JP4359544B2 - 表面改質方法 - Google Patents

表面改質方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4359544B2
JP4359544B2 JP2004242989A JP2004242989A JP4359544B2 JP 4359544 B2 JP4359544 B2 JP 4359544B2 JP 2004242989 A JP2004242989 A JP 2004242989A JP 2004242989 A JP2004242989 A JP 2004242989A JP 4359544 B2 JP4359544 B2 JP 4359544B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
compound
group
molecule
functional group
double bond
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2004242989A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2006057060A (ja
Inventor
浩一 川村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Corp
Original Assignee
Fujifilm Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujifilm Corp filed Critical Fujifilm Corp
Priority to JP2004242989A priority Critical patent/JP4359544B2/ja
Publication of JP2006057060A publication Critical patent/JP2006057060A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4359544B2 publication Critical patent/JP4359544B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Treatments Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)

Description

本発明は、表面改質方法に関する。より詳細には、エポキシ樹脂基材表面に表面改質に有用なグラフトフトポリマーを、簡便な工程により生成することができる表面グラフト形成方法を用いて基材表面を改質する表面改質方法に関する。
従来、プラスチック基材に様々な機能を付与する試みがなされてきた。例えば、プラスチック基材表面を親水化するには、火焔処理、コロナ処理、低温プラズマ処理等を行って基材表面に極性基を導入する方法が知られているが、選択的に極性基を導入することは困難であり、さらに、そのようにして付与した親水性能が経時的に変化するという問題もあった。
親水性付与の一つの方法として、基材表面に親水性モノマーをグラフト重合させる方法が知られている(例えば、非特許文献1、2参照)。この方法は、放射線又はプラズマによって基材表面にペルオキシド等の活性点を生成させ、これを開始点として熱重合によるモノマーのグラフト重合を行わせるものであり、グラフト重合により導入される官能基の制御が可能であり、表面に付与された親水性の経時的な変化はほとんどないものの、放射線処理などの大がかりなエネルギー付与を必須とするために、製造工程が煩雑で工業的に不利であった。
プラスチック基材として、エポキシ樹脂は、熱安定性が高く、機械的、電気的特性に優れ、安価であるために、建築材料、塗料、接着剤、電気部品の絶縁材など種々の材料に適用され、近年では、その優れた接着性から回路基板等への応用が検討されている。
このようなエポキシ樹脂の上にグラフトポリマーを生成させ、表面改質を行って種々の用途に適用しようとする試みがなされている。例えば、エポキシ樹脂などの樹脂基板表面に二重結合を有するモノマーを接触させ、電子線を照射してモノマーをグラフトさせ、そこに金属メッキを行って金属薄膜を形成する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この方法はグラフトの形成に電子線を使用するため、製造装置が複雑で大がかりとなる。また、電子線の強いエネルギーにより、グラフトポリマー以外のホモポリマーが大量に生成されるという問題があった。また、モノマー溶液の接触に関しては、浸漬法、塗布法のいずれを用いても、基材表面に存在するモノマー溶液の厚みを均一に保持することが困難であり、均一な特性を有するグラフトポリマーが得難いという問題もあった。
電子線を用いない方法としては、樹脂表面上に二重結合を有する化合物とベンゾフェノンなどの開始剤とを接触させ、紫外線を照射してパターン状にグラフトを形成させる試みがなされている(例えば、非特許文献3参照。)。このように、開始剤を、二重結合を有する化合物とともに基材表面に適用すると、紫外線照射時にグラフトの形成とともに、表面に固定化されていないホモポリマーが生成し、それを取り除くために水中に終夜浸漬など多大な時間と労力が必要であった。特に、二重結合を有する化合物としてモノマーではなく高分子化合物を用いた場合、それを除去するのはさらに困難になるばかりでなく、高分子に存在する二重結合の間で架橋構造が形成され、運動性に優れたグラフトポリマー構造そのものが生成されないという問題も有することになる。このため、基材に局所的にグラフトを形成する場合、パターンの解像度が低下するという問題があった。さらに、モノマーをバインダーとともに塗布する場合には、バインダーとモノマーとの所望されない反応が生起したり、反応後のバインダーの除去が困難であるという問題もあった。
エポキシ樹脂に限定されない樹脂基材表面のグラフト化技術としては、さらに、基板表面をグロー処理して活性点を発生させ、その後モノマーを接触させて光照射によりグラフト重合を行って表面グラフトを形成させる方法が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。この方法では、グロー処理に高エネルギーを要し、また、グロー処理により基材表面の平滑性が低下するという問題を有していた。
以上のように、耐熱性などに優れたエポキシ樹脂基材に対して、簡易に所望のグラフトポリマーを形成する手法が望まれているが、未だ提供されていないのが現状である。
特開昭58−196238号公報 特開平10−182851号公報 筏義人著、機能材料、第2巻,No.7,p.1,(1982年) 筏義人著、工業材料、第31巻,No.7,p.62,(1983年) 山岡ら著、"Journal of Imaging Science"第34巻、p230, (1990年)
本発明は、上記従来の技術の欠点を考慮してなされたものであり、以下の目的を達成することを課題とする。
