JP4357598B2 - 置換シクロブチルアミン誘導体 - Google Patents
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Description
本発明は医薬、動物薬、水産用薬または抗菌性の保存剤として有用な抗菌性化合物に関し、さらにこの化合物を含有する抗菌薬、抗菌性製剤に関する。
背景技術
キノロン系合成抗菌薬は、ノルフロキサシンの発見以来、抗菌活性や体内動態が改善され、ほぼ全身の感染症に有効な化学療法剤として多くの化合物が臨床の場に共されている。
近年、臨床の場ではキノロン系合成抗菌薬に対して低感受性菌が増加しつつある。例えばβ−ラクタム系抗生物質に非感受性の黄色ブドウ球菌(MRSA)の如くキノロン系合成抗菌薬以外の薬剤に耐性の菌であって、さらにキノロン系合成抗菌薬に低感受性の菌も増加している。したがって、臨床の場ではさらに有効性が高い薬剤が望まれている。
さらに、非ステロイド性の抗炎症剤との服用で痙攣が誘発されることや、あるいは光毒性等の副作用が明らかとなっており、より安全性の高いキノロン系合成抗菌薬の開発も求められている。
発明の開示
かかる事情に鑑み、本願発明者らは上記要件を満たす優れた化合物を提供すべく鋭意研究した。その結果、次に述べる式(I)で表される置換シクロブチルアミン誘導体、その塩、およびこれらの水和物が、グラム陰性菌およびグラム陽性菌に対して幅広い優れた抗菌力を有し、とりわけMRSAを含むキノロン耐性菌に対して強力な抗菌活性を示すとともに、良好な体内動態および安全性を兼ね備えていることを見出し本発明を完成した。
すなわち本発明は下記の式(I)で表わされる化合物、その塩、およびこれらの水和物に関するものである。
{式中、R1およびR2は、各々独立に、水素原子、水酸基、ハロゲン原子、カルバモイル基、炭素数1から6のアルキル基、炭素数1から6のアルコキシル基または炭素数1から6のアルキルチオ基を表わし(ただし、R1およびR2が共に水素原子の場合を除く)、
このうちのアルキル基は、水酸基、ハロゲン原子および炭素数1から6のアルコキシル基からなる群の基から選ばれる1以上の基を置換基として有していてもよく、
R3およびR4は、各々独立に、水素原子、または炭素数1から6のアルキル基を表わすが、
このアルキル基は、水酸基、ハロゲン原子、炭素数1から6のアルキルチオ基および炭素数1から6のアルコキシル基からなる群の基から選ばれる1以上の基を置換基として有していてもよく、
nは、1または2の整数を表わし、
Qは、下記式で表わされる部分構造を表わす。
[式中、R5は、炭素数1から6のアルキル基、炭素数2から6のアルケニル基、炭素数1から6のハロゲノアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3から6のシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基、炭素数1から6のアルコキシル基または炭素数1から6のアルキルアミノ基を表わし、
R6は、水素原子または炭素数1から6のアルキルチオ基を表わすが、
このR6と上記のR5とは、母核の一部を含んで環状構造を形成するように一体化してもよいが、このようにして形成された環は、硫黄原子を環の構成原子として含んでもよく、さらにこの環は炭素数1から6のアルキル基を置換基として有していてもよい。
R7は、水素原子、アミノ基、水酸基、チオール基、ハロゲノメチル基、炭素数1から6のアルキル基、炭素数2から6のアルケニル基、炭素数2から6のアルキニル基または炭素数1から6のアルコキシル基を表すが、
このうちのアミノ基は、ホルミル基、炭素数1から6のアルキル基および炭素数2から5のアシル基からなる群の基から選ばれる1以上の基を置換基として有していてもよい。
X1は、ハロゲン原子または水素原子を表わし、
A1は、窒素原子または式(II)
(式中、X2は、水素原子、アミノ基、ハロゲン原子、シアノ基、ハロゲノメチル基、ハロゲノメトキシル基、炭素数1から6のアルキル基、炭素数2から6のアルケニル基、炭素数2から6のアルキニル基または炭素数1から6のアルコキシル基を表すが、
このうちのアミノ基は、ホルミル基、炭素数1から6のアルキル基および炭素数2から5のアシル基からなる群の基から選ばれる1以上の基を置換基として有していてもよく、
さらにこのX2と上記のR5とは、母核の一部を含んで環状構造を形成するように一体化してもよいが、このようにして形成された環は、酸素原子、窒素原子、または硫黄原子を環の構成原子として含んでもよく、さらにこの環は炭素数1から6のアルキル基を置換基として有していてもよい。)
で表わされる部分構造を表わす。
A2およびA3は、各々、窒素原子または炭素原子を表わすが、A2およびA3とこれらが結合している炭素原子とは、部分構造
または、部分構造
を形成する。
Yは水素原子、フェニル基、アセトキシメチル基、ピバロイルオキシメチル基、エトキシカルボニル基、コリン基、ジメチルアミノエチル基、5−インダニル基、フタリジニル基、5−アルキル−2−オキソ−1,3−ジオキソール−4−イルメチル基、3−アセトキシ−2−オキソブチル基、炭素数1から6のアルキル基、炭素数2から7のアルコキシメチル基または炭素数1から6のアルキレン基とフェニル基とから構成されるフェニルアルキル基を表わす。]}
式(I)において、Qを除いた部分構造が、立体化学的に単一な化合物である上記の化合物、その塩、およびこれらの水和物;
さらに本発明は、式(I)においてQが、式
{式中、R5は、炭素数1から6のアルキル基、炭素数2から6のアルケニル基、炭素数1から6のハロゲノアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3から6のシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基、炭素数1から6のアルコキシル基または炭素数1から6のアルキルアミノ基を表わし、
R6は、水素原子または炭素数1から6のアルキルチオ基を表わすが、
このR6と上記のR5とは、母核の一部を含んで環状構造を形成するように一体化してもよいが、このようにして形成された環は、硫黄原子を環の構成原子として含んでもよく、さらにこの環は炭素数1から6のアルキル基を置換基として有していてもよい。
R7は、水素原子、アミノ基、水酸基、チオール基、ハロゲノメチル基、炭素数1から6のアルキル基、炭素数2から6のアルケニル基、炭素数2から6のアルキニル基または炭素数1から6のアルコキシル基を表すが、
このうちのアミノ基は、ホルミル基、炭素数1から6のアルキル基および炭素数2から5のアシル基からなる群の基から選ばれる1以上の基を置換基として有していてもよい。
X1は、ハロゲン原子または水素原子を表わし、
A1は、窒素原子または式(II)
(式中、X2は、水素原子、アミノ基、ハロゲン原子、シアノ基、ハロゲノメチル基、ハロゲノメトキシル基、炭素数1から6のアルキル基、炭素数2から6のアルケニル基、炭素数2から6のアルキニル基または炭素数1から6のアルコキシル基を表すが、
このうちのアミノ基は、ホルミル基、炭素数1から6のアルキル基および炭素数2から5のアシル基からなる群の基から選ばれる1以上の基を置換基として有していてもよく、
さらにこのX2と上記のR5とは、母核の一部を含んで環状構造を形成するように一体化してもよいが、このようにして形成された環は、酸素原子、窒素原子、または硫黄原子を環の構成原子として含んでもよく、さらにこの環は炭素数1から6のアルキル基を置換基として有していてもよい。)
で表わされる部分構造を表わす。
Yは、水素原子、フェニル基、アセトキシメチル基、ピバロイルオキシメチル基、エトキシカルボニル基、コリン基、ジメチルアミノエチル基、5−インダニル基、フタリジニル基、5−アルキル−2−オキソ−1,3−ジオキソール−4−イルメチル基、3−アセトキシ−2−オキソブチル基、炭素数1から6のアルキル基、炭素数2から7のアルコキシメチル基または炭素数1から6のアルキレン基とフェニル基とから構成されるフェニルアルキル基を表わす。}
で表わされる構造を有する化合物である上記の化合物、その塩、およびこれらの水和物;
式(I)においてQが、式
{式中、R5は、炭素数1から6のアルキル基、炭素数2から6のアルケニル基、炭素数1から6のハロゲノアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3から6のシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基、炭素数1から6のアルコキシル基または炭素数1から6のアルキルアミノ基を表わし、
R6は、水素原子または炭素数1から6のアルキルチオ基を表わすが、
このR6と上記のR5とは、母核の一部を含んで環状構造を形成するように一体化してもよいが、このようにして形成された環は、硫黄原子を環の構成原子として含んでもよく、さらにこの環は炭素数1から6のアルキル基を置換基として有していてもよい。
R7は、水素原子、アミノ基、水酸基、チオール基、ハロゲノメチル基、炭素数1から6のアルキル基、炭素数2から6のアルケニル基、炭素数2から6のアルキニル基または炭素数1から6のアルコキシル基を表すが、
このうちのアミノ基は、ホルミル基、炭素数1から6のアルキル基および炭素数2から5のアシル基からなる群の基から選ばれる1以上の基を置換基として有していてもよい。
X1は、ハロゲン原子または水素原子を表わし、
A1は、窒素原子または式(II)
(式中、X2は、水素原子、アミノ基、ハロゲン原子、シアノ基、ハロゲノメチル基、ハロゲノメトキシル基、炭素数1から6のアルキル基、炭素数2から6のアルケニル基、炭素数2から6のアルキニル基または炭素数1から6のアルコキシル基を表すが、
このうちのアミノ基は、ホルミル基、炭素数1から6のアルキル基および炭素数2から5のアシル基からなる群の基から選ばれる1以上の基を置換基として有していてもよく、
さらにこのX2と上記のR5とは、母核の一部を含んで環状構造を形成するように一体化してもよいが、このようにして形成された環は、酸素原子、窒素原子、または硫黄原子を環の構成原子として含んでもよく、さらにこの環は炭素数1から6のアルキル基を置換基として有していてもよい。)
で表わされる構造を表す。
Yは、水素原子、フェニル基、アセトキシメチル基、ピバロイルオキシメチル基、エトキシカルボニル基、コリン基、ジメチルアミノエチル基、5−インダニル基、フタリジニル基、5−アルキル−2−オキソ−1,3−ジオキソール−4−イルメチル基、3−アセトキシ−2−オキソブチル基、炭素数1から6のアルキル基、炭素数2から7のアルコキシメチル基または炭素数1から6のアルキレン基とフェニル基とから構成されるフェニルアルキル基を表わす。}
で表わされる構造を有する化合物である上記の化合物、その塩、およびこれらの水和物;
式(I)においてQが、6−カルボキシ−9−フルオロ−2,3−ジヒドロ−3−(S)−メチル−7−オキソ−7H−ピリド[1,2,3−de][1,4]ベンゾオキサジン−10−イル基
である上記の化合物、その塩、およびこれらの水和物;
式(I)においてQが、5−アミノ−3−カルボキシ−6−フルオロ−1−[2−(S)−フルオロ−1−(R)−シクロプロピル]−1,4−ジヒドロ−8−メチル−4−オキソキノリン−7−イル基
である上記の化合物、その塩、およびこれらの水和物;
式(I)においてQが、3−カルボキシ−6−フルオロ−1−[2−(S)−フルオロ−1−(R)−シクロプロピル]−1,4−ジヒドロ−8−メトキシ−4−オキソキノリン−7−イル基
である上記の化合物、その塩、およびこれらの水和物;
式(I)においてQが、5−アミノ−3−カルボキシ−6,8−ジフルオロ−1−[2−(S)−フルオロ−1−(R)−シクロプロピル]−1,4−ジヒドロ−4−オキソキノリン−7−イル基
である上記の化合物、その塩、およびこれらの水和物;
R5が、ハロゲノシクロプロピル基である上記の化合物、その塩、およびこれらの水和物;
式(I)においてハロゲノシクロプロピル基が1,2−シス−ハロゲノシクロプロピル基である上記の化合物、その塩、およびこれらの水和物;
式(I)において、ハロゲノシクロプロピル基が立体化学的に単一な置換基である上記の化合物、その塩、およびこれらの水和物;
式(I)において、ハロゲノシクロプロピル基が(1R,2S)−2−ハロゲノシクロプロピル基である上記の化合物、その塩、およびこれらの水和物;
式(I)において、ハロゲノシクロプロピル基のハロゲン原子がフッ素原子である上記の化合物、その塩、およびこれらの水和物;
式(I)の化合物が立体的に単一な化合物である上記の化合物、その塩、およびこれらの水和物;
5−アミノ−7−[3−(3−アミノ−1−フルオロシクロブタン−3−イル)ピロリジン−1−イル]−6−フルオロ−1−[2−(S)−フルオロ−1−(R)−シクロプロピル]−8−メチル−1,4−ジヒドロ−4−オキソキノリン−3−カルボン酸、その塩、およびこれらの水和物;
7−[3−(3−アミノ−1−フルオロシクロブタン−3−イル)ピロリジン−1−イル]−6−フルオロ−1−[2−(S)−フルオロ−1−(R)−シクロプロピル]−8−メトキシ−1,4−ジヒドロ−4−オキソキノリン−3−カルボン酸、その塩、およびこれらの水和物;
5−アミノ−7−[3−(3−アミノ−1−フルオロシクロブタン−3−イル)ピロリジン−1−イル]−6,8−ジフルオロ−1−[2−(S)−フルオロ−1−(R)−シクロプロピル]−1,4−ジヒドロ−4−オキソキノリン−3−カルボン酸、その塩、およびこれらの水和物;
7−[3−(3−アミノ−1,1−ジフルオロシクロブタン−3−イル)ピロリジン−1−イル]−6−フルオロ−1−[2−(S)−フルオロ−1−(R)−シクロプロピル]−8−メトキシ−1,4−ジヒドロ−4−オキソキノリン−3−カルボン酸、その塩、およびこれらの水和物;
5−アミノ−7−[3−(3−アミノ−1,1−ジフルオロシクロブタン−3−イル)ピロリジン−1−イル]−6−フルオロ−1−[2−(S)−フルオロ−1−(R)−シクロプロピル]−8−メチル−1,4−ジヒドロ−4−オキソキノリン−3−カルボン酸、その塩、およびこれらの水和物;
上記の化合物、その水和物、塩の化合物、またはその水和物を有効成分とする医薬;
上記の化合物、その水和物、塩の化合物、またはその水和物を有効成分とする抗菌薬;
等に関するものである。
(発明の実施の態様)
本願発明の式(I)で表わされる化合物の置換基について述べる。
