JP4359544B2 - 表面改質方法 - Google Patents
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Description
親水性付与の一つの方法として、基材表面に親水性モノマーをグラフト重合させる方法が知られている(例えば、非特許文献1、2参照)。この方法は、放射線又はプラズマによって基材表面にペルオキシド等の活性点を生成させ、これを開始点として熱重合によるモノマーのグラフト重合を行わせるものであり、グラフト重合により導入される官能基の制御が可能であり、表面に付与された親水性の経時的な変化はほとんどないものの、放射線処理などの大がかりなエネルギー付与を必須とするために、製造工程が煩雑で工業的に不利であった。
このようなエポキシ樹脂の上にグラフトポリマーを生成させ、表面改質を行って種々の用途に適用しようとする試みがなされている。例えば、エポキシ樹脂などの樹脂基板表面に二重結合を有するモノマーを接触させ、電子線を照射してモノマーをグラフトさせ、そこに金属メッキを行って金属薄膜を形成する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この方法はグラフトの形成に電子線を使用するため、製造装置が複雑で大がかりとなる。また、電子線の強いエネルギーにより、グラフトポリマー以外のホモポリマーが大量に生成されるという問題があった。また、モノマー溶液の接触に関しては、浸漬法、塗布法のいずれを用いても、基材表面に存在するモノマー溶液の厚みを均一に保持することが困難であり、均一な特性を有するグラフトポリマーが得難いという問題もあった。
エポキシ樹脂に限定されない樹脂基材表面のグラフト化技術としては、さらに、基板表面をグロー処理して活性点を発生させ、その後モノマーを接触させて光照射によりグラフト重合を行って表面グラフトを形成させる方法が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。この方法では、グロー処理に高エネルギーを要し、また、グロー処理により基材表面の平滑性が低下するという問題を有していた。
以上のように、耐熱性などに優れたエポキシ樹脂基材に対して、簡易に所望のグラフトポリマーを形成する手法が望まれているが、未だ提供されていないのが現状である。
本発明の目的は、エポキシ樹脂を主成分とする基材(以下、適宜、エポキシ樹脂基材と称する)の表面改質に有用な、均一なグラフトフトポリマーを、簡便な工程により所望の領域に生成しうる表面グラフト形成方法を適用した表面改質方法を提供することにある。
ここで用いる分子内に二重結合を有し、かつ極性官能基を有する化合物としては、側鎖及び末端の少なくとも1箇所に二重結合を有するマクロマー又はポリマーが好ましい。
なお分子内に二重結合を有し、かつ極性官能基を有するマクロマーの分子量は100〜10万であることが好ましく、分子内に二重結合を有し、かつ極性官能基を有するポリマーの分子量は500〜50万であることが好ましい。
また、二重結合を有し、かつ極性官能基を有する化合物として、ポリマーを用いる場合には、特に、1分子中に2〜20個のエポキシ基を有するエポキシ化合物と、1分子中に2個以上のエポキシ基と反応する官能基を有する化合物と、の反応物からなるエポキシ樹脂を主成分とする基材表面に、分子内に二重結合を有し、かつ極性官能基を有する高分子化合物を含有する塗布液を塗布して高分子塗布膜を形成し、紫外線露光して、該基材表面と直接結合するグラフトポリマーを生成させることが好ましい態様であるといえる。
このような二重結合を有し、かつ極性官能基を有する化合物を組成物として基材表面に接触させる場合、該組成物中には、分子内に二重結合を有し、かつ極性官能基を有する化合物及び分散媒又は溶媒以外に、重合反応に関与する化合物を含まないことが好ましく、特に、重合開始能を有する化合物を含有しないことが好ましい。
また分子内に二重結合を有し、かつ極性官能基を有する化合物を含む分散液又は溶液は、分子内に二重結合を有し、かつ極性官能基を有する化合物を1種のみ含有する態様が好ましい。
極性官能基はカルボキシル基、水酸基、アミノ基、スルホン酸基、ホスホン酸基、及び、アミド基からなる群より選択される1種以上であるのが好ましい。
1分子中に2〜20個のエポキシ基を有するエポキシ化合物と、1分子中に2個以上のエポキシ基と反応する官能基を有する化合物と、の反応物からなるエポキシ樹脂が、基材を構成する樹脂成分全質量に対して30質量%以上含有されるのが好ましい。
