JP4357193B2 - 圧縮機の支持装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷蔵庫や空気調和機等の冷却装置における圧縮機の支持装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、冷却装置の圧縮機の下部周辺に設けた複数の取り付け脚を防振ゴムを介して取り付けベースに載置し、この防振ゴムの中央部を貫通する取り付けボルトによって取り付けベースに取り付けた圧縮機の支持装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
その特許文献1の中には、図4乃至図6として従来技術が開示され、その技術の問題点を解決したものがこの特許文献1の発明であるとの記載である。その図4のものは、内部を空洞にしたゴム等の弾性材からなる支持体によって圧縮機の振動を吸収するものであるが、特にインバータ方式の圧縮機では広範な回転数に対応しきれないという問題があったと記載されている。また図5のものは、上下に防振ゴムを設け、その間に金属製のコイルバネを介して圧縮機の振動を吸収するものであるが、部品数が増え、組み立て時間がかかる等の問題があると記載されている。更に図6のものは、蛇腹状の支持体であるが、垂直方向の振動に対しては防振効果があるが、水平方向の振動に対しては圧縮機の広範な振動には対処しきれないとの記載である。
【0004】
そこで、これらの問題点を解決したのが特許文献1の発明である由である。特許文献1の発明は、ゴム系の弾性体で形成した支持体であり、その上部に圧縮機の取り付け脚の取り付け孔周辺を挟持する環状の挟持分を設け、下部に圧縮機の取り付け脚とベース間を弾性支持する胴体部で構成し、この胴体部の外側面を螺旋条に形成したものである。この構成によって記載されたような効果は期待できるであろうが、この支持構造では圧縮機が上下方向に長いゴム系の弾性体によって支持されるため、圧縮機は運搬時に大きな振動を受けると、圧縮機に接続された冷媒パイプが屈曲したり折れ曲がったり等の損傷を受けることが考えられる。
【0005】
【特許文献1】
特開平2002−195159号公報(第1〜2頁、図1〜6)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、圧縮機の輸送運搬時における大きな振動によって圧縮機に接続された冷媒パイプが屈曲したり折れ曲がったり等の損傷を受けることがなく、しかも圧縮機の運転中の防振が達成できる防振装置を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の圧縮機の支持装置は、圧縮機の下部周辺に設けた複数の取り付け脚2が、それぞれ金属製筒体とこの金属製筒体の下側に介在しこの金属製筒体の下面全体を受ける下部防振ゴム板を介して取り付けベースに載置され、前記下部防振ゴム板と離れた状態を保つように前記各取り付け脚の上面には上部防振ゴム板がそれぞれ載置され、前記各上部防振ゴム板、各取り付け脚、金属製筒体及び下部防振ゴム板を貫通する取り付けボルトによって前記取り付けベースに取り付けられたことを特徴とする。
【0008】
このような金属製筒体を設けたことによって、従来のように上下方向に長い弾性ゴムによって支持したものに比して、圧縮機の輸送運搬時の変位を金属製筒体によって低減できるため、圧縮機の輸送運搬時における大きな揺れは防止され、圧縮機に接続された冷媒パイプが屈曲したり折れ曲がったり等の損傷を受けることがない。また、圧縮機の運転時の振動は、上部防振ゴム板と下部防振ゴム板によって低下できるため、圧縮機の運転時の騒音低下も達成できる。
【0009】
また、本発明の圧縮機の支持装置は、圧縮機の下部周辺に設けた複数の取り付け脚と、上部が前記取り付け脚から突出しない高さで前記取り付け脚の孔に嵌り金属製筒体の下面全体を受けるよう下側に介在した下部防振ゴム板を介して取り付けベースに載置された金属製筒体と、前記下部防振ゴム板と離れた状態を保つように前記取り付け脚の上面に載置された上部防振ゴム板と、この上部防振ゴム板に載置した座金と、この座金の上面に頭部が当接し前記座金、前記上部防振ゴム板、前記取り付け脚、前記金属製筒体及び前記下部防振ゴム板を貫通して前記取り付けベースに螺合する取り付けボルトを備え、前記圧縮機は、その下部が前記取り付けベースに形成した孔に遊嵌状態に侵入した位置で前記取り付けベースへの前記取り付けボルトの螺合にて前記取り付けベースに支持されたことを特徴とする。
【0010】
