JP4359668B2 - 野菜移植機及び移植方法 - Google Patents
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Description
また、従来から開発されている野菜移植機には、苗をその姿勢を保持した状態で所定の位置に移植する苗ポットやシュートが備えられているが、これら苗ポットやシュートは、その形状や大きさが限定されているため、ある特定の苗しか対応できず、不都合が生じることがある。
進行方向に対して左右方向へ開閉自在で、閉状態における正面視形状が略V字状をなす一対の板材を備え、該一対の板材の上面が苗を横置きに載置可能な苗載置部として提供されるシャッタと、該シャッタを一定周期で開閉させる開閉手段と、該シャッタの下方で進行方向前側に配置され、圃場に植え付け溝を形成するオープナと、前記シャッタの下方で進行方向後側に配置され、前記オープナにより前記植え付け溝の両側に盛り上げられた土を植え付け溝内に戻す一対の培土板とを少なくとも備えると共に、根部が進行方向に向くように前記シャッタの上面に載置された苗が、前記シャッタの開動作により、前記一対の培土板により前記植え付け溝に土が戻された部位の上面と前記植え付け溝の底面とを結ぶ斜面部に落下する位置関係で、前記シャッタ、前記オープナ及び前記一対の培土板が配置されることを特徴とするものである。
このように構成することにより、作業者が閉状態のシャッタの上面に、苗の根部が進行方向に向くよう横置きに載置し、他の作業者が野菜移植機を引っ張り前進させると、オープナにより植え付け溝が形成されると共に、シャッタが開閉手段により開き、苗が植え付け溝内に落下する。この時、苗は、一対の培土板により植え付け溝に土が戻された部位の上面と植え付け溝の底面とを結ぶ斜面部に落下して、後方にやや傾斜した状態で植え付け溝内に収まる。その後、一対の培土板が前進して、植え付け溝の両側に盛り上がった土が植え付け溝内に向って押されると同時に、傾斜していた苗が起こされて、略直立状態に近い状態で植え付けられるようになる。
このように構成することにより、苗は、その根部が下向きでやや傾斜した状態でシャッタから落下するため、植え付け状態が略直立状態になりやすくなる。
このように構成することにより、シャッタの開閉動作は、接地転動輪の回転駆動力及び付勢手段の付勢力が伝達されて行われるので構造が簡易となる。
このように構成することにより、根部が野菜移植機の進行方向に向って横置きに載置された苗は、シャッタが開かれると、植え付け溝に落下して略直立状態に近い状態で植え付けられるようになる。
まず、本発明の実施の形態に係る野菜移植機の構成を図1〜図4に基いて説明する。
図1及び図2に示すように、野菜移植機は、前後方向に略平行に一対の本体フレーム1、1が延在され、これら一対の本体フレーム1、1の内側でその前部には、接地転動輪2が軸部3を介して取り付けられ移動可能に構成されている。この接地転動輪2の前斜上方には上面視コ字状のハンドル4が配置され、対向する棒材4’、4’それぞれの端部が固定金具5、5を介して一対の本体フレーム1、1の前部にそれぞれ固定されている。
また、一対の本体フレーム1、1の後部には、本体フレーム1、1それぞれの外側に鎮圧輪6、6が一対配置され、また、これらの鎮圧輪6、6は、それぞれが内方に傾斜するようにして一対の本体フレーム1、1のそれぞれの後部に固定金具7、7を介して固定されている。
このオープナ10は、内部に空間を設けるように幅方向に一対の板材10a、10aが立設され、それぞれの前端部が接続されて鋭利な部位10bを形成して構成されている。この鋭利な部位10bは、図1に示す側面視において円弧状に形成されている。
このシャッタ15は、図1〜図4に示すように、進行方向に対して左右方向に開閉手段15aにより開閉自在に構成され、閉状態における正面視形状が略V字状をなす一対の板材17、17を備え、この一対の板材17、17それぞれの上面が苗100を横置きに載置可能な苗載置部(シャッタ15の上面17’)として提供される。
これら一対の板材17、17のそれぞれは、図3及び図4に示すように、その上下方向略中間部が後述する苗ホッパ16の対向する板部16a、16aそれぞれの下端の外周面にヒンジ18、18を介して連結されており、このヒンジ18、18を中心に回動自在に構成されている。
