JP4361423B2 - 樹脂シート構造物およびそれを用いた多層配線板の製造方法 - Google Patents

樹脂シート構造物およびそれを用いた多層配線板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、加熱加圧時に流動性を示し、耐熱性材料として使用でき、積層の際に取扱い容易な樹脂シート構造物および前記樹脂シート構造物を用いた多層配線板の製造方法に関する。
近年、電子機器の小型化軽量化が著しく進み、その一方で一段と高機能化が図られている。こうした要求に応えるため、半導体素子を搭載する電子回路基板には電気配線の一層の高密度化が求められ配線の引き回しは複雑の一途を辿っている。また、より高速の電気信号を通すため電気配線の線路長には一層の短線化が求められ、それに応じて熱膨張係数の小さな半導体素子がこれまでよりも近接して電子回路基板に搭載されることが必要となってきた。このような状況により、電子回路基板の層間絶縁層として用いられている樹脂にはかつてない複雑で大きな応力が加わることになり、樹脂内のクラック発生が大きな問題となっている。
従来そうした回路基板の層間絶縁樹脂としてはエポキシ樹脂が使用されている。エポキシ樹脂は流動性が高く取扱いが容易なため広く電子材料用途に使用されているが、熱膨張係数は小さくはなく、また、熱硬化性樹脂のため引張強伸度などの機械特性は十分ではない。熱膨張係数を下げる方法としては、シリカなど低熱膨張係数を持ったフィラー成分の混合などが常套手段として用いられるが、こうした方法では逆に引張強伸度特性を損ない脆い材料となってしまうため、クラック問題の解決には十分ではなかった。
一方、ポリエーテルエーテルケトンや液晶ポリマーなどの熱可塑性樹脂を電子回路基板の層間絶縁膜に使用という試みがここ数年行なわれている。これらは概して良好な機械特性を有する。こうした樹脂の一つとして熱可塑性ポリイミドシートが提案されている。ポリイミドは、一般に、高いガラス転移温度/高い耐薬品性/優れた機械物性/優れた電気特性などを有する材料として電子回路用の基材や層間絶縁樹脂層として広く使用されてきた。しかしながら電子回路用基板に適した温度で圧着するための熱可塑性をポリイミドに付与しようとするとポリイミドのガラス転移温度を著しく下げざるを得ず、また、ポリイミドの他の特徴である低線熱膨張係数が損なわれることとなる。さらに、溶剤可溶なポリイミドをコーティングして絶縁層を成膜する方法もあるが、溶剤可溶性をポリイミドに付与しようとすると、例えば、屈曲性の高い構造を持った化合物や溶剤に親和性の高い構造を持った化合物を分子鎖に導入することになり、その結果、耐熱性や耐薬品性や機械物性が低下するなどポリイミドの本来の性能を損なうことが多かった。
ポリイミドを使用する方法として、加工時にはポリイミド前駆体であるポリアミド酸を使用し、その後加熱処理によりポリイミドに転換するという方法がある。この方法を用いると、ポリアミド酸の状態では溶剤可溶であるため、加工性が容易であり、さらに耐熱性や耐薬品性の問題のない分子構造を選択することが可能である。こういった材料として、古くより、溶剤に溶解したポリアミド酸ワニスが知られているが、ワニスの状態では吸湿による粘度安定性に乏しいため、使用時以外はワニスを冷蔵や冷凍保存しなければならなかったり、コーティングの際の膜厚制御に困難を伴う上、使用者側で多量の溶剤を揮発させなければならず煩雑だった。
上記の問題を克服するため、ポリアミド酸ワニス溶液を乾燥して自立フィルムとして成膜し、使用する技術が開示されている(特許文献1参照)。しかし、ポリアミド酸は極性が高いためにシートにした状態でも吸湿性が高く、そのままでは保存安定性に欠ける問題がある。
一方、離型フィルム上に形成されたポリアミド酸フィルムを使用する技術が開示されている(特許文献2参照)。しかしながら、開示されている技術では、加圧によって層間絶縁層を形成するために十分な流動性を確保するにはポリアミド酸のイミド化率が高すぎて実用的でなく、ポリアミド酸ポリマーの還元粘度が高すぎるとさらに流動性を損なう。また、層間膜として使用する場合に必要な機械特性については何ら記載がなく、上記の流動性低下の問題を避けるために還元粘度を下げすぎると、十分な機械物性が得られない問題があるが、それらに対しては何ら解決策が示されていなかった。
特許第2672906号公報 特開平4−226544号公報
本発明は、ポリイミドが本来持つ高いガラス転移温度、高い耐薬品性、優れた機械物性を損なわずに電子回路基板用に使用可能な温度での加圧時に流動性があり、従って、逐次積層工程が可能であり、製造時の粘度安定性が良好で保存時の吸湿などの安定性に優れている樹脂構成物、およびそれを用いた多層配線板の製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定の還元粘度を持ち、特定の割合以下でイミド化されているポリアミド酸、および、前記のポリアミド酸と混合し特定の沸点を有する低分子化合物を含むことを特徴とする樹脂組成物を離型フィルム上に形成させた樹脂シート構造物が、その目的に適合しうることを見いだし、この知見に基づいて本発明をなすに至った。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
