JP4359655B2 - インフレーションフイルム成形におけるフイルム厚さ調整方法とその装置及びこれに使用される成形ダイ - Google Patents

インフレーションフイルム成形におけるフイルム厚さ調整方法とその装置及びこれに使用される成形ダイ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明はインフレーシヨンフイルム成形におけるフイルム厚さ調整方法とその装置及びこれに使用される成形ダイに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来スパイラルマンドレルタイプの成形ダイは、スパイダマークを生じない利点を有し、ポリエチレン、ポリプロピレン(PP)などのインフレーションフイルム成形に広く使用されている。
【0003】
この種成形ダイにおけるフイルム厚さを調整する方法としては、成形ダイのリップ近傍において、ヒータをこのリップの周囲方向に配列し、このヒータを温度調整することが通常行われている。
前記具体例としては、特開平9−123251号公報、特開平11−262948号公報がある。
前者のものにおいては、ダイリップからの樹脂吐出量は全周において、常に一部が不足する傾向にあり、ダイリップ部分での温度調整のみでは、ダイリップからの樹脂吐出量を均一化するのは難しい。殊にポリプロピレンの場合に、その粘度指数が大きいため、スパイラル溝の立ち上がり部の数に対応して流れむらが生じ、各スパイラル溝の立ち上がり部のオーバーフローの総量は、大きく変動する傾向にあり、このような場合には前記吐出口での温度調整ではその吐出量を均一に出来ない。
後者のものにおいては、前者のもの同様の傾向を呈するとともに、インフレーションの厚肉部分を一ケ所に偏在させることなく順次変化させることが可能であろうが、インフレーションフイルムの肉厚が均一化するという保証はない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は各スパイラル溝の立上り部を成形ダイの円周方向に沿い数区画に区分し、各区画を加熱手段で各々加熱し、バブルのフロストライン近傍で検出されたフイルム厚さと設定値の差に応じて各区画の加熱手段を調整制御し、各スパイラル溝の立ち上がり部の円周方向でのオーバフロー流量を調整することにより、種々の樹脂、成形条件の変更に簡易に対応して、成形ダイ吐出口での周方向における単位幅当たりの樹脂の粘性を適性化し、インフレーションフイルムの偏肉を解消するインフレーションフイルム成形におけるフイルム厚さ調整方法とその装置及びこれに使用される成形ダイを市場に提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、押出成形機により混練され溶融された合成樹脂を成形ダイに供給し、バブルとして吐出し、このバブル内に気体を吹込み膨張するとともに外冷を行い、所定厚さのチューブ状フイルムとするインフレーションフイルムの成形に際して、前記成形ダイの樹脂供給路を形成する複数個のスパイラル溝の立上り部を成形ダイの円周方向に沿い数区画に区分して、各区画を加熱手段により各々加熱し、バブルのフロストライン近傍で検出されたフイルム厚さと設定値の差に応じて各区画の加熱手段を調整制御し、各スパイラル溝の立上り部の円周方向でのオーバフロー流量を調整することを特徴とするインフレーションフイルム成形におけるフイルム厚さ調整方法としてある。
【0006】
前記課題を解決するために、この調整方法における前記加熱は、前記成形ダイの外周に設けられ、各区画毎に独立して調整制御されるヒータにより行うことを特徴とする。
【0007】
前記課題を解決するために、この調整方法における前記加熱は、前記成形ダイの内部に埋設され,各区画毎に独立して調整制御されるヒータにより行うことを特徴とする。
【0008】
前記課題を解決するために、関連発明は成形ダイの樹脂供給路を形成する複数個のスパイラル溝の立上り部を円周方向に区画し、バブルのフロストライン近傍におけるフイルムの厚さ検出値と設定値の差に応じて調整制御される加熱手段が各区画毎に配備されていることを特徴とするインフレーションフイルム成形におけるフイルム厚さ調整装置としてある。
