JP4361153B2 - イオントフォレーゼ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、イオントフォレーゼ(iontophoresis)により各種のイオン性薬剤を経皮的に投与(経皮ドラッグデリバリー)するときに使用する装置(以下、イオントフォレーゼ装置という。)に関するものである。
更に詳しくは、本発明は、イオントフォレーゼ電極部(作用側電極部)及びグランド電極部(非作用側電極部)において長期に安定した通電状態(定電流及び/又は定電圧)が確保されるため、イオントフォレーゼ電極部においてイオン性薬剤の正(+)もしくは負(−)に帯電した薬剤成分を効率よく皮膚(もしくは粘膜)側へ輸送(駆動)させることができ、また、イオントフォレーゼ電極部(作用側電極部)及びグランド電極部(非作用側電極部)が前記した安定した通電状態の維持に貢献するとともに電極反応による皮膚への悪影響を排除することができる、という優れた特性を有するイオントフォレーゼ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
所望部位の皮膚または粘膜(以下、単に皮膚という。)の上に配置されたイオン性薬剤(イオン性化学物質)に対し、前記イオン性薬剤を駆動させる起電力を皮膚に与え、これらイオン性薬剤を皮膚を介して体内に導入(浸透)させる方法は、イオントフォレーゼ(iontophoresis、イオントフォレーシス、イオン導入法、イオン浸透療法)と呼ばれている(前記イオントフォレーゼの定義に関しては、例えば特開昭63−35266号公報が参考になる)。
【0003】
前記したように、イオントフォレーゼ(iontophoresis) は、皮膚上に配置されたイオン化性のイオン性薬剤を所定の起電力のもとで駆動(輸送)させて皮膚中に浸透させるものである。
例えば、正電荷をもつイオンは、イオントフォレーゼ装置の電気系統のアノード(陽極)側において皮膚内に駆動(輸送)される。
一方、負電荷をもつイオンは、イオントフォレーゼ装置の電気系統のカソード(陰極)側において皮膚内に駆動(輸送)される。
【0004】
前記したイオントフォレーゼに適用されるイオン性薬剤としては、例えば、次のようなものがある。
(1).正に帯電するイオン性薬剤:
麻酔剤(塩酸プロカイン、塩酸リドカインなど)、胃腸疾患治療剤(塩化カルニチンなど)、骨格筋弛緩剤(臭化バンクロニウムなど)、抗生物質(テトラサイクリン系製剤、カナマイシン系製剤、ゲンタマイシン系製剤)。
(2).負に帯電するイオン性薬剤:
ビタミン(以下、Vと略記する)剤(VB2 ,VB12,VC,VE,葉酸など)、副腎皮質ホルモン(ヒドロコルチゾン系水溶性製剤、デキサメサゾン系水溶性製剤、プレドニソロン系水溶性製剤など)、抗生物質(ペニシリ
ン系水溶性製剤、クロウムフェニコール系水溶性製剤)。
【0005】
イオン性薬剤をイオントフォレーゼにより投与する方法及びそれに適用する装置は、古くから研究開発されており、各種各様のものが提案されている。
この種のイオントフォレーゼに関する従来技術として、イオン交換膜を利用するものがある。なお、詳しくは後述するが、本発明もイオン交換膜を利用するカテゴリーに属するものである。
このため、イオン交換膜を利用している本発明と従来技術の相違点の理解に資するために、以下、イオン交換膜を利用した従来技術について詳しく説明する。
【0006】
1.特許出願公表平3−504343号公報(以下、従来技術1という。)
(1).この従来技術1は、イオントフォレーゼ電極として、(i)電極板、(ii)浸透させようとするイオン性(またはイオン化可能な)薬剤を収容する貯留器、(iii)前記貯留器の外側(皮膚に接する側)に配設され、かつ前記イオン性薬剤と同じ極性の電荷をもつイオンを選択するイオン交換膜、とから成るものを開示している。
(2).この従来技術1は、イオン交換膜の機能を、前記イオン性薬剤を皮膚側へ輸送(駆動)させる際に、イオン交換膜により電極と皮膚の間の界面を超えて電極側へ移行しようとする反対帯電イオンの移動を制約すること、例えば、ナトリウムや塩素、その他の皮膚に存在していてイオン性薬剤とは異なるイオン電流通路を作る恐れのあるイオン種の動きを押さえること、と説明している。
(3).また、この従来技術1は、前記イオン交換膜によりイオン性薬剤を収容する貯留器の中に他の移動性の帯電担体を少なくすることができるため、イオン性薬剤の投与効率を増大させることができる、と説明している。
【0007】
2.米国特許第4,722,726号明細書(以下、従来技術2という。)
(1).この従来技術2は、前記従来技術1の公報において、関連技術として説明されているものであるが、イオントフォレーゼ電極として
(i).バッファ液(緩衝液)を満たした上室とイオン性薬剤を満たした下室とに区分し、かつ、
(ii).前記上室をイオン交換膜により下室と隔離した構造の電極を開示している。
(2).この従来技術2は、バッファ液(緩衝液)を満たした上室は水の加水分解の悪影響を和らげ、また、イオン交換膜はイオン性薬剤を上室の内容物から隔離すると説明している。
しかしながら、この従来技術2に開示されるバッファ液を利用する技術は、系内に付加的イオン種の濃度を高めるため、明らかにイオン性薬剤の有効薬剤成分の帯電イオンの輸送効率を低下させるという好ましくない側面を併せもっているものである。
従って、単純にバッファ液を利用するという技術には留意すべきである。
【0008】
3.特開平3−94771号公報(以下、従来技術3という。)
(1).この従来技術3は、(i)柔軟性支持部材で囲繞され、かつ内部に電極板を有する水分保持部、(ii)前記水分保持部の前面(皮膚側)に配設されたイオン交換膜、及び(iii)前記イオン交換膜の前面(皮膚側)に配設された薬物層(イオン性薬物層)とからなるイオントフォレーゼ用電極を開示している。
(2).この従来技術3は、イオン性薬物の投与時に、水分による希釈化を防止しつつ、薬剤を高濃度で投与しようとするものである。
(3).このため、この従来技術3は、実質的に薬物を透過せず、かつ水透過性のイオン交換膜を使用するとともに、その生体(皮膚)当接面上に薬物をスプレードライ、散布などにより貼着または付着せしめたものを使用してイオントフォレーゼ用電極を構成するものである。
【0009】
4.特開平4−297277号公報(以下、従来技術4という。)
(1).この従来技術4は、本願出願人に係る先の出願に関するものであり、例えば、その図2においてイオントフォレーゼ電極部(作用側電極部)(図2の場合、使用するイオン性薬剤のイオンの極性との関連において陰極が作用側電極部となっている。)を、陰極板/イオン性薬剤を含むガーゼ/カチオン交換膜/イオン性薬剤を含むガーゼ/アニオン交換膜、からなる多層構造で構成したものを開示している。
(2).この従来技術4に開示のイオントフォレーゼ技術は、本発明の改良の対象になるものであり、この従来技術4の限界については、後述する本発明の説明のときに詳しく説明する。
【0010】
前記した従来技術において、従来技術4は、イオン交換膜の使用(配設)枚数に注目すると、前記従来技術1〜3がイオン交換膜を1枚使用する単層構造のものであるのに対して、イオン交換膜を2枚使用する複層構造のものを開示している点で、他のものと相違している。
本発明は、イオン交換膜の使用枚数に注目すると、前記従来技術4と同様に複層構造に属するものである。しかしながら、本発明は、詳しくは後述するが従来技術4とは全く異なる技術思想に立脚しており、作用側電極部はもとよりグランド側電極部(接地側電極部、中性電極部)にもイオン交換膜を配設した3枚もしくは4枚の複層構造を採用する点に大きな特徴点がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
前記したように、イオン性薬剤をイオントフォレーゼにより経皮的に投与する方法において、イオン交換膜を利用する技術は存在している。
しかしながら、前記した従来のイオン交換膜を利用したイオントフォレーゼ技術は、イオントフォレーゼ電極部(作用側電極部)及び/又はグランド電極部(非作用側電極部)における電極板表面での電気化学反応に基づく種々の欠点を防止、排除するための発意や創意を欠如している。
別言すれば、従来のイオン交換膜を利用したイオントフォレーゼ技術は、イオントフォレーゼ電極部(作用電極部)とグランド電極部(非作用側電極部)でのトータルの全体的な電気化学反応に注目し、そこから誘発される欠点を解消し、高付加価値のイオントフォレーゼ技術を確立しようとする態度に欠けている。
【0012】
このため、従来のイオン交換膜を利用するイオントフォレーゼ技術、より具体的には、前記した従来技術にみられるようにイオン交換膜を作用側電極部においては利用するが、グランド電極部においては利用しないタイプの従来のイオントフォレーゼ技術には、次のような欠点がある。