本発明の目的は、エポキシ樹脂を主成分とする基材(以下、適宜、エポキシ樹脂基材と称する)の表面改質に有用な、均一なグラフトフトポリマーを、簡便な工程により所望の領域に生成しうる表面グラフト形成方法を適用した表面改質方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題に鑑みて鋭意検討した結果、エポキシ樹脂基材表面に何らの処理を施すことなく、重合開始剤の非存在下で二重結合を有する化合物を接触させることで、電子線のような強力な活性光線を用いることなく、UV光などによるエネルギー付与により、簡単にグラフトポリマーを生成させうることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の表面改質方法は、1分子中に2〜20個のエポキシ基を有するエポキシ化合物と、1分子中に2個以上のエポキシ基と反応する官能基を有する化合物と、の反応物からなるエポキシ樹脂を主成分とする基材表面に、分子内に二重結合を有し、かつ極性官能基を有する化合物を単体で、又は、溶媒に分散或いは溶解させた状態で接触させ、紫外線露光して、該基材表面と直接結合するグラフトポリマーを生成させることを特徴とする。
ここで用いる分子内に二重結合を有し、かつ極性官能基を有する化合物としては、側鎖及び末端の少なくとも1箇所に二重結合を有するマクロマー又はポリマーが好ましい。
なお分子内に二重結合を有し、かつ極性官能基を有するマクロマーの分子量は100〜10万であることが好ましく、分子内に二重結合を有し、かつ極性官能基を有するポリマーの分子量は500〜50万であることが好ましい。
また、二重結合を有し、かつ極性官能基を有する化合物として、ポリマーを用いる場合には、特に、1分子中に2〜20個のエポキシ基を有するエポキシ化合物と、1分子中に2個以上のエポキシ基と反応する官能基を有する化合物と、の反応物からなるエポキシ樹脂を主成分とする基材表面に、分子内に二重結合を有し、かつ極性官能基を有する高分子化合物を含有する塗布液を塗布して高分子塗布膜を形成し、紫外線露光して、該基材表面と直接結合するグラフトポリマーを生成させることが好ましい態様であるといえる。
このような二重結合を有し、かつ極性官能基を有する化合物を組成物として基材表面に接触させる場合、該組成物中には、分子内に二重結合を有し、かつ極性官能基を有する化合物及び分散媒又は溶媒以外に、重合反応に関与する化合物を含まないことが好ましく、特に、重合開始能を有する化合物を含有しないことが好ましい。
また分子内に二重結合を有し、かつ極性官能基を有する化合物を含む分散液又は溶液は、分子内に二重結合を有し、かつ極性官能基を有する化合物を1種のみ含有する態様が好ましい。
極性官能基はカルボキシル基、水酸基、アミノ基、スルホン酸基、ホスホン酸基、及び、アミド基からなる群より選択される1種以上であるのが好ましい。
1分子中に2〜20個のエポキシ基を有するエポキシ化合物と、1分子中に2個以上のエポキシ基と反応する官能基を有する化合物と、の反応物からなるエポキシ樹脂が、基材を構成する樹脂成分全質量に対して30質量%以上含有されるのが好ましい。
エポキシ基と反応する官能基はカルボキシル基、水酸基、アミノ基、及び、チオール基からなる群より選択される1種以上であるのが好ましく、基材表面と直接結合するグラフトポリマーの膜厚は0.5〜1.0g/m 2 の範囲であるのが好ましい。
本発明の作用は明確ではないが、エポキシ樹脂を主成分とする基材表面に何らの前処理を施すことなく、二重結合を有し、かつ極性官能基を有する化合物を接触させ、開始剤の非存在下で紫外線によるエネルギー付与を行うことで、二重結合を有し、かつ極性官能基を有する化合物とエポキシ樹脂基材表面との間に何らかの相互作用が生じ、エポキシ樹脂基材表面に直接結合するグラフトポリマーが生成されるが、その際、二重結合を有し、かつ極性官能基を有する化合物を接触させる際に開始能を有する化合物が共存しないため、紫外線照射領域における所望されないホモポリマーの生成が抑制され、照射後の残存モノマーは水洗により容易に除去しうるために、簡易な工程で低エネルギー付与により所望の領域に基材表面に直接結合したグラフトポリマーが生成される。このホモポリマーの副成を抑制する効果は、二重結合を有し、かつ極性官能基を有する化合物として高分子化合物を用いたときに著しく、本発明の方法はこのような態様に特に好ましいといえる。また、高分子化合物を用いる他の利点として、塗布法によりこのような化合物を基材表面に接触させる場合、容易に均一な高分子塗布膜を形成することができ、簡易な方法により、均一なグラフトポリマーを生成しうる点が挙げられる。
また、この方法では、エポキシ樹脂基材表面には、グロー処理など、活性点を生成させるための前処理を必要としないことから、基材表面の平滑性が損なわれず、平滑で均一な改質表面の形成に有用である。
本発明によれば、エポキシ樹脂を主成分とする基材の表面改質に有用な、均一なグラフトフトポリマーを、簡便な工程により生成しうる表面グラフト形成方法を適用した表面改質方法を提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の方法では、1分子中に2〜20個のエポキシ基を有するエポキシ化合物と、1分子中に2個以上のエポキシ基と反応する官能基を有する化合物と、の反応物からなるエポキシ樹脂を主成分とする基材表面に、分子内に二重結合を有し、かつ極性官能基を有する化合物を接触させ、紫外線露光することを特徴とする。
まず、本発明に用いうる1分子中に2〜20個のエポキシ基を有するエポキシ化合物と、1分子中に2個以上のエポキシ基と反応する官能基を有する化合物と、の反応物からなるエポキシ樹脂を主成分とする基材について説明する。
1分子中に2〜20個のエポキシ基を有するエポキシ化合物と、1分子中に2個以上のエポキシ基と反応する官能基を有する化合物と、の反応物からなるエポキシ樹脂を主成分とする基材〕
なお、本発明においてエポキシ樹脂を主成分とする基板とは、基板を構成する樹脂成分のうち、30質量%以上が以下に詳述するエポキシ樹脂である基板を指す。
本発明において基材を構成するエポキシ樹脂とは、(A)1分子中に2〜20個のエポキシ基を有するエポキシ化合物と(B)1分子中に2個以上のエポキシ基と反応する官能基を有する化合物との反応物である。(B)における官能基としてはカルボキシル基,水酸基,アミノ基,チオール基などの官能基から選ばれる。
(A)1分子中に2〜20個のエポキシ基を有するエポキシ化合物(エポキシ樹脂と称されるものを含む)におけるエポキシ基は、オキシラン環構造を有する構造であればよく、例えば、グリシジル基、オキシエチレン基、エポキシシクロヘキシル基等を示すことができる。このような多価エポキシ化合物は、例えば、新保正樹編「エポキシ樹脂ハンドブック」日刊工業新聞社刊(昭和62年)等に広く開示されており、これらを用いることが可能である。
具体的には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ジフェニルエーテル型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、3官能型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールA含核ポリオール型エポキシ樹脂、ポリプロピレングリコール型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリオキザール型エポキシ樹脂、脂環型エポキシ樹脂、複素環型エポキシ樹脂などを挙げることができる。
