JP4356445B2 - 半導体x線検出素子およびその製造方法 - Google Patents
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Description
この半導体X線検出素子600は、n面電極64と、n+層61と、i層62と、p層63と、p面リング電極65と、p面電極66と、入射窓EWとを具備している。
入射窓EWにX線が入射すると、X線のエネルギーに比例した電子正孔対がi層62内で発生するため、n面電極64およびp面電極66から電気信号が取り出される。
なお、n+層61に連続するi層62の部分をi層本体部621と呼び、このi層本体部621の断面積を「受光面積」と呼ぶ。また、p層63へ広がっているi層62の部分をi層拡縁部622と呼ぶ。
従来の半導体X線検出素子600では、受光面積とn面電極64の面積は等しく、受光面積に対するn面電極64の面積の比は100%になっている。
なお、受光面積に対するn面電極64の面積の比を「面積比」と呼ぶ。
図20に示す特性曲線bは、n面電極64および受光面積が10mm2の半導体X線検出素子600の shaping time とエネルギー分解能の関係を示す実測値である。
両者を比較すれば、理論値と実測値がほぼ一致していることが判る。また、shaping time が5μsでのエネルギー分解能が約136eVであることが判る。
shaping time が5μsでのエネルギー分解能が約147eVであることが判る。
shaping time が5μsでのエネルギー分解能が約151eVであることが判る。
しかし、図20に示すように、受光面積を大きくすると、エネルギー分解能が低下する問題点があった。
そこで、本発明の目的は、受光面積を大きくしながらもエネルギー分解能の低下を抑制することが出来る半導体X線検出素子およびその製造方法を提供することにある。
半導体X線検出素子のエネルギー分解能ΔEは次式で表される。
ΔE=(ΔED 2+ΔEP 2+ΔES 2)1/2 ・・・・・・・(1)
ΔEPは、半導体X線検出素子およびFET(初段増幅器)による雑音でのエネルギーの広がりであり、これを小さくすることが求められる。
ΔESは、系全体の安定度その他によるエネルギーの広がりで、測定条件によって減少させることが可能である。
ΔEP=2.355ε{qIL[NP 2]+2kTRSCin 2[NS 2]+A[N1/f 2]+BCin 2[Ngr 2]}1/2/q ・・・・・・・(2)
ε:電子正孔対の生成に要する平均エネルギー(eV)
q:電荷素量(1.6×10−19C)
k:ボルツマン係数(1.38×10−23J/K)
IL:半導体X線検出素子とFETのゲート・ソース間の漏れ電流の和(A)
T:FETの温度(K)
RS:FET等価直列雑音抵抗値(Ω)
Cin:全入力容量(F)(半導体X線検出素子の容量、FET容量および浮遊容量の和)
τ:ピーキングタイム(s)(整形されたパルスの立ち上がりからトップに達するまでの時間)
A:半導体X線検出素子とFETと周辺を構成する材料の誘電損失などによって決まる定数
B:FET内での電荷の発生、再結合に関する雑音によって決まる定数
[NP 2]:入力に並列に入る白色雑音源に対する雑音指数(τに比例)
[NS 2]:入力に直列に入る白色雑音源に対する雑音指数(τに逆比例)
[N1/f 2]:入力に並列に入る1/f雑音に対する雑音指数(τに無関係)
[Ngr 2]:入力に直列に入る1/f雑音に対する雑音指数(τtをFET内での電荷の発生、再結合に関する時定数とすると、2τt/τ+τ/2τtに比例)
上記第1の観点による半導体X線検出素子では、n面電極の面積を受光面積より小さくするため、半導体X線検出素子の容量が小さくなる。これにより、Cinが小さくなり、ΔEPが小さくなる。その結果、受光面積を大きくしながらもエネルギー分解能ΔEが低下するのを抑制することが出来る(同じエネルギー分解能ΔEなら受光面積を大きくすることが出来る)。
本願発明者らが鋭意研究したところ、面積比を50%以下にすると、面積比が100%のときよりエネルギー分解能ΔEが向上する(小さくなる)ことを確認できた。
本願発明者らが鋭意研究したところ、トップハット形の半導体X線検出素子でn面電極の面積を受光面積より小さくすると、面積比が100%のときよりエネルギー分解能ΔEが向上することを確認できた。
