本発明の第1の実施の形態に係る記録テープカートリッジ10について、図1乃至図7に基づいて説明する。なお、説明の便宜上、記録テープカートリッジ10のドライブ装置への装填方向(図1等に適宜示される矢印A方向)を前方向とし、矢印A方向を向いて見た場合を基準に前後左右の表現をする。
図1には記録テープカートリッジ10が上方から見た分解斜視図にて示されており、図2には記録テープカートリッジ10を下方から見た該略の分解斜視図が示されている。これらの図に示される如く、記録テープカートリッジ10は、平面視で略矩形状のケース12内に、情報記録再生媒体である記録テープとしての磁気テープTを巻装した単一のリール16が回転可能に収容されて構成されている。磁気テープTの自由端(先端)には、後に詳述するリーダ部材としてのリーダブロック18が接続されている。
ケース12は、上ケース20と下ケース22とが接合されて成る略矩形箱状に形成されている。具体的には、天板20Aと周壁20Bとを有する上ケース20と、底板22Aと周壁22Bとを有する下ケース22とが、周壁20Bの開口端と周壁22Bの開口端とを突き当てて接合されて、中空のケース12が構成されている。
この接合は、周壁20Bと周壁22Bとの溶着でも良く、ビス止めでも良い。なお、以下の説明では、矢印A方向を向く周壁20B、22Bで構成されるケース12の周壁を前壁12Aとし、前壁12Aの右側に位置し矢印A方向に沿うケース12の周壁を右側壁12Bとする。
また、上ケース20及び下ケース22の各周壁20B、22Bの内側には、それぞれ互いに同軸同径である複数の円弧状の遊動規制壁24が立設されており、上下の遊動規制壁24が互いに突き当てられてリール16の収容空間を形成している。
図4にも示される如く、ケース12前部における右端近傍には、磁気テープTをケース12の外部に引き出すための開口26が矢印A方向を向けて設けられている。具体的には、ケース12の右前角隅部は、前方及び右方を向くように略矩形状に切り欠かれた切欠き部14とされており、該切欠き部14の角部に開口26が設けられている。
開口26の縁部は、前壁12Aの切欠き端(右端)から全高に亘り後方に向けて短く延設された開口第1壁28と、右側壁12Bの切欠き端(前端)から全高に亘り左方に向けて延設された開口第2壁30と、天板20Aと、底板22Aとで規定されている。開口第2壁30は、開口第1壁28の後端よりも後側に配置されている。そして、この開口26の奥側(ケース12内側)には、リーダブロック18をケース12に保持するためのリーダブロック保持部32が形成されている。
リーダブロック保持部32は、保持壁34を備えている。保持壁34は、右側壁12Bにおける開口第2壁30の後側から全高に亘り左方に向けて延設された横壁34Aと、横壁34Aの左端部から全高に亘り前方に向けて延設された右端規定壁34Bとで構成されている。右端規定壁34Bの左向きの面は、その左右方向の位置が開口第2壁30の左端面の左右方向における位置と一致している。
また、リーダブロック保持部32は、保持リブ36を備えている。保持リブ36は、横壁34Aの左端部から左方に向けて延設された後端規定リブ36Aと、後端規定リブ36Aの左端部から前方に向けて延設された左端規定リブ36Bとで構成されている。保持リブ36は、天板20A及び底板22Aにそれぞれ互いに対向して設けられており、該対向間隔は、リーダブロック18の高さよりも小でかつ磁気テープTの幅よりも大とされている。すなわち、磁気テープTが上下の保持リブ36間を通過可能とされている。また、上下の保持リブ36の高さは、後述する係止ピン98のフランジ98Bの高さよりも大とされている。
互いに平行な保持壁34の右端規定壁34Bと保持リブ36の左端規定リブ36Bとの左右方向の間隔は、リーダブロック18の巻取面形成部90(後述)の幅に対応しており、該巻取面形成部90が入り込めるようになっている。また、各左端規定リブ36Bは、リーダブロック18の本体部86に対する巻取面形成部90の張出量に対応する分だけ、開口第1壁28に対し左方にオフセットしており、それぞれの前端が開口第1壁28の後端に連続している。
さらに、上下の右端規定壁34Bと左端規定リブ36Bとの間には、それぞれ座部38が保持リブ36よりも低く突設されている。座部38は、フランジ98Bの高さに対応した高さとされており、上下の座部38間にリーダブロック18の後端部が入り込むようになっている。そして、座部38よりも高く設定された保持壁34及び保持リブ36は、リーダブロック18のケース12内方への移動を規制するようになっている。
また、図5にも示される如く、天板20A及び底板22Aにおける開口26の上下縁部を規定する前縁部からは、互いに平行な一対のスリット40が後方に向けて設けられることで、該一対のスリット40間に板ばね部42が形成されている。各板ばね部42の互いの対向面には、それぞれ係合突起44が突設されており、リーダブロック18のケース12への保持用とされている。
このリーダブロック保持部32内には、略L字状に形成され、右側壁12Bとの間に前方及び上方に開口する凹部を形成するばね掛け部46が設けられている。ばね掛け部46は、後述する緩衝ばね104の係止用とされている。
以上説明したリーダブロック保持部32は、詳細は後述するが、リーダブロック18を開口第1壁28及び右端規定壁34B(保持壁34)に当接させた状態で保持するようになっており、該保持状態でリーダブロック18に開口26を閉塞させる構成とされている。したがって、開口第1壁28と右端規定壁34Bとが、磁気テープTを引き出すための開口26を構成していると見ることも可能である。また、リーダブロック保持部32(開口26)は、開口第2壁30が開口第1壁28よりも後に位置することにより、リーダブロック18が姿勢を変えながら開口26を通過することが可能とされている。