本発明に適用される特に好ましいエポキシ樹脂基板の一つとして、プリント電気配線分野で使用されるエポキシ樹脂基板が挙げられる。具体的には、例えば、特開2001−181375号公報記載の(A)1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂、(B)フェノール系硬化剤、(C)ビスフェノールS骨格を有し、重量平均分子量が5,000乃至100,000であるフェノキシ樹脂、及び(D)硬化促進剤を必須成分とするエポキシ樹脂組成物や、特開2002−179887号公報記載の、(A)フェノキシホスファゼン化合物又は縮合型リン酸エステル化合物、(B)リン含有ポリエポキシド化合物、(C)窒素含有エポキシ樹脂用硬化剤、及び(D)無機充填剤を必須成分とすることを特徴とするハロゲンフリーの難燃性エポキシ樹脂組成物などを挙げることができる。
その他、特開平8−212832号、特開平10−1596号の各公報に記載の感光性を付与されたエポキシ基板、特開2002−171074号、特開2002−179887号、特開2001−49125号、及び、特開2000−198907号などの各公報に記載の難燃性エポキシ基板も本発明に適用することができる。
本発明におけるエポキシ樹脂を主成分とする基材としては、エポキシ樹脂の機械強度,耐熱性,耐候性,難燃性,耐水性,電気特性などの特性を強化するために、エポキシ樹脂を30質量%以上含み、さらに他の樹脂成分や強度向上のための補強材を含むコンポジット(複合素材)も使用することができる。複合化するのに使用される材料としては、紙、ガラス繊維、シリカ粒子などの補強材、充填材や、フェノール樹脂,ポリイミド樹脂,ビスマレイミドトリアジン樹脂,フッ素樹脂,ポリフェニレンオキサイド樹脂などの樹脂成分を挙げることができる。
このような他の成分を添加する場合は、エポキシ樹脂に対して1〜200質量%の範囲、好ましくは10〜80質量%の範囲で添加される。添加成分がエポキシ樹脂に対して1質量%未満であると添加の効果が十分に得られず、他の成分を200質量%を超えて添加すると、エポキシ樹脂の強度などの特性が低下する懸念があり、さらにまたグラフトポリマーの形成反応が進行し難くなり、いずれも好ましくない。
本発明におけるエポキシ樹脂基材は、これらのエポキシ樹脂を主成分とする組成物を板状に成形して得られる。基材の厚みには特に制限はなく、目的に応じて適宜選択されるが、一般的には、1μm〜100mmの範囲のものが用いられる。
本発明に用いられるエポキシ樹脂基材は、基材に用いられる樹脂の特性により、一般的な樹脂基材を用いる場合しばしば行われる電子線照射、プラズマ照射、グロー処理などの高エネルギー付与による表面活性化処理を行うことなく、二重結合化合物を接触させ、紫外線照射するのみで簡易に表面グラフトが形成されることを特徴とするが、得られる表面グラフト材料の特性を考慮すればエポキシ樹脂基材表面は平滑であることが好ましく、この観点からは、本発明におけるエポキシ樹脂基材は何らの表面処理、前処理を行うことなく使用されることが好ましい。具体的には、例えば、表面粗さとして、JIS B0601(1994年)に規定される表面粗さRzが3μm以下のものが好ましく用いられる。
〔表面グラフト形成方法〕
本発明の表面グラフト形成方法は、エポキシ樹脂基材表面に、二重結合を有し、かつ極性官能基を有する化合物(以下、適宜、二重結合化合物と称する)を接触させ、紫外線照射によりエネルギーを付与して、該基材表面と直接結合するグラフトポリマーを生成させることを特徴とする。本発明における二重結合とは、重合可能なエチレン不飽和二重結合を指し、このような構造を有する化合物を以下、適宜、重合性基を有する化合物(重合性化合物)とも称する。次に、ここで用いる二重結合を有する化合物について説明する。
〔二重結合化合物〕
使用する二重結合化合物としては、重合性基及び極性官能基を有するモノマー、マクロマー、あるいは二重結合を有する高分子化合物のいずれも用いることができる。これらの化合物は公知のものを任意に使用することができる。即ち、本発明において使用される化合物は重合性基を有し、かつ極性官能基を有する化合物である。この極性官能基により、形成されたグラフトポリマーに、親水性或いは機能性材料との相互作用性などの特性を付与し、その表面を改質することができる。極性官能基としては、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、スルホン酸基、ホスホン酸基、アミド基、などの親水性基をあげることができる。
本発明に用いうる二重結合を有するモノマーとしては、具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、イタコン酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、スチレンスルホン酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、2−スルホエチル(メタ)アクリレート若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、アシッドホスホオキシポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、ポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−モノメチロール(メタ)アクリルアミド、N−ジメチロール(メタ)アクリルアミド、アリルアミン若しくはそのハロゲン化水素酸塩、、N−ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、ビニルピリジン、ビニルチオフェン、スチレン、エチル(メタ)アクリル酸エステル、n-ブチル(メタ)アクリル酸エステルなど炭素数1〜24までのアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルなどを挙げることができる。
本発明においては、二重結合化合物として、モノマーのみならず、マクロマー、ポリマーも好ましく使用することができる。本発明に用いうる二重結合を有するマクロマーは、前記モノマーを用いて公知の方法にて作製することができる。本態様に用いられるマクロモノマーの製造方法は、例えば、平成1年9月20日にアイピーシー出版局発行の「マクロモノマーの化学と工業」(編集者 山下雄也)の第2章「マクロモノマーの合成」に各種の製法が提案されている。これらのマクロモノマーのうち有用な重量平均分子量は100〜10万の範囲で、特に好ましい範囲は400〜3万である。
本発明に用いうる二重結合を有する高分子化合物とは、重合性基として、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリル基などのエチレン付加重合性不飽和基(重合性基)を導入したポリマーを指し、このポリマーは、少なくとも末端又は側鎖に重合性基を有するものであり、側鎖に重合性基を有するものがより好ましい。
二重結合を有する高分子化合物は重合性基のほかに、前記したようにカルボキシル基などの、極性基、或いは、表面に導入しようとする機能性材料と相互作用性可能な官能基を有する。
重合性基を有する高分子化合物の有用な重量平均分子量は500〜50万の範囲で、特に好ましい範囲は1000〜5万の範囲である。
二重結合化合物として、末端のみならず、側鎖に複数の重合性基を有するマクロマー、ポリマーを用いることで、グラフト生成密度が向上し、均一で高密度のグラフトが生成される。このため、このような表面グラフト材料に機能性材料を導入する際にも、機能性材料の吸着密度が向上し、優れた機能性表面を得ることができる。マクロマーやポリマーを二重結合化合物として用いる場合には、重合性基が高密度に存在することから、重合開始剤を共存させたり、高エネルギーの電子線を用いる公知の方法を用いてグラフト生成すると、先に述べたホモポリマーの生成が著しく、また、形成されたホモポリマーの除去性もより低下することから、このような二重結合化合物を用いた場合に、本発明の効果が著しいことがわかる。
