JP4594899B2 - 掘削土砂の処理方法および掘削土砂の処理装置 - Google Patents

掘削土砂の処理方法および掘削土砂の処理装置 Download PDF

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Description

本発明は、掘削土砂の処理方法および掘削土砂の処理装置に関する。
例えば、泥土圧シールド工法では、掘削土砂にベントナイトや粘土等からなる加泥材を添加することにより泥状にするとともに、この泥土(泥状の掘削土砂)に圧力を付与して、泥土圧を地山の土圧や水圧とバランスをとることにより、切羽の崩壊を防止しながら掘進を行う。そして、この泥土は、塑性流動化された状態でチャンバからスクリューコンベアを介して排出される。
排出された泥土は、例えば、セメント系や石灰系等の固化剤や凝集剤を用いて固化処理を行い、全て産業廃棄物として処理されるが、その処理費用が高価であることや、都市部における工事では、中間処理場等の確保が困難となる場合がある等の問題点を有していた。
このため、このような掘削土砂に改良材や特殊固化材を添加することにより改質する場合がある。
例えば、特許文献1には、泥土圧シールド工法において排出された塑性流動化された掘削土砂を、例えばポリ塩化アルミニウム等の粘性低下剤が添加された泥水と混合した後、処理機を利用してこの混合泥水から残土を分離する掘削土砂のリサイクル方法が開示されている。
また、特許文献2には、含水比の高い泥土に、吸水性高分子、高膨張性粘土、水溶性高分子等からなる土壌改良材を混合することにより、良質な改良土を提供する方法が開示されている。
特開平10−82277号公報([0015]−[0020]、図1−図3) 特開2002−129160号公報([0009]−[0017])
ところが、前者の掘削土砂のリサイクル方法は、泥土に添加する粘性低下剤等の改質材に費用が嵩むことや、改質材を添加するための設備を別途設ける必要があるため、その設備費が嵩むとともにそのための用地を新たに確保する必要がある。そのため、従来に比べてコスト高となる場合があるという問題点を有していた。
また、後者の土壌改良材を利用する方法は、排出された泥土と改良材とを混合するための混練装置の手配や、新たに添加する改良材の費用等により、従来に比べてコスト高となる場合があるという問題点を有していた。
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、塑性流動化された状態の掘削土砂を、簡易かつ安価に分級分離することを可能とした掘削土砂の処理方法および掘削土砂の処理装置を提案することを課題とする。
前記課題を解決するために、請求項1に記載の掘削土砂の処理方法は、掘削土砂に非鉱物系加泥材を添加混練して泥土を生成する工程と、前記泥土を、分級機を介して粗粒分と細粒分とに分級分離する工程と、を含む掘削土砂の処理方法であって、前記泥土を分級分離する工程において、該泥土に紫外線を照射することを特徴としている。
かかる掘削土砂の処理方法は、例えば泥土圧シールド工法等、掘削に伴い発生する加泥材が混練された泥土に、特別な処理剤などを添加することなく、低振動篩や無振動分級機等の分級機により分級分離することで、簡易かつ安価に再利用可能な粗粒分を分離して、産業廃棄物扱いとなる泥土の量を削減することを可能としている。つまり、泥土の再利用可能な部分を分離して、廃棄物処分となる泥土の量を削減するため、泥土の処理に伴う固化剤の量や搬送の手間、また必要な処分場の確保等を削減することが可能となり、経済面や環境面において優れている。
また、加泥材として、水溶性高分子セルロース系、高吸水性樹脂、アクリル系凝集剤、界面活性剤系などの公知の非鉱物系加泥材を使用するため、細粒分であるベントナイトや粘土等からなる鉱物系加泥材とは異なり、廃棄物処分となる泥土の量を増加させることなく掘削土砂を塑性流動化することが可能となる。つまり、非鉱物系加泥材は、掘削土砂中の水分と置換されるものであり、産業廃棄物となる泥土を増加するものではないため、廃棄物処分となる泥土量を大幅に削減することが可能となる。
また、請求項1の掘削土砂の処理方法は、泥土を分級分離する工程において、分級機による分級分離に伴い泥土に紫外線を照射し、加泥材を分解することで分級分離効果を向上させることを可能としている。