【0013】
(i).長期間安定した通電状態のもとでイオン性薬剤を投与(ドラッグデリバリー)することが困難である(長期間安定した定電圧、もしくは定電流の条件のもとでオペレーションすることが困難である)。例えば、イオン性薬剤の有効成分の帯電イオンの極性により作用側電極部の極性は異なるが、正(+)極の作用側電極部において、導電性媒体である生理食塩水が電極板界面で電気分解して気泡(酸素ガス、塩素ガスなど)を発生するため、これにより通電抵抗が大きくなり、イオントフォレーゼ効果(イオンの輸送効率)が経時的に急速にダウンする。前記したことは、負(−)極のグランド電極部で発生する気泡(水素ガスなど)によっても生じる。
【0014】
(ii). 作用側電極部及び/又はグランド電極部と皮膚との当接面において、熱傷、炎症(電流自体に誘発される電流性熱傷、電気分解により生成するH+またはOH-の急激なpH変化によるpH誘発性熱傷などを含む。)などが生じる。
【0015】
(iii).グランド電極部の電極板(例えば+極)と皮膚との当接面において、皮膚表面の汗や導電性媒体である生理食塩水の電気分解により生成する有害物質、例えばCl-(塩素イオン)に基づく次亜塩素酸(これは強力な酸化剤として知られている)による皮膚のダメージなどが生じる。
【0016】
(iv).グランド電極部の電極板(例えば一極)と皮膚との当接面において、皮膚表面の汗や導電性媒体である生理食塩水の電気分解により生成する有害物質、例えば高アルカリ化(NaOH)による皮膚のダメージなどが生じる。
【0017】
本発明は、前記したイオン交換膜を利用した従来のイオントフォレーゼ技術の欠点、限界に鑑みて創案されたものである。
本発明者は、イオン交換膜を利用した従来のイオントフォレーゼ技術について、高付加価値化を図るべく鋭意検討した。
【0018】
その結果、本発明者は、イオントフォレーゼ装置のイオントフォレーゼ電極部(作用側電極部)の構成を、例えば特許出願公表平3−504343号などに開示されるイオン性薬剤の有効薬剤成分の帯電イオンと同種の電源に接続されたイオントフォレーゼ電極材(作用側電極材)、前記イオントフォレーゼ電極材の前面部に配置されたイオン性薬剤、及び、前記イオン性薬剤の前面部の皮膚に当接する側に配置された前記イオン性薬剤の有効薬剤成分の帯電イオンと同種のイオンを選択するイオン交換膜、とからなるイオントフォレーゼ電極部(作用側電極部)において、前記イオントフォレーゼ電極材とイオン性薬剤の間の構成を、前記イオントフォレーゼ電極材の側からみて、
(i).前記イオントフォレーゼ電極材の少なくとも前面部に生理食塩水などの導電性媒体を配置するとともに、
(ii).前記導電性媒体の前面部にイオン性薬剤の有効薬剤成分の帯電イオンと反対のイオンを選択するイオン交換膜を配置して構成したとき、
前記したイオントフォレーゼ電極部における欠点が解消されることを見い出した。
【0019】
更に、本発明者は、従来のイオン交換膜を利用するイオントフォレーゼ装置においてグランド電極部(非作用側電極部)の側にイオン交換膜を配設することは全く知られていないが、グランド電極部(非作用側電極部)の構成を、グランド電極部の電極材の側からみて、
(iii).グランド電極材の少なくとも前面部に生理食塩水などの導電性媒体を配置するとともに、
(iv). 前記導電性媒体の前面部にイオン性薬剤の有効薬剤成分の帯電イオンと反対のイオンを選択するイオン交換膜を配置して構成したとき、
前記したグランド電極部における欠点が解消されることを見い出した。
【0020】
本発明は、前記した知見をベースにするものであり、前記(i) 〜(iv)の構成を一体化したイオントフォレーゼ電極部(作用側電極部)とグランド電極部(非作用側電極部)を組込んでなるイオントフォレーゼ装置を提供するものである。
本発明により、長期間安定した通電状態(定電流及び/又は定電圧の状態)のもとでイオン性薬剤の投与効率が高く、かつ、皮膚面の熱傷や炎症などを防止した生体安全性が高いイオントフォレーゼによるイオン性薬剤の投与(ドラッグデリバリー)を実現することができる新規なイオントフォレーゼ装置が提供される。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明を概説すれば、本発明は、イオントフォレーゼによりイオン性薬剤を投与するために使用される電源に接続するイオントフォレーゼ電極部(作用側電極部)とグランド電極部(非作用側電極部)を有するイオントフォレーゼ装置において、
(1).前記イオントフォレーゼ電極部が、
(1)-1.イオン性薬剤の帯電イオンと同種の極性の電源に接続された電極材、
(1)-2.前記電極材の少なくとも前面に配置された導電性媒体、
(1)-3.前記導電性媒体の前面に配置されたイオン性薬剤の帯電イオンと反対のイオンを選択するイオン交換膜、
(1)-4.前記イオン性薬剤の帯電イオンと反対のイオンを選択するイオン交換膜の前面に配置されるイオン性薬剤、及び、
(1)-5.前記イオン性薬剤の前面に配置されたイオン性薬剤の帯電イオンと同種のイオンを選択するイオン交換膜、とから構成されること、
を特徴とするイオントフォレーゼ装置に関する。
【0022】
更にまた、本発明を概説すれば、本発明は、イオントフォレーゼによりイオン性薬剤を投与するために使用される電源に接続するイオントフォレーゼ電極部(作用側電極部)とグランド電極部(非作用側電極部)を有するイオントフォレーゼ装置において、
(2).前記グランド電極部が、前記イオントフォレーゼ電極部に対して非一体的に構成されるとともに、
(2)-1.前記イオントフォレーゼ電極部の電極材と反対の極性の電極材、
(2)-2.前記電極材の少なくとも前面に配置された導電性媒体、及び、
(2)-3.前記導電性媒体の前面に配置されたイオン性薬剤の帯電イオンと反対のイオンを選択するイオン交換膜、とから構成されること、
を特徴とするイオントフォレーゼ装置に関する。
【0023】
また、本発明は、前記イオントフォレーゼ電極部(作用側電極部)とグランド側電極部(非作用側電極部)を有するイオントフォレーゼ装置の性能を向上させるために、
(i).イオントフォレーゼ電極部及びグランド電極部の導電性媒体が、酸化または還元されやすい物質を含有するもので構成されることを特徴とするものであり、より具体的には、
(ii).イオントフォレーゼ電極部及びグランド電極部の導電性媒体が、酸化または還元されやすい物質として硫酸第一鉄と硫酸第二鉄、あるいは有機酸及び/又はその塩などを含有するもので構成されることを特徴とするものである。
【0024】
更にまた、本発明は、前記イオントフォレーゼ装置の性能を向上させるために、グランド電極部(非作用側電極部)がカオチン交換膜とアニオン交換膜を併用したもので構成されることを特徴とするものである。なお、前記したグランド電極部に1枚のイオン交換膜(イオン性薬剤の帯電極性によりイオン変換膜のイオン選択性が異なる。)を使用する点、更には、グランド電極部にイオン選択性の異なる二種のイオン交換膜を使用する点は、従来技術には全くみられないものである。
【0025】
以下、本発明の技術的構成をより詳しく説明する。
まず、本発明の理解を得るために、本発明のイオントフォレーゼ装置の基本構成図を利用して従来のイオントフォレーゼによるイオン性薬剤の投与法とその問題点、更に本発明のイオン性薬剤の投与法の特徴点について説明する。次いで、本発明のイオントフォレーゼ装置の具体的構成について説明する。
なお、本発明の技術的構成を説明するために図面を参照するが、図面表示のものは単なる一実施態様と解釈されるべきであり、本発明はこれら図面のものに限定されないことはいうまでもないことである。
【0026】
図1〜図2は、本発明のイオントフォレーゼ装置(X)の基本構成図を示すものである。図1は斜視図、図2は要部断面図を示す。
なお、図1〜図2は、本発明のイオントフォレーゼ装置(X)により実現される新しいイオントフォレーゼによるイオン性薬剤の投与法(ドラッグデリバリー)を同時に示しているものである。
【0027】
図3は、前記図2に示される本発明のイオントフォレーゼ装置(X)において、イオン性薬剤の投与を下記の条件で実施したときのイオントフォレーゼ装置(X)の基本構成図(要部断面図)を示すものである。
(i).イオン性薬剤として、アスコルビン酸(ビタミンC)のナトリウム(Na)塩(以下、As-Na+と略記する場合がある。)を使用する。
(ii). 導電性媒体として、生理食塩水(Na+Cl-水溶液)を使用する。なお、本発明において、前記生理食塩水として、電極反応に由来する欠点を除去するために、水の電解電位より低い酸化還元電位を有する硫酸第1鉄及び硫酸第2鉄、または有機酸などの酸化還元されやすい物質を添加したものを使用する場合がある。