また、製造方法の観点からは、ポリマーを用いて塗布法により二重結合化合物を基材表面に接触させる場合には、均一な厚みの高分子塗布膜が容易に形成され、モノマー塗布の場合に必要とする塗布液保護用カバーが不要となり、二重結合化合物を任意の厚みで均一に接触させることが可能となるため、形成されるグラフトポリマーの均一性が向上し、製造適性に優れるという利点をも有するものである。このような理由から、大面積、或いは大量の製造においては、二重結合を有するポリマー(高分子化合物)を用いることが製造適性上特に有用である。
このような重合性基と極性官能基(以下、適宜、相互作用性基と称する)とを有する高分子化合物の合成方法としては、i)相互作用性基を有するモノマーと重合性基を有するモノマーとを共重合する方法、ii)相互作用性基を有するモノマーと二重結合前駆体を有するモノマーとを共重合させ、次に塩基などの処理により二重結合を導入する方法、iii)相互作用性基を有するポリマーと重合性基を有するモノマーとを反応させ、二重結合を導入(重合性基を導入する)方法が挙げられる。
好ましい合成方法は、合成適性の観点から、ii)相互作用性基を有するモノマーと二重結合前駆体を有するモノマーとを共重合させ、次に塩基などの処理により二重結合を導入する方法、iii)相互作用性基を有するポリマーと重合性基を有するモノマーとを反応させ、重合性基を導入する方法である。
なお、本発明のグラフトポリマー生成に用いうる相互作用性基を有するモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、イタコン酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、より具体的には、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−モノメチロール(メタ)アクリルアミド、N−ジメチロール(メタ)アクリルアミド、アリルアミン若しくはそのハロゲン化水素酸塩、3−ビニルプロピオン酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、ビニルスルホン酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、2−スルホエチル(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アシッドホスホオキシポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリドン(下記構造)、スチレンスルホン酸ナトリウム、ビニル安息香酸等が挙げられ、一般的には、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、アミノ基若しくはそれらの塩、水酸基、アミド基、ホスフィン基、イミダゾール基、ピリジン基、若しくはそれらの塩、及びエーテル基などの官能基を有するモノマーが使用できる。
Figure 0004359544
上記相互作用性基を有するモノマーと共重合する重合性基を有するモノマーとしては、アリル(メタ)アクリレート、2−アリルオキシエチルメタクリレートが挙げられる。
また、二重結合前駆体を有するモノマーとしては2−(3−クロロ−1−オキソプロポキシ)エチルメタクリレー卜や、特開2003−335814号公報に記載の化合物(i−1〜i−60)が使用することができ、これらの中でも、特に下記化合物(i−1)が好ましい。
Figure 0004359544
更に、相互作用性基を有するポリマー中の、カルボキシル基、アミノ基若しくはそれらの塩、水酸基、及びエポキシ基などの官能基との反応を利用して、不飽和基を導入するために用いられる重合性基を有するモノマーとしては、(メタ)アクリル酸、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、2−イソシアナトエチル(メタ)アクリレートなどがある。
iii)相互作用性基を有するモノマーと二重結合前駆体を有するモノマーとを共重合させた後の、塩基などの処理により二重結合を導入する方法については、例えば、特開2003−335814号公報に記載の手法を用いることができる。
〔表面グラフト重合〕
本発明の表面グラフト形成方法において、エポキシ樹脂基材表面に生成されるグラフトポリマ−(表面グラフトポリマー)は、一般的に表面グラフト重合と呼ばれる手段を用いて作製される。
グラフト重合とは高分子化合物鎖上に活性種を与え、これによって重合を開始する別の単量体を更に重合させ、グラフト(接ぎ木)重合体を合成する方法で、特に活性種を与える高分子化合物が固体表面を形成する時には表面グラフト重合と呼ばれる。
本発明では、上記で説明したエポキシ樹脂基材表面に、二重結合化合物を接触させ、紫外線を照射することで、該基材上に活性点を発生させ、この活性点と該化合物の重合性基と基材とが反応し、表面グラフト重合反応が引き起こされる。
エポキシ樹脂基材表面に、二重結合を有する化合物を接触させる方法としては、基材を、該二重結合化合物を含有する液状の組成物中に浸漬することで行ってもよいが、取り扱い性や製造効率の観点からは、該二重結合化合物をそのまま塗布するか、或いは、それを主成分として含有する組成物を塗布して、基材表面に二重結合化合物を含有する層を形成することにより行うことが好ましい。
この接触に際しては、ホモポリマーの所望されない生成を抑制する観点から、重合開始能を有する化合物の非存在下で行われることが好ましい。即ち、接触が二重結合化合物単体で行われる場合には、当然他の化合物が共存しないことになるが、二重結合化合物を溶剤に溶解するか、分散媒中に分散させて接触させる場合、その二重結合化合物含有組成物中には、重合開始剤などの重合反応に関与しうる他の化合物を含まないことを要する。従って、浸漬法及び塗布法のいずれであっても、用いられる二重結合化合物含有組成物は、好ましくは、主成分として二重結合化合物及び溶媒又は分散媒のみからなる組成物であり、他の化合物を含む場合であっても、所望により塗布性や面状性などの液体組成物物性の向上を目的とした界面活性剤などに限ることが好ましい。塗布法を用いる場合でも、塗布後、乾燥により溶剤を除去した後露光を行うことが好ましい。
二重結合化合物含有組成物に使用する溶剤は、主成分である重合性基や相互作用性基を有する化合物、親水性モノマーなどを溶解或いは分散することが可能であれば特に制限はないが、水、水溶性溶剤などの水性溶剤が好ましく、これらの混合物や、溶剤に更に界面活性剤を添加してもよい。
使用できる溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールモノメチルエーテルの如きアルコール系溶剤、酢酸の如き酸、アセトン、シクロヘキサノンの如きケトン系溶剤、ホルムアミド、ジメチルアセトアミドの如きアミド系溶剤、などが挙げられる。
必要に応じて溶剤に添加することのできる界面活性剤は、溶剤に溶解するものであればよく、そのような界面活性剤としては、例えば、n−ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの如きアニオン性界面活性剤や、n−ドデシルトリメチルアンモニウムクロライドの如きカチオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル(市販品としては、例えば、エマルゲン910、花王(株)製など)、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(市販品としては、例えば、商品名「ツイーン20」など)、ポリオキシエチレンラウリルエーテルの如き非イオン性界面活性剤等が挙げられる。