【0009】
前記課題を解決するために、この調整装置における前記加熱手段は、前記各区画の加熱手段は、独立して調整制御されるもので、前記成形ダイの外周面に配置されたヒータからなることを特徴とする。
【0010】
前記課題を解決するために、この調整装置における前記各区画の加熱手段は、独立して調整制御されるもので、前記成形ダイ内に埋め込まれたヒータからなることが望ましい。
【0011】
前記課題を解決するために、関連発明は、インフレーションフイルム成形ダイの樹脂供給路を形成する複数個のスパイラル溝の立上り部を円周方向に区画し、各区画毎に加熱手段が配備されていることを特徴とするインフレーションフイルム成形ダイとしてある。
【0012】
前記課題を解決するために、この成形ダイにおける前記加熱部は、矩形、小型ヒータからなり、これらヒータを前記成形ダイ外周面に配備することが望ましい。
【0013】
前記課題を解決するために、この成形ダイにおける前記加熱部は棒状ヒータからなり、これらヒータを前記成形ダイに埋込み配備することが好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】
実施の形態1
請求項4、5記載の装置発明の代表的な実施の形態を請求項7、8記載の発明である成形ダイの代表的な実施の形態と併せて説明する。
図1においては、Aはインフレーションフイルム成形におけるフイルム厚さ自動調整装置であり、成形ダイ10は単層成形用のもので、マンドレル13と、このマンドレル13の外側に位置する環状のダイ本体14からなるスパイラルマンドレルダイである。
なお、多層フイルム成形用ダイとしてもこの発明としては同一である。
この成形ダイ10は樹脂供給路を形成する四つのスパイラル溝を有する。
各スパイラル溝の立上り部11を円周方向に区画し、フイルムの厚さ検出値に応じて調整制御される複数箇の加熱手段12が各区画毎に配備されている。前記各区画内の複数箇の加熱手段12は、それぞれ独立して調整制御されるもので、各スパイラル溝の立上り部11に沿い前記成形ダイ10の外周面に配置されたヒータからなる(図2、図3参照)。
より具体的には、前記加熱手段12は、矩形、小型ヒータ、例えばスペースヒータからなり、これらヒータを前記ダイ本体14外周面に配備してなる。
【0015】
この成形ダイ10の同心的に配置された前記マンドレル13とダイ本体14の間に環状の樹脂流通路15が形成される。押出機のスクリュー(図示せず)より圧送される樹脂がこの成形ダイ10の軸線方向から成形ダイ10にセンターフイード方式で供給される。各スパイラル溝の立上がり部11に沿い前記各区画に設けた加熱手段12は、バブルCのフロストライン近傍における各区画に対応するフイルム厚さを検出する厚さセンサ17の検出値と設定値との差に応じて対応する区画の立上り部11を加熱し、溶融樹脂の温度を調整する制御部18に電気的に接続されている(図6参照)。
【0016】
この形態の作用を請求項1、2記載の方法発明の代表的な実施の形態として説明する。
押出機のスクリューにより混練され溶融された合成樹脂を成形ダイ10に供給し、成形ダイ吐出口からバブルCとして吐出し、このバブルC内に気体を吹込み膨張するとともにエアリング19からの冷風で外冷を行い、所定厚さのチューブ状フイルムとするインフレーションフイルムの成形に際して、前記各スパイラル溝の立上り部11を成形ダイ10の円周方向に沿い数区画に区分して前記加熱手段12により加熱し、バブルCのフロストライン近傍で前記厚さセンサ17により検出されたフイルム厚さと設定値の差に応じて各区画の加熱手段12を制御部18により独立して調整制御し、各スパイラル溝の立上り部11の円周方向でのオーバフロー流量の総量を各スパイラル溝の立ち上がり部11間の流量差をなくし均一にすべく調整する。その結果として、各スパイラル溝からのオーバーフロー流量差をなくし、スパイラル溝の数に対応する流れのむらを解消し、また、各スパイラル溝毎の複数箇の加熱手段12を独立して温度調整することによって成形ダイ吐出口での周方向における単位幅当たりの樹脂の粘性を適正化し、この成形ダイ吐出口全周からの溶融樹脂吐出量を一定としバブルCを吐出する。