また、図2に示される如く、ケース12の底板22Aの外面における前端近傍には、一対の位置決め孔48、49が開口している。一対の位置決め孔48、49は、底板22Aからケース12内方に立設された突部(図示省略)内に袋状に設けられ、上記装填方向に直交する仮想線上で互いに離間して配置されている。そして、開口26に近い側の位置決め孔48は、ドライブ装置の位置決めピンに外接する底面視略正方形状とされ、位置決め孔49は、上記仮想線に沿って長手でかつ幅が位置決めピンの直径に対応する長孔とされている。これにより、記録テープカートリッジ10がドライブ装置に装填されて位置決め孔48、49にそれぞれ位置決めピンが挿入されると、該記録テープカートリッジ10がドライブ装置内で水平方向(左右及び前後)に正確に位置決めされるようになっている。
さらに、底板16Aにおける位置決め孔48、49廻りの部分は、他の部分(意匠面)よりも平滑に仕上げられた位置決め面48A、49Aとされている。位置決め面48A、49Aは、位置決め孔48、49に位置決めピンが挿入されたときに該位置決めピン廻りに設けられたドライブ装置の位置決め面に当接するようになっている。これにより、記録テープカートリッジ10のドライブ装置内における鉛直方向の位置決めも為される構成である。
さらにまた、ケース12の底板22Aには、円形のギヤ開口50が設けられており、リール16のリールギヤ64(後述)の露出用とされている。また、ギヤ開口50の内縁部には、環状のリブ50Aがケース12の内方へ向けて突設されている。一方、図2に示される如く、上ケース20の内面中央部には、環状突起52が立設されると共に、環状突起52の内側において複数(本第1の実施の形態では2本)の係止ピン54がギヤ開口50側へ突設されている。
図3にも示される如く、リール16は、外周面に磁気テープTが巻装される円筒部56Aと円筒部56Aの下部を閉塞する底部56Bとを有する略有底円筒状のリールハブ56を備えている。リールハブ56の底部56B側端部(下端部)には、下フランジ58がその径方向外側に同軸的かつ一体に延設されている。一方、リールハブ56の上端部には、内径が円筒部56Aの内径と略同径とされると共に外径が下フランジ58の外径と同径とされた上フランジ60が超音波溶着等によって同軸的に接合されている。
これにより、リール16は、下フランジ58と上フランジ60との対向面間において、リールハブ56の円筒部56Aの外周面に磁気テープTが巻き回されるようになっており、円筒部56Aは上方に開口している。下フランジ58、上フランジ60の外径は、ケース12の遊動規制壁24の内径よりも若干小径とされており、リール16がケース12内で回転可能とされている。
また、リールハブ56の底部56Bには、その中央部に透孔62が設けられると共に、その下面(外面)における透孔62外側にリール16を回転駆動するためのリールギヤ64が環状に刻設されている。そして、リールギヤ64の内側には、マグネットで吸着可能な磁性材料より成り透孔62よりも若干小さい透孔66を有するリールプレート68がインサート成形により一体に設けられている。
また、リールギヤ64の外側には環状溝70が設けられており、該環状溝70内に下ケース22のリブ50Aが嵌入(当接)されることにより、ケース12に対しリール16が回転可能に位置決めされた状態で、リールギヤ64がケース12の外部に露出されるようになっている。
一方、リールハブ56の底部56Bの上面(内面)における透孔62外側にはリール制動ギヤ72が環状に刻設されており、リールハブ56の円筒部56A内に挿設される制動部材74の制動ギヤ76と噛合するようになっている。
制動部材74は、記録テープカートリッジ10の不使用時にリール16の回転を阻止するためのロック手段を構成し、その下面外周部に制動ギヤ76が環状に設けられた略円板状に形成されている。また、制動部材74には、その下面中央に透孔62に挿入される解除突起78が下方へ突設されると共に、その上面からはそれぞれ平面視略U字状に形成された一対の柱状凸部(以下、U字状凸部という)80が開放側を対向させて立設されている。さらに、制動部材74は、U字状凸部80の外側に設けられた環状溝82を備えている。
この制動部材74は、ケース12(上ケース20)の2本の係止ピン54がそれぞれU字状凸部80の内面に挿入されて回転が阻止された状態で、ケース12の環状突起52と環状溝82との間で保持された圧縮コイルスプリング84によって下方へ付勢されている。これにより、回転が阻止された制動部材74の制動ギヤ76がリール16のリール制動ギヤ72に噛合わされ、リール16の不用意な回転が阻止される(リール16がロックされる)構成である。
また、この状態では、制動部材74の解除突起78がリールハブ56の透孔62内に位置してリールプレート68の透孔66からケース12の外部に臨んでいる。そして、記録テープカートリッジ10がドライブ装置に装填され、該ドライブ装置に設けられた回転シャフト200の駆動ギヤ202にリール16のリールギヤ64が噛み合わされる動作に伴って、回転シャフト200の中央部に上方へ向けて突設された解除押圧部204が制動部材74の解除突起78を押圧するようになっている。この押圧によって、制動部材74が圧縮コイルスプリング84の付勢力に抗して上方へ移動して制動ギヤ76がリール制動ギヤ72から離間し、リール16の上記ロック状態が解除される構成である。
次に、リーダブロック18について説明する。以下のリーダブロック18に係る説明で前後左右の方向を用いるときは、リーダブロック保持部32に保持された状態の各方向を示すものとする。図6に示される如く、リーダブロック18は、その高さが磁気テープTの幅よりも大きい略矩形断面を有し前後方向に長手のブロック状に形成された本体部86を備えている。
本体部86の前端は、平面視で円弧状に丸められており、該前端部に左方を向いて開口した係合凹部88が上下方向に貫通して設けられている。係合凹部88は、リーダブロック18をケース12から取り出す際にドライブ装置の引出手段が係合して保持されるようになっている。一方、本体部18の後端部には、巻取面形成部90が本体部の両側面よりも左右に張り出して設けられている。巻取面形成部90の後端面は、ドライブ装置の巻取リールのリールハブ外周面に対応した円弧面90Aとされている。
