JP4357017B2 - 織物の染色仕上げ加工方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は少なくとも緯糸にポリトリメチレンテレフタレート繊維で構成された織物の仕上げ加工に関する。さらに詳しくは、風合がソフトで寸法安定性に優れ、規格した織物幅に仕上げる加工法を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】
各種繊維からなる織物を染色仕上げ加工する上で、織物は規格された幅に仕上げることが重要である。染色仕上げした織物は、縫製工程を通り、製品化される。特に縫製工程では、製品を作るために各パーツに裁断するが、織物のロスが少なくなる様に各パーツの取り方を決めている。よって、織物が規格幅より狭くなることは予定していたパーツが取れなくなり余分な生地を使用することになって、コストアップに繋がるため問題である。
【0003】
ポリエチレンテレフタレート繊維は、特に熱セット性に優れており、このポリエチレンテレフタレート繊維からなる織物は、常法に従って、製織、精練、プレセット、染色、仕上げ加工という一般的な染色仕上げ加工を行った場合、通常、プレセットでは織物幅を有り幅(精練後の生地幅に対して、ヒ−トセッタ−の設定幅を−1〜1%以内にする)で行い、仕上げ加工では染色後の幅に対して2〜5%の幅出しをしてセットしているが、得られた織物は規格巾に仕上がり寸法安定性に優れ、且つ、風合いは幅出しの有無では殆ど変化はしない。
【0004】
一方、ポリトリメチレンテレフタレート繊維は、低ヤング率、且つ、高弾性回復率の繊維であり、ナイロン繊維に匹敵するような柔軟な風合の繊維であるが、ポリトリメチレンテレフタレート繊維からなる織物を、ポリエチレンテレフタレート繊維からなる織物と同様な染色仕上げ加工を行うと、仕上げ加工時では規格幅より大幅に狭い織物しか得られない。従って、プレセット後収縮した幅を仕上げ加工時に再度規格幅に設定して幅出しセットを行った場合は、幅出しにより風合いが非常に硬くなり、且つ幅出しにより寸法安定性が悪くなる。又更に、規格の幅に幅出ししたにも関わらず完全にセットされず規格幅より狭い織物しか得られなかった。
【0005】
この様にポリトリメチレンテレフタレート繊維からなる織物はセット性が悪くプレセットや仕上げセットで規格幅に設定しても設定値通りの仕上げができない。又、幅出しセットを行うと風合いが硬くなる等の問題があり、通常のポリエチレンテレフタレート繊維織物と同様の染色加工工程では風合いがソフトで寸法安定性に優れ規格した織物幅に仕上げることは困難であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる要求に応えた、風合がソフトで寸法安定性に優れ、規格した織物幅に仕上がったポリトリメチレンテレフタレート繊維で構成された織物を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題について鋭意検討した結果、特定の方法で染色仕上げ加工を行うと課題解決の目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、少なくとも緯糸がポリトリメチレンテレフタレート繊維で構成された織物を精練した後、精練後の織物幅に対して3%以上の幅入れプレセットを行い、その後、染色、仕上げ加工することを特徴とする染色仕上げ加工方法を提供するものである。
【0008】
以下本発明について詳述する。