基材表面に組成物を液状のまま接触させてグラフトポリマー生成を行う場合には、任意に行うことができるが、塗布法により基材表面に組成物を適用する場合の塗布量としては、充分な塗布膜を得る観点からは、固形分換算で0.1〜10g/m2が好ましく、特に0.5〜5g/m2が好ましい。
形成されるグラフト膜は、膜厚が0.1〜2.0g/m2の範囲にあることが好ましく、0.3〜1.0g/m2 がさらに好ましく、最も好ましくは、0.5〜1.0g/m2の範囲である。
表面グラフトはエポキシ樹脂基材の片面のみに形成されても、両面に形成されてもよい。本発明においては、エポキシ樹脂基材表面に特段の前処理を施すことなく表面グラフトを形成しうるため、両面へのグラフト形成も容易に実施できる。両面にグラフトを形成しようとする場合、基材の両面に対して同時に表面グラフト重合を行ってもよいし、先ず、一方の面に対して表面グラフト重合を行った後に、他方の面に対して表面グラフト重合を行ってもよい。
〔紫外線照射〕
エポキシ樹脂基材表面に活性点を発生させ、グラフトを生成させるためのエネルギー付与方法としては、紫外線の照射を用いることができる。例えば、UVランプ、ブラックライトなどによる光照射が可能である。
光源としては、例えば、水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、カーボンアーク灯、等がある。また、g線、i線、Deep−UV光も使用される。
エネルギー付与に要する時間としては、目的とするグラフトポリマーの生成量及び光源により異なるが、通常、10秒〜5時間の間である。
なかでも、紫外光、深紫外光などが好ましい。
ここで全面露光を行うことにより、前記基材表面の全面にわたり表面グラフトが形成される。
以上にようにして、エポキシ樹脂基材表面にグラフトポリマーを生成させることができる。
本発明の表面グラフト形成方法により得られる表面グラフト材料は、エポキシ樹脂基材と、該基材表面に直接結合したグラフトポリマーと、を有してなる。
本発明に係る表面グラフト材料は、耐熱性、機械的特性などに優れたエポキシ樹脂基材表面が、表面グラフトにより改質されているため、表面グラフトされた基材表面にグラフトポリマーが有する極性基と相互作用する材料(例えば、導電性素材、機能性微粒子、色素、顔料、等)を付着等させることにより、種々の機能を発揮する材料を作製することができる。また、その製造方法に起因して、除去困難なホモポリマーの副成がない。
本発明の表面改質方法により得られた表面グラフト材料は、その基材表面に機能性材料を受容しうる極性官能基を有する均一な表面グラフトポリマー鎖形成され、除去困難なホモポリマーの副成も抑制されているため、種々の機能性材料を基材表面に強固に固定化することができ、例えば、その表面親水性を生かした防曇性樹脂、霜、氷などが付着しにくい建築材料等に有用な樹脂、色素を吸着させた染色(着色)樹脂、印刷版用の親水性基板などに適用することができ、その応用範囲は広く、目的に応じた種々の設定が可能である。
以下、実施例により、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔エポキシ樹脂基板Aの作製〕
重量平均分子量50000のビスフェノールA型高分子エポキシ樹脂〔エピコート1256(油化シェル社製商品名、エポキシ当量7900、樹脂固形分40重量%)〕75部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂〔エピコート1001(油化シェル社製商品名、エポキシ当量475)〕28部、ノボラック型フェノール樹脂〔BRG−558(昭和高分子社製商品名、水酸基当量106)〕6.3部に、メチルセロソルブを加えて樹脂固形分50重量%のエポキシ樹脂ワニスを調製した。このワニスを厚さ100μmのSUS基板の片面に連続的に塗布し、150℃の温度で5分間乾燥することにより、SUS基板上に厚さ50μmのエポキシ樹脂層を有するエポキシ樹脂基板Aを得た。
〔エポキシ樹脂基板Bの作製〕
(A)成分としてビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量185、油化シェルエポキシ(株)製エピコート828)20重量部(以下、配合量は全て重量部で表す)、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ当量215、大日本インキ化学工業(株)製エピクロンN−673)45部、(B)成分としてフェノールノボラック樹脂(フェノール性水酸基当量105、大日本インキ化学工業(株)製フェノライト)30部をエチルジグリコールアセテート20部、ソルベントナフサ20部に攪拌しながら加熱溶解させ室温まで冷却した後、そこへ(C)成分としてエピコート828とビスフェノールSからなるフェノキシ樹脂のシクロヘキサノンワニス(油化シェルエポキシ(株)製YL6747H30、不揮発分30重量%、重量平均分子量47000)30部と(D)成分として2−フェニル−4、5−ビス(ヒドロキシメチル)イミダゾール粉砕品0.8部、さらに微粉砕シリカ2部、シリコン系消泡剤〔東レダウコーニング(株)製M501(商品名)〕0.5部を添加しエポキシ樹脂ワニスを作製した。このワニスを厚さ100μmのSUS基板の片面に連続的に塗布し,150℃の温度で5分間乾燥することにより厚さ50μmのエポキシ樹脂基板Bを得た。
〔エポキシ樹脂基板Cの作製〕
ビスフェノールA型エポキシ樹脂〔エピコート1001(油化シェル社製商品名、エポキシ当量456、樹脂固形分70重量%)〕651部、クレゾールノボラックエポキシ樹脂〔YDCN−704P(東都化成社製商品名、エポキシ当量210、樹脂固形分70重量%)〕300部、ビスフェノールA型ノボラック樹脂(大日本インキ化学社製商品名、水酸基価118、樹脂固形分70重量%)337部、フェノキシホスファゼンオリゴマー(大塚化学社製、融点100℃)280部および2−エチル−4−メチルイミダゾール0.7部からなる混合物に溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM)を加えて樹脂固形分65重量%のエポキシ樹脂ワニスを調製した。このワニスを厚さ100μmのSUS基板の片面に連続的に塗布し,150℃の温度で5分間乾燥することにより厚さ50μmのエポキシ樹脂基板Cを得た。
(実施例1)
〔エポキシ樹脂基板表面のグラフト生成〕
アクリル酸の水溶液10wt%の溶液中に、前記のようにして得られたエポキシ樹脂基板Aを浸漬し,1500W高圧水銀灯(UVX−02516S1LP01 ,ウシオ電気(株)製,254nmにおける光強度38mW/cm2)を使用し、5分間全面に照射した。その後,基板を取り出し,蒸留水で10分間超音波洗浄した。その後,5wt%重曹水に5分間浸漬した後、水洗し、実施例1の表面グラフト材料を得た。
〔表面グラフト材料の評価〕
表面の同定:
得られた表面グラフト材料をFT−IR(堀場製作所 型式FT−700)で測定したところ,グラフト化処理により新たに1550cm-1にカルボキシレートに起因される吸収が見られ、カルボキシ基を有するグラフトの存在が確認された。
表面の染色評価:
得られた表面グラフト材料を、0.1wt%のメチレンブルーの水溶液に1分間浸漬し、染料の染着により極性基を有するグラフトの存在を確認した。染色した面積10cm角の大きさの面内で反射濃度を4点測定したところ,1.5,1.5,1.8,1.6であり、均一なグラフトポリマーが形成されていることが分かった。なお、グラフトを形成していないエポキシ樹脂基板表面に同様の処理を行い反射濃度を測定したところ、0.1であった。このような反射濃度のばらつきは、0.3以下であれば、実用上十分な均一性を達成しているといえる。
(比較例1)
実施例1においてグラフト生成に用いたアクリル酸の溶液に0.5wt%のベンゾフェノン(重合開始剤)を加えた以外は実施例1と同様の方法でグラフト生成を行い、比較例1の表面グラフト材料を得た。反応溶液は粘性が高く、余分なホモポリマーを除去するために2日間水中に浸漬したのち,超音波で1時間洗浄する必要があった。
また、実施例1と同様に染色評価を行ったところ、染色後の反射濃度を5点測定した結果、3.0、1.5、0.8、1.0、2.0であり、染色濃度にムラが見られた。
(実施例2)
〔二重結合を有する高分子化合物の塗布〕
前記のようにして得られたエポキシ基板樹脂B表面に2重結合性化合物としてアクリル基とカルボキシル基とを有する、側鎖に重合性基を持つ親水性ポリマー(P−1、下記合成例により得る)を含む水溶液をロッドバー#6で塗布し、100度1分乾燥することで2μm厚のグラフトポリマー前駆体層を設けた。
重合性基を有する化合物(グラフト前駆体ポリマーの塗布)
<塗布液組成物1>
・側鎖に重合性基を持つ親水性ポリマー(P−1) 3.1g
・水 24.6g
・1−メトキシ−2−プロパノール 12.3g
(側鎖に重合性基を有する親水性ポリマー(P−1)の合成)
ポリアクリル酸(平均分子量25、000)18gを、ジメチルアセトアミド(DMAC)300gに溶解し、そこに、ハイドロキノン0.41gと、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート19.4gと、ジブチルチンジラウレート0.25gと、を添加し、65℃、4時間反応させた。得られたポリマーの酸価は7.02meq/gであった。その後、1mol/l(1N)の水酸化ナトリウム水溶液でカルボキシル基を中和し、酢酸エチルを加えポリマーを沈殿させ、よく洗浄して、側鎖に重合性基を持つ親水性ポリマー18.4g(P−1)を得た。
〔露光によるグラフトポリマーの生成〕
このようにして得られた基板に以下の条件で全面にエネルギーを付与し、エポキシ基板に直接結合するグラフトポリマーを有する実施例2の表面グラフト材料を得た。
エネルギー付与は、アルゴン雰囲気下で、1500W高圧水銀灯(UVX−02516S1LP01 ,ウシオ電気(株)製,254nmにおける光強度38mW/cm2)を使用し、5分間全面に照射することにより実施した。光照射後、支持体をイオン交換水でよく洗浄した。その後,5wt%重曹水に5分間浸漬した後,水洗した。
〔表面グラフト材料の評価〕
表面の同定:FT−IR(堀場製作所 型式FT−700)で測定したところ,グラフト化処理により新たに1550cm−1にカルボキシレートに起因される吸収が見られた。
また、実施例1と同様に染色評価を行ったところ、反射濃度2.0で染色された。その他の部分の反射濃度を4点測定したところ、いずれも2.0±0.1の範囲内であり、均一に染色されていることが確認された。
〔実施例3〕
前記エポキシ樹脂基板Cに、下記塗布液組成物2をロッドバー#18を用いて塗布して露光あい、実施例2と同様の条件で表面グラフト化を行った。
基材上に形成されたグラフトポリマー層の膜厚は0.8μmだった。
<塗布液組成物2>
・重合性基含有ポリマー(合成方法は下記に示す) 0.25g
・シクロヘキサノン 8.0g
〔上記重合性基含有ポリマーの合成方法〕
500mlの三口フラスコに、2−ヒドロキシエチルメタクリレート58.6gを入れ、アセトン250mlを加え、撹拌した。ピリジン39.2g、p−メトキシフェノール0.1gを添加した後に、氷水を入れた氷浴にて冷却した。混合液温度が5℃以下になった後に、2−ブロモイソブタン酸ブロミド114.9gを滴下ロートにて3時間かけて滴下した。滴下終了後、氷浴を外してさらに3時間撹拌した。反応混合液を水750mlに投入し、1時間撹拌した。水混合液を、分液ロートを用いて、酢酸エチル500mlで3回抽出した。有機層を1M塩酸500ml、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液500ml、飽和食塩水500mlで順次洗浄した。有機層に硫酸マグネシウム100gを入れ、脱水乾燥した後、濾過した。溶媒を減圧留去し、モノマーAを120.3g得た。
次に、1000ml三口フラスコにN,N−ジメチルアセトアミド40gを入れ、窒素気流下、70℃まで加熱した。モノマーA12.58g、メタクリル酸27.52g、V−601(和光純薬製)0.921gのN,N−ジメチルアセトアミド40g溶液を、2.5時間かけて滴下した。滴下終了後、90℃まで加熱し、更に2時間撹拌した。室温まで、反応溶液を冷却した後、水3.5Lに投入し、高分子化合物を析出させた。析出した高分子化合物を濾取、水で洗浄、乾燥し高分子化合物を30.5g得た。得られた高分子化合物をポリスチレンを標準物質としたゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)により、重量平均分子量を測定した結果、124,000であった。
200ml三口フラスコに得られた高分子化合物26.0g、p−メトキシフェノール0.1gを入れ、N,N−ジメチルアセトアミド60g、アセトン60gに溶解し、氷水を入れた氷浴にて冷却した。混合液温度が5℃以下になった後に、1、8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−7−ウンデセン(DBU)60.4gを滴下ロート用いて、1時間かけて滴下した。滴下終了後、氷浴を外してさらに8時間撹拌した。反応液を濃塩酸17mlを溶解させた水2Lに投入し重合性基含有ポリマーを析出させた。析出した重合性基含有ポリマーを濾取、水で洗浄、乾燥し15.6g得た。
〔表面グラフト材料の評価〕
表面の同定:FT−IR(堀場製作所 型式FT−700)で測定したところ,グラフト化処理により新たに1550cm-1にカルボキシレートに起因される吸収が見られた。
また、実施例1と同様に染色評価を行ったところ、反射濃度2.1で染色された。その他の部分の反射濃度を3点測定したところ、いずれも2.1±0.1の範囲内であり、均一に染色されていることが確認された。
前記実施例1〜3及び比較例1の結果より、エポキシ樹脂基材表面に何らの表面処理を施すことなく、重合開始剤の非存在下において二重結合化合物又はそれを含有する組成物を接触させ、紫外線露光する本発明の形成方法により得られた表面グラフト材料は、エポキシ樹脂基材表面に直接結合されたグラフトポリマー鎖が、簡易な方法により均一に生成されており、エポキシ樹脂基材表面に所望の機能性を均一に付与しうることがわかる。一方、グラフト生成にあたり、重合開始剤を共存させると、所望されないホモポリマーの副成が起こり、グラフトの均一性に悪影響を及ぼすことがわかる。
また、実施例1と、実施例2、3との対比において、二重結合化合物として、側鎖に二重結合を有するものを用いた場合、染色濃度が高く、より高密度で、且つ、均一性に優れたグラフトポリマーが形成されていることがわかる。