また、本体部86の上下面からは、それぞれ係合突部92が突設されている。各係合突部92は、係合凹部88の若干後方に配置されており、リーダブロック18がリーダブロック保持部32に収容された状態で、板ばね部42の係合突起44に後側から係合してリーダブロック18のケース12からの脱落を阻止するようになっている。また、各係合突部92は、リーダブロック18をリーダブロック保持部32から抜き出しまたはリーダブロック保持部32に挿入する際には、リーダブロック18に所定値以上の移動力を付与することで、それぞれ係合突起44に係合しつつ板ばね部42を変形させてリーダブロック18の移動を許容するようになっている。
さらに、図7にも示される如く、本体部86における巻取面形成部90と係合突部92との間には、上下方向に貫通するスリット94が設けられている。スリット94は前後方向に長手とされており、本体部86の幅方向略中央部に位置している。また、スリット94の後端部には、テープ孔96が連設されている。テープ孔96は、上下の端部は閉塞されているが、巻取面形成部90を前後方向に貫通して円弧面90Aで開口している。
以上説明したリーダブロック18のスリット94には、係止部材としての係止ピン98が挿通状態で保持されている。係止ピン98は、スリット94に挿通された係止軸部98Aと、係止軸部98Aの上下端にそれぞれ取り付けられスリット94を通過不能な突出部としてのフランジ98Bとで構成されている。これにより、係止ピン98は、スリット94に沿って前後方向の移動可能でかつスリット94からの脱落不能に、リーダブロック18に保持されている。フランジ98Bの高さ(厚み)は、係合突部92の高さと略一致している。
そして、係止ピン98の係止軸部98Aには、リーダテープ100の一端部が係止されている。この係止は、例えば、係止軸部98Aに巻き掛けたリーダテープ100の一端部を、断面C字状に形成された図示しないクランプ部材によって係止軸部98Aとの間にクランプする(挟み込む)ことによって為される。一方、リーダテープ100の他端部は、磁気テープTの先端に固着されている。具体的には、図1に示される如く、接着テープであるスプライステープ102を介してリーダテープ100の他端部が磁気テープTの先端に固定的に接続されている。
リーダテープ100は、磁気テープTよりも厚肉かつ高強度のテープ状に形成されると共に、その幅が磁気テープTの幅と同幅とされており、その幅方向両端部を磁気テープTの対応する幅方向端部に一致させた状態で、上記の通り該磁気テープTに接続されている。なお、係止ピン98に磁気テープTを直接的に係止しても良い。
以上により、磁気テープTは、係止ピン98(及びリーダテープ100)を介して、リーダブロック18に対し長手方向(張力方向)の移動可能に接続されている。そして、磁気テープTの不使用時には、リーダブロック18は、その長手方向をケース12の前後方向に一致させた状態で、ケース12のリーダブロック保持部32に位置決め状態で保持されるようになっている。
具体的には、リーダブロック18は、その巻取面形成部90を右端規定壁34B、左端規定リブ34B、及び上下の座部38間に入り込ませて円弧面90Aの上下端を後端規定リブ36Aに当接させると共に、本体部86の前端近傍の左側面を開口第1壁28に当接させた状態で、リーダブロック保持部32に保持されている。この状態では、上下の係合突部92がそれぞれ係合突起44の後方に係合可能に(矢印A方向にわずかに移動すると係合するように)位置して、リーダブロック18のリーダブロック保持部32からの脱落が阻止されている。また、リーダブロック18の係合凹部88は、切欠き部14(ケース12外)に突出してドライブ装置の引出手段による係合保持(チャッキング)が可能とされている。
そして、図4に示される如く、リーダブロック保持部32には、リーダブロック18の保持状態で係止ピン98をスリット94の前端近傍に偏倚する(位置させる)ための、広義には付勢部材として把握される弾性部材としての緩衝ばね104が設けられている。緩衝ばね104は、本第1の実施の形態では、板ばねとされており、一端部を屈曲して形成係止部104Aが、それぞれ上下のばね掛け部46と右側壁12Bとの間に挿入係止されている。すなわち、緩衝ばね104は、上下一対設けられており、各緩衝ばね104は、それぞれ天板20A、底板22Aに摺動しつつ変形して弾性力に基づく付勢力を生じるようになっている。
具体的には、各緩衝ばね104は、リーダブロック保持部32に保持されたリーダブロック18のスリット94の前端に位置する係止ピン98のフランジ98Bに略後方から接する状態(図4に実線にて示す状態)で、ほぼ自然状態とされて付勢力を生じないようになっている。そして、各緩衝ばね104は、係止ピン98をリーダブロック18すなわちケース12に対し後方へ移動すると、図4に想像線にて示される如く、フランジ98Bに係合しつつ変形して係止ピン98を略前方へ付勢する付勢力を生じる構成とされている。
これにより、磁気テープTは、リール16への巻取方向の張力が作用しても、係止ピン98が後方に移動して緊張方向の張力が緩和されると共に、該張力が衝撃的に作用しても緩衝ばね104によって該衝撃が吸収される構成である。
なお、上記構成のリーダブロック18は、全体として一体に形成されても良く、複数の部品を組み付けて構成されても良い。後者の構成では、例えば、スリット94を複数の部品の合せ部間に形成することが可能となる。
次に、本第1の実施の形態の作用について説明する。
上記構成の記録テープカートリッジ10では、磁気テープTの不使用時には、リール16が制動部材74によって不用意な回転を防止されている。すなわち、上ケース20の内面に突設された係止ピン54によって回転不能とされた制動部材74の制動ギヤ76がリール制動ギヤ72と噛合することにより、リール16の不用意な回転が防止(ロック)されている。また、開口26はリーダブロック18によって閉塞されている。
一方、磁気テープTを使用する際には、記録テープカートリッジ10をドライブ装置のバケット(図示省略)へ装填する。記録テープカートリッジ10がバケットに装填されると、該バケットが下降し、図3に示される如く、ドライブ装置の回転シャフト200がケース12のギヤ開口50に向って相対的に接近する。すると、回転シャフト200の解除押圧部204がリールプレート68の透孔66より進入して制動部材74の解除突起78を上方に押圧し、該制動部材74を圧縮コイルスプリング84の付勢力に抗して上方に押し上げる。