本発明において、ポリトリメチレンテレフタレート繊維とは、トリメチレンテレフタレート単位を主たる繰り返し単位とするポリエステル繊維をいい、トリメチレンテレフタレート単位を約50モル%以上、好ましくは70モル%以上、さらには80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上のものをいう。従って、第三成分として他の酸成分及び/又はグリコール成分の合計量が、約50モル%以下、好ましくは30モル%以下、さらには20モル%以下、さらに好ましくは10モル%以下の範囲で含有されたポリトリメチレンテレフタレートを包含する。
【0009】
ポリトリメチレンテレフタレートは、テレフタル酸又はその機能的誘導体と、トリメチレングリコール又はその機能的誘導体とを、触媒の存在下で、適当な反応条件下に重縮合せしめることにより製造される。この製造過程において、適当な一種又は二種以上の第三成分を添加して共重合ポリエステルとしてもよいし、又、ポリエチレンテレフタレート等のポリトリメチレンテレフタレート以外のポリエステル、ナイロンとポリトリメチレンテレフタレートとを別個に製造した後、ブレンドしたり、複合紡糸(鞘芯、サイドバイサイド等)してもよい。
【0010】
添加する第三成分としては、脂肪族ジカルボン酸(シュウ酸、アジピン酸等)、脂環族ジカルボン酸(シクロヘキサンジカルボン酸等)、芳香族ジカルボン酸(イソフタル酸、ソジウムスルホイソフタル酸等)、脂肪族グリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、テトラメチレングリコール等)、脂環族グリコール(シクロヘキサンジメタノール等)、芳香族を含む脂肪族グリコール(1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン等)、ポリエーテルグリコール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等)、脂肪族オキシカルボン酸(ω−オキシカプロン酸等)、芳香族オキシカルボン酸(p−オキシ安息香酸等)等が挙げられる。又、1個又は3個以上のエステル形成性官能基を有する化合物(安息香酸等又はグリセリン等)も重合体が実質的に線状である範囲内で使用出来る。
さらに、二酸化チタン等の艶消剤、リン酸等の安定剤、ヒドロキシベンゾフェノン誘導体等の紫外線吸収剤、タルク等の結晶化核剤、アエロジル等の易滑剤、ヒンダードフェノール誘導体等の抗酸化剤、難燃剤、制電剤、顔料、蛍光増白剤、赤外線吸収剤、消泡剤等を含有していてもよい。
【0011】
本発明においてポリトリメチレンテレフタレート繊維の紡糸については、1500m/分程度の巻取り速度で紡糸して未延伸糸を得た後、2〜3.5倍程度で延撚する方法、紡糸−延撚工程を直結した直延法(スピンドロー法)、巻取り速度5000m/分以上の高速紡糸法(スピンテイクアップ法)の何れを採用しても良い。
又、繊維の形態は、長繊維でも短繊維でもよく、長さ方向に均一なものや太細のあるものでもよく、断面においても丸型、三角、L型、T型、Y型、W型、八葉型、偏平、ドッグボーン型等の多角形型、多葉型、中空型や不定形なものでもよい。
【0012】
さらに糸条の形態としては、リング紡績糸、オープンエンド紡績糸等の紡績糸、単糸デニールが0.1〜5デニール程度のマルチフィラメント原糸(極細糸を含む)、甘撚糸〜強撚糸、混繊糸、仮撚糸(POYの延伸仮撚糸を含む)、いわゆるタスラン加工糸等の流体噴射加工糸等が挙げられる。
尚、本発明の目的を損なわない範囲内で通常30重量%以下の範囲内でウールに代表される天然繊維等他の繊維を混紡(サイロスパンやサイロフィル等)、交絡混繊(高収縮糸との異収縮混繊糸等)、交撚、複合仮撚(伸度差仮撚等)、2フィード流体噴射加工等の手段で混用してもよい。
【0013】
本発明は、少なくとも緯糸がポリトリメチレンテレフタレート繊維からなる織物に関するものであり、緯糸がポリトリメチレンテレフタレート繊維である場合に本発明の染色仕上げ加工方法が効果的である。