また、本発明の掘削土砂の処理方法において、前記非鉱物系加泥材の添加量が前記泥土の性状(含水比や細粒分の含有量等)に応じた範囲内、好適には前記泥土の5%から40%の範囲内であればよい。さらに、前記非鉱物系加泥材の添加量が10%から40%の範囲内であれば、泥土のスランプ値が、泥土圧掘削に適した泥土としてのスランプ値である13〜20cm(旧鉄道建設公団の判断基準)の範囲内に収まるとともに、掘削土砂の粗粒分の分離性が向上し、かつ、塑性流動化の状態が維持されるため、より好ましい。
さらに、本発明の掘削土砂の処理方法が、前記泥土を分級分離する工程の直前に、粘性低下剤を添加する工程を含んでいれば、土砂の粘性が低下されて、土砂の分級分離効果が向上するため、好適である。ここで、粘性低下剤としては、セルラーゼやマンナナーゼ等を主成分とする酵素液や消泡材等が使用可能である。
なお、前記酵素液または前記消泡材の添加量が前記泥土1m 当り0.5%以上であればより効果的である。また、前記酵素液の酵素濃度が0.05%以上であればさらに効果的である。
本発明の掘削土砂の処理方法を実施するために好適な処理装置は、掘削土砂に非鉱物系加泥材を添加混合することにより生成された泥土を搬送する泥土搬送手段と、前記泥土搬送手段により搬送された泥土を粗粒分と細粒分とに分級分離する分級機とを有する掘削土砂の処理装置であって、前記分級機が、泥土を粗粒分と細粒分とに分離する篩と、少なくとも1種類の分級分離向上手段とを備えることを特徴としている。
また、前記処理装置において、前記分級分離向上手段が、泥土に高圧空気を吹き付ける送風手段、泥土に水分を吹き付ける散水手段、泥土に高圧空気と水分との混合体を吹き付ける送風散水手段または泥土に紫外線を照射する紫外線照射手段のいずれかであることを特徴としている。
本発明の掘削土砂の処理方法および掘削土砂の処理装置により、塑性流動化された状態の掘削土砂を、簡易かつ安価に、再利用可能な土砂(粗粒分)と廃棄物処理する土砂(細粒分)とに分級分離することが可能となるため、産業廃棄物量を削減して処理コストの大幅な削減を図るとともに環境に配慮した掘削工事が可能となる。
本発明の好適な実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、説明において、同一要素には同一の符号を用い、重複する説明は省略する。
ここで、図1は、本実施の形態に係る掘削土砂の処理方法とこの処理方法に使用する掘削土砂の処理装置を示す概略図であって、図2は、本実施の形態に係る分級機を示す概略図である。また、図3は他の実施の形態に係る分級機を示す概略図である。
本実施形態では、立坑を利用して横方向に掘進する泥土圧シールドにおいて、本発明の掘削土砂の処理方法を適用した場合について説明する。
本実施形態に係る掘削土砂の処理装置1は、図1に示すように、掘進機2による地山の掘削に伴って発生した掘削土砂に加泥材を添加混合することにより生成された泥土を搬送する泥土搬送手段10と、この泥土搬送手段10により搬送された泥土を粗粒土砂(粗粒分)と細粒土砂(細粒分)とに分級分離する分級分離手段20と、この分級分離手段20により分離された泥土である粗粒分と細粒分とをそれぞれ搬出する土砂搬出手段30とを有している。
泥土搬送手段10は、掘進機2から排出された泥土を、坑口側に搬送する切羽コンベア11と、切羽コンベア11により掘進機2から後方に搬送された泥土を搭載してトンネル坑内Tから立坑Sまで搬送する台車12と、台車12により立坑Sまで搬送された泥土を吊上げて分級分離手段20にまで輸送する揚重機である天井クレーン13とから構成されている。なお、本実施形態では揚重機として天井クレーン13を使用するものとしたが、揚重機は天井クレーンに限定されるものではないことはいうまでもない。
切羽コンベア11としては、通常のベルトコンベアを使用するものとするが、掘進機2から排出された泥土を台車12まで搬送することが可能であれば、その構成等は限定されるものではない。
台車12は、トンネル坑内Tに配設されたレール(図示省略)上を走行し、切羽コンベア11の後端から立坑S内まで往復可能に構成されている。また、台車12はコンテナ部12aと、コンテナ部12aを分離可能に積載した台車部12bとから構成されており、切羽コンベア11により掘進機2から排出された泥土を、このコンテナ部12aに搭載してトンネル坑内Tから立坑S内へと搬送する。
コンテナ部12aは、鋼板を箱型に形成してなり、分級分離手段20の上方において操作することにより、その底部が開放されて、内部の泥土を分級分離手段20へ投入可能に構成されている。
