JP4354856B2 - 超電導導体装置およびその製造方法 - Google Patents

超電導導体装置およびその製造方法 Download PDF

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Description

この発明は、超電導導体装置およびその製造方法に関し、特にその接続構造と接続方法に係わるものである。例えば、コンジットを有する強制冷却型超電導導体に使用するものである。
従来の超電導導体の突合せ導体接続装置においては、超電導導体端部間に低抵抗金属を間挿してろう付けする構造であった(特許文献1参照。)。
特許第3104823号公報(実施例3、図3)
従来のコンジットを有する強制冷却型超電導導体の突合せ導体接続装置では、超電導導体の接続にろう付けを適用していた。ろう付けを適用する場合、超電導導体端部の接続部を、例えば600°C以上の高温に加熱してろう材を溶融させ、超電導導体端部同士又は間挿材を冶金的に接合する必要がある。超電導導体は、現在商業的に実用化されているNbTi/銅複合超電導線では、400°C以上に加熱すると、その超電導状態で通電可能な電流容量、即ち超電導特性が著しく劣化して、はなはだしい場合は、全く超電導状態にならないこともあるので、このタイプの超電導導体には従来技術を適用できないという問題があった。
また他の実用化されているNbSn/銅複合超電導線では、数分程度の短時間であれば700°C程度まで加熱しても超電導特性が劣化せず、理論的には従来技術が適用可能であるが、短時間に狭い温度範囲で加熱するように温度制御をすることは困難であり、やはり工業的には従来技術を適用することは難しいという問題があった。
この発明は上記のような問題を解決するためになされたものであり、安定な施工条件下で、接合可能な超電導導体装置を得ることを目的とする。また、この装置に適した製造方法を提供することを目的とする。
この発明に係わる超電導導体装置は、超電導撚線と上記超電導撚線を囲み冷媒流路を形成するコンジットを有する強制冷却型超電導導体であって、接続される上記超電導導体同志の長手方向の対向する端部が上記超電導導体の長手方向に対して略直角に切断され、切断された上記超電導導体端部間に金メッキが施されている銅板を介在させ、上記両超電導導体端部と上記銅板間が半田で突合わせ接合されたものである。
また、この発明に係わる超電導導体装置の製造方法は、超電導撚線と上記超電導撚線を囲み冷媒流路を形成するコンジットを有する強制冷却型超電導導体であって、接続される上記超電導導体同志の長手方向の対向する端部が上記超電導導体の長手方向に対して略直角に切断され、切断された上記超電導導体端部間に銅板を介在させ、水素を含む不活性ガス雰囲気で上記両超電導導体端部と上記銅板間が半田で突合わせ接合されるものである。
また、超電導撚線と上記超電導撚線を囲み冷媒流路を形成するコンジットを有する強制冷却型超電導導体であって、接続される上記超電導導体同志の長手方向の対向する端部が上記超電導導体の長手方向に対して略直角に切断され、切断された上記超電導導体端部間に銅板を介在させ、半田で接合される部分又は全体を所定の温度に所定時間保持した後に、上記両超電導導体端部と上記銅板間が半田で突合わせ接合されるものである。
さらに、超電導撚線と上記超電導撚線を囲み冷媒流路を形成するコンジットを有する強制冷却型超電導導体であって、接続される上記超電導導体同志の長手方向の対向する端部が上記超電導導体の長手方向に対して略直角に切断され、切断された上記超電導導体端部間に銅板を介在させ、糸状半田を半田で接合される部分の外周から供給して、上記両超電導導体端部と上記銅板間が半田で突合わせ接合されるものである。
この発明の超電導導体装置によれば、接合面への半田の浸透性を確保でき、超電導導体に対して過大な温度に加熱することなしに超電導導体の接合が可能なので、安定した高い品質の超電導導体装置を得ることができる。