回転体35、35は、図1及び図2に示すように、上下方向におけるシャッタ15とオープナ10との間で、シャッタ15の前端近傍に、幅方向に沿って一対配設されている。これら一対の回転体35、35のそれぞれには、複数(図では2枚)の羽根部36、36が備えられている。また、これら一対の回転体35、35は、軸部37で連結されており、この軸部37の幅方向一端には、スプロケット38が固定されている。このスプロケット38には、接地転動輪2の軸部3に固定されたスプロケット39との間で無端状のチェーン40が巻回されている。
また、図1、図3及び図4に示すように、一対の板材17、17それぞれの後部でその上端部17c、17cには、引張バネ19、19がそれぞれ連結されており、これらの引張バネ19、19は、一対の本体フレーム1、1の後部でその下端にそれぞれ連結されている。
その後、さらに一対の回転体35、35が回転して、それぞれの羽根部36、36の先端が、一対の板材17、17それぞれの上部17b、17bの下面から離間すると、一対の板材17、17のそれぞれが、引張バネ19、19の付勢力により、ヒンジ18、18を中心に回動すると共に、一対の板材17、17それぞれの下端部17a、17aが当接して、シャッタ15が閉まるようになる。(図4の実線で示す位置)
この苗ホッパ16は、図2に示す上面視において後側が開放される略コ字状に形成され、所定の高さを有している。図2及び図3に示すように、苗ホッパ16の対向する板部16a、16aのそれぞれは、その上部が後方に向うにつれて外方に湾曲するように形成されている。また、図1に示すように、この苗ホッパ16の前後方向の長さは、シャッタ15を構成する一対の板材17、17の前後方向の長さと略同一に形成されており、図3に示すように、苗ホッパ16の対向する板部16a、16aの間の距離は、多種類の苗100を内部に沿わせるに十分な距離に設定されている。また、図3及び図4に示すように、この苗ホッパ16の対向する板部16a、16aのそれぞれの下端の外周面と、シャッタ15を構成する一対の板材17、17の上下方向略中間部のそれぞれとはヒンジ18、18で連結されている。
なお、苗ホッパ16の下端にはシャッタ15が、ヒンジ18、18を介して連結されているため、シャッタ15も苗ホッパ16とともに連結バー22を中心に後斜上方に傾斜するようになる。
これら一対の培土板45、45は、図1に示す側面視でその前端45a、45aが、オープナ10の後端10dに重なる配置で、一対の本体フレーム1、1にそれぞれ支持棒46、46を介して固定されている。なお、これらの支持棒46、46は、一対の培土板45、45の高さを調整できるように一対の本体フレーム1、1との固定位置を可変できるようになっている。すなわち、押圧ボルト48、48の先端を、一対の本体フレーム1、1それぞれに固定された円筒ブロック47、47に、その縦貫通孔に向うように横方向からねじ込んでおき、支持棒46、46を円筒ブロック47、47の縦貫通孔に挿通して、上下にスライドさせて固定位置を決定した後、押圧ボルト48、48を最後までねじ込み、押圧ボルト48、48の先端で支持棒46、46の側面を押圧して固定する構成としている。
また、図3に示す後面視において、これら一対の培土板45、45は、それぞれの上端が近接する方向に、地面Lに対して所定の角度で傾斜している。さらに、図2に示す上面視において、一対の培土板45、45のそれぞれが地面に接地する接地線50、50は、それぞれの前端が苗ホッパ16を構成する対向する板部16a、16aよりも外方に位置して、前端から後方に向ってそれぞれが内方に向うように略ハ字状になっている。
まず、オープナ10及び一対の培土板45、45を所定の高さに調整して、一対の本体フレーム1、1に固定した状態で、オープナ10を地中に埋め込み、ハンドル4を引っ張って野菜移植機を前進させると、オープナ10先端の鋭利な部位10bによって土が進行方向両側に押しやられ、所定幅の植え付け溝55が形成される。
また、さらに一対の回転体35、35が回転して、それぞれの羽根部36、36の先端が一対の板材17、17それぞれの上部17b、17bの下面から離間すると、一対の板材17、17それぞれが、引張バネ19、19の付勢力により、ヒンジ18、18を中心に回動すると共に、一対の板材17、17それぞれの下端部17a、17aが近接する方向に移動して当接し、シャッタ15が閉まる。
そして、野菜移植機を前進させると上述した動作が繰り返され、シャッタ15が、接地転動輪2の回転に対応して一定周期で開閉するようになる。なお、スプロケット38、39を交換することにより、接地転動輪2の回転とシャッタ15の開閉動作とのタイミングを調整することが可能である。