ここで、本実施形態では、コンテナ部12aとして箱型に形成された鋼板を使用するものとしたが、コンテナ部12aの材質や形状等は限定されるものではなく、投入される泥土の重量に対して十分な強度を有し、台車部12bによる搬送が可能であればよい。
天井クレーン13は、立坑Sの上方に配設されたクレーンレール13aと、クレーンレール13aを走行しワイヤーロープ13cの伸縮を行うワイヤー巻取り装置13bと、ワイヤーロープ13cの先端に配設されてコンテナ部12aまたは後記するズリ缶31を把持する把持部13dとから構成されている。
クレーンレール13aは、立坑Sの上方を横断するように配設されている。本実施形態では、立坑Sの上部に配設された分級分離手段20の上方から、立坑Sの脇の地上に配設された後記する粗粒土砂ホッパー32の上方までワイヤー巻取り装置13bの移動が可能となるように構成されている。
ワイヤー巻取り装置13bは、トンネル坑内Tから搬出されたコンテナ部12bを、分級分離手段20まで搬送し、さらに分級分離手段20から排出された土砂を積載したズリ缶31を粗粒土砂ホッパー32まで搬送する。
ワイヤー巻取り装置13bは、クレーンレール13aを走行するための車輪および動力(図示省略)と、ワイヤーロープ13cの巻き上げを行うための動力(図示省略)と、ワイヤーロープ13cの巻上げ軸とを有している。
また、ワイヤーロープ13cの先端に取り付けられた把持部13dは、所定の形状に形成された箱型のコンテナ部12aおよびズリ缶31の側面を把持するアーム(図示省略)を有している。
分級分離手段20は、分級機21と、搬送された泥土が投入される泥土ホッパー22と、泥土ホッパー22の底部に設置されて、泥土ホッパー22に投入された泥土を所定の流量で分級機21に誘導する泥土フィーダ23とから構成されている。
分級機21は、図2に示すように、泥土を粗粒分と細粒分とに分離する上層21aと分離された細粒分を受け入れる下層21bとの2層に分割されている。
分級機21の上層21aには、投入口24から投入された泥土を排出口25まで搬送するとともに粗粒分と細粒分とに分離する篩である網状のネットコンベア26と、ネットコンベア26により搬送される泥土に高圧空気を吹き付ける送風手段(分級分離向上手段)27と泥土に水分を吹き付ける散水手段(分級分離向上手段)27dとを備えている。なお、本実施形態では、分級機21が送風手段27と散水手段27dとの両方を備える構成としたが、いずれか一方のみを備える構成でもよく、分級機21の構成は前記のものに限定されるものではない。また、送風手段27と散水手段27dの代わりに高圧空気と水分との混合体からなる混合ジェット水を吹き付ける送風散水手段(分級分離向上手段)を備える構成としても、送風手段27および散水手段27dを配置した場合と同様の効果を得ることが可能である。
送風手段27は、分級機21の内部に送風される高圧空気を供給するエアブロア27aと、分級機21の天井部分に所定の間隔で配設されてエアブロア27aから供給された高圧空気をネットコンベア26に吹き付ける複数(本実施形態では3箇所)の送気孔27bと、一方の端部が分岐されて各送気孔27bに接続され、他方の端部がエアブロア27aに接続された送風管27cとから構成されている。なお、送風手段27の構成は前記のものに限定されるものではなく、例えば、本実施形態では、3つの送気孔27b,27b,27bに対して1つのエアブロア27aを配置する構成としたが、各送気孔27b毎にエアブロア27aを配置する構成としてもよい。また、送風手段27として、例えば、コンプレッサを使用してもよく、空気を供給することが可能なものであればエアブロアに限定されるものではない。
散水手段27dは、例えば水道水等の清水をシャワー水として泥土に吹き付ける(散水する)手段であって、分級機21の天井部分に配設されている。なお、散水手段27dの構成は限定されるものではなく、適宜設定すればよい。また、散水手段27dにより散水される水分は水道水に限定されるものではないことはいうまでもない。
分級機21の下層21bは、ネットコンベア26により分離された細粒分を受け入れる細粒土砂受槽28であって、細粒土砂受槽28の底部には細粒土砂フィーダ29が配設されている。
土砂搬出手段30は、図1に示すように、分級分離手段20により分離された粗粒分が投入されるズリ缶31と、天井クレーン13を介して搬送されたズリ缶31内の粗粒分が一時的に貯留される粗粒土砂ホッパー32と、分級分離手段20により分離された細粒分を送泥管34を介して圧送する送泥ポンプ33と、送泥ポンプ33により圧送された細粒分が一時的に貯留される細粒土砂ホッパー35と、から構成されている。
