JP4359666B2 - コンクリート補強金属線材支持スペーサー - Google Patents

コンクリート補強金属線材支持スペーサー Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンクリート補強金属線材を基礎上に浮かせて支持する支持スペーサーに関し、詳細には、基礎に載置されたコンクリート補強金属線材を自身のてこ作用により持ち上げながらコンクリート補強金属線材の下方に装着して支持するコンクリート補強金属線材支持スペーサーに関する。
【0002】
【従来の技術】
コンクリートの打設作業において、コンクリートの割れ防止等の強度を確保するため、鉄筋を格子状に組立てた溶接金網(ワイヤーメツシユ筋)、鉄筋、補強筋等の細長い金属線材からなるコンクリート補強金属線材(以下、補強金属線材と称す)をコンクリート内に埋設することが一般に行なわれている。補強金属線材をコンクリート内に埋設するためには、コンクリートの打設時にコンクリート呑込み部分いいかえればコンクリートのかぶりを確保し得るように、補強金属線材をコンクリートを打込む基礎、例えば割栗石張土間、捨てコンクリート土間、コンクリート型枠材、デツキプレート等から一定の距離浮かせて支持することが必要であり、各種のコンクリート補強金属線材支持スペーサー(以下、スペーサーと称する)が使用されている。
【0003】
ところで、補強金属線材の基礎への設置作業は、スペーサーを予め基礎上に配置し、スペーサー上に補強金属線材を載置する方法と、補強金属線材を基礎上に載置した後にスペーサーを装着する方法とがあるが、規模の大きい作業現場では後者の方法が一般に採用されている。後者の方法において使用するスペーサーとしては、例えば特開平7−247633号公報に開示されているように、補強金属線材を載置する載設部を有し、金属線材で形成されたほぼΩ字状の一対の支持部を間隔を空けて対向状に設けてなる支持台と、金属線材で形成され、上方に突出した隆起部を有する一対の固定部を補強金属線材を挟持するように間隔を空けて対向状に各支持部の載設部に設けてなる係合部とを備えたスペーサーが提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前記スペーサーについては、補強金属線材への装着作業に重労働を伴い、能率が悪いという問題点がある。すなわち、スペーサーの装着作業は、補強金属線材、例えば溶接金網を一方の手でてこ棒を上方に操作し又は直接スペーサーの高さ分持ち上げ、他方の手でスペーサーを補強金属線材の下方に挿入し、溶接金網を足で踏み付けて係合部にはめ込むことにより行なわれる。その際、溶接金網上に作業者が乗つた状態では溶接金網を持ち上げることができないため、作業者は溶接金網の格子の狭い空間に足を入れ、基礎上につま先立つた状態で作業せざるを得ず、不安定な姿勢での作業になつている。しかも、スペーサーを所定位置に挿入する間、片手で溶接金網を持ち上げた状態を保持しなければならない。その結果、重労働になり、長時間の作業が難しい。また、スペーサーを正確に挿入し難いため、1個のスペーサーの装着時間が長くなり、非能率である。さらに、スペーサーを溶接金網の1m当たり約1個装着するため、1つの作業現場における装着箇所が多数になり、長時間の作業になる。
【0005】
本発明は、前記従来の問題点を解消するためになされたもので、その課題は、無理な姿勢を取ることなく、簡便に能率良く装着し得るスペーサーを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明では、基礎に載置された補強金属線材に係合するように係合部を設け、係合部が上方に設けられた支持台の後方下端部を前方に湾曲状に形成し、支持台の前方に突出して操作部を設けている。係合部を基礎に載置されたコンクリート補強金属線材に係合させた時、支持台は後方が下方に向き基礎から離れた状態にあり、操作部を押し下げることにより支持台が補強金属線材を中心として回転し、支持台の後方下端部が基礎に当接する。