このような金属製筒体を設けたことによって、従来のように上下方向に長い弾性ゴムによって支持したものに比して、圧縮機の輸送運搬時の変位を金属製筒体によって低減できるため、圧縮機の輸送運搬時における大きな揺れは防止され、圧縮機に接続された冷媒パイプが屈曲したり折れ曲がったり等の損傷を受けることがない。また、圧縮機の運転時の振動は、上部防振ゴム板と下部防振ゴム板によって低下できるため、圧縮機の運転時の騒音低下も達成できる。そして、金属製筒体はその上部が取り付け脚の孔に嵌った状態であり、圧縮機の輸送運搬時における大きな揺れを取り付け脚と協同して防止できる。また、取り付けボルトは上方から差し込んで取り付けベースに螺合するため、防振支持装置を組み立て易い構成となる。更に、圧縮機が取り付けベースに形成した孔に遊嵌状態に侵入しているため、圧縮機が低い位置に支持されることにより、圧縮機の揺れを少なくできる効果がある。
【0011】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態について説明する。各図は本発明の実施形態を示しており、図1は本発明に係る圧縮機の支持状態の平面図、図2は本発明に係る圧縮機の支持状態の側面図、図3は図2に示す圧縮機の防振支持装置のP円内拡大断面図、図4は本発明に係る圧縮機の防振支持装置の他の実施形態を示す拡大断面図である。
【0012】
これらの図において、1は冷蔵庫や空気調和機等の冷却装置における圧縮機であり、圧縮機1の下部周辺には溶接にて複数の取り付け脚2が設けられ、この取り付け脚2が防振支持装置10によって取り付けベース5上に支持されている。
【0013】
本発明における防振支持装置10の基本形態は次のとおりである。即ち、各取り付け脚2が、それぞれ金属製筒体3とこの金属製筒体3の下側に介在した下部防振ゴム板4を介して取り付けベース5に載置され、各取り付け脚2の上面には上部防振ゴム板6がそれぞれ載置され、上部防振ゴム板6、金属製筒体3及び下部防振ゴム板4のそれぞれの中央部には、取り付けボルト7が比較的緩く挿入される孔を形成しており、上部防振ゴム板6、取り付け脚2、金属製筒体3及び下部防振ゴム板4のそれぞれを貫通する取り付けボルト7によって取り付けベース5に取り付けられた構成である。なお、取り付けベース5に対する圧縮機1の高さを低くするために、取り付けベース5には圧縮機1の下部が侵入する孔8が形成され、圧縮機1の下部が、圧縮機1の通常の運転状態では孔8の周縁部に当接しないような遊嵌状態となるように侵入した位置で、圧縮機1が防振支持装置10によって取り付けベース5に支持されている。
【0014】
この基本形態においては、金属製筒体3を設けたことによって、従来のように上下方向に長い弾性ゴムによって支持したものに比して、圧縮機1の輸送運搬時の変位を金属製筒体3によって低減できるため、圧縮機1の輸送運搬時における大きな揺れは防止され、圧縮機1に接続された冷媒パイプが屈曲したり折れ曲がったり等の損傷を受けることを防止できる。また、圧縮機1の運転時の振動は、上部防振ゴム板6と下部防振ゴム板4によって低下できるため、圧縮機1の運転時の騒音低下も達成できる。
【0015】
この形態において、取り付けボルト7は、図3のように、その頭部7Aを上部に位置させて先端部の螺子部を取り付けベース5に形成した螺子孔5Bに螺合させた取り付け状態であるが、この構成に代わる方法として図4に示す。この図4の方法では、頭部7Aが取り付けベース5の下側に位置する状態で取り付けボルト7を下方から、取り付けベース5に形成した孔5Aを通して各下部防振ゴム4、金属製筒体3、取り付け脚2及び上部防振ゴム板6を貫通させて先端部の螺子部にナット11を螺合せしめる構成である。
【0016】
本発明の防振支持装置10の更に具体的な形態の一つを以下に記載する。この形態において、防振支持装置10は、上部の小径部3Aが圧縮機1の下部周辺に設けた複数の取り付け脚2の孔2Aに嵌り下側に介在した下部防振ゴム板4を介して取り付けベース5に載置された金属製筒体3と、取り付け脚2の上面に載置された上部防振ゴム板6と、この上部防振ゴム板6に載置した座金9とを備え、各座金9、上部防振ゴム板6、金属製筒体3及び下部防振ゴム板4のそれぞれの中央部には、取り付けボルト7が比較的緩く挿入される孔を形成している。この場合、金属製筒体3の小径部3Aの上面は取り付け脚2から突出しない高さである。そして、この座金9の上面に頭部7Aが当接し座金9、上部防振ゴム板6、取り付け脚2、金属製筒体3及び下部防振ゴム板4を貫通して取り付けベース5の螺子孔5Bに螺合する取り付けボルト7を備えた構成である。そして、取り付けベース5に対する圧縮機1の高さを低くするために、取り付けベース5には、圧縮機1の下部が侵入する孔8が形成され、圧縮機1の下部が、圧縮機1の通常の運転状態では孔8の周縁部に当接しないような遊嵌状態となるように侵入した位置で、圧縮機1が防振支持装置10によって取り付けベース5に支持されている。
