JP4361208B2 - ラミネート材およびラミネート缶蓋の製造方法 - Google Patents

ラミネート材およびラミネート缶蓋の製造方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ラミネートフィルムを缶蓋素材板に被覆してラミネート材を製造する方法およびこのラミネート材を用いてラミネート缶蓋を製造する方法に関し、ラミネートフィルムと缶蓋素材板との密着性を向上し、ラミネート缶蓋を開缶した際に、開口部にエンゼルヘアーが発生することを防止し、缶蓋素材板に被覆されたラミネートフィルムの結晶化度を被覆前よりも高くするラミネート材およびラミネート缶蓋の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的に、ビール缶、酒缶、ジュース缶などの缶は、有底筒状の缶胴と、その缶胴の開口端を塞ぐ缶蓋とから構成されている。缶蓋には様々なものがあるが、その主流となっているものは、タブなどを付設することにより容易に缶を開封し得るイージーオープンタイプの缶蓋である。
このイージーオープンタイプの缶蓋には、大別するとプルタブを引き上げることにより開口部分をなす開口片を除去するプルトップタイプのものと、開口片を容器内に押し込みタブが蓋から取れないステイオンタブタイプのものがある。
【0003】
プルトップタイプの缶蓋においては、開缶後に、切り込み線に囲まれたスコア部およびタブ(以下、スコア部およびタブを「開口片」と称す。)が蓋本体から分離されて捨てられ、開口片を回収し難いという問題がある。
このような問題を解決するために、最近では、開缶後においても、缶本体と開口片とを一部連着した状態にしておくステイオンタブタイプのものが大半を占めている。
【0004】
図4(a)、(b)および図5に示すように、例えばステイオンタブタイプの簡易開口缶蓋10は、円形の天板1と、天板1の周縁に設けられ、缶胴(図示せず)に巻締めされる巻締め部2と、巻締め部2と天板1との間に周設された外周溝3と、溝状のスコア4により連結された開口片5と、先端が開口片5の天板中心CP側に重なるように配置され、リベット6により天板中心CPに連結されたプルタブ7とからなる。プルタブ7は、そのほぼ中央部にリベット6を挿通する挿通孔2bが形成されている。
【0005】
プルタブ7を引くと、スコア4側のタブ先端7aが支点、タブ指掛け部7bが力点、リベット部7cが作用点となり、スコア部が押圧され、図4(b)(図4(a)を裏面から見た図)に示すスコア4のリベット周辺部4dが破断される第1工程と、図4(a)のリベット6を支点として、プルタブ7の先端7aが開口片5の天板中心CP側である基端部を押圧し、その押圧力により残りのスコア4が破断され、開口片5が缶本体の内部に入れられる第2工程とを経て、飲み口が形成される。
【0006】
缶蓋10としては、アルミニウム薄板の片面に、エポキシ系や塩化ビニル系の塗料で被覆されたラミネート材を製造し、このラミネート材を成形して得られるラミネート缶蓋が開発されている。このようなラミネート材は、腐食防止および内容物の保護を目的としたものである。
しかしながら、エポキシ系や塩化ビニル系の塗料はビスフェノール−Aや有機溶剤を含有しているため、安全性に問題がある。そのため、近年、より安全性を向上し、環境負荷を軽減する対策として、これらの塗料に代わる被覆材としてラミネートフィルムが注目されている。
【0007】
缶蓋10として、アルミニウム薄板の片面が、ラミネートフィルムを被覆されたラミネート材を用いた場合、図6(a)に示すように、ラミネートフィルム1bが、缶蓋10の外面1a側に配置されており、開缶の際にエンゼルヘアーが発生するという不具合が生じる。
エンゼルヘアーとは、缶蓋10の開口片5が缶内部に押し込まれて缶蓋10の飲み口を開口したときに、スコア4の底部に残存するラミネートフィルム片Fがスコア4の外周線に沿って、符号Eで示すように伸びて破断した結果、髪の毛状(髭状)に遊離した物の名称である。このエンゼルヘアーEは、飲用の際に口に当たり、不快感を与えることになる。
【0008】
このように開缶の際にエンゼルヘアーが発生するのは、ラミネートフィルムとアルミニウム薄板の密着力が弱いため、開缶時に、ラミネートフィルムの一部が破断せずにアルミニウム薄板から剥離してしまう事が原因である。ラミネートフィルムをアルミニウム薄板に熱圧着する方式では、従来の塗料や接着剤をアルミニウム薄板に被覆する方式に比べて密着性が劣るという問題がある。