(1)a)ジカルボン酸無水物(以下MAと略称する)とテトラカルボン酸二無水物(以下DAと略称する)とジアミンとの反応生成物からなるポリアミド酸であって、DAとMAのモル比MA/DAが0.001〜0.15であり、MA及びDAが有する酸無水物基の合計(以下Aと略称する)とジアミンが有するアミノ基(以下Bと略称する)のモル比A/Bが0.9〜1.1であり、イミド化率が10%以下であり、かつ濃度0.5g/dlのN−メチル−2−ピロリドン溶液として30℃にて測定した還元粘度が0.5〜2.0dl/gの範囲にあるポリアミド酸と、b)沸点が100℃以上250℃以下の低分子化合物とを含み、a)成分とb)成分の和100質量部を基準として、a)成分が60〜90質量部でありb)成分が10〜40質量部である樹脂組成物層がフィルム上に形成されている樹脂シート構造物。
(2)(1)の樹脂シート構造物よりフィルムを剥離して基板に逐次積層し、積層後に低分子化合物を除去して、更に配線層を形成した多層配線板の製造方法。
本発明の樹脂シート構造物は、フィルム上に形成した構造となっているため吸湿しにくく、貯蔵時や電子回路基板製造工程での使用時の安定性に優れ、シート状であるため電子回路基板製造工程での取扱い性にも優れ、さらに、特定の還元粘度と特定割合以下のイミド化率を有し特定割合の低分子化合物を含有するため、電子回路基板製造工程へ適用するために必要な加熱加圧条件での流動性を有する一方で、積層後にイミド化を進行させた後には十分な耐熱性や耐薬品性や機械物性を持った層間絶縁樹脂層を得ることができる。さらに、樹脂の粘度安定性が高いためシート構造物製造時に安定して扱うことができる。
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明の樹脂シート構造物は樹脂組成物層とフィルムからなる。該樹脂組成物におけるa)成分であるポリアミド酸は、ジカルボン酸無水物とテトラカルボン酸二無水物とジアミンとを反応させることにより得られる。ジカルボン酸無水物としては、無水フタル酸、ベンゾフェノンジカルボン酸無水物、ナフタレンジカルボン酸無水物、アントラセンジカルボン酸無水物、無水マレイン酸、無水コハク酸などが挙げられる。テトラカルボン酸二無水物としては、ピロメリット酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、オキシジフタル酸二無水物などが挙げられる。ジアミンとしては、フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、ジアミノジフェニルエーテル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパンなどが挙げられる。
本発明に使用する好ましいテトラカルボン酸二無水物はピロメリット酸二無水物、ベンゾフェノン−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物およびビフェニル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物であり、本発明に好ましいジアミンは4,4’−ジアミノジフェニルエーテルおよび2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパンである。更に、ジカルボン酸無水物とテトラカルボン酸二無水物とジアミンは、それぞれ1種又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
これらの原料を反応させて得られるポリアミド酸は、ジカルボン酸無水物及びテトラカルボン酸二無水物が有する酸無水物基の合計とジアミンが有するアミノ基のモル比A/Bが0.9〜1.1であることが好ましい。機械物性の観点からA/Bが0.9以上および1.1以下であることが好ましい。また、DAとMAのモル比MA/DAは0.001〜0.15であることが好ましい。加熱加圧時の流動性の観点からMA/DAが0.001以上が好ましく、機械物性の観点からMA/DAが0.15以下が好ましい。MA/DAは0.005〜0.10がより好ましく、最も好ましくは0.01〜0.06である。
これらのポリアミド酸は、濃度0.5g/dlのN−メチル−2−ピロリドン溶液として30℃で測定した還元粘度が0.5〜2.0dl/gの範囲にあることが好ましい。加熱加圧時の流動性の観点からポリアミド酸の還元粘度が2.0dl/g以下が好ましく、機械物性の観点から還元粘度が0.5dl/g以下が好ましい。より好ましい還元粘度は、0.8〜2.0dl/gであり、さらに好ましくは1.1〜1.5dl/gである。