(iii).イオントフォレーゼ電極部(作用側電極部)を陰極(−極)とする。
(iv). グランド電極部(非作用側電極部)を陽極(+極)とする。
(v).使用するイオン交換膜の種類(イオンの選択透過性)と配置部位は図示の通りとする。
【0028】
図4は、前記図3に示されるイオントフォレーゼ装置(X)の性能を更に向上させた本発明のイオントフォレーゼ装置(X)の基本構成図を示す。
図示されるように、図4のものは、前記図3のものと比較して、グランド電極部(2)のイオン交換膜が、カチオン交換膜(23)とアニオン交換膜(25)を併用して構成される点で相違する。
【0029】
前記図1〜図4において、図中の参照符号は、前記「課題を解決するための手段」の項で説明したイオントフォレーゼ装置の各構成要素の符号に対応するものである。例えば、前記イオントフォレーゼ装置(X)の構成要素の「(1)-1」 は、図中では「11」として表示されている。
【0030】
本発明のイオントフォレーゼ装置(X)の最大の特徴点は、この種のイオントフォレーゼの目的が所定の起電力のもとでイオン性薬剤を皮膚(または粘膜)を介して体内へ駆動(輸送)させることから、従来技術においては一定の起電力によって移動するイオンの量(これは、イオンの濃度、イオンの移動度、イオンの原子価に依存することはよく知られいる。)の点に大きな関心を払っているのに対し、本発明は、各電極部分の電気化学反応に注目し、特に電気化学反応に基づく欠点要因(ネガティブファクタ)に注目し、そこからイオントフォレーゼ技術の再構築を行なっている点にある。
【0031】
イオントフォレーゼにおいては、電極部分は必然的に電気化学反応、即ち、何らかの酸化反応(陽極)と還元反応(陰極)が生起するものである。
そして、前記電気化学反応により、例えば、導電性媒体である生理食塩水の電気分解による有害な物質の生成(例えば、陽極での強力な酸化剤として知られているCl- に起因した次亜塩素酸の生成)、急激なpH変化(陽極での急速な酸性化、陰極での急速なアルカリ性化)、あるいは気泡の発生(例えば、陰極でのH2 ガス、陽極でのO2 ガスやCl2 ガスの発生)などが起こり、このために人体皮膚への悪影響、皮膚刺激、通電不能(ガス発生に伴う抵抗値の増大)など、イオントフォレーゼの実施において致命的な欠点が招来される。
【0032】
本発明は、イオントフォレーゼにおける前記電極部分において生起する電気化学反応に基づく欠点を解消することをベースにして、イオントフォレーゼ技術の高度化、高付加価値化を図るものである。
【0033】
本発明のイオントフォレーゼ装置(X)は、従来のイオン性薬剤の投与法にみられる前記した欠点を解消するために、従来技術のものと比較して、図2〜図3に示されるように、
(i).イオントフォレーゼ電極部(作用側電極部)(1)の構成として、前記した本発明の技術的構成要素(1)-2〜(1)〜3(図2〜図3において、参照符号12〜13で示されている。)を付加すること、また、
(ii). グランド電極部(非作用側電極部)(2)の構成として、前記した本発明の技術的構成要素(2)-2〜(2)〜3(図2〜図3において、参照符号22〜23で示されている。)を付加すること、に特徴点がある。
【0034】
また、本発明のイオントフォレーゼ装置(X)は、従来のものと比較して図4に示されるように、
(iii).グランド電極部(非作用側電極部)(2)の構成として、イオン交換膜としてカチオン交換膜(23)とアニオン交換膜(25)を併用すること、に特徴点がある。
【0035】
要するに、本発明のイオントフォレーゼ装置(X)は、従来のイオン性薬剤の投与法にみられる前記した電極反応に起因した欠点を解消するために、イオン交換膜の利用という観点に注目すれば、イオンの選択透過性に留意してイオントフォレーゼ電極部に2枚のイオン交換膜、及びグランド電極部側に少なくとも1枚のイオン交換膜を利用すること、に特徴点がある。
【0036】
更にまた、本発明のイオントフォレーゼ装置(X)は、従来のイオン性薬剤の投与法にみられる前記した電極反応に起因した欠点を解消するために、前記した特定のイオン交換膜の配設態様に加えて、
(iv). 両電極部(イオントフォレーゼ電極部及びグランド電極部)の導電性媒体として、水の電気分解と比較して酸化または還元しやすい物質を含有したものを採用すること、に特徴点がある。
【0037】
以下、本発明のイオントフォレーゼ装置(X)がもつ前記した特徴点を、イオン性薬剤としてアスコルビン酸ナトリウム(As-Na+)を使用したケースで説明する。この場合、イオン性薬剤の有効薬剤成分の帯電イオンは陰イオン(As- )となることはいうまでもないことである。
このため、図3〜図4に示されるように、イオントフォレーゼ電極部(1)は陰極(−極)になり、グランド電極部(2)は陽極(+極)になる。
なお、いうまでもないことであるが、イオン性薬剤が正の帯電イオンに解離するものである場合、前記した電極部の極性及びイオン交換膜の種類(イオンの選択特性)は、それぞれ反対のものになることはいうまでもないことである。
【0038】
本発明のイオントフォレーゼ装置(X)の基本構成を示す図1〜図4において、1はイオントフォレーゼ電極部(作用側電極部)、2はグランド電極部(非作用側電極部)、3は電源装置、4は皮膚(または粘膜)を示す。
【0039】
前記イオントフォレーゼ電極部(作用側電極部)(1)は、図3〜図4に示されるように、
(i). 負(−)極(11)、
(ii). 導電性媒体(12)、具体的には0.9%NaCl水溶液
(iii).カチオン交換膜(13)、
(iv). イオン性薬剤(14)、具体的には1MAs-Na+水溶液、
(v). アニオン交換膜(15)、
により構成される。
【0040】
前記グランド電極部(2)は、図3の場合は、
(i). 正(+)極(21)、
(ii). 導電性媒体(22)、具体的には0.9%NaCl水溶液、
(iii).カチオン交換膜(23)、
により構成される。
【0041】
また、本発明において、前記グランド電極部(2)は、図4に示されるように、正(+)極(21)から皮膚(4)の方向にみて、
(i). 正(+)極(21)、
(ii). 導電性媒体(22)、具体的には0.9%NaCl水溶液、
(iii).アニオン交換膜(25)、
(iv). 導電性媒体(24)、
(v). カチオン交換膜(23)、
により構成されてもよいものである。
【0042】
本発明において、前記両電極部(1、2)の導電性媒体(12、22)は、水の電気分解反応(水の酸化及び還元反応)と比較して酸化及び還元しやすい化合物を含有したもので構成されてもよいものである。
また、本発明において、前記両電極部(1、2)の導電性媒体(12、22)は、イオン性薬剤(例えば前記したAs-Na+)が一般に水よりも酸化還元電位が低いため、これらイオン性薬剤を酸化還元しやすい化合物として含有してもよいものである。この点は、図4に示されるグランド電極部(2)の導電性媒体(24)においても同じことがいえる。
【0043】
以下、本発明のイオントフォレーゼ装置(X)の基本構成図を参照して、イオン性薬剤の新しい投与法を実施するためのより具体的なイオントフォレーゼ装置(X)の構成、即ち、イオントフォレーゼ電極部(作用側電極部)(1)の具体的構成、次いで、グランド電極部(非作用側電極部、アース電極部)(2)の具体的構成、という順で説明する。
【0044】
本発明のイオントフォレーゼ装置(X)において、イオントフォレーゼ電極部(作用側電極部)(1)の電極板(11)は、所望のもので構成すればよい。また、グランド電極部(非作用側電極部)(2)の電極材(12)についても、所望のもので構成すればよい。
例えば、炭素、白金などの導電性材料からなる不活性電極で構成すればよい。
【0045】
本発明のイオントフォレーゼ装置(X)において、前記電極材(11,12)としては、前記した不活性電極に代えてイオントフォレーゼ分野で知られている活性電極を採用してもよいものである。
前記した活性電極の一例を挙げれば、イオン性薬剤の薬剤成分が正(+)イオンとなる場合、具体的にはイオン性薬剤として塩酸モルフィンや塩化リチウム(この場合、薬剤成分であるモルフィンイオンやリチウムイオンは正イオンとなり、対イオンの塩素は負イオンとなる。)を用いる場合、陽極(+)材としてこれら対イオンと反応する銀電極などがある。
前記した活性電極の場合、銀電極と塩素イオン(Cl-)は容易に反応し、Ag+Cl-→AgCl+e-により不溶性のAgClが生成する。前記活性電極を用いることの利点は、前記反応の標準電位が陽極(+)における水の電気分解反応の標準電位よりも低いため、水の電気分解反応を防止することができることにある。従って、アノード(正極)でのH+イオンに基づく急激な酸性化、及びカソード(負極)でのOH-イオンに基づく急激なアルカリ性化が防止される。
【0046】