これにより、リール16は、リール制動ギヤ72の制動ギヤ76との噛合いが解除されると共に、ケース12内で浮上して環状溝70のケース12のリブ50Aとの当接状態が解除される。また、回転シャフト200の駆動ギヤ202と解除押圧部204との間に環状に設けられたマグネット(図示省略)によってリールプレート68が回転シャフト200に非接触で吸着保持されると共に、リールギヤ64が駆動ギヤ202と噛合わされる。これにより、リール16の回転駆動が可能となる。
また、上記バケットすなわち記録テープカートリッジ10のドライブ装置内での下降によって、ケース12の各位置決め孔48、49にそれぞれドライブ装置の位置決めピンが入り込むと共に、ケース12の各位置決め面48A、49Aにドライブ装置の位置決め面が当接する。これにより、記録テープカートリッジ10は、ドライブ装置に対し、水平方向及び鉛直方向に位置決めされる。
すると、ドライブ装置の引出手段は、引出ピン(図示省略)を係合凹部88に入り込ませてリーダブロック18を保持し、該リーダブロック18をケース12のリーダブロック保持部32から抜き出してドライブ装置の巻取リールに誘導し、該巻取リールのリールハブに設けられた嵌入部に嵌入される。巻取リールの嵌入部に嵌入されたリーダブロック18の円弧面90Aは、該嵌入部の開口端から露出し、リールハブの外周面と共に磁気テープTの巻取面を構成する。
またこの状態で、巻取リール及び回転シャフト200(リール16)が同期しつつ回転駆動され、磁気テープTは巻取リールに巻き取られつつケース12から順次引き出される。そして、ドライブ装置の所定のテープ経路に沿って配設された記録再生ヘッドによって、磁気テープTへの情報の記録または磁気テープTに記録された情報の再生が為される。
磁気テープTが巻取リールに最後まで巻き取られると、該巻取リール及び回転シャフト200を逆回転駆動させて磁気テープTをリール16に巻き戻す。磁気テープTをリール16に最後まで巻き戻すと、リーダブロック18を上記嵌入部から抜き出すと共にケース12(記録テープカートリッジ10)のリーダブロック保持部32に保持させる。
次いで、記録テープカートリッジ10が装填されたバケットを上昇させてリールギヤ64と駆動ギヤ202との噛合を解除し、透孔66(透孔62)から解除押圧部204を退出させる。すると、圧縮コイルスプリング84の付勢力によって、ケース12のリブ50A上に載置されたリール16のリール制動ギヤ72と制動部材74の制動ギヤ76とが噛合い、上述のようにリール16の不用意な回転が防止された状態(ロック状態)に復帰する。この状態で、記録テープカートリッジ10はバケット内から取り出される。
ところで、上記のような圧縮コイルスプリング84の付勢力によって制動部材74をリールハブ56の底部56B側に付勢し制動ギヤ76をリール制動ギヤ72に噛み合わせるロック手段を備えた記録テープカートリッジ10では、例えば落下による衝撃で圧縮コイルスプリング84が圧縮変形し、制動部材74にリール16のロック状態が解除される場合が想定される。
ここで、リーダブロック18のリーダブロック保持部32(ケース12)への保持状態では、緩衝ばね104によってスリット94の前端側(磁気テープTの緊張側)に偏倚された係止ピン98は、該リーダブロック18に対し磁気テープTの緩み側への相対移動可能であるため、磁気テープTにリール16への巻取方向の張力が作用すると、係止ピン98が緩衝ばね104の変形に伴う弾性力に抗しつつ上記緩み方向に相対移動し、磁気テープTの張力が緩和される。
また、例えば落下衝撃によって制動部材74によるリール16のロック状態が解除され、リール16が磁気テープTの巻取方向(緊張方向)に回転した場合などのように、磁気テープTの先端部に作用する張力が衝撃的に作用しても、緩衝ばね104の変形によって該衝撃が吸収される。したがって、磁気テープTは、その先端部に変形や破断等が生じたり、巻き締まりが生じたりすることがなく、係止ピン98を介したリーダブロック98との適正な接続状態が維持される。
またところで、上記落下衝撃が作用した後、制動部材74(圧縮コイルスプリング84)によるリール16のロック状態に復帰する前にリール16の上記巻取方向の回転力が解消すると、緩衝ばね104は、その復元力によって初期状態に復帰する。一方、上記回転力が解消する前にリール16のロック状態に復帰すると、緩衝ばね104は、該ロック状態への復帰(リール16の急停止)に伴う衝撃も吸収する。また、緩衝ばね104は、上記何れも場合も、磁気テープTを殆ど弛ませることがなく、該磁気テープTのケース12との接触を阻止している。このように、リール16のロック状態への復帰タイミングに応じて、衝撃吸収後に磁気テープTの張力によって緩衝ばね104の変形状態が維持され、係止ピン98がスリット94の前端まで復帰しない場合がある。
ここで、係止ピン98がリーダブロック18(を位置決め状態で保持するケース12)に対し移動して張力を緩和するため、上記張力の緩和に伴ってリーダブロック18がケース12に対し移動することがなく、リーダブロック18のリーダブロック保持部32における位置決め状態が維持される。このため、ドライブ装置の引出手段によるリーダブロック18の保持(係合)位置である係合凹部88の位置がケース12に対し変化せず、引出手段は常に所定の位置でリーダブロック18を保持することができる。これにより、引出手段にリーダブロック18の位置を検出する手段等を設ける必要がなく、ドライブ装置の構造が複雑化することがない。
このように、本第1の実施の形態に係るの記録テープカートリッジ10では、磁気テープTに作用する衝撃力を緩和することができ、かつリーダブロック18のケース12に対する位置ずれが防止される。
また、一端部に設けられた係止部104Aがケース12のばね掛け部46に係止された緩衝ばね104が係止ピン98をスリット94の前端側に偏倚させるため、換言すれば、係止ピン98を相対移動可能に保持するリーダブロック18に緩衝ばね104が設けられる構成ではないため、リーダブロック18を大型化することなく、磁気テープTに作用する衝撃力を緩和する機能を果たすことができる。特に、上下一対設けられた緩衝ばね104がそれぞれ係止ピン98のフランジ98Bに当接して係止ピン98をスリット94の前端側に偏倚させるため、係止ピン98がリーダブロック18に対し傾斜したり倒れたりすることが防止される。