操作部をさらに押し下げることにより、支持台の後方下端部が基礎上を後方に滑りながら回転し、補強金属線材を上方に持ち上げる。すなわち、操作部を押し下げることにより補強金属線材に上方と前方とに移動させる力が作用する。上方への力は、作業者が補強金属線材上に乗つていてもスペーサー装着付近の補強金属線材の弾性力と重量に対抗する程度でよく、支持台の後方下端部を支点とし、操作部を力点とし、係合部を作用点とするてこ作用により十分得られる。一方、前方への力は、補強金属線材の全重量及び作業者の重量に対抗しなければならず、前記てこ作用によつては到底得られない。その結果、補強金属線材は前方に移動せず静止状態にあり、支持台は係合部が当接している位置において補強金属線材を中心として回転することになる。そして、支持台の後方下端部が湾曲状で、基礎との引掛かりが少なく基礎上を滑り易いため、支持台が回転し易い構造になつている。従つて、操作部を押し下げることにより、補強金属線材をてこ作用で持ち上げながら支持台を補強金属線材の下方に挿入し、補強金属線材を基礎上の所定の高さに安定して支持することになる。また、作業者が補強金属線材上に乗つていてもほとんど影響がなくスペーサーを装着し得るため、楽な姿勢で作業し得る。
【0007】
本発明のスペーサーは、コンクリートを打設する基礎に載置された補強金属線材を自身のテコ作用により持ち上げながら装着して支持するスペーサーであつて、補強金属線材に係合させる係合部と、後方下部が湾曲状に形成され、係合部を上方に支持する支持台と、支持台の前方に突出して設けられ、基礎に載置された補強金属線材に係合部を係合させた後に補強金属線材を中心として支持台を回転させる操作部とを備えてなることを特徴としている。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。図1は、第1実施の形態の概念的な斜視図で、溶接金網に装着した時の姿勢を示す。図2は、側面図、図3〜5は装着方法の説明図である。図1〜5において、1は鉄筋Vを格子状に組立てた溶接金網Wに適用するように形成されたスペーサーである。2は支持台で、間隔を空けて平行に対向して設けられた一対の支持部3からなつている。各支持部3は、金属線材を折り曲げて門型形状の一種である台形状に形成され、直線状の上部から前後下方に折れ曲がつて後方脚部と前方脚部とになつている。各脚部の下端部は、前方に湾曲して形成され、前方脚部の下端部は操作部4で互いに連結されている。操作部4は、各支持部3の前方脚部の下端部から前方に水平に突出して設けられ、平面視でコ字状に形成されている。操作部4と各支持部3とは、1本の金属線材を折り曲げて一体に形成されているが、別体に形成し溶接で連結されていてもよい。5は係合部で、引掛部6と固定部7とからなつている。引掛部6は、溶接金網Wにスペーサー1を装着する際に溶接金網Wから離脱しないように係合させるため、図2にも示すように中央が上方に突出するとともに操作部4の側すなわち前方に向けて水平に突出した形状に金属線材を折り曲げて形成され、両端がそれぞれ各支持部3の上部に溶接で取付けられている。固定部7は、中央が上方に突出する形状に金属線材を折り曲げて形成され、上方に突出した部位の上部側を引掛部6の側すなわち後方に傾けるように両端がそれぞれ各支持部3の上部に溶接で取り付けられている。引掛部6と固定部7とは、それぞれの両端側が間隔を空けて平行に対向して取付けられ、固定部7の突出した部位の上部側が引掛部6の突出した部位の側に傾斜していることから、図2に示すように前記各突出した部位によつて上方が下方よりも狭くなつており、これにより溶接金網の鉄筋Vを挟持し離脱しないようになつている。引掛部6の水平に突出した部位の下面と固定部7の上方に突出した部位の上面との間隔は、溶接金網の鉄筋Vの径より幾分広く設定されており、溶接金網の鉄筋Vに簡単に係合し得るようになつている。なお、前方とは、図2における右側を意味し、後方とは同じく左側を意味する。
【0009】