しかしながら、本発明のイオントフォレーゼ装置(X)においては、前記したようにイオントフォレーゼ系にイオン選択性の異なるイオン交換膜の複数膜、少なくとも3枚以上を使用するため、活性電極で生成する塩化銀(AgCl)などの不溶性物質(不溶性微粒子)がイオン交換膜の特性を阻害する場合があるのでその使用には十分に留意すべきである。
前記したことから、本発明のイオントフォレーゼ装置(X)は、イオン選択性の異なる複数枚のイオン交換膜を使用するため、活性電極という特殊な電極材を使用せず、より経済的な不活性電極を用いることが好ましい。
また、イオントフォレーゼ系においては、電極材から必然的に生成する金属イオンなども輸送され、この分だけイオントフォレーゼ効果が低下するため、本発明のイオントフォレーゼ装置(X)の電極材としては、炭素電極が好ましいものである。
【0047】
図3に示される本発明のイオントフォレーゼ装置(X)において、イオントフォレーゼ電極部(1)の負(−)極の電極材(11)の周囲に接するように配設される導電性媒体(12)は、還元されやすい化合物を含むもので構成されている。
また、図3に示される本発明のイオントフォレーゼ装置(X)において、グランド電極部(2)の正(+)極の電極材(21)の周囲に接するように配設される導電性媒体(22)は、酸化されやすい化合物を含むもので構成されている。
前記した酸化または還元されやすい化合物の配設部位は、各電極板における電気化学反応、即ち、負(−)極での還元反応、正(+)極での酸化反応に対応したものであることはいうまでもないことである。
【0048】
図3に示される本発明のイオントフォレーゼ装置(X)のイオントフォレーゼ電極部(1)は、図示されるように還元されやすい化合物を含む導電性媒体(12)とイオン性薬剤(As-Na+)(14)の中間にカチオン交換膜(13)が配設されて構成される。
そして、本発明は、前記した構成との関係において、前記還元されやすい化合物を含む導電性媒体(12)を負(−)極の電極材(11)に接するように配設するが、前記導電性媒体(12)は、後述するように、重要な役割を果たすものである。この点は、グランド電極部(2)の側の酸化されやすい化合物を含む導電性媒体(22)についても同様である。
【0049】
本発明において、前記導電性媒体(12)に添加される酸化または還元されやすい化合物としては、生体安全性、経済性(安価かつ入手の容易性)などに優れたものが好ましく、例えば、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄などの無機化合物、アスコルビン酸(ビタミンC)やアスコルビン酸ナトリウムなどの医薬剤、乳酸などの皮膚面に存在する酸性化合物、あるいはシュウ酸、リンゴ酸、コハク酸、フマル酸などの有機酸及び/又はその塩などを例示することができる。
【0050】
前記した水の電解反応(正極での酸化及び負極での還元)よりも酸化または還元しやすい化合物において、例えば、硫酸第二鉄は、負極において容易に第二鉄イオンが第一鉄イオンに還元する。また、硫酸第一鉄は、正極において容易に第一鉄イオンが第二鉄イオンに酸化する。
これにより、詳しくは後述するが、水の電解反応に由来する欠点を除去することができ、本発明の特定のイオン交換膜の配設態様と関連して優れた性能のイオントフォレーゼ装置(X)が提供される。
【0051】
本発明において、前記導電性媒体(12)は、通電性を確保するためのものであり、食塩水、生理食塩水などが典型例である。
本発明のイオントフォレーゼ装置(X)において、前記導電性媒体(12)を収容または保持する構成は、所望に構成すればよい。また、前記導電性媒体(12)は、例えば、溶液タイプのもの、あるいは所望の媒体(ガーゼ、吸水性高分子材料など)に含浸させたタイプのものであってもよい。
【0052】
ここで、前記導電性媒体(12)として、前記酸化または還元しやすい化合物を含有するものを使用する利点について、詳しく説明する。
イオントフォレーゼ電極部(1)およびグランド電極部(2)においては、電気化学的な反応が生じ、電解質溶液の分解やイオン性薬剤の分解が生じる。この結果として、電極室内に気泡が発生し電極部と電解室溶液との接触が妨げられる。 例えば、負極にH2 ガス、正極にCl2 及びO2 ガスが発生する。
このような状況が発生すると、気泡により抵抗が大きくなり、いくら電圧を加えても電流が流れなくなる。前記したAs-Na+デリバリーの場合、長時間(30分以上)安定した通電が不可能になる。これは、イオントフォレーゼ装置の実用性という観点からみると、極めて大きな問題である。
【0053】
前記した不安定性要因を取り除き、安定してイオントフォレーゼを行なうためには、気泡の発生を抑制することが極めて重要である。
前記した目的を達成するために、気泡を発生させずに酸化あるいは還元反応を受けやすい物質を各電極室に入れる方法は有用である。
即ち、水が酸化あるいは還元されると酸素あるいは水素が発生するが、これらの反応を抑制するために、例えば、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、アスコルビン酸あるいはそのナトリウム塩などを電極室溶液(電極液)に添加する。例えば、アスコルビン酸ナトリウムを用いる場合、酸化反応が生じる電極では、酸素の発生が生じる代わりにアスコルビン酸ナトリウムが酸化分解し、還元反応が生じる電極では水素の発生が生じる代わりにアルコルビン酸ナトリウムが還元分解し、これにより通電特性の安定性を損ねる酸素あるいは水素の気泡の発生を抑制することができる。
【0054】
前記したようにアスコルビン酸ナトリウムなどの電気化学反応において水よりも容易に酸化あるいは還元される物質(水の酸化還元電位よりも低い酸化還元電位を有する物質)を犠牲的に使用することにより、電極室内でのガス(気体)の発生を抑制することができ、より安定したオペレーションを可能とするイオントフォレーゼ装置(X)が得られる。
本発明において、前記犠牲的物質としては、前記した硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、アスコルビン酸のほかに、酸化還元を受けて水の分解を抑制するものであれば、いずれも使用することができることはいうまでもないことである。
なお、前記犠牲的物質としてのアスコルビン酸ナトリウムの場合、アスコルビン酸ナトリウムは、
(i).還元反応が生じる電極(−極)では、CO2 やH2CO3などに、
(ii).酸化反応が生じる電極(+極)では、デヒドロアスコルビン酸や2,3ジケト6−グロン酸などに、
変化することになる。
【0055】
本発明のイオントフォレーゼ装置(X)において、前記カチオン交換膜(13)は、所望のものを使用することができる。
本発明のイオントフォレーゼ装置(X)は、前記したように、カチオン交換膜(13)のほかにアニオン交換膜(15)をも使用する。
ここで、本発明で使用する前記カチオン交換膜(13)及びアニオン交換膜(15)の両者の具体例について、説明する。
【0056】
本発明において、前記カチオン交換膜(13)としては、(株)トクヤマ社製のネオセプタ(CM−1,CM−2,CMX,CMS,CMBなど)を使用することができる。
【0057】
本発明において、前記アニオン交換膜(15)としては、(株)トクヤマ社製のネオセプタ(AM−1,AM−3,AMX,AHA,ACH,ACS,ACS−3など)を使用することができる。
【0058】
本発明のイオントフォレーゼ装置(X)において、イオン性薬剤(As-Na+)(14)を収容または保持する構成は、所望に構成すればよい。また、前記イオン性薬剤(14)は、例えば、溶液のタイプのもの、あるいは所望の媒体(ガーゼ、吸水性高分子材料など)に含浸させたタイプのものであってもよい。
【0059】
本発明のイオントフォレーゼ装置(X)において、前記イオン性薬剤(As-Na+)(14)の前面、即ち、皮膚側に配設されるイオン交換膜は、イオン性薬剤の薬剤成分の帯電イオン(As-)と同種のイオン選択性を有するアニオン交換膜(15)が使用される。
【0060】
前記した本発明のイオントフォレーゼ装置(X)のイオントフォレーゼ電極部(1)の技術的構成により、従来の方式よりも長期かつ安定したイオントフォレーゼ効果と生体安全性を得ることができる。
即ち、前記したイオントフォレーゼ電極部(1)の技術的構成により、長期にかつ安定した通電特性を得ることができ、別言すれば、イオン性薬剤を皮膚(4)を介して長期にかつ安定して体内に効率よく浸透(ドラッグデリバリー)させることができ、また電極部での電気分解による有害物質の生成を防止することができる。
【0061】
次に、本発明のイオントフォレーゼ装置(X)のグランド電極部(+電極)(2)の構成について、基本構成図を参照して説明する。
【0062】