また、この発明の超電導導体装置の製造方法によれば、半田付けを水素を含む不活性ガス雰囲気でしたので、半田と銅板の間の接触角が大きく減少し、その結果として接合のための半田の界面への浸透が良好で、電気抵抗が少なく、均一な接合をもつ高い接合性能と品質の超電導導体装置を得ることができる。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1における超電導導体装置を示す縦断面図で、図2は図1のA−A線横断面図、図3は図1のB−B線横断面図である。超電導導体装置は、巻線の1ユニットの超電導導体1aと、この超電導導体1aと接続される他方の1ユニットの超電導導体1bを有し、図ではそれらの超電導導体1a,1bの端部を示している。超電導導体1aには、超電導撚線2aと、この超電導撚線2aを囲み閉じ込めて液体ヘリウムなどの冷媒流路を形成する角形コンジット3aと、超電導導体1aの端部に被せられコンジツト3a端に溶接固定され接続部(接合部)側が縮径された円形端子管4aと、縮径部21aと、冷媒出口管7aとを有している。
同様に、超電導導体1bには、超電導撚線2bと、この超電導撚線2bを囲み閉じ込めて液体ヘリウムなどの冷媒流路を形成する角形コンジット3bと、超電導導体1bの端部に被せられコンジツト3b端に溶接固定され接続部(接合部)側が縮径された円形端子管4bと、縮径部21bと、冷媒出口管7bとを有している。10は超電導導体1a,1bの端部と端部が接続された接合部である。
超電導導体1a,1bでは、接続される超電導導体同志の長手方向の対向する端部が超電導導体の長手方向に対して略直角に切断され、接合される面が平坦に加工されている。銅板9がそれら接合面の間に介在(間挿)されており.超電導導体1aの端部の接合面と銅板9の間及び超電導導体1bの端部の接合面と銅板9の間は半田で接合されている。A−A断面を示す図2で、超電導撚線2aが角形断面のコンジツト3a内に収納され、全体として角形断面超電導導体1aを構成している。図3に示す超電導導体1aのB―B断面では、コンジット3a外周が角形であったものが、端子管4a外周が円形に加工されている。
図4は超電導導体装置の主要部の斜視図である。図lで、超電導撚線2a,2bは、直径が0.7mm程度の超電導素線が多数撚り合されているものである。コンジット3a,3bは金属製で、超電導コイルを運転する温度4K程度の極低温で強度が高く、靭性が高く、溶接可能で気密性が高いものである必要があり、ステンレス鋼,チタン等が通常使用される。超電導導体1a,1bの端部の縮径加工は、接合端面を精度よく加工するために、超電導撚線2a,2bの空隙率を低くして機械的剛性を増す必要があるためであり、ダイス絞り加工等のかしめ加工により成形される。
次に動作について説明する。実施の形態lの超電導導体装置では、コンジット3a,3b内の超電導撚線2a,2bの隙間は占積率で30〜40%あり、超電導導体装置は、この隙間に冷媒である超臨界ヘリウム(SHE)が、図1の矢印8で示すように流れることによりコイルの運転温度である約4Kの温度に冷却保持される。冷却された超電導導体1a,1bにはその端子部に電流が通電され、超電導導体1a,1bには接合部10の微小な抵抗を介して電流が流れる。この微小な抵抗により、微小な発熱があるが、この発熱は超電導導体装置に存在する冷媒により冷却され、コイルは超電導状態が保持される。
超電導導体1a,1bの端部の接続部において、半田接合する際に、接続部近傍を半田溶融温度より僅かに高い温度、例えば250°Cに加熱しておき、半田を外周から接続部に供給する。超電導導体1a,1bの接続端は縮径加工されているので、超電導撚線2a,2bの一般部より少ない20%程度の空隙があり、もし銅板9が無いと半田が浸透する方向に沿って散在する空隙のために半田の良好な浸透が阻害され、接合面積率の低い半田接合となる。
半田接合率が低いと接合面の電気抵抗が高く、発熱が大きくなり、超電導導体の通電容量を低下させ、はなはだしい場合には所定の電流に達する前に超電導破壊をしてしまうという問題が内在する。しかしこの発明では、超電導導体1a,1bの端部間に平滑な銅板9が存在するために、接合しようとする界面への半田の浸透が極めて良好になり、極めて高い接合面積率を得ることができる。接合界面に銅板を介在させることは極めて容易であり、高い接合性能と品質をもつ超電導導体装置およびこの超電導導体装置を使用した超電導コイル装置を得ることができる。
実施の形態2.