なお、本発明における還元粘度は、樹脂シート構造物を作成後に樹脂組成物をフィルムより剥離して、熱天秤にてポリアミド酸質量を算出した後に、ポリアミド酸の濃度が0.5g/dlのN−メチル−2−ピロリドン溶液を調整して、柴田科学株式会社製の粘度計番号1のウベローデ粘度管を使用し、温度30℃±1℃の恒温水槽中で測定する。0.5g/dlのN−メチル−2−ピロリドン溶液には低分子化合物が含まれるが、N−メチル−2−ピロリドン溶液の希薄溶液であるため還元粘度にほとんど影響はない。
樹脂組成物中のポリアミド酸質量は、熱天秤法にて求める。作成した樹脂シートから樹脂組成物を剥離し、樹脂組成物10mgを窒素気流下・昇温速度10℃/分で700℃まで熱天秤で測定し、400℃での残質量をポリイミド質量とする。イミド環形成時に生成する水分量を、加熱前のポリアミド酸のイミド化率をもとに樹脂組成物中のアミド基1モルから水1モルが生成するとして算出し、先のポリイミド質量に水分量を加えてポリアミド酸の質量とする。
本発明のポリアミド酸は溶媒中にジアミン、ジカルボン酸無水物およびテトラカルボン酸二無水物を添加した溶液から重合することができる。この場合、溶液中のポリアミド酸濃度は10質量%から30質量%であることが好ましい。樹脂シート構造物を作成する際に多量の溶媒を揮散させる必要が生じるという観点から、溶液中のポリアミド酸濃度は10質量%以上が好ましい。成形加工性、保存安定性などの観点から溶液中のポリアミド酸濃度は30質量%以下が好ましい。
これらのポリアミド酸は、アミド酸部位のイミド化率が10%以下であることが好ましい。10%を越えてイミド化されたポリアミド酸からなる樹脂組成物では、積層後に低分子化合物を除去する工程においてクラックを発生したり、積層する工程での加熱加圧時に十分に流動しないことがある。
なお、本発明において、ポリアミド酸のイミド化率は、IR法で以下のようにして求めるものとする。使用する測定器は、Thermo Nicolet Corporation製Centaurusで、Ge結晶を使用したATR法で測定する。Journal of Polymer Science:Part A:Polymer Chemistry,Vol.27,711−724(1989)に倣い、1500cm−1近傍のベンゼン環に基づくピークを基準とし、1380cm−1近傍のイミド環生成に基づくピークの吸光度との比からイミド化率を求める。すなわち、それらのピーク前後でピークの谷と谷を結ぶように適宜ベースラインを引き、それぞれのピークからそのベースラインへ降ろした線とベースラインとの交点からピークまでの高さをそれぞれの吸光度と定義し、本発明の樹脂シート構造物に使用されている樹脂組成物の1380cm−1の吸光度をB1、1500cm−1の吸光度をB2とする。一方、本発明の樹脂シート構造物を窒素雰囲気で300℃60分間熱処理した際の該樹脂組成物の1380cm−1における吸光度をA1、1500cm−1の吸光度をA2とする。イミド化率Cは、300℃60分間処理時のそれを100として、((B1/B2)/(A1/A2))×100(%)の式で算出される。また1380cm−1の吸収が低分子化合物の吸収と重なる場合は、1720または1780cm−1の吸収が利用できる。
本発明の樹脂シート構造物におけるb)成分である、沸点が100℃以上250℃以下の低分子化合物としては、前記のポリアミド酸と混合する有機溶媒が好ましい。例として、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラメチル尿素等が挙げられる。本発明に使用する好ましい低分子化合物は、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルホルムアミドおよびN−メチル−2−ピロリドンである。これらは単独、または2種以上を混合して用いることができる。また、シート成形性を改良する目的で、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、アニソール、スルホラン、キシレン、トルエン、メシチレン等を加えても良い。
本発明で用いられる樹脂組成物においては、ポリアミド酸と低分子化合物の和100質量部を基準として、ポリアミド酸が60〜90質量部であり低分子化合物が10〜40質量部であることが好ましい。加熱加圧時の流動性の観点から低分子化合物は10質量部以上が好ましく、シート強度およびシートがべた付くことによる取扱い性の観点から低分子化合物は40質量部以下が好ましい。なお、本発明で用いられる樹脂組成物中の低分子化合物の割合は、熱天秤法による測定で求めるものとする。作成した樹脂シートから樹脂組成物を剥離し、該樹脂組成物10mgを窒素気流下、室温から昇温速度10℃/分で700℃までの質量の変化を熱天秤で測定し、400℃での残質量をポリイミド質量とし、加熱により飛散した残り分を400℃までの揮発分とする。イミド環形成時に生成する水分量を、加熱前のポリアミド酸のイミド化率をもとに樹脂組成物中のアミド基1モルから水1モルが生成するとして算出し、先の揮発分から水分量を除いて低分子化合物の質量とする。