イオントフォレーゼに関する従来技術は、グランド電極部(アース電極部)の構成について、単に接地(アース)をとるという単純な考え方が強く働いているためか、安定した通電特性の確保や生体安全性の確保等を考慮したものが提案されていないのが現状である。
このことは、前記「従来の技術」の項で説明した特許出願公表 平3−504343号公報、特開平3−94771号公報、及び本願出願人に関係する特開平4−297277号公報をみても首肯されるところである。
【0063】
本発明は、イオントフォレーゼ装置(X)の前記イオントフォレーゼ電極部(1)の構成に加えて、装置の全体的構成との関連において、長期かつ安定してイオントフォレーゼによるイオン性薬剤の投与ができること、及び高度な生体安全性が得られること、という観点からグランド電極部(2)についても従来とは異なった技術的構成を採用するものである。
【0064】
図2に示されるように、本発明のイオントフォレーゼ装置(X)のグランド電極部(2)は、前記イオントフォレーゼ電極部(1)の電極材(11)と反対の極性の電極材(21)、前記電極材(21)の少なくとも前面に配設された導電性媒体(22)、及び前記導電性媒体(22)の前面部、即ち、皮膚(4)の側に配設され、かつイオン性薬剤の帯電イオンと反対のイオンを選択するイオン交換膜(23)により構成されるものである。
【0065】
本発明のイオントフォレーゼ装置(X)において、生体安全性を高めるためにグランド電極部(2)にイオン交換膜(23)を配設する点は、従来技術にはみられない大きな特徴点である。
また、本発明のイオントフォレーゼ装置(X)において、生体安全性とともに長期の安定的操作を図るために、イオントフォレーゼ電極部(1)の導電性媒体(12)と同様にグランド電極部(2)の導電性媒体(22)は、水の酸化還元電位よりも低い酸化還元電位を有する物質を含有したもので構成されてよいものである。そして、前記グランド電極部(2)にイオン交換膜(23)を配設する点と、前記酸化還元されやすい物質を利用する点を組合わせて高付加価値のイオントフォレーゼ装置(X)とすることも従来技術にはみられない大きな特徴点である。
【0066】
本発明のイオントフォレーゼ装置(X)において、グランド電極部(2)は、図2に示されるように所定のイオン選択性を有する1枚のイオン交換膜(23)を配設したもので構成されてもよいものである。
前記したグランド電極部(2)にイオン交換膜(23)を配設することの利点は、実証データをもって後述される。
また、グランド電極部(2)の導電性媒体(22)に酸化還元されやすい物質を添加することの利点は、既にイオントフォレーゼ電極部(1)の導電性媒体(12)のところで説明した通りである。
【0067】
図3に示されるように、イオン性薬剤がアスコルビン酸ナトリウム(As-Na+)などの負(−)に帯電する場合、本発明のイオントフォレーゼ装置(X)のグランド電極部(2)において、電極材(21)は陽極(+)、導電性媒体(22)は例えば生理食塩水、及びイオン交換膜(23)はカチオン交換膜、により構成される。
【0068】
本発明において、前記グランド電極部(2)の導電性媒体(22)は、酸化還元されやすい物質、例えば硫酸第二鉄、硫酸第一鉄を含有した硫酸第二鉄(両者の等モル溶液)、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウムなどを含有した生理食塩水などで構成されてもよいものである。
更にまた、本発明のグランド電極部(2)は、図4に示されるように、イオン交換膜としてイオン選択性の異なる2種のイオン交換膜を利用してもよいものである。
【0069】
図3に示されるイオントフォレーゼ装置(X)を参照して説明したイオントフォレーゼによるイオン性薬剤の投与法は、前記したようにイオン性薬剤の有効薬剤成分が負(−)に帯電するアスコルビン酸Na(As-Na+)のケースのものであった。
本発明において、イオン性薬剤の有効薬剤成分が正(+)に帯電するものであっても、同様に投与することができるものである。
【0070】
イオン性薬剤の有効薬剤成分が正(+)に帯電するものとしては、例えば、麻酔剤としての塩酸プロカイン、塩酸リドカインなどがある。
この場合、各電極材(11,12)の極性及びイオン交換膜のイオン交換特性を、前記アスコルビン酸Na(As-Na+)の投与ケースとは全く逆にしなければならないことはいうまでもないことである。
前記正(+)に帯電するイオン性薬剤を使用する場合、前記負(−)に帯電するアスコルビン酸Naの投与ケースを類推することにより、本発明の特徴点を容易に理解することができる。
【0071】
前記図1〜図4に示される電源装置(3)としては、所望のものを使用することができる。
本発明において、前記電源装置(3)として、電池、定電圧装置、定電流装置、定電圧・定電流装置(ガルバノ装置)などを使用することができる。
【0072】
次に、前記図3〜図4に示されるイオントフォレーゼ装置(X)の基本構成図と等価の実験装置、及び比較データを採取するための前記実験装置を変更して製作した実験装置を用い、イオン性薬剤としてアスコルビン酸ナトリウム(As-Na+)を投与実験したときの実験例/比較実験例を説明する。
以下に説明する実験例/比較実験例により、本発明のイオントフォレーゼ装置(X)において、特に、グランド電極部(2)にイオン交換膜を配設することの重要性を理解することができる。
【0073】
図5〜図8は、使用した実験装置の概略図である。図5〜図6は比較実験用の装置である。図7〜図8は本発明のイオントフォレーゼ装置(X)と等価の実験装置である。
実験装置の参照符号の意味は、次の通りである。
(1).参照符号11、21、12、13、14、15、22、23、24、25は、図3〜図4と同じである。なお、カチオン交換膜(13、23)及びアニオン交換膜(15、25)として、それぞれトクヤマ社製ネオセプタCMX(カチオン)及びAMX(アニオン)を使用した。
(2).参照符号4は、皮膚を仮想した仮想皮膚槽(室)を示す。
(3).参照符号PPは、ポリプロピレン製多孔質の隔膜(日本ミリポア・リミテッド社製ANフィルター、AN06)を示す。
(注)PPは、イオンの選択透過性はない。
(4).参照符号A〜Eは、イオン交換膜あるいはPPにより仕切られた各槽(室)を示す。
【0074】
1.図5に示される実験装置でのイオントフォレーゼ実験
(a).実験条件
(1).A室(イオントフォレーゼ電極室、負極室)の電極液は、導電性媒体(12)とイオン性薬剤(14)を含むものであり、1MのAs-Na+を溶解した0.9%NaCl水溶液を使用した。
(2).B室(皮膚を模擬した仮想皮膚室)の媒体として、0.9%NaCl水溶液を使用した。
(3).C室(グランド電極室)の導電性媒体(22)として、0.9%NaCl水溶液を使用した。
(4).通電条件
電圧30V(初期設定値)、電流10mA(定電流)、通電時間30分。
(b).実験結果:
実験結果として、各室(A〜C)のpH変化を下記表1に示す。
【0075】
【表1】
【0076】
(c).考察:
(1).A室では還元反応、C室では酸化反応が生じ、A室のAs- (アスコルビン酸イオン)がB室に輸送される。
明らかにA室ではpHは中性からアルカリ性側にシフトし、またC室では中性から強い酸性に変化している。従って、C室のグランド電極(21)とB室、即ち皮膚(4)が直接接触している本実験のケースは非常に危険な状態にある。
このことは、B室が酸性にシフトしていること、そして前記酸性側へのシフトの原因がC室で生成した酸(HClO3) によるものであることから判る。なお、前記次亜塩素酸は強力な酸化剤として知られているものである。
(2).イオントフォレーゼ電極室であるA室と皮膚(B室)の間にアニオン交換膜(15)が存在するため、多少、A室がアルカリになっていくことが阻止されているが、A室のOH- イオンは前記アニオン交換膜(15)を介してB室側へ電気泳動により通過するため、皮膚表面が局所的にアルカリになっていると考えられる。即ち、B室においてはもっと酸性側に傾くと考えられるもののpH=4.20で止まっており、OH- イオンが皮膚面に到達しpHは局所的にアルカリ側にシフトしているものと考えられる。
(3).前記したことから、イオントフォレーゼを行なうにあたり、本実験のようにイオン交換膜を1枚のみ使用する態様は生体安全性の観点から避けるべきである。
(4).本実験において投与されたAs- (アスコルビン酸イオン)の量は約300μmol(理論値560μmol)であり、A室の減少量とB室の増加量にほぼ対応している。しかしながら、前記投与量は理論値の約1/2であり、A室において多量のOH-イオンが生成し、これがAs-とともに輸送されるためAs- の輸送を50%妨害している。この点からも、本実験装置はイオントフォレーゼ装置としては不適当なものである。
【0077】
2.図6に示される実験装置でのイオントフォレーゼ実験