次に、本実施形態に係る掘削土砂の処理方法について説明する。
本実施形態の掘削土砂の処理方法は、掘削土砂に非鉱物系加泥材を添加混練して泥土を生成する泥土生成工程と、前記泥土を分級機21にまで搬送する泥土搬送工程と、搬送された泥土を分級機21を介して粗粒土砂(粗粒分)と細粒土砂(細粒分)とに分級分離する分級分離工程と、分級分離された粗粒分と細粒分とをそれぞれ搬出する搬出工程とからなる。
<泥土生成工程>
泥土生成工程は、掘進機2により地山を切削することで発生した掘削土砂に、掘進機2のチャンバ(図示省略)内において加泥材を泥土の10%〜40%の範囲内で添加攪拌することにより泥土を生成する工程である。このとき、泥土は、加泥材が添加されることにより、周辺地盤中に浸透することなく、所定の泥土圧を保持することが可能な状態に生成される。つまり、泥土の泥土圧により、地山からの土圧や水圧の合力に抵抗して、切羽の自由水を排除して、土粒子間の空隙も埋めて掘削土砂を難透水性にする。したがって、泥土生成工程において添加される加泥材は、土中の有効間隙率分以上とする。
ここで、加泥材の種類は非鉱物系加泥材(ベントナイト系または粘土系材料からなる加泥材以外の加泥材)であれば限定されるものではなく、例えば、水溶性高分子セルロース系、高吸水性樹脂、アクリル系凝集剤、界面活性剤系の加泥材等を使用するものとする。また、加泥材の添加量は、掘削土砂の性状(含水比、細粒分の含有量等)に応じて適宜設定するものであり、前記の範囲に限定されるものではないことはいうまでもない。
<泥土搬送工程>
掘進機2による切削時において、泥土圧が付与されて切羽における地山の崩壊の防止に使用された泥土は、図1に示すように、チャンバに接続されたスクリューコンベア2aにより、随時掘進機2の後方へと搬出される。そして、スクリューコンベア2aにより掘進機2の後方に搬出された泥土は、切羽コンベア11により、台車12に搭載されたコンテナ部12aに投入される。
泥土を搭載した台車12は、レールを走行してトンネル坑内Tから立坑Sまで移動する。立坑Sに台車12が到達すると、天井クレーン13の把持部13dにより、台車12のコンテナ部12aの側面を把持する。天井クレーン13のワイヤー巻取り装置13bにより、ワイヤーロープ13cを巻き上げると、把持部13dが引き上げられことにより、台車12のコンテナ部12aと台車部12bとが分離されて、コンテナ部12aが吊り上げられる。
そして、天井クレーン13は、コンテナ部12aを吊持した状態で移動し、コンテナ部12aを分級分離手段20まで搬送する。
ここで、泥土の搬送手段10は前記の構成に限定されるものではなく、例えば、トンネル全延長に対してベルトコンベアを配設することや全線ポンプ圧送することにより、トンネル坑内Tにおける泥土の搬送に台車12を使用しない構成としてもよい。また、分級分離手段20を立坑S内に配置することにより、天井クレーン13を使用せずに、ベルトコンベア等を介して分級分離手段20に泥土を投入する構成としてもよく、分級分離手段20等の各種機器設備の配置により、搬送手段10の構成は適宜変更してもよい。
<分級分離工程>
続いて、分級分離手段20の分級機21を使用して、搬送された泥土を粗粒分と細粒分とに分級分離する。
天井クレーン13により搬送された泥土は、分級分離手段20の泥土ホッパー22の直上においてコンテナ部12aの底部を開放すること、あるいはコンテナ部12aを転倒させることにより、泥土ホッパー22へ投入される。
泥土ホッパー22へ投入された泥土は、泥土フィーダ23により所定の流量により投入口24(図2参照)から分級機21へと投入される。
図2に示すように、分級機21の投入口24から投入された泥土は、分級機21内のネットコンベア26により排出口25にまで搬送される際に、ネットコンベア26の篩い目(網目)を通過する細粒分と、通過しない粗粒分とに分離される。このとき、ネットコンベア26には、分級機21の天井に配設された散水手段27dにより少量の清水が散水されるとともに、同じく分級機21の天井に複数配設された送気孔27bから高圧空気が吹き付けられている。このため、ネットコンベア26により搬送される泥土は、清水が散水されることにより洗浄され、高圧空気を吹き付けることにより泥土の粘性分を吹き飛ばして、分級分離効果の向上が図られている。なお、泥土の分級分離における清水の散水および高圧空気の吹き付けは、必要に応じて行えばよく、例えば、高圧空気の吹き付けのみを行うことや、水分と高圧空気とからなる混合ジェット水(混合体)を吹きつけることにより、分級分離を行ってもよい。