第1実施の形態のスペーサー1は、前記のように構成されており、その作用を図3〜5に示す装着方法とともに次に説明する。基礎Xにコンクリートを打設する際、基礎Xに複数枚の溶接金網Wを敷き詰め、それぞれを一体に結束している。スペーサーの装着作業は、先づ図3に示すように、係合部の引掛部6を溶接金網の鉄筋Vの1本に引掛ける。作業者は、図3に示すスペーサーの前方において溶接金網W上に乗つており、しゃがんだ状態で片手又は両手で操作部4を作業者の側に引き下げる。支持台2は、係合部の引掛部6が係合している溶接金網の鉄筋Vを中心として回転し、後方の部位すなわち各支持部3の後方脚部の一部が基礎Xに当接する。これにより、各支持部3の後方脚部の基礎Xに当接する部位を支点とし、操作部4を力点とし、係合部を作用点とするてこ作用が生じ、作用点となる係合部5が上昇し始める。操作部4をさらに引き下げることにより、支持台2が回転するとともに基礎Xに当接する部位が移動し、図4に示すように各支持部3の後方脚部の湾曲した下端部が基礎Xに当接する。各支持部3の後方脚部の下端部が基礎X上を後方に移動することにより支持台2が回転し、係合部5及び溶接金網Wが上昇する。操作部4を基礎Xに当接するまで押し下げた時、図5に示すように支持部3の各脚部の下端面が基礎Xに当接し、支持台2が正座した状態すなわちスペーサーが溶接金網Wの下方に装着された状態になる。その際、溶接金網の鉄筋Vは、各支持部3の上面に当接しており、支持台2の高さ位置に支持されることになる。また、係合部3は、図5に示すように引掛部6のみではなく固定部7も溶接金網の鉄筋Vに係合し、引掛部6と固定部7の突出した部位の上部側が幅狭になつているため両者6,7間で溶接金網の鉄筋Vを挟持することになり、スペーサー1が溶接金網Wから簡単に離脱しないように装着されることになる。
【0010】
図6は、第2実施の形態の要部説明図である。図6に示すスペーサー1は、係合部5を除いては第1実施の形態と同様になつている。係合部5は、支持部3から上方に突出するとともに前方に水平に突出して設けられた引掛部6と、引掛部6と対向して平行に設けられた直線状の金属線材からなる固定部7とを備えてなり、引掛部6の水平に突出した部位の下面と固定部7の上面との間隔が溶接金網の鉄筋Vの径よりも幾分小さく設定されている。これにより、スペーサー1を溶接金網Wに装着した時、引掛部6と固定部7とで溶接金網の鉄筋Vを挟持し、スペーサー1が溶接金網Wから簡単に離脱しないように装着されることになる。なお、スペーサー1の装着作業は、第1実施の形態と同様にして行なわれる。
【0011】
図7は、第3実施の形態の概念的な説明図である。図7に示すスペーサー1は、係合部5の構造と各支持部3を連結する構造を除いては第1実施の形態と同様になつている。すなわち、係合部5は中央が上方に突出した金属線材からなる引掛部6を備えてなり、スペーサー1の装着時にはこの引掛部6が溶接金網の鉄筋Vに係合するようになつている。係合部5は、溶接金網の鉄筋Vを挟持しないが、スペーサーの装着作業を円滑になし得る。各支持部3の連結構造については、各支持部3の上部前方内側に直線状の金属線材からなる連結部8が溶接により取付けられている。スペーサー1の装着作業は、第1実施の形態と同様にして行なわれる。
【0012】
図8及び図9は、第4実施の形態の説明図である。図8に示すスペーサー1は、係合部5の構造、各支持部3の連結構造を除いては第1実施の形態と同様になつている。係合部5は、中央が上方に突出するとともに前方下向に突出し、さらにその先端が前方上向に突出するように金属線材を屈曲して形成され、両端が各支持部3の上部後方に溶接で取付けられた引掛部6を備え、図9にも示すように引掛部6の前方に突出した部位の最下面と各支持部3の上面との上下方向の間隔が溶接金網の鉄筋Vの径より幾分小さく、また引掛部6の前方に突出した部位の先端と各支持部3の上面との上下方向の間隔が前記径より幾分大きく設定されている。スペーサー1の装着時、引掛部6の先端を溶接金網の鉄筋Vに係合し、操作部4により支持台2を回転させるが、支持台2の回転に伴い引掛部6の先端側が溶接金網の鉄筋Vにより押し開かれ、溶接金網の鉄筋Vが引掛部6の上方に突出した部位に当接する。引掛部6は、先端側が押し開かれた後に弾性復帰し、引掛部6と各支持部3の直線状の上部とで溶接金網の鉄筋Vを挟持する。これにより、スペーサー1は、溶接金網の鉄筋Vから簡単に離脱しないように装着されることになる。各支持部3の連結構造については、直線状の金属線材からなる連結部8の両端を各支持部3の上部前方の内側に溶接により取付けられている。