図5(a)に示すように、作業者が、野菜移植機をハンドル4を把持して前進させると同時に、他の作業者が極度な前屈姿勢をとらずに、苗100をその根部100aが進行方向に向くように、シャッタ15の上面17’の前後方向略中央に載置する。
図5(b)に示すように、野菜移植機が前進して、シャッタ15が開くと、苗100は、一対の培土板45、45により植え付け溝55に土が戻された部位の上面56と植え付け溝55の底面55aとを結ぶ斜面部57に落下して、後方にやや傾斜した状態で植え付け溝55内に収まる。
その後、図5(c)に示すように、一対の培土板45、45が、植え付け溝55の両側に盛り上がった土を植え付け溝55に向って押しながら前進すると、後方傾斜した状態の苗100が土により起こされて、苗100が略直立状態に近い状態で植え付けられるようになる。
最後に、一対の鎮圧輪6、6が苗100の両脇を進み、苗100の周囲の土が鎮圧され、苗100がしっかりと植え付けられる。
次に、作業者は、シャッタ15が閉まると同時に次の苗100を前記と同様にシャッタ15の上面17’に載置すれば、前記した同様の動作が繰り返されて、複数の苗100が一列に略直立状態に近い状態で植え付けられる。
なお、苗100の植え付ける間隔を変えるには、前述したようにスプロケット38及び39を変更して、接地転動輪2の回転とシャッタ15の開閉動作とのタイミングを変更すれば良い。
また、作業者は、苗100をシャッタ15の上面17’に所定方向に載置するだけの作業であるので、従来の手植えの方法よりも、作業姿勢を大幅に改善することができる。
このように構成すると、苗100の長さが極端に大きいものや極端に小さいものについては、それぞれが斜面部57に落下できる載置場所を位置決めプレートの配置によって予め決定することができるので、苗100をシャッタ15の上面17’に載置する際、作業者の見込み等に頼ることなく、苗100を確実に斜面部57に落下させることができ、苗100の長さが相違した場合でも、苗100を略直立状態に近い状態で植え付けることが可能となる。
2 接地転動輪
10 オープナ
15 シャッタ
15a 開閉手段
17 板材
17’ 上面(苗載置部)
19 引張バネ(付勢手段)
35 回転体
36 羽根部
45 培土板
55 植え付け溝
55a 底面
56 上面
57 斜面部
100 苗
100a 根部
Claims (4)
- 接地転動輪を介して移動させながら野菜の苗を圃場に移植する野菜移植機において、
進行方向に対して左右方向へ開閉自在で、閉状態における正面視形状が略V字状をなす一対の板材を備え、該一対の板材の上面が苗を横置きに載置可能な苗載置部として提供されるシャッタと、該シャッタを一定周期で開閉させる開閉手段と、該シャッタの下方で進行方向前側に配置され、圃場に植え付け溝を形成するオープナと、前記シャッタの下方で進行方向後側に配置され、前記オープナにより前記植え付け溝の両側に盛り上げられた土を植え付け溝内に戻す一対の培土板とを少なくとも備えると共に、根部が進行方向に向くように前記シャッタの上面に載置された苗が、前記シャッタの開動作により、前記一対の培土板により前記植え付け溝に土が戻された部位の上面と前記植え付け溝の底面とを結ぶ斜面部に落下する位置関係で、前記シャッタ、前記オープナ及び前記一対の培土板が配置されることを特徴とする野菜移植機。 - 前記シャッタは、進行方向前端近傍を支点に上方に傾斜可能に構成されることを特徴とする請求項1に記載の野菜移植機。
- 前記開閉手段は、前記接地転動輪の回転に連動して、前記シャッタを構成する前記一対の板材のそれぞれに当接する羽根部を有する回転体と、前記一対の板材を常時閉じる方向に付勢する付勢手段とを備え、前記回転体が回転して前記羽根部が前記一対の板材それぞれの上部下面に当接すると、前記一対の板材のそれぞれは、前記付勢手段の付勢力に抗して、上下方向略中間部を支点に回動すると共にそれぞれの下端部が離間し、さらに前記回転体が回転して前記羽根部が一対の板材のそれぞれの上部下面から離間すると、前記一対の板材のそれぞれは、前記付勢手段の付勢力により、上下方向略中間部を支点に回動すると共にそれぞれの下端部が当接する構成であることを特徴とする請求項1または2に記載の野菜移植機。
- 開閉自在のシャッタを備えた野菜移植機で苗を圃場に移植する野菜移植方法において、
前記シャッタの上面に、苗の根部を前記野菜移植機の進行方向に向けて横置きに載置し、前記野菜移植機の進行に合わせて前記シャッタを開閉させ、苗を植え付け溝に落下させて移植することを特徴とする野菜移植方法。
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