本発明で用いられる樹脂組成物には、用途に応じて添加剤を加えることも可能である。この添加剤としては、脱水剤、イミド化触媒、シリカなどのフィラー、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂、ポリアミドなどの熱可塑性樹脂、単官能または多官能単量体、有機過酸化物などの各種反応触媒、シランカップリング剤などの表面改質剤などが挙げられる。
本発明の樹脂シート構造物は、樹脂組成物層がフィルム上に形成されることにより、保管や使用時の樹脂組成物層間の融着や圧着、樹脂組成物層の吸湿、樹脂組成物層へのゴミの付着、などを防ぎ、また積層時の樹脂組成物層の取扱いを容易にする。該フィルムは、その上への樹脂組成物層の形成時に問題がなく、かつ、剥離可能なものであれば特に限定されるものではなく、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド、などといったポリマーフィルム、さらには金属箔などが挙げられる。これらの厚みは特に限定されるものではない。
また、本発明で用いられるフィルムとしては、用途に応じて離型層付きの支持ベースフィルムを使用することができる。支持ベースフィルムとしては、前述のポリマーフィルムなどが挙げられる。離型層としては、樹脂ワニスの特性に合わせて 公知慣用のシリコーン系、又は非シリコーン系の離型剤が使用でき、その厚みは0.1〜3μmが一般的である。
本発明において、フィルム上に樹脂組成物層を形成する方法は、フィルム上に該樹脂組成物を溶媒に溶解させたワニス(以下、樹脂ワニスともいう。)をロータリーコーター、ナイフコーター、ドクターブレード、フローコーター等の公知の塗布手段を用いてフィルム上面から1〜600μmの均一な厚さに流延塗布した後、後述のように加熱することにより得ることが出来る。また、フィルム上に樹脂組成物層を形成させ、さらに、他のフィルム上に形成された同一組成または異なる組成の樹脂組成物層を、樹脂面を合せ、必要に応じて、この間にフィルムを剥離した樹脂組成物層を所定枚数挿入し、同時に加熱・圧着し、厚みの厚い樹脂組成物シートを得ることも出来る。
本発明において、樹脂ワニスを加熱してフィルム上に樹脂組成物層を形成させる条件としては、60〜130℃、5〜30分が通常使用されるが、その結果得られた樹脂組成物層のa)成分とb)成分の量比、及びイミド化率が前記範囲にある限り特に限定されない。
樹脂組成物層の加熱形成後の厚みとしては、5〜80μmが好ましい。熱処理に伴う収縮による応力がフィルムの支持力を上回り、乾燥中にカールを生じさせる観点から80μm以下が好ましい。また樹脂組成物層が厚いため樹脂ワニス中の溶剤の蒸発速度が遅く、生産性が低下することを考慮し、80μm以下が好ましい。一方、機械物性の観点から5μm以上が好ましい。
樹脂組成物層とフィルムとからなる本発明の樹脂シート構造物は、そのまま、または、樹脂組成物層の他の面に保護フィルムをさらに重ね、ロール状に巻きとって貯蔵される。
本発明の多層配線板の製造方法は、本発明の樹脂シート構造物を樹脂組成物層側を導体形成基板に貼合せ加工後に、更に、樹脂組成物層中のb)成分の低分子化合物を除去し、それと同時に、または、それに引き続いてイミド化を進行させることで行う。
導体形成基板は、エポキシ樹脂、熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂などの樹脂基板、更に前記樹脂とガラスクロス、不織布などで補強された樹脂複合基板およびポリイミド、液晶ポリマーなどのフレキシブル基板に金属箔や鍍金にて導体を形成したものが挙げられる。
貼合せ加工には、通常利用可能なプレス機やロールラミネーターが使用でき、その加工条件としては、樹脂シート構造物を樹脂層が導体形成基板に向くように重ね合わせ、プレス形式の場合は80〜180℃、0.5〜9.8MPa、0.1〜30分、ロールラミネーターの場合は80〜180℃、0.1〜4.9MPa、0.1〜10m/分、といった条件で加熱圧着する。特に温度としては、樹脂組成物層形成時の加熱温度よりも+50℃を超えない程度の温度で実施することが、揮発物の発生を抑制するので好ましい。
b)成分の低分子化合物の除去方法としては乾式処理と湿式処理が挙げられる。乾式処理としては、フィルムを剥離して熱処理で行うことができる。熱処理温度としては基材の耐熱性に応じて選択できる。また熱処理時間としては用途に応じて選択できる。