経糸は、織物の幅をコントロールする上で何ら影響を与えるものではなく、ポリトリメチレンテレフタレート繊維であっても、他の合成繊維、半合成繊維、天然繊維等のいかなる繊維であってもよく、これらの繊維を混紡(サイロスパンやサイロフィル等)、交絡混繊(高収縮糸との異収縮混繊糸等)、交撚、複合仮撚(伸度差仮撚等)、2フィードタスラン加工等の手段で混用してもよいし、又、これらの繊維を経糸に一本〜数本交互に交織してもよい。
【0014】
尚、本発明で用いる織物は、特に種類が限定されるものではなく、平組織、綾組織、朱子組織、さらにはこれらの組織を組み合わせた組織であってもよい。
又、織物製織用の織機も特に限定されるものではなく、エアージェットルーム、ウォータージェットルーム、レピアルーム、グリッパールーム、有杼織機などを用いて生産することができる。
【0015】
次に、本発明の染色仕上げ方法について説明する。
本発明の目的は、少なくとも緯糸がポリトリメチレンテレフタレート繊維で構成された織物を精練した後、精練後の織物幅に対して3%以上の幅入れプレセットを行い、その後染色、仕上げ加工を行う染色仕上げ加工法を採用することによって初めて風合いがソフトで寸法安定性に優れ、規格通りの織物幅の製品が得られる。
【0016】
本発明は、精練後に特定のプレセットを行うことを特徴とする染色仕上げ加工方法であり、精練により予め織物をリラックスさせ収縮させることによりプレセット時の収縮量と収縮応力を抑制し3%以上の幅入れプレセットで幅方向の性量をコントロールすることが出来る。精練条件は特に限定されないが50℃〜100℃の温度で5分〜30分の時間で拡布状で連続的又はロープ状でバッチ式に行うことが出来、通常この条件で幅方向の収縮は2%〜20%であり、80℃〜100℃の範囲で精練を行い予め収縮させておく方が好ましい。
【0017】
又、精練で用いられる助剤は生機に付着しているオイリング油剤や糊剤を除去出来る物であればよく公知の精練用界面活性剤や洗浄効果を高めるためアルカリを使用してもよい。又、精練装置はオープンソーパー、ウインス等の公知の装置を使用できる。
精練後の乾燥は、付着している水分を除去出来ればよく、通常、シリンダー乾燥機、ヒートセッター、ショートループドライヤー等で行える。乾燥させる条件は、通常、100℃〜140℃で5秒以上である。装置としては織物に張力が加わりにくいショートループドライヤーがより風合いを柔軟にする点で好ましい。また、精練して織物を常温の状態で乾燥させても何ら問題ない。
【0018】
本発明の効果を得るためには、プレセットで精練後の織物幅に対して3%以上幅入れすることが特に重要である。3%以上の幅入れでプレセットした場合は、プレセット時の設定幅通りの織物となり、この時点で織物の風合いは柔軟であり、染色後も織物の幅変化がなく、仕上げ加工を有り幅で行うことにより、規格幅に仕上がる。又、この織物は風合いが柔軟で寸法安定性に優れた織物を得ることが出来る。
【0019】
しかし、幅入れを3%未満でプレセットした場合には、プレセット時の設定幅より織物の幅が狭くなり、この時点で織物の風合いは硬くなる。その後の染色・仕上げ加工を行っても風合いは変化せず柔軟な織物は得られない。又、幅入れを3%未満でプレセットした場合、染色工程でも更に収縮し幅が狭くなる。この織物を規格幅に仕上げる為に仕上げ加工で規格幅まで幅出しを行った場合は、仕上げ加工でもセットが効かず、規格巾より幅が狭くなり、規格通りの織物を得ることが出来ない。又更に、この織物は寸法安定性が悪く、風合いも硬いものとなる。
【0020】
幅入れの上限は精練後の織物の最大収縮率値(織物の幅方向を固定せずフリーの状態でプレセットと同処理を行った時の織物幅の収縮率値)であり、生機性量や精練条件及びプレセット条件によって変化する値で最大20%程度である。
