JP3771620B2 - ヘテロ環式スピロ誘導体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は医薬、動物薬、水産用薬または抗菌性の保存剤として有用な抗菌性化合物に関し、さらにこの化合物を含有する抗菌薬または抗菌性製剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
1−アミノ−5−アザビスピロ[2.4]ヘプチル基を有するキノロン誘導体は欧州特許公開第550016号公報および同第550025号公報に記載があるが、本発明に係わる1−アミノ−5−アザビスピロ[2.4]ヘプチル基を7位に、かつ1位にハロゲノシクロプロピル基を有する、単一の異性体からなるキノロン誘導体はこれまでまったく知られていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
キノロン系合成抗菌剤は、近年、抗菌活性のみならず、経口吸収性、臓器への移行性あるいは尿中排泄率などの体内動態が優れたものが見い出されており、多くの感染症に有効な化学療法剤として多くの化合物が臨床の場に供されている。しかしながら、最近、臨床の場ではこれらの薬剤に対する低感受性菌が増加しつつある。また、例えばβ−ラクタム系抗生物質に非感受性の黄色ブドウ球菌(MRSA)の如く、キノロン系合成抗菌剤以外の薬剤に耐性の菌のなかにもキノロン系合成抗菌剤に低感受性の菌が増加している。したがって、臨床の場で有効性がさらに高い薬剤が望まれている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
キノロン系合成抗菌剤の抗菌活性、有効性、安全性には7位および1位の置換基の構造が大きく関与していると本発明者は考えた。そして本発明者はキノロン耐性菌を含む広範な細菌に対して高い抗菌活性を有する化合物を得るべく鋭意研究した結果、ヘテロ原子が窒素原子であるヘテロ環式スピロ化合物から導かれる置換基を7位に有するキノロン誘導体がグラム陰性菌およびグラム陽性菌、特にMRSAを含むキノロン耐性菌に対し強力な抗菌活性を示すことを見出し、そして1位にハロゲノシクロプロピル基、特にフルオロシクロプロピル基を有するキノロン誘導体であれば抗菌活性と共に有効性、安全性に優れたキノロンが得られることを見いだした。
【0005】
本発明に係わるキノロン誘導体は、他の部位の置換基に立体異性がなくとも、1位のハロゲノシクロプロパン環部分だけで一対の対掌体が存在する。これはシクロプロパン環上でのピリドンカルボン酸部分とハロゲン原子との立体的な関係に由来している。このようにして生ずる異性体がラセミ体の関係である場合、対掌体の混合物であり、混合物のままでも医薬として投与することは不可能ではない。
【0006】
一方、ハロゲノシクロプロパン環部分の立体異性に加え他の部位、特に7位の置換基にも立体異性が存在する場合はジアステレオマーが存在することとなり、4種以上の立体異性体が存在することになる。ジアステレオマーの混合物は物性の異なった化合物の混合物であって、混合物のままでは医薬としての応用は困難である。
【0007】
本発明者は、ジアステレオマーが存在する1−(1,2−シス−2−ハロゲノシクロプロピル)置換キノロン誘導体であっても、単一な立体異性体からなるキノロン化合物が得られるべく鋭意努力した。
【0008】
その結果、本発明者はシス−2−フルオロシクロプロピルアミンの対掌体の各々を純粋な化合物として得ることに成功した。そしてこのシス−2−フルオロシクロプロピルアミンを原料として、フルオロシクロプロパン環の立体配置のみに由来した対掌体のキノロン誘導体の各々を単一な異性体からなる化合物として得ることに成功した。さらに、不斉炭素を有するヘテロ原子が窒素原子からなるヘテロ環式スピロ化合物においても対掌体の各々を純粋な異性体として得ることにも成功した。
【0009】
中間体として有用なこれらのキノロン誘導体およびヘテロ原子が窒素原子からなるヘテロ環式スピロ化合物を得たことによって、単一のジアステレオマーからなる光学活性キノロン誘導体を合成することが可能となった。
【0010】
そして、本発明に係わる、ヘテロ環式スピロ化合物から導かれる基を7位に、そしてハロゲノシクロプロピル基を1位に有することを特徴とする新規なキノロン誘導体が、キノロン耐性菌を含む広範な菌種に対して優れた活性と高い安全性を有する化合物であることを見い出し本発明を完成した。
【0011】
すなわち本発明は、一般式(I)
【0012】
【化4】
Figure 0003771620
(式中、Xはハロゲン原子または水素原子を表し、
はハロゲン原子を表し、
は水素原子、水酸基、チオール基、ハロゲノメチル基、アミノ基、炭素数1から6のアルキル基または炭素数1から6のアルコキシル基を表すが、このうちのアミノ基は置換基としてホルミル基、炭素数1から6のアルキル基または炭素数2から5のアシル基を有していてもよい(ただし、置換基がアルキル基の場合はジアルキル置換となってもよく、この場合にアルキル基は同一でも異なっていてもよい。)。
は式(II)
【0013】
【化5】
Figure 0003771620
(式中、RおよびRは各々独立に、水素原子または炭素数1から6のアルキル基を表し、
mは1または2の整数を表す。)
で表される、ヘテロ環式スピロ化合物から導かれる構造の置換基を表し、
Aは窒素原子または式(III)
【0014】
【化6】
Figure 0003771620
(Xは水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ハロゲノメチル基、ハロゲノメトキシル基、アミノ基、炭素数1から6のアルキル基または炭素数1から6のアルコキシル基を表すが、このうちのアミノ基は置換基としてホルミル基、炭素数1から6のアルキル基または炭素数2から5のアシル基を有していてもよい(ただし、置換基がアルキル基の場合はジアルキル置換となってもよく、この場合にアルキル基は同一でも異なっていてもよい。)。)
の部分構造を表し、
Rは水素原子、フェニル基、アセトキシメチル基、ピバロイルオキシメチル基、エトキシカルボニル基、コリン基、ジメチルアミノエチル基、5−インダニル基、フタリジニル基、5−アルキル−2−オキソ−1,3−ジオキソール−4−イルメチル基、3−アセトキシ−2−オキソブチル基、炭素数1から6のアルキル基、炭素数2から7のアルコキシメチル基または、炭素数1から6のアルキレン基とフェニル基とから構成されるフェニルアルキル基を表す。)
で表されるN−(ハロゲノシクロプロピル)置換ピリドンカルボン酸誘導体およびその塩に関する。
【0015】
さらに本発明は、一般式(I)中、ハロゲノシクロプロピル基が1,2−シス−2−ハロゲノシクロプロピル基である上記の化合物およびその塩に関する。
【0016】
また本発明は、一般式(I)中、Rが立体化学的に単一な置換基である上記の化合物およびその塩に関する。
【0017】
そして本発明は、一般式(I)中、ハロゲノシクロプロピル基が立体化学的に単一な置換基である上記の化合物およびその塩に関する。
【0018】
さらに本発明は、ハロゲノシクロプロピル基が(1R,2S)−2−ハロゲノシクロプロピル基である上記の化合物およびその塩に関する。
【0019】
また本発明は、Xがフッ素原子である上記の化合物およびその塩に関する。
【0020】
そして本発明は、上記の一般式(I)の化合物またはその塩を有効成分として含有する抗菌薬あるいは抗菌性製剤に関するものである。
【0021】
【発明の実施の態様】
本発明の式(I)で表される化合物が有する置換基について以下に述べる。
【0022】
、XおよびXが各々ハロゲン原子の場合、XおよびXはフッ素原子が特に好ましく、Xはフッ素原子または塩素原子が好ましい。
【0023】