置換基R1およびR2は、各々独立して、水素原子、水酸基、ハロゲン原子、カルバモイル基、炭素数1から6のアルキル基、炭素数1から6のアルコキシル基または炭素数1から6のアルキルチオ基を表わし(ただし、R1およびR2が共に水素原子の場合を除く)、このうちのアルキル基は、水酸基、ハロゲン原子および炭素数1から6のアルコキシル基からなる群の基から選ばれる1以上の基を置換基として有していてもよい。
ハロゲン原子としてはフッ素原子または塩素原子が好ましく、フッ素原子が特に好ましい。
アルキル基としては炭素数1から6の直鎖状または分枝状のいずれでもよいが、好ましくは、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基およびイソプロピル基である。
アルコキシル基としては炭素数1から6の直鎖状または分枝状のいずれでもよいが、好ましくは、メトキシル基、エトキシル基である。
アルキルチオ基としては炭素数1から6の直鎖状または分枝状のいずれでもよいが、好ましくはメチルチオ基、エチルチオ基である。
炭素数1から6のアルキル基が水酸基を置換基として有する場合、アルキル基は直鎖状または分枝状のいずれでもよく、また、水酸基の置換位置はアルキル基の末端の炭素原子上に置換したものがより好ましい。水酸基の置換した炭素数1から6のアルキル基として好ましいものは、ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基を挙げることができる。
炭素数1から6のアルキル基がハロゲン原子を置換基として有する場合、アルキル基は炭素数1から6の直鎖状または分枝状のいずれでもよく、ハロゲン原子としてはフッ素原子が好ましい。またフッ素原子の数は、モノ置換からパーフルオロ置換までのいずれでもよい。モノフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基等を例示することができる。
炭素数1から6のアルキル基がアルコキシル基を置換基として有する場合は、いずれのアルキル基部分も直鎖状または分枝状のいずれでもよく、アルコキシメチル基またはアルコキシエチル基が好ましい。さらに好ましくはメトキシメチル基、エトキシメチル基、2−メトキシエチル基を挙げることができる。
本発明の特徴は、式(I)の構造式中のシクロブチル環上にフッ素原子を1個または2個有する点である。
R1およびR2の組み合わせとして特に好ましいのは、R1またはR2の一方が水素原子で他方がフッ素原子、R1およびR2が共にフッ素原子である場合を挙げることができる。なお置換基R1と置換基R2が異なる場合、R1とR2が結合する炭素原子は不斉炭素となって異性体を生ずることになるが、本願発明にはいずれのものも包含される。
置換基R3およびR4は、各々独立に、水素原子または炭素数1から6のアルキル基を表わすが、このアルキル基は、水酸基、ハロゲン原子、炭素数1から6のアルキルチオ基および炭素数1から6のアルコキシル基からなる群の基から選ばれる1以上の基を置換基として有していてもよい。
ここでアルキル基としては炭素数1から6の直鎖状または分枝状のいずれでもよいが、好ましくはメチル基、エチル基、ノルマルプロピル基およびイソプロピル基である。
アルキル基が水酸基を置換基として有する場合、アルキル基は、炭素数1から6の直鎖状または分枝状のいずれでもよく、また、水酸基はアルキル基の末端の炭素原子上に置換したものがより好ましい。水酸基を有するアルキル基としては炭素数3までのものがよく、ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基等が好ましい。
アルキル基がハロゲン原子を置換基として有する場合、アルキル基は炭素数1から6の直鎖状または分枝状のいずれでもよく、ハロゲン原子としてはフッ素原子が好ましい。またフッ素原子の数は、モノ置換からパーフルオロ置換までのいずれでもよい。モノフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基等を例示することができる。
アルキル基がアルキルチオ基を置換基として有する場合、アルキル基は炭素数1から6の直鎖状または分枝状のいずれでもよく、アルキルチオ基も炭素数1から6の直鎖状または分枝状のいずれでもよい。アルキルチオ基を有するアルキル基としてはアルキルチオメチル基、アルキルチオエチル基、アルキルチオプロピル基が好ましく、さらにはアルキルチオ基も炭素数1から3までのものが好ましい。さらに好ましいものとして、メチルチオメチル基、エチルチオメチル基、メチルチオエチル基を挙げることができる。
アルキル基がアルコキシル基を置換基として有する場合、アルキル基は炭素数1から6の直鎖状または分枝状のいずれでもよく、アルコキシル基も炭素数1から6の直鎖状または分枝状のいずれでもよい。アルコキシル基を有するアルキル基としてはアルコキシメチル基、アルコキシエチル基、アルコキシプロピル基が好ましく、さらにはアルコキシル基も炭素数3までのものが好ましい。さらに好ましいものとして、メトキシメチル基、エトキシメチル基、メトキシエチル基を挙げることができる。
nは、1または2の整数を表わす。
Qは、下記式で表される部分構造を表わす。
上記式において、A2およびA3は、各々、窒素原子または炭素原子を表わすが、A2およびA3とこれらが結合している炭素原子とは、部分構造
または、部分構造
を形成するように結合する。
Qとして好ましい構造のものは、式
で表わされる縮合複素環系の部分構造である。
置換基R5は、炭素数1から6のアルキル基、炭素数2から6のアルケニル基、炭素数1から6のハロゲノアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3から6のシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基、炭素数1から6のアルコキシル基または炭素数1から6のアルキルアミノ基である。
ここで、炭素数1から6のアルキル基としてはエチル基が特に好ましい。炭素数2から6のアルケニル基としては、ビニル基、または1−イソプロペニル基が好ましい。炭素数1から6のハロゲノアルキル基としては、2−フルオロエチル基が好ましい。
シクロアルキル基としてはシクロプロピル基が特に好ましく、このシクロアルキル基の置換基としてはハロゲン原子がよく、ハロゲン原子としてはフッ素原子が特に好ましい。
置換基を有してもよいアリール基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、水酸基、アミノ基、ニトロ基、炭素数1から6のアルキル基、炭素数1から6のアルコキシル基等からなる群の基から選ばれる1から3の基を置換基として有していてもよいフェニル基等が挙げられ、フェニル基、2−フルオロフェニル基、4−フルオロフェニル基、2,4−ジフルオロフェニル基、2−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル基、3−アミノ−4,6−ジフルオロフェニル基および4,6−ジフルオロ−3−メチルアミノフェニル基が好ましい。
ヘテロアリール基は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子から選ばれる1以上の異原子を含む、5員環または6員環の芳香族複素環化合物から導かれる置換基である。例えば、ピリジル基、ピリミジル基等を挙げることができる。これらの環上の置換基としては、アルキル基やハロゲン原子等が好ましい。
炭素数1から6のアルコキシル基としてはメトキシル基が好ましい。炭素数1から6のアルキルアミノ基としてはメチルアミノ基が好ましい。
置換基R5としては置換基を有していてもよいシクロアルキル基が好ましい。これらのうちでもシクロプロピル基または2−ハロゲノシクロプロピル基が好ましい。
置換基R5として好ましいものとして挙げたハロゲノシクロプロピル基について詳しく述べる。
置換するハロゲン原子としてはフッ素原子および塩素原子を挙げることができるが、特にフッ素原子が好ましい。
この部分での立体的な環境は、シクロプロパン環に関し、ハロゲン原子とピリドンカルボン酸部分が、シス配置であるのが特に好ましい。
このR5のシス−2−ハロゲノシクロプロピル部分だけでいわゆる対掌体関係の異性体が存在するが、これらのいずれにも強い抗菌活性と高い安全性が認められた。
置換基R6は、水素原子または炭素数1から6のアルキルチオ基を表わすか、あるいはR5とR6とが、母核の一部を含んで(すなわちR5が結合しているA2、およびR6が結合している炭素原子を含む様にして)炭化水素系の環状構造を形成するように一体化してもよい。このようにして形成された環は、硫黄原子を環の構成原子として含んでもよく、さらにこの環は炭素数1から6のアルキル基を置換基として有していてもよい。ここで形成される環は、4員環から6員環の大きさのものでよく、さらにこの環は、飽和でも、部分飽和でもあるいは不飽和のいずれであってもよい。以下に例を示す。
(式中、R56は水素原子またはアルキル基を意味し、A1、Y、X1およびR7は式(I)で定義したものと同じである。)
置換基R7は、水素原子、アミノ基、水酸基、チオール基、ハロゲノメチル基、炭素数1から6のアルキル基、炭素数2から6のアルケニル基、炭素数2から6のアルキニル基または炭素数1から6のアルコキシル基を表わすが、このうちのアミノ基は、ホルミル基、炭素数1から6のアルキル基および炭素数2から6のアシル基からなる群の基から選ばれる、1または2の基を置換基として有していてもよい。
アルキル基としては、炭素数1から6の直鎖状または分枝状のものでよいが、好ましくはメチル基、エチル基、ノルマルプロピル基およびイソプロピル基である。アルケニル基としては、炭素数2から6の直鎖状または分枝状のものでよいが、好ましくはビニル基である。アルキニル基としては、炭素数2から6の直鎖状または分枝状のものでよいが、好ましくはエチニル基である。ハロゲノメチル基のハロゲンとしては、特にフッ素原子が好ましく、その数は1から3でよい。アルコキシル基としては、炭素数1から6のものでよいが、好ましくはメトキシル基である。
置換基R7は、水素原子、アルキル基またはアミノ基が好ましく、これらのうちではメチル基または無置換のアミノ基が好ましい。
置換基R7がアミノ基、水酸基またはチオール基である場合、これらは通常使用されている保護基によって保護されていてもよい。
このような保護基の例としては、例えば、第三級ブトキシカルボニル基、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基類、ベンジルオキシカルボニル基、パラメトキシベンジルオキシカルボニル基、パラニトロベンジルオキシカルボニル基等のアラルキルオキシカルボニル基類、アセチル基、メトキシアセチル基、トリフルオロアセチル基、クロロアセチル基、ピバロイル基、ホルミル基、ベンゾイル基等のアシル基類、第三級ブチル基、ベンジル基、パラニトロベンジル基、パラメトキシベンジル基、トリフェニルメチル基等のアルキル基類又はアラルキル基類、メトキシメチル基、第三級ブトキシメチル基、テトラヒドロピラニル基、2,2,2−トリクロロエトキシメチル基等のエーテル類、トリメチルシリル基、イソプロピルジメチルシリル基、第三級ブチルジメチルシリル基、トリベンジルシリル基、第三級ブチルジフェニルシリル基等のシリル基類を挙げることができる。これらの置換基によって保護された置換基を有する化合物は、特に製造中間体として好ましいものである。
置換基X1は、ハロゲン原子または水素原子であるが、ハロゲン原子の場合はフッ素原子が好ましい。これらのうちではフッ素原子または水素原子が置換基として好ましい。
A1が、式(II)
の部分構造である場合、X2は、水素原子、アミノ基、ハロゲン原子、シアノ基、ハロゲノメチル基、ハロゲノメトキシル基、炭素数1から6のアルキル基、炭素数2から6のアルケニル基、炭素数2から6のアルキニル基または炭素数1から6のアルコキシル基を表すが、このうちのアミノ基は、ホルミル基、炭素数1から6のアルキル基および炭素数2から5のアシル基からなる群の基から選ばれる1または2の基を置換基として有していてもよい。
アルキル基としては炭素数1から6の直鎖状、または分枝状のものでよいが、好ましくは、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基およびイソプロピル基である。アルケニル基としては、炭素数2から6の直鎖状、または分枝状のものでよいが、好ましくはビニル基である。アルキニル基としては、炭素数2から6の直鎖状または分枝状のものでよいが、好ましくはエチニル基である。ハロゲノメチル基のハロゲンとしては、特にフッ素原子が好ましく、その数は1から3でよい。アルコキシル基としては、炭素数1から6のものでよいが、好ましくはメトキシル基である。ハロゲノメトキシル基のハロゲンとしては、特にフッ素原子が好ましく、その数は1から3でよい。
これらの置換基のうちでは、ハロゲン原子、アルキル基およびアルコキシル基が好ましい。さらに好ましいものは、フッ素原子、メチル基およびメトキシル基である。
さらにこのX2と先に述べたR5とは、母核の一部を含んで(すなわち、X2が結合している炭素原子、およびR5が結合しているA2を含む様にして)炭化水素系の環状構造(環の大きさは、4員環から7員環であって、飽和であっても、部分飽和でも、不飽和であってもよい。)を形成するように一体化してもよいが、この様にして形成された環は、酸素原子、窒素原子あるいは硫黄原子を環の構成原子として含んでもよく、さらにこの環は炭素数1から6のアルキル(alkyl)基を置換基として有していてもよい。以下に例を示す。
(式中、Gは酸素原子、硫黄原子またはC=Oを意味し、Y、X1、R6およびR7は式(I)で定義したものと同じである。)
Qとしては、式
であるものが好ましい。
Qが上記の部分構造であって、A1が式(II)の部分構造である場合、R7とX2の組み合わせとして好ましいのは、R7がアミノ基、水素原子、水酸基または炭素数1から6のアルキル基で、X2がハロゲン原子、炭素数1から6のアルキル基、炭素数1から6のアルコキシル基、ハロゲノメトキシル基または水素原子の場合である。
さらに好ましい組み合わせとしてはR7がアミノ基、水素原子、水酸基またはメチル基で、X2がフッ素原子、メチル基、メトキシル基、ジフルオロメトキシル基または水素原子の場合である。