本発明のプレセットでの幅入れとは精練した織物幅とプレセット装置の出口の設定幅より下記式で表される。
【0021】
【式1】
Figure 0004357017
尚、ここで云う精練した織物の幅とは、精練して乾燥させた織物を水平な台上に載置して、極力張力をかけずに皺等をのばした状態の織物の幅の最小値をいい、また、プレセット装置の出口の設定幅とは、プレセット装置の熱処理ゾーンの出口の設定幅である。
一般にプレセット装置の幅設定は、プレセット装置の入り口、熱処理ゾーンの入り口並びに出口の3ケ所で可能であり、本発明では、熱処理ゾーンの出口の設定幅を所定の設定幅となすことにより本発明の目的が達成されるが、プレセット装置内、例えば、熱処理ゾーンの入り口で精練した織物の幅よりも幅出しすることは織物の風合い等を損なうので避けた方がよい。
【0022】
本発明の好ましい態様としては、プレセット装置の入り口を本発明の設定幅とし、熱処理ゾーンの入り口並びに出口共にプレセット装置の入り口と同じ設定幅にして幅入れプレセットを行う(プレセット装置の入り口で幅入れし、全て同じ設定幅)、あるいは、プレセット装置の入り口の設定幅を精練した織物の幅とし、熱処理ゾーンの入り口と出口を本発明の設定幅にして幅入れプレセットを行う(熱処理ゾーンの入口で幅入れし、熱処理ゾーンの入り口と出口が同じ設定幅)ことが好ましい。
なお、必要に応じて3ケ所の設定幅(幅入れ率)を変化させてもよい。
【0023】
本発明におけるプレセット条件は、140℃〜200℃の乾熱で時間10秒以上行えばよく、特に、160℃〜180℃の範囲で20秒〜90秒程度で行うことが十分なセット効果を得る点で好ましい。特に200℃を超える温度では風合いが硬くなることがある。又、必要に応じて蒸熱(飽和蒸気や加熱蒸気)で行ってもよく、100℃〜140℃の範囲で時間10秒以上の条件で行えばよい。
又、プレセットを行う装置としては、熱処理と織物の幅をコントロールできる装置であれば特に限定されるものでなく、後工程での取り扱いに便利な処理方法を選べばよい。
具体的には、和歌山鉄工社製、京都機械社製、あるいは平野金属社製等のヒートセッターがあげられる。
【0024】
本発明における織物の染色仕上げ加工方法については、精練後にプレセットを施した後は、従来のポリエチレンテレフタレート繊維の織物の染色加工方法と何ら変わるものではない。
一般的な染色仕上げ加工工程は、染色−仕上げ加工(仕上げ加工剤の付与と仕上げセットを含む)という工程になる。特に本発明の仕上げ加工の最も好ましい条件としては、この工程を有り幅でセットすることである。仕上げ加工を有り幅で行うことで、風合いがソフトで寸法安定性に優れた織物が得られる。なお、必要に応じて幅入れの状態でセットしてもよいが、逆に幅出しすることは風合い等を損なう恐れがあるため好ましくない。
【0025】
本発明の織物の染色方法としては、一般的なポリエチレンテレフタレート繊維織物の染色方法を用いればよいが、ポリトリメチレンテレフタレート繊維はポリエチレンテレフタレート繊維より約20℃低い温度でも分散染料を吸尽しやすい特徴を持っており、濃色に染色する場合でも、通常、110℃程度の低い染色温度で十分な発色性が得られる。
又、本発明では、プレセット後に漂白あるいはアルカリ減量などを行ってから染色加工を実施しても何ら構わない。
染色した後の仕上げ加工においても本発明の目的を損なわなければ、通常繊維加工に用いられる樹脂加工、柔軟加工、吸水加工、制電加工、抗菌加工、撥水加工や酵素処理などの仕上げ加工は適用できる。
【0026】