は水素原子、水酸基、チオール基、ハロゲノメチル基、アミノ基、炭素数1から6のアルキル基または炭素数1から6のアルコキシル基を表すが、このうちのアミノ基は置換基としてホルミル基、炭素数1から6のアルキル基または炭素数2から5のアシル基を有していてもよい(ただし、置換基がアルキル基の場合はジアルキル置換となってもよく、この場合にアルキル基は同一でも異なっていてもよい。)。
【0024】
置換基Rとしてのアルキル基としては、炭素数1から6の直鎖状または分枝鎖状のものでよいが、好ましくはメチル基、エチル基、ノルマルプロピル基またはイソプロピル基である。
【0025】
また、ハロゲノメチル基のハロゲン原子としては特にフッ素原子が好ましく、その数は1から3でよい。ハロゲノメチル基として好ましいものは、フルオロメチル基またはジフルオロメチル基である。
【0026】
がアミノ基、水酸基またはチオール基の場合に、これらは通常使用されている保護基によって保護されていてもよい。
【0027】
この様な保護基の例としては例えば、第三級ブトキシカルボニル基、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基類、ベンジルオキシカルボニル基、パラメトキシベンジルオキシカルボニル基、パラニトロベンジルオキシカルボニル基等のアラルキルオキシカルボニル基類、アセチル基、メトキシアセチル基、トリフルオロアセチル基、クロロアセチル基、ピバロイル基、ホルミル基、ベンゾイル基等のアシル基類、第三級ブチル基、ベンジル基、パラニトロベンジル基、パラメトキシベンジル基、トリフェニルメチル基等のアルキル基類又はアラルキル基類、メトキシメチル基、第三級ブトキシメチル基、テトラヒドロピラニル基、2,2,2−トリクロロエトキシメチル基等のエーテル類、トリメチルシリル基、イソプロピルジメチルシリル基、第三級ブチルジメチルシリル基、トリベンジルシリル基、第三級ブチルジフェニルシリル基等のシリル基類を挙げることができる。
【0028】
これらの保護基のうちエーテル類およびシリル基類は、水酸基およびチオール基の保護基として使用するのが好ましく、これら以外の保護基はアミノ基、水酸基およびチオール基のいずれの保護基としても使用することができる。
【0029】
は水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ハロゲノメチル基、ハロゲノメトキシル基、アミノ基、炭素数1から6のアルキル基または炭素数1から6のアルコキシル基を表すが、このうちのアミノ基は置換基としてホルミル基、炭素数1から6のアルキル基または炭素数2から5のアシル基を有していてもよい(ただし、置換基がアルキル基の場合はジアルキル置換となってもよく、この場合にアルキル基は同一でも異なっていてもよい。)。
【0030】
置換基Xとしてのアルキル基としては、炭素数1から6の直鎖状または分枝鎖状のものでよいが、好ましくはメチル基、エチル基、ノルマルプロピル基またはイソプロピル基である。
【0031】
また、ハロゲノメチル基のハロゲン原子としては特にフッ素原子が好ましく、その数は1から3でよい。ハロゲノメチル基として好ましくは、フルオロメチル基またはジフルオロメチル基である。
【0032】
アルコキシル基としては炭素数1から6のものでよいが、好ましくはメトキシル基である。
【0033】
ハロゲノメトキシル基のハロゲン原子としては特にフッ素原子が好ましく、その数は1から3でよい。
【0034】
Aが
【0035】
【化7】
Figure 0003771620
で示される部分構造である場合、RとXの組み合わせとして好ましいのは、Rがアミノ基、水素原子、水酸基または炭素数1から6のアルキル基で、Xが炭素数1から6のアルキル基、炭素数1から6のアルコキシル基、ハロゲン原子、ハロゲノメトキシル基または水素原子の場合である。
【0036】
さらに好ましい組み合わせとしては、Rがアミノ基、水素原子、水酸基またはメチル基で、Xがメチル基、メトキシル基、フッ素原子、塩素原子、ジフルオロメトキシル基または水素原子の場合である。
【0037】
特に、好ましい組み合わせとしては、Rがアミノ基、水素原子、水酸基またはメチル基で、Xがメチル基またはメトキシル基の場合である。
【0038】
これらのRおよびXに対して、XおよびXはフッ素原子であるものが好ましい。
【0039】
は化8
【0040】
【化8】
Figure 0003771620
で表されるヘテロ環式スピロ化合物(ここではピロリジン環の窒素原子が水素置換のものを示したが、これは他の置換基、例えば窒素原子の保護基等、によって置換されていてもよい。)から導かれる構造の、式(II)
【0041】
【化9】
Figure 0003771620
で表される置換基を意味する。この置換基は、メチレン鎖からなるスピロ環に置換基としてアミノ基を有している。この部分についてみれば脂環式環状アミン構造を有しているとも考えられ、この構造が本発明化合物の優れた特性の発現に大きく関与していると本発明者らは考えた。
【0042】
ここでヘテロ環式スピロ化合物とは、スピロ環状脂環式化合物の環状構造を形成する炭素原子が窒素原子等の複素原子に置き換わって生ずる構造の化合物である。
【0043】
およびRは、各々独立に、水素原子または炭素数1から6のアルキル基である。アルキル基としては炭素数1から6のもので、直鎖状または分枝鎖状いずれでもよい。好ましくはメチル基である。
【0044】
およびRの好ましい組み合わせは、RおよびRが水素原子の場合、RまたはRのいずれかが水素原子で、他方が炭素数1から6のアルキル基の場合である。
【0045】
さらに好ましい組み合わせは、RおよびRが水素原子の場合、RまたはRのいずれかが水素原子で、他方がメチル基またはエチル基の場合である。
【0046】
mは整数の1または2を表す。
【0048】
に立体異性が存在する場合、キノロン母核化合物との反応に際して、化9で表される置換基の導入源である化8のヘテロ環式スピロ化合物を立体異性体の混合物のままで反応させると、1位の1,2−シス−2−ハロゲノシクロプロピル基との関係から、生成するキノロン誘導体はジアステレオマーの混合物となる。それ故に立体異性の存在するRの場合には、キノロン母核化合物に反応させる化8の化合物は、異性体のうちの一種を単独で反応させるのが好ましい。
【0049】
キノロンの7位に置換基Rを導入する際、化8の化合物のRおよびRの少なくとも一方が水素原子である場合は、RまたはRは水素原子のままではなく、通常使用されている保護基で保護した化合物に変換した後に反応させてもよい。
【0050】
このような保護基の例としては例えば、第三級ブトキシカルボニル基、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基類、ベンジルオキシカルボニル基、パラメトキシベンジルオキシカルボニル基、パラニトロベンジルオキシカルボニル基等のアラルキルオキシカルボニル基類、アセチル基、メトキシアセチル基、トリフルオロアセチル基、クロロアセチル基、ピバロイル基、ホルミル基、ベンゾイル基等のアシル基類、第三級ブチル基、ベンジル基、パラニトロベンジル基、パラメトキシベンジル基、トリフェニルメチル基等のアルキル基類又はアラルキル基類、メタンスルホニル基、トリフルオロメタンスルホニル基等のアルキルスルホニル基類あるいはハロゲノアルキルスルホニル基類、そしてベンゼンスルホニル基、トルエンスルホニル基等のアリールスルホニル基類を挙げることができる。
【0051】
次にN位のハロゲノシクロプロピル基について述べる。
置換するハロゲン原子としてはフッ素原子および塩素原子を挙げることができるが、特にフッ素原子が好ましい。
【0052】
この部分での立体化学的な環境は、シクロプロパン環に対しハロゲン原子とピリドンカルボン酸部分がシス配置であるのが特に好ましい。
【0053】
この1位のシス−2−ハロゲノシクロプロピル部分だけで、他の部位の置換基、とりわけ7位の置換基Rの立体異性の如何に拘らず、いわゆる対掌体関係の異性体が存在するが、いずれの異性体にも強い抗菌活性と高い安全性が認められた。
【0054】