【0013】
図10は、第5実施の形態の要部説明図である。図10に示すスペーサー1は、各支持部3の上部に係止凹部9が形成されている点を除けば第4実施の形態と同様である。係合部5は、引掛部6と係止凹部9とを備えてなり、スペーサー1の装着時に引掛部6と各支持部3の上部とで溶接金網の鉄筋Vを挟持した際に前記鉄筋Vが係止凹部9に入り込み、前記鉄筋Vから離脱しようとする際に前記鉄筋Vに係止凹部9が係止されて離脱阻止される。これにより、スペーサー1は、前記鉄筋Vにより確実に装着される。
【0014】
図11は、第6実施の形態の要部説明図である。図11に示すスペーサー1は、各支持部3の直線状の上部で引掛部6の前方下向から上向に折り曲げられた部位に上方に突出して係止凸部9が形成されている点を除けば第4実施の形態と同様である。すなわち、係合部5は、引掛部6と係止凸部10とを備えてなり、スペーサー1の装着時に引掛部6と各支持部3の上部とで溶接金網の鉄筋Vを挟持するが、前記鉄筋Vから離脱しようとする際には前記鉄筋Vに係止凸部10が係止されて離脱阻止される。これにより、スペーサーは、前記鉄筋Vにより確実に装着される。
【0015】
図12及び図13は、第7実施の形態の説明図である。図12に示すスペーサー1は、一対の台形状の支持部3からなる支持台2と、支持台2の上方に突出するとともに前方下向に突出してなる引掛部6を有する係合部5と、支持台2の前方に突出して設けられた操作部4とを備えており、基本構造においては第1実施の形態と同様である。このスペーサー1は、1本の金属線材を一筆書のように順次折り曲げて形成されており、例えば金属線材の一端側から折り曲げ開始し、先づL字状に折り曲げて操作部4の左半分を形成し、台形状に折り曲げて左側の支持部3を形成し、前方上向に折り曲げて左側の支持部3の後方脚部を形成し、左側の支持部3の上部を溶接金網の鉄筋Vの径より幾分突出した位置で前方下向に折り曲げ、左側の支持部3の上部よりも前方に突出した位置に折り曲げ部がくるように円弧状に折り曲げ、次いで前記前方下向に折り曲げた位置と対称の位置で後方下向に折り曲げて係合部5となる引掛部6を形成し、以後前記と逆の向に順次折り曲げて右側の支持部3の後方脚部の下端部、右側の支持部3及び操作部4の右半分を形成する。操作部4の左半分と右半分とは、その端部が突き合わせ状であつてもよいが、図13に示すように前後に重なるように形成されており、スペーサー1の装着時に適切に引き下げ力を作用させ得る。以上のようにして形成されたスペーサー1は、溶接部がなく1本の金属線材を折り曲げ加工することのみにより成形されるため、効率良く製造し得る。また、左右の支持部3が後方脚部の下端部で引掛部6により連結されているため、他に連結部を必要とせず、所定の強度を確保し得る。なお、スペーサー1の装着作業は、第1実施の形態と同様にして行なわれるが、引掛部6が前方下向になつていることから、引掛部6と各支持部3の上部とで簡単に離脱しないように挟持することになる。支持部3の形状は、上部が円弧状となるアーチ状に形成されていてもよい。
【0016】
図14及び図15は、第8実施の形態の概念的な説明図である。図14に示すスペーサー1は、支持部の上部が円弧状となるアーチ状に形成され、係合部が支持部の円弧状の頂点よりも後方に両端が溶接で取付けられ、前記後方から上方に突出するとともに前記頂点よりも前方下向に突出して形成された引掛部を備えてなる点を除いては、第1実施の形態と基本的には同様になつている。スペーサー1の装着作業は、第1実施の形態と同様にして行なわれるが、引掛部の前方下向に突出した部位と支持部の上部との上下方向の間隔が支持部の頂点と対向する位置で最小になり、溶接金網の鉄筋Vの径よりも幾分小さく設定されているため、スペーサー1が溶接金網の鉄筋Vから簡単に離脱しないように装着される。