このようなインフレーションフイルム成形中にバブルCのフロストライン近傍で検出されるフイルム厚さと設定値の差に応じた区画の加熱手段12を独立して調整制御することで、この成形されたフイルムにウエルドラインが生じないようにし、かつインフレーションフイルムの偏肉をなくし、その肉厚さを均一化する。
【0017】
なお、多層フイルム成形用ダイにおいては、フイルムの各層を形成する樹脂材料に応じて、各樹脂路におけるスパイラル溝の立ち上がり部に個別に前記のように加熱手段を配置し、各層独立して前記立ち上がり部からのオーバーフロー量を調整し、この成形ダイ吐出口全周からの溶融樹脂吐出量を一定とする。この結果、粘度指数の大きいPP(ポリプロピレン)のようなオーバーフロー流量が前記立ち上がり部の数に対応する流れむらにより大きく変動するような樹脂層を含む多層フイルムを、均一な肉厚で多層インフレーション成形する。
また、多層フイルムにおいて、肉厚比率の高い層がある場合には、前記加熱手段をこの肉厚比率の高い層に相応するスパイラル溝の立ち上がり部に、前記のように配置することで、制御系を簡略とし、均一肉厚の多層インフレーションフイルムを成形することもある。
【0018】
実施の形態2
請求項4、6記載の装置発明の代表的な実施の形態を請求項7、9記載の発明である成形ダイの代表的な実施の形態と併せて説明する。
実施の形態1と異なる構成は、前記加熱手段12は棒状カートリッジヒータからなり、これらヒータを前記成形ダイ10のダイ本体14内に成形ダイ10の軸線と平行に埋込み配備してある(図4参照)。更に詳述すれば、前記加熱手段12である棒状カートリッジヒータを前記ダイ本体14内に各スパイラル溝の前記立上り部11近傍で埋込み配備してある(図1鎖線部分参照)。この場合隣接する加熱手段12間の熱干渉を少くするため、ダイ本体14に各加熱手段12を相互に離反させる縦溝25が設けられる場合もある(図4参照)。前記カートリッジヒータは図では概略的に示されているが、実際には、ダイ本体の下面から上方に向けて穿設された埋込み穴内にこのカートリッジヒータが着脱可能に配備されている。
その他、実施の形態1と同一の符号は同一の構成、作用をなす。
その作用はほゞ実施の形態1と同一である。
各実施の形態において、スパイラル溝の数は3箇でも5箇又は6箇でも引用した請求項記載の発明の実施の形態に含まれる。
【0019】
【発明の効果】
請求項1、2、3記載の方法発明において、前記各スパイラル溝の立上り部を成形ダイの円周方向に沿い数区画に区分して各区画を加熱手段により各々加熱し、バブルのフロストライン近傍で検出されたフイルム厚さに応じて各区画の各加熱手段を調整制御することで、種々の樹脂、成形条件の変更に簡易に対応して、これら各立上り部の円周方向区画内でのオーバーフロー流量の総量を均一とし、各スパイラル溝からのオーバーフロー流量を一定とし、流れむらをなくすことで、この成形ダイ吐出口での周方向における単位幅当たりの樹脂の粘性を適正化し、前記成形ダイ吐出口に供給される樹脂量が全周で均一化し、周方向のチューブ状フイルムの偏肉を解消できる。
殊に請求項2、3記載の発明においては、インフレーションフイルム成形中における厚さの変動に応じた区画の加熱手段を他の区画の加熱手段と独立して調整制御することでこのフイルムのウエルドラインを消失し、その肉厚を均一にすることができる。
【0020】
請求項4記載の装置発明は、前記特定発明の方法を実施でき、その効果を奏することができる。
請求項5記載の発明は請求項4記載の発明の前記効果に加えて、請求項2記載の方法発明を実施でき、各区画の加熱手段の位置、調整、交換を前記成形ダイの外部から容易に行えるとともに、各立上り部からの円周方向でのオーバフロー流量をより均一化できる。
請求項6記載の発明は、請求項4記載の発明の前記効果に加えて、請求項3記載の方法発明を実施でき、各区画の加熱手段からの熱量を外部へ放散することなく、各スパイラル溝の立ち上がり部において有効に溶融樹脂を加熱することができる。