例えばガラスクロス補強エポキシ樹脂硬化基板に積層した場合は、熱処理温度は100〜260℃、時間は10〜500分である。熱処理温度として十分高温が選ばれた場合には、該熱処理によって低分子化合物の除去とイミド化進行の両方が達成される。また湿式処理としては、用いた低分子化合物に応じて水、アルコールなどで低分子化合物を抽出した後、低温で乾燥することができる。この場合には、それに引き続いて加熱処理を行うことによりイミド化を進行させることが出来る。
本発明の樹脂シートを積層した本発明の多層配線板は、レーザー加工などの乾式処理またはアルカリエッチングなどの湿式処理を実施して導体形成基板とのビアを形成した後、鍍金、スパッタリングなどの方法で更なる導体形成も可能である。
次に、実施例および参考例によって本発明を説明する。
樹脂組成物をイミド化反応させて得たフィルム(以下、ポリイミドフィルムという。)の機械物性は、引張強伸度曲線の破断点伸度で評価した。窒素下300℃60分間熱処理して作成した厚さ10μmのフィルムを用意し、サンプル幅3mm、引張り速度40mm/分の条件で測定した。
樹脂組成物層の流動性は、ポリエステルフィルム上に形成した樹脂組成物層を10cm角のシートに切断し、圧力2.9MPa、170℃で10分間プレスした後に、シート外に流れ出した樹脂組成物の質量%で評価した。樹脂組成物が十分な流動性を示す観点から、流動性が5.0質量%以上であることが好ましい。
[実施例1]
ステンレススチール製の碇型撹拌器を取り付けた容量500mlのガラス製のセパラブル3つ口フラスコに、水分吸収用シリカゲル乾燥管を取り付けた。このフラスコに和光純薬工業株式会社製N−メチル−2−ピロリドン(脱水)(以下NMPと略す)347.9g、和歌山精化工業株式会社製4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(以下ODAと略す)27.5gを室温にて加え、撹拌・溶解した後に、氷水にてフラスコを冷却した。フラスコ内の液体の温度が5℃になった際に、和光純薬工業株式会社製無水フタル酸(以下PAと略す)0.5gを加え5分間撹拌後にダイセル化学工業株式会社製3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸ニ無水物(以下BTDAと略す)43.7gをフラスコに除々に加え、氷水で冷却しながら8時間撹拌した(A/B=1.0、MA/DA=0.026)。反応終了後のポリアミド酸の還元粘度は、1.27dl/gであった。
この樹脂ワニスを用いて得たポリイミドフィルムの破断点伸度は49%であった。
この樹脂ワニスを80℃に保温された平滑なプレートに保持されたポリエステルフィルム上に塗布して30分放置後、空気循環式の乾燥炉で100℃30分乾燥して樹脂シート構造物を得た。乾燥後の樹脂組成物層の厚さは40μmであった。この樹脂組成物層の組成を分析した結果、イミド化率3%で還元粘度1.08dl/gのポリアミド酸75.5質量部、NMP24.5質量部であった。
この樹脂組成物層の流動性は8.5質量%であり、良好な流動性であった。
ポリエステルフィルムから剥離した樹脂組成物の昇温速度10℃/分、窒素下で熱天秤を用いた400℃での質量を基準とした5%減量温度は571℃であり、生成したポリイミド樹脂の耐熱性は良好であった。
この樹脂シート構造物を樹脂組成物層側を基板に向けてパターニング加工した5cm角のFR−4基板に、90℃、10分、4.9MPaで真空プレスした後、ポリエステルフィルムを剥離して、空気循環式の乾燥炉で200℃90分の熱処理を実施したが、樹脂組成物は基板表面の凹凸に追従して充填されており、基板表面には微細クラックおよびボイドなどの欠陥は見られなかった。
この樹脂ワニスを室温にて5日間保管した後のポリアミド酸の還元粘度は、1.27dl/gであった。
[実施例2]
ステンレススチール製の碇型撹拌器を取り付けた容量300mlのガラス製のセパラブル3つ口フラスコに、水分吸収用シリカゲル乾燥管を取り付けた。このフラスコにNMP256.3g、ODA13.5gを室温にて加え、撹拌・溶解した後に、氷水にてフラスコを冷却した。フラスコ内の液体の温度が5℃になった際に、PA0.3gを加え5分間撹拌後にBTDA21.4gをフラスコに除々に加え、氷水で冷却しながら8時間撹拌した(A/B=1.0、MA/DA=0.026)。反応終了後のポリアミド酸の還元粘度は、0.85dl/gであった。
この樹脂ワニスを用いて得たポリイミドフィルムの破断点伸度は35%であった。
この樹脂ワニスを80℃に保温された平滑なプレートに保持されたポリエステルフィルム上に展開して30分放置後、空気循環式の乾燥炉で100℃30分乾燥して樹脂シート構造物を得た。乾燥後の樹脂組成物層の厚さは40μmであった。この樹脂組成物層の組成を分析した結果、イミド化率4%で還元粘度0.73dl/gのポリアミド酸74.0質量部、NMP26.0質量部であった。