ネットコンベア26の篩い目を通過した細粒分は、分級機21の下層21bに設けられた細粒土砂受槽28に収容され、粗粒分はネットコンベア26により搬送されて排出口25から分級機21の外部に排出される。
<搬出工程>
分級機21の排出口25から排出された粗粒分は、ズリ缶31に投入される。図1に示すように、粗粒分が投入されたズリ缶31は、天井クレーン13により粗粒土砂ホッパー32にまで搬送されて、内部の粗粒分を粗粒土砂ホッパー32に投入する。そして、粗粒土砂ホッパー32に投入された粗粒分は、ダンプトラックなどにより搬出されて、建設発生土として再利用される。
一方、細粒土砂受槽28に収容された細粒分は、細粒土砂受槽28の細粒土砂フィーダ29(図2参照)により送泥ポンプ33へ所定の流量で輸送される。送泥ポンプ33に投入された細粒分は、この送泥ポンプ33により、送泥管34を介して細粒土砂ホッパー35へとポンプ圧送する。
そして、細粒土砂ホッパー35に投入された細粒分にセメントや石灰などの固化材を添加混合し、輸送可能な強度を付与した後、ダンプトラックなどにより搬出、あるいは、細粒土砂ホッパー35に投入された細粒分をそのまま箱ダンプ(産廃車)等により搬出して、廃棄物処分する。なお、分級分離工程において分離された細粒分を、直接送泥ポンプ33に投入して細粒土砂ホッパー35に圧送する構成としてもよい。
以上、本実施形態の掘削土砂の処理方法およびこれに使用する処理装置1によれば、泥土圧シールド工法によるトンネル掘削に伴い発生する泥土から、再利用可能な粗粒分を分離するため、産業廃棄物処分される泥土の量を削減し、その処分に要する費用を削減するとともに、処分に要する用地も削減することが可能となり、経済面と環境面に配慮した工事が可能となる。
また、加泥材として水溶性高分子セルロース系、高吸水性樹脂、アクリル系凝集剤、界面活性剤系等の非鉱物系加泥材を泥土の10%〜40%の範囲内で添加しているため、泥土の分級分離性能が向上し、泥土圧シールド工法によるトンネル掘削に伴う掘削土に関して、産業廃棄物として処分される泥土の量を大幅に削減することが可能となる。
また、前記掘削土砂の処理方法によれば、泥土を分級機21にかけるのみで、新たな改質材等を投入することなく泥土を粗粒分と細粒分とに分級分離することを可能としているため、改質材の投入に要する材料費や設備等の費用を削減するとともに、作業の手間も省け、簡易かつ安価に泥土の分級分離を行うことが可能となる。
また、分級機21は、高圧空気を泥土に吹き付ける送風手段27を備えているため、泥土の粘性分を高圧空気により吹き飛ばし、効率的に泥土の分級分離を行うことを可能としている。また、分級機21が散水手段27dを備えているため、泥土に少量の水分を散水(加水)することで泥土を洗浄し、分級分離効果を向上することを可能としている。
また、前記掘削土砂の処理装置1によれば、掘削土砂のトンネル坑内Tからの搬出から分級土砂の搬出までの一連の作業を、泥土搬送手段10、分級分離手段20、土砂搬出手段30を介して連続的に効率よく行うことが可能なため、トンネル掘削作業を妨げることがなく、好適である。
本発明に係る掘削土砂の処理装置の他の実施の形態として、図3に示すように、分級機21’の天井部分から、ネットコンベア26に紫外線を照射する、紫外線照射手段(分級分離向上手段)27’を備えた分級機21’を使用してもよい。
この構成により、ネットコンベア26により排出口25に搬送される泥土に紫外線を照射することが可能となり、高吸水性樹脂系、アクリル系凝集剤等からなる加泥材を使用した場合に、加泥材の分解を促進させることが可能となり、分級分離工程における泥土の分離性能を向上することが可能となる。
他の実施の形態におけるこの他の掘削土砂の処理装置の構成、処理手段の手順および作用効果等は、前記実施の形態で示した内容と同様なため、詳細な説明は省略する。