このように、ラミネートフィルムとアルミニウム薄板との密着性が損なわれることにより、耐食性が劣化したり、上記のように開口部にエンゼルヘアーが生じるという問題がある。
【0009】
また、ラミネート缶蓋に用いられるラミネートフィルムは、食品保存の観点から、味や香りの成分(フレーバー)を吸着し難いものが好ましい。このようなラミネートフィルムへの香味の吸着性(以下、「フレーバー特性」と称す。)は、ラミネートフィルムの結晶化度が高いほど良好である。
しかしながら、ラミネート缶蓋に用いられるラミネートフィルムは、生産性の観点から結晶化度の上限に制約を受け、十分なフレーバー特性が得られていない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
よって、本発明における課題は、ラミネート缶蓋製造時に、ラミネートフィルムと缶蓋素材板の密着性を向上すると共に、ラミネートフィルムの結晶化度を上げてフレーバー特性を向上させることにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するため、本発明の請求項1記載のラミネート材の製造方法は、結晶性樹脂の基材層と非晶性樹脂の接着層の2層構造からなるラミネートフィルムをアルミニウムからなる缶蓋素材板に被覆してラミネート材を製造する方法において、前記ラミネートフィルムを缶蓋素材板に被覆する温度T1と、前記ラミネートフィルムの基材層の融解温度Tmおよび接着層の融解温度Tm´との関係を、Tm´<T1<Tm−18℃とし、前記ラミネートフィルムの基材層の結晶化度Xcと、このラミネートフィルムを缶蓋素材板に被覆した後のラミネートフィルムの基材層の結晶化度Xc´との関係を、Xc<Xc´とするものである。
【0013】
また、本発明の請求項2記載のラミネート材の製造方法は、前記ラミネートフィルムを缶蓋素材板に被覆する速度を60m/分以下とするものである。
【0014】
また、本発明の請求項3記載のラミネート材の製造方法は、前記ラミネートフィルムを、厚み6〜15μmの結晶性2軸延伸ポリエステルフィルムまたは2軸延伸変性ポリエステルフィルムからなる基材層と、厚み0.5〜3μmの非晶性変性ポリエステルフィルムからなる接着層とからなる2層構造とするものである。
【0015】
また、本発明の請求項4記載のラミネート材の製造方法は、前記ラミネートフィルムの基材層の結晶化度を40〜60%とするものである。
【0016】
そして、本発明の請求項5記載のラミネート缶蓋の製造方法は、請求項1ないし4記載のラミネート材の製造方法により製造されたラミネート材を成形してラミネート缶蓋とするものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳しく説明する。
先ず、本発明のラミネート材の製造方法について説明する。
図1に、本発明のラミネート材の製造方法の概略を示す。
第1ロール11と第2ロール12とを対向して配置し、この第1ロール11と第2ロール12を互いに反対方向に回転させる。第1ロール11と第2ロール12との間に長尺のラミネートフィルム21と長尺の缶蓋素材板24とを通過させ、予め加熱してある缶蓋素材板24にラミネートフィルム21を圧着して被覆し、ラミネート材20を製造する。
このとき、第1ロール11と第2ロール12との間を通過するラミネートフィルム21への押圧力を、第1ロール11と接触するラミネートフィルム12の表面全体にわたって均一となるように調節する。
【0018】
図2に、本発明のラミネート材の製造方法によって製造されるラミネート材について示す。
ラミネート材20は、ラミネートフィルム21を缶蓋素材板24に被覆したラミネート材であって、ラミネートフィルム21は結晶性樹脂の基材層23と非晶性樹脂の接着層22の2層構造で構成されているものである。
【0019】
本発明のラミネート材の製造方法において、ラミネートフィルム21を缶蓋素材板24に被覆する温度T1(℃)を後述する範囲とすることにより、缶蓋素材板24に被覆する前のラミネートフィルム21の基材層23の結晶化度をXcとし、缶蓋素材板24に被覆した後のラミネートフィルム21の基材層23の結晶化度をXc´とすると、Xc<Xc´とすることができる。
上述したように、ラミネート缶蓋に用いられるラミネートフィルム21は、製造時に生産性の観点から結晶化度の上限に制約を受けているため、そのままの使用では、十分なフレーバー特性が得られない。また、良好なフレーバー特性を得るためには、ラミネートフィルム21の結晶化度を、より高めることが好ましい。したがって、良好なフレーバー特性を得るためには、本発明のラミネート材の製造方法は有効に作用する。
【0020】
本発明のラミネート材の製造方法によって、ラミネートフィルム21を缶蓋素材板24に被覆する温度T1(℃)は、ラミネートフィルム21の基材層23の融解温度をTm(℃)とし、接着層22の融解温度をTm´(℃)とすると、Tm´<T1<Tm−18℃の範囲とする。
ラミネートフィルム21を缶蓋素材板24に被覆する温度T1(℃)を、この範囲とすることにより、両者を十分に密着させ、ラミネートフィルム21の基材層23の被覆後の結晶化度を被覆前よりも上げることができる。
【0021】
また、本発明のラミネート材の製造方法にあっては、ラミネートフィルム21を缶蓋素材板24に被覆する際の速度を60m/分以下とする。このように被覆速度を60m/分以下とすることにより、ラミネートフィルム21と缶蓋素材板24との十分な密着性を確保することができる。
【0022】
第1ロール11および第2ロール12としては、例えば鉄ロール、鉄系合金ロール、表面にNiめっき処理、Crめっき処理を施した鉄ロール、ステンレスロール、または金属ロール本体の表面全体に高分子樹脂材料を被覆したものを用いることができる。
金属ロール本体の表面全体に被覆する高分子樹脂材料としては、各種の樹脂材料を用いることができるが、特にラミネートフィルム21に対する緩衝作用の高いものとしてシリコンゴム、フッ素系ゴムなどが好適である。
【0023】
ラミネートフィルム21の缶蓋素材板24への圧着は、第1ロール11と第2ロール12の間を通過するラミネートフィルム21および缶蓋素材板24への押圧力を調節することによってなされる。このときの押圧力の調節は、空気圧、油圧などを利用した機構を用いて適宜行われる。
【0024】
ここで、本発明で用いられるラミネートフィルム21について、図2を用いて説明する。
図2に示すように、ラミネートフィルム21は、非晶性樹脂の接着層22と結晶性樹脂の基材層23からなる2層構造となっており、その厚みは、缶蓋を開缶する際に、引き裂かれ易くするために6〜15μmとすることが好ましく、特に好ましくは8〜10μmとする。
また、接着層22は厚み0.5〜3μm、粘度0.5〜0.8ポアズの非晶質変性ポリエステルフィルムからなり、基材層23は厚み6〜15μmの2軸延伸ポリエステルフィルムまたは2軸延伸変性ポリエステルフィルムからなっている。
【0025】
また、ラミネートフィルム21の基材層23の結晶化度は40〜60%が好ましい。結晶化度が40%未満では、このラミネートフィルム21を所定温度に加熱しても、基材層23の結晶化度をフレーバー特性が良好となる範囲とすることができない。
【0026】
ラミネートフィルム21に用いられるポリエステル樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリカーボネートなどを挙げることができるが、ポリエチレンテレフタレートが好ましく用いられる。
【0027】
ポリエステル樹脂は、一般的に良好な機械的性質、電気的性質、耐水性、耐酸性、耐油性を有している。さらに、これらの性質に加えて、他の樹脂材料に比較して安価であるという利点もある。
【0028】
ここで、本発明において好ましく用いられる、ポリエチレンテレフタレートのフィルムについて説明する。
ポリエチレンテレフタレートのフィルムは、このものがほぼ一定の厚みで面方向に完全に連続しており、通常の有機塗膜にしばしば認められるピンホール、クラックあるいは膨れ(ブリスター)などの塗膜欠点がないという点で特に優れたものである。
また、ポリエチレンテレフタレートは、種々のラミネートの中でも、機械的強度に最も優れた樹脂の一つであり、引張り弾性率が大で寸法安定性に優れかつ加工性にも優れており、缶蓋への成形や、スコア加工、リベット加工などに対しても、それが破断したり、或いはピンホール、クラック、膨れなどが発生することなく連続被覆状態に維持されるという利点がある。さらに、ポリエチレンテレフタレートは腐食成分を透過しない性質において最も優れた樹脂の一つであり、このものを缶蓋素材板24に被覆し、ラミネート缶蓋の外面側に用いることにより、ラミネート缶蓋の腐食を防止することができる。
【0029】
ところで、具体的には、ラミネートフィルム21の接着層22をなす非晶性の変性ポリエステルフィルムとしては、粘度0.5〜0.8ポアズで、イソフタル酸を15〜22mol%含有するポリエチレンテレフタレートとイソフタル酸の共重合体が好ましく用いられる。また、基材層23をなす結晶性の2軸延伸ポリエステルフィルムまたは結晶性の2軸延伸変性ポリエステルフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートまたは、イソフタル酸を数mol%含有するポリエチレンテレフタレートとイソフタル酸の共重合体が好ましく用いられる。