特に好ましい組み合わせとしては、R7がアミノ基、水素原子、水酸基またはメチル基で、X2がフッ素原子、メチル基またはメトキシル基の場合である。
これらのR7およびX2に対して、X1はフッ素原子が好ましい。
置換基X1およびX2が各々ハロゲン原子の場合、X1はフッ素原子が特に好ましく、X2はフッ素原子または塩素原子が好ましい。
Qが、式
であり、A1が式(II)の部分構造である場合、R7とX2の組み合わせとして好ましいのは、R7がアミノ基、水素原子、水酸基または炭素数1から6のアルキル基で、X2がハロゲン原子、炭素数1から6のアルキル基、炭素数1から6のアルコキシル基、ハロゲノメトキシル基または水素原子の場合である。
さらに好ましい組み合わせとしてはR7がアミノ基、水素原子、水酸基またはメチル基で、X2がフッ素原子、メチル基、メトキシル基、ジフルオロメトキシル基または水素原子の場合である。
特に好ましい組み合わせとしては、R7がアミノ基、水素原子、水酸基またはメチル基で、X2がフッ素原子、メチル基またはメトキシル基の場合である。
置換基X1およびX2が各々ハロゲン原子の場合、X1はフッ素原子が特に好ましく、X2はフッ素原子または塩素原子が好ましい。
本発明化合物である式(I)の化合物がジアステレオマーの存在する構造である場合、本発明化合物をヒトや動物に投与する際は単一のジアステレオマーからなるものを投与することが好ましい。この、『単一のジアステレオマーからなる』の『単一』とは、他のジアステレオマーを全く含有しない場合だけでなく、化学的に純粋程度の場合を含むと解される。つまり、物理定数や、生理活性に対して影響がない程度であれば他のジアステレオマーが含まれてもよいと解釈されるのである。
また『立体化学的に単一な』とは、化合物等において不斉炭素原子が含まれるために、異性体関係となる複数種が存在する場合にそれらのうちの1種のみにて構成されたものであることを意味する。この場合においてもこの『単一』に関しては上記と同様に考える。
本発明のピリドンカルボン酸誘導体は遊離体のままでもよいが、酸付加塩としてあるいはカルボキシル基の塩としてもよい。酸付加塩とする場合の例としては、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、リン酸塩等の無機酸塩類、あるいは酢酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、乳酸塩等の有機酸塩類を挙げることができる。
またカルボキシル基の塩としては、例えばリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、またトリエチルアミン塩やN−メチルグルカミン塩、トリス−(ヒドロキシルメチル)アミノメタン塩等で無機塩類、有機塩類の何れでもよい。
またこれらのピリドンカルボン酸誘導体の遊離体や酸付加塩、カルボキシル基の塩は水和物として存在することもある。
一方、カルボン酸部分がエステルであるキノロン誘導体は合成中間体やプロドラッグとして有用である。例えば、アルキルエステル類、ベンジルエステル類、アルコキシアルキルエステル類、フェニルアルキルエステル類およびフェニルエステル類は合成中間体として有用である。
また、プロドラッグとして用いられるエステルとしては、生体内で容易に切断されてカルボン酸の遊離体を生成するようなエステルであり、例えば、アセトキシメチルエステル、ピバロイルオキシメチルエステル、エトキシカルボニルエステル、コリンエステル、ジメチルアミノエチルエステル、5−インダニルエステルおよびフタリジニルエステル、5−アルキル−2−オキソ−1,3−ジオキソール−4−イルメチルエステルそして3−アセトキシ−2−オキソブチルエステル等のオキソアルキルエステルを挙げることができる。
式(I)で表される本発明の化合物は種々の方法により製造されるが、その好ましい一例を挙げれば、例えば、式(III)
[式中、X3はフッ素原子、塩素原子、臭素原子、置換もしくは無置換のフェニルスルホニル基または炭素数が1から3の置換もしくは無置換のアルキルスルホニル基等の脱離基としての機能する置換基を表わし、
Y1は式(I)で定義したYであるか、または式(IV)
−B(Y11)Y12 (IV)
(式中Y11およびY12はフッ素原子あるいは炭素数2から4のアルキルカルボニルオキシ基を表わす。)
で表わされるホウ素含有置換基であり、
R5、R6、R7、A1およびX1は式(I)において定義したものと同じである。]
で表わされる化合物、
または式(V)
[式中、R5、R6、R7、A1、X1、X3およびY1は式(III)で定義したものと同じである。]
で表わされる化合物を、
式(VI)
[式中R31は式(I)で定義したR3と同じであるか、またはアミノ基の保護基を表わし、R1、R2、R4およびnは、式(I)で定義したものと同じである。]
で表わされる化合物あるいはその付加塩と反応させることによって製造することができる。
上記の化合物(VI)は、環状の窒素原子が保護基によって保護されている以下の化合物を脱保護することにより得ることができる。
[式中Q’はアミノ基の保護基を表わし、R31、R1、R2、R4およびnは、式(I)で定義したものと同じである。]
反応は溶媒を使用して、または溶媒を使用せず行うことができる。反応に使用する溶媒は、反応条件下で不活性であればよく、例えばジメチルスルホキシド、ピリジン、アセトニトリル、エタノール、クロロホルム、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、水、3−メトキシブタノール、またはこれらの混合物を挙げることができる。
反応は無機塩基または有機塩基のような酸受容体、例えば、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属炭酸塩または炭酸水素塩、あるいはトリエチルアミン、ピリジン、1,8−ジアザビシクロウンデセン等の有機塩基性化合物の存在下で行うのが好ましい。
反応温度は、通常、室温ないし200℃の温度範囲で実施でき、好ましくは25から150℃の範囲である。反応時間は30分から48時間の範囲でよく、通常は30分から2時間程度で完結する。
アミノ基の保護基としては、この分野で通常使用されている保護基であればよく、例えば、第三級ブトキシカルボニル基、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基類、ベンジルオキシカルボニル基、パラメトキシベンジルオキシカルボニル基、パラニトロベンジルオキシカルボニル基等のアラルキルオキシカルボニル基類、アセチル基、メトキシアセチル基、トリフルオロアセチル基、クロロアセチル基、ピバロイル基、ホルミル基、ベンゾイル基等のアシル基類、第三級ブチル基、ベンジル基、パラニトロベンジル基、パラメトキシベンジル基、トリフェニルメチル基等のアルキル基類、またはアラルキル基類、メトキシメチル基、第三級ブトキシメチル基、テトラヒドロピラニル基、2,2,2−トリクロロエトキシメチル基等のエーテル類、トリメチルシリル基、イソプロピルジメチルシリル基、第三級ブチルジメチルシリル基、トリベンジルシリル基、第三級ブチルジフェニルシリル基等のシリル基類を挙げることができる。
YおよびY1が炭素数1から6のアルキル基、炭素数2から7のアルコキシメチル基、または炭素数1から6のアルキレン基とフェニル基から構成されるフェニルアルキル基の場合、一般にカルボン酸エステルの加水分解に用いる酸性または塩基性条件下で処理することにより相当するカルボン酸に変換することができる。
Y1が式(IV)の構造の場合、化合物(III)または化合物(V)に対し化合物(VI)を反応させた後、酸性または塩基性条件下で処理することにより相当するカルボン酸に変換することができる。
また、脱保護が必要な場合は保護基に対応した適当な条件で保護基を除去して式(I)で示される目的化合物を得ることができる。
式(VI)の化合物は、種々の方法により製造されるが、その好ましい一例として参考例に示す方法で合成されるが、これに限定されるものではない。
単一の異性体からなる式(I)の化合物の合成に好ましい単一の異性体からなるシス−2−フルオロシクロプロピルアミンは、例えば、特開平2−231475号記載の方法で合成できる。この様にして得られた光学活性なシス−2−フルオロシクロプロピルアミン誘導体を原料とする、単一の異性体からなる式(I)の化合物の合成は、例えば、特開平2−231475号記載の方法によって実施することができる。
本発明化合物は強い抗菌作用を有することから人体、動物、および魚類用の医薬として或は農薬、食品の保存剤として使用することができる。
本発明化合物を人体用の医薬として使用する場合、投与量は成人一日当たり50mgから1g、好ましくは100mgから300mgの範囲である。
また動物用としての投与量は、投与の目的(治療或は予防)、処置すべき動物の種類や大きさ、感染した病原菌の種類、程度によって異なるが、一日量として一般的には動物の体重1kg当たり1mgから200mg、好ましくは5mgから100mgの範囲である。
この一日量を一日1回、あるいは2から4回に分けて投与する。また一日量は必要によっては上記の量を超えてもよい。
本発明化合物は各種の感染症の原因となる広範囲の微生物類に対して活性であり、これらの病原体によって引き起こされる疾病を治療し、予防し、または軽減することができる。
本発明化合物が有効なバクテリア類又はバクテリア様微生物類としてブドウ球菌属、化膿レンサ球菌、溶血レンサ球菌、腸球菌、肺炎球菌、ペプトストレプトコッカス属、淋菌、大腸菌、シトロバクター属、シゲラ属、肺炎桿菌、エンテロバクター属、セラチア属、プロテウス属、緑膿菌、インフルエンザ菌、アシネトバクター属、カンピロバクター属、トラコーマクラミジア等を例示することができる。
またこれらの病原体によって引き起こされる疾病としては、毛嚢炎、せつ、よう、丹毒、蜂巣炎、リンパ管(節)炎、ひょう疽、皮下膿瘍、汗腺炎、集簇性ざ瘡、感染性粉瘤、肛門周囲膿瘍、乳腺炎、外傷・熱傷・手術創などの表在性二次感染、咽喉頭炎、急性気管支炎、扁桃炎、慢性気管支炎、気管支拡張症、びまん性汎細気管支炎、慢性呼吸疾患の二次感染、肺炎、腎孟腎炎、膀胱炎、前立腺炎、副睾丸炎、淋菌性尿道炎、非淋菌性尿道炎、胆のう炎、胆管炎、細菌性赤痢、腸炎、子宮付属器炎、子宮内感染、バルトリン腺炎、眼瞼炎、麦粒腫、涙嚢炎、瞼板腺炎、角膜潰瘍、中耳炎、副鼻腔炎、歯周組織炎、歯冠周囲炎、顎炎、腹膜炎、心内膜炎、敗血症、髄膜炎、皮膚感染症等を例示することができる。
また動物の感染症の原因となる各種の微生物、例えば、エシエリキア属、サルモネラ属、パスツレラ属、ヘモフィルス属、ボルデテラ属、スタヒロコッカス属、マイコプラズマ属等に有効である。
具体的な疾病名を例示すると鳥類では大腸菌症、ひな白痢、鶏パラチフス症、家禽コレラ、伝染性コリーザ、ブドウ球菌症、マイコプラズマ感染症等、豚では大腸菌症、サルモネラ症、パスツレラ症、ヘモフィルス感染症、萎縮性鼻炎、滲出性表皮炎、マイコプラズマ感染症等、牛では大腸菌症、サルモネラ症、出血性敗血症、マイコプラズマ感染症、牛肺疫、乳房炎等、犬では大腸菌性敗血症、サルモネラ感染症、出血性敗血症、子宮蓄膿症、膀胱炎等、そして猫では滲出性胸膜炎、膀胱炎、慢性鼻炎、ヘモフィルス感染症、仔猫の下痢、マイコプラズマ感染症等を挙げることができる。
本発明化合物からなる抗菌製剤は、投与法に応じ適当な製剤を選択し、通常用いられている各種製剤の調製法にて調製できる。本発明化合物を主剤とする抗菌製剤の剤型としては例えば錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤や、溶液剤、シロップ剤、エリキシル剤、油性ないし水性の懸濁液等を経口用製剤として例示できる。
注射剤としては、製剤中に安定剤、防腐剤、溶解補助剤を使用することもあり、これらの補助剤を含むこともある溶液を容器に収納後、凍結乾燥等によって固形製剤として用時調製の製剤としても良い。また一投与量を容器に収納しても良く、また多投与量を同一の容器に収納しても良い。
また外用製剤として溶液剤、懸濁液、乳濁液、軟膏、ゲル、クリーム、ローション、スプレー等を例示できる。
固形製剤としては、活性化合物とともに製剤学上許容されている添加物を含んでよく、例えば、充填剤類や増量剤類、結合剤類、崩壊剤類、溶解促進剤類、湿潤剤類、潤滑剤類等を必要に応じて選択して混合し、製剤化することができる。
液体製剤としては、溶液、懸濁液、乳液剤等を挙げることができるが添加剤として懸濁化剤、乳化剤等を含むこともある。
本発明化合物を動物に投与する方法としては直接あるいは飼料中に混合して経口的に投与する方法、また溶液とした後、直接もしくは飲水、飼料中に添加して経口的に投与する方法、注射によって投与する方法等を例示することができる。
本発明化合物を動物に投与するための製剤としては、この分野に於いて通常用いられている技術によって、適宜、散剤、細粒剤、可溶散剤、シロップ剤、溶液剤、あるいは注射剤とすることができる。
次に製剤処方例を示す。
発明を実施するための最良の形態
次に本発明を実施例と参考例により説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
参考例1
1−ベンジルオキシ−3−(第3級ブトキシカルボニルアミノ)−3−イソアミルオキシカルボニルシクロブタン
1−ベンジルオキシ−3−イソアミルオキシカルボニルシクロブタン−3−カルボン酸 46.70g(145.8mmmol)を第3級ブタノール750mlに溶解し、氷冷攪拌下、ジフェニルリン酸アジド34.55ml(160.3mmol)、次いでトリエチルアミン44.70ml(320.7mmol)を加えた。同温で10分攪拌後氷浴を外し、室温下で2時間攪拌した。8時間加熱還流した後、溶媒を減圧下留去した。残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、標記化合物45.28g(79.4%)を得た。
1H-NMR(CDCl3)δ:
0.91(3H,d,J=6.8Hz),0.92(3H,d,J=6.8Hz),1.43(9H,s),1.48-1.57(2H,m),1.63-1.71(1H,m),2.23-2.38(1H,m),2.39-2.52(1H,m),2.55-2.69(1H,m),2.82-2.93(1H,m),4.09-4.28(3H,m),4.44(2H,s),4.92(0.5H,brs),5.12(0.5H,brs),7.28-7.36(5H,m).