次に、上記第1の実施の形態の変形例を説明する。なお、上記の第1の実施の形態と基本的に同一の部品、部分については、上記第1の実施の形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
図8には、第1変形例に係る開口110が示されている。この図に示される如く、開口110は、前壁12Aに開口して設けられている点で上記第1の実施の形態に係る開口26とは異なる。このため、本第2変形例では、開口第2壁30を備えていない。また、開口110の上下の縁部を構成する天板20A、底板22Aには、平面視で略台形状に切り欠かれた切欠き部112が設けられており、リーダブロック保持部32に保持されたリーダブロック18の係合凹部88を露出させるようになっている。これにより、ドライブ装置の引出手段によるリーダブロック18の係合保持が可能とされる構成である。すなわち、本第1変形例は、切欠き部14に代えて切欠き部112を設けた構成と把握することも可能である。また、板ばね部42を構成するスリット40は、切欠き部112の後端部分を基端として設けられている。
本第1変形例に係る記録テープカートリッジは、その他の構成が上記第1の実施の形態と全く同様であり、上記第1の実施の形態と全く同様の効果を得ることができる。
図9には、第2変形例に係る開口120及びリーダブロック保持部122が示されている。この図に示される如く、開口120は、前壁12Aに開口して設けられている点で上記第1の実施の形態に係る開口26とは異なる。また、リーダブロック保持部122は、係合凹部88を左方に向け開口させてリーダブロック18を保持する点で、上記第1の実施の形態に係るリーダブロック保持部32とは異なる。
開口120の上下の縁部を構成する天板20A、底板22Aには、平面視で略台形状に切り欠かれた切欠き部124が設けられており、リーダブロック保持部122に保持されたリーダブロック18の係合凹部88を露出させるようになっている。また、板ばね部42を構成するスリット40は、切欠き部124の後端部分を基端として設けられている。
リーダブロック保持部122は、それぞれ天板20A及び底板22Aに設けられ平面視で前方に開口した略コ字状のリーダブロック受けリブ126を備えている。リーダブロック受けリブ126は、保持リブ36と同等の高さとされて右側壁12Bに隣接して設けられ、開口幅が巻取面形成部90の幅に対応している。これにより、上下のリーダブロック受けリブ126は、巻取面形成部90を受け入れた状態で、リーダブロック18の後方への移動を規制すると共に、磁気テープTの通過を許容するようになっている。また、上下のリーダブロック受けリブ126内には、それぞれ座部38が設けられている。さらに、天板20A及び底板22Aにおけるリーダブロック受けリブ126の左前方には、それぞればね掛け部128が設けられており、ばね掛け部128には、緩衝ばね104の係止部104Aが係止されるようになっている。
そして、磁気テープTの不使用時には、リーダブロック18は、その長手方向をケース12の前後方向に一致させた状態で、ケース12のリーダブロック保持部122に位置決め状態で保持されるようになっている。具体的には、リーダブロック18は、その巻取面形成部90を上下のリーダブロック受けリブ126内における座部38間に入り込ませた状態で、リーダブロック保持部122に保持されている。この状態では、上下の係合突部92がそれぞれ係合突起44の後方に係合可能に(矢印A方向にわずかに移動すると係合するように)位置して、リーダブロック18のリーダブロック保持部32からの脱落が阻止されている。また、リーダブロック18の係合凹部88は、切欠き部124(ケース12外)に突出してドライブ装置の引出手段による係合保持(チャッキング)が可能とされている。この状態で、リーダブロック18に保持された係止ピン98の上下のフランジ98Bには、緩衝ばね104が略後方から接触しており、上記第1の実施の形態と同様に、通常は係止ピン98がスリット94の前端に位置するようになっている。
本第2変形例に係るリーダブロック保持部122に保持されたリーダブロック18は、単に矢印A方向に移動されてケース12に干渉することなく取り出すことができるが、開口120を閉塞することができない。このため、本第2変形例に係る構成では、例えば、開口120を開閉するためのシャッターやドア等の遮蔽部材を設けることが好ましい。遮蔽部材としては、例えば、前壁12Aと摺動して開口120を開閉する部分と、天板20Aと摺動して上側の切欠き部124(及びスリット40)を開閉する部分と、底板22Aと摺動して下側の切欠き部124(及びスリット40)を開閉する部分とを有する側面視略コ字状のシャッターを用いることができる。シャッターは、ケース12内に設けられても良く、ケース12外に設けられても良い。このようなシャッターによる開口120等の開閉構造としては、例えば、円板状のディスクメディアをケース内に収容したディスクカートリッジに適用され、ケースのドライブ装置への装填動作に伴って開口120の開放方向にシャッターを移動する公知の構造を採用することができる。
本第2変形例に係る記録テープカートリッジは、その他の構成が上記第1の実施の形態と全く同様であり、上記第1の実施の形態と全く同様の効果を得ることができる。
図10には、第3変形例に係る開口130及びリーダブロック保持部132が示されている。この図に示される如く、開口130は、前壁12Aに開口して設けられている点で上記第1の実施の形態に係る開口26とは異なる。また、リーダブロック保持部132は、リーダブロック18を矢印A方向に対し傾斜した状態で保持する点で、上記第1の実施の形態に係るリーダブロック保持部32とは異なる。
開口130の上下の縁部を構成する天板20A、底板22Aには、平面視で頂部が丸められた略V字状に切り欠かれた切欠き部134が設けられており、リーダブロック保持部132に保持されたリーダブロック18の係合凹部88を露出させるようになっている。