Claims (10)

  1. 1分子中に2〜20個のエポキシ基を有するエポキシ化合物と、1分子中に2個以上のエポキシ基と反応する官能基を有する化合物と、の反応物からなるエポキシ樹脂を主成分とする基材表面に、分子内に二重結合を有し、かつ極性官能基を有する化合物を単体で、又は、溶媒に分散或いは溶解させた状態で接触させ、紫外線露光して、該基材表面と直接結合するグラフトポリマーを生成させることを特徴とする表面改質方法。
  2. 前記分子内に二重結合を有し、かつ極性官能基を有する化合物が、側鎖及び末端の少なくとも1箇所に二重結合を有するマクロマー又はポリマーであることを特徴とする請求項1記載の表面改質方法。
  3. 前記分子内に二重結合を有し、かつ極性官能基を有するマクロマーの分子量が100〜10万であり、且つ、前記分子内に二重結合を有し、かつ極性官能基を有するポリマーの分子量が500〜50万であることを特徴とする請求項2記載の表面改質方法。
  4. 1分子中に2〜20個のエポキシ基を有するエポキシ化合物と、1分子中に2個以上のエポキシ基と反応する官能基を有する化合物と、の反応物からなるエポキシ樹脂を主成分とする基材表面に、側鎖及び末端の少なくとも1箇所に二重結合を有し、かつ極性官能基を有する高分子化合物を含む塗布液を塗布して高分子塗布膜を形成し、紫外線露光して、該基材表面と直接結合するグラフトポリマーを生成させることを特徴とする表面改質方法。
  5. 前記分子内に二重結合を有し、かつ極性官能基を有する化合物を含む分散液又は溶液に、重合開始能を有する化合物を含有しないことを特徴とする請求項1又は請求項4に記載の表面改質方法。
  6. 前記分子内に二重結合を有し、かつ極性官能基を有する化合物を含む分散液又は溶液が、分子内に二重結合を有し、かつ極性官能基を有する化合物を1種のみ含有することを特徴とする請求項1又は請求項4に記載の表面改質形成方法。
  7. 前記極性官能基が、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、スルホン酸基、ホスホン酸基、及び、アミド基からなる群より選択される1種以上である請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の表面改質方法。
  8. 前記1分子中に2〜20個のエポキシ基を有するエポキシ化合物と、1分子中に2個以上のエポキシ基と反応する官能基を有する化合物と、の反応物からなるエポキシ樹脂を主成分とする基材を構成する樹脂成分全質量に対して、前記1分子中に2〜20個のエポキシ基を有するエポキシ化合物と、1分子中に2個以上のエポキシ基と反応する官能基を有する化合物と、の反応物からなるエポキシ樹脂が30質量%以上含有されることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の表面改質方法。
  9. 前記1分子中に2個以上のエポキシ基と反応する官能基を有する化合物におけるエポキシ基と反応する官能基が、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、及び、チオール基からなる群より選択される1種以上である請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の表面改質方法。
  10. 前記1分子中に2〜20個のエポキシ基を有するエポキシ化合物と、1分子中に2個以上のエポキシ基と反応する官能基を有する化合物と、の反応物からなるエポキシ樹脂を主成分とする基材表面と直接結合するグラフトポリマーの膜厚が0.5〜1.0g/m 2 の範囲であることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の表面改質方法。
JP2004242989A 2004-08-23 2004-08-23 表面改質方法 Expired - Fee Related JP4359544B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004242989A JP4359544B2 (ja) 2004-08-23 2004-08-23 表面改質方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004242989A JP4359544B2 (ja) 2004-08-23 2004-08-23 表面改質方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006057060A JP2006057060A (ja) 2006-03-02
JP4359544B2 true JP4359544B2 (ja) 2009-11-04

