JP2018017509A - 放射線検出器 - Google Patents

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雅也 諏訪
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Abstract

【課題】放射線有感領域を拡大し、且つ高分解能の放射線検出器を提供する。【解決手段】i層12と、i層12の上方に、平面視でi層12のいずれの部分からも一定の距離以下であるようにメッシュ状に配置されたn+半導体層13と、n+半導体層13と重ねてメッシュ状に配置されたn側電極30と、i層12の下方に配置されたp側電極20とを備え、n側電極30とp側電極20の間に逆電圧が印加されて電界の発生するi層12において、検出対象の放射線が吸収される。【選択図】図1

Description

本発明は、測定対象物から放出される放射線を検出する放射線検出器に関する。
X線、ガンマ線などの放射線を検出するために、種々の放射線検出器が用いられている。例えばX線の検出には、シリコン基板にリチウム(Li)をドリフトさせた、p型半導体層、ドリフト層(i層)、高濃度n型半導体層(n+半導体層)からなる放射線検出器が用いられている。この放射線検出器では、i層を挟んで配置されたp側電極とn側電極との間に逆電圧を印加することにより、放射線有感領域であるi層で吸収された放射線が電荷の形で取り出される。
放射線検出器では、分解能の低下を抑制するために、種々の対策が検討されている。例えば、化合物半導体基板を用いた放射線検出器において、n側電極よりもp側電極の面積を小さくすることにより、電圧印加時におけるp側電極付近での電界を強くする方法が開示されている(特許文献1参照。)。これにより、放射線の検出時にp側電極付近に発生してn側電極に移動する正孔の移動速度が速くなり、化合物半導体基板を移動中に欠陥準位にトラップされる正孔が減少する。
特開昭64−77969号公報
例えば、宇宙線を検出する場合に線量率の低い特定の宇宙線を検出することなどを目的して、放射線検出器の放射線有感領域を拡大する場合がある。しかし、放射線有感領域を拡大すると、放射線検出器に付加する容量が増大し、分解能が低下する。分解能の低下は、検出された放射線のエネルギーの特定が困難になるという観点などから、許容できない。
上記問題点に鑑み、本発明は、放射線有感領域を拡大し、且つ高分解能の放射線検出器を提供することを目的とする。
本発明の一態様によれば、放射線有感領域と、放射線有感領域の上方に、平面視で放射線有感領域のいずれの部分からも一定の距離以下であるようにメッシュ状に配置されたn+半導体層と、n+半導体層と重ねてメッシュ状に配置されたn側電極と、放射線有感領域の下方に配置されたp側電極とを備え、n側電極とp側電極の間に逆電圧が印加されて電界の発生する放射線有感領域において、検出対象の放射線が吸収される放射線検出器が提供される。
本発明によれば、放射線有感領域を拡大し、且つ高分解能の放射線検出器を提供できる。
本発明の第1の実施形態に係る放射線検出器の構造を示す模式図であり、図1(a)は平面図であり、図1(b)はI−I方向に沿った断面図である。 本発明の第1の実施形態に係る放射線検出器のn側電極及びn+半導体層の構造を示す模式的な斜視図である。 n側電極及びn+半導体層の配置の比較例を示す模式図であり、図3(a)は平面図であり、図3(b)は図3(a)のIII−III方向に沿った断面図である。 n側電極及びn+半導体層の配置の比較例を示す模式図であり、図4(a)は平面図であり、図4(b)は図4(a)のIV−IV方向に沿った断面図である。 n側電極及びn+半導体層の配置の比較例を示す模式図であり、図5(a)は平面図であり、図5(b)は図5(a)のV−V方向に沿った断面図である。 n側電極及びn+半導体層の配置の比較例を示す模式図であり、図6(a)は平面図であり、図6(b)は図6(a)のVI−VI方向に沿った断面図である。 n側電極及びn+半導体層の配置の比較例を示す模式図であり、図7(a)は平面図であり、図7(b)は図7(a)のVII−VII方向に沿った断面図である。 シミュレーションモデルを示す模式図である。 シミュレーション結果を示すグラフである。 本発明の第1の実施形態に係る放射線検出器における、i層とn側電極及びn+半導体層との距離の最大値を示す模式図である。 n側電極及びn+半導体層をメッシュ状にした例を示す模式的な平面図である。 n側電極及びn+半導体層をメッシュ状にした他の例を示す模式的な平面図である。 n側電極及びn+半導体層をメッシュ状にした他の例を示す模式的な平面図である。 本発明の第1の実施形態に係る放射線検出器の製造方法を説明するための工程断面図である(その1)。 本発明の第1の実施形態に係る放射線検出器の製造方法を説明するための工程断面図である(その2)。 本発明の第1の実施形態に係る放射線検出器の製造方法を説明するための工程断面図である(その3)。 本発明の第1の実施形態に係る放射線検出器の製造方法を説明するための工程断面図である(その4)。 本発明の第1の実施形態に係る放射線検出器の製造方法を説明するための工程断面図である(その5)。 本発明の第1の実施形態に係る放射線検出器の製造方法を説明するための工程断面図である(その6)。 本発明の第1の実施形態に係る放射線検出器の製造方法を説明するための工程断面図である(その7)。 本発明の第1の実施形態に係る放射線検出器のメッシュ開口部の形成方法の例を説明するための断面図である。 本発明の第2の実施形態に係る放射線検出器の構造を示す模式図であり、図22(a)は平面図であり、図22(b)は図22(a)のXXII−XXII方向に沿った断面図である。 本発明の第3の実施形態に係る放射線検出器の構造を示す模式図であり、図23(a)は平面図であり、図23(b)は図23(a)のXXIII−XXIII方向に沿った断面図である。 本発明の第3の実施形態に係る放射線検出器においてn側電極及びn+半導体層をメッシュ状にした例を示す模式的な平面図である。 本発明のその他の実施形態に係る放射線検出器の構造を示す模式的な断面図である。
図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。
又、以下に示す実施形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の実施形態は、構成部品の材質、形状、構造、配置などを下記のものに特定するものでない。この発明の実施形態は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る放射線検出器は、図1に示すように、p型シリコン層をp型半導体層11、リチウムドリフト層を放射線有感領域であるi層12、リチウム拡散層をn+半導体層13から形成される半導体基板10を有する。即ち、図1に示す放射線検出器は、シリコン基板にリチウムをドリフトさせたSi(Li)検出器である。p型半導体層11及びi層12の下方にp側電極20が接合され、n+半導体層13にn側電極30が接合されている。i層12の上方に配置されたn側電極30とi層12の下方に配置されたp側電極20の間に逆電圧が印加されて、電界の発生する放射線有感領域であるi層12において検出対象の放射線が吸収され、電荷の形で取り出される。
n側電極30及びn+半導体層13は、例えば図2に示すようなメッシュ状に配置されている。詳細は後述するが、平面視でi層12のいずれの部分からも一定の距離以下であるように、n+半導体層13がメッシュ状に配置されている。n側電極30は、n+半導体層13と重ねてメッシュ状に配置されている。そして、n+半導体層13及びn側電極30のメッシュ開口部において、i層12の表面が露出する。つまり、n+半導体層13及びn側電極30の面積は、i層12の面積よりも小さい。
X線などの検出対象の放射線は、p側電極20側から入射するのが一般的であるが、宇宙線の計測などの時は全方位から入射される。n側電極30とp側電極20の間に逆電圧を印加することにより電界が発生するi層12において、吸収された放射線は、電荷の形でp側電極20とn側電極30で取り出される。
図1に示した放射線検出器では、n+半導体層13及びn側電極30をメッシュ状に配置することによって、n側電極30及びn+半導体層13の全体の面積を削減しつつ、n側電極30及びn+半導体層13から一定の距離(以下において、「臨界距離」という。)よりも離れた部分が、i層12のいずれにおいても存在しない。後述するように、臨界距離は、p側電極20とn側電極30の間に逆電圧が印加されて放射線有感領域であるi層12に発生する電界が、i層12のいずれの部分においても、吸収された放射線が電荷の形で取り出される強さになるように設定されている。なお、図1の平面図に示したハッチングは、n+半導体層13及びn側電極30がメッシュ状に配置されていることを示している。
また、図1に示した放射線検出器は、トップハット型である。即ち、n側電極30、n+半導体層13、及びn+半導体層13から連続的に構成されるi層12の大部分からなる上部構造物の外縁部が、p型半導体層11やp側電極20の外縁部よりも内側に位置する。半導体基板10は、平面視で円形状である。
半導体基板10の下面の中央領域にi層12が露出し、i層12の下部の側面がp型半導体層11に接続している。そして、半導体基板10の下面の周辺領域で、i層12を囲んでp型半導体層11が露出している。p側電極20は、p型半導体層11の下面及びi層12の下面に連続して配置されている。
一般的に、放射線有感領域が広いほど感度が高い。このため、線量率の低い放射線を検出する場合などでは、放射線有感領域が広いことが有効である。しかし、放射線有感領域が広いほど、放射線検出器に付加する容量が増大する。その結果、放射線を検出する際の分解能が低下してしまう。
放射線有感領域を拡大しつつ、放射線検出器に付加する容量の増大を抑制するために、放射線有感領域の上に配置されるn+半導体層13とn側電極30の面積を削減する方法が考えられる。以下に、n+半導体層13とn側電極30の面積の削減について検討する。なお、以下において、n+半導体層13とn側電極30の積層体を、「n側電極体40」という。
まず、n側電極体40の面積を単純に削減した場合について検討する。図3は、n側電極体40の面積S1とi層12の面積S2とが同一である場合を示す。一方、n側電極体40の面積を単純に削減するためには、図4〜図7に例示するような構成が考えられる。
図4〜図5は、n側電極体40が、i層12の周辺領域の上方において除去され、i層12の中央領域の上方にのみ配置された例である。図4は、面積S1が面積S2の25%である場合を示し、図5は、面積S1が面積S2の50%である場合を示す。
図6〜図7は、n側電極体40が、i層12の中央領域の上方において除去され、i層12の周辺領域の上方にのみ配置された例である。図6は、面積S1が面積S2の75%である場合を示し、図7は、面積S1が面積S2の50%である場合を示す。
例えば、図5の場合、平面視で放射線検出器の全体のサイズが直径4インチであるとき、図5に示すように、i層12の長さLは約90mmである。このとき、i層12の上方のn側電極体40が除去された部分とn側電極体40との距離の最大値Dは、約13mmである。
しかしながら、図4〜図7に例示したようにn側電極体40を平板状のままで面積を単純に削減した場合は、以下に説明するように、放射線を検出する際の分解能が低下する。
図8に、i層12における電界の強さの分布を調査するためのシミュレーションモデルを示す。図8に示したシミュレーションモデルでは、i層12の中央領域の上方にのみ、n+半導体層13が配置されている。断面におけるi層12の下部の幅は5.5mm、上部の幅は8.0mmである。これに対し、n+半導体層13の幅は、2.0mmである。なお、i層12の厚みは3.2mm、n+半導体層13の厚みは0.3mm、i層12を囲うp型半導体層11の厚みは3.5mmである。更に、i層12の上面には膜厚0.1mmの保護膜120が配置されている。
図9に、p型半導体層11とn+半導体層13との間に800Vの逆電圧を印加したシミュレーションの結果を示す。図9に示すように、上方にn+半導体層13を配置されていない、i層12表面のn+半導体層13から離れた部分では、電界が弱い。特に、n側電極体40から1mm程度以上離れた部分では、i層12における電界が極端に弱くなる。
i層12に電界の弱い部分が存在すると、その部分で電荷の移動速度が低下し、発生した電荷がn側電極30まで移動する時間が増大する。このため、電荷がi層12中の欠陥準位に捕獲されるなどの問題が生じる。その結果、吸収スペクトル形状が低エネルギー側にテールを有する形状になったり、所定の測定時間の間に電荷を取り出せなくなったりする。なお、膜厚方向については、電気力線の向かう方向であるため、電界が弱いことに起因する電荷の移動速度の低下は問題にならない。
上記のように、n側電極体40の面積を単純に減らした場合は、電荷の収集効率が劣化する。その結果、放射線検出器の分解能が低下する。
これに対し、図1に示した放射線検出器では、所定の速度で電荷が移動するように設定された臨界距離よりもn側電極体40から離れた部分が、i層12の全体において存在しないように、メッシュ状のn側電極体40がi層12の上方の全面に渡って配置される。そして、n側電極体40を細い線状に形成することによって、n側電極体40の面積を削減し、放射線検出器に付加する容量を低減している。
n側電極体40は、i層12からn側電極体40までの距離の図10に示す最大距離Rが臨界距離以下であるように、配置される。n側電極体40からの距離が最大距離Rであるi層12の部分は、対向するn側電極体40の中間であり、メッシュ開口部の中心である。
臨界距離は、放射線検出器の分解能が所望の特性を満たすことのできる電荷の収集効率が得られるように、設定されている。つまり、n側電極体40からの距離が臨界距離以下の部分では、電荷の速度の低下が抑制されて、電荷の収集が可能な強さ以上の電界(以下において、「臨界電界」という。)が発生する。このため、図1に示した放射線検出器では、i層12の内部の電界が弱いことに起因して分解能が低下するほどには、i層12のいずれの部分においても、電荷の移動速度が低下することがない。
このように、臨界距離は、n側電極30とp側電極20との間に逆電圧が印加されてi層12に発生する電界が、i層12のすべての部分において、臨界電界よりも弱くならないように設定される。例えば、図9の結果から、臨界距離は1mmよりも短く設定される。
以上に説明したように、図1に示した放射線検出器によれば、n側電極体40をメッシュ状に配置することにより、i層12のいずれの部分においても、電荷の収集効率の劣化を招くような電界の弱い部分がない。このため、分解能の低下が抑制される。更に、n側電極体40の面積が削減されて、放射線検出器に付加する容量が低減される。したがって、放射線有感領域であるi層12を拡大した場合にも、分解能が低下することを抑制できる。
図11〜図13に、メッシュ状に構成したn側電極体40の例を示す。図11は、メッシュ開口部が矩形状であるようにn側電極体40を配置した例である。図12は、矩形状のメッシュ開口部の長手方向を延伸させた例である。図13は、n側電極体40をストライプ状に配置した例であり、端部においてn側電極体40同士が接続される。
図11〜図13に示したいずれの構成も、細い線状のn側電極体40を相互に接合したメッシュ状の構造体が、i層12の全域を満遍なく覆って広がる構成である。これにより、i層12のいずれの部分も、n側電極体40から臨界距離よりも長くなることはない。したがって、メッシュ状になるようにn側電極体40の一部を削減しても、i層12のいずれの部分においても、電界は臨界電界よりも弱くならない。したがって、電荷の収集効率を劣化させることなく、n側電極体40を小さくして、放射線検出器に付加する容量を低減することができる。
なお、容量を低減する観点からは、i層12の内部のいずれの部分においても電界が臨界電界よりも弱くならない範囲において、n側電極体40の面積を削減することが好ましい。つまり、n+半導体層13とn側電極30の線径は細いほうが好ましく、例えば、n+半導体層13とn側電極30の線径を1mm程度にする。
以上に説明したように、本発明の第1の実施形態に係る放射線検出器では、n側電極体40をメッシュ状に配置する。これにより、i層12の全面を覆ってn側電極体40が配置された場合に比べて、n側電極体40の面積を削減して、容量を小さくすることができる。したがって、i層12を拡大した場合においてn側電極体40の面積の増大を低減させて、容量が増大することを抑制できる。
更に、n側電極体40がi層12を満遍なく覆うことにより、n側電極体40から臨界距離以上に離れた部分がi層12に存在しない。つまり、i層12のいずれの部分においても、電界が臨界電界より弱い部分がなく、i層12に発生した電荷の収集効率の劣化が抑制される。
上記のように、図1に示した放射線検出器によれば、放射線検出器に付加する容量を低減しつつ、放射線有感領域に電界の弱い部分を発生させずに、分解能の低下を抑制できる。したがって、放射線有感領域を拡大し、且つ分解能の低下が抑制された放射線検出器を実現することができる。
ところで、シリコン基板は、化合物半導体基板に比べて電子や正孔の移動速度が高く、放射線有感領域の広い放射線検出器を形成するのに適している。つまり、化合物半導体基板を使用したときに生じる、移動速度が低いために正孔が欠陥準位などに捕獲されて分解能が劣化するという問題が生じない。これに対し、テルル化カドミウム(CdTe)基板などの化合物半導体基板を使用した場合には、例えば特許文献1に記載のように、p側電極の面積を小さくしてp側電極付近での電界を強くする対策などが必要である。したがって、放射線有感領域を拡大して電荷の移動する距離を長くした放射線検出器では、シリコン基板が好適に使用される。
上記では、シリコン基板にp型半導体層11、i層12及びn+半導体層13を形成した放射線検出器の例を示した。シリコン基板を用いた放射線検出器は、X線検出などに使用される。一方、ガンマ線の検出には、ガリウム基板を用いた放射線検出器が使用される。このように、検出対象の放射線の種類に応じて、半導体基板10は適時選択される。化合物半導体基板を半導体基板10に使用してもよい。
以下に、本発明の第1の実施形態に係る放射線検出器の製造方法について説明する。なお、以下に述べる放射線検出器の製造方法は一例であり、この変形例を含めて、これ以外の種々の製造方法により実現可能であることはもちろんである。
まず、p型のシリコン基板100を準備し、その表面の汚れを有機洗浄及びエッチングにより除去する。その後、図14に示すように、洗浄されたシリコン基板100の上面にリチウム膜200を真空蒸着法などによって成膜する。このとき、基板温度を200℃〜400℃に設定することにより、リチウムがシリコン基板100の表面から内部に拡散される。これにより、リチウム拡散層130が形成される。リチウム拡散層130の厚みは、例えば100μm〜300μmである。
リチウム拡散層130が形成されたシリコン基板100を室温まで冷却した後、シリコン基板100の表面のダメージ層と、余分なリチウム膜200を除去する。例えば、シリコン基板100の表面を弗硝酢酸(例えば、弗酸16.7%、硝酸66.6%、酢酸16.7%の混酸)でエッチングする。その後、水洗により混酸を洗い流す。
次いで、図15に示すように、金属膜300をリチウム拡散層130上に成膜する。例えば、真空蒸着法によって、Au膜をリチウム拡散層130の上面に蒸着する。
次に、トップハット型にするための加工を行う。即ち、図16に示すように、n側電極30、n+半導体層13及びシリコン基板100の上部の一部について、外周領域を超音波研削加工などによって除去する。
その後、n+半導体層13とシリコン基板100の底面との間に逆方向に電界を印加してリチウムをドリフトさせ、i層12を形成する。図17に示すように、シリコン基板100の中央領域は下面までリチウムがドリフトされてi層12が形成される。シリコン基板100の下面までリチウムが達すると、ドリフトが停止する。このとき、リチウムがドリフトされないシリコン基板100の下部の周囲が、p型半導体層11として残る。このように、トップハット型を採用した場合には、シリコン基板100のi層12が形成された領域の残余の領域をp型半導体層11とする。
その後、図18に示すように、金属膜300及びリチウム拡散層130を連続的にパターニングする。これにより、金属膜300をメッシュ状にしたn側電極30と、リチウム拡散層130をメッシュ状にしたn+半導体層13が形成される。この工程では、例えば、n側電極体40として残す部分とは逆のパターンの研削刃を有する雄型の冶具を使用し、超音波研削加工によって金属膜300とリチウム拡散層130の一部を選択的に除去する。超音波研削加工では、超音波振動させた研削刃に炭化ケイ素(SiC)などの硬い砥粒をぶつけることにより砥粒が振動し、雄型の研削刃とは逆型の雌型に被処理物が加工される。
次いで、p型半導体層11の下面や露出したi層12の下面に、図19に示すようにp側電極20を形成する。p側電極20には、例えばニッケル(Ni)膜/金(Au)膜を使用する。
その後、図20に示すように、残ったn側電極体40の表面に、その表面を保護する保護ワックス310を塗布する。保護ワックス310として、例えば、弗硝酢酸に耐性を有する水溶性でないワックスを使用する。なお、n側電極体40のパターンが細かいため、予め水溶性ワックスでメッシュ開口部の内部にネガパターンを形成しておいてもよい。つまり、ネガパターンを形成後、保護ワックス310を塗布し、水洗によって水溶性パターンを除去することにより、n側電極30の表面に保護ワックス310を残存させることができる。
次いで、保護ワックス310によってn側電極体40を保護しながら、メッシュ開口部に露出したシリコン基板100の表面を、弗硝酢酸を用いてエッチングする。これにより、n側電極体40の形成時の超音波研削加工などによってダメージを受けたシリコン基板100の表面を除去する。その後、保護ワックス310を除去し、図1に示した放射線検出器が完成する。
なお、n側電極体40をエッチングによってメッシュ状に形成する際に、図21に示すように、オーバーエッチングによってメッシュ開口部の内部でi層12の表面を除去してもよい。これにより、n側電極体40が、メッシュ開口部において確実に除去される。通常、n側電極30の厚みは0.1μm程度、n+半導体層13の厚みは100μm〜300μm程度、i層12の厚みは数mm程度である。このため、n側電極体40の面積を削減するメッシュ開口部の深さを300μm以上として、n側電極30、n+半導体層13、及びi層12の上部をエッチング除去する。
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係る放射線検出器は、図22に示すように、n側電極体40の外縁部にガードリング溝50を形成したガードリング構造を有する点が、図1と異なる。その他の構成については、図1に示した放射線検出器と同様である。
図22に示した放射線検出器では、環形状のガードリング溝50によって、n側電極体40が、平面視で、ガードリング溝50の内側の円形状の中心領域と、ガードリング溝50の外側の環形状の周辺領域とに分割されている。
ガードリング溝50の内側の中心領域において、放射線が検出される。少なくとも中心領域において、n+半導体層13とn側電極30がメッシュ状に配置される。なお、図22では、ガードリング溝50の外側の周辺領域ではn側電極体40をメッシュ状にしていないが、周辺領域をメッシュ状にしてもよい。
ガードリング溝50は、n側電極30の表面から延伸して、n側電極体40を貫通してi層12の表面に達する。ガードリング構造を採用することにより、表面リーク電流を抑制できる。ガードリング溝50の幅は、1mm程度である。また、n+半導体層13の厚みが100μm〜300μm程度の場合、n+半導体層13を貫通するのに十分な深さであるように、ガードリング溝50のn側電極30の表面からの深さは300μm以上である。
ガードリング溝50は、例えば、円環形状の雄型の研削刃をn側電極30の上面に接触させた状態で超音波振動させる超音波研削加工によって形成される。例えば、図17を参照して説明したi層12を形成する工程の後、ガードリング溝50を形成する。なお、n側電極体40をメッシュ状にパターニングする工程に使用する冶具と、ガードリング溝50を形成する工程に使用する冶具を複合させた冶具を用いて、n側電極体40のメッシュ開口部とガードリング溝50を同時に形成してもよい。
本発明の第2の実施形態に係る放射線検出器によれば、放射線検出器に付加する容量を低減するとともに放射線有感領域に電界の弱い部分が生じることを抑制して分解能の低下を抑制し、且つ、表面リーク電流を抑制することができる。他は、第1の実施形態と実質的に同様であり、重複した記載を省略する。
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態に係る放射線検出器は、図23に示すように、直線状のセグメント溝60によって、検出領域を平面視で複数の領域に分割している。このようにn側電極体40を分割した構造を、「セグメント構造」という。セグメント溝60は、n側電極30の表面から、n側電極体40を貫通してi層12の表面に達する。セグメント溝60によって囲まれた領域のそれぞれにおいて、n+半導体層13とn側電極30がメッシュ状に配置される。
なお、図23は、ガードリング構造を有する放射線検出器をセグメント構造にした例である。図23に示した例では、ガードリング溝50で囲まれた検出領域が、セグメント溝60によって、第1の分割検出領域41、第2の分割検出領域42、第3の分割検出領域43及び第4の分割検出領域44の4つの検出領域に分割される例を示した。しかし、検出領域の分割の仕方は上記に限られないことはもちろんである。また、図23では、ガードリング溝50の外側の周辺領域ではn側電極体40をメッシュ状にしていないが、周辺領域をメッシュ状にしてもよい。
セグメント構造の放射線検出器では、同一の分割検出領域に配置された線状のn側電極体40は互いに接続されているが、異なる分割検出領域に配置されたn側電極体40は、セグメント溝60によって分離されている。このため、放射線がどの分割検出領域で吸収されたかを特定することができる。これにより、図23に示した放射線検出器は、位置センサとして機能する。
セグメント溝60の幅は、1mm程度である。また、厚みが100μm〜300μm程度のn+半導体層13を貫通するために、セグメント溝60のn側電極30の表面からの深さは、300μm以上である。
図24に、n側電極体40をメッシュ状に配置した例として、第3の分割検出領域43の平面図を示す。図24(a)は、セグメント溝60の延伸する方向と垂直な方向に目開きの長いメッシュ状にした例である。図24(b)は、セグメント溝60の延伸する方向と垂直な方向にのみ開口部が延伸するメッシュ状にした例である。図24(c)は、セグメント溝60の延伸する方向に目開きの長いメッシュ状にした例である。
セグメント溝60は、例えば、ガードリング溝50と同様に、超音波研削加工によって形成される。例えば、ガードリング溝50を形成した後にセグメント溝60を形成する。或いは、セグメント溝60を形成した後にガードリング溝50を形成してもよい。また、n側電極体40をメッシュ状にパターニングする冶具と、ガードリング溝50を形成する冶具と、セグメント溝60を形成する冶具を複合させた冶具を用いて、n側電極体40のメッシュ開口部、ガードリング溝50及びセグメント溝60を同時に形成してもよい。これにより、製造工程を短縮することができる。
本発明の第3の実施形態に係る放射線検出器によれば、放射線検出器に付加する容量を低減するとともに放射線有感領域に電界の弱い部分が生じることを抑制して分解能の低下を抑制し、且つ、放射線が吸収された検出領域の位置を特定できる。更に、セグメント構造にガードリング構造を組み合わせた場合には、表面リーク電流を抑制することもできる。
(その他の実施形態)
上記のように、本発明は実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
例えば、図1に示した放射線検出器は、シリコン基板にリチウムをドリフトさせて高抵抗にしたリチウムドリフト層をi層12とした構造であるが、リチウムドリフト以外の方法でi層12を形成した場合についても、本発明は適用可能である。即ち、高抵抗のシリコン半導体層などをi層12にしてもよく、例えば、抵抗率が15kΩcm〜30kΩcm程度のシリコン半導体層をリチウムドリフト層の代わりとすることが可能である。本発明者らの検討によれば、シリコン半導体層の抵抗率は15kΩcm以上であることが好ましい。高抵抗のシリコン半導体層をi層12にした場合、図25に示すように、p型半導体層11を配置せずともよく、i層12とp型半導体層11の積層構造は高抵抗のシリコン半導体層の一体型となる。
また、放射線検出器がトップハット型である場合を例示的に説明したが、放射線検出器の形状はトップハット型に限られない。ただし、p側電極20とn側電極30との間に高電圧が印加されるので、耐圧を向上させるために、検出領域がメサ形状であることが好ましい。
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施形態等を含むことはもちろんである。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
10…半導体基板
11…p型半導体層
12…i層
13…n+半導体層
20…p側電極
30…n側電極
40…n側電極体
50…ガードリング溝
60…セグメント溝

Claims (8)

  1. 放射線有感領域と、
    前記放射線有感領域の上方に、平面視で前記放射線有感領域のいずれの部分からも一定の距離以下であるようにメッシュ状に配置されたn+半導体層と、
    前記n+半導体層と重ねて前記メッシュ状に配置されたn側電極と、
    前記放射線有感領域の下方に配置されたp側電極と
    を備え、前記n側電極と前記p側電極の間に逆電圧が印加されて電界の発生する前記放射線有感領域において、検出対象の放射線が吸収されることを特徴とする放射線検出器。
  2. 前記n+半導体層と前記n側電極が、矩形状の開口部を有するメッシュ状に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の放射線検出器。
  3. 前記一定の距離が、前記放射線有感領域に発生する前記電界が、前記放射線有感領域のいずれの部分においても、吸収された前記放射線が電荷の形で取り出される強さになるように設定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の放射線検出器。
  4. 前記放射線有感領域が、シリコン基板に形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の放射線検出器。
  5. 前記放射線有感領域が、前記シリコン基板にリチウムをドリフトさせたリチウムドリフト層であることを特徴とする請求項4に記載の放射線検出器。
  6. 前記放射線有感領域が、抵抗率が15kΩcm以上のシリコン半導体層であることを特徴とする請求項4に記載の放射線検出器。
  7. 前記n+半導体層及び前記n側電極を中心領域と前記中心領域を囲む周辺領域とに分割するように環形状に配置され、前記n側電極と前記n+半導体層を貫通して前記放射線有感領域に達するガードリング溝を更に備え、
    前記ガードリング溝で囲まれた領域において、前記n+半導体層及び前記n側電極が前記メッシュ状に配置されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の放射線検出器。
  8. 前記n側電極と前記n+半導体層を貫通して前記放射線有感領域に達し、前記n側電極と前記n+半導体層を平面視で複数の領域に分割する直線状のセグメント溝を更に備え、
    前記セグメント溝によって囲まれた分割検出領域のそれぞれにおいて、前記n+半導体層及び前記n側電極が前記メッシュ状に配置されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の放射線検出器。
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