本発明化合物である式(I)の化合物がジアステレオマーの存在する構造のものである場合、本発明化合物をヒトや動物に投与する際は単一のジアステレオマーからなるものを投与することが好ましい。この、『単一のジアステレオマーからなる』とは、他のジアステレオマーを全く含有しない場合だけではなく、化学的に純粋程度の場合をも含むと解される。つまり、物理定数や、生理活性に対して影響がない程度であれば他のジアステレオマーが含まれていてもよいと解釈されるのである。
【0055】
また『立体化学的に単一な』とは、化合物等において不斉炭素原子が含まれるために、異性体関係となる複数種が存在する場合にそれらのうちの一種のみにて構成されたものであることを意味する。この場合においてもこの『単一』については上記のジアステレオマーのときと同様に考えればよい。
【0056】
本発明のピリドンカルボン酸誘導体は遊離体のままでもよいが、酸付加塩としてあるいはカルボキシル基の塩としてもよい。酸付加塩とする場合の例としては、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、リン酸塩等の無機酸塩類、あるいは酢酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、乳酸塩等の有機酸塩類を挙げることができる。
【0057】
またカルボキシル基の塩としては、例えばリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、またトリエチルアミン塩やN−メチルグルカミン塩、トリス−(ヒドロキシルメチル)アミノメタン塩等で、無機塩類および有機塩類の何れでもよい。
【0058】
またこれらのピリドンカルボン酸誘導体の遊離体や酸付加塩、カルボキシル基の塩は水和物として存在することもある。
【0059】
一方、カルボン酸部分がエステルであるキノロン誘導体は合成中間体やプロドラッグとして有用である。例えば、アルキルエステル類やベンジルエステル類、アルコキシアルキルエステル類、フェニルアルキルエステル類およびフェニルエステル類は合成中間体として有用である。
【0060】
また、プロドラッグとして用いられるエステルとしては、生体内で容易に切断されてカルボン酸の遊離体を生成するようなエステルであり、例えば、アセトキシメチルエステル、ピバロイルオキシメチルエステル、エトキシカルボニルエステル、コリンエステル、ジメチルアミノエチルエステル、5−インダニルエステルおよびフタリジニルエステル、5−アルキル−2−オキソ−1,3−ジオキソール−4−イルメチルエステルそして3−アセトキシ−2−オキソブチルエステル等のオキソアルキルエステルを挙げることができる。
【0061】
式(I)で表される本発明の化合物は種々の方法により製造されるが、その好ましい一例を挙げれば例えば式(IV)
【0062】
【化10】
Figure 0003771620
[式中、Xは例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数が1から3のアルキルスルホニル基、またはベンゼンスルホニル基やトルエンスルホニル基等のアリールスルホニル基等の、脱離基としての機能を有する置換基であり、Rは一般式(I)で定義したRと同義であるか、または式(V)
【0063】
【化11】
Figure 0003771620
(式中、R11およびR12はフッ素原子あるいは低級アルキルカルボニルオキシ基を示す)
で表されるホウ素含有置換基であり、X、X、RおよびAは一般式(I)に関して定義した通りである]
で表される化合物(キノロン母核化合物)を、式R−H(式中のRの定義は、Rおよび/またはRが窒素原子の保護基Rxとなってもよい以外は、Rは式(I)に関して式(II)として定義した通りである。)としても表される化8の化合物あるいはその酸付加塩と反応させることによって製造することができる。
【0064】
窒素原子の保護基Rxは、この分野で通常使用されている保護であればよく、これらの保護基の例としては例えば、第三級ブトキシカルボニル基、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基類、ベンジルオキシカルボニル基、パラメトキシベンジルオキシカルボニル基、パラニトロベンジルオキシカルボニル基等のアラルキルオキシカルボニル基類、アセチル基、メトキシアセチル基、トリフルオロアセチル基、クロロアセチル基、ピバロイル基、ホルミル基、ベンゾイル基等のアシル基類、第三級ブチル基、ベンジル基、パラニトロベンジル基、パラメトキシベンジル基、トリフェニルメチル基等のアルキル基類又はアラルキル基類、メタンスルホニル基、トリフルオロメタンスルホニル基等のアルキルスルホニル基類あるいはハロゲノアルキルスルホニル基類、そしてベンゼンスルホニル基、トルエンスルホニル基等のアリールスルホニル基類を挙げることができる。
【0065】
Rが炭素数1から6のアルキル基、炭素数2から7のアルコキシメチル基または炭素数1から6のアルキレン基とフェニル基から構成されるアラルキル基のときはカルボン酸エステルとなるが、相当するカルボン酸への変換はカルボン酸エステルの加水分解に一般的に使用される酸性または塩基性条件下で行い、さらに他の部位の置換基が保護基を有していて脱保護が必要な場合は、その保護基に対応した適当な条件で保護基を除去して一般式(I)で示される目的化合物を得ることができる。
【0066】
式(IV)の化合物においてRが化11で表される基である場合には、化8のヘテロ環式スピロ化合物との置換反応を行った後に酸性または塩基性化合物で処理すことにより相当するカルボン酸に変換することができる。
【0067】
化8の化合物と化10の化合物との置換反応は溶媒を用いてまたは用いずに行うことができる。溶媒を使用するとき、溶媒は反応条件下で不活性なものであればいずれのものでもよい。適した溶媒としては例えば、ジメチルスルホキシド、ピリジン、アセトニトリル、エタノール、クロロホルム、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、水、3−メトキシブタノールを挙げることができる。またはこれらは混合物として使用してもよい。
【0068】
反応温度は通常室温から200℃の温度範囲で実施でき、好ましくは25℃から150℃の範囲である。反応時間は30分から48時間で、通常は30分から2時間程度で完結する。
【0069】
反応は無機塩基または有機塩基の様な酸受容体、例えばアルカリ金属、アルカリ土類金属炭酸塩もしくは炭酸水素塩、あるいはトリエチルアミンもしくはピリジン等の有機塩基性化合物の存在下で行うのが有利である。
【0070】
ヘテロ原子が窒素原子からなるヘテロ環式スピロ化合物の製造は、例えば以下の方法で実施することができる。1−べンシルオキシカルボニル−3−ヒドロキシピロリジンをオキザリルクロリドおよびジメチルスルスルホキシドと反応させ1−べンジルオキシカルボニル−3−ピロリドンとする。この化合物を亜鉛、四塩化チタンおよびジブロモメタンから調製した溶液と反応させて1−べンジルオキシカルボニル−3−メチレンピロリジンとする。この化合物をロジウム触媒を用いてジアゾ酢酸エチルと反応させ5−べンジルオキシカルボニル−3−エトキシカルボニル−5−アザスピロ[2.4]ヘプタンとする。この化合物はジアステレオマーの混合物であるが、それぞれの異性体はシリカゲルガラムクロマトグラフィーあるいは高速液体クロマトグラフィーを用いて分離することができる。そして、それぞれの異性体を通常用いられる方法により塩基と反応させてエステルを切断して5−べンジルオキシカルボニル−5−アザスピロ[2.4]ヘプタン−1−カルボン酸とする。それぞれの異性体を第三級ブタノールの存在下でクルチウス反応を行なうと、一気に保護された5−べンジルオキシカルボニル−1−第三級ブトキシカルボニルアミノ−5−アザスピロ[2.4]ヘプタンに変換することができる。この反応はジフェニルホスホリルアジドを使用すると簡便に実施できるが、中間体のアジド体の合成はこの方法に限定されず通常の合成法も適用できる。このようにして得られるそれぞれの化合物は単一のジアステレオマーからなるラセミ体であるが、いずれの化合物もキラルカラムを用いる高速液体クロマトグラフィーによって光学異性体を分離できることがわかった。このようにして得られる単一の異性体からなる5−べンジルオキシカルボニル−1−第三級ブトキシカルボニルアミノ−5−アザスピロ[2.4]ヘプタンを、通常用いられる方法により接触水素添加してべンジルオキシカルボニル基を除去すれば単一の光学異性体からなる1−第三級ブトキシカルボニルアミノ−5−アザスピロ[2.4]ヘプタンが得られる。