請求項7記載の発明の成形ダイは、前記方法発明を実施するのに適したものであり、その効果を奏することができる。更に、この成形ダイは、前記効果に加えて、請求項4記載の装置発明に組込み、厚さ均一のチューブ状フイルムを成形できる。
【0021】
請求項8記載の発明である成形ダイは請求項2記載の方法発明を実施でき、請求項5記載の装置発明に組込み、厚さ均一のチューブ状フイルムを成形できるとともに、加熱手段の取付け位置の調整、交換をこの成形ダイの外部から容易にできる。
請求項9記載の発明である成形ダイは、請求項3記載の方法発明を実施でき、請求項6記載の装置発明に組込み、厚さ均一のチューブ状フイルムを成形でき、その溶融樹脂の加熱を、外部への放散を少なくした状態で行える。
前記各請求項記載の発明は、スパイラル溝を有する成形ダイであれば、センターフイード型の前記スパイラルマンドレルタイプの成形ダイに限定されず、サイドフイード型の多分岐路タイプのものなどにも適用でき、この発明の技術的範囲に属する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1、2の成形ダイの斜視図である。
【図2】図1の要部横断面図である。
【図3】図1のスパイラル溝の立上がり部とヒータの配列を示す概略展開図である。
【図4】実施形態2の要部横断面図である。
【図5】インフレーションフイルム成形装置全体を示す概略図である。
【符号の説明】
10 成形ダイ
11 スパイラル溝の立上り部
12 加熱手段

Claims (9)

  1. 押出成形機により混練され溶融された合成樹脂を成形ダイに供給し、バブルとして吐出し、このバブル内に気体を吹込み膨張するとともに外冷を行い、所定厚さのチューブ状フイルムとするインフレーションフイルムの成形に際して、前記成形ダイの樹脂供給路を形成する複数個のスパイラル溝の立上り部を成形ダイの円周方向に沿い数区画に区分して、各区画を加熱手段により各々加熱し、バブルのフロストライン近傍で検出されたフイルム厚さと設定値の差に応じて各区画の加熱手段を調整制御し、各スパイラル溝の立上り部の円周方向でのオーバフロー流量を調整することを特徴とするインフレーションフイルム成形におけるフイルム厚さ調整方法。
  2. 前記加熱は、前記成形ダイの外周に設けられ、各区画毎に独立して調整制御されるヒータにより行うことを特徴とする請求項1記載のインフレーションフイルム成形におけるフイルム厚さ調整方法。
  3. 前記加熱は、前記成形ダイの内部に埋設され,各区画毎に独立して調整制御されるヒータにより行うことを特徴とする請求項1記載のインフレーションフイルム成形におけるフイルム厚さ調整方法。
  4. 成形ダイの樹脂供給路を形成する複数個のスパイラル溝の立上り部を円周方向に区画し、バブルのフロストライン近傍におけるフイルムの厚さ検出値と設定値の差に応じて調整制御される加熱手段が各区画毎に配備されていることを特徴とするインフレーションフイルム成形におけるフイルム厚さ調整装置。
  5. 前記各区画の加熱手段は、独立して調整制御されるもので、前記成形ダイの外周面に配置されたヒータからなることを特徴とする請求項4記載のインフレーションフイルム成形におけるフイルム厚さ調整装置。
  6. 前記各区画の加熱手段は、独立して調整制御されるもので、前記成形ダイ内に埋め込まれたヒータからなることを特徴とする請求項4記載のインフレーションフイルム成形におけるフイルム厚さ調整装置。
  7. インフレーションフイルム成形ダイの樹脂供給路を形成する複数個のスパイラル溝の立上り部を円周方向に区画し、各区画毎に加熱手段が配備されていることを特徴とするインフレーションフイルム成形ダイ。
  8. 前記加熱手段は、矩形、小型ヒータからなり、これらヒータを前記成形ダイ外周面に配備したことを特徴とする請求項7記載のインフレーションフイルム成形ダイ。
  9. 前記加熱手段は棒状ヒータからなり、これらヒータを前記成形ダイに埋込み配備したことを特徴とする請求項7記載のインフレーションフイルム成形ダイ。
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