【0017】
図16及び図17は、第9実施の形態の概念的な説明図である。図16に示すスペーサー1は、係合部5の構造を除いては第1実施の形態と同様である。すなわち、係合部5は両端が支持部3の上部後方に溶接で取付けられ、中間が図17に示すように上方に前傾して突出して形成された引掛部6と、両端が支持部3の上部前方に溶接で取付けられ、中間が引掛部6と対称に、すなわち上方に同一高さ突出するとともに同一角度後傾して形成された固定部7とからなり、引掛部6と固定部7の上部側の間隔が溶接金網の鉄筋Vの径より幾分小さく設定されている。スペーサー1の装着時には、溶接金網の鉄筋Vに係合部5を強く押し当てて引掛部6と固定部7との間に挟み込み、この状態で操作部4を引き下げることによりスペーサー1を装着し得る。そして、係合部5で溶接金網の鉄筋Vを深く挟持することから、スペーサー1が溶接金網の鉄筋Vから簡単に離脱しないように装着し得る。
【0018】
図18は、第10実施の形態の要部の説明図である。図18に示すスペーサー1は、引掛部6の上方に突出した部位が支持部3の上部に垂直になつており、固定部7の上方に突出した部位が引掛部6よりも低く設定されている点を除けば第9実施の形態と同様になつている。係合部5は、引掛部6が固定部7よりも上方に大きく突出していることから、スペーサー1の装着時に引掛部6を溶接金網の鉄筋Vに係合させることにより、操作部4の引き下げに伴い支持台2を回転させ得る。そして、引掛部6と固定部7との間隔が上方ほど小さく、この間隔が溶接金網の鉄筋Vより幾分小さく設定されていることから、支持台2の回転により引掛部6と固定部7とで溶接金網の鉄筋Vを簡単に離脱しないように挟持する。
【0019】
図19は、第11実施の形態の概念的な説明図である。図19に示すスペーサー1は、係合部5の構造を除けば第1実施の形態と同様になつている。すなわち、係合部5は、両端が支持部3の上部後方に溶接により取付けられ、両端の上方に突出するとともに前方に突出して形成された引掛部6と、両端が支持部3の上部前方に溶接により取付けられ、両端の上方に引掛部6よりも低く突出して形成された固定部7とを備えている。スペーサー1の装着作業は、第1実施の形態と同様にして行なわれる。
【0020】
図20及び図21は、第12実施の形態の概念的な説明図である。図20に示すスペーサー1は、係合部5の構造を除いて第1実施の形態と同様になつている。すなわち、係合部5は、両端が支持部3に溶接で取付けられた平行な2本の連結部8の中間に2個のU字型引掛・固定部11を間隔を空け前方に向けて溶接で取付けられている。U字型引掛・固定部11は、図21に示すように、下側が上側より短く、上側の先端が幾分上方に向けて折り曲げられており、下側の先端における上側との間隔が溶接金網の鉄筋Vの径より幾分小さく設定されている。スペーサー1の装着作業時には、U字型引掛・固定部11の上側の部材を溶接金網の鉄筋Vに係合させることにより、操作部4で支持台2を回転させることができ、スペーサー1が溶接金網の鉄筋Vから簡単に離脱しないように装着し得る。なお、U字型引掛・固定部11を支持部3に直接取付けてもよい。また、U字型引掛・固定部11に下方にのびる調節足を設け、この調節足を介して支持部3に取付けるようにしてもよく、溶接金網Wの支持高さが異なるものを簡単に製造し得る。
【0021】
図22及び図23は、第13実施の形態の概念的な説明図である。図22に示すスペーサー1は、U字型引掛・固定部11の取付構造及び形状を除いて第12実施の形態と同様になつている。U字型引掛・固定部11は、前方上向きに傾斜して取付けられており、下側が上側より短かく、下側を上側方向に幾分傾斜させ、上側の先端を下側方向に折り曲げられている。これにより、スペーサー1の装着作業時には、U字型引掛・固定部11が溶接金網の鉄筋Vに係合し易く、装着時には簡単に離脱しないようになつている。なお、U字型引掛・固定部11の取付方法については、第12実施の形態におけると同様に支持部3に直接取付けてもよく、また調節足を設けて取付けるようにしてもよい。