【0071】
単一の異性体からなる式(I)の化合物の合成に好ましい、単一の異性体からなるシス−2−フルオロシクロプロピルアミンは例えば、特開平2−231475号記載の方法で合成できる。この様にして得られる光学活性なシス−2−フルオロシクロプロピルアミン誘導体を原料とした、単一の異性体からなる式(IV)の化合物の合成は例えば、特開平2−231475号記載の方法によって実施することができる。
【0072】
本発明化合物は強い抗菌作用を有することから人体、動物、および魚類用の医薬として或は農薬、食品の保存剤として使用することができる。
【0073】
本発明化合物を人体用の医薬として使用する場合、投与量は成人一日当たり 50mgから1g、好ましくは100mgから300mgの範囲である。
【0074】
また動物用としての投与量は、投与の目的(治療或は予防)、処置すべき動物の種類や大きさ、感染した病原菌の種類、程度によって異なるが、一日量として一般的には動物の体重1kg当たり1mgから200mg、好ましくは5mgから100mgの範囲である。
【0075】
この一日量を一日1回、あるいは2から4回に分けて投与する。また一日量は必要によっては上記の量を超えてもよい。
【0076】
本発明化合物は各種の感染症の原因となる広範囲の微生物類に対して活性であり、これらの病原体によって引き起こされる疾病を治療し、予防し、または軽減することができる。
【0077】
本発明化合物が有効なバクテリア類又はバクテリア様微生物類としてブドウ球菌属、化膿レンサ球菌、溶血レンサ球菌、腸球菌、肺炎球菌、ペプトストレプトコッカス属、淋菌、大腸菌、シトロバクター属、シゲラ属、肺炎桿菌、エンテロバクター属、セラチア属、プロテウス属、緑膿菌、インフルエンザ菌、アシネトバクター属、カンピロバクター属、トラコーマクラミジア等を例示することができる。
【0078】
またこれらの病原体によって引き起こされる疾病としては、毛嚢炎、せつ、よう、丹毒、蜂巣炎、リンパ管(節)炎、ひょう疽、皮下膿瘍、汗腺炎、集簇性ざ瘡、感染性粉瘤、肛門周囲膿瘍、乳腺炎、外傷・熱傷・手術創などの表在性二次感染、咽喉頭炎、急性気管支炎、扁桃炎、慢性気管支炎、気管支拡張症、びまん性汎細気管支炎、慢性呼吸疾患の二次感染、肺炎、腎盂腎炎、膀胱炎、前立腺炎、副睾丸炎、淋菌性尿道炎、非淋菌性尿道炎、胆のう炎、胆管炎、細菌性赤痢、腸炎、子宮付属器炎、子宮内感染、バルトリン腺炎、眼瞼炎、麦粒腫、涙嚢炎、瞼板腺炎、角膜潰瘍、中耳炎、副鼻腔炎、歯周組織炎、歯冠周囲炎、顎炎、腹膜炎、心内膜炎、敗血症、髄膜炎、皮膚感染症等を例示することができる。
【0079】
また動物の感染症の原因となる各種の微生物、例えばエシエリキア属、サルモネラ属、パスツレラ属、ヘモフィルス属、ボルデテラ属、スタヒロコッカス属、マイコプラズマ属等に有効である。具体的な疾病名を例示すると鳥類では大腸菌症、ひな白痢、鶏パラチフス症、家禽コレラ、伝染性コリーザ、ブドウ球菌症、マイコプラズマ感染症等、豚では大腸菌症、サルモネラ症、パスツレラ症、ヘモフィルス感染症、萎縮性鼻炎、滲出性表皮炎、マイコプラズマ感染症等、牛では大腸菌症、サルモネラ症、出血性敗血症、マイコプラズマ感染症、牛肺疫、乳房炎等、犬では大腸菌性敗血症、サルモネラ感染症、出血性敗血症、子宮蓄膿症、膀胱炎等、そして猫では滲出性胸膜炎、膀胱炎、慢性鼻炎、ヘモフィルス感染症、仔猫の下痢、マイコプラズマ感染症等を挙げることができる。
【0080】
本発明化合物からなる抗菌製剤は投与法に応じ適当な製剤を選択し、通常用いられている各種製剤の調製法にて調製できる。本発明化合物を主剤とする抗菌製剤の剤型としては例えば錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤や、溶液剤、シロップ剤、エリキシル剤、油性ないし水性の懸濁液等を経口用製剤として例示できる。注射剤としては製剤中に安定剤、防腐剤、溶解補助剤を使用することもあり、これらの補助剤を含むこともある溶液を容器に収納後、凍結乾燥等によって固形製剤として用時調製の製剤としても良い。また一投与量を容器に収納しても良く、また多投与量を同一の容器に収納しても良い。
【0081】
また外用製剤として溶液剤、懸濁液、乳濁液、軟膏、ゲル、クリーム、ローション、スプレー等を例示できる。
【0082】
固形製剤としては活性化合物とともに製剤学上許容されている添加物を含み、例えば充填剤類や増量剤類、結合剤類、崩壊剤類、溶解促進剤類、湿潤剤類、潤滑剤類等を必要に応じて選択して混合し、製剤化することができる。
【0083】
液体製剤としては溶液、懸濁液、乳液剤等を挙げることができるが添加剤として懸濁化剤、乳化剤等を含むこともある。
【0084】
本発明化合物を動物に投与する方法としては直接あるいは飼料中に混合して経口的に投与する方法、また溶液とした後、直接もしくは飲水、飼料中に添加して経口的に投与する方法、注射によって投与する方法等を例示することができる。
【0085】
本発明化合物を動物に投与するための製剤としては、この分野に於いて通常用いられている技術によって適宜散剤、細粒剤、可溶散剤、シロップ剤、溶液剤、あるいは注射剤とすることができる。
【0086】
製剤処方例を次に示す。
【0087】
Figure 0003771620
【0088】
Figure 0003771620
【0089】
Figure 0003771620
【0090】
【実施例】
次に本発明を実施例と参考例により説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。また、光学活性な目的化合物の抗菌活性の試験方法は日本化学療法学会指定の標準法に準じて行い、その結果を表1にMIC(μg/ml)で示した。
【0091】
【化12】
Figure 0003771620
【0092】
実施例A
1−ベンジルオキシカルボニル−3−ピロリドン
オキザリルクロリド10.19ml(116.8mmol)のジクロロメタン(200ml)溶液に零下78℃にてジメチルスルスルホキシド16.58ml(233.6mmol)のジクロロメタン(40ml)溶液を滴下し、同温にて10分撹拌した。反応液に、文献既知の1−ベンジルオキシカルボニル−3−ヒドロキシピロリジン23.50gをジクロロメタン200mlに溶解して零下78℃にて滴下し、同温にて60分間撹拌した。トリエチルアミン74.02ml(531.1mmol)を零下78℃にて加え、同温にて60分、さらに室温にて60分間撹拌した。反応終了後、反応溶液に水500mlを滴下し、有機層を分離した。水層は、ジクロロメタン(100ml×2)で洗浄し、有機層と合わせ飽和食塩水(300ml×1)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムにて乾燥後、溶媒を留去した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、n−ヘキサン:酢酸エチル=1:1の溶出部より標記の化合物20.1g(86%)を油状物として得た。
【0093】
1H-NMR(400MHz, CDCl3) δ:
2.58 - 2.62(2H, m), 3.82 - 3.87(4H, m), 5.18(2H, s),
7.30 - 7.37(5H, m).