参考例2
1−ベンジルオキシ−3−(第3級ブトキシカルボニルアミノ)シクロブタン−3−カルボン酸
1−ベンジルオキシ−3−(第3級ブトキシカルボニルアミノ)−3−イソアミルオキシカルボニルシクロブタン45.28g(115.7mmol)をメタノール300mlに溶解し、氷冷攪拌下、1規定水酸化ナトリウム127ml(127.2mmol)を10分かけて滴下した。10分攪拌後、氷浴を外し、室温下で5時間攪拌した。水200mlを加え、減圧下メタノールを留去した。残さにエーテルを加え分液後、水層をジエチルエーテルで抽出し、エーテル層を水で抽出した。水層を合わせ、氷冷攪拌下10%クエン酸で酸性にし、酢酸エチルを加え分液した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、水層を更に酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後濾過し、減圧下溶媒を留去して標記化合物37.24g(定量的)を得た。本化合物は、精製することなく次の反応に用いた。
参考例3
エチル 3−[1−ベンジルオキシ−3−(第3級ブトキシカルボニルアミノ)シクロブタン−3−イル]−3−オキソプロピオネート
1−ベンジルオキシ−3−(第3級ブトキシカルボニルアミノ)シクロブタン−3−カルボン酸37.24g(115.7mmol)をテトラヒドロフラン300mlに溶解し、氷冷攪拌下、N,N−カルボニルジイミダゾール20.63g(127.2mmol)を加えた。10分攪拌後、氷浴を外し、室温下で3時間攪拌した。反応液に氷冷攪拌下、マグネシウムエチルマロネート36.45g(127.2mmol)のテトラヒドロフラン200ml溶液を滴下した。1時間攪拌後に氷浴を外し、室温下で10時間攪拌した。氷冷攪拌下、反応液に10%クエン酸水溶液を加え、次いで酢酸エチルを加えて分液し、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。更に有機層を飽和食塩水で洗浄した。水層を酢酸エチルで抽出した後に、合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過後、減圧下溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、標記化合物38.84g(85.8%)を得た。
参考例4
エチル 3−[1−ベンジルオキシ−3−(第3級ブトキシカルボニルアミノ)シクロブタン−3−イル]−3−ヒドロキシプロピオネート
エチル 3−[1−ベンジルオキシ−3−(第3級ブトキシカルボニルアミノ)シクロブタン−3−イル]−3−オキソプロピオネート38.84g(99.22mmol)をメタノール300mlに溶解し、氷冷攪拌下、テトラヒドロホウ酸ナトリウム1.617g(42.75mmol)を5回に分けて加えた。同温度で10分攪拌後、飽和塩化アンモニウム水溶液を徐々に加えた。減圧下メタノールを留去し、残さに酢酸エチルを加え分液した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、水層を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過後、減圧下溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、標記化合物35.61g(91.2%)を得た。
参考例5
エチル (E)−3−[1−ベンジルオキシ−3−(第3級ブトキシカルボニルアミノ)シクロブタン−3−イル]アクリレート
エチル 3−[1−ベンジルオキシ−3−(第3級ブトキシカルボニルアミノ)シクロブタン−3−イル]−3−ヒドロキシプロピオネート35.61g(90.50mmol)をジクロロメタン200mlに溶解し、氷冷攪拌下、メタンスルホニルクロリド9.050ml(116.9mmol)、次いでトリエチルアミン37.24ml(267.2mmol)を加えた。2時間攪拌後、ジアザビシクロウンデセン30.60ml(204.6mmol)を加えた。1時間攪拌後に氷浴を外し、室温下で2時間攪拌した。氷冷攪拌下、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えた後、酢酸エチルを加えて分液した。有機層を10%クエン酸水溶液で洗浄後、飽和食塩水で洗浄した。水層を酢酸エチルで抽出後、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。その後濾過し減圧下溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、標記化合物31.07g(91.4%)を得た。
1H-NMR(CDCl3)δ:
1.25-1.30(3H,m),1.42(4.5H,s),1.43(4.5H,s)2.22-2.35(2H,m),2.57-2.72(2H,m),4.01-4.05(0.5H,m),4.07-4.27(m,2.5H),4.48(2H,s),4.81(0.5H,s),4.94(0.5H,brs),5.79(0.5H,d,J=15.5Hz),5.86(0.5H,d,J=15.5Hz),6.98(0.5H,d,J=15.5Hz),7.02(0.5H,d,J=15.5Hz),7.27-7.36(5H,m).
参考例6
エチル 3−[1−ベンジルオキシ−3−(第3級ブトキシカルボニルアミノ)シクロブタン−3−イル]−4−ニトロブタノエート
エチル (E)−3−[1−ベンジルオキシ−3−(第3級ブトキシカルボニルアミノ)シクロブタン−3−イル]アクリレート31.07g(82.75mmol)をニトロメタン300mlに溶解し、氷冷攪拌下、ジアザビシクロウンデセン13.37ml(82.75mmol)を滴下した。10分攪拌後に氷浴を外し、室温下で1時間攪拌した。氷冷攪拌下、反応液に10%クエン酸水溶液を徐々に加え酸性にした後、酢酸エチルを加え分液した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、次いで飽和食塩水で洗浄した。水層を酢酸エチルで抽出し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過後、減圧下溶媒を留去し、標記化合物35.12g(97.2mmol)を得た。本化合物は、精製することなく次の反応に用いた。
参考例7
4−[1−ベンジルオキシ−3−(第3級ブトキシカルボニルアミノ)シクロブタン−3−イル]−2−ピロリドン
エチル 3−[1−ベンジルオキシ−3−(第3級ブトキシカルボニルアミノ)シクロブタン−3−イル]−4−ニトロブタノエート35.12g(80.46mmol)をエタノール700mlに溶解し、ラネーニッケル50mlを窒素雰囲気下加えた。水素に置換した後、50℃で5時間攪拌した。反応液を氷冷した後、セライト濾過し、溶媒を減圧下留去した。得られた残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、標記化合物20.53g(70.8%)を得た。
参考例8
1−ベンジル−4−[1−ベンジルオキシ−3−(第3級ブトキシカルボニルアミノ)シクロブタン−3−イル]−2−ピロリドン
4−[1−ベンジルオキシ−3−(第3級ブトキシカルボニルアミノ)シクロブタン−3−イル]−2−ピロリドン20.53g(56.96mmol)をジメチルホルムアミド200ml、テトラヒドロフラン60mlの混合溶液に溶解し、氷冷攪拌下、60%水素化ナトリウム2.51g(62.7mmol)を徐々に加えた。10分攪拌後に氷浴を外し、室温下で1時間攪拌した。氷冷攪拌下、塩化ベンジル7.21ml(62.7mmol)を滴下し1時間攪拌後、室温下にて12時間攪拌した。氷冷攪拌下、反応液に水を加え、次いで酢酸エチルを加えて分液した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、水層を酢酸エチルで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過後、減圧下溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、1:1のジアステレオマー混合物である標記化合物18.00g(70.1%)を得た。得られた標記化合物を更にシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、ジアステレオマーの関係にある異性体A、および異性体Bを分離し、異性体Bを用いて以下の反応を実施した。
異性体A
1H-NMR(CDCl3)δ:
1.41(9H,s),1.93-2.04(2H,m),2.30-2.52(4H,m),2.92-3.08(1H,m),3.10-3.18(1H,m),3.18-3.27(1H,m),4.10-4.08(1H,m),4.34(1H,d,J=14.6Hz),4.36(2H,s),4.52(1H,d,J=14.6Hz),4.63(1H,s),7.21-7.36(10H,m).
異性体B
1H-NMR(CDCl3)δ:
1.40(9H,s),2.10-2.17(1H,m),2.21-2.37(2H,m),2.41-2.54(3H,m),2.70-2.80(1H,m),3.08-3.20(1H,m),3.20-3.28(1H,m),3.74-3.83(1H,m),4.33(1H,d,J=14.6Hz),4.37(2H,s),4.52(1H,d,J=14.6Hz),4.78(1H,s),7.21-7.35(10H,m).
参考例9
1−ベンジル−4−[3−(第3級ブトキシカルボニルアミノ)−1−ヒドロキシシクロブタン−3−イル]−2−ピロリドン(異性体B)
1−ベンジル−4−[1−ベンジルオキシ−3−(第3級ブトキシカルボニルアミノ)シクロブタン−3−イル]−2−ピロリドン(異性体B)4.86g(10.8mmol)をエタノール140mlに溶解し、水酸化パラジウム−炭素触媒1gを加え、水素圧3気圧にて光照射下、接触還元を1時間行った。触媒を濾去後、溶媒を留去し、残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、標記化合物4.01g(定量的)を得た。更に本成績体のピロリジン4位の不斉炭素に由来するエナンチオマーである異性体B1、および異性体B2の光学分割を下記条件下のHPLCにより実施した。
HPLC条件
カラム:DAICEL CHIRALPACK AD 20x250mm
移動層:ヘキサン:エタノール=1:1
流量:15ml/min
温度:室温
検出:UV(254nm)
1H-NMR(CDCl3)δ:
1.42(9H,s),2.23-2.42(3H,m),4.45-4.68(4H,m),3.03-3.06(1H,m),3.23-3.33(1H,m),3.97-4.07(1H,m),4.38(1H,d,J=14.7Hz),4.49(1H,d,J=14.7Hz),4.72(1H,s,),7.21-7.36(5H,m).
参考例10
1−ベンジル−4−[3−(第3級ブトキシカルボニルアミノ)−1−フルオロシクロブタン−3−イル]−2−ピロリドン(異性体B1)
1−ベンジル−4−[3−(第3級ブトキシカルボニルアミノ)−1−ヒドロキシシクロブタン−3−イル]−2−ピロリドン(異性体B1)1.79g(4.96mmol)をトルエン50ml、ジクロロメタン20mlの混合溶媒に溶解し、氷冷攪拌下、ジエチルアミノ硫黄トリフロリド1.31ml(9.92mmol)を加え、室温にて12時間攪拌した。氷冷攪拌下、反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液をゆっくり加え塩基性とした後、クロロホルムを加え分液し、有機層を飽和食塩水で洗浄した。水層をクロロホルムで再度抽出し、合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過後、減圧下溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製して、標記化合物541mg(30.0%)を得た。
1H-NMR(CDCl3)δ:
1.41(9H,m),2.12-2.24(2H,m),2.30-2.37(1H,m),2.48-2.72(3H,m),2.93-3.05(1H,m),3.16-3.18(1H,m),3.25-3.33(1H,m),4.34(1H,d,J=14.7Hz),4.53(1H,d,J=14.7Hz),4.73(1H,s),5.04-5.11(0.5H,m),5.18-5.25(0.5H,m),7.22-7.36(5H,m).
参考例11
1−ベンジル−4−[3−(第3級ブトキシカルボニルアミノ)−1−フルオロシクロブタン−3−イル]−2−ピロリドン(異性体B2)
1−ベンジル−4−[3−(第3級ブトキシカルボニルアミノ)−1−ヒドロキシシクロブタン−3−イル]−2−ピロリドン(異性体B2)1.79g(4.96mmol)をトルエン50ml、ジクロロメタン20mlの混合溶媒に溶解し、氷冷攪拌下、ジエチルアミノ硫黄トリフロリド1.31ml(9.92mmol)を加え、50℃で12時間加熱攪拌した。氷冷攪拌下、反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液をゆっくり加え塩基性とした後、クロロホルムを加え分液し、有機層を飽和食塩水で洗浄した。水層をクロロホルムで再度抽出し、合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過後、減圧下溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製して、標記化合物964mg(53.6%)を得た。本成績体の1H−NMRデータは、そのエナンチオマーである上記の異性体B1のデータと一致した。
参考例12
1−ベンジル−4−[3−(第3級ブトキシカルボニルアミノ)−1−フルオロシクロブタン−3−イル]−2−ピロリジンチオン(異性体B1)
1−ベンジル−4−[3−(第3級ブトキシカルボニルアミノ)−1−フルオロシクロブタン−3−イル]−2−ピロリドン(異性体B1)517mg(1.43mmol)をトルエン20mlに溶解し、ローソン試薬635mg(1.57mmol)を加え、50℃で3時間攪拌した。減圧下溶媒を留去後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製して、標記化合物485mg(89.5%)を得た。
1H-NMR(CDCl3)δ:
1.41(9H,s),2.04-2.22(2H,m),2.44-2.60(1H,m),2.60-2.73(1H,m),2.80-3.07(2H,m),3.13-3.20(1H,m),3.56-3.63(2H,m),4.59(1H,s),4.76(1H,d,J=14.2Hz),5.02-5.11(0.5H,m),5.11-5.23(1.5H,m),7.27-7.38(5H,m).
参考例13
1−ベンジル−4−[3−(第3級ブトキシカルボニルアミノ)−1−フルオロシクロブタン−3−イル]−2−ピロリジンチオン(異性体B2)
1−ベンジル−4−[3−(第3級ブトキシカルボニルアミノ)−1−フルオロシクロブタン−3−イル]−2−ピロリドン(異性体B2)896mg(2.47mmol)をトルエン20mlに溶解し、ローソン試薬1.10g(2.72mmol)を加え、50℃で3時間攪拌した。減圧下溶媒を留去後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製して、標記化合物833mg(89.1%)を得た。本成績体の1H−NMRデータは、そのエナンチオマーである上記の異性体B1のデータと一致した。
参考例14
1−ベンジル−3−[3−(第3級ブトキシカルボニルアミノ)−1−フルオロシクロブタン−3−イル]ピロリジン(異性体B1)
1−ベンジル−4−[3−(第3級ブトキシカルボニルアミノ−1−フルオロ)シクロブタン−3−イル]−2−ピロリジンチオン(異性体B1)485mg(1.28mmol)をエタノール20mlに溶解し、窒素雰囲気下、氷冷攪拌しながらラネーニッケル2.0mlを加えた。同温で10分攪拌後に氷浴を外し、室温下で2時間攪拌した。反応液をセライト濾過し、減圧下溶媒を溜去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製して、標記化合物310mg(69.5%)を得た。
1H-NMR(CDCl3)δ:
1.49(9H,s),1.57-1.70(2H,m),1.94-2.28(6H,m),2.58-2.63(1H,m),2.70-2.82(1H,m),2.93-3.21(3H,m),3.59(2H,s),5.19-5.22(0.5H,m),5.32-5.41(0.5H,m),7.25-7.33(5H,m).