この樹脂組成物層の流動性は10.0質量%であり、良好な流動性であった。
ポリエステルフィルムから剥離した樹脂組成物の昇温速度10℃/分、窒素下で熱天秤を用いた400℃での質量を基準とした5%減量温度は571℃であり、生成したポリイミド樹脂の耐熱性は良好であった。
この樹脂シート構造物を樹脂組成物層側を基板に向けて、パターニング加工した5cm角のFR−4基板に、130℃、2分、4.9MPaでプレスした後、ポリエステルフィルムを剥離して、空気循環式の乾燥炉で200℃90分の熱処理を実施したが、樹脂組成物は基板表面の凹凸に追従して充填されており、基板表面には微細クラックおよびボイドなどの欠陥は見られなかった。
この樹脂ワニスを室温にて5日間保管した後のポリアミド酸の還元粘度は、0.85dl/gであった。
[実施例3]
ステンレススチール製の碇型撹拌器を取り付けた容量300mlのガラス製のセパラブル3つ口フラスコに、水分吸収用シリカゲル乾燥管を取り付けた。このフラスコにNMP208.8g、和歌山精化工業株式会社製2、2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(以下BAPPと略す)33.8gを室温にて加え、撹拌・溶解した後に、氷水にてフラスコを冷却した。フラスコ内の液体の温度が5℃になった際に、PA0.3gを加え、更に5分後にBTDA26.2gをフラスコに除々に加え、氷水で冷却しながら7時間撹拌した後、更に室温にて1時間撹拌した(A/B=1.0、MA/DA=0.026)。反応終了後のポリアミド酸の還元粘度は、1.59dl/gであった。
この樹脂ワニスを用いて得たポリイミドフィルムの破断点伸度は29%であった。
この樹脂ワニスを80℃に保温された平滑なプレートに保持されたポリエステルフィルム上に展開して30分放置後、空気循環式の乾燥炉で100℃30分乾燥して樹脂シート構造物を得た。乾燥後の樹脂組成物層の厚さは40μmであった。この樹脂組成物層の組成を分析した結果、イミド化率5%で還元粘度1.34dl/gのポリアミド酸30.5質量部、NMP29.5質量部であった。
この樹脂組成物層の流動性は14.6質量%であり、良好な流動性であった。
この樹脂シート構造物を樹脂組成物層側を基板に向けて、0.8mm厚の10cm角のFR−5基板に、130℃、2分、2.9MPaでプレスした後、ポリエステルフィルムを剥離して、空気循環式の乾燥炉で200℃90分の熱処理を実施したが、基板表面には微細クラックおよびボイドなどの欠陥は見られなかった。
この樹脂ワニスを室温にて5日間保管した後のポリアミド酸の還元粘度は、1.59dl/gであった。
[実施例4]
ステンレススチール製の碇型撹拌器を取り付けた容量300mlのガラス製のセパラブル3つ口フラスコに、水分吸収用シリカゲル乾燥管を取り付けた。このフラスコにNMP208.8g、BAPP33.8gを室温にて加え、撹拌・溶解した後に、氷水にてフラスコを冷却した。フラスコ内の液体の温度が5℃になった際に、PA0.3gを加え、更に5分後にダイセル化学工業株式会社製ピロメリット酸ニ無水物(以下PMDAと略す)17.7gをフラスコに除々に加え、氷水で冷却しながら7時間撹拌した後、更に室温にて1時間撹拌した(A/B=1.0、MA/DA=0.026)。反応終了後のポリアミド酸の還元粘度は、1.71dl/gであった。
この樹脂ワニスを用いて得たポリイミドフィルムの破断点伸度は69%であった。
この樹脂ワニスを80℃に保温された平滑なプレートに保持されたポリエステルフィルム上に展開して30分放置後、空気循環式の乾燥炉で100℃30分乾燥して樹脂シート構造物を得た。乾燥後の樹脂組成物層の厚さは40μmであった。この樹脂組成物層の組成を分析した結果、イミド化率5%で還元粘度1.46dl/gのポリアミド酸71.5質量部、NMP28.5質量部であった。
この樹脂組成物層の流動性は7.6質量%であり、良好な流動性であった。
この樹脂シート構造物を樹脂組成物層側を基板に向けて、0.8mm厚の10cm角のFR−5基板に、130℃、2分、2.9MPaでプレスした後、ポリエステルフィルムを剥離して、空気循環式の乾燥炉で200℃90分の熱処理を実施したが、基板表面には微細クラックおよびボイドなどの欠陥は見られなかった。
この樹脂ワニスを室温にて5日間保管した後のポリアミド酸の還元粘度は、1.71dl/gであった。
[実施例5]
ステンレススチール製の碇型撹拌器を取り付けた容量500mlのガラス製のセパラブル3つ口フラスコに、水分吸収用シリカゲル乾燥管を取り付けた。このフラスコにNMP347.9g、ODA27.5gを室温にて加え、撹拌・溶解した後に、氷水にてフラスコを冷却した。フラスコ内の液体の温度が5℃になった際に、PA0.5gを加え、更に5分後にビフェニル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物(以下BPDAと略す)39.9gをフラスコに除々に加え、氷水で冷却しながら7時間撹拌した後、更に室温にて1時間撹拌した(A/B=1.0、MA/DA=0.026)。反応終了後の樹脂の還元粘度は、1.23dl/gであった。