【0094】
実施例B
1−ベンジルオキシカルボニル−3−メチレンピロリジン
亜鉛36.6g(600mmol)のテトラヒドロフラン溶液350mlに四塩化チタン8.44ml(77mmol)を0℃にて滴下し、同温にて60分間撹拌した。反応溶液にジブロモメタン24.32ml(350mmol)のテトラヒドロフラン(100ml)溶液を0℃にて滴下し、室温で一晩撹拌した。反応液に1−ベンジルオキシカルボニル−3−ピロリドン15.35g(70mmol)のテトラヒドロフラン(100ml)溶液を室温にて滴下し、同温で50分撹拌した。反応終了後、反応溶液を1規定塩酸500mlに加え、酢酸エチル(500ml×2)で抽出し、有機層を飽和食塩水(300ml×1)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムにて乾燥後、溶媒を留去した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、n−ヘキサン:酢酸エチル=2:1の溶出部より標記の化合物12.4g(82%)を油状物として得た。
【0095】
1H-NMR(400MHz, CDCl3) δ:
2.57(2H, br s), 3.55(2H, dd, J = 7.82, 16.12 Hz),
4.01(2H, d, J = 5.86 Hz), 4.97(2H, 2s), 5.14(2H, s),
7.29 - 7.38(5H, m).
【0096】
実施例C
5−ベンジルオキシカルボニル−3−エトキシカルボニル−5−アザスピロ[2.4]ヘプタン(a),(b)
1−ベンジルオキシカルボニル−3−メチレンピロリジン8.2g(37.7mmol)をシクロヘキサン300mlに溶解し、ロジウムアセタートダイマー100mgを加え、加熱還流下0.5mMジアゾ酢酸エチルのジクロロメタン溶液を20時間かけて滴下した。滴下終了後反応溶媒を留去し、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付して、n−ヘキサン:酢酸エチル=2:1の溶出部より標記の化合物(a)4.12g(36%)、標記の化合物(b)4.05g(35%)をそれぞれ油状物として得、原料を2.3g回収した。異性体(a)
【0097】
1H-NMR(400MHz, CDCl3) δ:
1.10 - 1.18(1H, m), 1.26(3H, t, J = 7.33 Hz), 1.29 - 1.33(1H, m),
1.74 - 1.82(1H, m), 2.00 - 2.08(2H, m), 3.28 - 3.58(4H, m),
4.14(2H, dd, J = 6.84, 14.16 Hz), 5.13(2H, 2s),
7.31 - 7.37(5H, m).
【0098】
異性体(b)
1H-NMR(400MHz, CDCl3) δ:
1.13 - 1.18(1H, m), 1.25(3H, t, J = 6.84 Hz), 1.29 - 1.35(1H, m),
1.72 - 1.79(2H, m), 1.94 - 1.97(1H, m), 3.52 - 3.58(4H, m),
4.10 - 4.16(2H, m), 5.12(2H, 2s), 7.29 - 7.37(5H, m).
【0099】
実施例D
5−ベンジルオキシカルボニル−5−アザスピロ[2.4]ヘプタン−1−カルボン酸(a)
5−ベンジルオキシカルボニル−3−エトキシカルボニル−5−アザスピロ[2.4]ヘプタン(a)4.12g(13.6mmol)をエタノール20mlに溶解し、氷冷下、1規定水酸化ナトリウム水溶液20.4mlを加え、室温にて3.5時間撹拌した。反応終了後、反応液に10%クエン酸水溶液を加え、酸性としてエタノールを留去し、水層を酢酸エチル抽出(50ml×4)した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムにて乾燥後溶媒を留去し、標記の化合物2.86g(76%)を油状物として得た。
【0100】
1H-NMR(400MHz, CDCl3) δ:
1.19 - 1.27(1H, m), 1.35 - 1.38(1H, m), 1.77 - 1.85(1H, m),
2.02 - 2.16(2H, m), 3.29 - 3.45(2H, m), 3.56 - 3.60(2H, m), 5.13(2H, 2s), 7.30 - 7.35(5H, m).
【0101】
実施例E
5−ベンジルオキシカルボニル−5−アザスピロ[2.4]ヘプタン−1−カルボン酸(b)
5−ベンジルオキシカルボニル−3−エトキシカルボニル−5−アザスピロ[2.4]ヘプタン(b)4.05g(13.3mmol)をエタノール20mlに溶解し、氷冷下、1規定水酸化ナトリウム水溶液20.0mlを加え、室温にて3.5時間撹拌した。反応終了後、反応液に10%クエン酸水溶液を加え、酸性としてエタノールを留去し、水層を酢酸エチル抽出(50ml×4)した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムにて乾燥後溶媒を留去し、標記の化合物3.07g(84%)を油状物として得た。
【0102】
1H-NMR(400MHz, CDCl3) δ:
1.21 - 1.27(1H, m), 1.35 - 1.39(1H, m), 1.79 - 1.80(1H, m),
1.97 - 2.04(2H, m), 3.52 - 3.61(4H, m), 5.14(2H, 2s),
7.30 - 7.36(5H, m).
【0103】
実施例F
5−ベンジルオキシカルボニル−1−第三級ブトキシカルボニルアミノ−5−アザスピロ[2.4]ヘプタン(a)及びHPLC分離(1−a;2−a)
5−ベンジルオキシカルボニル−5−アザスピロ[2.4]ヘプタン−1−カルボン酸(a)2.86g(10.39mmol)を第三級ブタノール50mlに溶解し、室温にてジフェニルリン酸アジド4.29g(15.6mmol)、トリエチルアミン2.90ml(20.8mmol)の順に滴下し、18時間過熱還流した。反応終了後、溶媒を留去して残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、n−ヘキサン:酢酸エチル=2:1の溶出部より標記の化合物2.0g(55%)を油状物として得た。
【0104】
本成績体は、キラルカラムを用いたHPLCに付し立体異性体(1−a)および(2−a)に分離した。
【0105】
カラム:CHIRALPAK AD, 2cm×25cm
移動相:n-ヘキサン:イソプロパノール=75:25
流 量:7.0ml/分
温 度:室温
検 出:UV(254nm)
光学異性体それぞれの保持時間を以下に示す。
【0106】
化合物(1−a): 12分
化合物(2−a): 14分
【0107】
異性体(1−a)、860mg(24%);
1H-NMR(400MHz, CDCl3) δ:
0.60(1H, br s), 0.95 - 1.03(1H,m), 1.43(9H, s), 1.87(2H, br s),
2.59(1H, br s), 3.32(2H, d, J = 11.7 Hz), 3.55 - 3.62(2H, m),
4.64(1H, br s), 5.12(2H, 2s), 7.30 - 7.37(5H, m).
【0108】
異性体(2−a)、1.01g(28%);
1H-NMR(400MHz, CDCl3) δ:
0.60(1H, br s), 0.95 - 1.03(1H, m), 1.43(9H, s), 1.87(2H, br s),
2.59(1H, br s), 3.32(2H, d, J = 12.7 Hz), 3.55 - 3.62(2H, m),
4.64(1H, br s), 5.12(2H, 2s), 7.31 - 7.37(5H, m).
【0109】
実施例G
5−ベンジルオキシカルボニル−1−第三級ブトキシカルボニルアミノ−5−アザスピロ[2.4]ヘプタン(a)及びHPLC分離(1−b;2−b)
5−ベンジルオキシカルボニル−5−アザスピロ[2.4]ヘプタン−1−カルボン酸(b)3.05g(11.08mmol)を第三級ブタノール55mlに溶解し、室温にてジフェニルリン酸アジド4.57g(16.6mmol)、トリエチルアミン3.09ml(22.1mmol)の順に滴下し、18時間過熱還流した。反応終了後、溶媒を留去して残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、n−ヘキサン:酢酸エチル=2:1の溶出部より標記の化合物1.7g(44%)を油状物として得た。
【0110】
本成績体は、キラルカラムを用いたHPLCに付し立体異性体(1−b)および(2−b)に分離した。
【0111】
カラム:CHIRALPAK AD, 2cm×25cm
移動相:n-ヘキサン:エタノール= 50:50(v/v)
流 量:5.0ml/分
温 度:室温
検 出:UV(254nm)
光学異性体それぞれの保持時間を以下に示す。
【0112】
化合物(1−b): 19分
化合物(2−b): 28分
【0113】
異性体(1−b)、844mg(22%);
1H-NMR(400MHz, CDCl3) δ:
0.63(1H, br s), 0.98(1H, br s), 1.40(9H, s), 1.72(1H, br s),
1.89(1H, br s), 2.51(1H, br s), 3.27 - 3.39(2H, m), 3.59(2H, br s),
4.93(1H, br s), 5.13(2H, s), 7.30 - 7.38(5H, m).