参考例15
1−ベンジル−3−[3−(第3級ブトキシカルボニルアミノ)−1−フルオロシクロブタン−3−イル]ピロリジン(異性体B2)
1−ベンジル−4−[3−(第3級ブトキシカルボニルアミノ)−1−フルオロシクロブタン−3−イル]−2−ピロリジンチオン(異性体B2)833mg(2.20mmol)をエタノール30mlに溶解し、窒素雰囲気下、氷冷攪拌しながらラネーニッケル1.5mlを加えた。同温で10分攪拌後に氷浴を外し、室温下で2時間攪拌した。反応液をセライト濾過し、減圧下溶媒を溜去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製して、標記化合物677mg(88.2%)を得た。本成績体の1H−NMRデータは、そのエナンチオマーである上記の異性体B1のデータと一致した。
参考例16
3−[3−(第3級ブトキシカルボニルアミノ)−1−フルオロシクロブタン−3−イル]ピロリジン(異性体B1)
1−ベンジル−3−[3−(第3級ブトキシカルボニルアミノ)−1−フルオロシクロブタン−3−イル]ピロリジン(異性体B1)310mg(0.89mmol)をエタノール20mlに溶解し,10%パラジウム−炭素触媒を310mgを加えた。4気圧の水素雰囲気下、光を照射しながら2時間攪拌した。触媒を濾去後、減圧下溶媒溜去して標記化合物233mg(定量的)を得た。本成績体は、精製することなく次の反応に用いた。
参考例17
3−[3−(第3級ブトキシカルボニルアミノ)−1−フルオロシクロブタン−3−イル]ピロリジン(異性体B2)
1−ベンジル−3−[3−(第3級ブトキシカルボニルアミノ)−1−フルオロシクロブタン−3−イル]ピロリジン(異性体B2)677mg(1.92mmol)をエタノール20mlに溶解し,10%パラジウム−炭素触媒を670mgを加えた。4気圧の水素雰囲気下、光を照射しながら2時間攪拌した。触媒を濾去後、減圧下溶媒溜去して標記化合物517mg(定量的)を得た。本成績体は、精製することなく次の反応に用いた。
実施例1
5−アミノ−7−[3−(3−アミノ−1−フルオロシクロブタン−3−イル)ピロリジン−1−イル]−6−フルオロ−1−[2−(S)−フルオロ−1−(R)−シクロプロピル]−8−メチル−1,4−ジヒドロ−4−オキソキノリン−3−カルボン酸(異性体B1)
5−アミノ−6,7−ジフルオロ−1−[2−(S)−フルオロ−1−(R)−シクロプロピル]−8−メチル−1,4−ジヒドロ−4−オキソキノリン−3−カルボン酸281mg(0.90mmol)、および3−[3−(第3級ブトキシカルボニルアミノ)−1−フルオロシクロブタン−3−イル]ピロリジン(異性体B1)233mg(0.89mmol)をジメチルスルホキシド3mlに懸濁し、トリエチルアミン5mlを加え、窒素雰囲気下、外温110℃にて72時間攪拌した。減圧下溶媒を留去し、氷冷攪拌下、残さに濃塩酸を加えた。10分攪拌後、水を加え、水層をクロロホルムで洗浄した。クロロホルム層を1規定塩酸で抽出後、合わせた水層を氷冷攪拌下、飽和水酸化ナトリウム水溶液でpH=12とした。次いで塩酸にてpH=7.4にし、クロロホルムにて抽出した後、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過後、減圧下溶媒を溜去した。残さをプレパラティブ薄層クロマトグラフィーにより精製し、更に2−プロパノールよる再結晶精製を行い、標記化合物142mg(36.0%)を得た。
1H-NMR(0.1N-NaOD)δ:
1.01-1.08(0.5H,m),1.08-1.17(0.5H,m),1.42-1.54(1H,m),1.58-1.74(1H,m),1.93-2.05(1H,m),2.19-2.38(4H,m),2.25(3H,s),2.38-2.52(1H,m),3.19-3.34(2H,m),3.42-3.49(1H,m),3.64-3.77(1H,m),3.83-3.92(1H,m),4.70-4.90(0.5H,m),4.98-5.03(0.5H,m),5.20-5.27(0.5H,m),5.36-5.41(0.5H,m),8.26(1H,d,J=1.9Hz).
元素分析値:C22H25F3N4O3 2 H2O
理論値:C,50.53;H,5.78;N,10.71.
測定値:C,50.15;H,5.30;N,10.69.
実施例2
5−アミノ−7−[3−(3−アミノ−1−フルオロシクロブタン−3−イル)ピロリジン−1−イル]−6−フルオロ−1−[2−(S)−フルオロ−1−(R)−シクロプロピル]−8−メチル−1,4−ジヒドロ−4−オキソキノリン−3−カルボン酸(異性体B2)
5−アミノ−6,7−ジフルオロ−1−[2−(S)−フルオロ−1−(R)−シクロプロピル]−8−メチル−1,4−ジヒドロ−4−オキソキノリン−3−カルボン酸281mg(0.90mmol)、および3−[3−(第3級ブトキシカルボニルアミノ)−1−フルオロシクロブタン−3−イル]ピロリジン(異性体B1)517mg(1.94mmol)をジメチルスルホキシド3.5mlに懸濁し、トリエチルアミン5mlを加え、窒素雰囲気下、外温110℃にて72時間攪拌した。減圧下溶媒を留去し、氷冷攪拌下、残さに濃塩酸を加えた。10分攪拌後、水を加え、水層をクロロホルムで洗浄した。クロロホルム層を1規定塩酸で抽出後、合わせた水層を氷冷攪拌下、飽和水酸化ナトリウム水溶液でpH=12とした。次いで塩酸にてpH=7.4にし、クロロホルムにて抽出した後、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過後、減圧下溶媒を溜去した。残さをプレパラティブ薄層クロマトグラフィーにより精製し、更に2−プロパノールよる再結晶精製を行い、標記化合物194mg(22.2%)を得た。
1H-NMR(0.1N-NaOD)δ:
1.10-1.22(1H,m),1.44-1.55(1H,m),1.67-1.78(1H,m),1.96-2.04(1H,m),2.20-2.37(4H,m),2.31(3H,s),2.44-2.56(1H,m),3.15-3.22(1H,m),3.33-3.41(1H,m),3.44-3.57(2H,m),3.89-3.94(1H,m),4.75-4.85(0.5H,m),4.95-5.00(0.5H,m),5.18-5.22(0.5H,m),5.31-5.38(0.5H,m),
8.29(1H,d,J=1.6Hz).
元素分析値:C22H25F3N4O3 0.5 H2O
理論値:C,57.51;H,5.70;N,12.19.
測定値:C,57.30;H,5.67;N,12.14.
参考例18
1−ベンジル−4−[3−(第3級ブトキシカルボニルアミノ)−1−オキソシクロブタン−3−イル]−2−ピロリドン
1−ベンジル−4−[3−(第3級ブトキシカルボニルアミノ)−1−ヒドロキシシクロブタン−3−イル]−2−ピロリドン4.89g(13.6mmol)をジメチルスルホキシド100mlに溶解し、氷冷攪拌下、トリエチルアミン6.24ml(44.8mmol)、次いで三酸化硫黄−ピリジン錯体6.47g(10.7mmol)を加えた後、室温にて14時間攪拌した。氷冷攪拌下、反応液に水を加え、更に酢酸エチルを加えて分液を行った。有機層を飽和食塩水で洗浄後、水層を酢酸エチルで抽出し、合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過後、溶媒を留去し、得られた残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、標記化合物4.69g(96.3%)を得た。更に本成績体のピロリジン4位の不斉炭素に由来するエナンチオマーである異性体F1、および異性体F2の光学分割を下記条件下のHPLCにより実施した。
HPLC条件
カラム:DAICEL CHIRALPACK AD 20x250mm
移動層:ヘキサン:エタノール:メタノール=2:1:1
流量:15ml/min
温度:室温
検出:UV(254nm)
1H-NMR(CDCl3)δ:
1.43(9H,s),2.35(1H,dd,J=17.1,7.3Hz),2.62(1H,dd,J=17.1,9.3Hz),2.95-3.05(3H,m),3.13-3.18(1H,m),3.22-3.39(4H,m),4.36(1H,d,J=14.2Hz),4.53(lH,d,J=14.2Hz),4.98(1H,s),7.22-7.37(5H,m).
参考例19
1−ベンジル−4−[3−(第3級ブトキシカルボニルアミノ)−1,1−ジフルオロシクロブタン−3−イル]−2−ピロリドン(異性体F1)
1−ベンジル−4−[3−(第3級ブトキシカルボニルアミノ)−1−オキソシクロブタン−3−イル]−2−ピロリドン(異性体F1)2.30g(6.42mmol)をテトラヒドロフラン30mlに溶解し、氷冷攪拌下、ジエチルアミノ硫黄トリフロリド3.40ml(25.7mmol)を加え、60℃で48時間加熱攪拌した。氷冷攪拌下、反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液をゆっくり加え塩基性とした。クロロホルムを加え分液し、有機層を飽和食塩水で洗浄した。水層をクロロホルムで再度抽出し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過後、減圧下溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製して、標記化合物927mg(38.0%)を得た。
1H-NMR(CDCl3)δ:
1.42(9H,s),2.32(1H,d,J=17.6,7.3Hz),2.53-2.64(3H,m),2.64-2.90(2H,m),2.92-3.03(1H,m),3.08-3.18(1H,m),3.27-3.35(1H,m),4.35(1H,d,J=15.7Hz),4.53(1H,d,J=15.7Hz),4.73(1H,s),7.22-7.36(5H,m).
参考例20
1−ベンジル−4−[3−(第3級ブトキシカルボニルアミノ)−1,1−ジフルオロシクロブタン−3−イル]−2−ピロリドン(異性体F2)
1−ベンジル−4−[3−(第3級ブトキシカルボニルアミノ)−1−オキソシクロブタン−3−イル]−2−ピロリドン(異性体F2)2.16g(6.01mmol)をテトラヒドロフラン30mlに溶解し、氷冷攪拌下、ジエチルアミノ硫黄トリフロリド3.18ml(24.1mmol)を加え、60℃で48時間加熱攪拌した。氷冷攪拌下、反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液をゆっくり加え塩基性とした。クロロホルムを加え分液し、有機層を飽和食塩水で洗浄した。水層をクロロホルムで再度抽出し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過後、減圧下溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製して、標記化合物825mg(36.1%)を得た。本成績体の1H−NMRデータは、そのエナンチオマーである上記の異性体F1のデータと一致した。
参考例21
1−ベンジル−3−[3−(第3級ブトキシカルボニルアミノ)−1,1−ジフルオロシクロブタン−3−イル]ピロリジン(異性体F1)
窒素雰囲気下、1−ベンジル−4−[3−(第3級ブトキシカルボニルアミノ)−1,1−ジフルオロシクロブタン−3−イル]−2−ピロリドン(異性体F1)927mg(2.44mmol)をテトラヒドロフラン20mlに溶解し、氷冷攪拌しながらボラン−テトラヒドロフラン錯体1.0規定テトラヒドロフラン溶液7.31mlを加えた。10分後、氷浴を外し室温で18時間攪拌した。減圧下溶媒を留去後、残さに80%エタノール30ml、およびトリエチルアミン3mlを加え、2時間加熱還流した。減圧下溶媒を留去し、酢酸エチル、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え分液した。更に飽和食塩水で有機層を洗浄後、水層を酢酸エチルで抽出し、合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過後、減圧下溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製して、標記化合物501mg(56.1%)を得た。
1H-NMR(CDCl3)δ:
1.50(9H,s),1.60-1.73(1H,m),1.97-2.07(1H,m),2.07-2.17(1H,m),2.17-2.24(1H,m),2.24-2.36(2H,m),2.44-2.50(1H,m),2.75-2.79(1H,m),2.99-3.09(1H,m),3.35-3.60(4H,m),7.25-7.33(5H,m).
参考例22
1−ベンジル−3−[3−(第3級ブトキシカルボニルアミノ)−1,1−ジフルオロシクロブタン−3−イル]ピロリジン(異性体F2)
窒素雰囲気下、1−ベンジル−4−[3−(第3級ブトキシカルボニルアミノ)−1,1−ジフルオロシクロブタン−3−イル]−2−ピロリドン(異性体F2)825mg(2.17mmol)をテトラヒドロフラン20mlに溶解し、氷冷攪拌しながらボラン−テトラヒドロフラン錯体1.0規定テトラヒドロフラン溶液6.51mlを加えた。10分後、氷浴を外し室温で18時間攪拌した。減圧下溶媒を留去後、残さに80%エタノール30ml、およびトリエチルアミン3mlを加え、2時間加熱還流した。減圧下溶媒を留去し、酢酸エチル、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え分液した。更に飽和食塩水で有機層を洗浄後、水層を酢酸エチルで抽出し、合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過後、減圧下溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製して、標記化合物494mg(62.2%)を得た。本成績体の1H−NMRデータは、そのエナンチオマーである上記の異性体F1のデータと一致した。
参考例23
3−[3−(第3級ブトキシカルボニルアミノ)−1,1−ジフルオロシクロブタン−3−イル]ピロリジン(異性体F1)
1−ベンジル−3−[3−(第3級ブトキシカルボニルアミノ)−1,1−ジフルオロシクロブタン−3−イル]ピロリジン(異性体F1)317mg(0.87mmol)をエタノール20mlに溶解し、10%パラジウム−炭素触媒350mgを加えた。4気圧の水素雰囲気下、光を照射しながら2時間攪拌した。触媒を濾去後、減圧下溶媒溜去して標記化合物239mg(定量的)を得た。本成績体は、精製することなく次の反応に用いた。
参考例24
3−[3−(第3級ブトキシカルボニルアミノ)−1,1−ジフルオロシクロブタン−3−イル]ピロリジン(異性体F2)
1−ベンジル−3−[3−(第3級ブトキシカルボニルアミノ)−1,1−ジフルオロシクロブタン−3−イル]ピロリジン(異性体F2)183mg(0.50mmol)をエタノール20mlに溶解し,10%パラジウム−炭素触媒183mgを加えた。4気圧の水素雰囲気下、光を照射しながら2時間攪拌した。触媒を濾去後、減圧下溶媒溜去して標記化合物153mg(定量的)を得た。本成績体は、精製することなく次の反応に用いた。
実施例3
7−[3−(3−アミノ−1,1−ジフルオロシクロブタン−3−イル)ピロリジン−1−イル]−6−フルオロ−1−[2−(S)−フルオロ−1−(R)−シクロプロピル]−8−メトキシ−1,4−ジヒドロ−4−オキソキノリン−3−カルボン酸(異性体F1)
6,7−ジフルオロ−1−[2−(S)−フルオロ−1−(R)−シクロプロピル]−8−メトキシ−1,4−ジヒドロ−4−オキソキノリン−3−カルボン酸BF2キレート181mg(0.50mmol)、および3−[3−(第3級ブトキシカルボニルアミノ)−1,1−ジフルオロシクロブタン−3−イル]ピロリジン(異性体F1)138mg(0.50mmol)をジメチルスルホキシド1.5mlに懸濁し、トリエチルアミン0.21mlを加え、窒素雰囲気下、外温45℃にて48時間攪拌した。減圧下溶媒を留去し、氷冷攪拌下、残さに水を加えて析出した結晶を濾取後、80%エタノール30mlに溶解し、トリエチルアミン3mlを加え、2時間加熱還流した。溶媒を留去後、氷冷攪拌下、残さに濃塩酸を加えた。10分攪拌後、水を加え、水層をクロロホルムで洗浄した。クロロホルム層を1規定塩酸で抽出後、合わせた水層を氷冷攪拌下、飽和水酸化ナトリウム水溶液でpH=12とした。次いで塩酸にてpH=7.4にし、クロロホルムにて抽出した後、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過後、減圧下溶媒を溜去した。残さをプレパラティブ薄層クロマトグラフィーにより精製し、更に2−プロパノールよる再結晶精製を行い、標記化合物165mg(70.4%)を得た。
1H-NMR(0.1N-NaOD)δ:
1.32-1.46(1H,m),1.46-1.58(1H,m),1.70-1.82(1H,m),2.04-2.13(1H,m),2.43-2.64(3H,m),2.73-2.84(2H,m),3.43-3.53(1H,m),3.53-3.65(2H,m),3.57(3H,s),3.65-3.73(1H,m),3.95-4.04(1H,m),4.88-4.93(0.5H,m),5.07-5.11(0.5H,m),7.65(1H,d,J=14.2Hz),8.40(1H,s).