超電導導体1a,1bの端部間に介在させる銅板9の厚さについて、説明する。銅板9は厚い程、板の剛性が増し、接続部の組立作業が容易となる。例えば、銅板9が極度に薄いと銅板を間挿する作業中に、銅板9が超電導導体1a,1bの端部から受ける僅かな摩擦力のために座屈してしまい、銅板9の間挿作業が困難となるので、ある程度の厚さが必要である。しかし、一方銅板9が厚くなると常電導金属である銅の電気抵抗のために、超電導導体1a,1bの接続部の電気抵抗が増加する不都合があり、両者のバランスを取ったところで、銅板9の厚さを設定する必要がある。
例えば、超電導導体1a,1bの端部の直径が40mmの大形導体では、銅板9の座屈荷重は式(1)で表される。間挿する銅板9の寸法として直径40mm、厚さT(mm)としてみる。式(1)において、
Wcrは座屈荷重(N)、
Ecuは銅板9のヤング率で、約100(GPa)、
Iは銅板の曲げの断面二次モーメントで、T/0.3(mm)、
Dは銅板の直径40(mm)である。
Wcr=兀EcuI/(4D) ------------式(1)
一方、銅板9の電気抵抗は式(2)で表される。式(2)において、
Rcuは超電導導体1a,1bの接続部に間挿する銅板9の電気抵抗(Ω)、
ρcuは使用温度即ち温度4K付近での銅の電気抵抗率で約1.7×10―10(Ωm)、
Tは銅板の厚さ(m)、
Sは銅板の面積で1.26×10−3(m)lO-3(m)である。
Rcu=ρcu T/S ----------------式(2)
図5に、式(1)の計算結果と式(2)の計算結果を示す。同図に示すように、銅板9の座屈荷重は銅板9の厚さの増加と共に急激に増加する。発明者らが超電導導体1a,1bの端部接続部製作の実験をした結果、銅板9の厚さの下限は50μm程度であり、これ以下では銅板9が座屈や曲ることが多く、使用が困難なことが判った。直径が40mmの大形導体での導体接続部の電気抵抗は、1〜5nΩ程度が実現可能でかつ発熱上許容し得る。銅板を設置することにより必然的に超電導導体1a,1bの電気抵抗が僅かとは言え増加するが、その増加は極力少ないことが必要である。具体的には銅板無しで実現できている超電導導体1a,1bの接続部の電気抵抗値の1〜2%であれば問題が無いといえる。
図5で判るように、銅板の厚さ800μmを上限とすれば、銅板の電気抵抗は略10nΩ以下であり、この条件を満足できる。超電導導体1a,1bの接続部に間挿する銅板9の厚さを50μm以上800μm以下とすれば、組立性が良好でかつ性能が良好な超電導導体装置およびこの超電導導体装置を使用した超電導コイル装置を得ることができる効果がある。
実施の形態3.
超電導導体1a,1bの接続部に間挿する銅板9の大きさについて、説明する。銅板の大きさを超電導導体1a,1bの端部の直径より10mm程度以上大きくすると、供給する半田の浸透が良好になる。図6は実施の形態3における超電導導体装置を示す縦断面図である。同図で超電導導体1a,1bの接続部はヒータ14により半田溶融温度より高い温度に加熱され、半田が銅板9と超電導導体1a,1bの端部の界面に供給される。ここで銅板9の直径は超電導導体1a,1bの端部の外周端より5mm程度以上出っ張っている。このため溶融した半田は銅板9に沿って接合したい界面である銅板9と超電導導体1a,1bの端面の間に良好に浸透する。
もし銅板の直径が超電導導体1a,1bの端部と同じ直径であると、溶融半田が界面に浸透する掛りがなく、半田は超電導導体1a,1bの端部の外周端を流れ落ち、界面には浸透せず、接合が不十分となり、このため接続部の電気抵抗が高く、発熱が大きくなり、通電容量が不足する。以上のように実施の形態3では、銅板の直径を超電導導体1a,1bの端部の直径より大きくしたので、接合のための半田の界面への浸透が良好で、電気抵抗が少なく、均一な接合である高い接合性能と品質を持つ超電導導体装置およびこの超電導導体装置を使用した超電導コイル装置を得ることができる効果がある。
実施の形態4.