【0114】
異性体(2−b)、760mg(20%);
1H-NMR(400MHz, CDCl3) δ:
0.63(1H, br s), 0.98(1H, br s), 1.40(9H, s), 1.72(1H, br s),
1.90(1H, br s), 2.51(1H, br s), 3.28 - 3.40(2H, m), 3.59(2H, br s),
4.82(1H, br s), 5.13(2H, s), 7.29 - 7.36(5H, m).
【0115】
実施例1
5−アミノ−7−[1−アミノ−5−アザスピロ[2.4]ヘプタン−5−イル]−6,8−ジフルオロ−1−[(1R,2S)−2−フルオロシクロプロピル]−1,4−ジヒドロ−4−オキソキノリン−3−カルボン酸[異性体I(1−a)]
【0116】
【化13】
Figure 0003771620
5−ベンジルオキシカルボニル−1−第三級ブトキシカルボニルアミノ−5−アザスピロ[2.4]ヘプタン(1−a)346mg(1.00mmol)をエタノール30mlに溶解し、10%パラジウム炭素350mgを加え常圧にて4時間水素添加した。反応終了後、10%パラジウム炭素を濾去し、エタノールを留去した。残留物をアセトニトリル10mlに懸濁し、5−アミノ−6,7,8−トリフルオロ−1−[(1R,2S)−2−フルオロシクロプロピル]−1,4−ジヒドロ−4−オキソキノリン−3−カルボン酸210mg(0.67mmol)およびトリエチルアミン0.93ml(6.67mmol)を加え、24時間加熱還流した。溶媒を留去後、残留物にクロロホルムを加え、水、10%クエン酸水溶液および飽和食塩水にて順次洗浄後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、溶媒を留去した。得られた第三級ブチルカルバメート体に濃塩酸3ml加え、室温で30分間撹拌後、水酸化ナトリウム水溶液にてpH7.4に調製しクロロホルムにて抽出、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、溶媒を留去した。残留物をエタノールより再結晶し、標記の化合物190mg(69%)を得た。
【0117】
融点:195 - 198 ℃
[α]D 25 = +6.86, (c = 0.495, 0.1N水酸化ナトリウム水溶液)
1H-NMR(400MHz, 0.1NNaOD)δ:
0.48 - 0.51(1H, m), 0.82 - 0.85(1H, m), 1.51 - 1.57(2H, m),
1.83 - 1.88(1H, m), 2.00 - 2.07(1H, m), 2.32 - 2.35(1H, m),
3.39(2H, s), 3.74(3H, br s), 8.21(1H, s).
元素分析値;C19H19N4O3F3・1/4H2O として
計算値:C, 55.27; H, 4.76; N, 13.57
実測値:C, 55.46; H, 4.77; N, 13.43
【0118】
実施例2
5−アミノ−7−[1−アミノ−5−アザスピロ[2.4]ヘプタン−5−イル]−6,8−ジフルオロ−1−[(1R,2S)−2−フルオロシクロプロピル]−1,4−ジヒドロ−4−オキソキノリン−3−カルボン酸[異性体I(2−a)]
【0119】
【化14】
Figure 0003771620
5−ベンジルオキシカルボニル−1−第三級ブトキシカルボニルアミノ−5−アザスピロ[2.4]ヘプタン(2−a)346mg(1.00mmol)をエタノール30mlに溶解し、10%パラジウム炭素350mgを加え常圧にて4時間水素添加した。反応終了後、10%パラジウム炭素を濾去し、エタノールを留去した。残留物をアセトニトリル10mlに懸濁し、5−アミノ−6,7,8−トリフルオロ−1−[(1R,2S)−2−フルオロシクロプロピル]−1,4−ジヒドロ−4−オキソキノリン−3−カルボン酸210mg(0.67mmol)およびトリエチルアミン0.93ml(6.67mmol)を加え、24時間加熱還流した。溶媒を留去後、残留物にクロロホルムを加え、水、10%クエン酸水溶液および飽和食塩水にて順次洗浄後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、溶媒を留去した。得られた第三級ブチルカルバメート体に濃塩酸3ml加え、室温で30分間撹拌後、水酸化ナトリウム水溶液にてpH7.4に調製しクロロホルムにて抽出、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、溶媒を留去した。残留物をエタノールより再結晶し、標記の化合物113mg(41%)を得た。
【0120】
融点:216 - 219 ℃
[α]D 25 = +52.38, (c = 0.399,0.1N水酸化ナトリウム水溶液)
1H-NMR(400MHz, 0.1NNaOD)δ:
0.47 - 0.49(1H, m), 0.79 - 0.82(1H, m), 1.50 - 1.58(2H, m),
1.79 - 1.86(1H, m), 1.98 - 2.04(1H, m), 2.30 - 2.33(1H, m),
3.36(2H, s), 3.72(3H, br s), 8.21(1H, s).
元素分析値;C19H19N4O3F3・1/4H2O として
計算値:C, 55.27; H, 4.76; N, 13.57
実測値:C, 55.39; H, 4.80; N, 13.37
【0121】
実施例3
5−アミノ−7−[1−アミノ−5−アザスピロ[2.4]ヘプタン−5−イル]−6,8−ジフルオロ−1−[(1R,2S)−2−フルオロシクロプロピル]−1,4−ジヒドロ−4−オキソキノリン−3−カルボン酸[異性体I(1−b)]
【0122】
【化15】
Figure 0003771620
5−ベンジルオキシカルボニル−1−第三級ブトキシカルボニルアミノ−5−アザスピロ[2.4]ヘプタン(1−b)346mg(1.00mmol)をエタノール30mlに溶解し、10%パラジウム炭素350mgを加え常圧にて4時間水素添加した。反応終了後、10%パラジウム炭素を濾去し、エタノールを留去した。残留物をアセトニトリル10mlに懸濁し、5−アミノ−6,7,8−トリフルオロ−1−[(1R,2S)−2−フルオロシクロプロピル]−1,4−ジヒドロ−4−オキソキノリン−3−カルボン酸210mg(0.67mmol)およびトリエチルアミン0.93ml(6.67mmol)を加え、18時間加熱還流した。溶媒を留去後、残留物にクロロホルムを加え、水、10%クエン酸水溶液および飽和食塩水にて順次洗浄後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、溶媒を留去した。得られた第三級ブチルカルバメート体に濃塩酸5ml加え、室温で30分間撹拌後、水酸化ナトリウム水溶液にてpH7.4に調製しクロロホルムにて抽出、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、溶媒を留去した。残留物をエタノール−エーテルより再結晶し、標記の化合物198mg(72%)を得た。
【0123】
融点:129 - 131 ℃
[α]D 25 = +51.76, (c = 0.597, 0.1N 水酸化ナトリウム水溶液)
1H-NMR(400MHz, 0.1NNaOD)δ:
0.47 - 0.49(1H, m), 0.86 - 0.89(1H, m), 1.54 - 1.60(2H, m),
1.74 - 1.85(2H, m), 2.34 - 2.36(1H, m), 3.57 - 3.83(5H, m),
8.23(1H, s).