さらに、本発明のポリトリメチレンテレフタレート繊維以外の繊維が混用された織物の場合は、本発明の効果を損なわなければ、その繊維を常法にて染色してもかまわない。例えば、経糸に再生セルロース繊維を用いた場合、通常行われている浸漬法、コールドパッドバッチ等のパディング染色法、プリント染色法等から適時選定して染色を行えばよい。
次に本発明の織物を規格した幅に仕上げるための織物の生機幅は、生機が精練によって収縮した幅と、精練後の織物がプレセットで幅入れされた幅を規格幅にプラスしたものを生機幅とすればよい。通常、規格幅に対して生機は5%から36%の範囲で幅を広くしたものとなる。尚、規格幅とは染色仕上げ加工後の織物に必要な幅を表し、使用される用途によって個々に設定される値である。例えば、一般的な裏地用途での規格幅は、112cm(44インチ)、122cm(48インチ)、137cm(54インチ)、152cm(60インチ)である。
以下、実施例にて本発明を説明する。
【0027】
【発明の実施形態】
実施例における織物の幅の測定方法及び織物風合いと寸法安定性の評価方法は以下の通りである。
(1)織物の幅
各工程後の織物を水平な台上に載置して、極力張力をかけずに皺等をのばした状態の織物の幅を測定し(n=3)、その最小値で表した。具体的には、緯糸に平行になるように定規をあて、織物の両端の経糸間の幅を測定した。尚、織物の幅はcmで表し、小数点以下は切り捨てとした。
(2)風合い
仕上げ加工後の織物について、風合いの程度を5段階に分け、ハンドリングによる官能評価により、風合いの大変ソフトな織物を○(5点)、風合いがかなりソフトな織物を○〜△(4点)、風合いのソフトな織物を△(3点)、風合いがやや硬い織物を△〜×(2点)、風合いの硬い織物を×(1点)とし、5段階の点数を付けた。評価は5人でランク付けしてその平均値で表した。評価が3〜5点の範囲内は良好な風合いの織物とする。
【0028】
(3)寸法安定性
JIS−L−1042、H−3法(プレス法の中の蒸熱加熱法)に従って評価し、織物の緯方向(幅方向)の収縮率を算出した。収縮率が3%以内のものは寸法安定性が良好なものとする。
<ポリトリメチレンテレフタレート繊維の製法>
ηsp/c=0.8のポリトリメチレンテレフタレートを紡糸温度265℃、紡糸速度1200m/分で紡糸して未延伸糸を得、次いで、ホットロール温度60℃、ホットプレート温度140℃、延伸倍率3倍、延伸速度800m/分で延撚して、50d/24fと75d/36fの延伸糸を得た。延伸糸の強度、伸度、弾性率並びに10%伸長時の弾性回復率は、各々3.2g/d、46%、30g/d並びに98%であった。
尚、10%伸長時の弾性回復率は、試料に0.01g/dの初荷重をかけ、毎分20%の伸びの一定割合の速度で伸ばし、伸度10%になったところで今度は逆に同じ速度で収縮させて、応力−歪曲線を画く。収縮中、応力が初荷重と等しい0.01g/dにまで低下した時の残留伸度をLとすると、次式で算出した値である。
10%伸長時の弾性回復率=〔(10−L)/10〕×100(%)
【0029】
ηsp/cは、ポリマ−を90℃でo−クロロフェノ−ルに1g/デシリットルの濃度で溶解し、その後、得られた溶液をオストワルド粘度管に移し35℃で測定し、下記式により算出した。
ηsp/c=(T/T0−1)/C
T:試料溶液の落下時間(秒)
T0:溶剤の落下時間(秒)
C:溶液濃度(g/デシリットル)
【0030】
【実施例1、2】
上記で得られた50d/24fのポリトリメチレンテレフタレート繊維を経糸に、75d/36fのポリトリメチレンテレフタレート繊維を緯糸に用いて、経密度(筬密度)95本/インチ、緯密度(緯糸打ち込み密度)75本/インチの平織物を津田駒工業(株)製のエアージェットルームを用いて表1に記載の生機幅に製織した。尚、生機幅の異なる生機は織機の通し幅を変化させて作成した。次に、得られた生機を精練−乾燥ープレセット−染色−仕上げ加工の一連の処理を行った。精練は和歌山鉄工社製のオープンソーパー型連続精練機を用い、苛性ソーダ5g/l、ノニオン系界面活性剤2g/l、処理温度を100℃の条件で行った。乾燥は平野金属社製シリンダー乾燥機を用い130℃でシリンダーとの接触時間を10秒で行った。プレセットは平野金属社製ヒートセッターを用い180℃×30秒で、表1に記載の条件(ヒートセッター入り口の設定幅。熱処理ゾーンの入り口と出口も同じ設定幅)で幅を設定して行った。
