JP4857436B2 - 酸化物超電導電流リードおよび超電導システム、並びに、金属導体と金属超電導導体との接続方法 - Google Patents

酸化物超電導電流リードおよび超電導システム、並びに、金属導体と金属超電導導体との接続方法 Download PDF

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Description

本発明は、MRI、リニア、SMES等に用いられる超電導システムへ電流を供給する際に用いられる酸化物超電導電流リードおよび当該酸化物超電導電流リードを用いた超電導システムに関する。
超電導磁石等の超電導機器に大電流を供給する際に用いられる電流リードは、室温部の電源から極低温の超電導システムへ、数百から数千アンペアの電流を供給するものである。従来はこの電流リードとして、電気抵抗値の低い銅線が用いられていた。しかし、銅線を電流リードとして用い、これに所定の大電流を流した際にジュール熱が発生する。そこで、このジュール熱の発生を下げるために銅線の線径を太いものにすると、今度は、この太い線径を有する銅線を介して、超電導システム側へ熱伝導による熱侵入が起こってしまう。その結果、この熱侵入による冷凍機の電力損失や冷媒のHeガスの損失が大きなものになっていた。そこで、熱伝導率が銅に比べて小さく、且つ、大電流を流してもジュール熱が発生しない酸化物超電導体を、この電流リードの途中に介在させることが特許文献1に提案されている。
実開昭63−200307号公報
近年、超電導応用機器の開発が進行し、酸化物超電導電流リードに対する要求性能の水準も高いものとなり、より大電流を流せること、よりジュール発生熱が少ないことに加えて、外界からの熱侵入もより少ないことが求められてきた。
ここで、ジュール熱の発生要因としては、
1)酸化物超電導電流リード内の酸化物超電導体と、金属電極との接合部の
接触抵抗に起因する発熱、
2)金属電極自体の抵抗に起因する発熱、
3)超電導システム側より引き出されてきた相手導体(以下、システム側導体と記載する。)と、金属電極との接合部で電流の授受に伴い、接触抵抗に起因する発熱、
4)電源側より引き出されてきた相手導体(以下、電源側導体と記載する。)と金属電極との接合部で電流の授受に伴い、接触抵抗に起因する発熱、
がある。これらの内、金属電極とシステム側導体、および金属電極と電源側導体との接合部における接触抵抗値は、接合部における接合面積を大きくすれば下がるものと考えられていた。しかしながら、前記接合面積を大きくしただけでは、接触抵抗値の低減効果は小さなものに留まるという課題があった。
そこで、金属電極と、システム側導体および電源側導体との接合部における接合方法の改良が試みられ、溶接、ロウ付け、両者の接合界面に各種のメッキ処理を施しての圧着、および両者の接合界面にIn箔等の室温で柔らかい金属を挟んでの圧着等、様々な手法が行われてきた。
ところが、接合の改良のために、溶接、ロウ付け等の当該接合箇所を加熱する手法を採ると、電流リード中の酸化物超電導体に熱負荷がかる結果、当該酸化物超電導体より酸素が抜けるなどの現象が起こり、当該酸化物超電導体の特性が劣化してしまうことがある。さらに、この接合部を溶接等しても、両者の接合界面における接触抵抗値のばらつきを完全に抑えることができず、大電流を流した際には、偏流が発生して接触抵抗値増大の原因となっていた。
また、金属電極とシステム側導体との接合界面にIn箔等の室温で柔らかい金属を挟んで圧着する等した場合も、両者の接合界面における接触抵抗値のばらつきを完全に抑えることができず、大電流を流した際には、偏流が発生して接触抵抗値増大の原因となっていた。
そこで本発明が解決しようとする課題は、超電導機器システムへの熱侵入が少ない酸化物超電導体を用いながら、システム側導体や電源側導体との接合箇所におけるジュール熱の発生が低減された酸化物超電導電流リードおよび当該酸化物超電導電流リードを用いた超電導システムを提供することである。
上記の課題を解決するための第1の構成は、酸化物超電導体の両端に金属電極が設けられ、前記金属電極に接合された相手導体との間で電流の授受をおこなう酸化物超電導電流リードであって、
前記金属電極の少なくとも一方において、
前記金属電極と前記相手導体との界面に略並行するように、前記金属電極中に前記酸化物超電導体が設置されていることを特徴とする酸化物超電導電流リードである。
第2の構成は、第1の構成に記載の酸化物超電導電流リードであって、
前記酸化物超電導体は柱状形状を有し、その長手方向が前記界面と略並行して設置されていることを特徴とする酸化物超電導電流リードである。
第3の構成は、第1または第2の構成に記載の酸化物超電導電流リードであって、
前記酸化物超電導体は、溶融法で作製された酸化物超電導体であることを特徴とする酸化物超電導電流リードである。
第4の構成は、第1から第3の構成のいずれかに記載の酸化物超電導電流リードであって、