エポキシ基と反応する官能基はカルボキシル基、水酸基、アミノ基、及び、チオール基からなる群より選択される1種以上であるのが好ましく、基材表面と直接結合するグラフトポリマーの膜厚は0.5〜1.0g/m 2 の範囲であるのが好ましい。
また、この方法では、エポキシ樹脂基材表面には、グロー処理など、活性点を生成させるための前処理を必要としないことから、基材表面の平滑性が損なわれず、平滑で均一な改質表面の形成に有用である。
本発明の方法では、1分子中に2〜20個のエポキシ基を有するエポキシ化合物と、1分子中に2個以上のエポキシ基と反応する官能基を有する化合物と、の反応物からなるエポキシ樹脂を主成分とする基材表面に、分子内に二重結合を有し、かつ極性官能基を有する化合物を接触させ、紫外線露光することを特徴とする。
まず、本発明に用いうる1分子中に2〜20個のエポキシ基を有するエポキシ化合物と、1分子中に2個以上のエポキシ基と反応する官能基を有する化合物と、の反応物からなるエポキシ樹脂を主成分とする基材について説明する。
〔1分子中に2〜20個のエポキシ基を有するエポキシ化合物と、1分子中に2個以上のエポキシ基と反応する官能基を有する化合物と、の反応物からなるエポキシ樹脂を主成分とする基材〕
なお、本発明においてエポキシ樹脂を主成分とする基板とは、基板を構成する樹脂成分のうち、30質量%以上が以下に詳述するエポキシ樹脂である基板を指す。
本発明において基材を構成するエポキシ樹脂とは、(A)1分子中に2〜20個のエポキシ基を有するエポキシ化合物と(B)1分子中に2個以上のエポキシ基と反応する官能基を有する化合物との反応物である。(B)における官能基としてはカルボキシル基,水酸基,アミノ基,チオール基などの官能基から選ばれる。
具体的には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ジフェニルエーテル型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、3官能型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールA含核ポリオール型エポキシ樹脂、ポリプロピレングリコール型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリオキザール型エポキシ樹脂、脂環型エポキシ樹脂、複素環型エポキシ樹脂などを挙げることができる。
その他、特開平8−212832号、特開平10−1596号の各公報に記載の感光性を付与されたエポキシ基板、特開2002−171074号、特開2002−179887号、特開2001−49125号、及び、特開2000−198907号などの各公報に記載の難燃性エポキシ基板も本発明に適用することができる。
このような他の成分を添加する場合は、エポキシ樹脂に対して1〜200質量%の範囲、好ましくは10〜80質量%の範囲で添加される。添加成分がエポキシ樹脂に対して1質量%未満であると添加の効果が十分に得られず、他の成分を200質量%を超えて添加すると、エポキシ樹脂の強度などの特性が低下する懸念があり、さらにまたグラフトポリマーの形成反応が進行し難くなり、いずれも好ましくない。
本発明に用いられるエポキシ樹脂基材は、基材に用いられる樹脂の特性により、一般的な樹脂基材を用いる場合しばしば行われる電子線照射、プラズマ照射、グロー処理などの高エネルギー付与による表面活性化処理を行うことなく、二重結合化合物を接触させ、紫外線照射するのみで簡易に表面グラフトが形成されることを特徴とするが、得られる表面グラフト材料の特性を考慮すればエポキシ樹脂基材表面は平滑であることが好ましく、この観点からは、本発明におけるエポキシ樹脂基材は何らの表面処理、前処理を行うことなく使用されることが好ましい。具体的には、例えば、表面粗さとして、JIS B0601(1994年)に規定される表面粗さRzが3μm以下のものが好ましく用いられる。
本発明の表面グラフト形成方法は、エポキシ樹脂基材表面に、二重結合を有し、かつ極性官能基を有する化合物(以下、適宜、二重結合化合物と称する)を接触させ、紫外線照射によりエネルギーを付与して、該基材表面と直接結合するグラフトポリマーを生成させることを特徴とする。本発明における二重結合とは、重合可能なエチレン不飽和二重結合を指し、このような構造を有する化合物を以下、適宜、重合性基を有する化合物(重合性化合物)とも称する。次に、ここで用いる二重結合を有する化合物について説明する。