リーダブロック保持部132は、それぞれ天板20A及び底板22Aにおける開口130の後方に設けられた傾斜リブ136を備えている。傾斜リブ136は、保持リブ36と同等の高さとされて矢印A方向に対し傾斜して設けられている。上下の傾斜リブ136における右側壁12Bの近傍からは、該傾斜リブ136の長手方向に略直交する後端規定リブ138がそれぞれ設けられている。後端規定リブ138の左前方を向く面は、リーダブロック18の円弧面90Aに対応した円弧面とされている。また、後端規定リブ138の前端部は、右側壁12Bから全高に亘り左方に向けて延設された防塵壁140の先端上下端に連続している。この防塵壁140の先端面も、円弧面90Aに対応した円弧面とされている。
一方、傾斜リブ136の左前側端部は、前壁12Aから全高に亘り後方に向けて延設された防塵壁142の先端上下端に連続している。防塵壁142には、リーダブロック18の丸められた先端部がわずかに入り込む凹部142Aが形成されている。リーダブロック18は、円弧面90Aを後端規定リブ138及び防塵壁140に当接させると共に、上記丸められた先端部を防塵壁142の凹部142Aに入り込ませた状態で、リーダブロック保持部132に保持される構成である。
この保持状態では、係合凹部88が略前方を向いて開口するようになっており、係合凹部88は、切欠き部134(ケース12外)に突出してドライブ装置の引出手段による係合保持(チャッキング)が可能とされている。また、この保持状態では、防塵壁140、142にそれぞれ当接するリーダブロック18が開口130を閉塞するようになっている。すなわち、防塵壁140、142間の部分を開口として把握することも可能である。
本第3変形例に係るリーダブロック18の巻取面形成部90は、上記保持状態で傾斜リブ136側に位置する本体部86からの張出部分90Bが、磁気テープTの幅と同等の高さとされて上下の傾斜リブ136間に入り込むようになっている。このため、リーダブロック保持部132には、座部38が設けられていない。また、本第3変形例に係るリーダブロック18の上下の係合突部92は、本体部86における係合凹部88が開口する側の側面に沿って設けられている。
各係合突部92は、上記保持状態では、天板20A及び底板22Aにそれぞれ設けられた板ばね部144の係合突起44が係合してリーダブロック保持部132からのリーダブロック18の脱落を阻止するようになっている。上下の板ばね部144は、天板20A及び底板22Aにそれぞれ略V字状乃至U字状のスリット146を設けることで形成されている。
また、リーダブロック保持部132は、ばね掛け部148を備えている。ばね掛け部148は、傾斜リブ136の長手方向中間部を切り欠いた両切欠き端からケース12内方に連続する平面視略V字状に形成されており、その頂部内側部分に緩衝ばね104の係止部104Aを係止している。緩衝ばね104は、上記保持状態で、リーダブロック18に保持された係止ピン98の上下のフランジ98Bに略右方から接触している。これにより、係止ピン98は、上記第1の実施の形態と同様に、通常はスリット94の前端(係合凹部88側端部)に位置するようになっている。
本第3変形例に係る記録テープカートリッジは、その他の構成が上記第1の実施の形態と全く同様であり、上記第1の実施の形態と全く同様の効果を得ることができる。
なお、本発明は、上記第1の実施の形態及び各変形例に限定されることはなく、各種の変更が可能であることは言うまでもない。したがって、例えば、第2変形例で説明したシャッターを第1変形例や第3変形例の構成に適用することも可能である。これにより、例えば、開口第1壁28、保持壁34、防塵壁140、142等を不要としたり保持リブ36と同等の高さとしたりして磁気テープTのパス経路を拡大することが可能となる。また、例えば、弾性部材として、上記各構成の板ばね104に代えて、圧縮または引張コイルスプリングや捩りコイルばね、ゴムやエラストマより成る膜状弾性材を用いることができる。さらに、例えば、付勢部材を、ケース12と係止ピン98との間に設ける構成に代えて、リーダブロック18と係止ピン98との間に設けることも可能である。この場合、係止ピン98のフランジをリーダブロック18の上下端から突出させる必要がなくなり、リーダブロックによる開口26等の閉塞性を向上することも可能である。
次に、本発明の第2の実施の形態を図11乃至図13に基づいて説明する。なお、上記の第1の実施の形態と基本的に同一の部品、部分については、上記第1の実施の形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
図11には、本発明の第2の実施の形態に係る記録テープカートリッジ150の要部が分解斜視図にて示されている。この図に示される如く、記録テープカートリッジ150は、磁気テープTに固定的に接続されたリーダ部材としてのリーダブロック152と、ケース12に設けられ磁気テープTをケース12外に引き出すための開口154と、ケース12に設けられリーダブロック152を収容保持するリーダブロック保持部156と、リーダブロック保持部156に保持されたリーダブロック152を磁気テープTの緊張側に偏倚させる弾性部材としての緩衝ばね158とを備えている。
リーダブロック152は、略矩形ブロック状の本体部160を備えており、本体部160における磁気テープTが接続された長手方向一端部とは反対の他端部には、係合部としての係合凹部88が設けられている。以下、本体部160における係合凹部88側を前側とし、また係合凹部88が開口する側の(ケース12外方を向く側面)を側面160Aとし、反対側の側面を側面160Bとして説明する。
本体部160には、係合凹部88の後部から後端にかけて上下にそれぞれ隆起した隆起部162が形成されている。各隆起部162は、本体部160よりも細幅とされると共に一方の側面が側面160Bに沿う略直方体状に形成されている。また、本体部160の後端部からは、側面160Aよりも側方に突出した張出部164が設けられている。張出部164の上下端面は、各隆起部162の上下端面とそれぞれ一致している。張出部164を含む本体部160の後端面は円弧面90Aとされている。