この樹脂ワニスを用いて得たポリイミドフィルムの破断点伸度は103%であった。
この樹脂ワニスを80℃に保温された平滑なプレート上に保持されたポリエステルフィルム上に展開して30分放置後、空気循環式の乾燥炉で100℃30分乾燥して樹脂シート構造物を得た。乾燥後の樹脂組成物層の厚さは40μmであった。この樹脂組成物層の組成を分析した結果、イミド化率5%で還元粘度1.05dl/gのポリアミド酸73.5質量部、NMP26.5質量部であった。
この樹脂組成物層の流動性は8.5質量%であり、良好な流動性であった。
この樹脂シート構造物を樹脂組成物層側を基板に向けて、0.8mm厚の10cm角のFR−5基板に、130℃、2分、2.9MPaでプレスした後、ポリエステルフィルムを剥離して、空気循環式の乾燥炉で200℃90分の熱処理を実施したが、基板表面には微細クラックおよびボイドなどの欠陥は見られなかった。
この樹脂ワニスを室温にて5日間保管した後のポリアミド酸の還元粘度は、1.23dl/gであった。
[実施例6]
ステンレススチール製の碇型撹拌器を取り付けた容量300mlのガラス製のセパラブル3つ口フラスコに、水分吸収用シリカゲル乾燥管を取り付けた。このフラスコにNMP93.2g、ODA16.5gを室温にて加え、撹拌・溶解した後に、氷水にてフラスコを冷却した。フラスコ内の液体の温度が5℃になった際に、PA0.16gを加え5分間撹拌後にBTDA26.3gをフラスコに除々に加え、氷水で冷却しながら8時間撹拌した。反応途中に増粘した際にNMP153.4gを追加した(A/B=1.0、MA/DA=0.013)。反応終了後のポリアミド酸の還元粘度は、1.83dl/gであった。
この樹脂ワニスを用いて得たポリイミドフィルムの破断点伸度は63%であった。
この樹脂ワニスを80℃に保温された平滑なプレートに保持されたポリエステルフィルム上に塗布して30分放置後、空気循環式の乾燥炉で100℃30分乾燥して樹脂シート構造物を得た。乾燥後の樹脂組成物層の厚さは40μmであった。この樹脂組成物層の組成を分析した結果、イミド化率3%で還元粘度1.60dl/gのポリアミド酸74.5質量部、NMP25.5質量部であった。
この樹脂組成物層の流動性は7.5質量%であり、良好な流動性であった。
ポリエステルフィルムから剥離した樹脂組成物の昇温速度10℃/分、窒素下で熱天秤を用いた400℃での質量を基準とした5%減量温度は570℃であり、生成したポリイミド樹脂の耐熱性は良好であった。
この樹脂シート構造物を樹脂組成物層側を基板に向けて、パターニング加工した5cm角のFR−4基板に、90℃、10分、4.9MPaで真空プレスした後、ポリエステルフィルムを剥離して、空気循環式の乾燥炉で200℃90分の熱処理を実施したが、樹脂組成物は基板表面の凹凸に追従して充填されており、基板表面には微細クラックおよびボイドなどの欠陥は見られなかった。
この樹脂ワニスを室温にて5日間保管した後のポリアミド酸の還元粘度は、1.83dl/gであった。
[実施例7]
ステンレススチール製の碇型撹拌器を取り付けた容量300mlのガラス製のセパラブル3つ口フラスコに、水分吸収用シリカゲル乾燥管を取り付けた。このフラスコにNMP208.4g、ODA16.5gを室温にて加え、撹拌・溶解した後に、氷水にてフラスコを冷却した。フラスコ内の液体の温度が5℃になった際に、PA0.64gを加え5分間撹拌後にBTDA25.8gをフラスコに除々に加え、氷水で冷却しながら8時間撹拌した(A/B=1.0、MA/DA=0.054)。反応終了後のポリアミド酸の還元粘度は、0.94dl/gであった。
この樹脂ワニスを用いて得たポリイミドフィルムの破断点伸度は58%であった。
この樹脂ワニスを80℃に保温された平滑なプレートに保持されたポリエステルフィルム上に塗布して30分放置後、空気循環式の乾燥炉で100℃30分乾燥して樹脂シート構造物を得た。乾燥後の樹脂組成物層の厚さは40μmであった。この樹脂組成物層の組成を分析した結果、イミド化率4%で還元粘度0.77dl/gのポリアミド酸73.5質量部、NMP26.5質量部であった。
この樹脂組成物層の流動性は9.0質量%であり、良好な流動性であった。
ポリエステルフィルムから剥離した樹脂組成物の昇温速度10℃/分、窒素下で熱天秤を用いた400℃での質量を基準とした5%減量温度は571℃であり、生成したポリイミド樹脂の耐熱性は良好であった。