使用する二重結合化合物としては、重合性基及び極性官能基を有するモノマー、マクロマー、あるいは二重結合を有する高分子化合物のいずれも用いることができる。これらの化合物は公知のものを任意に使用することができる。即ち、本発明において使用される化合物は重合性基を有し、かつ極性官能基を有する化合物である。この極性官能基により、形成されたグラフトポリマーに、親水性或いは機能性材料との相互作用性などの特性を付与し、その表面を改質することができる。極性官能基としては、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、スルホン酸基、ホスホン酸基、アミド基、などの親水性基をあげることができる。
二重結合を有する高分子化合物は重合性基のほかに、前記したようにカルボキシル基などの、極性基、或いは、表面に導入しようとする機能性材料と相互作用性可能な官能基を有する。
重合性基を有する高分子化合物の有用な重量平均分子量は500〜50万の範囲で、特に好ましい範囲は1000〜5万の範囲である。
また、製造方法の観点からは、ポリマーを用いて塗布法により二重結合化合物を基材表面に接触させる場合には、均一な厚みの高分子塗布膜が容易に形成され、モノマー塗布の場合に必要とする塗布液保護用カバーが不要となり、二重結合化合物を任意の厚みで均一に接触させることが可能となるため、形成されるグラフトポリマーの均一性が向上し、製造適性に優れるという利点をも有するものである。このような理由から、大面積、或いは大量の製造においては、二重結合を有するポリマー(高分子化合物)を用いることが製造適性上特に有用である。
好ましい合成方法は、合成適性の観点から、ii)相互作用性基を有するモノマーと二重結合前駆体を有するモノマーとを共重合させ、次に塩基などの処理により二重結合を導入する方法、iii)相互作用性基を有するポリマーと重合性基を有するモノマーとを反応させ、重合性基を導入する方法である。
また、二重結合前駆体を有するモノマーとしては2−(3−クロロ−1−オキソプロポキシ)エチルメタクリレー卜や、特開2003−335814号公報に記載の化合物(i−1〜i−60)が使用することができ、これらの中でも、特に下記化合物(i−1)が好ましい。
本発明の表面グラフト形成方法において、エポキシ樹脂基材表面に生成されるグラフトポリマ−(表面グラフトポリマー)は、一般的に表面グラフト重合と呼ばれる手段を用いて作製される。
グラフト重合とは高分子化合物鎖上に活性種を与え、これによって重合を開始する別の単量体を更に重合させ、グラフト(接ぎ木)重合体を合成する方法で、特に活性種を与える高分子化合物が固体表面を形成する時には表面グラフト重合と呼ばれる。
使用できる溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールモノメチルエーテルの如きアルコール系溶剤、酢酸の如き酸、アセトン、シクロヘキサノンの如きケトン系溶剤、ホルムアミド、ジメチルアセトアミドの如きアミド系溶剤、などが挙げられる。
形成されるグラフト膜は、膜厚が0.1〜2.0g/m2の範囲にあることが好ましく、0.3〜1.0g/m2 がさらに好ましく、最も好ましくは、0.5〜1.0g/m2の範囲である。
エポキシ樹脂基材表面に活性点を発生させ、グラフトを生成させるためのエネルギー付与方法としては、紫外線の照射を用いることができる。例えば、UVランプ、ブラックライトなどによる光照射が可能である。
光源としては、例えば、水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、カーボンアーク灯、等がある。また、g線、i線、Deep−UV光も使用される。
エネルギー付与に要する時間としては、目的とするグラフトポリマーの生成量及び光源により異なるが、通常、10秒〜5時間の間である。
なかでも、紫外光、深紫外光などが好ましい。
ここで全面露光を行うことにより、前記基材表面の全面にわたり表面グラフトが形成される。
本発明の表面グラフト形成方法により得られる表面グラフト材料は、エポキシ樹脂基材と、該基材表面に直接結合したグラフトポリマーと、を有してなる。
本発明に係る表面グラフト材料は、耐熱性、機械的特性などに優れたエポキシ樹脂基材表面が、表面グラフトにより改質されているため、表面グラフトされた基材表面にグラフトポリマーが有する極性基と相互作用する材料(例えば、導電性素材、機能性微粒子、色素、顔料、等)を付着等させることにより、種々の機能を発揮する材料を作製することができる。また、その製造方法に起因して、除去困難なホモポリマーの副成がない。
〔エポキシ樹脂基板Aの作製〕