【0031】
染色は日阪製作所社製サーキューラーを用い、染料C.I DISPERSE BLUE 29l 1%owf 、ディスパーTL 1g/l (明成化学社製:タモール型)、pH調整剤として酢酸0.5cc/l、温度110度×時間30分で行った。又、仕上げ加工条件はパッドドライキュアー法に従い、撥水剤NKガードFGN800が1wt%(日華化学社製)、制電剤ミューロンAS222が1wt%(ミヨシ油脂社製)の加工液に含浸・絞液はマングル圧力5kg/cm2 で行い、乾燥(ドライ)100℃×60秒、仕上げセット(キュアー)を170℃×30秒で規格巾の122cm(44インチ)に幅を設定して行った。
表1に実施例1、2の染色仕上げ加工工程での織物の幅、並びに、得られた織物の風合いと寸法安定性の評価結果を示す。これらの仕上げ加工は有り幅セットとなり、得られた織物は規格幅の122cmに仕上がり、且つ、風合いがソフトで、寸法安定性に優れていた。
【0032】
【実施例3】
50d/24fのポリトリメチレンテレフタレート繊維を経糸に、75d/36fのポリトリメチレンテレフタレート繊維を緯糸に用いて、経密度(筬密度)90本/インチ、緯密度(緯糸打ち込み密度)を70本/インチの綾織物を津田駒工業(株)製のエアージェットルームを用いて表1に記載の生機幅に製織した。次に、得られた生機を精練−乾燥ープレセット−染色−仕上げ加工の一連の処理を行った。精練は和歌山鉄工社製のオープンソーパー型連続精練機を用い、苛性ソーダ5g/l、ノニオン系界面活性剤2g/l、処理温度を60℃の条件で行った。乾燥は平野金属社製シリンダー乾燥機を用い130℃でシリンダーとの接触時間を10秒で行った。プレセットは平野金属社製ヒートセッター用い190℃×30秒で、表1に記載の条件で幅を設定して行った。
【0033】
染色は日阪製作所社製サーキューラーを用い、染料C.I DISPERSE BLUE 29l 1%owf 、ディスパーTL 1g/l (明成化学社製:タモール型)、PH調整剤として酢酸0.5cc/l、温度130度×時間30分で行った。又、仕上げ加工条件はパッドドライキュアー法に従い、撥水剤NKガードFGN800が1wt%(日華化学社製)、制電剤ミューロンAS222が1wt%(ミヨシ油脂社製)の加工液に含浸・絞液はマングル圧力5kg/cm2 で行い、乾燥(ドライ)を100℃×60秒で、仕上げセット(キュアー)を180℃×30秒で規格巾の122cm(44インチ)に幅を設定して行った。
表1に染色仕上げ加工工程での織物の幅、並びに、得られた織物の風合いと寸法安定性の評価結果を示す。仕上げ加工は有り幅セットとなり、得られた織物は規格幅の122cmに仕上がり、且つ、風合いがソフトで、寸法安定性に優れていた。
【0034】
【実施例4】