銅板9の表面処理について、説明する。銅板9の表面に金メッキを施すと、供給する半田の浸透が良好になると共に、空隙の少ない半田接合面を得ることができる。半田の浸透性の指標として、金属面上の半田粒を加熱溶融させたときの半田粒の外周部が、金属面と成す角度であるところの接触角がある。接触角が小さい程、即ち溶融粒が扁平な程、半田の浸透性は良好である。発明者らは、PbSn半田を裸銅および金メッキ銅板上に置き、水素添加窒素ガス雰囲気中で300°Cに加熱したときの接触角を測定した。その結果を表1に示す。
Figure 0004354856
表1によれば、銅板が素材表面のまま場合の接触角が90度以上であったのに対し、金メッキを施した銅板の場合の接触角は1度以下と接触角が劇的に減少した。以上のように実施の形態4では、銅板の表面に金メッキを施したので、半田と銅板9の間の接触角が著しく減少し、その結果として接合のための半田の界面への浸透が良好で、電気抵抗が少なく、均一な接合をもつ高い接合性能と品質の超電導導体装置およびこの超電導導体装置を使用した超電導コイル装置を得ることができる効果がある。
実施の形態5.
半田の材質について、説明する。半田の材質を高純度スズSnとすると、半田の浸透性を損わずに装置が使用される極低温での電気抵抗が小さくなる。PbSn半田と高純度Sn(95%以上)半田の、温度4.2Kでの無磁場および磁場印加状態での電気抵抗率を測定した結果を図7に示す。
両者の電気抵抗率を比較すると、無磁場ではPbSn半田の方が小さいが、磁束密度1T以上ではSn半田の方が小さく、通常導体接続部がさらされる磁場、例えば磁束密度1Tでは、Sn半田の電気抵抗率はPbSn半田のそれの1/5ある。以上のように実施の形態5では、高純度Snを半田材としたので、半田の浸透性が良好でかつ電気抵抗が少ない高い接合性能と品質の超電導導体装置およびこの超電導導体装置を使用した超電導コイル装置を得ることができる効果がある。
実施の形態6.
半田に燐Pを含有させると、供給する半田の浸透が良好になると共に、空隙の少ない半田接合面を得ることができる。半田の浸透性の指標として先に示した接触角で比較する。発明者らは、PbSn半田とP含有Pbフリー半田を裸銅板上に置き、窒素ガス雰囲気中で350°Cに加熱したときの接触角を測定した。その結果を表2に示す。
Figure 0004354856
表2によれば、半田材がPbSn半田の場合の接触角が90以上あったのに対し、Pを含めた半田の場合の接触角は45度と接触角が大きく減少した。以上のように、実施の形態6では、半田にPを含有させたので、半田と銅板の間の接触角が大きく減少し、その結果として接合のための半田の界面への浸透が良好で、電気抵抗が少なく、均一な接合をもつ高い接合性能と品質の超電導導体装置およびこの超電導導体装置を使用した超電導コイル装置を得ることができる効果がある。
実施の形態7.
半田付けを施工する雰囲気について説明する。半田付けを水素添加窒素雰囲気中で実施すると、供給する半田の浸透が良好になると共に空隙の少ない半田接合面を得ることができる。半田の浸透性の指標として先に示した接触角で比較する。発明者らは、PbSn半田を裸銅板上に置き、窒素ガスおよび水素添加窒素雰囲気中で、300°Cに加熱したときの接触角を測定した。その結果を表3に示す。
Figure 0004354856
表3によれば、半田付け雰囲気が窒素の場合の接触角が90度以上であったのに対し、水素添加窒素の場合の接触角は30度と接触角が大きく減少した。以上のように実施の形態7では、半田付け雰囲気を水素添加窒素としたので、半田と銅板の間の接触角が大きく減少し、その結果として接合のための半田の界面への浸透が良好で、電気抵抗が少なく、均一な接合をもつ高い接合性能と品質の超電導導体装置およびこの超電導導体装置を使用した超電導コイル装置を得ることができる効果がある。なお、半田付け雰囲気は水素添加窒素に換えて、水素添加不活性ガスを使用しても良い。
実施の形態8.