この樹脂シート構造物を樹脂組成物層側を基板に向けて、パターニング加工した5cm角のFR−4基板に、90℃、10分、4.9MPaで真空プレスした後、ポリエステルフィルムを剥離して、空気循環式の乾燥炉で200℃90分の熱処理を実施したが、樹脂組成物は基板表面の凹凸に追従して充填されており、基板表面には微細クラックおよびボイドなどの欠陥は見られなかった。
この樹脂ワニスを室温にて5日間保管した後のポリアミド酸の還元粘度は、0.94dl/gであった。
[比較例1]
実施例1の樹脂シート構造物の表面をフッ素樹脂フィルムで覆い、130℃10分加熱処理した後、フッ素樹脂フィルムを剥離して樹脂組成物層の組成を分析した結果、イミド化率72%のポリアミド酸76.5質量部、水分を含むNMP23.5質量部であった。
この樹脂シート構造物を樹脂組成物層側を基板に向けて、0.8mm厚10cm角のFR−5基板に90℃、10分、4.9MPaでプレスした後、ポリエステルフィルムを剥離して、空気循環式の乾燥炉で200℃90分熱処理した基板の表面には微細なクラックが見られた。
[比較例2]
実施例1の樹脂シート構造物の表面をフッ素樹脂フィルムで覆い、110℃10分加熱処理した後、フッ素樹脂フィルムを剥離して樹脂組成物層の組成を分析した結果、イミド化率43%のポリアミド酸75.5質量部、水分を含むNMP24.5質量部であった。
この樹脂シート構造物を樹脂組成物層側を基板に向けて、0.8mm厚10cm角のFR−5基板に90℃、10分、4.9MPaでプレスした後、ポリエステルフィルムを剥離して、空気循環式の乾燥炉で200℃90分熱処理した基板の表面には微細なクラックが見られた。
[比較例3]
ステンレススチール製の碇型撹拌器を取り付けた容量300mlのガラス製のセパラブル3つ口フラスコに、水分吸収用シリカゲル乾燥管を取り付けた。このフラスコにNMP180.6g、ODA20.1gを室温にて加え、撹拌・溶解した後に、氷水にてフラスコを冷却した。フラスコ内の液体の温度が5℃になった際に、PA2.4gを加え5分間撹拌した後にBTDA29.7gをフラスコに除々に加え、氷水で冷却しながら8時間撹拌した(A/B=1.0、MA/DA=0.17)。反応終了後のポリアミド酸の還元粘度(30℃、ポリマー濃度0.5g/dl、NMP)は、0.42dl/gであった。
この樹脂ワニスを用いて得たポリイミドフィルムの破断点伸度は8.8%であった。
[比較例4]
ステンレススチール製の碇型撹拌器を取り付けた容量500mlのガラス製のセパラブル3つ口フラスコに、乾燥窒素を流した。このフラスコにNMP400.0g、和光純薬工業株式会社製p−フェニレンジアミン20.94gを室温にて加え、20℃で撹拌・溶解した。フラスコ内の液体の温度が20℃の状態で、BPDA28.5gをフラスコに除々に加え、更にPMDA21.1gを除々に加えた。PMDAを添加して20分後に30℃に昇温して3時間撹拌した。更に室温にて5時間撹拌した(A/B=1.0、MA/DA=0)。反応終了後のポリアミド酸の還元粘度(30℃、ポリマー濃度0.5g/dl、NMP)は、3.10dl/gであった。
この樹脂ワニスを室温にて5日間保管した後のポリアミド酸の還元粘度(30℃、ポリマー濃度0.5g/dl、NMP)は、1.97dl/gとなり、粘度が低下した。
〔比較例5〕
実施例1の樹脂ワニスに対して9.5質量%の2−エチル−4−メチルイミダゾールを加えて、室温30分間撹拌した後、実施例1と同様の方法で樹脂シート構造物を得た。
この樹脂シート構造物のポリアミド酸のイミド化率は14%であった。
この樹脂組成物層の流動性は0.4質量%であり、流動性は不良であった。
本発明は、成型性、機械物性、耐熱性に優れ、取扱いが容易で、電子回路基板の絶縁材料として好適である。

Claims (2)

  1. a)ジカルボン酸無水物(以下MAと略称する)とテトラカルボン酸二無水物(以下DAと略称する)とジアミンとの反応生成物からなるポリアミド酸であって、DAとMAのモル比MA/DAが0.001〜0.15であり、MA及びDAが有する酸無水物基の合計(以下Aと略称する)とジアミンが有するアミノ基(以下Bと略称する)のモル比A/Bが0.9〜1.1であり、イミド化率が10%以下であり、かつ濃度0.5g/dlのN−メチル−2−ピロリドン溶液として30℃にて測定した還元粘度が0.5〜2.0dl/gの範囲にあるポリアミド酸と、b)沸点が100℃以上250℃以下の低分子化合物とを含み、a)成分とb)成分の和100質量部を基準として、a)成分が60〜90質量部でありb)成分が10〜40質量部である樹脂組成物層がフィルム上に形成されている樹脂シート構造物。
  2. 請求項1の樹脂シート構造物よりフィルムを剥離して配線層が形成された基板に積層する工程、積層後に低分子化合物を除去する工程、更に基板を積層し配線層を形成する工程を含むことを特徴とする多層配線板の製造方法。
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