【0017】
この場合も、図4に示すように、頭部7Aが取り付けベース5の下側に位置する状態で取り付けボルト7を下方から、取り付けベース5に形成した孔5Aを通して各下部防振ゴム4、金属製筒体3、取り付け脚2、上部防振ゴム板6及び座金9を貫通させて先端部の螺子部にナット11を螺合せしめる構成とすることもできる。
【0018】
この具体的な形態においては、圧縮機1が取り付けベース5に形成した孔8に遊嵌状態に侵入して圧縮機1を低い位置に支持できると共に輸送運搬時の変位を金属製筒体3によって低減できるため、圧縮機1の運転時や輸送運搬時の大きな揺れが抑制され、この揺れによって生じる圧縮機1に接続された冷媒パイプの屈曲や折れ曲がり等の障害を防止できる。そして、金属製筒体3は、その上部が取り付け脚2の孔2Aに嵌り、その下部の大径部3Bに取り付け脚2が支えられた状態であるため、圧縮機1の輸送運搬時における大きな揺れに対して、取り付け脚2と金属製筒体3とが協同作用して冷媒パイプの屈曲や折れ曲がり等の障害を防止できることとなる。更に、図3のように取り付けボルト7は上方から差し込んで取り付けベース5に螺合することにより、防振支持装置10の組み立てもし易くなる構成となる。
【0019】
本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の技術的範囲を逸脱しない限り種種の変更が考えられ、それに係る種々の実施形態を包含するものである。
【0020】
【発明の効果】
本発明は、金属製筒体を設けたことによって、従来のように上下方向に長い弾性ゴムによって支持したものに比して、輸送運搬時における圧縮機の変位を金属製筒体によって低減できるため、圧縮機の輸送運搬時における大きな揺れは抑制され、輸送運搬時における圧縮機に接続された冷媒パイプが屈曲したり折れ曲がったり等の損傷を受けることがない。また、圧縮機の運転時の振動は、上部防振ゴム板と下部防振ゴム板によって低下できるため、圧縮機の運転時の騒音低下も達成できる。
【0021】
また、請求項2の発明では、上記の効果に加えて、金属製筒体はその上部が取り付け脚の孔に嵌った状態であり、圧縮機の輸送運搬時における大きな揺れを取り付け脚と協同して防止できる。そして、取り付けボルトは上方から差し込んで取り付けベースに螺合するため、防振支持装置が組み立て易い構成となる。また圧縮機が取り付けベースに形成した孔に遊嵌状態に侵入して圧縮機を低い位置に支持できるため、圧縮機の揺れを少なくできる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る圧縮機の支持状態の平面図である。
【図2】本発明に係る圧縮機の支持状態の側面図である。
【図3】図2に示す圧縮機の防振支持装置のP円内拡大断面図である。
【図4】本発明に係る圧縮機の防振支持装置の他の実施形態を示す拡大断面図である。
【符号の説明】
1・・・圧縮機
2・・・取り付け脚
2A・・・取り付け脚の孔
3・・・金属製筒体
3A・・・金属製筒体の小径部
4・・・下部防振ゴム板
5・・・取り付けベース
6・・・上部防振ゴム板
7・・・取り付けボルト
8・・・取り付けベースの孔
10・・・防振支持装置
Claims (2)
- 圧縮機の下部周辺に設けた複数の取り付け脚2が、それぞれ金属製筒体とこの金属製筒体の下側に介在しこの金属製筒体の下面全体を受ける下部防振ゴム板を介して取り付けベースに載置され、前記下部防振ゴム板と離れた状態を保つように前記各取り付け脚の上面には上部防振ゴム板がそれぞれ載置され、前記各上部防振ゴム板、各取り付け脚、金属製筒体及び下部防振ゴム板を貫通する取り付けボルトによって前記取り付けベースに取り付けられたことを特徴とする圧縮機の支持装置。
- 圧縮機の下部周辺に設けた複数の取り付け脚と、上部が前記取り付け脚から突出しない高さで前記取り付け脚の孔に嵌り金属製筒体の下面全体を受けるよう下側に介在した下部防振ゴム板を介して取り付けベースに載置された金属製筒体と、前記下部防振ゴム板と離れた状態を保つように前記取り付け脚の上面に載置された上部防振ゴム板と、この上部防振ゴム板に載置した座金と、この座金の上面に頭部が当接し前記座金、前記上部防振ゴム板、前記取り付け脚、前記金属製筒体及び前記下部防振ゴム板を貫通して前記取り付けベースに螺合する取り付けボルトを備え、前記圧縮機は、その下部が前記取り付けベースに形成した孔に遊嵌状態に侵入した位置で前記取り付けベースへの前記取り付けボルトの螺合にて前記取り付けベースに支持されたことを特徴とする圧縮機の支持装置。
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