元素分析値:C22H23F4N3O4 0.25 H2O
理論値:C,55.75;H,5.00;N,8.87.
測定値:C,55.62;H,4.86;N,8.70.
実施例4
7−[3−(3−アミノ−1,1−ジフルオロシクロブタン−3−イル)ピロリジン−1−イル]−6−フルオロ−1−[2−(S)−フルオロ−1−(R)−シクロプロピル]−8−メトキシ−1,4−ジヒドロ−4−オキソキノリン−3−カルボン酸(異性体F2)
6,7−ジフルオロ−1−[2−(S)−フルオロ−1−(R)−シクロプロピル]−8−メトキシ−1,4−ジヒドロ−4−オキソキノリン−3−カルボン酸BF2キレート181mg(0.50mmol)、および3−[3−(第3級ブトキシカルボニルアミノ)−1,1−ジフルオロシクロブタン−3−イル]ピロリジン(異性体F2)138mg(0.50mmol)をジメチルスルホキシド1.5mlに懸濁し、トリエチルアミン0.21mlを加え、窒素雰囲気下、外温45℃にて48時間攪拌した。減圧下溶媒を留去し、氷冷攪拌下、残さに水を加えて析出した結晶を濾取後、80%エタノール30mlに溶解し、トリエチルアミン3mlを加え、2時間加熱還流した。溶媒を留去後、氷冷攪拌下、残さに濃塩酸を加えた。10分攪拌後、水を加え、水層をクロロホルムで洗浄した。クロロホルム層を1規定塩酸で抽出後、合わせた水層を氷冷攪拌下、飽和水酸化ナトリウム水溶液でpH=12とした。次いで塩酸にてpH=7.4にし、クロロホルムにて抽出した後、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過後、減圧下溶媒を溜去した。残さをプレパラティブ薄層クロマトグラフィーにより精製し、更に2−プロパノールよる再結晶精製を行い、標記化合物149mg(63.2%)を得た。
1H-NMR(0.1N-NaOD)δ:
1.50-1.78(3H,m),2.02-2.12(1H,m),2.41-2.62(3H,m),2.73-2.86(2H,m),3.40-3.63(3H,m),3.57(3H,s),3.72-3.83(1H,m),3.99-4.08(1H,m),4.82-4.90(0.5H,m),4.93-5.00(0.5H,m),7.65(1H,d,J=14.3Hz),8.47(1H,s).
元素分析値:C22H23F4N3O4 0.25 H2O
理論値:C,55.75;H,5.00;N,8.87.
測定値:C,55.55;H,4.82;N,8.67.
実施例5
5−アミノ−7−[3−(3−アミノ−1,1−ジフルオロシクロブタン−3−イル)ピロリジン−1−イル]−6−フルオロ−1−[2−(S)−フルオロ−1−(R)−シクロプロピル]−8−メチル−1,4−ジヒドロ−4−オキソキノリン−3−カルボン酸(異性体F1)
5−アミノ−6,7−ジフルオロ−1−[2−(S)−フルオロ−1−(R)−シクロプロピル]−8−メチル−1,4−ジヒドロ−4−オキソキノリン−3−カルボン酸312mg(1.00mmol)、および3−[3−(第3級ブトキシカルボニルアミノ)−1,1−ジフルオロシクロブタン−3−イル]ピロリジン(異性体F1)239mg(0.87mmol)をジメチルスルホキシド2mlに懸濁し、トリエチルアミン5mlを加え、窒素雰囲気下、外温110℃にて96時間攪拌した。減圧下溶媒を留去し、氷冷攪拌下、残さに濃塩酸を加えた。10分攪拌後、水を加え、水層をクロロホルムで洗浄した。クロロホルム層を1規定塩酸で抽出後、合わせた水層を氷冷攪拌下、飽和水酸化ナトリウム水溶液でpH=12とした。次いで塩酸にてpH=7.4にし、クロロホルムにて抽出した後、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過後、減圧下溶媒を溜去した。残さをプレパラティブ薄層クロマトグラフィーにより精製し、更に2−プロパノールよる再結晶精製を行い、標記化合物191mg(46.0%)を得た。
1H-NMR(0.1N-NaOD)δ:
1.03-1.17(1H,m),1.43-1.54(1H,m),1.64-1.75(1H,m),2.00-2.12(1H,m),2.27(3H,s),2.41-2.63(3H,m),2.70-2.83(2H,m),3.28-3.36(2H,m),3.41-3.50(1H,m),3.69-3.79(1H,m),3.89-3.95(1H,m),4.70-4.90(0.5H,m),4.96-5.05(0.5H,m),8.25(1H,s).
元素分析値:C22H24F4N4O3 0.5 H2O
理論値:C,55.34;H,5.28;N,11.73.
測定値:C,55.06;H,5.16;N,11.34.
実施例6
7−[3−(3−アミノ−1−フルオロ−シクロブタン−3−イル)−ピロリジン−1−イル]−6−フルオロ−1−[2−(S)−フルオロ−1−(R)−シクロプロピル]−8−メトキシ−1,4−ジヒドロ−4−オキソキノリン−3−カルボン酸(異性体B1)
6,7−ジフルオロ−1−[2−(S)−フルオロ−1−(R)−シクロプロピル]−8−メトキシ−1,4−ジヒドロ−4−オキソキノリン−3−カルボン酸BF2キレート361mg(1.00mmol)、および3−[3−(第3級ブトキシカルボニルアミノ)−1−フルオロシクロブタン−3−イル]ピロリジン(異性体B1)274mg(1.00mmol)をジメチルスルホキシド3.0mlに懸濁し、トリエチルアミン0.42mlを加え外温40℃で48時間攪拌した。減圧下溶媒を溜去し、氷冷攪拌下、残さに水を加えた。析出した結晶を濾取し、得た結晶を80%エタノール50mlに溶解し、トリエチルアミン10mlを加え2時間加熱還流した。溶媒を溜去し、氷冷攪拌下残さに濃塩酸を加えた。10分攪拌後水、およびクロロホルムを加えて分液した。水層を更に2回クロロホルムで抽出し、合わせたクロロホルム層を1N塩酸で抽出した。水層を合わせ、氷冷攪拌下、飽和水酸化ナトリウム水溶液でpH=12とした後に、1N塩酸でpH=7.4にし、クロロホルムにて2回抽出した。無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、濾過し、減圧下にて溶媒を溜去した。残さをプレパラティブ薄層クロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール:水=7:3:1の下層にて展開)により精製し、得た粗結晶を2−プロパノールより再結晶精製して標記化合物290mg(0.635mmol)を得た。
1H-NMR(0.1N NaOD)δ:
1.30-1.45(1H,m),1.45-1.61(1H,m),1.68-1.82(1H,m),2.00-2.09(1H,m),2.25-2.43(4H,m),2.44-2.56(1H,m),3.45-3.63(3H,m),3.58(3H,s),3.63-3.74(1H,m),3.92-4.03(1H,m),4.90-4.96(0.5H,m),5.05-5.11(0.5H,m),5.22-5.30(0.5H,m),5.37-5.43(0.5H,m),7.65(1H,d,J=14.2Hz),8.40(1H,m).
元素分析値:C22H24F3N3O4 0.25 H2O
理論値:C,57.95;H,5.42;N,9.22.
測定値:C,58.02;H,5.40;N,9.07.
実施例7
5−アミノ−7−[3−(3−アミノ−1−フルオロ−シクロブタン−3−イル)−ピロリジン−1−イル]−6,8−ジフルオロ−1−[2−(S)−フルオロ−1−(R)−シクロプロピル]−1,4−ジヒドロ−4−オキソキノリン−3−カルボン酸(異性体B1)
5−アミノ−1−[2−(S)−フルオロ−1−(R)−シクロプロピル]−8−メチル−1,4−ジヒドロ−4−オキソ−6,7,8−トリフルオロ−キノリン−3−カルボン酸183mg(0.574mmol)、および3−[3−(第3級ブトキシカルボニルアミノ)−1−フルオロシクロブタン−3−イル]ピロリジン(異性体B1)148mg(0.574mmol)をアセトニトリル10mlに懸濁し、トリエチルアミン5mlを加え、48時間加熱還流した。減圧下溶媒を溜去し、氷冷攪拌下、残さに濃塩酸を加えた。10分攪拌後、水およびクロロホルムを加えて分液した。水層を更に2回クロロホルムで抽出し、合わせたクロロホルム層を1N塩酸で抽出した。水層を合わせ、氷冷攪拌下、飽和水酸化ナトリウム水溶液でpH=12とした後に、1N塩酸でpH=7.4にし、クロロホルムにて2回抽出した。無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、濾過し、減圧下にて溶媒を溜去した。残さをプレパラティブ薄層クロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール:水=7:3:1の下層にて展開)により精製し、得た2−プロパノールより再結晶精製して標記化合物121mg(0.266mmol)を得た。
1H-NMR(0.1N NaOD)δ:
1.42-1.67(3H,m),1.93-2.02(1H,m),2.17-2.43(5H,m),3.40-3.60(3H,m),3.65-3.76(2H,m),4.80-5.02(1H,m),5.18-5.25(0.5H,m),5.30-5.40(0.5H,m),8.15(1H,s).
元素分析値:C21H22F4N4O3 0.5 H2O
理論値:C,54.43;H,5.00;N,12.09.
測定値:C,54.54;H,5.00;N,11.79.
参考例25
エチル 3−[1−ベンジルオキシ−3−(イソアミルオキシカルボニル)シクロブタン−3−イル]−3−オキソプロピオネート
1−ベンジルオキシ−3−(イソアミルオキシカルボニル)シクロブタン−3−カルボン酸21.49g(67.08mmol)をテトラヒドロフラン200mlに溶解し、氷冷攪拌下、N,N−カルボニルジイミダゾール13.05g(80.49mmol)を加えた。10分攪拌後、氷浴を外し、室温下にて3時間攪拌した。反応液に氷冷攪拌下、マグネシウムエチルマロネート23.06g(180.49mmol)のテトラヒドロフラン100ml溶液を滴下した。1時間攪拌後、氷浴を外し室温下、10時間攪拌した。氷冷攪拌下、反応液に10%クエン酸水溶液を加え、次いで酢酸エチルを加えて分液し、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濾過し、減圧下にて溶媒を溜去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=2:1溶出部)にて精製し、標記化合物11.37g(29.12mmol)を得た。
1H-NMR(CDCl3)δ:
0.86-0.95(6H,m),1.21-1.36(4H,m),1.48-1.56(2H,m),1.61-1.70(1H,m),2.48-2.56(2H,m),2.70-2.86(2H,m),3.49-3.53(1H,m),4.12-4.29(5H,m),4.41(2H,s),7.26-7.36(5H,m).
参考例26
エチル 3−[1−ベンジルオキシ−3−(イソアミルオキシカルボニル)シクロブタン−3−イル]−3−ヒドロキシプロピオネート
エチル 3−[1−ベンジルオキシ−3−(イソアミルオキシカルボニル)シクロブタン−3−イル]−3−オキソプロピオネート11.37g(29.12mmol)をメタノール100mlに溶解し、氷冷攪拌下、テトラヒドロホウ酸ナトリウム441mg(11.65mmol)を加えた。同温度で10分攪拌後、飽和塩化アンモニウム水溶液を徐々に加えた。減圧下メタノールを溜去し、残さに酢酸エチルを加え分液した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過後、減圧下にて溶媒を溜去し、標記化合物11.41g(29.07mmol)を得た。本成績体は、精製することなく、次の反応に使用した。
参考例27
エチル (E)−3−[1−ベンジルオキシ−3−(イソアミルオキシカルボニル)シクロブタン−3−イル]アクリレート
粗エチル 3−[1−ベンジルオキシ−3−(イソアミルオキシカルボニル)シクロブタン−3−イル]−3−ヒドロキシプロピオネート11.41g(29.07mmol)をジクロロメタン100mlに溶解し、氷冷攪拌下、塩化メタンスルホニル2.70ml(34.9mmol)、次いでトリエチルアミン10.13ml(72.68mmol)を加えた。2時間攪拌後、ジアザビシクロウンデセン9.56ml(72.7mmol)を加えた。1時間攪拌後、室温下にて更に2時間攪拌した。氷冷攪拌下、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えた後、酢酸エチルを加えて分液した。有機層を10%クエン酸水溶液、次いで飽和食塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濾過し、減圧下にて溶媒を溜去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=2:1溶出部)にて精製し、標記化合物9.46g(25.26mmol)を得た。
1H-NMR(CDCl3)δ:
0.89-0.92(6H,m),1.24-1.36(4H,m),1.48-1.56(2H,m),1.61-1.70(1H,m),2.19-2.25(1H,m),2.23-2.38(1H,m),2.48-2.54(1H,m),2.58-2.63(1H,m),2.78-2.86(1H,m),4.12-4.29(5H,m),4.41(2H,s),5.83-5.93(1H,m),7.11-7.18(1H,m),7.26-7.39(5H,m).