(a).実験条件:
前記図5に示される実験装置のA室とB室(皮膚)の構成を図示の態様でカチオン交換膜(13)とアニオン交換膜(15)を配設して再構成した実験装置を用い、かつA室の電極液及びB室のイオン性薬剤溶液として、それぞれ導電性媒体(12)とイオン性薬剤(14)を含む1MのAs-Na+を溶解した0.9%NaCl水溶液を用いた以外は、前記「1」と同様に実験した。
(b).実験結果:
実験結果として、各室(A〜D)のpH変化を下記表2に示す。
【0078】
【表2】
【0079】
(c).考察
(1).イオントフォレーゼ電極室(A室)と投与試薬であるイオン性薬剤としてのAs-Na+を含む溶液室(B室)の間をカチオン交換膜(13)で仕切ることにより、B室のpHを一定に保つことができる。このことは、皮膚表面(C室)がアルカリ性になることを防止するものである。
また、イオン透過量は、前記「1」の実験と比較して改善され、ほぼ理論値に近い値が得られる。
(2).しかしながら、C室(仮想皮膚槽)(4)のpHの低下がみられる。
このことは、C室とD室の間、即ちグランド電極室(D)と仮想皮膚槽(4)の間を単なる隔膜(pp)でなくイオン交換膜で仕切ることの有効性を示唆している。更にまた、グランド電極室(D)において、導電性媒体である生理食塩水の酸化分解により次亜塩素酸イオンが生成し、これが皮膚に拡散する危険性がある。
【0080】
3.図7に示される実験装置でのイオントフォレーゼ実験
(a).実験条件:
前記図6に示される実験装置のC室とD室の間のPP製隔膜をカチオン交換膜(23)に変更した以外は、前記「2」と同様に実験した。
(b).実験結果:
実験結果として各室(A〜D)のpH変化を下記表3に示す。
【0081】
【表3】
【0082】
(c).考察:
本実験は、本発明のイオントフォレーゼ装置(X)による実験に対応するものである。本実験装置は、グランド電極部(2)に1枚のカチオン交換膜(23)を配設したもので構成される点に特徴がある。
(1).各電極室、即ち、A室及びD室でのpH変化が見られるものの、As-Na+溶液室(B室)及び皮膚(C室)でのpH変化は抑制されており、効果的である。
更に、グランド電極室(D室)にカチオン交換膜(23)を配置することにより、次亜塩素酸イオンなどの有害アニオンを皮膚に接触させずにD室内にとどめおくことができる。
(2).アスコルビン酸イオンの透過量は、ほぼ理論値の値を示すため、本実験装置はイオントフォレーゼ装置として有用なものである。
(3).ただし、本実験装置の改良点としては、仮想皮膚槽(C室)に接するグランド電極室(D室)において、グランド電極(21)上で水の電気分解により生成したH+イオンがカチオン交換膜(23)を通して泳動し、C室の酸性化をもたらしており、この点は改良すべきである。このため、グランド電極部側にもイントフォーゼ電極部側と同じようにカチオン交換膜とアニオン交換膜の二種のイオン交換膜を採用することが好ましい。
【0083】
4.図8に示される実験装置でのイオントフォレーゼ実験
(a).実験条件:
前記図7に示される実験装置において、グランド電極室(D室)にカチオン交換膜(23)に加えてアニオン交換膜(25)を図示の態様で配設し、かつ新たに区画されたグランド電極室(E室)の電極液として1MのAs-Na+を溶解した0.9%NaCl水溶液を用いた以外は、前記「3」と同様に実験した。
(b).実験結果
実験結果として、各室(A〜E)のpH変化を下記表4に示す。
【0084】
【表4】
【0085】
(c).考察:
(1).図8に示されるイオントフォレーゼ電極部側に2枚のイオン交換膜(13、15)、及びグランド電極部側に2枚のイオン交換膜(23、25)を配設したイオントフォレーゼ装置において、イオントフォレーゼ電極部側(A〜B室)から人間の体内(C室)にAs- のみが供給され、かつグランド電極部側(E〜D室)から人間の体内(C室)にNa+ のみが供給され、結果としてアスコルビン酸ナトリウム(As-Na+) が体内に注入されることになる。前記した以外の物質が体内に注入されることがないため、本実験装置は、極めて安全かつ効果的なイオン性薬剤の投与(ドラッグデリバリー)手段となる。
(2).pH変化は、B室、C室、D室においてほとんどみられない。このことは、
(i).イオントフォレーゼ電極部において、B室のアスコルビン酸イオン(As-) が仮想皮膚槽(C室)へ移動、及びナトウムイオン(Na+) がイオントフォレーゼ電極室(A室)へ移動したことを示し、かつ、
(ii).グランド電極部において、D室のナトリウムイオン(Na+)が仮想皮膚槽(C室)へ移動、及びアスコルビン酸イオン(As-)がグランド電極室(E室)へ移動したことを示しており、
これにより各室においてpH変化が生じなかったものである。
【0086】
【実施例】
次に、本発明のイオントフォレーゼによるイオン性薬剤を投与するために使用されるイオントフォレーゼ装置(X)の実施態様について、図面を参照して詳しく説明する。
なお、参照図面において、図示明確化のため、イオン交換膜(13,15,23、25)を波線で表示し、また、一部の構成要素(部材)、構成要素(部材)同志の結合様式、あるいはハッチングを省略する。
しかしながら、図面において省略されている構成は、各実施態様の説明や他の添付図面などから容易に理解され得るものである。
【0087】
図9は、本発明のイオントフォレーゼ装置(X)の第一実施態様を説明する図であり、縦断面図である。
本発明の第一実施態様のイオントフォレーゼ装置(X)は、図9に示されるように、大きく区分して、
(i).円筒状のイオントフォレーゼ電極部(1)、
(ii).前記円筒状のイオントフォレーゼ電極部(1)に対して別体として構成されたグランド電極部(2)、及び、
(iii).定電圧・定電流用電源(3)、
の三つの要素から構成される。
【0088】
本発明のイオントフォレーゼ装置(X)において、グランド電極部(2)は、イオントフォレーゼ電極部(1)に対して別体として構成されるものである。前記「別体として構成される」という意味は、図示のようにイオントフォレーゼ電極部(11)とグランド電極部(2)が非一体型のものであり、例えばグランド電極部(2)をイオントフォレーゼ治療者が把持して接地(アース)をとるという構造のものである。
【0089】
また、図9に示される本発明の第一実施態様のイオントフォレーゼ装置(X)は、イオン性薬剤(14)としてアスコルビン酸Na(As-Na+)をイオントフォレーゼにより投与することを前提にして構成されている。
このため、図9に示されるイオントフォレーゼ装置(X)において、各構成要素の参照符号は、次のことを意味する。
(i).(11)で示されるイオントフォレーゼ電極部(1)の電極板は、(−)極、
(ii).(12)で示されるイオントフォレーゼ電極部(1)の導電性媒体は、生理食塩水、
(iii).(13)で示されるイオントフォレーゼ電極部(1)のイオン交換膜は、カチオン交換膜、
(iv).(14)で示されるイオントフォレーゼ電極部(1)のイオン性薬剤は、アルコルビン酸Na(As-Na+)、
(v).(15)で示されるイオントフォレーゼ電極部(1)のイオン交換膜は、アニオン交換膜、
(vi).(21)で示されるグランド電極部(2)の電極板は、(+)極、
(vii).(22)で示されるグランド電極部(2)の導電性媒体は、生理食塩水、及び、
(viii).(23)で示されるグランド電極部(2)のイオン交換膜は、カチオン交換膜、
をそれぞれ示す。
【0090】
図9に示されるように、本発明の第一実施態様のイオントフォレーゼ装置(X)において、イオントフォレーゼ電極部(1)は、大きく区分して、
(i).非導電性で円筒状の外筒体(a)、及び、
(ii).非導電性で円筒状の内筒体(b)、
の二つの要素から構成され、これら要素(a、b)のもとで前記した参照符号(11〜15)で示される要素が保持または収容される。
前記要素(a,b)は、例えば非導電性のプラスチックで構成すればよい。
【0091】
前記した構成のイオントフォレーゼ電極部(1)は、図1に示されるように、その平面図は円形のものである。
そして、前記イオントフォレーゼ電極部(1)は、例えば、手によって把持されて所望患部に当接されるため、所望の大きさ(外径、高さ)のものに構成される。
また、図9に示されるように、前記外筒体(a)と内筒体(b)は、両者の当接面に形成されたネジ部を介して螺合により一体化される螺合タイプのものである。
しかしながら、本発明において、前記外筒体(a)と内筒体(b)は、その他の方式により一体化されるものであってもよく、例えば係合タイプ、係止タイプ、挿嵌タイプのものなどであってもよいものである。
【0092】
前記円筒状の外筒体(a)は、図示されるように、