【0022】
図24は、第14実施の形態の概念的な説明図である。図24において、支持部3は弓状脚部12、垂直脚部13、U字状係部14及び弓状係部15を順次連結し、ほぼ弓状に形成されている。係合部5は、支持部の上部に連結されたU字状係部と弓状係部とで形成されている。
【0023】
第14実施の形態は、上記のように構成されていることから、図25、図26、図27に示すようにして溶接金網の鉄筋Vに装着される。
【0024】
図28及び図29は、第15実施の形態の概念的な説明図である。図28に示すスペーサー1は、支持部3の形状がほぼ台形状で、支持部3の上部に上向の係合凹部が形成されている。係合凹部は、図29に示すように後方側が前方側より上方に突出し、上部が溶接金網の鉄筋Vの径より幾分小さく設定されている。この係合凹部は、スペーサー1の装着時に溶接金網の鉄筋Vに係合して挟持するものであり、係合部5を構成している。なお、各支持部3は、係合凹部の上部前方の内側に連結部8の両端を溶接により取付けられている。
【0025】
図30は、第16実施の形態の概念的な説明図である。図30に示すスペーサー1は、支持部3がほぼ台形状で、前方脚部の下端部が後方脚部の下端部とほぼ同様に前方に湾曲して形成されている。係合部5は、両端が支持部3の上部後方において溶接により取付けられ、支持部3の上部から直接上方に突出するとともに前方に突出して形成された引掛部6、両端が支持部3の上部前方に溶接により取付けられ、中間において上方に突出して形成された固定部7とを備えている。操作部4が支持部3の前方脚部の下端より幾分上方に溶接により取付けられ、支持部3の前後の脚部の下端部に防錆樹脂が塗布されている。これらにより、基礎Xが型枠等である場合にはコンクリート打設後に型枠を取外すとコンクリートの底部が露出するが、操作部4は露出することがなく、また露出する支持部3の脚部の下端部が錆ないようになつている。なお、図6〜30において、図1〜5におけると同一の符号は同一の機能部材を意味している。
【0027】
【本発明の効果】
本発明によれば、支持台の後方下部が前方に湾曲状に形成され、支持台の前方に突出して操作部が設けられていることにより、スペーサー自体がてこ作用を有し、補強金属線材の持ち上げとスペーサーの装着とを同時に行うことになる。装着個所の補強金属線材を直接てこ作用により持ち上げることになるため、大きな力を必要とせず、しかも作業者が補強金属線材上に乗つた状態で作業することができ、楽な姿勢で簡単に作業することができる。従つて、スペーサーの装着作業を迅速かつ正確に行うことができ、作業効率を高めることが可能になつた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施の形態の概念的な斜視図で、溶接金網に装着した時の姿勢を示す。
【図2】本発明の第1実施の形態の側面図である。
【図3】本発明の第1実施の形態の装着方法の説明図で、係合部を溶接金網の鉄筋に引掛けて係合した状態を示す。
【図4】本発明の第1実施の形態の装着方法の説明図で、支持台の後方下部が基礎に当接した状態を示す。
【図5】本発明の第1実施の形態の装着方法の説明図で、スペーサーが溶接金網に装着された状態を示す。
【図6】本発明の第2実施の形態の要部説明図である。
【図7】本発明の第3実施の形態の概念的な説明図である。
【図8】本発明の第4実施の形態の概念的な斜視図である。
【図9】本発明の第4実施の形態の要部説明図である。
【図10】本発明の第5実施の形態の要部説明図である。
【図11】本発明の第6実施の形態の要部説明図である。
【図12】本発明の第7実施の形態の側面図である。
【図13】本発明の第7実施の形態の平面図である。
【図14】本発明の第8実施の形態の側面図である。
【図15】本発明の第8実施の形態の平面図である。