キュプラ(旭化成工業社製:ベンベルグ)75d/54fを経糸に、75d/36fのポリトリメチレンテレフタレート繊維を緯糸に用いて、経密度80本/インチ、緯密度を75本/インチの平織物を津田駒工業(株)製のエアージェットルームを用いて表1に記載の生機幅に製織した。次に、得られた生機を精練−乾燥ープレセット−染色−仕上げ加工の一連の処理を行った。精練は和歌山鉄工社製のオープンソーパー型連続精練機を用い、苛性ソーダ5g/l、ノニオン系界面活性剤2g/l、処理温度を100℃の条件で行った。乾燥は平野金属社製シリンダー乾燥機を用い130℃でシリンダーとの接触時間を10秒で行った。プレセットは平野金属社製ヒートセッター用い180℃×30秒で、表1に記載の条件で幅を設定して行った。染色は日阪製作所社製サーキューラーを用い、ポリトリメチレンテレフタレート繊維サイドを染料C.I DISPERSE BLUE 29l 1%owf 、ディスパーTL 1g/l (明成化学社製:タモール型)、pH調整剤として酢酸0.5cc/l、温度110度×時間30分で行った後、キュプラ繊維サイドを染料C.I REACTIVE 19 1%owf、硫酸ナトリウム50g/l、炭酸ナトリウム15g/l、温度60℃×60分で行った。又、仕上げ加工条件はパッドドライキュアー法に従い、グリオキザール樹脂スミテックスレジンNS−18が10wt%(住友化学社製)、触媒スミテックスアクセレレーターが3wt%(住友化学)、撥水剤NKガードFGN800が1wt%(日華化学社製)、制電剤ミューロンAS222が1wt%(ミヨシ油脂社製)の加工液に含浸・絞液はマングル圧力5kg/cm2 で行い、乾燥(ドライ)100℃×60秒、仕上げセット(キュアー)を170℃×30秒で規格巾の122cm(44インチ)に幅を設定して行った。
表1に染色仕上げ加工工程での織物の幅、並びに、得られた織物の風合いと寸法安定性の評価結果を示す。仕上げ加工は有り幅セットとなり、得られた織物は規格幅の122cmに仕上がり、且つ、風合いがソフトで、寸法安定性に優れていた。
【0035】
【比較例1〜3】
実施例1において、プレセット条件を表1に記載の条件に変更した以外は、実施例1と同様に行った。
表1に比較例1〜3の染色仕上げ加工工程での織物の幅、並びに、得られた織物の風合いと寸法安定性の評価結果を示す。
仕上げ加工は全て有り幅セットとなり、得られた織物は実施例1と同じ生機を規格幅の122cmに仕上げたにも関わらず、風合いは硬いものであった。
【0036】
【比較例4】
実施例3において、生機幅とプレセット条件を表1に記載の条件に変更した以外は、実施例3と同様に行った。
表1に染色仕上げ加工工程での織物の幅、並びに、得られた織物の風合いと寸法安定性の評価結果を示す。
プレセットでは設定幅まで精練した織物の幅入れが出来ず、染色後の織物幅も規格巾以上となり、仕上げ加工で規格幅にセットを行ったが、設定値通りに織物の幅が入らず、得られた織物は130cmと規格巾に仕上がらなかった。
【0037】
【比較例5】
実施例1において、生機幅とプレセット条件(設定幅)を表1に記載の条件に変更した以外は、実施例1と同様に行った。
表1に染色仕上げ加工工程での織物の幅、並びに、得られた織物の風合いと寸法安定性の評価結果を示す。
仕上げ加工は7%の幅出セットとなり、得られた織物は、織物幅が119cmと規格幅より狭くなるばかりか、風合いが硬く、寸法安定性も劣るものであった。
【0038】
【表1】
Figure 0004357017
【0039】
【発明の効果】
本発明は少なくとも緯糸にポリトリメチレンテレフタレート繊維で構成された織物の風合がソフトで寸法安定性に優れ、規格した織物幅に仕上げる加工法を提供するものである。

Claims (1)

  1. 少なくとも緯糸がポリトリメチレンテレフタレート繊維で構成された織物を精練した後、精練後の織物幅に対して3%以上の幅入れプレセットを行い、その後染色、仕上げ加工することを特徴とする染色仕上げ加工方法。
JP32523198A 1998-11-16 1998-11-16 織物の染色仕上げ加工方法 Expired - Fee Related JP4357017B2 (ja)

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