重量平均分子量50000のビスフェノールA型高分子エポキシ樹脂〔エピコート1256(油化シェル社製商品名、エポキシ当量7900、樹脂固形分40重量%)〕75部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂〔エピコート1001(油化シェル社製商品名、エポキシ当量475)〕28部、ノボラック型フェノール樹脂〔BRG−558(昭和高分子社製商品名、水酸基当量106)〕6.3部に、メチルセロソルブを加えて樹脂固形分50重量%のエポキシ樹脂ワニスを調製した。このワニスを厚さ100μmのSUS基板の片面に連続的に塗布し、150℃の温度で5分間乾燥することにより、SUS基板上に厚さ50μmのエポキシ樹脂層を有するエポキシ樹脂基板Aを得た。
(A)成分としてビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量185、油化シェルエポキシ(株)製エピコート828)20重量部(以下、配合量は全て重量部で表す)、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ当量215、大日本インキ化学工業(株)製エピクロンN−673)45部、(B)成分としてフェノールノボラック樹脂(フェノール性水酸基当量105、大日本インキ化学工業(株)製フェノライト)30部をエチルジグリコールアセテート20部、ソルベントナフサ20部に攪拌しながら加熱溶解させ室温まで冷却した後、そこへ(C)成分としてエピコート828とビスフェノールSからなるフェノキシ樹脂のシクロヘキサノンワニス(油化シェルエポキシ(株)製YL6747H30、不揮発分30重量%、重量平均分子量47000)30部と(D)成分として2−フェニル−4、5−ビス(ヒドロキシメチル)イミダゾール粉砕品0.8部、さらに微粉砕シリカ2部、シリコン系消泡剤〔東レダウコーニング(株)製M501(商品名)〕0.5部を添加しエポキシ樹脂ワニスを作製した。このワニスを厚さ100μmのSUS基板の片面に連続的に塗布し,150℃の温度で5分間乾燥することにより厚さ50μmのエポキシ樹脂基板Bを得た。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂〔エピコート1001(油化シェル社製商品名、エポキシ当量456、樹脂固形分70重量%)〕651部、クレゾールノボラックエポキシ樹脂〔YDCN−704P(東都化成社製商品名、エポキシ当量210、樹脂固形分70重量%)〕300部、ビスフェノールA型ノボラック樹脂(大日本インキ化学社製商品名、水酸基価118、樹脂固形分70重量%)337部、フェノキシホスファゼンオリゴマー(大塚化学社製、融点100℃)280部および2−エチル−4−メチルイミダゾール0.7部からなる混合物に溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM)を加えて樹脂固形分65重量%のエポキシ樹脂ワニスを調製した。このワニスを厚さ100μmのSUS基板の片面に連続的に塗布し,150℃の温度で5分間乾燥することにより厚さ50μmのエポキシ樹脂基板Cを得た。
〔エポキシ樹脂基板表面のグラフト生成〕
アクリル酸の水溶液10wt%の溶液中に、前記のようにして得られたエポキシ樹脂基板Aを浸漬し,1500W高圧水銀灯(UVX−02516S1LP01 ,ウシオ電気(株)製,254nmにおける光強度38mW/cm2)を使用し、5分間全面に照射した。その後,基板を取り出し,蒸留水で10分間超音波洗浄した。その後,5wt%重曹水に5分間浸漬した後、水洗し、実施例1の表面グラフト材料を得た。
表面の同定:
得られた表面グラフト材料をFT−IR(堀場製作所 型式FT−700)で測定したところ,グラフト化処理により新たに1550cm-1にカルボキシレートに起因される吸収が見られ、カルボキシ基を有するグラフトの存在が確認された。
表面の染色評価:
得られた表面グラフト材料を、0.1wt%のメチレンブルーの水溶液に1分間浸漬し、染料の染着により極性基を有するグラフトの存在を確認した。染色した面積10cm角の大きさの面内で反射濃度を4点測定したところ,1.5,1.5,1.8,1.6であり、均一なグラフトポリマーが形成されていることが分かった。なお、グラフトを形成していないエポキシ樹脂基板表面に同様の処理を行い、反射濃度を測定したところ、0.1であった。このような反射濃度のばらつきは、0.3以下であれば、実用上十分な均一性を達成しているといえる。