上述の各実施の形態では、超電導導体1a,1bの端部内部に半田付けに際して、ガスを流さない場合について述べたが、半田付け施工時に水素を含む不活性ガスを超電導導体1a,1bの端部内部に流すと、半田の濡れが良好となる。図8は実施の形態8における超電導導体装置の製造方法を示す縦断面図である。超電導導体1a,1bの接続しようとする端部と、反対側の端部は水素添加窒素ガス容器20に接続され、半田付けする端部と間挿する銅板9の隙間から水素添加窒素ガスが大気に放出される。
この結果、超電導導体1a,1b内部とその端部内部が水素添加窒素ガス雰囲気となる。この状態のままヒータ14により接続される端部を半田溶融温度以上の温度に加熱すると、水素の還元作用により、超電導撚線2a,2bの接続する端面と間挿する銅板の表面の酸化膜が除去される。半田浸透のために上記ガスを停止し、その直後に半田を接合界面に供給することにより、接合界面への半田材の浸透が良く、良好な半田付けが得られる。このように実施の形態8では、超電導導体1a,1bの端部接続部の半田施工において、水素を含む不活性ガスを超電導導体1a,1b内部とその端部内部に流すようにしたので、良好な半田付けが得られ、電気抵抗が少なく、均一な接合をもつ高い接合性能と品質の超電導導体装置およびこの超電導導体装置を使用した超電導コイル装置を得ることができる効果がある。
実施の形態9.
超電導導体1a,1bの端部接続部の半田接続施工時の加熱条件について説明する。半田接続施工時の加熱条件を、所定温度到達後、所定時間保持した後に半田を供給施工すると、半田の濡れと浸透が良好となる。図9は実施の形態9における半田接続施工時の加熱条件を説明する図である。超電導導体1a,1b内部とその端部内部に水素添加窒素ガスを流すことは、実施の形態8と同様である。超電導導体1a,1b内部とその端部内部を所定のガス雰囲気にした後、図9に加熱条件を示すように端部を加熱する。この加熱温度を保持することにより銅表面の酸化膜を除去できる。この加熱温度保持過程で、水素の還元作用により、超電導撚線の接続する端面と間挿する銅板の表面の酸化膜が除去され.半田供給作業をすることにより、接合面への半田材の浸透が良く、良好な半田付けができる。
このように実施の形態9では、超電導導体1a,1bの端部接続部の半田施工において、水素を含む不活性ガス雰囲気中、または超電導導体1a,1b内部とその端部内部に水素添加窒素ガスを流しつつ、所定の温度に保持した後半田付けするようにしたので、半田の浸透を阻害する酸化膜が除去され、半田の浸透性が向上し、結果として半田付け品質が向上し、高い品質の超電導導体装置およびこの超電導導体装置を使用した超電導コイル装置を得ることができる効果がある。
実施の形態10.
半田接続施工時の加熱温度条件を、300°C到達後30秒保持した後に半田さし施工すると、半田の濡れと浸透が良好となる。表4で実施の形態10における加熱温度条件を説明する。半田の浸透性の指標として先に示した接触角で比較する。発明者らは、PbSn半田を金メッキ銅板上に置き、水素添加窒素雰囲気中で250°C及び300°Cに加熱したときの接触角を測定した。その結果を表4に示す。
Figure 0004354856
表4によれば、半田付け温度が250°Cの場合の接触角が90度以上であったのに対し、半田付け温度が300°Cの場合の接触角は1度以下と接触角が劇的に減少した。半田付け温度が300°Cはそれ以上でも良い。
このように実施の形態10では、超電導導体1a,1b端部接続部の半田施工において、水素を含む不活性ガス雰囲気中または超電導導体1a,1b内部とその端部内部に水素添加窒素ガスを流しつつ、所定の温度に保持した後、半田付けする条件として300°C加熱を30秒保持するようにしたので、半田の浸透を阻害する酸化膜が除去され、半田の浸透性が向上し、結果として半田付け品質が向上し、均一な接合をもつ高い接合性能と品質の超電導導体装置およびこの超電導導体装置を使用した超電導コイル装置を得ることができる効果がある。
実施の形態11.
