,16c,16dを連通する各連通路20には、上段の区画室16a,16b,16cの搬送ベルト15a,15b,15cによって搬送される泥土12の層厚と同様の層厚で、下段の区画室16b,16c,16dの搬送ベルト15b,15c,15dに泥土12を送り出すための、層厚保持反転ホッパー33が各々設けられている。層厚保持反転ホッパー33は、例えば上段の搬送ベルト15a,15b,15cの終端部分から落下する泥土12を上端の投入開口を介して受領して下部に堆積させると共に、下部側面に開口する、スリット幅を調整可能な送出しスリット開口から、堆積した泥土12を順次下段の搬送ベルト15b,15c,15dに、好ましくは30〜50mmの所定の層厚で送り出すことができるようになっている。
本実施形態によれば、上下に隣接する区画室16a,16b,16c,16dでは、吹込み口30及び排気口31が交互に逆向きに配置されていて、温風14の送風方向Yが一段毎に逆方向を向くようになっている。これらによって、上下に隣接する区画室16a,16b,16c,16dでは、搬送ベルト15a,15b,15c,15dによる泥土12の搬送方向X及び温風14の送風方向Yが反対方向となり、送風室16の内部で泥土12をジグザグ状に搬送しながら、泥土12の表面を経た水分の蒸発や乾燥を促進させることが可能になり、送風室16の形状をコンパクトに保持したまま、反対方向に温風14を送風しつつ泥土12を搬送ベルト15a,15b,15c,15dによって搬送移動させる距離を増大させて、泥土12の含水比をさらに効果的に低減させることが可能になる。
そして、本実施形態の土砂改質装置10によって、上述のように含水比が予備的に低減された泥土12は、例えば最下段の区画室16dに設けられた搬送ベルト15dの終端部分19から、作業ヤード50に設けられた二軸パドル式改質剤混合装置28に投入され、投入された泥土12に改質剤を添加混合して残土運搬車両51に積み込む工程が行われる(図1参照)。すなわち、含水比を低減させた泥土12に改質剤を添加混合して残土運搬車両51に積み込む工程では、従来より公知の常法に従って、泥土12が投入された二軸パドル式改質剤混合装置28に例えば珪酸カリウム、珪酸ナトリウム、石灰等からなる所定の配合量の改質剤を添加混合することよって泥土12を改質処理すると共に、土砂ピット24に堆積する。また、土砂ピット24に堆積された、ダンプトラック等の残土運搬車両51によって運搬可能な状態となるように含水比が低減され、或いはさらに普通残土として再利用できるように改質された泥土12は、例えばバックフォー等の積込み重機52を介して残土搬送車両51に積み込まれ、所定の土捨場や盛土現場等に搬出されることになる。
したがって、本実施形態によれば、簡易且つコンパクトな構成の土砂改質装置10を用い、搬送ベルト15a,15b,15c,15dによって送風室16の内部で敷設された状態の泥土12を連続搬送しつつ、温風14を搬送ベルト15a,15b,15c,15dによる泥土12の搬送方向Xと反対の方向Yに送風することにより、長い期間を要することなく、高含水比の泥土12の含水比を効率良く低減することが可能になる。
また、本実施形態によれば、泥土圧シールド工法においてポンプ圧送される泥土12の含水比を、土砂改質装置10を用いて予備的に低減することにより、泥土12に添加混合する改質剤の使用量を少なくして、残土処理のコストダウンを容易且つ効果的に図ることが可能になる。
さらに、本実施形態によれば、土砂改質装置10によって予備的に低減される泥土の含水比は、例えば数%〜数10%程度であるが、このような含水比の低減によっても、発生する泥土12が大量であることから、土砂改質装置10を設けるための設備費の増加分と比較して、改質剤の使用量の低減によるコストの減少分の方が相当程度大きくなることから、泥土圧シールド工法において本実施形態の土砂改質装置10を用いることの有効性が認められる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば、区画室や搬送ベルトを送風室に4段設ける必要は必ずしもなく、5段以上又は3段以下に増減させて、温風を送風しながら搬送ベルトによって敷設された土砂を搬送する長さを適宜調整することができる。また、搬送ベルトはベルトコンベアによるものである必要は必ずしも無く、可変式スクリューコンベアを介して泥土敷設ホッパーに圧密状態で泥土を供給する必要は必ずしもない。さらに、本発明は土砂改質装置によって含水比が低減される土砂は、泥土圧シールド工法においてポンプ圧送される高含水比の泥土に限定されるものではなく、例えば台車を介して搬送される土砂の他、道路工事、宅地造成工事、埋立て浚渫工事、ダム工事等の土砂を大量に取り扱う他の工事において発生する各種の土砂の含水比を低減させるべく採用することもできる。