また、本発明に係る掘削土砂の処理方法において、分級機を介して粗粒分と細粒分とに分級分離する工程の直前に、土砂に粘性低下剤を添加する工程を含んでいてもよい。つまり、土砂を分級分離する直前に、酵素や消泡材等からなる粘性低下剤を添加することで、加泥材の効果が打ち消されて、土砂の粘性が低下されるため、分級機による分級分離効果がより向上する。粘性低下剤としては、限定されるものではないが、セルロース系の加泥材に対しては酵素、界面活性剤系の加泥材に対しては酵素または消泡材が効果的である。特に、セルロース系加泥材において、カルボキシメチルセルロースを主成分とした水溶性高分子系セルロースに対してはセルラーゼ酵素液、グアガムが主成分の天然高分子系セルロースに対してはマンナナーゼ酵素液が好適である。また、界面活性剤系の加泥材において、気泡材(B型)にはセルラーゼ酵素液、ゲル化気泡材(C型)に対してはマンナナーゼからなる消泡材が好適である。なお、セルラーゼ酵素液またはマンナナーゼ酵素液の添加率は、濃度が0.05%以上の溶液を、土砂1m当り0.5%以上より好ましくは1%以上とすれば、効果的である。
次に、本発明に係る掘削土砂の処理方法による実証実験結果について記載する。
本実証実験では、加泥材の添加率(添加量)に対するスランプ値と分離性について計測を行い、好適な加泥材の添加率について確認を行った。
本実証実験における加泥材としては、セルロース系(セルロース濃度12kg/m)とポリアクリルアミド系(ポリアクリルアミド濃度9kg/m)の2種類を使用した。
<スランプ試験結果>
図4(a)に、微細粒子(細粒分)の含有量が1.5%、5.4%、15.0%の試料土に、添加率0%〜50%の範囲内でセルロース系の加泥材を添加して、加泥材の添加率とスランプ値との関係を測定した実証実験結果を示す。また、図4(b)には、微細粒子の含有量が1.5%、5.4%、15.0%の試料土に、添加率0%〜50%の範囲内でポリアクリルアミド系の加泥材を添加して、加泥材の添加率とスランプ値との関係を測定した実証実験結果を示す。
掘削に適した泥土であるかの確認は、スランプ試験により判断する場合が多い。そして、旧鉄道建設公団は、圧送を考慮した場合のスランプ値の基準として、13cm〜20cmの範囲と定めている。
図4(a)および(b)に示すように、スランプ値の目標値を13cm〜20cmの範囲内に定めた場合、好ましい加泥材の添加量はセルロース系加泥材では、微細粒子の含有量が1.5%の試料土に対して26%〜40%、5.4%の試料土に対して15%〜25%、15.0%の試料土に対して10%〜22%という結果となった。また、ポリアクリルアミド系では、微細粒子の含有量が1.5%の試料土に対して28%〜40%、5.4%の試料土に対して22%〜37%、15.0%の試料土に対して18%〜30%という結果となった。したがって、適切なスランプ値を確保するための加泥材の投入量は、対象土の性状に応じて変化するが、好ましくは10%〜40%の範囲内であることが実証された。
<分離性試験結果>
図5に、間隙率22.2%の試料土に添加率0%〜50%の範囲内で加泥材を添加した、加泥材の添加率と泥土の分離性の関係を示す実証実験結果を示す。
図5には、加泥材の添加率が25%以下の場合細粒分と粗粒分との分離性が低く、大部分が粗粒分となる傾向が示されるのに対し、添加率が25%を超えると分離性が向上して、粗粒分と細粒分とに分離される傾向が示されている。そして、この分離性能は、加泥材の添加率が増加するに従い向上している。
したがって、泥土の分離性の観点からすれば、加泥材の添加量は25%以上であればよい。
さらに、セルロース系(水溶性高分子セルロース)、ポリアクリルアミド系(アクリル系凝集剤)、高吸水性樹脂系、天然高分子系(天然高分子セルロース)、気泡系(界面活性剤系加泥材)の加泥材について、添加率に対するスランプ値についての計測(第2スランプ試験)と添加率に対する分離性についての計測(第2分離性試験)を行い、好適な加泥材の添加率(添加量)について確認を行った。
本実証実験における加泥材は、セルロース系(セルロース濃度12kg/m)、ポリアクリルアミド系(ポリアクリルアミド濃度9kg/m)、高吸水樹脂系(高吸水樹脂濃度12kg/m)、天然高分子系(セルロース濃度12kg/m)、気泡系(気泡B型)、気泡系(ゲル化気泡C型)の6種類を使用した。なお、本実証実験では、セルロース系およびポリアクリルアミド系の加泥材の実験で使用した泥土と、高吸水性樹脂系、天然高分子系および気泡系の加泥材の実験で使用した泥土とは異なる土質のものを使用しているため、添加率0%の時の粗粒分の量が異なる結果を示している。
<第2スランプ試験結果>
図6に、前記各加泥材の添加率とスランプ値との関係を測定した実証実験結果を示す。