n面電極あるいはn面電極およびn+層の面積を受光面積より小さくした結果、n面電極からの距離が大きいi層本体部の部分が生じてしまい、そのi層本体部の部分での効率が下がる心配がある。
そこで、上記第4の観点による半導体X線検出素子では、n面電極あるいはn面電極およびn+層の形状を工夫してn面電極をi層本体部の広い範囲に分布させ、n面電極からの距離が大きいi層本体部の部分が生じるのを抑制している。
上記第5の観点による半導体X線検出素子の製造方法では、本発明の半導体X線検出素子を好適に製造できる。
また、本発明の半導体X線検出素子の製造方法によれば、本発明の半導体X線検出素子を好適に製造することが出来る。
この半導体X線検出素子100は、正孔を集極するn面電極4と、多数キャリアが電子であるn+層1と、真性領域であるi層2と、多数キャリアが正孔であるp層3と、電子を集極するp面リング電極5およびp面電極6と、保護膜7と、X線が入射する入射窓EWとを具備している。
図3は、半導体X線検出素子100を示す底面図である。図示の都合上、保護膜7を省略している。
なお、n+層1に連続するi層2の部分をi層本体部21と呼び、このi層本体部21の断面積を「受光面積」と呼ぶ。また、p層3へ広がっているi層2の部分をi層拡縁部22と呼ぶ。
この半導体X線検出素子100では、受光面積よりn面電極4およびn+層1の面積が小さくなっている。
なお、受光面積に対するn面電極64の面積の比を「面積比」と呼ぶ。
受光面積に対するn面電極4およびn+層1の面積の比=面積比=50%になっている。
図4に示す特性曲線cは、受光面積が20mm2,n面電極およびn+層の面積が20mm2の半導体X線検出素子の shaping time とエネルギー分解能の関係を示す実測値である。
両者を比較すれば、shaping time が5μsでのエネルギー分解能が約147eVから約143eVに向上していることが判る。
寸法例を挙げると、n面電極4およびn+層1の直径は3.6mmであり、面積は約10mm2になる。i層本体部21の直径は6.2mmであり、受光面積は約30mm2になる。入射窓EWの直径は8.5mm、p面電極6の直径は10.0mmである。
受光面積に対するn面電極4およびn+層1の面積の比=面積比=33%になっている。
図5に示す特性曲線dは、受光面積が30mm2,n面電極およびn+層の面積が30mm2の半導体X線検出素子の shaping time とエネルギー分解能の関係を示す実測値である。
両者を比較すれば、shaping time が5μsでのエネルギー分解能が約151eVから約144eVに向上していることが判る。
ステップS1では、図7に示すように、p型半導体結晶PCの上面にLiを蒸着する。p型半導体結晶PCは、例えばSiの結晶にB等の不純物をドープしたものである。
この半導体X線検出素子400は、n面電極4およびn+層1の形状が同心リング状になっている外は、実施例1の半導体X線検出素子100と同様の構成である。
この半導体X線検出素子500は、n面電極4およびn+層1の形状が同心リング状と放射線状を組み合わせた形状になっている外は、実施例1の半導体X線検出素子100と同様の構成である。
2 i層
3 p層
4 n面電極
5 p面リング電極
6 p面電極
100,400,500 半導体X線検出素子
Claims (5)
- n面電極,n+層,i層,p層およびp面電極を有する半導体X線検出素子であって、前記n面電極および前記n + 層の面積が受光面積より小さいことを特徴とする半導体X線検出素子。
- 請求項1に記載の半導体X線検出素子において、前記n面電極および前記n+層の面積が受光面積の50%以下であることを特徴とする半導体X線検出素子。
- 請求項1または請求項2に記載の半導体X線検出素子において、全体形状がトップハット形であることを特徴とする半導体X線検出素子。
- 請求項1から請求項3に記載の半導体X線検出素子において、前記n面電極の形状が、同心リング形状または放射線形状またはこれらを組み合わせた形状であることを特徴とする半導体X線検出素子。
- n面電極,n+層,i層,p層を形成した後、前記n面電極および前記n+層の面積が受光面積より小さくなるように前記n面電極および前記n+層の一部を除去することを特徴とする半導体X線検出素子の製造方法。
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