接続部界面への半田供給方法について説明する。接続部界面の外周から、間挿する銅板に沿って半田を供給する、いわゆる差し半田をすると、半田の浸透が良好となる。図10は実施の形態11における超電導導体装置の製造方法を示す縦断面図である。加熱された超電導導体1a,1bの端部接続部に間挿する銅板9の外周から、糸状の半田11を差すことにより、溶融した半田が界面に浸透する。界面にあらかじめ半田を置いておくいわゆる置き半田と比較すると、置き半田では半田表面積が大きく、半田が流動しないので酸化膜が接合したい界面にあることになり、半田のぬれ性が良くない。これに対し実施の形態11の差し半田では表面積が少なくかつ溶融して表面の酸化膜が破られた新鮮な表面をもつ部分が流動して浸透するので半田の浸透性が良い。
このように実施の形態11では、超電導導体1a,1bの端部接続部の半田施工において、導体接続部外周から半田を供給するようにしたので、半田の浸透を阻害する酸化膜が除去され、半田の浸透性が向上し、結果として半田付け品質が向上し、電気抵抗が少なく、均一な接合をもつ高い接合性能と品質の超電導導体装置およびこの超電導導体装置を使用した超電導コイル装置を得ることができる効巣がある。
実施の形態12.
接続部界面へ間挿する銅板9が接合部より外周に突出する部分の処理について説明する。この突出部分を半田接合後切除すると、半田付け後の組立作業がしやすくなる。図11は実施の形態12における超電導導体装置の製造方法を示す縦断面図である。導体接続部に
は接合界面の機械的な補強と接合界面のコイル外部真空に対する気密のために外管6を設置する。外管6は導体接続部の端子管4a,4bの外周に密着させる構造とすると機械構造的に強固となる。
導体接続部接合面の間挿銅板9の外周を切除すると、外管6の内面が導体接続部端子管4a,4b外面を直接機械的に支持し、強固な外管6取付構造を得ることができる。このように実施の形態12では、超電導導体接続部の問挿銅板の接合部の外周端からの突出部を切除するようにしたので、導体接続部の機械的強度の信頼性、真空気密の信頼性が向上し、品質の高い超電導導体装置が得られる効果がある。
実施の形態13.
超電導体の種類について説明する。超電導体が例えばNbSnのような超電導コイルの巻線形状成形後に高温の超電導体生成のための熱処理が必要なものに適用する場合は、半田の濡れが向上する効果がある。NbSn超電導体を使用した超電導コイルのNbSn生成熱処理は、600〜700°Cの高温で100〜500時間もの長時間熱処理である。この熱処理過程で、超電導導体の金属管内を炉内雰囲気と隔離した気密構造とし、金属管内部に清浄な不活性ガス、たとえばArガスを流通させると、超電導撚線の撚線製造工程で不可避的に付着している有機物が、ベーキング効果によりほぼ完全に除去できる。
超電導撚線表面に付着している有機物は半田の超電導撚線表面に対する濡れ性を阻害するが、この除去処理により濡れ性低下を防止することができる。表5はNbSn生成熱処理中に有機物除去処理をしたNbSn超電導線と、生成熱処理を経験しないNbSn超電導線の表面に付着している油脂の量の測定結果例を示す。
Figure 0004354856
表5に示すようにNbSn生成熱処理と組合された有機物除去処理の効果は著しく、有機物はほぼ完全に除去される。従って半田の導体長手方向の浸透効果が高くなる。このように実施の形態13では、NbSn等高温により超電導体生成熱処理をコイル成形後に実施する超電導コイルの導体接続部の接合に半田付けを適用するようにしたので、半田濡れを阻害する有機物が除去され、半田がより確実に広い範囲に浸透し、結果として半田付け品質が向上する効果がある。
実施の形態14.