さらに、本体部160における高さ方向の中央部には、後方及び側面160Bに開口する接続凹部166が形成されている。接続凹部166の上下方向の幅は磁気テープTの幅に対応しており、該接続凹部166は、磁気テープTの先端を挿入した状態でクランプ部材168が嵌合されるようになっている。これにより、磁気テープTがリーダブロック152の長手方向一端部に固定的に接続されている。クランプ部材168は、接続凹部166に対応した形状とされており、その後端部のみが側面160Bよりも側方に張り出している。このクランプ部材168の後端面は、本体部160の後端面と共に円弧面90Aを形成している。
また、各隆起部162の前端近傍における上面または下面には、平面視略円形状の保持凹部170が形成されており、各保持凹部170には、リーダブロック152がリーダブロック保持部156に保持された状態で、後述する板ばね部184の係合突起44が入り込むようになっている。
開口154は、ケース12の右端近傍における前壁12Aを切り欠いて設けられている。この開口154の後方にリーダブロック保持部156が設けられている。リーダブロック保持部156は、前壁12Aにおける開口154の左縁を規定する端部から全高に亘り斜め右後方に延設された防塵壁172を備えている。防塵壁172の右後部は左前部との間の部分がケース12外方に凹となるように屈曲した当接部172Aとされており、リーダブロック保持部156に保持されたリーダブロック18の側面160Bの前端部分が当接するようになっている。
天板20A及び底板22Aにおける当接部172Aの略後方からは、それぞればね受けリブ174が立設されている。ばね受けリブ174は、左前部174Aが当接部172Aと略平行とされると共に、右後部174Bが左前部174Aよりもさらに後方側に傾斜している。ばね受けリブ174は、その左前部174Aが当接部172Aとの間に緩衝ばね158を保持するようになっており、その右後部174Bが緩衝ばね158の略後方への変形を規制するようになっている。上下のばね受けリブ174は、互いの間を磁気テープTが通過することができるように高さが設定されている。
また、リーダブロック保持部156は、右側壁12Bから全高に亘り前左方に向けて延設された係合壁176を備えている。係合壁176の先端近傍部分は、リーダブロック保持部156に保持されたリーダブロック18の張出部164の側端面に係合(当接)可能とされている。また、天板20A及び底板22Aにおける係合壁176の後方からは、それぞれ円弧リブ178が立設されている。各円弧リブ178は、緩衝ばね158の円弧面支持部194C(後述)に略対応した曲率とされると共に、それぞれ係合壁176の上下端におけるリーダブロック18係合部位の直右方を基端として該基端から左後方に延びている。各円弧リブ178は、その円弧長さが円弧面支持部194C(リーダブロック152の円弧面90A)の円弧長さよりも十分でかつ円弧面支持部194Cと摺動可能とされている。
各円弧リブ178の終端には、それぞれストッパリブ180が連続している。ストッパリブ180は、円弧リブ178の終端における略法線方向に長手とされている。ストッパリブ180及び各円弧リブ178の高さは、ばね受けリブ174の高さに対応している。
また、リーダブロック保持部156における天板20A及び底板22Aには、それぞれ開口154の左部前縁に臨んで切欠き部182が設けられている。各切欠き部182は、リーダブロック保持部156に保持されたリーダブロック152の係合凹部88を引出手段による操作可能に露出させるようになっている。各切欠き部182の形状は、上記第3変形例における切欠き部134と同様の形状とされている。さらに、天板20A及び底板22Aには、上記保持状態のリーダブロック152の保持凹部170に入りこむ係合突起44を有する板ばね部184が設けられている。各板ばね部184は、それぞれ天板20A及び底板22Aに略V字状乃至U字状のスリット186を設けることで形成されている。係合突起44は、後述するリーダブロック152の姿勢変化に伴って保持凹部170から外れないように、該保持凹部170よりも十分に小さく形成されている。
緩衝ばね158は、板ばねとされている。緩衝ばね158の一端部は、平面視略コ字状に形成され、防塵壁172の前部、前壁12Aに係合して係止される係止部188とされている。係止部188には、直線状に形成され、その左前部が防塵壁172の当接部172Aとばね受けリブ174の左前部174Aとの間に挟み込まれた変形規制部190が連続している。変形規制部190の右後部は、自然状態では、ばね受けリブ174の右後部174Bの前方に離間して位置するようになっている。
変形規制部190の係止部188と反対側の端部は略前側に屈曲しており、該屈曲部分には、変形規制部190と略平行な直線状に形成されたアーム部192が右後側に連続している。アーム部192は、リーダブロック18の隆起部162における側面160Bと一致した側面に当接するようになっている。さらに、アーム部192の変形規制部190と反対側の端部には、クッション部194が連続している。クッション部194は、アーム部192の端部から後方に屈曲した屈曲部194Aと、屈曲部194Aに連続しアーム部192と略平行な直線状のストッパ当接部194Bと、ストッパ当接部194Bの端部か略前方に屈曲した円弧面支持部194Cとで構成されている。円弧面支持部194Cは、略円弧状に湾曲されており、その略左(内)向きの面がリーダブロック152の円弧面90Aに当接するようになっており、その略右向きの面が円弧リブ178と摺動可能に接するようになっている。
以上説明した緩衝ばね158は、上下一対設けられている(上側の板ばねについては図示省略)。
この緩衝ばね158が取り付けられたリーダブロック保持部156では、図12及び図13に示される如く、磁気テープTの不使用時には、リーダブロック152を長手方向が磁気テープTの張力方向(矢印A方向に略一致する方向)に対し傾斜(交差)するように保持している。この保持状態では、リーダブロック152の円弧面90Aが各緩衝ばね158の円弧面支持部194C(を介して円弧リブ178)に当接すると共に、該リーダブロック152の側面160Bにおける前端近傍が防塵壁172の当接部172Aに当接するようになっている。この状態では、各板ばね部184の係合突起44がリーダブロック152の各保持凹部170に入り込んでおり、リーダブロック152のリーダブロック保持部156すなわちケース12からの脱落が阻止されている。また、この状態では、各緩衝ばね158のアーム部192がそれぞれリーダブロック152の上下の隆起部162の側面に当接している。