また、図6に示すように、例えば土層反転ガイド35及び層厚制御板36を取り付けて、上段の搬送ベルト37aの土砂38の層構成を上下に反転させつつ下段の搬送ベルト37bに送り出すことにより、温風による水分除去効果が顕著な土砂38の表面部分を上下に入れ替えつつ、さらに効率良く土砂38の含水比を低減させることが可能になる。
以下、実施例1及び泥土の温風による乾燥実験により、泥土圧シールド工法において本発明の土砂改質装置を採用した際の効果について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔実施例1〕
掘削外径が4mの泥土圧式シールド掘進機によって、掘削土質が硬質粘性土の地盤に対して、2時間でセグメント1リング分(1m)の施工サイクル(掘進〜セグメント組立)で掘進作業を行った。セグメント1リング分(1m)の掘削土砂は、略50m3であることから、掘削土砂によって発生する泥土の処理速度を、1時間当たり略25m3(0.42m3/min)として設定した。また、シールド掘進機からポンプ圧送される泥土の含水比は80%だった。
上記実施形態の土砂改質装置と略同様の構成を備え、送風室が6段の区画室に区画された土砂改質装置において、幅W=1200mm、実質搬送長さL=8mの6台のベルトコンベアを各区画室に各々配置すると共に、各区画室において、ベルトコンベアによる搬送方向とは反対方向に、風速40m/sで温度50℃の温風を送風した。
上述の施工条件及び設備条件から、ベルトコンベア上における泥土の敷設厚さを3cmとすると、敷設された泥土の断面積Aは、1.2m×0.03m=0.036m2である。またベルトコンベア上における泥土の移動速度vは、0.42m3/min÷0.036m2=11.67m/minである。さらに、6台のベルトコンベア上における温風による乾燥時間T(6台のベルトコンベア上での移動時間)は、(8m×6台)÷11.67m/min=4.1minとなって、送風室では、温風による4.1分間の乾燥時間が確保されることになる。
上述の温度50℃の温風による乾燥時間(4.1分)が確保されることにより、ポンプ圧送時に80%であった泥土の含水比が、乾燥処理後に66%まで低減していることが確認された。泥土の改質剤として、珪酸カリウム・珪酸ナトリウムからなるA剤(液体)、及び過燐酸石灰からなるKC剤(粉体)による中性無機改質剤(商品名「ST−エコロ」小野田ケミコ社製)を用いた場合、A剤:10L、及びKC剤:9kgを基本配合として、高含水比の泥土を、例えばコーン指数qc=400kN/m2の改質目標に達するように改質するには、高含水比の1m3の泥土について、図7に示す基本配合に対する配合倍率の改質剤を必要とすることが公知である。泥土の含水比が80%から66%に低減していることにより、1m3について約1倍の配合率の改質剤を節約できることになり、例えば改質剤の基本配合当たりの単価を1165円とした場合、シールド掘進機による掘削土量が18000m3(掘削延長略360m)を超えると、2000万円以上の改質剤が節約されることになる。したがって、上述の泥土圧式シールド掘進機による360mを超える施工延長のシールド工事では、土砂改質装置を設けるための設備費を十分に回収できる計算となる。
〔泥土(土砂)の温風による乾燥実験〕
図8に示すような深さ50mmの断熱容器40に泥土41を入れ、泥土41による土層の表面に沿って温風42を流し、風速や温度をパラメトリックに変化させつつ、深さ毎の含水比の変化を経時的に整理した。含水比は深さ方向の土層毎(10mm毎)に試料を採取して実測した。試料土となる泥土41は硬質粘性土とし、初期含水比はポンプ圧送を想定して83.5%とした。温度30℃の温風42を風速40m/sで送風した際の深さ毎の含水比の変化を図8に、温度50℃の温風42を風速40m/sで送風した際の深さ毎の含水比の変化を図9に各々示す。
上述の泥土の温風による乾燥実験によれば、乾燥時間にほぼ比例して含水比の低下量が大きくなること判明した。また風速が大きくなるほど、温風の温度が高くなるほど、含水比の低下量は大きくなることが判明した。さらに、図9及び図10に示す実験結果から、温風の影響は土層の浅い部分ほど大きく、深さの小さい部分では含水比の低下量が大きいことが判明する。また、土層が浅くなるほど含水比低下量は指数関数的に大きくなるが、温風による乾燥効果が顕著に見られるの深さ10mm程度までで、20〜50mm程度の深さではある程度その効果がみられ、それよりも下部では乾燥効果はあまりみられないことが判明する。