参考例28
エチル 3−[1−ベンジルオキシ−3−(イソアミルオキシカルボニル)シクロブタン−3−イル]−4−ニトロブタノエート
エチル (E)−3−[1−ベンジルオキシ−3−(イソアミルオキシカルボニル)シクロブタン−3−イル]アクリレート(9.46g(25.3mmol)をニトロメタン50mlに溶解し、氷冷攪拌下、ジアザビシクロウンデセン3.78ml(25.3mmol)を滴下し10分攪拌後、室温下にて1時間攪拌した。氷冷攪拌下、反応液に10%クエン酸水溶液を徐々に加え酸性にした後、酢酸エチルを加え分液した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄後、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過後、減圧下にて溶媒を留去し、標記化合物11.45g(25.26mmol)を得た。本成績体は、精製することなく、次の反応に使用した。
参考例29
4−[1−ベンジルオキシ−3−(イソアミルオキシカルボニル)シクロブタン−3−イル]−2−ピロリドン
粗エチル 3−[1−ベンジルオキシ−3−(イソアミルオキシカルボニル)シクロブタン−3−イル]−4−ニトロブタノエート11.45g(25.26mmol)をエタノール200mlに溶解し、ラネーニッケル10mlを窒素雰囲気下加えた。水素で窒素を置換した後、水素雰囲気下、50℃で5時間攪拌した。反応液を氷冷した後、セライト濾過し、溶媒を減圧下溜去し、表記化合物6.51g(19.5mmol)を得た。本成績体は、精製することなく、次の反応に使用した。
参考例30
1−ベンジル−4−[1−ベンジルオキシ−3−(エトキシカルボニル)シクロブタン−3−イル)−2−ピロリドン
粗4−[1−ベンジルオキシ−3−(イソアミルオキシカルボニル)シクロブタン−3−イル]−2−ピロリドン6.51g(19.5mmol)をジメチルホルムアミド45ml、テトラヒドロフラン45mlの混合溶液に溶解し、氷冷攪拌下、60%油性水素化ナトリウム935mg(23.4mmol)を徐々に加えた。10分攪拌後、室温にて更に1時間攪拌した後、氷冷攪拌下、塩化ベンジル2.80ml(23.4mmol)を滴下した。1時間攪拌後、室温えて分液した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。
濾過後、減圧下にて溶媒を留去し、油状物を得た。この油状物をエタノール100mlに溶解後、氷冷下、10N水酸化ナトリウム水溶液を20ml滴下し、室温にて14時間攪拌した。エタノールを減圧留去後、残さに水(20ml)を加え、氷冷下、濃塩酸にて酸性とした。ジエチルエーテル(100mlx3)にて抽出後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。ろ過後、減圧濃縮して得たれた残さをエタノール180mlに溶解し、p−トルエンスルホン酸・1水和物4.55g(23.9mmol)を徐々に加えた後、3時間加熱還流した。反応液を濃縮後、飽和重曹水を加え、クロロホルムで抽出した後、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過後、減圧下溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=2:1溶出部)にて精製し、ジアステレオマー混合物である標記化合物2.20gを得た。得られた標記化合物を更にシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=4:1溶出部)に付し、ジアステレオマーの関係にある異性体A 0.76g、および異性体B 1.44gを分離し、異性体Aを用いて以下の反応を実施した。
異性体A
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ:
1.21(3H,d,J=7.13Hz),1.97-2.13(2H,m),2.16(1H,dd,J=10.75,16.12Hz),2.40-2.67(4H,m),2.85(1H,dd,J=5.86,9.76Hz),3.39(1H,dd,J=7.33,10,25Hz),4.09(1H,q,J=3.13Hz),4.39-4.49(5H,m),7.19-7.52(10H,m).
異性体B
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ:
1.21(3H,d,J=7.33Hz),2.17-2.26(3H,m),2.39-2.62(4H,m),2.81(1H,dd,J=5.13,9.77Hz),3.35(1H,dd,J=6.84,9.77Hz),4.00-4.11(3H,m),4.38-4.49(4H,m),7.17-7.35(10H,m).
参考例31
1−ベンジル−4−[3−(エトキシカルボニル)−1−ヒドロキシシクロブタン−3−イル]−2−ピロリドン(異性体A)
1−ベンジル−4−[1−ベンジルオキシ−3−(エトキシカルボニル)シクロブタン−3−イル)−2−ピロリドン(異性体A)524mg(1.29mmol)をエタノール20mlに溶解し、水酸化パラジウム−炭素触媒530mgを加え、水素圧5気圧にて光照射下、接触還元を1.5時間行った。触媒を濾去後、溶媒を留去し、残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール95:5=溶出部)にて精製し、標記化合物454mg(定量的)を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ:
1.23(3H,d,J=7.32Hz),1.93-2.05(3H,m),2.19(1H,dd,J=9.77,15.62Hz),2.46-2.60(3H,m),2.67-2.73(1H,m),2.84(1H,dd,J=5.86,10.26Hz),3.39(1H,dd,J=7.32,9.77Hz),4.08-4.14(2H,m),4.41,4.46(each 1H,ABq,J=14.65Hz),4.69-4.77(1H,m),7.19-7.35(5H,m).
参考例32
1−ベンジル−4−[3−(エトキシカルボニル)−1−フルオロシクロブタン−3−イル]−2−ピロリドン(異性体A)
1−ベンジル−4−[3−(エトキシカルボニル)−1−ヒドロキシシクロブタン−3−イル]−2−ピロリドン(異性体A)495mg(1.56mmol)をトルエン12ml、ジクロロメタン6mlの混合溶媒に溶解し、氷冷攪拌下、ジエチルアミノ硫黄トリフロリド839μl(6.24mmol)を加え、40℃にて20時間攪拌した。氷冷攪拌下、反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液をゆっくり加え塩基性とした後、クロロホルムを加え分液し、有機層を飽和食塩水で洗浄した。水層をクロロホルムで再度抽出し、合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過後、減圧下溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=2:1溶出部)にて精製して、標記化合物400mg(80.0%)を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ:
1.24(3H,t,J=7.08Hz),2.16-2.27(3H,m),2.52-2.61(3H,m),2.85-2.89(1H,m),2.87(1H,dd,J=6.11,10.01Hz),3.42(1H,dd,J=7.08,10.01Hz),4.08-4.16(2H,m),4.40,4.46(each 1H,ABq,J=14.65Hz),5.38(1H,br.d,J=56.6Hz),7.28-7.35(5H,m).
参考例33
1−ベンジル−4−[3−(カルボキシル)−1−フルオロシクロブタン−3−イル]−2−ピロリドン(異性体A)
1−ベンジル−4−[3−(エトキシカルボニル)−1−フルオロシクロブタン−3−イル]−2−ピロリドン(異性体A)400mg(1.25mmol)をエタノール10mlに溶解し,氷冷下10N水酸化ナトリウム水溶液625μlを滴下した。室温にて16時間攪拌後、エタノールを減圧留去した。残留物に濃塩酸水溶液を滴下して酸性とした後、クロロホルム(50mlx2)、次いでジエチルエーテル30mlにて抽出し、合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。ろ過後、ろ液を減圧濃縮して398mg(定量的)の標記化合物を白色結晶として得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ:
2.10-2.27(3H,m),2.43-2.59(3H,m),2.64-2.72(1H,m),2.82(1H,dd,J=5.86,10.25Hz),3.37(1H,dd,J=7.82,10.01Hz),4.32-4.40(2H,m),5.29(1H,br.d,J=56.64Hz),7.10-7.27(5H,m).
参考例34
1−ベンジル−4−[3−(第三級ブトキシカルボニルアミノ)−1−フルオロシクロブタン−3−イル]−2−ピロリドン(異性体A)
1−ベンジル−4−[3−(カルボキシル)−1−フルオロシクロブタン−3−イル]−2−ピロリドン(異性体A)398mg(1.25mmol)のアセトニトリル(20ml)溶液に1,1′−カルボニルジイミダゾール263mg(1.63mmol)を加えた後、室温にて30分間攪拌した。さらに反応液にアンモニアガスを45分間導通した。溶媒を減圧留去後、残量物にクロロホルム(500ml)を加えて水洗後、有機層を硫酸ナトリウムにて乾燥した。ろ過後、ろ液を減圧濃縮して得られた残量物を第3級ブチルアルコール(20ml)に溶解し、四酢酸鉛(純度90%以上)831g(1.88mmol)を加え、80℃にて30分間攪拌した。冷却後、炭酸水素ナトリウムを加え、ジエチルエーテル(30ml)で希釈した後、不溶物をろ去した。ろ液を飽和重曹水で洗浄し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル1:1溶出部)にて精製し、標記化合物467mg(定量的)を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ:
1.35(9H,s),2.13-2.24(3H,m),2.46-2.53(1H,m),2.63-2.71(1H,m),2.85(1H,dd,J=5.38,10.26Hz),2.95-2.98(1H,m),3.22(1H,dd,J=7.33,10.26Hz),3.27-3.33(1H,m),4.30,4.41(each 1H,ABq,J=14.89Hz),1.35(1H,s),5.32(1H,br.d,J=56.64Hz),7.11-7.28(5H,m).
参考例35
1−ベンジル−4−[3−(第3級ブトキシカルボニルアミノ−1−フルオロ)シクロブタン−3−イル]−2−ピロリジンチオン(異性体A)
1−ベンジル−4−[3−(第三級ブトキシカルボニルアミノ)−1−フルオロシクロブタン−3−イル]−2−ピロリドン(異性体A)170mg(0.468mmol)をトルエン5mlに溶解し、ローソン試薬208mg(0.515mmol)を加え、80℃で12時間攪拌した。反応液をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=95:5溶出部)にて精製して、標記化合物111mg(62.6%)を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ:
1.54(9H,s),2.40-2.61(3H,m),2.94-2.98(2H,m),3.09-3.13(1H,m),3.40-3.48(2H,m),3.66(1H,dd,J=7.09,11.40Hz),4.56-4.58(1H,m),4.96,5.19(each 1H,ABq,J=14.16Hz),5.68(1H,br.d,J=56.64Hz),7.39-7.46(5H,m).
参考例36
1−ベンジル−3−[3−(第3級ブトキシカルボニルアミノ)−1−フルオロシクロブタン−3−イル]ピロリジン(異性体A)
1−ベンジル−4−[3−(第3級ブトキシカルボニルアミノ−1−フルオロ)シクロブタン−3−イル]−2−ピロリジンチオン(異性体B1)108mg(0.285mmol)をテトラヒドロフラン1mlに溶解し、ラネーニッケル1.5mlを加えた。室温下で15分間攪拌後、反応液をセライト濾過し、減圧下溶媒を溜去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=1:1溶出部)にて精製して、標記化合物91.8mg(92.3%)を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ:
1.47(9H,s),2.16-2.49(6H,m),2.51,2.62(each 1H,ABq,J=9.03Hz),2.76(1H,t,J=8.30Hz),3.13-3.20(1H,m),3.33-3.37(1H,m),3.61(2H,s),4.90(1H,br.d,J=55.67Hz),5.14(1H,s),7.30-7.40(5H,m).
参考例37
3−[3−(第3級ブトキシカルボニルアミノ)−1−フルオロシクロブタン−3−イル]ピロリジン(異性体A)
1−ベンジル−3−[3−(第3級ブトキシカルボニルアミノ)−1−フルオロシクロブタン−3−イル]ピロリジン(異性体A)145mg(0.416mmol)をエタノール10mlに溶解し、10%パラジウム−炭素触媒150mgを加えた。3.5気圧の水素雰囲気下、光を照射しながら1.5時間攪拌した。触媒を濾去後、減圧下溶媒溜去して標記化合物117mg(定量的)を得た。本成績体は、精製することなく次の反応に用いた。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ:
1.37(9H,s),2.08-2.20(3H,m),2.29-2.37(2H,m),2.74-2.77(1H,m),2.88-2.94(3H,m),3.05-3.10(1H,m),3.24-3.30(1H,m),3.62-3.74(1H,m),4.70(1H,s),4.91(1H,br.d,J=55.17Hz).
実施例8
7−[3−(3−アミノ−1−フルオロシクロブタン−3−イル)ピロリジン−1−イル]−6−フルオロ−1−[2−(S)−フルオロ−1−(R)−シクロプロピル]−1,4−ジヒドロ−8−メトキシ−4−オキソキノリン−3−カルボン酸 (異性体A)
3−[3−(第3級ブトキシカルボニルアミノ)−1−フルオロシクロブタン−3−イル]ピロリジン(異性体A)をジメチルスルホキシド750μlに溶解し、6,7−ジフルオロ−1−[2−(S)−フルオロ−1−(R)−シクロプロピル]−1,4−ジヒドロ−8−メトキシ−4−オキソキノリン−3−カルボン酸−BF2キレート137mg(0.378mmol)、およびトリエチルアミン116μl(0.832mmol)を加え、室温にて11時間攪拌後、さらに40℃にて26時間攪拌した。反応液を減圧濃縮後、残留物に水を加えて析出した固体をろ取、水洗した。得られた固体をエタノール:水=10:1溶液50mlに懸濁し、トリエチルアミン1mlを加え、2時間加熱還流した。放冷後、反応液を減圧濃縮し、残留物をクロロホルム100mlに溶解した。10%クエン酸水溶液(50ml)にて洗浄後、有機層を無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。ろ過後、ろ液を減圧濃縮し、氷冷下で残留物に濃塩酸3mlを滴下した後、室温にて30分間攪拌した。反応液に1N塩酸3mlを加え、水溶液をクロロホルム(50mlx5)で洗浄した後、水酸化ナトリウム水溶液にてpH12.0、次いで1N塩酸にてpH7.4に調整し、クロロホルム(100mlx5)にて抽出した。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、ろ過後、ろ液を減圧濃縮した。残留物をエタノール−28%アンモニア水系により再結晶精製後、減圧乾燥してジアステレオマー混合物である標記化合物93.1mg(53%)を淡黄色結晶として得た。
1H-NMR(400MHz,0.1N NaOD)δ:
1.31-1.50(3H,m),1.98-2.03(1H,m),2.13-2.27(3H,m),2.36-2.48(1H,m),2.74-2.82(1H,m),3.26-3.73(4H,m),3.39(3H,s),3.85-3.90(1H,m),4.80(1H,brd,J=65.43Hz),7.50(1H,d,J=13.66Hz),8.30,8.29(each 0.5H,s).