そして、通常は、図13に実線にて示される如く、緩衝ばね158の付勢力によって、リーダブロック152は、張出部164の側端面を係合壁176に当接(または極近接)させる位置に保持されるようになっている。具体的には、張出部164の側端面を係合壁176に当接させた状態で、アーム部192においてリーダブロック152に当接している緩衝ばね158は、略前方への付勢力を生じているか、または自然状態とされており、リーダブロック152の後端部(磁気テープT接続側の端部)を後方に移動させようとすると、変形して復元力に基づく付勢力を発生または増大するようになっている。
このリーダブロック152をリーダブロック保持部156から取り出す際には、引出手段の引出ピンを係合凹部88に入り込ませて保持した状態で、引出ピンを矢印A方向に動する。すると、リーダブロック152は回動しながら張出部164を係合壁176の左方に回り込ませ、引出ピンのさらなる矢印A方向に移動によってリーダブロック保持部32から抜け出る。一方、リーダブロック152をリーダブロック保持部156に保持させる際には、本体部160の側面160Bの後端角部を緩衝ばね158のアーム部192と摺動させながら張出部164を係合壁176の背後に入り込ませ、引出ピンを矢印Aとは反対方向に移動して側面160Bの前端部を防塵壁172の当接部172Aに当接させれば良い。
ここで、磁気テープTに緊張方向の張力が生じると、リーダブロック152の後端部が後方に移動しようとする。この移動力によって各緩衝ばね158の主に変形規制部190が変形し、図13に想像線にて示される如く、リーダブロック152は、磁気テープT接続側端部を略後方へ移動させるように回動する(回動中心は必ずしも一定ではない)。具体的には、リーダブロック152は、防塵壁172の当接部172Aとの当接状態を維持しつつ、各緩衝ばね158の円弧面支持部194Cを円弧リブ178と摺動させて回動する。これにより、磁気テープTに作用する張力が緩和される。
また、例えば落下衝撃によって制動部材74によるリール16のロック状態が解除され、リール16が磁気テープTの巻取方向(緊張方向)に回転した場合等のように、磁気テープTの先端部に作用する張力が衝撃的に作用しても、緩衝ばね104の変形によって該衝撃が吸収される。したがって、磁気テープTは、その先端部に変形や破断等が生じたり、巻き締まりが生じたりすることがなく、係止ピン98を介したリーダブロック98との適正な接続状態が維持される。
そして、上記の如く緩衝ばね158を変形させつつ回動するリーダブロック152は、磁気テープTが接続された長手方向一端部を大きく略後方へ移動して、上記張力の緩和、衝撃吸収を果たす一方、係合凹部88が設けられた長手方向他端部を殆ど後方へ移動しないようになっている。このため、仮に衝撃の吸収後にリーダブロック152が初期位置(張出部164を係合壁176に当接させる位置)に復帰しない場合でも、衝撃作用前に対し係合凹部88の位置ずれが少ない。これにより、例えば、係合凹部88に引出ピンを正規位置に誘い込むテーパ等を設けることで、緩衝後のリーダブロック152の位置に依らず該リーダブロック152をケース12から取り出して磁気テープTを引き出すことができる。
このように、本第2の実施の形態に係る記録テープカートリッジ150では、磁気テープTに作用する衝撃力を緩和することができ、かつリーダブロック18のケース12に対する位置ずれが防止される。なお、上記の通り、ケース12に設けられ、リーダブロック158の回動すなわち係合凹部88の移動を制限する防塵壁172の当接部172Aと円弧リブ178とが、本発明における突状部に相当する。
また、緩衝ばね158の変形は、主にストッパリブ180によってリール16に干渉しないように規制されるが、緩衝ばね158はリーダブロック152の側面160Bから離間しているクッション部194がストッパリブ180に当接するため、該クッション部194の変形によって変形規制時の緩衝機能が果たされる。したがって、リーダブロック152がストッパリブ180に直接的に当接する構成と比較して、リーダブロック152と磁気テープTとの接続部位に作用する衝撃が緩和される。
なお、本第2の実施の形態では、リーダブロック152が矢印A方向に対し傾斜して配置される好ましい構成としたが、本発明はこれに限定されず、例えば、リーダブロック152を長手方向が矢印A方向に直交するように配置しても良い。また、リーダブロック152を磁気テープTの緊張方向に付勢する付勢部材は、板ばねである緩衝ばね158に限定されることはなく、他の形状の板ばね、圧縮、引張、または捩りコイルスプリング等を適宜選択して用いることができる。また、本発明におけるリーダ部材が上記構成(形状)のリーダブロック152に限定されることはない。
また、上記各実施の形態及び各変形例では、リール16のケース12に対する回転が制動部材74によってロックされる構成としたが、本発明はロック手段の有無や構成によって限定されないことは言うまでもない。したがって、例えば、下フランジ58または上フランジ60の外周に刻設されたギヤがケース12内の角隅部に配設されたロック部材に噛み合わされることで、リール16の回転がロックされる構成としても良く、制動部材とリール16の底部56Bとの間にドライブ装置の解除押圧部204によって押圧操作される解除部材(クラッチ部材)を設けた構成としても良い。
さらに、上記各実施の形態及び各変形例では、記録テープとして磁気テープTを用いた構成としたが、本発明はこれに限定されず、記録テープは情報の記録及び記録した情報の再生が可能な長尺テープ状の情報記録再生媒体として把握されるものであれば足り、本発明に係る記録テープカートリッジが如何なる記録再生方式の記録テープにも適用可能であることは言うまでもない。