【0030】
ところで、本発明で用いられるラミネートフィルム21の物性としては、ある程度の剛性を持ったものの方が缶蓋のスコア部での鋭利な破断が可能となる。例えば、同じポリエチレンテレフタレートフィルムで比較した場合、2軸延伸フィルムでは、分子配向により剛性が向上する。また、ポリエチレンテレフタレートフィルムの厚みが10〜40μmの範囲にあることも重要であり、この範囲よりも小さい場合には耐腐食性が劣り、一方、この範囲を超えると、加工性や易開缶性が劣る。
【0031】
また、本発明で用いられる缶蓋素材板24としては、スチール薄板、アルミニウム薄板などがあり、好ましくはアルミニウム薄板が用いられる。
アルミニウム薄板としては、この種のイージーオープンタイプの缶蓋に使用されているアルミニウム薄板は全て使用でき、例えば純アルミニウムやアルミニウムと他の合金用金属、特にマグネシウム、マンガンなどの少量を含むアルミニウム合金板が使用される。
アルミニウム薄板の厚みは、缶蓋の大きさなどによっても相違するが一般的に、0.20〜0.50mm、好ましくは0.23〜0.30mmの範囲内にあるものが用いられる。
【0032】
アルミニウム薄板へのラミネートフィルム21の密着性や耐腐食性の見地から、アルミニウム薄板の表面にクロメート処理膜を形成させることが一般的に望ましい。クロメート処理膜の形成は、アルミニウム薄板を苛性ソーダで脱脂およびエッチングを行った後、CrO34g/l、H3PO412g/l、F0.65g/l、残りは水のような処理液に浸漬する化学処理により行われる。クロメート処理膜の厚みは、表面積当たりのCr原子の重量で表して、5〜50mg/dm2の範囲が好ましく、特に10〜35mg/dm2の範囲内にあることが密着性の点から好ましい。
【0033】
次に、本発明のラミネート缶蓋の製造方法にあっては、以上のようにして製造されたラミネート材20を用いて、所定の成形加工(絞り加工、スコア加工およびタブ加工など)を経てラミネート缶蓋に成形する。
【0034】
ところで、イージーオープンタイプの缶蓋では、開缶したときに、スコア部の破断と共にラミネート缶蓋に被覆されているラミネートフィルム21もこれに沿って破断されることが要求される。このスコア部の破断性は、ラミネートフィルム21の缶蓋素材板24への密着性と、ラミネートフィルム21の物性とにより影響される。すなわち、ラミネートフィルム21の密着力が高いほどスコア部に沿って正確かつ鋭利にフィルムが破断し易い。
本発明のラミネート缶蓋の製造方法によれば、ラミネートフィルム21と缶蓋素材板24との間に十分な密着力が得られると共に、スコア部に沿った鋭利なラミネートフィルム21の破断が行われるものである。したがって、開缶時に開口部にエンゼルヘアーが生じることがなくなる。
【0035】
以下、具体例を示す。
先ず、厚み9μm、結晶化度53〜56%の、基材層と接着層の2層構造からなる2軸延伸ポリエステル樹脂フィルムを用意した。
この2軸延伸ポリエステル樹脂フィルムは、基材層として厚みが8.5μm、融点253℃のポリエチレンテレフタレートフィルムと、接着層として厚みが0.5μm、融点210℃のイソフタル酸を15〜22mol%含有するポリエチレンテレフタレートとイソフタル酸の共重合体からなるフィルムとから構成されている。
融点の測定には、示差走査熱量分析(DSC)計(SSC580 DSC20型、セイコー電子工業株式会社製)を用いて行った。2軸延伸ポリエステル樹脂フィルム10mgを10℃/分で昇温し、このフィルムの結晶融解によるピーク温度を融点とした。
【0036】
次いで、クロメート処理アルミニウム薄板を用意した。
次いで、上記2軸延伸ポリエステルフィルムをクロメート処理アルミニウム薄板に被覆して、ラミネート材を製造した。
被覆する際の温度を変えてラミネート材を製造し、その時のラミネート材の2軸延伸ポリエステルフィルムとクロメート処理アルミニウム薄板の密着性、加工性、フレーバー特性を調査した。
また、2軸延伸ポリエステルフィルムの基材層の結晶化度を、アルミニウム薄板に被覆する前および被覆した後に測定した。
被覆前の2軸延伸ポリエステルフィルムの基材層の結晶化度の測定は、密度勾配管を用いた密度法により行い、被覆後の基材層の結晶化度の測定は、X線回折法により行った。
結果を表1および図3に示す。
【0037】
【表1】
Figure 0004361208
【0038】
