JP2006261274A - 半導体検出器および半導体検出器製造方法 - Google Patents

半導体検出器および半導体検出器製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 X線検出特性を劣化させることなく、安定して確実に製造することができる、半球体の半導体検出器および半導体検出器製造方法を実現する。
【解決手段】 半球体をなす半導体検出器10の半球断面に掘削部18を設け、半球面をなすP型半導体領域11の辺縁部に突起部14を設けることとしているので、製造工程で必要とされる半導体検出器10の支持を突起部14で行い、簡易な構造の半導体検出器10のX線検出特性に影響を与えることなく、安定して確実に製造を行うことを実現させる。
【選択図】 図4

Description

この発明は、半球体の高純度シリコンあるいはリチウムドリフトを行うシリコンに、真性半導体領域からなるX線の有感層を形成する半導体検出器に関する。
近年、EDS(エネルギー分散型X線分光器)等で用いられるX線検出器として、高純度シリコンあるいはリチウムドリフトを行うシリコンを材料として、厚みのあるX線の有感層を形成する半導体検出器が用いられている。リチウムドリフトを行うシリコン(リチウムドリフト型シリコン)による半導体検出器(以下、Si(Li)素子と略称する)は、P型シリコン基板にリチウムをドリフトし、既存の不純物を補償し高抵抗の真性半導体領域とする。
ここで、図7は、Si(Li)素子を用いた半導体検出器80の外観を示す図である。この半導体検出器80は、円柱形の外観を有し、この円柱の柱方向からX線が入射する。図8は、この円柱のAA′断面を示す図である。半導体検出器80は、X線が入射する側からP型半導体領域81、真性半導体領域83、N型半導体領域85を有し、真性半導体領域83は厚みを持って形成され、X線に対する有感層を厚みあるものとしている。なお、P型半導体領域81には、サーフェスバリアが形成され、表面に金を蒸着したP電極82を有する。また、N型半導体領域85は、リチウム拡散層からなり、同じく金を含むN電極86が存在し、これら電極間には、N電極86がP電極82に対して正電圧となる逆バイアス電圧が印加される。一方、半導体検出器80の辺縁部分には、溝87が形成されており、P電極およびN電極間の沿面距離を長くし、表面リーク電流の低減が計られると共に、溝87で隔てられた円筒形状の外縁部分はP型半導体領域からなる円筒部84を形成する。そして、半導体検出器80は、X線光子の入射により、真性半導体領域83に発生する電子およびホール(正孔)のキャリア対を計測する。
ここで、半導体検出器を用いたX線光子の計測では、原理的に統計的な変動が存在するので、高い精度での計測を行いたい場合には、計測の量を増やし統計的な変動を小さなものとする必要がある。この場合、計測を行うオペレータにとって、短時間で計測の量を増やせることが好ましく、半導体検出器に入射するX線と直交する有効受光面積を大きくすることが行われる。
一方、X線光子の入射により生成されたキャリア対は、チャージセンシティブ型プリアンプおよび後続する波形整形回路で、光エネルギーに比例した波高を有する電気パルスに変換される。一例として、CR―RC型波形整形回路を通した時のエネルギー分解能ΔEは、
Figure 2006261274
で表される。ここで、ΔEはスペクトル分解能に対する電気的雑音の寄与、Cdは半導体検出器80の容量、Cfはプリアンプ初段FETの入力容量、Csは浮遊容量、εは電子およびホールのキャリア対を生成するためのエネルギー、BはFETのチャネル雑音、qは電子素電荷、Tpはフィルターのピーキングタイムである。
多くの元素から構成される化合物は、多くの特性X線スペクトルを有する。これら特性X線スペクトルは、スペクトルが重畳した場合に、化合物の同定が困難になったり、定量精度の低下を生じる。従って、スペクトルの重畳を生じない様にΔEを小さなものとする必要がある。(1)式に基づいて、エネルギー分解能ΔEを小さなものとするためには、半導体検出器80のP型半導体領域81およびN型半導体領域85間の容量であるCdを小さくする必要がある。しかしながら、容量Cdを小さくするには、P型半導体領域81にX線光子が入射する受光面積を小さくする必要があり、一方でこの受光面積を小さくすることは、入射X線光子に対する感度を低下させる要因となる。
また、受光面積を大きく保ち、同時に容量Cdを小さく保つ半導体検出器として、Si(Li)素子を用いた半球状の半導体検出器がある(例えば、非特許文献1参照)。図9は、この半球状の半導体検出器90を示す図である。半導体検出器90は、概ね図7と同様の円柱状の外観を有し、図9には、図7に示すAA′断面と同様の断面が示されている。半導体検出器90は、半導体検出器80と同様のP型半導体領域91、N型半導体領域95、真性半導体領域93、P電極92およびN電極96が存在する。ここで、真性半導体領域93は、概ね半球形状をなし、この半球形状の半球面にP型半導体領域91が存在する。P形半導体領域は、円柱型素子と同様に表面不感層を極力薄くするため、表面に金属を蒸着したサーフェスバリア(表面障壁)型が広く使われている。
また、N型半導体領域95は、この半球面の半球断面中心部に存在し、P型半導体領域91とは、真性半導体領域93を介して概ね等距離にある。ここで、半導体検出器90のP型半導体領域91およびN型半導体領域95間の容量Cdは、
Figure 2006261274
で表される。ここで、εはシリコンの比誘電率、ε0は真空中の誘電率、RはP型半導体領域91およびN型半導体領域95間の距離、rはN電極96の電極面積の3/4である。
ここで、半導体検出器90として、例えば、図7に示す様な外観の厚さ6.3mm、外形14.7mmの円柱形状である場合に、図8に示す平行平板型の半導体検出器80が2.7pFであるのに対して、図9に示す半球状の半導体検出器90は0.4pFとなる。そして、エネルギー分解能は、平行平板型の半導体検出器80が200eVであるのに対して、半球状の半導体検出器90が140eVとなり高分解能となる。
C.S.Rossington著、「Large Area,Low Capacitance Si(Li) Detectors for High Rate X−Ray Applications」IEEETrans.Nucl.Sci.,1993,Vol.40,N0.4,p.354〜359
しかしながら、上記背景技術によれば、半球状の半導体検出器は、製造に困難が伴うものである。すなわち、半導体検出器は、数十個程度の電子あるいはホールを計測するので、表面を流れるリーク電流は無視できる程度であることが好ましい。しかし、半導体検出素子を製造する場合に、半導体検出器のX線有感部分に接触すると、汚染あるいは障害により表面リーク電流が増加し、エネルギー分解能の大幅な低下あるいはプリアンプの動作不良を引き起こす。
ここで、図8に示す平行平板型の半導体検出器80では、逆バイアス電圧をP電極82およびN電極間に印加した場合に、円筒部84には電界が存在せず、製造工程で行われる円筒部84を押さえ付ける様な行為によっても、半導体検出器80のX線検出特性には影響を与えない。
一方、図9に示す半球状の半導体検出器90では、製造工程で生じるエッチングあるいは蒸着等の作業で、有感層に接するP型半導体領域91やP電極92に接触する必要が生じる。X線の吸収による損失を少なくする為に、極めて薄く作られた表面(100nmオーダー)なので、P領域は接触によって容易にダメージを受ける。この接触により半導体検出器層は、障害を受け、歩留まりの低化につながる。さらに、半導体検出器90をX線検出器として使用する場合には、真空容器に封入し、液体窒素で冷却する。この際、半導体検出器90に障害を与えることなく封入するのに、困難が伴い、また逆バイアス電圧を印加するP電極92の接続にも困難が伴う。
これらのことから、X線検出特性を劣化させることなく、安定して確実に製造することができる、半球体の半導体検出器および半導体検出器製造方法をいかに実現するかが重要となる。
この発明は、上述した背景技術による課題を解決するためになされたものであり、X線検出特性を劣化させることなく、安定して確実に製造することができる、半球体の半導体検出器および半導体検出器製造方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の発明にかかる半導体検出器は、半球体の高純度シリコンあるいはリチウムドリフト型シリコンに、真性半導体領域からなるX線の有感層を備える半導体検出器であって、前記真性半導体領域に隣接するP型半導体領域あるいはN型半導体領域が、前記半球体の半球面に存在し、前記半球面に前記P型半導体領域が存在する際に、前記半球体の半球断面上の中心位置を含む中心領域にN型半導体領域が存在し、前記半球面に前記N型半導体領域が存在する際に、前記半球体の半球断面上の中心位置を含む中心領域にP型半導体領域が存在し、前記半球面および前記半球断面に内包される位置に前記真性半導体領域が存在し、前記半球断面は、前記半球断面を前記中心領域を頂点とする円錐形状とする、前記半球断面上の前記中心位置からの距離に比例して掘削が深くなる掘削部を有し、さらに前記半球断面は、前記掘削を前記半球面の近傍で終了し、前記半球面および前記半球断面が交わる辺縁部に突起する突起部を有すること、を特徴とする。
この請求項1に記載の発明では、半球断面は、掘削部により、半球断面上の中心領域からの距離に比例して掘削が深くなる、半球断面の中心領域を頂点とする円錐形状とし、さらに半球断面は、この掘削を半球面の近傍で終了し、突起部を半球面および半球断面が交わる辺縁部に突起させる。
また、請求項2に記載の発明にかかる半導体検出器は、前記突起部が、前記半球面の前記辺縁部近傍に位置する電極を備えることを特徴とする。
この請求項2に記載の発明では、請求項1の発明において、突起部は、電極を半球面の辺縁部近傍に位置させる。
また、請求項3に記載の発明にかかる半導体検出器は、前記半球体が、前記突起部を介して接続され、前記半球体を円筒内部の中空部分に含む円筒部を備えることを特徴とする。
この請求項3に記載の発明では、請求項1の発明において、半球体は、突起部を介して接続される円筒部により、半球体を円筒内部の中空部分に囲む。
また、請求項4に記載の発明にかかる半導体検出器は、前記円筒部が、前記円筒の前記半球体が存在しない側の円筒側面に位置する電極を備えることを特徴とする。
この請求項4に記載の発明では、請求項3の発明において、円筒部は、電極を円筒の半球体が存在しない側の円筒側面に位置させる。
また、請求項5に記載の発明にかかる半導体検出器は、前記半球面が、多面体構造を有することを特徴とする。
この請求項5に記載の発明では、請求項1ないし4のいずれか1つの発明において、半球面を、多面体構造にする。
また、請求項6に記載の発明にかかる半導体検出器製造方法は、シリコンにリチウムを拡散後、ドリフトして作成された円柱の形状をなす補償領域から、前記円柱の湾曲する側面に張り出す円筒部を切断し、前記切断が行われた前記円柱の円形をなす一方の底面に、前記底面を前記底面の中心位置を含む中心領域を頂点とする円錐形状とする、前記底面上の前記中心領域からの距離に比例して深くなる掘削を行い、前記掘削を、前記底面の辺縁部近傍で終了し、前記底面の辺縁部に突起部を残し、前記突起部で前記円柱を支持して、前記円柱の掘削を行わない側の底面を半球面に加工し、前記加工により形成された半球体を、前記突起部で支持して、前記半球面にサーフェスバリア型の半導体領域を形成することを特徴とする。
この請求項6に記載の発明では、突起部により円柱あるいは半球体を支持して、製造を行う。
以上説明したように、請求項1に記載の発明によれば、半球断面は、掘削部により、半球断面上の中心領域からの距離に比例して掘削が深くなる、半球断面の中心領域を頂点とする円錐形状とし、さらに半球断面は、この掘削を半球面の近傍で終了し、突起部を半球面および半球断面が交わる辺縁部に突起させることとしているので、製造工程で必要とされる半導体検出器の支持を突起部で行い、半導体検出器のX線検出特性に影響を与えないで、安定して確実に製造を行い、ひいては低い電気容量で高いエネルギー分解能を有する半導体検出器を高い歩留まりで製造することができる。
請求項2に記載の発明によれば、突起部は、電極を半球面の辺縁部近傍に位置させることとしているので、製造および計測の際に、半導体検出器のX線有感層に与える障害を防止することができる。
請求項3に記載の発明によれば、半球体は、突起部を介して接続される円筒部により、半球体を円筒内部の中空部分に囲むこととしているので、この円筒部を支持することにより、製造工程で半球体に与える障害を防止することができる。
請求項4に記載の発明によれば、円筒部は、電極を円筒の半球体が存在しない側の円筒側面に位置させることとしているので、製造および計測の際に、半導体検出器のX線有感層に与える障害を防止することができる。
請求項5に記載の発明によれば、半球面は、多面体構造にすることとしているので、半球面の加工を簡易なものとすることができる。
請求項6に記載の発明によれば、突起部により円柱あるいは半球体を支持して、製造を行うこととしているので、製造工程で必要とされる半導体検出器の支持を突起部で行い、半導体検出器のX線検出特性に影響を与えないで、安定して確実に製造を行い、ひいては低い電気容量で高いエネルギー分解能を有する半導体検出器を高い歩留まりで製造することができる。
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる半導体検出器を実施するための最良の形態について説明する。なお、これにより本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
まず、本実施の形態1にかかる半導体検出器の構成について説明する。図1は、本実施の形態1にかかる半導体検出器20を示す。図1の半導体検出器20は、図7に示す半導体検出器80と同様の円柱形状の外観を有し、図7と同様のAA′断面を示している。
半導体検出器20は、P型のシリコン単結晶ウェハに、リチウムをドリフトさせて形成される、いわゆるSi(Li)素子をなし、X線光子が入射する側からP型半導体領域21、真性半導体領域23、N型半導体領域25を有する。
真性半導体領域23は、P型のシリコン単結晶ウェハに、リチウムを不純物としてドリフトしてP型の補償を行い、高抵抗の真性半導体領域としたもので、半球状に厚みを持って形成され、X線に対する有感領域を大きなものとしている。
また、P型半導体領域21は、表面を酸化する等してサーフェスバリア(表面障壁)型のP型半導体領域としたもので、N型半導体領域25を中心位置とする半球面上に位置する。なお、P型半導体領域21は、後述する円筒部24にP電極が形成される。
N型半導体領域25は、リチウムを拡散しN型半導体領域としたもので、金等を蒸着して形成されるN電極26を有する。N型半導体領域25は、半球面をなすP型半導体領域21の半球断面の中心位置を含む中心領域に位置する。
ここで、P電極22は、N電極26に対して負電圧となる逆バイアス電圧が印加され、N電極26に接続されるプリアンプを介して、真性半導体領域23で入射X線光子により形成される電子およびホールのキャリア対の電荷が計測される。
また、半導体検出器20は、N型半導体領域25を中心とする半球面上にP型半導体領域21が存在するので、真性半導体領域23は、挟まれるN型半導体領域25およびP型半導体領域21間を等距離で電気的に接続し、真性半導体領域23内では、逆バイアス電圧により概ね均一な電界が形成されるので、発生したキャリアがロスなく電極に集収される。
また、半導体検出器20は、円筒部24および掘削部28を有する。円筒部24は、円柱形状の外観を有する半導体検出器20の円柱側面部分に位置し、円筒に囲まれる中空部分に位置する半球状の真性半導体領域23と連続する構造を有し、電気的には弱いN型半導体領域をなす。円筒部24の円筒側面表面には、半球面状のサーフェスバリア(表面障壁)型のP型半導体領域21が形成されている。そして、円筒部24の円筒側面に位置するP型半導体領域21には、金等を蒸着して形成されるリング状のP電極22が配設される。円筒部24は、半球の径と同じに図示しているが短くても良い。
また、掘削部28は、半球状の真性半導体領域23の半球断面部分に位置し、半球断面の中心に位置するN型半導体領域25からの距離に比例した掘削深さを有し、円錐状の真性半導体領域23が形成される。なお、掘削部28は、半球面をなすP型半導体領域21近傍で終了し、半球断面に戻る。なお、掘削部28は、ダイアモンド超音波カッターで掘削し、エッチングでダメージ層を除去する。
つぎに、半導体検出器20の動作および製造工程における取り扱い方法について説明する。ここで、半導体検出器20の動作の理解を容易にするために、まず、掘削部28を有しない半導体検出器30の動作について説明する。図2は、掘削部28を有しない半導体検出器30の断面図である。なお、半導体検出器30は、掘削部28以外の部分は、半導体検出器20と全く同様の構成であるので詳しい説明を省略する。
半導体検出器30は、直流電源31により、P電極22およびN電極26間に逆バイアス電圧が印加されている。これにより、P型半導体領域21およびN型半導体領域25間には、図2の矢印で示す様な電気力線が発生する。ここで、半球面上のP型半導体領域21と中心位置にあるN型半導体領域25間は、概ね等距離にあるため、均一でしかも強い電界が真性半導体領域23に発生する。一方、円筒部24のP型半導体領域21とN型半導体領域25の間は、半球面と比較して距離が長く、しかも一定しないため不均一でしかも弱い電界が真性半導体領域23に発生する。図2に示す半導体検出器30中には、この弱電界領域32が、点線で囲まれた領域として示されている。
そして、弱電界領域32にX線光子が入射しキャリア対が発生した際に、これらキャリア対は、弱い電界のために様々な不都合が生じる。例えば、真性半導体領域23は、Si(Li)素子を用いて形成する場合には弱いN型半導体領域となっており、逆バイアス電圧の印加により、キャリアを払い出し、高抵抗の真性半導体領域として機能させる。この際、弱電界領域32では、電界が弱いものとなり、高抵抗の真性半導体領域としての機能が充分なものとはならず、さらに、弱電界領域32で発生したキャリアがP型半導体領域21あるいはN型半導体領域25で収集できない等のことが生じる。
これらのことは、半導体検出器30を用いたエネルギースペクトラムの計測において、エネルギー分解能ΔEが大きくなり分解能の低下を招いたり、さらにはスペクトル波形が低エネルギー側に尾を引くテーリング等の原因となる。
図1に戻り、半導体検出器20は、逆バイアス電圧が印加される際に、掘削部28を有しているので、入射X線光子に対する有感領域である真性半導体領域23には、半球面上に位置するP型半導体領域21および半球面の中心に位置するN型半導体領域25間の均一で強い電界のみが存在する。これにより、入射X線光子により、半球状の真性半導体領域23で発生させられたキャリア対は、すべて同様の電界条件のもとでP型半導体領域21あるいはN型半導体領域25に収集され、エネルギー分解能ΔEの劣化あるいはスペクトル波形のテーリング等が防止される。
また、図1に示す半導体検出器20は、P型半導体領域からなる円筒部24を有する。円筒部24は、入射X線光子に対する有感領域を形成しておらず、半導体検出器20のX線検出特性には、影響を与えない。従って、半導体検出器20を製造する際の、エッチング、蒸着あるいは切削等の工程においては、円筒部24を機械的に支持し作業を行う。これにより、半導体検出器20のX線検出特性を劣化させることなく、円滑で高い歩留まりの製造を行うことができる。
上述してきたように、本実施の形態1では、半導体検出器20は、半球状の真性半導体領域23に加え、掘削部28および円筒部24を有しているので、低い電気容量で高いエネルギー分解能を持つ半導体検出器20を、弱電界領域32でX線検出特性を劣化させることなく、さらに製造工程で必要とされる半導体検出器20の支持を円筒部24で行い、半導体検出器20のX線検出特性に影響を与えることなく、安定して確実に製造を行うことができる。図9の構造では表面リークを樹脂塗布することによって抑えているが、誘電体の塗布は1/f雑音の増加により分解能が悪くなる原因となる。図1に示す掘削部28は、図2の構造と比較して、P−N電極間沿面距離が長い為、1/f雑音の増加なしに、表面リーク電流を少なくする事ができる。
また、本実施の形態1では、半導体検出器20の材料としてSi(Li)素子(リチウムドリフト型シリコン)を用いたが、同様に高純度シリコンを用いることもできる。
また、本実施の形態1では、半導体検出器20のP型半導体領域をなす半球面は、完全な球面の一部分であるとしたが、この半球面を多面体構造とし、疑似球面の一部分とすることもできる。
(実施の形態2)
ところで、上記実施の形態1では、支持が行われる円筒部24を、半球体の真性半導体領域23の外側に別途設けることとしたが、支持部分を半球体の真性半導体領域23の一部として形成し、同様のX線検出特性を有する半導体検出器を、簡易に製造することもできる。そこで、本実施の形態2では、支持部分を半球体の真性半導体領域23の一部とする場合を示すことにする。
図3は、本実施の形態2にかかるSi(Li)素子を用いた半導体検出器10の外観を示す図である。半導体検出器10は、半球体の外観を有し、この半球面方向からX線が入射する。図4は、半導体検出器10の、半球断面と直交するBB′断面を示す図である。
半導体検出器10は、P型半導体領域11、真性半導体領域13、N型半導体領域15、P電極12、N電極16、掘削部18および突起部14を含む。ここで、P型半導体領域11、真性半導体領域13、N型半導体領域15、P電極12、N電極16は、図1に示す半導体検出器20のP型半導体領域21、真性半導体領域23、N型半導体領域25、P電極12、N電極16と全く同様のものであるので、詳しい説明を省略する。
掘削部18は、半導体検出器20の掘削部28と同様に、半球体の真性半導体領域13の半球断面部分に位置し、N型半導体領域15をなすこの半球断面の中心位置からの距離に比例する深さの掘削部分を有し、円錐形状の真性半導体領域13を形成する。なお、この円錐形状の掘削部18は、半球面をなすP型半導体領域11近傍で終了し、半球断面に戻る。なお、掘削部18は、ダイアモンド超音波カッターによる掘削後エッチングして形成される。
突起部14は、半導体検出器10の半球断面の辺縁部をなし、掘削部18の半球断面までの戻りおよび半球面を形成するP型半導体領域11間に形成される。ここで、突起部14は、P型半導体領域11およびN型半導体領域15間に逆バイアス電圧が印加された際に,ほとんど電荷がかからないので、入射X線光子に対する有感領域を形成せず、半導体検出器10のX線検出特性には影響を与えない。従って、半導体検出器10を製造する際の、エッチング、蒸着あるいは切削等の工程においては、突起部14を機械的に支持し作業を行うことにより、半導体検出器10のX線検出特性を劣化させることなく、円滑で高い歩留まりの製造を行うことができる。
つづいて、図5を用いて半導体検出器10の製造工程を示す。図5は、半導体検出器10の製造工程を示すフローチャートである。まず、オペレータは、図7に示す様な円柱形のP型シリコン単結晶ウェハに外形加工を行い(ステップS501)、溝67を形成する。図6(A)は、溝67が形成された円柱形のP型シリコン単結晶ウェハの柱方向の断面を示す図である。ここで、溝67により形成される円柱の側面に位置する円筒部64は、製造作業を行う際の支持部分をなす。
その後、オペレータは、円筒部64を支持部分として、外形加工されたP型シリコン単結晶ウェハにリチウムを拡散し、N電極が蒸着されるN型半導体領域を形成する。次いでリチウムをドリフトし真性半導体領域を形成する。この際、リチウムのドリフト作業は、P型シリコン単結晶ウェハのX線有感層に、障害を与えることなく行われる。
その後、オペレータは、カッター等で、円筒部64を切断し(ステップS503)、P型シリコン単結晶ウェハ部分を除去する。そして、オペレータは、ダイアモンドカッター等の手段を用いて、円柱形状のP型シリコン単結晶ウェハのN型半導体領域側から切削を行い、図4に示す様な半球断面の中心位置からの距離に比例する深さを有する掘削部18を形成する(ステップS504)。ここで、掘削部18は、円柱形状をなすP型シリコン単結晶ウェハの側面近傍で掘削を終了し、側面部分に突起部14を形成する。図5(B)は、P型シリコン単結晶ウェハの円筒部64が切断され、さらに掘削部18が形成される同時に突起部14が形成された状態を示す。
その後、オペレータは、突起部14を支持部分として、P型シリコン単結晶ウェハのP型半導体領域側から、ダイアモンドカッター等の手段を用いて切削を行い、半球形状に仕上げる(ステップS505)。図5(C)は、図5(B)に示すP型シリコン単結晶ウェハのP型半導体領域側に半球形状の切削加工を施した図である。
その後、オペレータは、突起部14を支持部分として、エッチングを行い(ステップS506)、切削によって生じるダメージ層の除去を行い、さらに酸化および金等サーフェスバリア金属の蒸着を行い(ステップS507)、サーフェスバリア型のP型半導体領域を形成する。
上述してきたように、本実施の形態2では、半球形状をなす半導体検出器10の半球断面に掘削部18を形成し、半球面をなすP型半導体領域11の辺縁部に突起部14を設けることとしているので、製造工程で必要とされる半導体検出器10の支持を突起部14で行い、簡易な構造の半導体検出器10のX線検出特性に影響を与えることなく、安定して確実に製造を行うにことができる。
半球体が円筒部の中空部分で囲まれた半導体検出器の構成を示す断面図である。 実施の形態1の半導体検出器の変形例を示す説明図である。 半球体をなす半導体検出器の外観を示す外観図である。 実施の形態2の半導体検出器の構成を示す断面図である。 実施の形態2の半導体検出器の製造工程を示すフローチャートである。 実施の形態2の半導体検出器の各製造工程での構成を示す断面図である。 従来の半導体検出器の外観を示す外観図である。 従来の平行平板型の半導体検出器の構成を示す断面図である。 従来の半球体をなす半導体検出器の構成を示す断面図である。
符号の説明
10、20、30、80、90 半導体検出器
11、21、81、91 P型半導体領域
12、22、82、92 P電極
13、23,83、93 真性半導体領域
14 突起部
15、25、85、95 N型半導体領域
16、26、86、96 N電極
18、28 掘削部
24、64,84 円筒部
31 直流電源
32 弱電界領域
67,87 溝

Claims (6)

  1. 半球体の高純度シリコンあるいはリチウムドリフト型シリコンに、真性半導体領域からなるX線の有感層を備える半導体検出器であって、
    前記真性半導体領域に隣接するP型半導体領域あるいはN型半導体領域が、前記半球体の半球面に存在し、
    前記半球面に前記P型半導体領域が存在する際に、前記半球体の半球断面上の中心位置を含む中心領域にN型半導体領域が存在し、
    前記半球面に前記N型半導体領域が存在する際に、前記半球体の半球断面上の中心位置を含む中心領域にP型半導体領域が存在し、
    前記半球面および前記半球断面に内包される位置に前記真性半導体領域が存在し、
    前記半球断面は、前記半球断面を前記中心領域を頂点とする円錐形状とする、前記半球断面上の前記中心領域からの距離に比例して掘削が深くなる掘削部を有し、
    さらに前記半球断面は、前記掘削を前記半球面の近傍で終了し、前記半球面および前記半球断面が交わる辺縁部に突起する突起部を有すること、
    を特徴とする半導体検出器。
  2. 前記突起部は、前記半球面の前記辺縁部近傍に位置する電極を備えることを特徴とする請求項1に記載の半導体検出器。
  3. 前記半球体は、前記突起部を介して接続され、前記半球体を円筒内部の中空部分に含む円筒部を備えることを特徴とする請求項1に記載の半導体検出器。
  4. 前記円筒部は、前記円筒の前記半球体が存在しない側の円筒側面に位置する電極を備えることを特徴とする請求項3に記載の半導体検出器。
  5. 前記半球面は、多面体構造を有することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の半導体検出器。
  6. シリコンにリチウムを拡散後、ドリフトして作成された円柱の形状をなす補償領域から、前記円柱の湾曲する側面に張り出す円筒部を切断し、
    前記切断が行われた前記円柱の円形をなす一方の底面に、前記底面を前記底面の中心位置を含む中心領域を頂点とする円錐形状とする、前記底面上の前記中心領域からの距離に比例して深くなる掘削を行い、
    前記掘削を、前記底面の辺縁部近傍で終了し、前記底面の辺縁部に突起部を残し、
    前記突起部で前記円柱を支持して、前記円柱の掘削を行わない側の底面を半球面に加工し、
    前記加工により形成された半球体を、前記突起部で支持して、前記半球面にサーフェスバリア型の半導体領域を形成することを特徴とする半導体検出器製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009259880A (ja) * 2008-04-14 2009-11-05 Shimadzu Corp 半導体x線検出素子
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CN109950333A (zh) * 2019-04-01 2019-06-28 李正 球形盒状三维探测器及其制备方法

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