本発明の好ましい一実施形態に係る土砂改質装置を用いて泥土圧シールド工法で泥土の処理を行うための諸設備が設けられた地上の作業ヤードを例示する説明図である。 図1のA−Aに沿った断面図である。 本発明の好ましい一実施形態に係る土砂改質装置の構成を説明する略示断面図である。 (a),(b)は、スリット開口及びスリット幅調整機構の構成を説明する拡大断面図である。 供給敷設手段の構成を説明する拡大断面図である。 土層反転ガイドを介して上段の搬送ベルトの土砂の層構成を上下に反転させて、下段の搬送ベルトに送り出す状況の説明図である。 高含水比の泥土を所定の改質目標に達するように改質するために必要とされる、改質剤の基本配合に対する配合倍率を例示するチャートである。 泥土(土砂)の温風による乾燥実験の概要を示す説明図である。 温度30℃の温風を風速40m/sで送風した際の深さ毎の含水比の変化を示すチャートである。 温度50℃の温風を風速40m/sで送風した際の深さ毎の含水比の変化を示すチャートである。
符号の説明
10 土砂改質装置
11 供給敷設手段
12 泥土(土砂)
13 温風送風手段
14 温風
15a,15b,15c,15d,37a,37b 搬送ベルト
16 送風室
16a,16b,16c,16d 送風室の区画室
17 仕切り板
18 搬送ベルトの始端部分
19 搬送ベルトの終端部分
20 連通路
21 土砂ホッパ
22 可変式スクリューコンベア
23 改質処理設備架台
24 土砂ピット
25 スリット開口
26 泥土敷設ホッパー(圧密ホッパー)
27 改質剤用サイロ
28 二軸パドル式改質剤混合装置
29 温風ダクト
30 吹込み口
31 排気口
32 温風ファン
33 層厚保持反転ホッパー
34 スリット幅調整機構
35 土層反転ガイド
36 層厚制御板
50 作業ヤード
51 残土運搬車両
52 積込み重機
53 排泥管
t 敷設される泥土(土砂)の厚さ
X 搬送ベルトによる泥土(土砂)の搬送方向
Y 送風方向(搬送ベルトによる泥土(土砂)の搬送方向と反対の方向)

Claims (4)

  1. 温風を送風して土砂の含水比を低減させる改質を行う土砂改質装置であって、
    吹込み口及び排気口を有する送風室と、該送風室に設置されて敷設された土砂を連続搬送する搬送ベルトと、該搬送ベルトの始端部分に前記土砂を所定の厚さで供給する供給敷設手段と、前記送風室に温風を送風する温風送風手段とを備え、
    前記搬送ベルトによって前記送風室の内部で前記土砂を連続搬送しつつ、前記温風を前記搬送ベルトによる前記土砂の搬送方向と反対の方向に送風するようになっており、
    前記送風室は、上下に複数段に区画されていて、各区画室に各々前記搬送ベルトが設けられており、上下に隣接する区画室では、前記搬送ベルトによる前記土砂の搬送方向及び前記温風の送風方向が反対方向となっており、
    且つ上段の区画室に設けられた搬送ベルトの終端部分の直下部分に下段の区画室に設けられた搬送ベルトの始端部分が配置されていて、上下の区画室を連通する連通路を介して上段の搬送ベルトの終端部分から下段の搬送ベルトの始端部分に前記土砂を送り出しつつ、前記土砂をジグザグ状に搬送するようになっており、
    且つ前記送風室の各区画室には、前記搬送ベルトの終端部分側の端面に開口して前記温風の吹込み口が各々形成されており、前記搬送ベルトの始端部分側の端面に開口して前記温風の排気口が各々形成されており、上下に隣接する区画室では、前記吹込み口及び前記排気口が交互に逆向きに配置されていて、温風の送風方向が一段毎に逆方向を向くようになっている土砂改質装置。
  2. 前記供給敷設手段は、前記搬送ベルトの始端部分において幅方向に沿って延設するスリット開口を備えており、該スリット開口を介して前記搬送ベルトに前記土砂を供給敷設するようになっており、該スリット開口は開口厚さを調整可能に構成されていて、前記土砂の敷設厚さを所定の厚さに設定する請求項1に記載の土砂改質装置。
  3. 前記供給敷設手段は、前記土砂を加圧状態で収容する圧密ホッパーを備えており、該圧密ホッパーから押し出される前記土砂を強制圧密排水させながら前記搬送ベルトに供給敷設する請求項1又は2に記載の土砂改質装置。
  4. 土層反転ガイド及び層厚制御板を取り付けて、前記上段の搬送ベルトの土砂の層構成を上下に反転させつつ前記下段の搬送ベルトに送り出すことにより、温風による水分除去効果が顕著な土砂の表面部分を上下に入れ替える請求項1〜3のいずれかに記載の土砂改質装置。
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