表1の結果から、図3に示す領域A内の被覆温度(℃)および時間(秒)で、2軸延伸ポリエステルフィルムをアルミニウム薄板に被覆すれば、密着性、加工性、フレーバー特性が良好な、ラミネート材を得ることができる。また、領域A内の加工条件で被覆すれば、被覆後の2軸延伸ポリエステルフィルムの基材層の結晶化度が、被覆前の基材層の結晶化度よりも高くなる。
なお、図3は、ラミネートフィルムを缶蓋素材板に被覆した際の、被覆温度と被覆温度の保持時間の関係を示す図であり、領域Aは、被覆後の2軸延伸ポリエステルフィルムの基材層の結晶化度が、被覆前の基材層の結晶化度よりも高くなる領域である。また、領域Bは、被覆後の2軸延伸ポリエステルフィルムの基材層の結晶化度が、被覆前の基材層の結晶化度よりも低くなる領域である。また、領域Cは、被覆後の2軸延伸ポリエステルフィルムの基材層の結晶化度が、被覆前の基材層の結晶化度と変化しない領域である。
また、曲線Dは、温度(℃)=235.18×時間-0.0294の関係を示す曲線である。
また、領域Aは、2軸延伸ポリエステルフィルムをアルミニウム薄板に被覆する温度T1(℃)が、2軸延伸ポリエステルフィルムの基材層の融解温度をTm(℃)とし、接着層の融解温度をTm´(℃)としたとき、Tm´<T1<Tm−18℃の範囲となることを満たす領域である。
【0039】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ラミネート材を構成するラミネートフィルムと缶蓋素材板の密着性が向上するため、ラミネート缶蓋の開缶時において、ラミネート缶蓋の外面側に被覆されているラミネートフィルムが容易に破断するから、缶の開口部にエンゼルヘアーが生じることがない。
また、被覆後のラミネートフィルムの基材層の結晶化度が、被覆前の基材層の結晶化度よりも十分に高くなるから、ラミネートフィルムのフレーバー特性が向上する。
したがって、このようなラミネート缶蓋を有する缶は、清涼飲料水、ビール、魚介類、食品などの収納用容器として有効に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のラミネート材の製造方法を示す概略図である。
【図2】 本発明で用いられるラミネートフィルムを示す断面図である。
【図3】 ラミネートフィルムを缶蓋素材板に被覆した際の、被覆温度と被覆温度の保持時間の関係を示す図である。
【図4】 従来のラミネート缶蓋を示す図で、(a)はラミネート缶蓋の平面図、(b)はラミネート缶蓋の底面図である。
【図5】 従来のラミネート缶蓋を示す断面図である。
【図6】 従来のラミネート缶蓋においてエンゼルヘアーが発生する過程を示す断面図である。
【符号の説明】
11・・・第1ロール、11a・・・第1ロール表面、12・・・第2ロール、12a・・・第2ロール表面、20・・・ラミネート材、21・・・ラミネートフィルム、22・・・接着層、23・・・基材層、24・・・缶蓋素材板

Claims (5)

  1. 結晶性樹脂の基材層と非晶性樹脂の接着層の2層構造からなるラミネートフィルムをアルミニウムからなる缶蓋素材板に被覆してラミネート材を製造する方法において、前記ラミネートフィルムを缶蓋素材板に被覆する温度T1と、前記ラミネートフィルムの基材層の融解温度Tmおよび接着層の融解温度Tm´との関係を、Tm´<T1<Tm−18℃とし、前記ラミネートフィルムの基材層の結晶化度Xcと、このラミネートフィルムを缶蓋素材板に被覆した後のラミネートフィルムの基材層の結晶化度Xc´との関係を、Xc<Xc´とすることを特徴とするラミネート材の製造方法。
  2. 前記ラミネートフィルムを缶蓋素材板に被覆する速度を60m/分以下とすることを特徴とする請求項1記載のラミネート材の製造方法。
  3. 前記ラミネートフィルムを、厚み6〜15μmの結晶性2軸延伸ポリエステルフィルムまたは2軸延伸変性ポリエステルフィルムからなる基材層と、厚み0.5〜3μmの非晶性変性ポリエステルフィルムからなる接着層とからなる2層構造とすることを特徴とする請求項1または2記載のラミネート材の製造方法。
  4. 前記ラミネートフィルムの基材層の結晶化度を40〜60%とすることを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載のラミネート材の製造方法。
  5. 請求項1ないし4のいずれかに記載のラミネート材の製造方法により製造されたラミネート材を成形してラミネート缶蓋とすることを特徴とするラミネート缶蓋の製造方法。
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