図6に示すように、いずれの加泥材についても、添加率を5%以上とすることでスランプ値が向上し、加泥材投入の効果が現れることが確認された。そして、スランプ値の目標値を13cm〜20cmの範囲内に定めた場合、好ましい加泥材の添加量はセルロース系加泥材では26%〜40%、ポリアクリルアミド系では28%〜40%、高吸水樹脂系加泥材では20%〜30%、天然高分子系では15%〜30%、気泡系(B型)では13%〜15%、気泡系(C型)では14%〜20%という結果となった。したがって、加泥材の効果は添加率が5%以上でその効果が現れ、適切なスランプ値を確保するための加泥材の添加率は、加泥材の種類、対象土の性状に応じて変化するが、40%以下が好ましいことが実証された。
<第2分離性試験結果>
図7に、前記各加泥材の添加率と泥土の分離性の関係を示す実証実験結果を示す。
図7に示すように、セルロース系加泥材、ポリアクリルアミド系加泥材および天然高分子系加泥材については、添加率が25%以下の場合細粒分と粗粒分との分離性が低く、大部分が粗粒分となる傾向が示されるのに対し、添加率が25%〜45%の範囲内では分離性が向上して、粗粒分と細粒分とに分離される傾向が示されている。
一方、高吸水樹脂系加泥材および気泡系加泥材(B型およびC型)については、添加率が15%以下の場合細粒分と粗粒分との分離性が低く、大部分が粗粒分となる傾向が示されるのに対し、添加率が15%を超えると分離性が向上して、粗粒分と細粒分とに分離される傾向が示されている。
したがって、泥土の分離性の観点からすれば、加泥材の添加量は15%以上、より好ましくは25%以上であればよい。
以上の実証実験により、加泥材の好ましい添加率は、5%〜40%の範囲内、好ましくは、10%〜40%の範囲内、より好ましくは25%〜40%の範囲内であれば、必要なスランプ値を確保し、かつ、分離性に優れた泥土を生成することが可能であることが実証された。
次に、泥土を分級分離する工程の直前に、粘性低下剤を添加する工程を含むことによる分級分離効果向上の確認を目的として、粘性低下剤を添加した泥土と添加しない泥土についてそれぞれ分離性試験(第3分離性試験)を行い、比較を行った。第3分離性試験では、加泥材としてセルロース系加泥材(濃度1.4%)、天然高分子系加泥材(濃度1.2%)、気泡系B型加泥材(5倍発泡)、気泡系C型加泥材(5倍発泡)を使用し、粘性低下剤として酵素液または消泡材を使用した。表1に第3分離性試験結果を示す。
Figure 0004594899
表1に示すように、いずれの加泥材においても、粘性低下剤を添加した方が、添加していない場合に比較して分離後の含水比およびシルト分が低下しており分離分級効果が向上していることが示されている。したがって、泥土を分級分離する工程の直前に、粘性低下剤を添加する工程を含んでいれば、土砂の粘性が低下されて、土砂の分級分離効果が向上することが実証された。
さらに、酵素液の添加率を変化させて分離性試験(第4分離性試験)を行うことで、好適な酵素液の添加率の確認を行った。第4分離性試験では、加泥材として、セルロース系加泥材(濃度1.4%)または天然高分子系加泥材(濃度1.2%)を使用し、酵素液の濃度および添加率を変化させてその分離性を測定した。表2に第4分離性試験の結果を示す。
Figure 0004594899
表2に示すように、天然高分子の加泥材に対して、酵素濃度が0.05%の酵素液を泥土1m当り0.5%添加した場合(NO.1)、篩分けが可能であるものの、酵素濃度が0.05%の酵素液を泥土1m当り1%添加した場合(NO.2)に比べて細粒分が少ない結果となった。また、セルロース系加泥材に対して酵素濃度が0.1%の酵素液を泥土1m当り1%添加した場合(NO.4)についても、NO.1よりも細粒分が多く、分離性が良い結果となった。また、NO.3は、セルロース系加泥材に対して酵素濃度が0.05%の酵素液を泥土1m当り0.5%添加した結果、分離効果を得ることができなかったため、さらに0.05%の酵素液を泥土1m当り0.5%添加したものである。これにより、好適な分離性を得ることができた。
以上により、泥土を分級分離する工程の直前に、酵素液または消泡材等の粘性低下剤を添加する工程を含めることにより、泥土の分離性が向上することが実証された。そして、粘性低下剤を添加する工程において、酵素液の添加率が0.05%溶液を1m当り0.5%以上、好ましくは1%以上であれば、泥土の分離性が向上することが実証された。
以上、本発明について、好適な実施形態について説明した。しかし、本発明は、前述の各実施形態に限られず、前記の各構成要素については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜設計変更が可能であることはいうまでもない。