実施例1においてグラフト生成に用いたアクリル酸の溶液に0.5wt%のベンゾフェノン(重合開始剤)を加えた以外は実施例1と同様の方法でグラフト生成を行い、比較例1の表面グラフト材料を得た。反応溶液は粘性が高く、余分なホモポリマーを除去するために2日間水中に浸漬したのち,超音波で1時間洗浄する必要があった。
また、実施例1と同様に染色評価を行ったところ、染色後の反射濃度を5点測定した結果、3.0、1.5、0.8、1.0、2.0であり、染色濃度にムラが見られた。
〔二重結合を有する高分子化合物の塗布〕
前記のようにして得られたエポキシ基板樹脂B表面に2重結合性化合物としてアクリル基とカルボキシル基とを有する、側鎖に重合性基を持つ親水性ポリマー(P−1、下記合成例により得る)を含む水溶液をロッドバー#6で塗布し、100度1分乾燥することで2μm厚のグラフトポリマー前駆体層を設けた。
重合性基を有する化合物(グラフト前駆体ポリマーの塗布)
<塗布液組成物1>
・側鎖に重合性基を持つ親水性ポリマー(P−1) 3.1g
・水 24.6g
・1−メトキシ−2−プロパノール 12.3g
ポリアクリル酸(平均分子量25、000)18gを、ジメチルアセトアミド(DMAC)300gに溶解し、そこに、ハイドロキノン0.41gと、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート19.4gと、ジブチルチンジラウレート0.25gと、を添加し、65℃、4時間反応させた。得られたポリマーの酸価は7.02meq/gであった。その後、1mol/l(1N)の水酸化ナトリウム水溶液でカルボキシル基を中和し、酢酸エチルを加えポリマーを沈殿させ、よく洗浄して、側鎖に重合性基を持つ親水性ポリマー18.4g(P−1)を得た。
このようにして得られた基板に以下の条件で全面にエネルギーを付与し、エポキシ基板に直接結合するグラフトポリマーを有する実施例2の表面グラフト材料を得た。
エネルギー付与は、アルゴン雰囲気下で、1500W高圧水銀灯(UVX−02516S1LP01 ,ウシオ電気(株)製,254nmにおける光強度38mW/cm2)を使用し、5分間全面に照射することにより実施した。光照射後、支持体をイオン交換水でよく洗浄した。その後,5wt%重曹水に5分間浸漬した後,水洗した。
表面の同定:FT−IR(堀場製作所 型式FT−700)で測定したところ,グラフト化処理により新たに1550cm−1にカルボキシレートに起因される吸収が見られた。
また、実施例1と同様に染色評価を行ったところ、反射濃度2.0で染色された。その他の部分の反射濃度を4点測定したところ、いずれも2.0±0.1の範囲内であり、均一に染色されていることが確認された。
前記エポキシ樹脂基板Cに、下記塗布液組成物2をロッドバー#18を用いて塗布して露光あい、実施例2と同様の条件で表面グラフト化を行った。
基材上に形成されたグラフトポリマー層の膜厚は0.8μmだった。
・重合性基含有ポリマー(合成方法は下記に示す) 0.25g
・シクロヘキサノン 8.0g
500mlの三口フラスコに、2−ヒドロキシエチルメタクリレート58.6gを入れ、アセトン250mlを加え、撹拌した。ピリジン39.2g、p−メトキシフェノール0.1gを添加した後に、氷水を入れた氷浴にて冷却した。混合液温度が5℃以下になった後に、2−ブロモイソブタン酸ブロミド114.9gを滴下ロートにて3時間かけて滴下した。滴下終了後、氷浴を外してさらに3時間撹拌した。反応混合液を水750mlに投入し、1時間撹拌した。水混合液を、分液ロートを用いて、酢酸エチル500mlで3回抽出した。有機層を1M塩酸500ml、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液500ml、飽和食塩水500mlで順次洗浄した。有機層に硫酸マグネシウム100gを入れ、脱水乾燥した後、濾過した。溶媒を減圧留去し、モノマーAを120.3g得た。
200ml三口フラスコに得られた高分子化合物26.0g、p−メトキシフェノール0.1gを入れ、N,N−ジメチルアセトアミド60g、アセトン60gに溶解し、氷水を入れた氷浴にて冷却した。混合液温度が5℃以下になった後に、1、8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−7−ウンデセン(DBU)60.4gを滴下ロート用いて、1時間かけて滴下した。滴下終了後、氷浴を外してさらに8時間撹拌した。反応液を濃塩酸17mlを溶解させた水2Lに投入し重合性基含有ポリマーを析出させた。析出した重合性基含有ポリマーを濾取、水で洗浄、乾燥し15.6g得た。