元素分析値;C19H19N4O3F3・3/4H2O として
計算値:C, 54.09; H, 4.90; N 13.28
実測値:C, 53.84; H, 4.84; N 13.05
【0124】
実施例4
5−アミノ−7−[1−アミノ−5−アザスピロ[2.4]ヘプタン−5−イル]−6,8−ジフルオロ−1−[(1R,2S)−2−フルオロシクロプロピル]−1,4−ジヒドロ−4−オキソキノリン−3−カルボン酸[異性体I(2−b)]
【0125】
【化16】
Figure 0003771620
5−ベンジルオキシカルボニル−1−第三級ブトキシカルボニルアミノ−5−アザスピロ[2.4]ヘプタン(2−b)346mg(1.00mmol)をエタノール30mlに溶解し、10%パラジウム炭素350mgを加え常圧にて4時間水素添加した。反応終了後、10%パラジウム炭素を濾去し、エタノールを留去した。残留物をアセトニトリル10mlに懸濁し、5−アミノ−6,7,8−トリフルオロ−1−[(1R,2S)−2−フルオロシクロプロピル]−1,4−ジヒドロ−4−オキソキノリン−3−カルボン酸210mg(0.67mmol)およびトリエチルアミン0.93ml(6.67mmol)を加え、18時間加熱還流した。溶媒を留去後、残留物にクロロホルムを加え、水、10%クエン酸水溶液および飽和食塩水にて順次洗浄後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、溶媒を留去した。得られた第三級ブチルカルバメート体に濃塩酸5ml加え、室温で30分間撹拌後、水酸化ナトリウム水溶液にてpH7.4に調製しクロロホルムにて抽出、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、溶媒を留去した。残留物をエタノール−エーテルより再結晶し、標記の化合物222mg(81%)
を得た。
【0126】
融点:180 - 181 ℃
[α]D 25 = +8.24, (c = 0.46, 0.1N 水酸化ナトリウム水溶液)
1H-NMR(400MHz, 0.1NNaOD)δ:
0.45 - 0.47(1H, m), 0.84 - 0.88(1H, m), 1.51 - 1.59(2H, m),
1.70 - 1.83(2H, m), 2.32 - 2.35(1H, m), 3.53 - 3.79(5H, m),
8.22(1H, s).
?????;C19H19N4O3F3・1H2O として
計算値:C, 53.52; H, 4.96; N, 13.14
実測値:C, 53.32; H, 5.00; N, 13.00
【0127】
実施例5
5−アミノ−7−[1−アミノ−5−アザスピロ[2.4]ヘプタン−5−イル]−6−フルオロ−1−[(1R,2S)−2−フルオロシクロプロピル]−8−メチル−1,4−ジヒドロ−4−オキソキノリン−3−カルボン酸[異性体II(1−a)]
【0128】
【化17】
Figure 0003771620
5−ベンジルオキシカルボニル−1−第三級ブトキシカルボニルアミノ−5−アザスピロ[2.4]ヘプタン(1−a)693mg(2.00mmol)をエタノール60mlに溶解し、10%パラジウム炭素600mgを加え常圧にて2時間水素添加した。反応終了後、10%パラジウム炭素を濾去し、エタノールを留去した。残留物をジメチルスルホキシド6mlに懸濁し、5−アミノ−6,7−ジフルオロ−1−[(1R,2S)−2−フルオロシクロプロピル]−8−メチル−1,4−ジヒドロ−4−オキソキノリン−3−カルボン酸312mg(1.00mmol)およびトリエチルアミン2.00ml(14.35mmol)を加え、窒素気流下150−160℃で19時間加熱した。溶媒を留去後、残留物にクロロホルムを加え、水、10%クエン酸水溶液および飽和食塩水にて順次洗浄後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、溶媒を留去した。得られた第三級ブチルカルバメート体に濃塩酸5ml加え、室温で20分間撹拌後、クロロホルム(50ml×3)で洗浄後、水酸化ナトリウム水溶液にてpH7.4に調製しクロロホルムにて抽出、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、溶媒を留去した。残留物をプレパラティブt.l.c.にて精製し(クロロホルム:メタノール:水=7:3:1の下層により展開)し、エタノール−エーテルより再結晶し、標記の化合物142mg(35%)を得た。
【0129】
融点:118 - 120 ℃
[α]D 24 = -266.46, (c = 0.486, 0.1N水酸化ナトリウム水溶液)
1H-NMR(400MHz, 0.1NNaOD)δ:
0.46 - 0.48(1H, m), 0.76 - 0.79(1H, m), 1.07 - 1.18(1H, m),
1.42 - 1.53(1H, m), 1.78 - 1.84(1H, m), 2.04 - 2.11(1H, m),
2.28(3H, s), 2.33 - 2.36(1H, m), 3.01(1H, d, J = 9.28 Hz),
3.42(2H, d, J = 9.27 Hz), 3.73 - 3.76(1H, m), 3.89 - 3.94(1H, m),
7.81(1H, s).
元素分析値;C20H22N4O3F2・3/4H2O として
計算値: C, 57.48; H, 5.67; N, 13.41
実測値: C, 57.57; H, 5.62; N, 13.29
【0130】
実施例6
7−[1−アミノ−5−アザスピロ[2.4]ヘプタン−5−イル]−6−フルオロ−1−[(1R,2S)−2−フルオロシクロプロピル]−1,4−ジヒドロ−8−メチル−4−オキソキノリン−3−カルボン酸[異性体III(1−a)]
【0131】
【化17】
Figure 0003771620
5−ベンジルオキシカルボニル−1−第三級ブトキシカルボニルアミノ−5−アザスピロ[2.4]ヘプタン(1−a)1.22g(3.52mmol)をエタノール100mlに溶解し、10%パラジウム炭素1.00gを加え常圧にて3時間水素添加した。反応終了後、10%パラジウム炭素を濾去し、エタノールを留去した。残留物をスルホラン(5ml)に懸濁し、6,7−ジフルオロ−1−[(1R,2S)−2−フルオロ−1−シクロプロピル]−1,4−ジヒドロ−8−メチル−4−オキソキノリン−3−カルボン酸BFキレート(690mg,2mmol)及びトリエチルアミン(0.86ml)を加え窒素気流下35℃で12時間撹拌した。トリエチルアミンを留去後、残査に水(10ml)を加え室温で30分間撹拌した。析出した結晶を水洗後濾取し、これをメタノール:水=9:1の混合溶媒(25ml)に溶解しトリエチルアミン(5ml)を加え1時間加熱還流した。溶媒を留去し、残査に濃塩酸(5ml)を加え室温で10分間撹拌後、反応液をクロロホルム(5ml×2)で洗浄した。20%水酸化ナトリウム水溶液でpH7.3としクロロホルム(30ml×3)で抽出した。硫酸ナトリウムにて乾燥し溶媒を留去した。残査をプレパラテイブTLC(クロロホルム:メタノール:水=7:3:1の下層で展開)で分離精製してエタノール−エーテルから再結晶して標記化合物を92mg(12%)得た。
【0132】
融点:103 - 109℃
[α]D 25 = -185.14(c = 0.350, 0.1N水酸化ナトリウム水溶液)
1H-NMR(400MHz,0.1N NaOD)δ:
0.50(1H, s), 0.82(1H, m),1.19 - 1.28(1H, m), 1.58 - 1.6(1H, m),
1.86 - 1.92(1H, m), 2.10 - 2.12(1H, m), 2.38(1H, s),
2.52(3H, s) 3.11(1H, d, J = 8.2 Hz), 3.42(1H, d, J = 8.3 Hz),
3.50(1H, s), 3.75(1H, s), 4.08(1H, s), 7.68(1H, d, J = 13.68 Hz),
8.46(1H,s).