Family

ID=36104798

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004242989A Expired - Fee Related JP4359544B2 (ja) 2004-08-23 2004-08-23 表面改質方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4359544B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20150033697A (ko) * 2012-06-29 2015-04-01 폴리머스 씨알씨 리미티드 중합체성 표면의 개질 방법
CN113388144B (zh) * 2020-03-13 2022-05-27 北京化工大学 一种聚合物紫外光致表面胺基化的方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2006057060A (ja) 2006-03-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5448524B2 (ja) めっき用積層フィルム、表面金属膜材料の作製方法及び表面金属膜材料
US7291427B2 (en) Surface graft material, conductive pattern material, and production method thereof
JP4528634B2 (ja) 金属膜の形成方法
JP5101026B2 (ja) 導電膜形成方法、導電性パターン形成方法、及び多層配線板の製造方法
EP0738927B1 (en) Photosensitive resin composition and photosensitive element using the same
JP3866579B2 (ja) 薄層金属膜
WO2008050715A1 (en) Metal-film-coated material and process for producing the same, metallic-pattern-bearing material and process for producing the same, composition for polymer layer formation, nitrile polymer and method of synthesizing the same, composition containing nitrile polymer, and layered product
WO2008050631A1 (fr) Procédé de production d'un substrat revêtu d'un film métallique, substrat revêtu d'un film métallique, procédé de production d'un matériau à motif métallique, et matériau à motif métallique
JP2007270216A (ja) 金属膜形成方法、それを用いた金属膜、金属膜形成用基板、金属パターン形成方法、及びそれを用いた金属パターン、金属パターン形成用基板、ポリマー前駆体層形成用塗布液組成物
JP4420776B2 (ja) グラフトポリマーパターン形成方法、グラフトポリマーパターン材料、導電性パターン材料の製造方法、及び導電性パターン材料
JP2008248181A (ja) 親水性グラフトポリマーを有する多孔質フィルム及びその使用方法並びにその製造方法
JP2006057059A (ja) 表面導電性材料の製造方法
JP2009066986A (ja) 表面機能性材料及びその製造方法
JP4348256B2 (ja) 導電性パターン材料の製造方法
JP4359544B2 (ja) 表面改質方法
JP4795100B2 (ja) 金属膜形成方法、金属膜形成用基板、金属膜、金属パターン形成方法、金属パターン形成用基板、金属パターン、及びポリマー層形成用組成物
JP2006066180A (ja) 導電膜の製造方法及び導電膜
JP2008192850A (ja) 金属パターン材料の製造方法
JP2007262542A (ja) 金属膜形成方法、金属膜形成用基板、金属膜積層体、金属パターン形成方法、金属パターン形成用基板、金属パターン材料、及び、ポリマー前駆体層形成用塗布液組成物
JP4505284B2 (ja) 多層配線板の製造方法
JP2008251711A (ja) 導電パターン材料の作製方法、及び導電パターン材料
JP4579048B2 (ja) 金属膜形成方法、それを用いた金属パターン形成方法及び金属膜
JP2006270085A (ja) 導電膜の形成方法、及び導電パターン形成方法
JP4414858B2 (ja) 金属パターン形成方法及び導電膜形成方法
JP2008083200A (ja) グラフトポリマーパターン形成方法、導電性パターン形成方法及び有機el表示装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070209

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20070209

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20081117

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090120

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090323

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090512

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090710

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090804

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090810

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120814

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4359544

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120814

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130814

Year of fee payment: 4

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees