JP4360827B2 - 光学補償シート、含フッ素化合物及び界面活性剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、支持体上に光学異方性層を有し、光学補償機能に優れる光学補償シートに関する。また、該光学補償シートを用いた偏光板及び液晶表示装置にも関する。
さらに本発明は、新規な含フッ素化合物及び該含フッ素化合物を含む界面活性剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
透明支持体との距離に伴って傾斜角が変化するように液晶性分子を配向(ハイブリッド配向)させた光学異方性層を有する光学補償シートは、TN(Twisted Nematic)モードやOCB(Optically Compensatory Bend)モードの液晶表示装置の視野角拡大に有用である。特許文献1及び特許文献2には、5〜50度の傾斜角で配向させたディスコティック液晶性化合物からなる光学異方性層を有する光学補償シートが開示されている。
【0003】
また、特許文献3には、メラミンと置換安息香酸からなるカラムナー錯体を含む光学補償体が開示されている。
さらには、特許文献4には、フッ素置換アルキル基と親水基(スルホ基が連結基を介してベンゼン環に結合した)を有する化合物を光学異方性層に含有する光学補償シートが開示されている。
【0004】
一方、フッ化アルキル鎖を有する化合物は界面活性剤として従来から知られている。このような界面活性剤(以降含フッ素系界面活性剤と称する)は、種々基質の媒体溶液に添加すると、塗膜形成時にハジキのない、均一な被膜を形成することができるばかりでなく、界面活性剤の吸着層を基質表面に形成することができ、フッ化アルキル鎖が持つ独特の性質を被膜表面にもたらすことができる。さらに、耐熱性、耐薬品性などに優れているうえ、有機溶媒中でも優れた界面活性効果を示す。
【0005】
しかしながら、このような長鎖のフッ化アルキル鎖を有した含フッ素系界面活性剤は、その高い撥水・撥油性に起因して、一般的な有機溶剤や水および樹脂類に対する溶解性が低いために、実用上十分に高い濃度での使用が困難であった。この溶解性の乏しさを解消するために、短いフッ素鎖を有するベンゼンスルホン酸塩(例えば特許文献5、6参照)や、分子内に親油性基を導入した含フッ素系界面活性剤(例えば特許文献7参照)が提案されている。
【0006】
【特許文献1】
米国特許第5,583,679号明細書
【特許文献2】
米国特許第5,646,703号明細書
【特許文献3】
欧州特許第1054049A1号明細書
【特許文献4】
特開2001−330725号公報
【特許文献5】
特公平2−28132号公報
【特許文献6】
特開平4−244054号公報
【特許文献7】
特開平10−87563号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らが上記の光学補償シートを実際に液晶表示装置に使用してみたところ、液晶表示装置の偏光板との組み合わせによって斜め方向からの光漏れが認められたり、視野角が充分に拡大しなかったり、光学補償機能が十分とは言えなかった。光学補償機能が不十分になる理由の一つとして、光学異方性層の液晶性分子を十分な大きさの傾斜角で配向させることができなかったことが挙げられる。
【0008】
また、溶解性の乏しさを解消する目的で提案されている上記含フッ素系界面活性剤は、本発明者らが実際に使用してみたところ、表面張力低下作用が不十分であることが判明した。この理由の一つとして、フッ化アルキル基の炭素数が少ないことが挙げられる。いずれにせよ、優れた表面張力低下能と溶解性とを両立し、塗膜形成時にハジキのない、均一な被膜を形成することができる含フッ素系界面活性剤が求められている。
【0009】
上記のことを鑑み、本発明は、光学異方性層のハイブリッド配向する液晶性分子の傾斜角を増加させ、光学補償機能に優れた新規な光学補償シートを提供することを課題とする。特に、空気界面側の傾斜角を増加させ、ハイブリッド配向したディスコティック液晶性化合物を光学異方性層に含有する、TNモード又はOCBモード等の液晶表示装置の視野角改善に寄与する光学補償シートを提供することを課題とする。
さらに、本発明は、優れた表面張力低下能を有しつつ、一般的な有機溶剤や樹脂類に対して優れた溶解性を示し、塗膜形成時にハジキのない、均一な被膜を形成することができる含フッ素化合物及び該化合物を用いたフッ素系界面活性剤を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記課題は、下記手段により解決される。
(1)支持体上に光学異方性層を有する光学補償シートであって、該光学異方性層が下記一般式(I)、(III)又は(IV)で表される化合物から選択される少なくとも一種を含有することを特徴とする光学補償シート。
【0011】
一般式(I)
(R1−X1−)mAr1(−COOH)p
【0012】
[式(I)中、Ar1は芳香族ヘテロ環又は二環以上の縮合芳香族炭化水素環を表し、X1は−O−、−S−、−OCO−、−N(R a )CO−、−CO−、−COO−又は−CON(R a )−(R a は炭素数が1〜5のアルキル基又は水素原子)を表し、R1はアルキル基を表し、mは1〜4のいずれかの整数を表し、pは1〜4のいずれかの整数を表す。]
【0014】
一般式(III)
【0015】
【化5】
【0016】
[式(III)中、Rfはパーフルオロアルキル基を表し、Lは炭素原子数1〜12のアルキレン基、−O−、−CO−、−SO 2 −及びそれらの組合せからなる群より選ばれるフッ素原子で置換されていない2価の連結基を表し、Mは水素原子又はカチオンを表し、n1は2〜5のいずれかの整数を表す。]
一般式(IV)
【0017】
【化6】
【0018】
[一般式(IV)中、Rfはパーフルオロアルキル基を表し、Mは水素原子又はカチオンを表す。n2は1〜5のいずれかの整数を表し、xは1〜6のいずれかの整数を表し、yは1〜4のいずれかの整数を表し、zは0〜6のいずれかの整数を表す。]
【0019】
(2)前記光学異方性層が前記一般式(I)で表される化合物を含有する、上記(1)に記載の光学補償シート。
【0020】
(3)前記一般式(I)で表される化合物が下記一般式(Ia)で表される化合物である、上記(2)に記載の光学補償シート。
一般式(Ia)
【0021】
【化7】
【0022】
式(Ia)中、X11は−O−、−S−、−OCO−、−N(Ra)CO−、−CO−、−COO−、−CON(Ra)−を表し、R11は炭素数8〜20の無置換のアルキル基又は末端にCF3基を有し水素原子の60%以上がフッ素原子で置換されている炭素数4〜12のアルキル基を表し、p1は1〜3のいずれかの整数を表す。また、Raは炭素原子数が1〜5のアルキル基又は水素原子。
【0026】
(4)前記光学異方性層が前記一般式(III)で表される化合物を含有する、上記(1)に記載の光学補償シート。
(5)前記光学異方性層が前記一般式(IV)で表される化合物を含有する、上記(1)に記載の光学補償シート。
【0028】
(6)下記一般式(IV)で表される化合物。
一般式(IV)
【0029】
【化9】
【0030】
[一般式(IV)中、Rfはパーフルオロアルキル基を表し、Mは水素原子又はカチオンを表す。n2は1〜5のいずれかの整数を表し、xは1〜6のいずれかの整数を表し、yは1〜4のいずれかの整数を表し、zは0〜6のいずれかの整数を表す。]
【0031】
(7)上記(6)に記載の化合物を含む界面活性剤。
【0032】
本発明の光学補償シートは、好ましくは透明支持体上に配向膜と光学異方性層とを有し、該光学異方性層が上記一般式(I)、(III)又は(IV)で表される化合物の少なくとも一種を含有する。
上記一般式(I)、(III)又は(IV)で表される化合物は、液晶性化合物を安定的に、傾斜角の大きなハイブリッド配向状態、特に空気界面側での傾斜角を大きくするのに寄与し、光学補償機能を格段に改良する。
さらに、上記一般式(I)、(III)又は(IV)で表される化合物を用いることによって、液晶層(光学異方性層)と支持体の濡れ性が改善される(ハジキが防止できる)などの効果も得られる。
【0033】
また、上記一般式(IV)で表される含フッ素化合物は、新規化合物である。該化合物は、本発明の光学補償シートの光学異方性層に用いられるのみならず、フッ化アルキル鎖を有する界面活性剤として、フッ化アルキル鎖の独特の性質(撥水・撥油性、潤滑性、帯電防止性 等)を利用して種々の表面改質を行うことができ、繊維、布、カーペット、樹脂等、幅広い基材の表面加工に用いることができる。
なお、本発明は、支持体上に光学異方性層を有する光学補償シートであって、該光学異方性層が前記一般式(I)、(III)又は(IV)で表される化合物から選択される少なくとも一種を含有することを特徴とする光学補償シート、及び前記一般式(IV)で表される化合物に関するものであるが、その他の事項についても参考のために記載した。
【0034】
なお、本発明において「ハイブリッド配向」とは、液晶性分子の長軸方向(例えば、ディスコティック液晶分子の場合はコアの円盤面)と光学異方性層の水平面(本発明では、光学異方性層が配向膜を介して支持体上に形成されているので、支持体の表面)とのなす角度(以下、「傾斜角」という)が、支持体からの距離に伴い、すなわち光学異方性層の厚さ方向に変化する配向を言い、光学異方性層/配向膜界面と、光学補償シートの最外面でもある光学異方性層/空気界面とで、傾斜角が異なる液晶性分子によって実現される。本発明では、傾斜角の変化の態様には、連続的増加、連続的減少、間欠的増加、間欠的減少、連続的増加と連続的減少を含む変化、及び増加及び減少を含む間欠的変化などいずれも含まれるものとする。間欠的変化は、厚さ方向の途中で傾斜角が変化しない領域を含んでいる。本発明における「ハイブリッド配向」では、傾斜角が変化しない領域を含んでいても、全体として増加又は減少していることが好ましい。さらに、傾斜角は全体として支持体からの距離に伴い増加していることが好ましく、特に連続的に変化することが好ましい。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
まず、一般式(I)の化合物について詳細に説明する。
【0036】
一般式(I)
(R1−X1−)mAr1(−COOH)p
【0037】
一般式(I)中、Ar1は、芳香族ヘテロ環又は二環以上の縮合芳香族炭化水素環を表し、X1は、単結合又は2価の連結基を表し、R1は、アルキル基を表し、mは1〜4のいずれかの整数を表し、pは1〜4のいずれかの整数を表す。
【0038】
前記一般式(I)中、Ar1で表される芳香族ヘテロ環は好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜12の芳香族ヘテロ環であり、例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を有するヘテロ環であり、フラン環、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、イソキサゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、1,3,5−トリアジン環、インドール環、インダゾール環、キノリン環、カルバゾール環が好ましい。
Ar1で表される二環以上の縮合芳香族炭化水素環は、好ましくは炭素数10〜30、より好ましくは炭素数10〜20の縮合芳香族炭化水素環であり、ナフタレン環が最も好ましい。
Ar1は、二環以上の縮合芳香族炭化水素環であるのが好ましい。
【0039】
Ar1で表される芳香族ヘテロ環又は二環以上の縮合芳香族炭化水素環は置換基を有していてもよく、置換基としては以下の基を挙げることができる。
アルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8のアルケニル基であり、例えば、ビニル基、アリール基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基などが挙げられる)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8のアルキニル基であり、例えば、プロパルギル基、3−ペンチニル基などが挙げられる)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12のアリール基であり、例えば、フェニル基、p−メチルフェニル基、ナフチル基などが挙げられる)、置換もしくは無置換のアミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、特に好ましくは炭素数0〜6のアミノ基であり、例えば、無置換アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、アニリノ基などが挙げられる)、
【0040】
アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜10のアルコキシ基であり、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などが挙げられる)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは2〜10のアルコキシカルボニル基であり、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは2〜10のアシルオキシ基であり、例えば、アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基などが挙げられる)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10のアシルアミノ基であり、例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基などが挙げられる)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12のアルコキシカルボニルアミノ基であり、例えば、メトキシカルボニルアミノ基などが挙げられる)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12のアリールオキシカルボニルアミノ基であり、例えば、フェニルオキシカルボニルアミノ基などが挙げられる)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のスルホニルアミノ基であり、例えば、メタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基などが挙げられる)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜16、特に好ましくは炭素数0〜12のスルファモイル基であり、例えば、スルファモイル基、メチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基などが挙げられる)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のカルバモイル基であり、例えば、無置換のカルバモイル基、メチルカルバモイル基、ジエチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基などが挙げられる)、
【0041】
アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のアルキルチオ基であり、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基などが挙げられる)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12のアリールチオ基であり、例えば、フェニルチオ基などが挙げられる)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のスルホニル基であり、例えば、メシル基、トシル基などが挙げられる)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のスルフィニル基であり、例えば、メタンスルフィニル基、ベンゼンスルフィニル基などが挙げられる)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のウレイド基であり、例えば、無置換のウレイド基、メチルウレイド基、フェニルウレイド基などが挙げられる)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のリン酸アミド基であり、例えば、ジエチルリン酸アミド基、フェニルリン酸アミド基などが挙げられる)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜12のヘテロ環基であり、例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を有するヘテロ環基であり、例えば、イミダゾリル基、ピリジル基、キノリル基、フリル基、ピペリジル基、モルホリノ基、ベンゾオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基などが挙げられる)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは、炭素数3〜24のシリル基であり、例えば、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基などが挙げられる)が含まれる。
これらの置換基はさらにこれらの置換基によって置換されていてもよい。また、置換基を二つ以上有する場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに結合して環を形成していてもよい。
【0042】
Ar1で表される芳香族ヘテロ環又は二環以上の縮合芳香族炭化水素環の置換基としては、好ましくはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、アルキルチオ基であり、特に好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基である。
【0043】
X1で表される2価の連結基はアルキレン基、アルケニレン基、2価の芳香族基、2価のヘテロ環残基、−CO−、−NRa−(Raは炭素原子数が1〜5のアルキル基又は水素原子)、−O−、−S−、−SO−、−SO2−及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる2価の連結基であることが好ましい。2価の連結基は、アルキレン基、−CO−、−NRa−、−O−、−S−、−SO2−及びそれらの群より選ばれる2価の連結基を少なくとも2つ組み合わせた基であることがより好ましい。アルキレン基の炭素原子数は、1〜12であることが好ましい。アルケニレン基の炭素原子数は、2〜12であることが好ましい。アリーレン基の炭素原子数は、6〜10であることが好ましい。アルキレン基、アルケニレン基及びアリーレン基は、可能であれば前述のAr1の置換基として例示された基(例、アルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、アルコキシ基、アシルオキシ基など)によって置換されていてもよい。
X1は、2価の連結基が好ましく、なかでも−O−、−S−、−OCO−、−N(Ra)CO−、−CO−、−COO−、−CON(Ra)−が特に好ましい。
【0044】
R1で表されるアルキル基は環状構造又は分岐構造を有していてもよく、炭素数6〜60のアルキル基が好ましく、炭素数7〜50のアルキル基がより好ましく、炭素数8〜40のアルキル基がさらに好ましく、炭素数8〜30のアルキル基が特に好ましく、炭素数8〜20のアルキル基が最も好ましい。
R1で表されるアルキル基は、可能であれば前述のAr1の置換基として例示された基によって置換されていてもよい。置換基としてはハロゲン原子が好ましく、フッ素原子がより好ましい。R1がフッ素原子で置換されたアルキル基を表す場合、末端がCF3基であることが好ましく、炭素数は、1〜20であることがより好ましく、4〜16であることがさらに好ましく、4〜12であることが特に好ましい。前記末端にCF3基を有するアルキル基は、アルキル基に含まれる水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されたアルキル基が好ましく、アルキル基に含まれる水素原子の50%以上がフッ素原子で置換されていることが好ましく、60%以上が置換されていることがより好ましい。
以下に、R1の具体例を示す。
【0045】
【化10】
【0046】
前記一般式(I)中、mは1〜3のいずれかの整数が好ましく、pは1が好ましい。
【0047】
前記一般式(I)で表される化合物の中でも、下記一般式(Ia)で表される化合物が好ましい。
一般式(Ia)
【0048】
【化11】
【0049】
一般式(Ia)中、X11は−O−、−S−、−OCO−、−N(Ra)CO−、−CO−、−COO−、−CON(Ra)−を表し、R11は炭素数8〜20の無置換のアルキル基又は末端にCF3基を有し水素原子の60%以上がフッ素原子で置換されている炭素数4〜12のアルキル基を表し、p1は1〜3のいずれかの整数を表す。また、Raは炭素原子数が1〜5のアルキル基又は水素原子。
【0050】
前記一般式(Ia)中、X11は好ましくは−O−、−OCO−、−COO−である。
p1が1の場合、R11は末端にCF3基を有し水素原子の60%以上がフッ素原子で置換されている炭素数4〜12のアルキル基が好ましい。p1が2の場合、R11は炭素数12〜20の無置換のアルキル基又は末端にCF3基を有し水素原子の60%以上がフッ素原子で置換されている炭素数4〜12のアルキル基が好ましい。p1が3の場合、R11は炭素数8〜20の無置換のアルキル基又は末端にCF3基を有し水素原子の60%以上がフッ素原子で置換されている炭素数4〜12のアルキル基が好ましい。
【0051】
前記一般式(I)で表される化合物の具体例を以下に示すが、本発明に用いられる化合物はこれらに限定されるものではない。
【0052】
【化12】
【0053】
【化13】
【0054】
【化14】
【0055】
次に、一般式(II)の化合物について詳細に説明する。
【0056】
一般式(II)
(R2−X2−)nAr2(−SO3H)q
【0057】
一般式(II)中、Ar2は芳香族ヘテロ環又は芳香族炭化水素環を表し、X2は単結合又は2価の連結基を表し、R2はアルキル基を表し、nは1〜4のいずれかの整数を表し、qは1〜4のいずれかの整数を表す。
【0058】
前記一般式(II)中、Ar2は芳香族ヘテロ環又は芳香族炭化水素環を表す。Ar2で表される芳香族ヘテロ環は、前記一般式(I)中のAr1で表される芳香族ヘテロ環と同義であり、その好ましい範囲も同一である。Ar2で表される芳香族炭化水素環は、好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20の芳香族炭化水素環であり、ベンゼン環又はナフタレン環が最も好ましい。Ar2は、芳香族炭化水素環であるのが好ましい。
【0059】
Ar2で表される芳香族ヘテロ環又は芳香族炭化水素環は置換基を有していてもよく、置換基としてはAr1の置換基と同義であり、その好ましい範囲も同一である。
【0060】
前記一般式(II)中、X2、R2、n及びqは、それぞれ前記一般式(I)中のX1、R1、m及びpと同義であり、その好ましい範囲も同一である。
前記一般式(II)で表される化合物の中でも、下記一般式(IIa)で表される化合物が好ましい。
【0061】
一般式(IIa)
HO3S−(Ar)−(X22−R22)q1
【0062】
一般式(IIa)中、Arはベンゼン環又はナフタレン環を表し、X22は−O−、−S−、−OCO−、−N(Ra)CO−、−CO−、−COO−、−CON(Ra)−を表し、R22は炭素数8〜20の無置換のアルキル基又は末端にCF3基を有し水素原子の60%以上がフッ素原子で置換されている炭素数4〜12のアルキル基を表し、q1は1〜3のいずれかの整数を表す。また、Raは炭素原子数が1〜5のアルキル基又は水素原子を表す。
【0063】
前記一般式(IIa)中、X22、R22及びq1は、それぞれ前記一般式(Ia)中のX11、R11及びp1と同義であり、その好ましい範囲も同一である。
【0064】
前記一般式(II)で表される化合物の具体例を以下に示すが、本発明に用いられる化合物はこれらに限定されるものではない。
【0065】
【化15】
【0066】
【化16】
【0067】
前記一般式(I)及び(II)で表される化合物は、一般的なヒドロキシ基のアルキル化反応、エステル化反応、及びアミド化反応等を組み合わせることによって容易に合成することができる。
【0068】
次に、本発明の一般式(III)で表される化合物について詳しく説明する。
一般式(III)
【0069】
【化17】
【0070】
一般式(III)中、Rfはパーフルオロアルキル基を表し、Lはフッ素原子で置換されていない2価の連結基を表し、Mは水素原子又はカチオンを表し、n1は2〜5のいずれかの整数を表す。
【0071】
前記一般式(III)中、Rfは炭素数1〜12のパーフルオロアルキル基を表すのが好ましい。パーフルオロアルキル基としては、アルキル基の水素原子が高度にフッ素化されたものであって、水素原子とフッ素原子が混在するものでもかまわない。パーフルオロアルキル基としては、アルキル基の水素原子が好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上がフッ素化された基が望ましい。前記パーフルオロアルキル基中のアルキル基は、飽和であっても不飽和であってもよく、また直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよく、さらに環状構造を有していてもよい。Rfで表されるパーフルオロアルキル基としては、例えば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロ−n−プロピル基、ヘプタフルオロイソプロピル基、ノナフルオロ−n−ブチル基、ウンデカフルオロ−n−ペンチル基、トリデカフルオロ−n−ヘキシル基、ウンデカフルオロシクロヘキシル基、ペンタデカフルオロ−n−ヘプチル基、ヘプタデカフルオロ−n−オクチル基、1,1,2,2−テトラフルオロエチル基、4H−オクタフルオロブチル基、6H−ドデカフルオロヘキシル基、8H−ヘキサデカフルオロオクチル基、10H−エイコサフルオロデシル基等が挙げられる。中でも、炭素数4〜8のパーフルオロアルキル基(例えば、ノナフルオロ−n−ブチル基、トリデカフルオロ−n−ヘキシル基、ヘプタデカフルオロ−n−オクチル基、4H−オクタフルオロブチル基、6H−ドデカフルオロヘキシル基、8H−ヘキサデカフルオロオクチル基等)が好ましい。
【0072】
前記一般式(III)中、Lで表されるフッ素原子で置換されていない2価の連結基はアルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−CO−、−NRa−(Raは炭素原子数が1〜5のアルキル基又は水素原子)、−O−、−S−、−SO−、−SO2−及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基であることが好ましい。アルキレン基の炭素原子数は、1〜12であることが好ましい。アルケニレン基の炭素原子数は、2〜12であることが好ましい。アリーレン基の炭素原子数は、6〜10であることが好ましい。
【0073】
アルキレン基、アルケニレン基及びアリーレン基は、可能であれば置換基によって置換されていてもよい。そのような置換基としては、アルキル基(好ましくは炭素数1〜40、より好ましくは炭素数1〜30、特に好ましくは炭素数1〜20のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜40、より好ましくは炭素数2〜30、特に好ましくは炭素数2〜20のアルケニル基であり、例えば、ビニル基、アリル基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基、2−オクテニル基、2−デセニル基などが挙げられる)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜40、より好ましくは炭素数2〜30、特に好ましくは炭素数2〜20のアルキニル基であり、例えば、プロパルギル基、3−ペンチニル基、3−ヘキシニル基などが挙げられる)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12のアリール基であり、例えば、フェニル基、p−メチルフェニル基、ナフチル基などが挙げられる)、置換もしくは無置換のアミノ基(好ましくは炭素数0〜40、より好ましくは炭素数0〜30、特に好ましくは炭素数0〜20のアミノ基であり、例えば、無置換アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジドデシルアミノ基、アニリノ基などが挙げられる)、
【0074】
アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜40、より好ましくは炭素数1〜30、特に好ましくは炭素数1〜20のアルコキシ基であり、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、ドデシルオキシ基などが挙げられる)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12のアリールオキシ基であり、例えば、フェニルオキシ基、2−ナフチルオキシ基などが挙げられる)、アシル基(好ましくは炭素数1〜40、より好ましくは炭素数1〜30、特に好ましくは炭素数1〜20のアシル基であり、例えば、アセチル基、ベンゾイル基、ホルミル基、ピバロイル基などが挙げられる)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜40、より好ましくは炭素数2〜30、特に好ましくは炭素数2〜20のアルコキシ基であり、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基などが挙げられる)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜10のアリールオキシカルボニル基であり、例えば、フェニルオキシカルボニル基などが挙げられる)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜40、より好ましくは炭素数2〜30、特に好ましくは炭素数2〜20のアシルオキシ基であり、例えば、アセトキシ基、ドデカノイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基などが挙げられる)、
【0075】
アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜40、より好ましくは炭素数2〜30、特に好ましくは炭素数2〜20のアシルアミノ基であり、例えばアセチルアミノ基、ドデカノイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基などが挙げられる)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜40、より好ましくは炭素数2〜30、特に好ましくは炭素数2〜20のアルコキシカルボニルアミノ基であり、例えば、メトキシカルボニルアミノ基などが挙げられる)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12のアリールオキシカルボニルアミノ基であり、例えば、フェニルオキシカルボニルアミノ基などが挙げられる)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜40、より好ましくは炭素数1〜30、特に好ましくは炭素数1〜20のスルホニルアミノ基であり、例えば、メタンスルホニルアミノ基、ドデカンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基などが挙げられる)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜40、より好ましくは炭素数0〜30、特に好ましくは炭素数0〜20のスルファモイル基であり、例えば、スルファモイル基、メチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基、ジオクチルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基などが挙げられる)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜40、より好ましくは炭素数1〜30、特に好ましくは炭素数1〜20のカルバモイル基であり、例えば、無置換のカルバモイル基、メチルカルバモイル基、ジエチルカルバモイル基、ジオクチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基などが挙げられる)、
【0076】
アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜40、より好ましくは炭素数1〜30、特に好ましくは炭素数1〜20のアルキルチオ基であり、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基オクチルチオ基などが挙げられる)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12のアリールチオ基であり、例えば、フェニルチオ基などが挙げられる)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜40、より好ましくは炭素数1〜30、特に好ましくは炭素数1〜20のスルホニル基であり、例えば、メシル基、トシル基などが挙げられる)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜40、より好ましくは炭素数1〜30、特に好ましくは炭素数1〜20のスルフィニル基であり、例えば、メタンスルフィニル基、ベンゼンスルフィニル基などが挙げられる)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜40、より好ましくは炭素数1〜30、特に好ましくは炭素数1〜20のウレイド基であり、例えば、無置換のウレイド基、メチルウレイド基、フェニルウレイド基などが挙げられる)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜40、より好ましくは炭素数1〜30、特に好ましくは炭素数1〜20のリン酸アミド基であり、例えば、ジエチルリン酸アミド基、フェニルリン酸アミド基などが挙げられる)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えば塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜12のヘテロ環基であり、例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を有するヘテロ環基であり、例えば、イミダゾリル基、ピリジル基、キノリル基、フリル基、ピペリジル基、モルホリノ基、ベンゾオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基などが挙げられる)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは、炭素数3〜24のシリル基であり、例えば、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基などが挙げられる)が挙げられる。これらの置換基はさらにこれらの置換基によって置換されていてもよい。また、置換基を二つ以上有する場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに結合して環を形成していてもよい。
【0077】
アルキレン基、アルケニレン基及びアリーレン基の置換基としては、好ましくは、アルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アシルオキシ基である。
【0078】
前記一般式(III)中、Lは、炭素原子数1〜12のアルキレン基、−O−、−CO−、−SO2−及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基であることが特に好ましい。
【0079】
前記一般式(III)中、ベンゼン環は可能であれば置換基を有していてもよく、その置換基としては前述のアルキレン基、アルケニレン基及びアリーレン基の置換基例として挙げられた置換基群及びフッ素原子の中から選ぶことができる。
【0080】
前記一般式(III)中、Mは水素原子又はカチオンを表す。ここで、Mで表されるカチオンとしては、例えばアルカリ金属イオン(リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等)、アルカリ土類金属イオン(バリウムイオン、カルシウムイオン等)、アンモニウムイオン等が好ましく例示される。Mはリチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンまたはアンモニウムイオンが特に好ましい。
【0081】
前記一般式(III)中、n1は2又は3であることが好ましく、2であることが特に好ましい。
また、前記一般式(III)中、ベンゼン環上に置換しているR1は互いに同じでも異なっていてもよい。
【0082】
前記一般式(III)は、下記一般式(IIIa)であることが特に好ましい。
一般式(IIIa)
【0083】
【化18】
【0084】
一般式(IIIa)において、Rfaは、パーフルオロアルキル基を表し、Laは、−(CH2)n11−(ただし、n11は1〜3のいずれかの整数を表す)、−CO−、−(CH2)n12NRaSO2(ただしn12は1〜3のいずれかの整数を表し、Raは炭素原子数が1〜5のアルキル基又は水素原子を表す)、−(CH2)n13CO2−(ただしn13は1〜3のいずれかの整数を表す)、又は−CO(CH2)n14−(ただしn14は1〜3のいずれかの整数を表す)を表し、naは2〜3のいずれかの整数を表し、Maは水素原子またはカチオンを表す。また、複数個存在するR3 aは、互いに同じでも異なっていてもよい。
【0085】
前記一般式(IIIa)において、Rfaは一般式(III)におけるRfと同義であり、その好ましい範囲も同じである。
【0086】
前記一般式(IIIa)において、Laとして特に好ましくは、−CH2−、−CH2CH2CH2−、−CH2CH2NRaSO2−である。
【0087】
次に、一般式(IV)について詳細に説明する。
一般式(IV)
【化19】
【0088】
一般式(IV)中、Rfはパーフルオロアルキル基を表し、Mは水素原子又はカチオンを表す。n2は1〜5のいずれかの整数を表し、xは1〜6のいずれかの整数を表し、yは1〜4のいずれかの整数を表し、zは0〜6のいずれかの整数を表す。
【0089】
前記一般式(IV)において、Rf及びMは、前記一般式(III)で示したものと同義であり、その好ましい範囲も同一である。mは1〜5のいずれかの整数を表し、xは1〜6のいずれかの整数を表し、yは1〜4のいずれかの整数を表し、zは0〜6のいずれかの整数を表す。mが2以上の場合、ベンゼン環上に置換している複数個のR2は互いに同じでも異なっていてもよい。
【0090】
前記一般式(IV)において、mは1〜3の整数であることが好ましく、2または3であることが特に好ましい。xは1〜3の整数であることが好ましく、2または3であることが特に好ましい。yは1〜3の整数であることが好ましく、2または3であることが特に好ましい。zは0〜3の整数であることが好ましく、1〜3であることが特に好ましい。mが2である場合、2つのR2はベンゼン環上のスルホ基に対して2,4位又は3,4位又は2,5位に置換していることが好ましい。mが3である場合、3つのR2はベンゼン環上のスルホ基に対して2,3,4位又は2,4,5位又は2,4,6位に置換していることが好ましい。
【0091】
以下に、一般式(III)又は(IV)で表される含フッ素化合物の具体例を以下に例示するが、本発明は以下の具体例に制限されるものではない。なお、本発明の例示化合物である前記II-2〜II-4は、一般式(III)又は(IV)で表される化合物に含まれる。また、下記例示化合物の構造表記の中で特に断りのない限りアルキル基、パーフルアロアルキル基は直鎖の構造を意味する。
【0092】
【化20】
【0093】
【化21】
【0094】
【化22】
【0095】
一般式(III)及び(IV)で表される新規含フッ素化合物は、一般的なヒドロキシ基のアルキル化反応、エステル化反応、及びアミド化反応等を組み合わせることによって容易に合成することができる。さらに、後述する実施例における合成例に準じた方法によっても合成することができる。
【0096】
また、本発明の一般式(III)及び一般式(IV)で表される含フッ素化合物は、以下に記載する方法により合成することができる。
反応式1
【0097】
【化23】
【0098】
反応式1中、x、z、n2及びRfは、前記一般式(IV)と同義である。なお一般式(III)で表される化合物は、上記反応式1を援用することで、一般式(III)のLに相当する部分が所望する部分に置換された化合物4を用いて製造できる。
【0099】
Step1は、化合物1とω−ハロカルボン酸エステルとを塩基の存在化で反応させ、化合物2を製造する工程である。ω−ハロカルボン酸エステルとしては特に限定はないが、好ましくはω−ブロモカルボン酸エステルである。化合物2のRp基としてはアルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8のアルキル基であり、例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる)が好ましく、また、これらのアルキル基は置換基によって置換されていてもよい。
【0100】
Step1の工程において使用される塩基としては、化合物の他の部分に影響を与えないものであれば特に限定はないが、好適には、ナトリウムメトキシド(ソジウムメチラート)のような金属アルコキシド類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムのようなアルカリ金属水酸化物類または水素化ナトリウムのような金属水素化物類が用いられる。
【0101】
Step1の工程において使用される反応溶媒は、反応を阻害しないものであれば特に限定はないが、塩基として金属アルコキシド類または金属水素化物類を用いる場合にはテトラヒドロフラン、ジオキサンのようなエ−テル類が好ましい。塩基としてアルカリ金属水酸化物を用いる場合には無溶媒、トルエン、ヘキサンのような非極性溶媒と水との2相系または水中で反応を行うことが好ましく、加えて、四級アンモニウム塩のような相間移動触媒を使用することがより好ましい。
【0102】
Step1の工程における反応温度及び反応時間は、出発物質、溶媒及び使用される塩基等により異なり、特に限定はないが、副反応を抑制するために、通常は0〜100℃の範囲で1時間乃至20時間反応させる。
【0103】
反応終了後、本反応の化合物2は常法に従って、反応混合物から採取される。例えば、反応混合物を適宜中和し、又、不溶物が存在する場合には濾過により除去した後、水と酢酸エチルのような混和しない有機溶媒を加え、水等で洗浄後、目的化合物を含む有機層を分離し、無水硫酸マグネシウム等で乾燥後、溶剤を留去することによって得られる。
【0104】
得られた目的化合物2は必要ならば、常法、例えば再結晶、再沈殿、又は、通常、有機化合物の分離精製に慣用されている方法、例えば、下記に記載の方法群Aから選ばれる方法又は該方法を適宜組み合わせ、適切な溶離剤で溶出することによって分離、精製することができる。
【0105】
(方法群A)
シリカゲル,アルミナ,マグネシウム−シリカゲル系のフロリジルのような担体を用いた吸着カラムクロマトグラフィー法、セファデックスLH−20(ファルマシア社製),アンバーライトXAD−11(ローム・アンド・ハース社製),ダイヤイオンHP−20(三菱化成社製)ような担体を用いた分配カラムクロマトグラフィー等の合成吸着剤を使用する方法、イオン交換クロマトを使用する方法、又は、シリカゲル若しくはアルキル化シリカゲルによる順相・逆相カラムクロマトグラフィー法(好適には、高速液体クロマトグラフィーである。)
【0106】
Step2は、化合物2のエステル基を、溶媒中、還元して、化合物3を製造する工程である。化合物3の製造にはエステルの還元の常法を用いることができ、例えば日本化学会編「実験化学講座(第4版)」20巻(1992年)(丸善)等に記載の方法が挙げられる。
【0107】
Step3は、化合物3のヒドロキシル基を、溶媒中、置換もしくはエステル化して、化合物4を製造する工程である。また、商業的に入手可能なフッ化アルコールに対して同様の反応を行い、Step4以降の工程に適用することができる。
【0108】
化合物4のXはハロゲンまたは擬ハロゲンである。ハロゲンとしては塩素、臭素、ヨウ素が好ましく、臭素が特に好ましい。擬ハロゲンとしてはメタンスルホニルオキシ、p−トルエンスルホニルオキシ、トリフルオロメタンスルホニルオキシが好ましい。
【0109】
化合物4のXがハロゲンである場合には、Step3としてはヒドロキシル基のハロゲン化の常法を用いることができ、例えば日本化学会編「実験化学講座(第4版)」19巻(1992年)(丸善)等に記載の方法が挙げられる。
【0110】
化合物4のXが擬ハロゲンである場合には、Step3としては、通常、溶媒中、塩基の存在下で、対応する酸ハロゲン化物または酸無水物と反応させる方法が好ましい。
【0111】
Step3の工程において使用される塩基としては、化合物の他の部分に影響を与えないものであれば特に限定はないが、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、ジメチルアミノピリジンのような3級アミン類が好ましい。
【0112】
Step3の工程において使用される反応溶媒は、反応を阻害しないものであれば特に限定はないが、クロロホルム、塩化メチレンのようなハロゲン化炭化水素類が好ましい。
【0113】
Step3の工程における反応温度及び反応時間は、出発物質、溶媒及び使用される塩基等により異なり、特に限定はないが、副反応を抑制するために、通常は−10〜10℃の範囲で1時間乃至20時間反応させる。
【0114】
反応終了後、本反応の目的化合物4は常法に従って、反応混合物から採取し、次の工程に用いることも、また、常法に従って反応液を水等で洗浄後、脱水し、次の工程にそのまま用いることもできる。
【0115】
反応混合物から採取される場合には、例えば、反応混合物を適宜中和し、又、不溶物が存在する場合には濾過により除去した後、水と酢酸エチルのような混和しない有機溶媒を加え、水等で洗浄後、目的化合物を含む有機層を分離し、無水硫酸マグネシウム等で乾燥後、溶剤を留去することによって得られる。得られた目的化合物4は必要ならば、上記の方法群Aを用いて分離精製できる。
【0116】
Step4は、化合物4と多価ヒドロキシベンゼンとを、溶媒中、塩基の存在化で反応させることにより、化合物5を製造する工程である。
【0117】
Step4の工程において使用される塩基としては、化合物の他の部分に影響を与えないものであれば特に限定はないが、好適には、ナトリウムメトキシド(ソジウムメチラート)のような金属アルコキシド類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムのようなアルカリ金属水酸化物類、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウムのようなアルカリ金属炭酸塩類または水素化ナトリウムのような金属水素化物類が用いられる。
【0118】
Step4の工程において使用される反応溶媒は、反応を阻害しないものであれば特に限定はないが、塩基として金属アルコキシド類または金属水素化物類を用いる場合にはテトラヒドロフラン、ジオキサンのようなエ−テル類が好ましい。塩基としてアルカリ金属水酸化物を用いる場合には無溶媒、トルエン、ヘキサンのような非極性溶媒と水との2相系または水中で反応を行うことが好ましく、加えて、四級アンモニウム塩のような相間移動触媒を使用することがより好ましい。塩基としてアルカリ金属炭酸塩を用いる場合にはテトラヒドロフラン、ジオキサンのようなエ−テル類、アセトン、メチルエチルケトンようなケトン類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドのようなアミド類及びジメチルスルホキシドのようなスルホキシド類が好ましい。
【0119】
Step4の工程における反応温度及び反応時間は、出発物質、溶媒及び使用される塩基等により異なり、特に限定はないが、副反応を抑制するために、通常は0〜150℃の範囲で1時間乃至20時間反応させる。
【0120】
反応終了後、本反応の目的化合物5は常法に従って、反応混合物から採取される。例えば、反応混合物を適宜中和し、又、不溶物が存在する場合には濾過により除去した後、水と酢酸エチルのような混和しない有機溶媒を加え、水等で洗浄後、目的化合物を含む有機層を分離し、無水硫酸マグネシウム等で乾燥後、溶剤を留去することによって得られる。得られた目的化合物5は必要ならば、上記の方法群Aを用いて分離精製できる。
【0121】
Step5は、化合物5を、溶媒中スルホン化することにより化合物6(一般式(IV)に相当)を製造する工程である。
【0122】
Step5の工程において使用されるスルホン化試薬としては、通常、スルホン化反応に使用されるものであれば、特に限定は無く、好ましくはクロロスルホン酸である。
【0123】
Step5の工程において使用される反応溶媒は、反応を阻害しないものであれば特に限定はないが、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素のようなハロゲン化炭化水素類が好ましい。
【0124】
Step5の工程における反応温度及び反応時間は、出発物質、溶媒及び使用される塩基等により異なり、特に限定はないが、副反応を抑制するために、通常は−10〜30℃の範囲で1時間乃至3時間反応させる。
【0125】
生成物は、反応の進行とともに反応系中に結晶として析出することもあるが、冷却またはヘキサンのような貧溶媒を加えることによっても効率的に結晶を析出できる。反応終了後、本反応の目的化合物6は常法に従って、反応混合物から採取される。例えば、上記の手法により析出した結晶を濾取することができる。また、生成物が粘稠な液体である場合には、反応溶媒を留去し、残留物にヘキサンのような貧溶媒を加えて洗浄し、上澄みをデカンテーションすることによっても目的化合物を得られる。また、スルホン酸塩として単離する場合には、常法に従って行うことができる。
【0126】
本発明の光学補償シートの光学異方性層において、前記一般式(I)〜(IV)で表される化合物の添加量としては、液晶性化合物の量の0.01〜20質量%が好ましく、0.05〜10質量%が特に好ましく、0.1〜5質量%が最も好ましい。
なお、前記一般式(I)〜(IV)で表される化合物は、各々2種類以上を併用してもよい。また、例えば、前記一般式(I)で表される化合物と一般式(II)〜(IV)のいずれかで表される化合物を併用してもよい。
【0127】
本発明の光学補償シートは、液晶性化合物、前記一般式(I)〜(IV)で表される化合物、及びその他必要に応じて添加する各種化合物を含有する液晶性組成物を、透明支持体上に設けられた配向膜上に塗布し、液晶性分子を配向させることにより光学異方性層を形成して得られたものである。
以下に、本発明の光学補償シートの光学異方性層に用いられる材料のうち、前記で説明した一般式(I)〜(IV)で表される化合物以外の材料にいて詳細に説明する。
【0128】
[液晶性化合物]
本発明において、光学異方性層に用いる液晶性化合物は、棒状液晶性化合物およびディスコティック液晶性化合物のいずれでもよく、また、高分子液晶および低分子液晶のいずれでもよいが、好ましくはディスコティック液晶であり、より好ましくはトリフェニレン液晶である。さらに光学異方性層中で、低分子液晶が架橋され液晶性を示さなくなったものも含まれる。本発明に用いる液晶性化合物としては、ディスコティック液晶性化合物が特に好ましい。なお、本発明で用いられる液晶性化合物は、単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0129】
[棒状液晶化合物]
好ましい棒状液晶性化合物としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類及びアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。なお、棒状液晶性化合物には、金属錯体の液晶性化合物も含まれる。また、棒状液晶性化合物を繰り返し単位中に含む液晶ポリマーも、棒状液晶性化合物として用いることができる。言い換えると、棒状液晶性化合物は、(液晶)ポリマーと結合していてもよい。棒状液晶性化合物については、季刊化学総説第22巻「液晶の化学」(日本化学会編、1994年)の第4章、第7章および第11章、および「液晶デバイスハンドブック」(日本学術振興会第142委員会編)の第3章に記載がある。
棒状液晶性化合物の複屈折率は、0.001〜0.7の範囲にあることが好ましい。棒状液晶性化合物は、その配向状態を固定するために、重合性基を有することが好ましい。棒状液晶性化合物についてはWO01/88574A1号公報の50頁7行〜57頁末行に記載されている。
【0130】
[ディスコティック液晶性化合物]
本発明に好ましく用いられるディスコティック液晶性化合物の例としては、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.71巻、111頁(1981年)に記載されているベンゼン誘導体、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.122巻、41頁(1985年)、Physics lett.A,78巻、82頁(1990)に記載されているトルキセン誘導体、B.Kohneらの研究報告、Angew.Chem.96巻、70頁(1984年)に記載されたシクロヘキサン誘導体およびJ.M.Lehnらの研究報告、J.Chem.Commun.,1794頁(1985年)、J.Zhangらの研究報告J.Am.Chem.Soc.116巻、2655頁(1994年)に記載されているアザクラウン系やフェニルアセチレン系マクロサイクルなどを挙げることができる。さらに、ディスコティック液晶性化合物としては、一般的にこれらを分子中心の母核とし、直鎖のアルキル基やアルコキシ基、置換ベンゾイルオキシ基等がその直鎖として放射線状に置換された構造のものも含まれ、これらもすべて液晶性を示す。
【0131】
また、光学異方性層が最終的に形成された際に、液晶性化合物はもはや液晶性化合物である必要はない。例えば、低分子のディスコティック液晶性化合物が熱、光等で反応する基を有しており、結果的に熱、光等で反応により重合または架橋し、高分子量化して、液晶性を失ってもよい。ディスコティック液晶性化合物の好ましい例は、特開平8−50206号公報に記載されている。また、ディスコティック液晶性化合物の重合については、特開平8−27284号公報に記載があり、本発明にも適用することができる。
【0132】
ディスコティック液晶性化合物を重合により固定する方法の一例として、ディスコティック液晶性化合物として、ディスコティックコアに置換基として重合性基が結合した液晶性化合物を用い、ハイブリッド配向させた後、前記液晶性化合物を重合させて固定する方法がある。但し、ディスコティックコアに重合性基を直結させると、重合反応において配向状態を保つことが困難になる傾向にある。そこで、ディスコティックコアと重合性基との間に、連結基を導入することが好ましい。重合性基を有する好ましいディスコティック液晶性化合物としては、下記一般式(V)で表される化合物が挙げられる。
【0133】
一般式(V) D(−L5−P)n 5
【0134】
式(V)中、Dはディスコティックコアを表し、L5は2価の連結基を表し、Pは重合性基を表し、n5は2〜12のいずれかの整数を表す。前記ディスコティック液晶性化合物の具体例としては、WO01/88574A1号公報の58頁6行〜65頁8行に記載されている。
【0135】
本発明では、2種類以上のディスコティック液晶性化合物を併用して用いてもよい。また、例えば、上記の重合性ディスコティック液晶性化合物と非重合性ディスコティック液晶性化合物とを併用することも可能である。非重合性ディスコティック液晶性化合物は、前述した重合性ディスコティック液晶性化合物の重合性基(P)を、水素原子又はアルキル基に変更した化合物であることが好ましい。すなわち、非重合性ディスコティック液晶性化合物は、下記一般式(VI)で表される化合物であることが好ましい。
【0136】
一般式(VI) D(−L6−R)n 6
【0137】
一般式(VI)中、Dは円盤状コアを、L6は二価の連結基を、Rは水素原子またはアルキル基を表し、n6は4〜12のいずれかの整数である。
【0138】
[光学異方性層の添加剤]
本発明の光学異方性層には、前記の液晶性化合物や前記一般式(I)〜(IV)で表される化合物の他に、任意の添加剤を併用することができる。添加剤の例としては、ハジキ防止剤、配向膜のプレチルト角(光学異方性層/配向膜界面での液晶性分子の傾斜角)を制御するための添加剤、重合開始剤、配向温度を低下させる添加剤(可塑剤)、重合性モノマー等である。
【0139】
[ハジキ防止剤]
液晶性化合物とともに使用して、塗布時のハジキを防止するための材料としては、一般に高分子化合物を好適に用いることができる。
使用するポリマーとしては、液晶性化合物と相溶性を有し、液晶性分子の傾斜角変化や配向を著しく阻害しない限り、特に制限はない。
ポリマーの例としては、特開平8−95030号公報に記載があり、特に好ましい具体的ポリマー例としてはセルロースエステル類を挙げることができる。セルロースエステルの例としては、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、ヒドロキシプロピルセルロースおよびセルロースアセテートブチレートを挙げることができる。液晶性化合物の配向を阻害しないように、ハジキ防止目的で使用されるポリマーの添加量は、液晶性化合物に対して一般に0.1〜10質量%の範囲にあり、0.1〜8質量%の範囲にあることがより好ましく、0.1〜5質量%の範囲にあることがさらに好ましい。
【0140】
[配向膜プレチルト角制御剤]
配向膜のプレチルト角を制御する添加剤として、分子内に極性基と非極性基の両方を有する化合物を添加することができる。
極性基と非極性基の両方を有する化合物としては、R−OH、R−COOH、R−O−R、R−NH2、R−NH−R、R−SH、R−S−R、R−CO−R、R−COO−R、R−CONH−R、R−CONHCO−R、R−SO3H、R−SO3−R、R−SO2NH−R、R−SO2NHSO2−R、R−C=N−R、HO−P(−R)2、(HO−)2P−R、P(−R)3、HO−PO(−R)2、(HO−)2PO−R、PO(−R)3、R−NO2、R−CN、等が例として挙げられる。また、有機塩(例えば、アンモニウム塩、ピリジニウム塩、カルボン酸塩、スルホン酸塩、リン酸塩)でもかまわない。
上記化合物のなかで、で好ましい化合物は、R−OH、R−COOH、R−O−R、R−NH2、R−SO3H、HO−PO(−R)2、(HO−)2PO−R、PO(−R)3、及び有機塩である。
ここで、上記各化合物のRは非極性基であり、該非極性基として下記のものが挙げられる。
【0141】
即ち、非極性基としては、アルキル基(好ましくは炭素数1から30の直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルキル基)、アルケニル基(好ましくは炭素数1から30の直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルケニル基)、アルキニル基(好ましくは炭素数1から30の直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルケニル基)、アリール基(好ましくは、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリール基)、シリル基(好ましくは、炭素数3から30の置換もしくは無置換のシリル基)が例として挙げられる。
この非極性基はさらに置換基を有していてもよく、置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基(シクロアルキル基、ビシクロアルキル基を含む)、アルケニル基(シクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基を含む)、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基(アニリノ基を含む)、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリールアゾ基、ヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基などが例として挙げられる。
【0142】
配向膜プレチルト制御剤を加えることで配向膜のプレチルト角は変えることができるが、その時の変化量は配向膜のラビング密度に関係がある。ラビング密度が高い配向膜とラビング密度の低い配向膜を比較すれば、ラビング密度の低い配向膜の方が、同じ添加量であっても、プレチルト角は変わりやすい。
したがって、配向膜プレチルト制御剤の添加量は、配向膜のラビング密度および所望のプレチルト角の大きさ等によって変わるが、液晶性化合物に対して、0.0001質量%〜30質量%が好ましく、0.001質量%〜20質量%が好ましく、更に0.005質量%〜10質量%が最も好ましい。
配向膜プレチルト制御剤の具体例を以下に示すが、本発明に用いられる化合物はこれらに限定されるものではない。
【0143】
【化24】
【0144】
【化25】
【0145】
【化26】
【0146】
[重合開始剤]
本発明では、液晶性化合物がハイブリッド配向の状態で固定されていることが好ましく、そのため重合反応により液晶性化合物を固定することが好ましい。
重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応とが含まれるが、熱により支持体等が変形、変質するのを防ぐためにも、光重合反応が好ましい。
光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許3549367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許4239850号明細書記載)およびオキサジアゾール化合物(米国特許4212970号明細書記載)が挙げられる。光重合開始剤の使用量は、塗布液の固形分の0.01〜20質量%であることが好ましく、0.5〜5質量%であることがさらに好ましい。液晶性化合物を重合させるための光照射は、紫外線を用いることが好ましい。照射エネルギーは、20mJ/cm2〜50J/cm2であることが好ましく、100mJ/cm2〜800mJ/cm2であることがさらに好ましい。光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を実施してもよい。
【0147】
[重合性モノマー]
液晶性化合物とともに使用する重合性モノマーとしては、液晶性化合物と相溶性を有し、液晶性分子の傾斜角変化や配向阻害を著しく引き起こさない限り、特に限定はない。これらの中では重合活性なエチレン性不飽和基、例えばビニル基、ビニルオキシ基、アクリロイル基及びメタクリロイル基などを有する化合物が好ましく用いられる。上記重合性モノマーの添加量は、液晶性化合物に対して一般に1〜50質量%の範囲にあり、5〜30質量%の範囲にあることが好ましい。また反応性官能基数が2以上のモノマーを用いると、配向膜と光学異方性層間の密着性を高める効果が期待できるため、特に好ましい。
【0148】
[塗布溶剤]
液晶性組成物の調製に使用する溶媒としては、有機溶媒が好ましく用いられる。有機溶媒の例としては、アミド(例、N,N−ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例、ピリジン)、炭化水素(例、ベンゼン、ヘキサン)、アルキルハライド(例、クロロホルム、ジクロロメタン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸ブチル)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン)、エーテル(例、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン)が挙げられる。アルキルハライド及びケトンが好ましい。二種類以上の有機溶媒を併用してもよい。
【0149】
[塗布方式]
光学異方性層は、上記溶媒を用いて液晶性組成物の塗布液を調製し配向膜上に塗布し、液晶性化合物を配向処理することで形成する。塗布液の塗布は、公知の方法(例えば、ワイヤバーコーティング法、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法)により実施できる。また、塗布液における液晶性化合物の含有量は1〜50質量%が好ましく、10〜50質量%がより好ましく、20〜40質量%がさらに好ましい。
【0150】
[光学異方性層の特性]
光学的異方性層の厚さは、0.1〜20μmであることが好ましく、0.5〜15μmであることがさらに好ましく、1〜10μmであることが最も好ましい。
【0151】
本発明の液晶性組成物は配向膜上に塗布されるので、液晶性分子は配向膜との界面では配向膜のプレチルト角で配向し、空気との界面では空気界面のプレチルト角で配向することとなる。したがって、塗布後、液晶性化合物を均一配向(モノドメイン配向)させることで、空気界面から配向膜界面に向けて、つまり光学異方性層の深さ方向に液晶性分子の傾斜角(ディスコティック液晶性分子の場合、液晶性分子の円盤面の法線と透明支持体の配向膜を設ける面の法線とがなす角)が連続的に変化するハイブリッド配向を実現することができる。ハイブリッド配向させた光学補償シートにより、視野角を拡大させ、並びに視角変化に対するコントラスト低下、階調または黒白反転、および色相変化等を防止することができる。
【0152】
ディスコティック液晶性分子の場合、空気界面のプレチルト角は50°以上であり、光学補償シートとして好ましい性能を発揮できる状態のハイブリッド配向を実現するために、本発明では、配向膜のプレチルト角を3°〜30°とするのが好ましい。この配向膜のプレチルト角は前記した方法(配向膜のラビング密度、配向膜プレチルト角制御剤等)により制御することで、本発明の光学補償シートを適用する液晶表示装置の表示モードに応じて、好ましいハイブリッド配向状態を実現することができる。
【0153】
[プレチルト角]
プレチルト角とは、液晶性分子の長軸方向と界面(配向膜界面あるいは空気界面)の法線がなす角度を指し、本発明では、配向膜のプレチルト角は3°〜30°、空気界面側のプレチルト角は20〜80°であるのが好ましい。
さらに、好ましい配向膜のプレチルト角は5°〜30°、更に好ましくは7〜20°、特に好ましいのは9〜20°である。また、好ましい空気界面側のプレチルト角は30〜75°、更に好ましくは35〜70°、特に好ましいのは40〜70°である。ディスコティック液晶性分子の場合、プレチルト角が小さすぎると、ディスコティック液晶性分子のモノドメイン配向に要する時間が長くなるため大きい方が好ましいが、プレチルト角が大きくなりすぎると、光学補償シートとして好ましい光学性能が得られなくなりやすい。したがって、モノドメイン化時間の短縮と光学補償シートとしての好ましい光学性能の両立の観点から、上記範囲のプレチルト角が好ましい。
配向膜側のプレチルト角は、後述する配向膜のラビング密度を変える方法、あるいは前述の配向膜プレチルト角制御剤の添加などにより、数度〜数十度の範囲で制御可能である。
【0154】
[配向膜]
配向膜は、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理、無機化合物の斜方蒸着、マイクログルーブを有する層の形成、あるいはラングミュア・ブロジェット法(LB膜)による有機化合物(例、ω−トリコサン酸、ジオクタデシルメチルアンモニウムクロライド、ステアリル酸メチル)の累積のような手段で、設けることができる。さらに、電場の付与、磁場の付与あるいは光照射により、配向機能が生じる配向膜も知られている。
配向膜上に設けられる光学異方性層の液晶性分子に所望の配向を付与できるのであれば、配向膜としてはどのような層でもよいが、本発明においては、配向膜のプレチルト角の制御し易さの点から、特にポリマーのラビング処理により形成する配向膜が特に好ましい。ラビング処理は、一般にはポリマー層の表面を、紙や布で一定方向に数回擦ることにより実施することができるが、特に本発明では「液晶便覧」(丸善(株))に記載されている方法により行うことが好ましい。配向膜の厚さは、0.01〜10μmであることが好ましく、0.05〜1μmであることがさらに好ましい。
配向膜に用いられるポリマーは、多数の文献に記載があり、多数の市販品を入手することができる。本発明の光学補償フィルム用の配向膜ではポリビニルアルコール及びその誘導体が好ましく用いられる。特に好ましくは、疎水性基が結合している変性ポリビニルアルコールが特に好ましい。配向膜についてはWO01/88574A1号公報の43頁24行〜49頁8行の記載を参照することができる。
【0155】
[配向膜のラビング密度]
配向膜のラビング密度を変える方法としては、「液晶便覧」(丸善(株))に記載されている方法を用いることができる。ラビング密度(L)は、下記式(A)で定量化されている。
【0156】
式(A) L=Nl(1+2πrn/60v)
【0157】
式(A)中、Nはラビング回数、lはラビングローラーの接触長、rはローラーの半径、nはローラーの回転数(rpm)、vはステージ移動速度(秒速)である。
ラビング密度を高くするためには、ラビング回数を増やす、ラビングローラーの接触長を長く、ローラーの半径を大きく、ローラーの回転数を大きく、ステージ移動速度を遅くすればよく、一方、ラビング密度を低くするためには、この逆にすればよい。
ラビング密度と配向膜のプレチルト角との間には、ラビング密度を高くするとプレチルト角は小さくなり、ラビング密度を低くするとプレチルト角は大きくなる関係がある。
【0158】
[支持体]
光学補償シートの支持体として、主に光学的等方性のポリマーフィルムが用いられる。本発明では、支持体の光透過率が80%以上であることが好ましい。また、透明支持体であることが好ましい。
ポリマーの具体例及び好ましい態様は、特開2002−22942号公報の段落番号[0013]の記載を適用できる。また、従来知られているポリカーボネートやポリスルホンのような複屈折の発現しやすいポリマーであってもWO00/26705号明細書に記載の分子を修飾することで該発現性を低下させたものを用いることもできる。
【0159】
ポリマーフィルムとしては、酢化率が55.0〜62.5%であるセルロースアセテートの使用が好ましい。特に酢化率が57.0〜62.0%であることが好ましい。酢化率、及びその範囲、並びにセルロースアセテートの化学構造は、特開2002−196146号公報の段落番号[0021]の記載を適用できる。
【0160】
透明支持体として用いるセルロースエステルフィルムのReレターデーション値、及び複屈折率の範囲は、特開2002−139621号公報の段落番号[0018]〜[0019]の記載を適用できる。
【0161】
透明支持体として用いるポリマーフィルム、特にセルロースアセテートフィルムのレターデーションを調整するために、少なくとも二つの芳香族環を有する芳香族化合物をレターデーション上昇剤として使用することが好ましい。芳香族化合物の好ましい範囲、及び使用量は、特開2002−139621号公報の段落番号[0021]〜[0023]の記載を適用できる。このようなレターデーション上昇剤についてはWO01/88574A1、WO00/2619A1、特開2000−111914号公報、同2000−275434号公報、特願2002−70009号明細書等に記載されている。
【0162】
セルロースアセテートフィルムは、調製されたセルロースアセテート溶液(ドープ)から、ソルベントキャスト法によりを製造することが好ましい。ドープには、前記のレターデーション上昇剤を添加することが好ましい。調製したセルロースアセテート溶液(ドープ)を用いて、ドープの2層以上流延によるフィルム化もできる。フィルムの形成は、特開2002−139621号公報の段落番号[0038]〜[0040]の記載が本発明に適用できる。
【0163】
セルロースアセテートフィルムは、さらに延伸処理によりレターデーションを調整することができる。延伸倍率は、3〜100%の範囲にあることが好ましい。本発明のセルロースアセテートフィルムを延伸する場合には、テンター延伸が好ましく使用され、遅相軸を高精度に制御するために、左右のテンタークリップ速度、離脱タイミング等の差をできる限り小さくすることが好ましい。
【0164】
セルロースエステルフィルムには、機械的物性を改良するため、又は乾燥速度を向上するために、可塑剤を添加することができる。可塑剤としては、特開2002−139621号公報の段落番号[0043]の態様、及び好ましい範囲が本発明に適用できる。
【0165】
セルロースエステルフィルムには、劣化防止剤(例、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン)や紫外線防止剤を添加してもよい。劣化防止剤については、特開2002−139621号公報の段落番号[0044]の記載が本発明に適用できる。特に好ましい劣化防止剤の例としては、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を挙げることができる。紫外線防止剤については、特開平7−11056号公報に記載がある。
【0166】
セルロースアセテートフィルムの表面処理、及び固体の表面エネルギーについては、特開2002−196146号公報の段落番号[0051]〜[0052]の記述が本発明に適用できる。
【0167】
セルロースアセテートフィルムの厚さは、使用目的によって異なるが、通常5〜500μmの範囲であり、さらに20〜250μmの範囲が好ましく、特に30〜180μmの範囲が最も好ましい。なお、光学用途としては30〜110μmの範囲が特に好ましい。
【0168】
[光学補償シート]
本発明の光学補償シートは、偏光膜と組合せて楕円偏光板の用途に供することができる。さらに、透過型液晶表示装置に、偏光膜と組合せて適用することにより、視野角の拡大に寄与する。
以下に、本発明の光学補償シートを利用した楕円偏光板および液晶表示装置について説明する。
【0169】
[楕円偏光板]
本発明の光学補償シートと偏光膜を積層することによって楕円偏光板を作製することができる。本発明の光学補償シートを利用することにより、液晶表示装置の視野角を拡大しうる楕円偏光板を提供することができる。
偏光膜には、ヨウ素系偏光膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜がある。ヨウ素系偏光膜および染料系偏光膜は、一般にポリビニルアルコール系フィルムを用いて製造する。偏光膜の偏光軸は、フィルムの延伸方向に垂直な方向に相当する。
【0170】
偏光膜は前記光学補償シートの光学異方性層側に積層する。偏光膜の光学補償シートを積層した側と反対側の面に透明保護膜を形成することが好ましい。透明保護膜は、光透過率が80%以上であるのが好ましい。透明保護膜としては、一般にセルロースエステルフィルム、好ましくはトリアセチルセルロースフィルムが用いられる。セルロースエステルフィルムは、ソルベントキャスト法により形成することが好ましい。透明保護膜の厚さは、20〜500μmであることが好ましく、50〜200μmであることがさらに好ましい。
【0171】
[液晶表示装置]
本発明の光学補償シートの利用により、視野角が拡大された液晶表示装置を提供することができる。TNモードの液晶セル用光学補償シートは、特開平6−214116号公報、米国特許5583679号、同5646703号、ドイツ特許公報3911620A1号の各明細書に記載がある。また、IPSモードまたはFLCモードの液晶セル用光学補償シートは、特開平10−54982号公報に記載がある。さらに、OCBモードまたはHANモードの液晶セル用光学補償シートは、米国特許5805253号明細書および国際公開WO96/37804号公報に記載がある。さらにまた、STNモードの液晶セル用光学補償シートは、特開平9−26572号公報に記載がある。そして、VAモードの液晶セル用光学補償シートは、特許番号第2866372号公報に記載がある。
【0172】
本発明において、前記記載の公報を参考にして各種のモードの液晶セル用光学補償シートを作製することができる。本発明の光学補償シートは、TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Super Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)およびHAN(Hybrid Aligned Nematic)モードなど、種々のモードで駆動される液晶セルと組合せて液晶表示装置に適用できる。本発明の光学補償シートは、TN(Twisted Nematic)モード又はOCB(Optically Compensatory Bend)モードの液晶表示装置において特に効果がある。
【0173】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、割合、操作などは本発明の精神から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に制限されるものではない。
[実施例1−1]
(光学補償シートの作製)
厚さ100μm、サイズ270mm×100mmのトリアセチルセルロースフィルム(フジタック、富士写真フイルム(株)製)を透明支持体として用いた。透明支持体上にアルキル変性ポリビニルアルコール(MP−203、クラレ(株)製)を0.5μmの厚さに塗布、乾燥し、その表面をラビング処理して、配向膜を形成した。配向膜の上に、以下の組成の塗布液をバーコーターを用いて塗布した。
【0174】
【0175】
【化27】
【0176】
次に、上記塗布層を膜面温度120℃で約120秒間加熱熟成したのち、約20秒間で80℃まで冷却した。次いで、同温度を保持したまま0.4J/cm2の紫外線を照射して光学異方性層の配向状態を固定した。形成した光学異方性層の厚さは1.9μmであった。以上の如く光学異方性層を形成し光学補償シートを作製した。
【0177】
(光学補償シートの評価)
光学補償シートの光学異方性層における液晶性分子の配向膜近傍の傾斜角及び空気界面近傍の傾斜角は、エリプソメーター(APE−100、島津製作所(株)製)を用いて観察角度を変えてレターデーションを測定し、屈折率楕円体モデルと仮想し、Designing Concepts of the Discotic Negative Birefringence Compensation Films,SID98 DIGEST に記載されている手法で算出した。測定波長は632.8nmであり、結果を表1に示す。
【0178】
[実施例1−2〜1−8、比較例1−1]
実施例1で用いた例示化合物(I-1)を表1の如く変更した以外は、実施例1と同様にして光学補償シートを作成し、同様に傾斜角を算出した。結果を表1に示す。
【0179】
【表1】
【0180】
上記表1における実施例1−1〜1−8と比較例1−1の結果から分かるように、本発明に係る前記一般式(I)〜(IV)で表される化合物を含有する光学異方性層は、液晶性分子の傾斜角、特に空気界面側の傾斜角が大きいハイブリッド配向が実現されている。
なお、実施例1−5〜1−8は、「参考例」と読み替えるものとする。
【0181】
次に、液晶表示装置としての応用例を示す。
【0182】
[実施例1−9]
(透明支持体の作製)
下記の成分をミキシングタンクに投入し、加熱攪拌して、セルロースアセテート溶液(ドープ)を調製した。
【0183】
(セルロースアセテート溶液組成)
酢化率60.9%のセルロースアセテート 100質量部
トリフェニルフォスフェート 6.5質量部
ビフェニルジフェニルフォスフェート 5.2質量部
下記のレターデーション上昇剤(1) 0.1質量部
下記のレターデーション上昇剤(2) 0.2質量部
メチレンクロライド 310.25質量部
メタノール 54.75質量部
1−ブタノール 10.95質量部
【0184】
【化28】
【0185】
【化29】
【0186】
得られたドープを流延口から0℃に冷却したドラム上に流延した。溶媒含有率70質量%の状態で剥ぎ取り、フィルムの幅方向の両端をピンテンターで固定し、溶媒含有率が3〜5質量%の領域で、幅方向(機械方向に垂直な方向)の延伸率が3%となる間隔を保ちつつ乾燥した。その後、熱処理装置のロール間を搬送することにより、さらに乾燥し、120℃を越える領域で機械方向の延伸率が実質0%、(剥ぎ取り時に機械方向に4%延伸することを考慮して)幅方向の延伸率と機械方向の延伸率との比が0.75となるように調整して、厚さ100μmのセルロースアセテートフィルムを作製した。作製したフィルムのレターデーションを波長632.8nmで測定したところ、厚み方向のレターデーションが40nm、面内のレターデーションが4nmであった。作製したセルロースアセテートフィルムを透明支持体として用いた。
【0187】
(第1下塗り層の形成)
上記の透明支持体の上に、下記の組成の塗布液を28ml/m2塗布し、乾燥して、第1下塗り層を形成した。
【0188】
(第1下塗り層塗布液組成)
ゼラチン 5.42質量部
ホルムアルデヒド 1.36質量部
サリチル酸 1.60質量部
アセトン 391質量部
メタノール 158質量部
メチレンクロライド 406質量部
水 12質量部
【0189】
(第2下塗り層の形成)
第1下塗り層の上に、下記の組成の塗布液を7ml/m2塗布し、乾燥して、第2下塗り層を形成した。
【0190】
(第2下塗り層塗布液組成)
下記のアニオン性ポリマー 0.79質量部
クエン酸モノエチルエステル 10.1質量部
アセトン 200質量部
メタノール 877質量部
水 40.5質量部
【0191】
【化30】
【0192】
(バック層の形成)
透明支持体の反対側の面に、下記の組成の塗布液を25ml/m2塗布し、乾燥して、バック層を形成した。
【0193】
(バック層塗布液組成)
酢化率55%のセルロースジアセテート 6.56質量部
シリカ系マット剤(平均粒径:1μm) 0.65質量部
アセトン 679質量部
メタノール 104質量部
【0194】
(配向膜の形成)
第2下塗り層の上に、実施例1−1で用いたアルキル変性ポリビニルアルコール(MP−203、クラレ(株)製)の水溶液を塗布し、60℃の温風で90秒間乾燥した後、ラビング処理を行い配向膜を形成した。得られた配向膜層の膜厚は0.5μmであった。配向膜のラビング方向は、透明支持体の流延方向と平行とした。
【0195】
(光学異方性層の形成)
配向膜の上に、前記実施例1−1にて示した光学異方性層塗布液を、#4のワイヤバーを用いて塗布した。形成した光学異方性層の厚さは1.74μmであった。
【0196】
上記の光学異方性層を塗布したフィルムを、130℃の恒温槽中に入れ、約20秒間かけて膜面温度120℃まで加熱し、そのまま約120秒間保持した後、次いで約20秒間で80℃まで冷却した。同温度を保持したまま0.4J/cm2の紫外線を照射して光学異方性層の配向状態を固定した。室温まで放冷して、光学補償シートを作製した。
【0197】
(液晶表示装置の作製)