元素分析値;C22H24F3N3O4 0.5 H2Oとして:
理論値;C,57.39;H,5.47;N,9.13
実測値;C,57.14;H,5.48;N,8.92
本願発明化合物の抗菌活性の測定方法は日本化学療法学会指定の標準法に準じて行い、その結果をMIC(μg/ml)で次の表に示す。
産業上の利用可能性
本願発明化合物は、グラム陰性菌およびグラム陽性菌のいずれに対しても幅広い優れた抗菌力を有し、特にメチシリン耐性黄色ブドウう球菌(MRSA)、ペニシリン耐性肺炎球菌、およびキノロン耐性菌に対しても強力な抗菌活性を示すとともに、良好な体内動態および安全性を兼ね備えており、抗菌化合物として有用である。
Claims (21)
- 下記の式(I)で表わされる化合物、その塩、またはこれらの水和物。
{式中、R1およびR2は、各々独立に、水素原子、水酸基、ハロゲン原子、カルバモイル基、炭素数1から6のアルキル基、炭素数1から6のアルコキシル基または炭素数1から6のアルキルチオ基を表わし(ただし、R1およびR2が共に水素原子の場合を除く)、
このうちのアルキル基は、水酸基、ハロゲン原子および炭素数1から6のアルコキシル基からなる群の基から選ばれる1以上の基を置換基として有していてもよく、
R3およびR4は、各々独立に、水素原子または炭素数1から6のアルキル基を表わすが、
このアルキル基は、水酸基、ハロゲン原子、炭素数1から6のアルキルチオ基および炭素数1から6のアルコキシル基からなる群の基から選はれる1以上の基を置換基として有していてもよく、
nは、1または2の整数を表わし、
Qは、下記式で表わされる部分構造を表わす。
[式中、R5は、炭素数1から6のアルキル基、炭素数2から6のアルケニル基、炭素数1から6のハロゲノアルキル基、炭素数3から6のシクロアルキル基(ハロゲン原子を置換基として有していてもよい)、フェニル基(ハロゲン原子、水酸基、アミノ基、ニトロ基、炭素数1から6のアルキル基、炭素数1から6のアルコキシル基からなる群の基から選ばれる1から3の基を置換基として有していてもよい)、ヘテロアリール基(窒素原子、酸素原子、硫黄原子から選ばれる1以上の異原子を含む、5員環または6員環の芳香族複素環化合物から導かれ、アルキル基およびハロゲン原子から選ばれる基を置換基として有していてもよい)、炭素数1から6のアルコキシル基または炭素数1から6のアルキルアミノ基を表わし、
R6は、水素原子または炭素数1から6のアルキルチオ基を表わすが、
このR6と上記のR5とは、母核の一部を含んで環状構造を形成するように一体化してもよいが、このようにして形成された環は、硫黄原子を環の構成原子として含んでもよく、さらにこの環は炭素数1から6のアルキル基を置換基として有していてもよい。
R7は、水素原子、アミノ基、水酸基、チオール基、ハロゲノメチル基、炭素数1から6のアルキル基、炭素数2から6のアルケニル基、炭素数2から6のアルキニル基または炭素数1から6のアルコキシル基を表すが、
このうちのアミノ基は、ホルミル基、炭素数1から6のアルキル基および炭素数2から5のアシル基からなる群の基から選ばれる1以上の基を置換基として有していてもよい。
X1は、ハロゲン原子または水素原子を表わし、
A1は、窒素原子または式(II)
(式中、X2は、水素原子、アミノ基、ハロゲン原子、シアノ基、ハロゲノメチル基、ハロゲノメトキシル基、炭素数1から6のアルキル基、炭素数2から6のアルケニル基、炭素数2から6のアルキニル基または炭素数1から6のアルコキシル基を表すが、
このうちのアミノ基は、ホルミル基、炭素数1から6のアルキル基および炭素数2から5のアシル基からなる群の基から選ばれる1以上の基を置換基として有していてもよく、
さらにこのX2と上記のR5とは、母核の一部を含んで環状構造を形成するように一体化してもよいが、このようにして形成された環は、酸素原子、窒素原子、または硫黄原子を環の構成原子として含んでもよく、さらにこの環は炭素数1から6のアルキル基を置換基として有していてもよい。)
で表わされる部分構造を表わす。
A2およびA3は、各々、窒素原子または炭素原子を表わすが、A2およびA3とこれらが結合している炭素原子とは、部分構造
または、部分構造
を形成する。
Yは、水素原子、フェニル基、アセトキシメチル基、ピバロイルオキシメチル基、エトキシカルボニル基、コリン基、ジメチルアミノエチル基、5−インダニル基、フタリジニル基、5−アルキル−2−オキソ−1,3−ジオキソール−4−イルメチル基、3−アセトキシ−2−オキソブチル基、炭素数1から6のアルキル基、炭素数2から7のアルコキシメチル基または炭素数1から6のアルキレン基とフェニル基とから構成されるフェニルアルキル基を表わす]} - 式(I)において、Qを除いた部分構造が、立体化学的に単一な化合物である請求項1に記載の化合物、その塩、またはこれらの水和物。
- 式(I)においてQが、式
[式中、R5は、炭素数1から6のアルキル基、炭素数2から6のアルケニル基、炭素数1から6のハロゲノアルキル基、炭素数3から6のシクロアルキル基(ハロゲン原子を置換基として有していてもよい)、フェニル基(ハロゲン原子、水酸基、アミノ基、ニトロ基、炭素数1から6のアルキル基、炭素数1から6のアルコキシル基からなる群の基から選ばれる1から3の基を置換基として有していてもよい)、ヘテロアリール基(窒素原子、酸素原子、硫黄原子から選ばれる1以上の異原子を含む、5員環または6員環の芳香族複素環化合物から導かれ、アルキル基およびハロゲン原子から選ばれる基を置換基として有していてもよい)、炭素数1から6のアルコキシル基または炭素数1から6のアルキルアミノ基を表わし、
R6は、水素原子または炭素数1から6のアルキルチオ基を表わすが、
このR6と上記のR5とは、母核の一部を含んで環状構造を形成するように一体化してもよいが、このようにして形成された環は、硫黄原子を環の構成原子として含んでもよく、さらにこの環は炭素数1から6のアルキル基を置換基として有していてもよい。
R7は、水素原子、アミノ基、水酸基、チオール基、ハロゲノメチル基、炭素数1から6のアルキル基、炭素数2から6のアルケニル基、炭素数2から6のアルキニル基または炭素数1から6のアルコキシル基を表すが、
このうちのアミノ基は、ホルミル基、炭素数1から6のアルキル基および炭素数2から5のアシル基からなる群の基から選ばれる1以上の基を置換基として有していてもよい。
X1は、ハロゲン原子または水素原子を表わし、A1は、窒素原子または式(II)
(式中、X2は、水素原子、アミノ基、ハロゲン原子、シアノ基、ハロゲノメチル基、ハロゲノメトキシル基、炭素数1から6のアルキル基、炭素数2から6のアルケニル基、炭素数2から6のアルキニル基または炭素数1から6のアルコキシル基を表すが、
このうちのアミノ基は、ホルミル基、炭素数1から6のアルキル基および炭素数2から5のアシル基からなる群の基から選ばれる1以上の基を置換基として有していてもよく、
さらにこのX2と上記のR5とは、母核の一部を含んで環状構造を形成するように一体化してもよいが、このようにして形成された環は、酸素原子、窒素原子、または硫黄原子を環の構成原子として含んでもよく、さらにこの環は炭素数1から6のアルキル基を置換基として有していてもよい。)
て表わされる部分構造を表わす。
Yは、水素原子、フェニル基、アセトキシメチル基、ピバロイルオキシメチル基、エトキシカルボニル基、コリン基、ジメチルアミノエチル基、5−インダニル基、フタリジニル基、5−アルキル−2−オキソ−1,3−ジオキソール−4−イルメチル基、3−アセトキシ−2−オキソブチル基、炭素数1から6のアルキル基、炭素数2から7のアルコキシメチル基または炭素数1から6のアルキレン基とフェニル基とから構成されるフェニルアルキル基を表わす。}
で表わされる構造を有する化合物である請求項1または2に記載の化合物、その塩、またはこれらの水和物。 - 式(I)においてQが、式
[式中、R5は、炭素数1から6のアルキル基、炭素数2から6のアルケニル基、炭素数1から6のハロゲノアルキル基、炭素数3から6のシクロアルキル基(ハロゲン原子を置換基として有していてもよい)、フェニル基(ハロゲン原子、水酸基、アミノ基、ニトロ基、炭素数1から6のアルキル基、炭素数1から6のアルコキシル基からなる群の基から選ばれる1から3の基を置換基として有していてもよい)、ヘテロアリール基(窒素原子、酸素原子、硫黄原子から選ばれる1以上の異原子を含む、5員環または6員環の芳香族複素環化合物から導かれ、アルキル基およびハロゲン原子から選ばれる基を置換基として有していてもよい)、炭素数1から6のアルコキシル基または炭素数1から6のアルキルアミノ基を表わし、
R6は、水素原子または炭素数1から6のアルキルチオ基を表わすが、
このR6と上記のR5とは、母核の一部を含んで環状構造を形成するように一体化してもよいが、このようにして形成された環は、硫黄原子を環の構成原子として含んでもよく、さらにこの環は炭素数1から6のアルキル基を置換基として有していてもよい。
R7は、水素原子、アミノ基、水酸基、チオール基、ハロゲノメチル基、炭素数1から6のアルキル基、炭素数2から6のアルケニル基、炭素数2から6のアルキニル基または炭素数1から6のアルコキシル基を表すが、
このうちのアミノ基は、ホルミル基、炭素数1から6のアルキル基および炭素数2から5のアシル基からなる群の基から選ばれる1以上の基を置換基として有していてもよい。
X1は、ハロゲン原子または水素原子を表わし、A1は、窒素原子または式(II)
(式中、X2は、水素原子、アミノ基、ハロゲン原子、シアノ基、ハロゲノメチル基、ハロゲノメトキシル基、炭素数1から6のアルキル基、炭素数2から6のアルケニル基、炭素数2から6のアルキニル基または炭素数1から6のアルコキシル基を表すが、
このうちのアミノ基は、ホルミル基、炭素数1から6のアルキル基および炭素数2から5のアシル基からなる群の基から選ばれる1以上の基を置換基として有していてもよく、
さらにこのX2と上記のR5とは、母核の一部を含んで環状構造を形成するように一体化してもよいが、このようにして形成された環は、酸素原子、窒素原子、または硫黄原子を環の構成原子として含んでもよく、さらにこの環は炭素数1から6のアルキル基を置換基として有していてもよい。)
で表わされる部分構造を表わす。
Yは、水素原子、フェニル基、アセトキシメチル基、ピバロイルオキシメチル基、エトキシカルボニル基、コリン基、ジメチルアミノエチル基、5−インダニル基、フタリジニル基、5−アルキル−2−オキソ−1,3−ジオキソール−4−イルメチル基、3−アセトキシ−2−オキソブチル基、炭素数1から6のアルキル基、炭素数2から7のアルコキシメチル基または炭素数1から6のアルキレン基とフェニル基とから構成されるフェニルアルキル基を表わす。}
で表わされる構造を有する化合物である請求項1または2に記載の化合物、その塩、またはこれらの水和物。 - 式(I)においてQが、6−カルボキシ−9−フルオロ−2,3−ジヒドロ−3−(S)−メチル−7−オキソ−7H−ピリド[1,2,3−de][1,4]ベンゾオキサジン−10−イル基である請求項1または2に記載の化合物、その塩、またはこれらの水和物。
- 式(I)においてQが、5−アミノ−3−カルボキシ−6−フルオロ−1−[2−(S)−フルオロ−1−(R)−シクロプロピル]−1,4−ジヒドロ−8−メチル−4−オキソキノリン−7−イル基である請求項1または2に記載の化合物、その塩、またはこれらの水和物。
- 式(I)においてQが、3−カルボキシ−6−フルオロ−1−[2−(S)−フルオロ−1−(R)−シクロプロピル]−1,4−ジヒドロ−8−メトキシ−4−オキソキノリン−7−イル基である請求項1または2に記載の化合物、その塩、またはこれらの水和物。
- 式(I)においてQが、5−アミノ−3−カルボキシ−6,8−ジフルオロ−1−[2−(S)−フルオロ−1−(R)−シクロプロピル]−1,4−ジヒドロ−4−オキソキノリン−7−イル基である請求項1または2に記載の化合物、その塩、またはこれらの水和物。
- R5が、ハロゲノシクロプロピル基である請求項1から4のいずれか一項記載の化合物、その塩、またはこれらの水和物。
- ハロゲノシクロプロピル基が1,2−シス−ハロゲノシクロプロピル基である請求項9に記載の化合物、その塩、またはこれらの水和物。
- ハロゲノシクロプロピル基が立体化学的に単一な置換基である請求項9または10に記載の化合物、その塩、またはこれらの水和物。
- ハロゲノシクロプロピル基が、(1R,2S)−2−ハロゲノシクロプロピル基である請求項11に記載の化合物、その塩、またはこれらの水和物。
- ハロゲノシクロプロピル基のハロゲン原子がフッ素原子である請求項9から12のいずれか一項に記載の化合物、その塩、またはこれらの水和物。
- 式(I)の化合物が立体化学的に単一な化合物である請求項1から13のいずれか一項に記載の化合物、その塩、またはこれらの水和物。
- 5−アミノ−7−[3−(3−アミノ−1−フルオロシクロブタン−3−イル)ピロリジン−1−イル]−6−フルオロ−1−[2−(S)−フルオロ−1−(R)−シクロプロピル]−8−メチル−1,4−ジヒドロ−4−オキソキノリン−3−カルボン酸、その塩、またはこれらの水和物。
- 7−[3−(3−アミノ−1−フルオロシクロブタン−3−イル)ピロリジン−1−イル]−6−フルオロ−1−[2−(S)−フルオロ−1−(R)−シクロプロピル]−8−メトキシ−1,4−ジヒドロ−4−オキソキノリン−3−カルボン酸、その塩、またはこれらの水和物。
- 5−アミノ−7−[3−(3−アミノ−1−フルオロシクロブタン−3−イル)ピロリジン−1−イル]−6,8−ジフルオロ−1−[2−(S)−フルオロ−1−(R)−シクロプロピル]−1,4−ジヒドロ−4−オキソキノリン−3−カルボン酸、その塩、またはこれらの水和物。
- 7−[3−(3−アミノ−1,1−ジフルオロシクロブタン−3−イル)ピロリジン−1−イル]−6−フルオロ−1−[2−(S)−フルオロ−1−(R)−シクロプロピル]−8−メトキシ−1,4−ジヒドロ−4−オキソキノリン−3−カルボン酸、その塩、またはこれらの水和物。
- 5−アミノ−7−[3−(3−アミノ−1,1−ジフルオロシクロブタン−3−イル)ピロリジン−1−イル]−6−フルオロ−1−[2−(S)−フルオロ−1−(R)−シクロプロピル]−8−メチル−1,4−ジヒドロ−4−オキソキノリン−3−カルボン酸、その塩、またはこれらの水和物。
- 請求項1から19のいずれか一項に記載の化合物、その水和物、化合物の塩、またはその塩の水和物を有効成分とする医薬。
- 請求項1から19のいずれか一項に記載の化合物、その水和物、化合物の塩、またはその塩の水和物を有効成分とする抗菌薬。
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