【図16】本発明の第9実施の形態の概念的な斜視図である。
【図17】本発明の第9実施の形態の要部説明図である。
【図18】本発明の第10実施の形態の要部説明図である。
【図19】本発明の第11実施の形態の概念的な斜視図である。
【図20】本発明の第12実施の形態の概念的な斜視図である。
【図21】本発明の第12実施の形態の側面図である。
【図22】本発明の第13実施の形態の概念的な斜視図である。
【図23】本発明の第13実施の形態の側面図である。
【図24】本発明の第14実施の形態の概念的な斜視図である。
【図25】本発明の第14実施の形態の装着方法の説明図で、係合部を溶接金網に係合した状態を示す。
【図26】本発明の第14実施の形態の装着方法の説明図で、支持台が溶接金網の下方に挿入された直後の状態を示す。
【図27】本発明の第14実施の形態の装着方法の説明図で、スペーサーが溶接金網に装着された状態を示す。
【図28】本発明の第15実施の形態の概念的な斜視図である。
【図29】本発明の第15実施の形態の側面図である。
【図30】本発明の第16実施の形態の概念的な斜視図である。
【符号の説明】
1 スペーサー 2 支持台 3 支持部 4 操作部 5 係合部
6 引掛部 7 固定部 8 連結部 9 係止凹部
10 係止凸部 11 U字型引掛・固定部 12 弓状脚部
13 垂直脚部 14 U字状係部 15 弓状係部 16 係合凹部
W 溶接金網(補強金属線材) V 溶接金網の鉄筋 X 基礎

Claims (9)

  1. コンクリートを打設する基礎(X)に載置されたコンクリート補強金属線材(W、V)を自身のテコ作用により持ち上げながらコンクリート補強金属線材(W、V)の下方に装着して支持するコンクリート補強金属線材支持スペーサー(1)であつて、コンクリート補強金属線材(W、V)に係合させる係合部(5)と、後方下部が湾曲状に形成され、係合部(5)を上方に支持する支持台(2)と、支持台(2)の前方に突出して設けられ、基礎(X)に載置されたコンクリート補強金属線材(W、V)に係合部(5)を係合させた後にコンクリート補強金属線材(W、V)を中心として支持台(2)を回転させる操作部(4)とを備えてなることを特徴とするコンクリート補強金属線材支持スペーサー。
  2. 支持台(2)は、金属線材からなり、前後一対の脚部を有する門型形状で、後方脚部の下端部が前方に湾曲状に形成された一対の支持部(3)を間隔を空けて対向状に配置するとともに、一体に連結してなるものである請求項1記載のコンクリート補強金属線材支持スペーサー。
  3. 支持台(2)が台形状である請求項1又は2記載のコンクリート補強金属線材支持スペーサー。
  4. 係合部(5)が支持台(2)より上方に突出して設けられている請求項1、2又は3記載のコンクリート補強金属線材支持スペーサー。
  5. 係合部(5)が支持台(2)より上方に突出するとともに操作部(4)の側に向け屈曲して設けられている請求項1、2又は3記載のコンクリート補強金属線材支持スペーサー。
  6. 係合部(5)は、コンクリート補強金属線材(W、V)を引掛ける引掛部(6)と、引掛部(6)と協働してコンクリート補強金属線材(W、V)を挟持する固定部(7)とを備えている請求項1〜5のいずれか1項記載のコンクリート補強金属線材支持スペーサー。
  7. 支持台(2)がアーチ状で、係合部(5)が支持台(2)の上部に凹部を形成して設けられている請求項1又は2記載のコンクリート補強金属線材支持スペーサー。
  8. 支持台(2)がアーチ状で、係合部(5)が支持台(2)の頂部の後方から上方に突出するとともに操作部(4)の側に向け屈曲して設けられている請求項1又は2記載のコンクリート補強金属線材支持スペーサー。
  9. 係合部(5)、支持台(2)及び操作部(4)が1本の金属線材を折り曲げて形成されている請求項1又は2記載のコンクリート補強金属線材支持スペーサー。
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