実施の形態1では、超電導撚線が金属管内に収納された内部強制冷却型超電導導体を使用する場合について述べたが、超電導撚線が剥き出しであり金属管が無い形式の超電導導体に適用しても、冷却性に優れた超電導導体装置にできる効果がある。金属管を使用する超電導導体は通常、高い強度と高い耐電圧性能が必要な超電導コイル装置に適用されるが、一方で液体ヘリウム等貯液された静止液体冷媒に直接露出された超電導コイル装置と比較すると、冷却性能が不十分である。冷却性能をより重視し撚線が冷媒液に直接露出する形式の超電導コイル装置の導体接続部に実施する場合を説明する。
図12は実施の形態14における超電導導体装置の主要部を示す斜視図である。超電導撚線端部を端子管4で被覆する。端子管と超電導撚線の端部の構成と半田の接合の形態は
実施の形態1と同様である。このように実施の形態14では、撚線のみからなる超電導導体を使用する超電導コイルの導体接続部において、銅板を介在させた半田付けを施工するようにしたので、よりコイルの冷却性能が高く性能の高い超電導導体装置が得られる効果がある。
この発明の実施の形態1における超電導導体装置を示す縦断面図である。 図1のA−A線横断面図である。 図1のB−B線横断面図である。 実施の形態1における超電導導体装置の主要部の斜視図である。 銅板厚さに対する銅板座屈荷重と銅板電気抵抗を示す特性図である。 実施の形態3における超電導導体装置を示す縦断面図である。 半田の種類に対する印加磁束密度と電気抵抗率との関係を示す特性図である。 実施の形態8における超電導導体装置の製造方法を示す縦断面図である。 実施の形態9における半田接続施工時の加熱条件を説明する図である。 実施の形態11における超電導導体装置の製造方法を示す縦断面図である。 実施の形態12における超電導導体装置の製造方法を示す縦断面図である。 この発明の実施の形態12を示す縦断面図である。 実施の形態14における超電導導体装置の主要部を示す斜視図である。
符号の説明
1a,1b 超電導導体 2a,2b 超電導撚線
3a,3b コンジット 4a,4b 円形端子管
6 外管 7a,7b 冷媒出口管
8 矢印 9 銅板
10 接合部 11 糸状半田
14 ヒータ 20 水素添加窒素ガス容器
21a,21b 縮径部。

Claims (8)

  1. 超電導撚線と上記超電導撚線を囲み冷媒流路を形成するコンジットを有する強制冷却型超電導導体であって、接続される上記超電導導体同志の長手方向の対向する端部が上記超電導導体の長手方向に対して略直角に切断され、切断された上記超電導導体端部間に金メッキが施されている銅板を介在させ、上記両超電導導体端部と上記銅板間が半田で突合わせ接合された超電導導体装置。
  2. 超電導撚線と上記超電導撚線を囲み冷媒流路を形成するコンジットを有する強制冷却型超電導導体であって、接続される上記超電導導体同志の長手方向の対向する端部が上記超電導導体の長手方向に対して略直角に切断され、切断された上記超電導導体端部間に銅板を介在させ、水素を含む不活性ガス雰囲気で上記両超電導導体端部と上記銅板間が半田で突合わせ接合される超電導導体装置の製造方法。
  3. 水素を含む不活性ガスを上記超電導導体のコンジット内部に流して上記両超電導導体端部と上記銅板間が半田で突合わせ接合される請求項2記載の超電導導体装置の製造方法。
  4. 超電導撚線と上記超電導撚線を囲み冷媒流路を形成するコンジットを有する強制冷却型超電導導体であって、接続される上記超電導導体同志の長手方向の対向する端部が上記超電導導体の長手方向に対して略直角に切断され、切断された上記超電導導体端部間に銅板を介在させ、半田で接合される部分又は全体を所定の温度に所定時間保持した後に、上記両超電導導体端部と上記銅板間が半田で突合わせ接合される超電導導体装置の製造方法。
  5. 半田で接合される部分を300°C以上の温度にする請求項4記載の超電導導体装置の製造方法。
  6. 超電導撚線と上記超電導撚線を囲み冷媒流路を形成するコンジットを有する強制冷却型超電導導体であって、接続される上記超電導導体同志の長手方向の対向する端部が上記超電導導体の長手方向に対して略直角に切断され、切断された上記超電導導体端部間に銅板を介在させ、糸状半田を半田で接合される部分の外周から供給して、上記両超電導導体端部と上記銅板間が半田で突合わせ接合される超電導導体装置の製造方法。
  7. 半田で接合後に上記超電導導体端部の接合部からはみ出した部分を削除する請求項2〜請求項6のいずれか1項に記載の超電導導体装置の製造方法。
  8. 上記超電導導体の超電導物質の高温における超電導物質生成熱処理中に、上記超電導撚線表面の付着有機物を熱分解して除去するようにした請求項2〜請求項7のいずれか1項に記載の超電導導体装置の製造方法。
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