(i).前記内筒体(b)と共働してカチオン交換膜(13)を固定するためのカチオン交換膜(13)用支持部(a1)、
(ii).イオン性薬剤(14)を収容するためのイオン性薬剤(14)用収容部(a2)、
(iii).アニオン交換膜(15)を固定するためのアニオン交換膜(15)用支持部(a3)、
(iv).アニオン交換膜(15)を固定するためのアニオン交換膜(15)用押圧リング(a31)、
(v).アニオン交換膜(15)を固定するための固定ピン(a32)、
を有するもので構成される。
【0093】
一方、前記円筒状の内筒体(b)は、図示されるように、
(i).前記外筒体(a)のカチオン交換膜(13)用支持部(a1)と共働してカチオン交換膜(13)を固定するためのカチオン交換膜(13)用押圧部(b1)、
(ii).導電性媒体(12)を収容するための導電性媒体(12)用収容部(b2)、
(iii).電極板(11)を支持する電極板(11)用支持部(b3)、
(iv).電源部(3)からのリード線(31)を案内するリード線(31)用案内孔(b4)、
(v).リード線(31)を支持するリード線(31)用支持具(b5)、
(vi).頂部円板部(b6)、
を有するもので構成される。
【0094】
前記した構成の外筒体(a)及び内筒体(b)からなるイオントフォレーゼ電極部(1)は、図9に示されるように、(−)極電極板(11)、ガーゼあるいは吸水性高分子材料などに含浸された酸化還元されやすい物質を含有する導電性媒体(12)、カチオン交換膜(13)、イオン性薬剤(As-Na+)(14)、及びアニオン交換膜(15)をその内部に確実に保持または収容することができる。
また、前記外筒体(a)と内筒体(b)の構成において、両者が螺合されている場合、外筒体(a)に対して内筒体(b)を相対的に変位させることにより、皮膚(4)に対してアニオン交換膜(15)を密着させることができ、イオントフォレーゼ効果を向上させることができる。
【0095】
次に、図9に示される本発明の第一実施態様のイオントフォレーゼ装置(X)のグランド電極部(2)の構成について説明する。
図9に示されるように、本発明の第一実施態様のイオントフォレーゼ装置(X)のグランド電極部(2)は、大きく区分して、
(i).非導電性で円筒状の外筒体(o)、及び、
(ii).非導電性で円筒状の内筒体(p)、
の二つの要素から構成され、これらの要素(o,p)のもとで前記した参照符号(21〜23)で示される要素が保持または収容される。
【0096】
図9に示されるグランド電極部(2)の外筒体(o)及び内筒体(p)の構成は、前記イオントフォレーゼ電極部(1)の構成から容易に理解することができる。即ち、グランド電極部(2)側においては、前記イオントフォレーゼ電極部(1)側でのカチオン交換膜(13)及びイオン性薬剤(14)を使用しないものであり、この点を考慮すればグランド電極部(2)の構成は、前記図9に示されるイオントフォレーゼ電極部(1)の外筒体(a)と内筒体(b)の構成から容易に理解することができる。このため、グランド電極部(2)の外筒体(o)及び内筒体(p)の具体的な構成の説明は省略する。
【0097】
図9において、グランド電極部(2)の内筒体(p)は、電源部(3)からのリード線(32)を一体的に埋設したもので構成されている点で、前記イオントフォレーゼ電極部(1)の内筒体(b)の構成と相違している。なお、いうまでもないことであるが、グランド電極部(2)の内筒体(p)は、イオントフォレーゼ電極部(1)の内筒体(b)の構成と同じように構成され、リード線(32)や電極板(21)を同じように保持もしくは収容してもよいものである。
【0098】
図9において、イオントフォレーゼ電極部(1)のアニオン交換膜(15)及びグランド電極部(2)のカチオン交換膜(23)の前面部に配設された要素(5)は、イオン交換膜(15、23)と皮膚(4)の間の導電性を良くするための生理食塩水などの導電性液体を含浸した媒体、例えばガーゼなどを示している。
本発明において、前記要素(5)を省略してもよいことはいうまでもないことである。この場合、アニオン交換膜(15)と皮膚(4)が直接当接するため、イオンの輸率(イオン性薬剤の帯電イオンの輸率)が向上することはいうまでもないことである。
【0099】
図9に示される本発明の第一実施態様のイオントフォレーゼ装置(X)において、図示明確化のために図示しないが、イオントフォレーゼ電極部(1)及び/又はグランド電極部(2)に対し、導電性媒体(12、22)やイオン性薬剤(14)のための供給路あるいは排出路、各電極板(11,12)から発生するガスのガス抜き孔、あるいは前記ガスを吸着するための吸着体の収容部、などを配設してもよいことはいうまでもないことである。
【0100】
図10は、本発明のイオントフォレーゼ装置(X)の第二実施態様を説明する図であり、前記図9に対応する図である。
本発明の第二実施態様のイオントフォレーゼ装置(X)は、前記図9に示される第一実施態様のものの変形例ということができる。
【0101】
本発明の図10に示される第二実施態様のイオントフォレーゼ装置(X)は、前記図9に示される第一実施態様のものと比較して、次の構成が相違するだけであり、他の構成は実質的に同一である。
(i).イオントフォレーゼ電極部(1)を、第一実施態様のイオントフォレーゼ電極部(1)の内筒体(b)を2つに区分し、内筒体(b)と中間筒(c)とから成るものに構成した。第二実施態様における構成要素(a,b,c)の具体的な構成は、図10から明らかである。
(ii).グランド電極部(2)を、第一実施態様のグランド電極部(2)の外筒体(o)及び内筒体(p)という構成をやめて、フタの機能をもつ部材(o)とボックス本体の機能をもつ部材(p)とからなるボックスタイプの構成要素(q)にまとめた。第二実施態様における構成要素(q)の具体的な構成は、図10から明らかである。
本発明において、前記構成要素(q)は、構成部材(o,p)が一体的に構成されたものであっても、別体として構成されたものであってもよい。後者の場合、構成部材(o,p)の固着は所望に行なえばよい。また、前記構成要素(q)の平面形状は、矩形、円形など所望のものであってもよい。
本発明において、図10に示される第二実施態様の変形例として、カチオン交換膜(13)を外筒体(a)と中間筒(c)で保持する構成に代えて、内筒体(b)と中間筒(c)で保持する構成にしてもよいことはいうまでもないことである。この場合、外筒体(a)のカチオン変換膜(13)用支持部(a1)を除去し、例えば、中間筒(c)としてその下部の内側に突出部を配設したものを使用し、かつ、内筒体(b)として前記図9に示される第一実施態様の構造のものを使用し、前記中間筒(c)の突出部と内筒体(b)の下端部(図9のbl参照)でカチオン交換膜(13)を保持するようにすればよい。
【0102】
図11は、本発明のイオントフォレーゼ装置(X)の第三実施態様を説明する図であり、前記図10に対応する図である。但し、グランド電極部(2)は省略してある。
本発明の第三実施態様のイオントフォレーゼ装置(X)は、前記図10に示される第二実施態様のものの第一変形例ということができる。
【0103】
本発明の図11に示される第三実施態様のイオントフォレーゼ装置(X)は、前記図10に示される第二実施態様のものと比較して、次の構成が相違するだけであり、他の構成は実質的に同一である。
(i).イオントフォレーゼ電極部(1)の導電性媒体(12)の収容部を、電極板(11)の上部と下部の二つに区分するように内筒体(b)と中間筒(c)の構成を再構成した。
【0104】
図12は、本発明のイオントフォレーゼ装置(X)の第四実施態様を説明する図であり、前記図10に対応する図である。但し、グランド電極部(2)は省略してある。
本発明の第四実施態様のイオントフォレーゼ装置(X)は、前記図10に示される第二実施態様のものの第二変形例ということができる。
【0105】
本発明の図12に示される第四実施態様のイオントフォレーゼ装置(X)は、前記図10に示される第二実施態様のものと比較して、次の構成が相違するだけであり、他の構成は実質的に同一である。
(i).導電性媒体(12)及びイオン性薬剤(14)の形態が、他の第一〜第三実施態様では所望の媒体に含浸したものを利用するのに対して、溶液タイプのものを構成要素(a,b,c)により収容できるようにした。
(ii).中間筒(c)の下部に形成した突出部と、内筒体(b)の押圧部(b1)とによりカチオン変換膜(13)を保持するようにした。
【0106】
図13は、本発明のイオントフォレーゼ装置(X)の第五実施態様を説明する図であり、前記図9に対応する図である。但し、イオントフォレーゼ電極部(1)は省略してある。
本発明の第五実施態様のイオントフォレーゼ装置(X)は、前記図9に示される第一実施態様の第一変形例ということができる。
【0107】