例えば、前記各実施形態では、本発明に係る掘削土砂の処理方法を、泥土圧シールド工法による掘削工事に採用するものとしたが、地山の掘削に伴い掘削土砂に加泥材を加えるあらゆる掘削工法に本発明の掘削土砂の処理方法が適用可能であることはいうまでもない。
また、前記各実施形態では、高圧空気および水分を吹き付けることや、紫外線を照射することなどにより、泥土の分級分離効果を向上させるものとしたが、これらの分級分離向上手段を要することなく泥土の分級分離を行うことが可能な場合は、必ずしも分級分離向上手段を必要としないことはいうまでもない。
また、分級分離機に配置される分級分離向上手段の数や組み合わせ等は限定されるものではなく、適宜設定すればよいことはいうまでもない。
また、前記各実施形態では、切羽コンベアや天井クレーン等を利用して泥土を分級機まで搬送する構成としたが、例えば泥土を分級機までポンプ圧送する方式を採用してもよく、泥土搬送手段の構成は限定されるものではない。
また、前記各実施形態では、泥土の分級機として、ネットコンベアを使用した無振動分級機を使用するものとしたが、分級機の構成は限定されるものではなく、例えば公知の泥水式で使用する振動篩等を使用してもよい。
また、各設備の配置等は限定されるものではなく、例えば、分級分離手段の近傍に粗粒土砂ホッパーおよび細粒土砂ホッパーを配置すれば、土砂搬出手段を介することなく、分級分離手段から直接粗粒土砂ホッパーまたは細粒土砂ホッパーに分級分離された粗粒分または細粒分を投入することが可能であることはいうまでもない。同様に分級分離手段を立坑外において、粗粒土砂ホッパー及び細粒土砂ホッパーの近傍に配置することによりズリ缶や送泥ポンプ等の搬送手段を省略する構成としてもよいことはいうまでもない。
また、土砂搬出手段の構成は、前記実施形態に示したものに限定されるものではないことはいうまでもない。
また、前記各実施形態では、加泥材として水溶性高分子セルロース系、高吸水性樹脂、アクリル系凝集剤、界面活性剤系等の非鉱物系加泥材を泥土の10%〜40%の範囲内で添加するものとしたが、非鉱物系加泥材の添加量は、泥土の5%〜40%の範囲内であれば、前記の範囲に限定されるものではない。
本発明に係る実施の形態の掘削土砂の処理方法とこの処理方法に使用する掘削土砂の処理装置を示す概略図である。 本発明に係る実施の形態の分級機の詳細を示す概略図である。 他の実施の形態に係る分級機を示す概略図である。 加泥材の投入量と掘削土砂のスランプ値との関係を示すグラフであって、(a)はセルロース系加泥材を使用した場合、(b)はポリアクリルアミド系加泥材を使用した場合を示す。 加泥材の投入量と掘削土砂の粗粒分の分離性を示すグラフである。 加泥材の投入量と掘削土砂のスランプ値との関係を示すグラフである。 加泥材の投入量と掘削土砂の粗粒分の分離性を示すグラフである。
符号の説明
1 処理装置
2 掘進機
10 泥土搬送手段
11 切羽コンベア
12 台車
13 天井クレーン
20 分離分級手段
21,21’ 分級機
26 ネットコンベア(篩)
27 送風手段(分級分離向上手段)
27’ 紫外線照射手段(分級分離向上手段)
27d 散水手段(分級分離向上手段)
S 立坑
T トンネル坑内

Claims (6)

  1. 掘削土砂に非鉱物系加泥材を添加混練して泥土を生成する工程と、
    前記泥土を、分級機を介して粗粒分と細粒分とに分級分離する工程と、を含む掘削土砂の処理方法であって、
    前記泥土を分級分離する工程において、該泥土に紫外線を照射することを特徴とする、掘削土砂の処理方法。
  2. 前記非鉱物系加泥材の添加量が前記泥土の5%から40%の範囲内であることを特徴とする、請求項1に記載の掘削土砂の処理方法。
  3. 前記非鉱物系加泥材の添加量が前記泥土の10%から40%の範囲内であることを特徴とする、請求項1に記載の掘削土砂の処理方法。
  4. 前記泥土を分級分離する工程の直前に、酵素液または消泡材を添加する工程を含むことを特徴とする、請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の掘削土砂の処理方法。
  5. 前記酵素液または前記消泡材の添加量が前記泥土1m当り0.5%以上であることを特徴とする、請求項に記載の掘削土砂の処理方法。
  6. 前記酵素液の酵素濃度が0.05%以上であることを特徴とする、請求項に記載の掘削土砂の処理方法。
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