元素分析;C20H21N3O3F2・1/4EtOHとして:
計算値: C, 61.42; H, 5.66; N, 10.48
実測値: C, 61.69; H, 5.71; N, 10.19
【0133】
実施例7
7−[1−アミノ−5−アザスピロ[2.4]ヘプタン−5−イル]−6−フル オロ−1−[(1R,2S)−2−フルオロシクロプロピル]−1,4−ジヒドロ−8−メチル−4−オキソキノリン−3−カルボン酸[異性体III(2−b)]
【0134】
【化18】
Figure 0003771620
5−ベンジルオキシカルボニル−1−t−ブトキシカルボニルアミノ−5− アザスピロ[2.4]ヘプタン(2−b)1.34g(3.87mmol)のメタノール(50ml)溶液に5%パラジウム炭素1.20gを加え常圧にて2時間水素添加した。反応終了後5%パラジウム炭素を濾去し、メタノールを留去した。残留物をスルホラン(7 ml)に懸濁し、ジフルオロ{6,7−ジフルオロ−1−[(1R,2S)−2−フルオロシクロプロピル]−1,4−ジヒドロ−8−メチル−4−オキソキノリン−3−カルボキシラート−O,O’}ボロン690mg(2.00mmol)及びトリエチルアミン0.31ml(2.20mmol)を加え窒素気流下、室温で19日間撹拌後、反応液に10%クエン酸水溶液を加え析出した固体を濾取した。水洗後、10%含水メタノール100mlに溶解しトリエチルアミン0.5mlを加え18時間加熱環流した。溶媒を留去して残渣に10%クエン酸水溶液を加えクロロホルムにて抽出。有機層を無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、溶媒を留去。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=9:1)に付しBoc体を得た。これに濃塩酸10mlを加え0℃にて2時間撹拌後、水酸化ナトリウム水溶液にてpH12とした後塩酸にてpH7.4に調整しクロロホルムで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、溶媒を留去した。残留物をエタノールより再結晶し標記の化合物319mg(41%)を得た。
【0135】
1H-NMR(400MHz, 0.1N NaOD) δ:
8.47(1H, s), 7.70(1H, d, J = 14.16 Hz), 5.12 - 4.83(1H, m),
4.13 - 4.07(1H, m), 3.78 - 3.68(1H, m), 3.64(1H, d, J = 9.76 Hz),
3.48 - 3.38(1H, m), 3.34(1H, d, J =9.77 Hz), 2.54(3H, s),
2.38 - 2.32(1H, m), 2.03 - 1.93(1H, m), 1.80 - 1.70(1H, m),
1.70 - 1.53(1H, m), 1.34 - 1.18(1H, m), 0.94 - 0.88(1H, m),
0.53 - 0.47(1H, m).
融点:206 - 208 ℃
[α]D 25 = -213.27°(c = 0.407, 0.1N NaOH)
元素分析:C20H21F2N3O3として
計算値:C, 61.69; H, 5.44; N, 10.79
実測値:C, 61.53; H, 5.49; N, 10.73
【0136】
実施例8
5−アミノ−7−[1−アミノ−5−アザスピロ[2.4]ヘプタン−5−イル]−6−フルオロ−1−[(1R,2S)−2−フルオロシクロプロピル]−8−メチル−1,4−ジヒドロ−4−オキソキノリン−3−カルボン酸[異性体II(2−b)]
【化19】
Figure 0003771620
5−ベンジルオキシカルボニル−1−第三級ブトキシカルボニルアミノ−5−アザスピロ[2.4]ヘプタン(2−b)1.36g(4.0mmol)をメタノール50mlに溶解し、5%パラジウム炭素1.2gを加え水素雰囲気下室温にて2時間撹拌した。反応懸濁液をセライト濾過(メタノール洗浄)し、溶媒を留去。残留物及び5−アミノ−1−[(1R,2S)−2−フルオロシクロプロピル]−6,7−ジフルオロ−1,4−ジヒドロ−8−メチル−4−オキソキノリン−3−カルボン酸624mg(2.0mmol)をジメチルスルホキシド30mlに溶解し、窒素雰囲気下、トリエチルアミン3mlを加え、140℃にて15時間撹拌した。溶媒を留去後、10%クエン酸水溶液50mlを加え,クロロホルム(50ml×2)で抽出し無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、溶媒を留去した。残留物に濃塩酸5mlを加え1時間撹拌した。水50mlを加えクロロホルム(50ml×2)で洗浄した。水層を水酸化ナトリウム水溶液にてpH12.00に調整しクロロホルム(50ml×2)で洗浄した。最後に1規定塩酸にてpH7.40に調整しクロロホルム(300ml×5)にて抽出した。抽出液を無水硫酸ナトリウムにて乾燥後溶媒を留去した。残留物に1規定塩酸2mlを加え減圧乾固した後、エタノールより再結晶して標記化合物29mg(3.2%)を得た。
【0137】
1H-NMR(400MHz,D2O)δ:
8.29(1H, s), 5.10 - 4.84(1H, m), 4.01 - 3.93(1H, m),
3.83 - 3.73(1H,m), 3.67(1H, d, J = 10.74 Hz), 3.52 - 3.42(1H, m),
3.33(1H, d, J = 9.77 Hz), 2.38(3H, s), 2.38 - 2.30(1H, m),
2.01 - 1.91(1H, m), 1.81 - 1.71(1H, m), 1.58 - 1.45(1H, m),
1.25 - 1.12(1H, m), 0.94 - 0.88(1H, m), 0.53 - 0.47(1H,m).
元素分析値C20H22F2N4O3・HCl・3/4H2Oとして
計算値:C, 52.87; H, 5.43; N, 12.33
実測値:C, 52.96; H, 5.36; N, 12.02
【0138】
【表1】
Figure 0003771620

Claims (7)

  1. 一般式(I)
    Figure 0003771620
    [式中、Xはハロゲン原子または水素原子を表し、
    はハロゲン原子を表し、
    は水素原子、水酸基、チオール基、ハロゲノメチル基、アミノ基、炭素数1から6のアルキル基または炭素数1から6のアルコキシル基を表すが、このうちのアミノ基は置換基としてホルミル基、炭素数1から6のアルキル基または炭素数2から5のアシル基を有していてもよい(ただし、置換基がアルキル基の場合はジアルキル置換となってもよく、この場合にアルキル基は同一でも異なっていてもよい。)。
    は式(II)
    Figure 0003771620
    (式中、RおよびRは各々独立に、水素原子または炭素数1から6のアルキル基を表し、
    mは1または2の整数を表す。)
    で表される置換基を表し、
    Aは窒素原子または式(III)
    Figure 0003771620
    [Xは水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ハロゲノメチル基、ハロゲノメトキシル基、アミノ基、炭素数1から6のアルキル基または炭素数1から6のアルコキシル基を表すが、このうちのアミノ基は置換基としてホルミル基、炭素数1から6のアルキル基または炭素数2から5のアシル基を有していてもよい(ただし、置換基がアルキル基の場合はジアルキル置換となってもよく、この場合にアルキル基は同一でも異なっていてもよい。)。]
    の部分構造を表し、
    Rは水素原子、フェニル基、アセトキシメチル基、ピバロイルオキシメチル基、エトキシカルボニル基、コリン基、ジメチルアミノエチル基、5−インダニル基、フタリジニル基、5−アルキル−2−オキソ−1,3−ジオキソール−4−イルメチル基、3−アセトキシ−2−オキソブチル基、炭素数1から6のアルキル基、炭素数2から7のアルコキシメチル基または、炭素数1から6のアルキレン基とフェニル基とから構成されるフェニルアルキル基を表す。]
    で表される、単一のジアステレオマーからなる、N−(ハロゲノシクロプロピル)置換ピリドンカルボン酸誘導体およびその塩
  2. 一般式(I)中、ハロゲノシクロプロピル基が1,2−シス−2−ハロゲノシクロプロピル基である請求項1に記載の化合物およびその塩
  3. 一般式(I)中、Rが立体化学的に単一な置換基である請求項2に記載の化合物およびその塩
  4. 一般式(I)中、ハロゲノシクロプロピル基が立体化学的に単一な置換基である請求項1、2または3に記載の化合物およびその塩
  5. ハロゲノシクロプロピル基が(1R,2S)−2−ハロゲノシクロプロピル基である請求項4に記載の化合物およびその塩
  6. がフッ素原子である請求項5に記載の化合物およびその塩
  7. 一般式(I)の化合物およびその塩から選ばれる少なくとも一種を有効成分として含有する抗菌薬
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