表面の同定:FT−IR(堀場製作所 型式FT−700)で測定したところ,グラフト化処理により新たに1550cm-1にカルボキシレートに起因される吸収が見られた。
また、実施例1と同様に染色評価を行ったところ、反射濃度2.1で染色された。その他の部分の反射濃度を3点測定したところ、いずれも2.1±0.1の範囲内であり、均一に染色されていることが確認された。
また、実施例1と、実施例2、3との対比において、二重結合化合物として、側鎖に二重結合を有するものを用いた場合、染色濃度が高く、より高密度で、且つ、均一性に優れたグラフトポリマーが形成されていることがわかる。
Claims (10)
- 1分子中に2〜20個のエポキシ基を有するエポキシ化合物と、1分子中に2個以上のエポキシ基と反応する官能基を有する化合物と、の反応物からなるエポキシ樹脂を主成分とする基材表面に、分子内に二重結合を有し、かつ極性官能基を有する化合物を単体で、又は、溶媒に分散或いは溶解させた状態で接触させ、紫外線露光して、該基材表面と直接結合するグラフトポリマーを生成させることを特徴とする表面改質方法。
- 前記分子内に二重結合を有し、かつ極性官能基を有する化合物が、側鎖及び末端の少なくとも1箇所に二重結合を有するマクロマー又はポリマーであることを特徴とする請求項1記載の表面改質方法。
- 前記分子内に二重結合を有し、かつ極性官能基を有するマクロマーの分子量が100〜10万であり、且つ、前記分子内に二重結合を有し、かつ極性官能基を有するポリマーの分子量が500〜50万であることを特徴とする請求項2記載の表面改質方法。
- 1分子中に2〜20個のエポキシ基を有するエポキシ化合物と、1分子中に2個以上のエポキシ基と反応する官能基を有する化合物と、の反応物からなるエポキシ樹脂を主成分とする基材表面に、側鎖及び末端の少なくとも1箇所に二重結合を有し、かつ極性官能基を有する高分子化合物を含む塗布液を塗布して高分子塗布膜を形成し、紫外線露光して、該基材表面と直接結合するグラフトポリマーを生成させることを特徴とする表面改質方法。
- 前記分子内に二重結合を有し、かつ極性官能基を有する化合物を含む分散液又は溶液に、重合開始能を有する化合物を含有しないことを特徴とする請求項1又は請求項4に記載の表面改質方法。
- 前記分子内に二重結合を有し、かつ極性官能基を有する化合物を含む分散液又は溶液が、分子内に二重結合を有し、かつ極性官能基を有する化合物を1種のみ含有することを特徴とする請求項1又は請求項4に記載の表面改質形成方法。
- 前記極性官能基が、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、スルホン酸基、ホスホン酸基、及び、アミド基からなる群より選択される1種以上である請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の表面改質方法。
- 前記1分子中に2〜20個のエポキシ基を有するエポキシ化合物と、1分子中に2個以上のエポキシ基と反応する官能基を有する化合物と、の反応物からなるエポキシ樹脂を主成分とする基材を構成する樹脂成分全質量に対して、前記1分子中に2〜20個のエポキシ基を有するエポキシ化合物と、1分子中に2個以上のエポキシ基と反応する官能基を有する化合物と、の反応物からなるエポキシ樹脂が30質量%以上含有されることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の表面改質方法。
- 前記1分子中に2個以上のエポキシ基と反応する官能基を有する化合物におけるエポキシ基と反応する官能基が、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、及び、チオール基からなる群より選択される1種以上である請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の表面改質方法。
- 前記1分子中に2〜20個のエポキシ基を有するエポキシ化合物と、1分子中に2個以上のエポキシ基と反応する官能基を有する化合物と、の反応物からなるエポキシ樹脂を主成分とする基材表面と直接結合するグラフトポリマーの膜厚が0.5〜1.0g/m 2 の範囲であることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の表面改質方法。
Priority Applications (1)
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