ITO透明電極が設けられたガラス基板の上に、ポリミド配向膜を設け、ラビング処理を行った。5μmのスペーサーを介して、二枚の基板を配向膜が向き合うように重ねた。二枚の基板は、配向膜のラビング方向が直交するように配置した。基板の間隙に、棒状液晶性分子(ZL4792、メルク社製)を注入し、棒状液晶層を形成した。棒状液晶性分子の複屈折Δnは0.0969であった。以上のように作製したTN液晶セルの両側に、作製した光学補償シート二枚を光学異方性層が液晶セルの基板と対面するように貼り付けた。さらにそれらの外側に、偏光板二枚を貼り付けて液晶表示装置を作製した。光学補償シートの配向膜のラビング方向と、それに隣接する液晶セルの配向膜のラビング方向とは、反平行になるように配置した。また、偏光板の吸収軸と、液晶セルのラビング方向とは平行になるように配置した。液晶表示装置の液晶セルに電圧を印加し、白表示2V、黒表示5Vにおける白表示と黒表示との透過率をコントラスト比として、上下左右でコントラスト比10、かつ階調反転のない領域を視野角として測定した。結果を表2に示す。
【0198】
[実施例1−10〜1−14、比較例1−2]
実施例1−9で用いた例示化合物(I-1)を表2のように変更した以外は、実施例1−9と同様にして液晶表示装置を作製した。結果を表2に示す。
【0199】
【表2】
【0200】
上記表2に示した実施例1−9〜1−14と比較例1−2の結果から分かるように、本発明に係る前記一般式(I)〜(IV)で表される化合物を含有する光学異方性層を有する光学補償シートは、液晶表示装置の視野角の拡大に大きく寄与する。これは、実施例の光学補償シートでは、光学異方性層において、液晶性分子の傾斜角が増加しているためと考えられる。
なお、実施例1−11及び1−12は、「参考例」と読み替えるものとする。
【0201】
[実施例2−1](例示化合物(II−3)の合成例)
1,2−ビス(4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9−トリデカフルオロノニルオキシ)ベンゼンの合成:
カテコール1.1g(10mmol)、メタンスルホン酸 4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9−トリデカフルオロノニル エステル10.4g(22mol)、炭酸カリウム3.3g(24mmol)をジメチルアセトアミド50mlに溶解させ、窒素雰囲気下、120℃で3時間攪拌した。室温まで冷却した後、酢酸エチル200mlを加え、水、飽和塩化ナトリウム水溶液で有機層を洗浄した後、有機層を回収し、有機溶媒を減圧蒸留した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル:4/1(体積比))で精製操作を行い、白色固体の目的生成物を7.3g(収率88%)得た。1H NMR(CDCl3):δ2.1(m,4H),2.2−2.5(m,4H),4.1(t,4H),6.9(m,4H)
なお、実施例2−1は、「参考例」と読み替えるものとする。
【0202】
3,4−ビス(4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9−トリデカフルオロノニルオキシ)ベンゼンスルホン酸(例示化合物(II-3))の合成:
1,2−ビス(4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9−トリデカフルオロノニルオキシ)ベンゼン4.2g(5mmol)を塩化メチレン20mlに溶解させ、0℃に氷冷した。この溶液にクロロスルホン酸0.37ml(5.5mmol)をゆっくりと滴下し、0℃で10分間攪拌した。10分後、析出した結晶をろ別し、塩化メチレンで洗浄し、白色固体として目的の生成物3.9g(収率85%)を得た。1H NMR(DMSO−d6):δ2.0(br,4H),2.3−2.5(m,4H),4.0(q,4H),6.9(d,1H),7.2(m,2H)
【0203】
[実施例2−2](例示化合物(S-10)の合成例)
2−(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9−ヘキサドデカフルオロノニルオキシ)エタノールの合成:
窒素雰囲気下で水素化ナトリウム1.0g(含率60%,25mmol)をテトラヒドロフラン20mlに懸濁し、0℃で2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9−ヘキサドデカフルオロノナン−1−オール8.6g(20mmol)をテトラヒドロフラン40mlに溶解して滴下した。滴下終了後、室温で1時間攪拌した。その後、ブロモ酢酸エチル5.0g(30mmol)をテトラヒドロフラン40mlに溶解して滴下した。滴下終了後、3時間加熱還流した。室温まで冷却した後、注意深くメタノール10ml、水10mlを滴下し、その後酢酸エチル200mlを加え、水、飽和塩化ナトリウム水溶液で有機層を洗浄した後、有機層を減圧蒸留し、黄色の油状物質を得た。窒素雰囲気下で水素化リチウムアルミニウム1.1g(30mmol)をテトラヒドロフラン25mlに懸濁し、0℃で先ほど得られた黄色の油状物質をテトラヒドロフラン25mlに溶解して滴下した。滴下終了後、室温で3時間攪拌した。その後、注意深く10%水酸化ナトリウム水溶液50mlを加え、セライトろ過して固体残渣を除去した。固体残渣を酢酸エチルで洗浄し、液層に酢酸エチル200mlを加え、水、飽和塩化ナトリウム水溶液で有機層を洗浄した後、有機層を回収した。有機溶媒を減圧蒸留し、黄色の油状化合物として目的の生成物6.2g(収率65%)を得た。1H NMR(CDCl3):δ2.0(t,1H),3.7−3.8(br,4H),4.0(t,2H),6.1(tt,1H)
【0204】
メタンスルホン酸 2−(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9−ヘキサドデカフルオロノニルオキシ)エチル エステルの合成:
2−(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9−ヘキサドデカフルオロノニルオキシ)エタノール4.8g(10mmol)、トリエチルアミン1.2g(12mmol)を酢酸エチル50mlに溶解し、氷浴で冷却し、メタンスルホニルクロリド1.3g(11mmol)を滴下した。滴下終了後、室温で2時間攪拌した。その後酢酸エチル100mlを加え、水、飽和塩化ナトリウム水溶液で有機層を洗浄した後、有機層を回収した。有機溶媒を減圧蒸留し、白色固体として目的の生成物5.5g(収率99%)を得た。1HNMR(CDCl3):δ3.1(s,3H),3.9(dd,2H),4.1(t,2H),4.4(dd,2H),6.1(tt,1H)
【0205】
1,2−ビス[2−(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9−ヘキサドデカフルオロノニルオキシ)エトキシ]ベンゼンの合成:
カテコール2.2g(20mmol)、メタンスルホン酸 2−(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9−ヘキサドデカフルオロノニルオキシ)エチル エステル24.4g(44mol)、炭酸カリウム8.3g(60mmol)をジメチルアセトアミド100mlに溶解させ、窒素雰囲気下、120℃で3時間攪拌した。室温まで冷却した後、酢酸エチル400mlを加え、水、飽和塩化ナトリウム水溶液で有機層を洗浄した後、有機層を回収した。有機溶媒を減圧蒸留し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル:2/1(体積比))で精製操作を行い、白色固体の目的生成物を19.3g(収率94%)得た。1H NMR(CDCl3):δ4.0(dd,4H),4.1−4.3(m,8H),6.0(tt,2H),6.9(m,4H)
【0206】
3,4−ビス[2−(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9−ヘキサドデカフルオロノニルオキシ)エトキシ]ベンゼンスルホン酸(例示化合物(S-10))の合成:
1,2−ビス[2−(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9−ヘキサドデカフルオロノニルオキシ)エトキシ]ベンゼン19.1g(19mmol)を塩化メチレン100mlに溶解させ、0℃に氷冷した。この溶液にクロロスルホン酸1.3ml(20mmol)をゆっくりと滴下し、0℃で10分間攪拌した。10分後、析出した結晶をろ別し、塩化メチレンで洗浄し、白色固体として目的の生成物19.5g(収率95%)を得た。1H NMR(acetone−d6):δ4.1(dd,4H),4.3−4.4(m,8H),6.8(tt,2H),7.2(d,1H),7.4(s,1H),7.5(d,1H)
【0207】
[実施例2−3]
メチルエチルケトン50mlに本発明の含フッ素化合物(II-3)0.5gを添加し、室温で2時間攪拌したのち、ウィルヘルム法を用いて液表面張力を測定した。測定温度は25℃に設定した。結果を表3に示す。
【0208】
[実施例2−4〜2−7、比較例2−1〜2−6]
実施例2−3で用いた含フッ素化合物を表3に従って変更した以外は、実施例2−3と同様に調液し、液表面張力を測定した。結果を表3に示す。
【0209】
【表3】
【0210】
【化31】
【0211】
【化32】
【0212】
【化33】
【0213】
【化34】
【0214】
【化35】
【0215】
上記表3における実施例2−3〜2−7と比較例2−1の結果から分かるように、本発明の一般式(III),(IV)で表される含フッ素化合物を溶かすことによりメチルエチルケトンの液表面張力を効果的に低下させることができる。一方、比較例2−2〜2−6の結果から分かるように、従来の含フッ素化合物をメチルエチルケトンに添加しても液表面張力を低下させることができないか(比較例2−2〜2−4)、メチルエチルケトンに溶解させることができない(比較例2−5、2−6)。本発明の一般式(III),(IV)で表される含フッ素化合物は、優れた表面張力低下能と溶媒への溶解性を有し、界面活性剤として好適に用いることができることが分かる。
なお、実施例2−3及び2−6は、「参考例」と読み替えるものとする。
【0216】
【発明の効果】
本発明によれば、液晶性化合物と特定の構造の化合物とを併用することによって、液晶性分子の傾斜角、特に空気界面側の傾斜角が大きいハイブリッド配向状態にある光学異方性層を有する光学補償シートを作製することができる。その結果、光学補償機能に優れた光学補償シートを提供することができる。
また、本発明によれば、画像表示装置に適用した場合に、光学異方性層の視野角を拡大し得る新規な光学補償シートを提供することができる。
さらに、本発明によれば、塗膜形成時にハジキのない、均一な被膜を形成することができ、かつ光学異方性層の視野角を拡大し得る新規な含フッ素化合物が提供することができる。
Claims (7)
- 支持体上に光学異方性層を有する光学補償シートであって、該光学異方性層が下記一般式(I)、(III)又は(IV)で表される化合物から選択される少なくとも一種を含有することを特徴とする光学補償シート。
一般式(I)
(R1−X1−)mAr1(−COOH)p
[式(I)中、Ar1は芳香族ヘテロ環又は二環以上の縮合芳香族炭化水素環を表し、X1は−O−、−S−、−OCO−、−N(Ra)CO−、−CO−、−COO−又は−CON(Ra)−(Raは炭素数が1〜5のアルキル基又は水素原子)を表し、R1はアルキル基を表し、mは1〜4のいずれかの整数を表し、pは1〜4のいずれかの整数を表す。]
一般式(III)
一般式(IV)
- 前記光学異方性層が前記一般式(I)で表される化合物を含有する、請求項1に記載の光学補償シート。
- 前記光学異方性層が前記一般式(III)で表される化合物を含有する、請求項1に記載の光学補償シート。
- 前記光学異方性層が前記一般式(IV)で表される化合物を含有する、請求項1に記載の光学補償シート。
- 請求項6に記載の化合物を含む界面活性剤。
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