本発明の図13に示される第五実施態様のイオントフォレーゼ装置(X)は、前記図9に示される第一実施態様のものと比較して、次の構成が相違するだけであり、他の構成は実質的に同一である。
(i).グランド電極部(2)の構成を、第一実施態様の外筒体(o)及び内筒体(p)という構成をやめて、図10に示される第二実施態様のグランド電極部(2)と同様にこれら要素(o,p)を一体化してボックスタイプの構成要素(q)とした。
(ii).前記ボックスタイプの構成要素(q)の内部に収容される導電性媒体(22)を、酸化還元しやすい物質を含有する生理食塩水で構成した。
(iii).第一実施態様におけるイオントフォレーゼ電極部(1)のアニオン交換膜(15)及びグランド電極部(2)のカチオン交換膜(23)の前面部に配設した構成要素(5)を除去した。
【0108】
図14は、本発明のイオントフォレーゼ装置(X)の第六実施態様を説明する図であり、前記図9に対応する図である。但し、イオントフォレーゼ電極部(1)は省略してある。
本発明の第六実施態様のイオントフォレーゼ装置(X)は、前記図9に示される第一実施態様の第二変形例ということができる。
【0109】
本発明の図14に示される第六実施態様のイオントフォレーゼ装置(X)は、前記図9に示される第一実施態様のものと比較して、次の構成が装置するだけであり、他の構成は実質的に同一である。
(i).グランド電極部(2)の構成を、第一実施態様の外筒体(o)及び内筒体(p)という構成をやめて、図10に示される第二実施態様及び図13に示される第五実施態様と同様にこれら要素(o,p)を一体化してボックスタイプの構成要素(q)とした。
(ii). 前記構成要素(q)において、第一実施態様の外筒体(o)に対応する部位(o)の構成を、導電性媒体(24)を間に収容または保持できるようにカチオン交換膜(23)とアニオン交換膜(25)を有するように構成した。
(iii).導電性媒体(22、24)として、酸化還元しやすい物質を含有する生理食塩水で構成した。
(iv).第一実施態様におけるイオントフォレーゼ電極部(1)のアニオン交換膜(15)及びグランド電極部(2)のカチオン交換膜(23)の前面部に配設した構成要素(5)を除去した。
【0110】
【発明の効果】
本発明により、
(i).イオントフォレーゼ電極部(作用側電極部)及びグランド電極部(非作用側電極部)が長期に安定した通電状態(定電流及び/又は定電圧)を維持することができるため、イオントフォレーゼ電極部において、イオン性薬剤の正(+)もしくは負(−)に帯電した有効薬剤成分を効率よく皮膚(もしくは粘膜)へ輸送(ドラッグデリバリー)することができ、かつ、
(ii). イオントフォレーゼ電極部(作用側電極部)及びグランド電極部(非作用側電極部)が前記した安定した通電状態の維持に貢献するとともに特定のイオン交換膜の使用態様(配設態様)により電極反応による皮膚への悪影響を排除することができる、
という優れた特性を有するイオントフォレーゼ装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のイオントフォレーゼ装置(X)の基本構成を説明するための図(概略斜視図)である。
【図2】 本発明のイオントフォレーゼ装置(X)の基本構成を説明するための図(概略断面図)である。
【図3】 イオン性薬剤としてアスコルビン酸ナトリウム(As-Na+)を投与するときに使用される本発明のイオントフォレーゼ装置(X)の基本構成を説明するための図である。
【図4】 イオン性薬剤としてアスコルビン酸ナトリウム(As-Na+)を投与するときに使用される本発明のイオントフォレーゼ装置(X)の他の基本構成を説明するための図である。
【図5】 イオントフォレーゼ効果を試験するための第一実験装置(本発明に対して比較対象となる装置)の概略図である。
【図6】 イオントフォレーゼ効果を試験するための第二実験装置(本発明に対して比較対象となる装置)の概略図である。
【図7】 イオントフォレーゼ効果を試験するための第三実験装置(本発明に係る装置)の概略図である。
【図8】 イオントフォレーゼ効果を試験するための第四実験装置(本発明に係る装置)の概略図である。
【図9】 本発明の第一実施態様のイオントフォレーゼ装置(X)を説明するための図である。
【図10】 本発明の第二実施態様のイオントフォレーゼ装置(X)を説明するための図である。
【図11】 本発明の第三実施態様のイオントフォレーゼ装置(X)を説明するための図である。
【図12】 本発明の第四実施態様のイオントフォレーゼ装置(X)を説明するための図である。
【図13】 本発明の第五実施態様のイオントフォレーゼ装置(X)を説明するための図である。
【図14】 本発明の第六実施態様のイオントフォレーゼ装置(X)を説明するための図である。
【符号の説明】
X …………… イオントフォレーゼ装置
1 …………… イオントフォレーゼ電極部
11 ………… 電極材
12 ………… 導電性媒体
13 ………… イオン(カチオン)交換膜
14 ………… イオン性薬剤
15 ………… イオン(アニオン)交換膜
2 …………… グランド電極部
21 ………… 電極材
22 ………… 導電性媒体
23 ………… イオン(カチオン)交換膜
24 ………… 導電性媒体
25 ………… イオン(アニオン)交換膜
3 …………… 電源部
31,32…… リード線
4 …………… 皮膚
5 …………… 導電性液体を含浸したガーゼ
a …………… イオントフォレーゼ電極部(1)側の外筒体
a1 …………… イオン交換膜(13)用支持部
a2 …………… イオン薬剤(14)用収容部
a3 …………… イオン交換膜(15)用支持部
a31…………… イオン交換膜(15)用押圧リング
a32…………… 固定ピン
b …………… イオントフォレーゼ電極部(1)側の内筒体
b1 …………… イオン交換膜(13)用押圧部
b2 …………… 導電性媒体(12)用収容部
b3 …………… 電極板(11)用支持部
b4 …………… リード線(31)用案内孔
b5 …………… リード線(31)用支持具
b6 …………… 頂部円板部
c …………… イオントフォレーゼ電極部(1)側の中間筒
o …………… グランド電極部(2)側の外筒体
p …………… グランド電極部(2)側の内筒体
q …………… グランド電極部(2)の収容体(ボックスタイプ)
Claims (4)
- イオントフォレーゼによりイオン性薬剤を投与するために使用される電源に接続するイオントフォレーゼ電極部(作用側電極部)とグランド電極部(非作用側電極部)を有するイオントフォレーゼ装置において、
(1).前記イオントフォレーゼ電極部が、
(1)-1.イオン性薬剤の帯電イオンと同種の極性の電源に接続された電極材、(1)-2.前記電極材の少なくとも前面に配置された導電性媒体、
(1)-3.前記導電性媒体の前面に配置されたイオン性薬剤の帯電イオンと反対のイオンを選択するイオン交換膜、
(1)-4.前記イオン性薬剤の帯電イオンと反対のイオンを選択するイオン交換膜の前面に配置されたイオン性薬剤、及び、
(1)-5.前記イオン性薬剤の前面に配置されたイオン性薬剤の帯電イオンと同種のイオンを選択するイオン交換膜、とから構成されること、かつ、
(2).前記グランド電極部が、前記イオントフォレーゼ電極部に対して非一体的に構成されるとともに、
(2)-1.前記イオントフォレーゼ電極部の電極材と反対の極性の電極材、
(2)-2.前記電極材の少なくとも前面に配置された導電性媒体、及び、
(2)-3.前記導電性媒体の前面に配置されたイオン性薬剤の帯電イオンと反対のイオンを選択するイオン交換膜、とから構成され、かつ、
「(2)-2.前記電極材の少なくとも前面に配置された導電性媒体」と「(2)-3.前記導電性媒体の前面に配置されたイオン性薬剤の帯電イオンと反対のイオンを選択するイオン交換膜」との間に、前記イオン交換膜と反対のイオンを選択するイオン交換膜を有するものであること
を特徴とするイオントフォレーゼ装置。 - イオントフォレーゼ電極部及びグランド電極部の導電性媒体が、酸化または還元されやすい物質を含むもので構成されたものである請求項1に記載のイオントフォレーゼ装置。
- イオントフォレーゼ電極部及びグランド電極部の導電性媒体が、酸化または還元されやすい物質として硫酸第一鉄と硫酸第二鉄を含む溶液で構成されたものである請求項1に記載のイオントフォレーゼ装置。
- イオントフォレーゼ電極部及びグランド電極部の導電性媒体が、酸化または還元されやすい物質として有機酸及び/又はその塩を含む溶液で構成されたものである請求項1に記載のイオントフォレーゼ装置。
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1999
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