前記酸化物超電導体は、複数の酸化物超電導体が接合されたものであることを特徴とする酸化物超電導電流リードである。
第5の構成は、第1から第4の構成のいずれかに記載の酸化物超電導電流リードであって、
前記金属電極と、前記一つ以上の酸化物超電導体とは、接合用金属によって接合され、
前記接合用金属中にある空孔の体積が、接合部分の容積の5%以下であることを特徴とする酸化物超電導電流リードである。
第6の構成は、第1から第5の構成のいずれかに記載の酸化物超電導電流リードを用いたことを特徴とする超電導システムである。
第1の構成を有する酸化物超電導電流リードにおいては、相手導体と電流の授受をおこなう金属電極間の接触抵抗値が低減され、この部分で発生するジュール熱が抑制される。
第2の構成に示すように、酸化物超電導体が柱状形状を有していると、相手導体との界面に並行する金属電極中へ容易に設置することができ、コンパクトな電極を構成することが可能となる。
第3の構成に示す溶融法で作製された酸化物超電導体は、臨界電流密度が高く機械的強度も大きいので、好適な電気的特性、機械的特性を有する酸化物超電導電流リードを製造することができる。
第4の構成に示すように、酸化物超電導体として複数の酸化物超電導体が接合されたものを用いることで、酸化物超電導電流リードの製造コストを削減することができる。
第5の構成に示すように、金属電極と前記一つ以上の酸化物超電導体とを接合している接合用金属中にある空孔の体積が、接合部分の容積の5%以下であると、この部分の電流の流れがスムーズになり、酸化物超電導電流リードへ所定の電流を流した際の接触抵抗値を低減され、この部分で発生するジュール熱が抑制される。
第6の構成に示す、第1から第5の構成のいずれかに記載された酸化物超電導電流リードを用いた超電導システムは、所定の電流を流した際にも高温側から低温側への熱侵入が少ないので、冷凍機の負担を削減することができ、生産コストおよびランニングコストの低い超電導システムとなる。
本発明者らは、酸化物超電導電流リードの金属電極中へ、前記相手導体との界面に略並行するように酸化物超電導体を設置することで、金属電極部分の界面に沿った電位差を減少させることができれば、相手導体と金属電極との界面部に、ミクロ的には接触抵抗のばらつきがあった場合でも、マクロ的には偏流の発生抑制でき、結果として、この部分の接触抵抗値を低減できるのではないかとの仮説をたてた。そして、この仮説により酸化物超電導電流リードを製造したところ、相手導体と金属電極との界面部における接触抵抗値を低減できることを見出し、本発明を完成させることができた。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明するが、まず、図2〜図5を参照しながら、本発明に係る酸化物超電導電流リードについて詳細に説明する。
図2aは、本発明に係る酸化物超電導電流リード本体の外観の斜視図であり、図2bは、図2aのA−A断面図であり、図2cは、図2aのB−B断面図である。図3は、図2の酸化物超電導電流リード本体をさらに各部分に分解した分解斜視図であり、図4は、図3における電極と酸化物超電導体との接合部分の拡大分解斜視図であり、図5は、図4のA−A断面図である。
図2aにおいて、電流リード1は略角柱形状を有し、図面左側より、電源側金属電極10、電極間酸化物超電導体(以下、電極間超電導体と記載する。)60、システム側金属電極11の3つの部分からなるが、電源側金属電極10とシステム側金属電極11とは、同様の構成を有している。
まず、電源側金属電極10内には、柱状の電極内酸化物超電導体(以下、電極内超電導体と記載する。)80aが設置されその上に偏流抑制用部材50aが被せられている。この状態を図2bに示す。
ここで図2aに戻り、電極内超電導体80aは、電源側金属電極10内を図面右に進み、電源側金属電極10の右端部である設置部30aに到達する。ここで、電極内超電導体80aは終端し、電極間超電導体60に接合する。この接合については後述する。
電極内超電導体80aに接合された電極間超電導体60は、設置部30a内を経て電源側金属電極10を離れ、被覆部材70に被覆されてシステム側金属電極11へ到達し、設置部30bを経てシステム側金属電極11内へ到達する。この被覆部材70に被覆された電極間超電導体60の状態を図2cに示す。
システム側金属電極11内へ到達した電極間超電導体60は、設置部30b内を進み、この終端で電極内超電導体80bに接合される。尚、上述したように、設置部30bから先の部分は、電源側金属電極10と同様の構造を有している。
また、電極間超電導体60に接合された2本の測定用導体63は、実施例にて後述する電流リード1の特性を評価するために用いるものである。
図3は、図2に示す電流リード1を、各構成部品毎に分解した際の斜視図である。
まず、図3に示すように、電源側およびシステム側の金属電極10、11は、略角柱状の形状を有し、上面には電極内酸化物超電導体80a、80bが設置される電極内酸化物超電導体用埋め込み溝(以下、電極内埋め込み溝と記載する。)21a、21bと、電極間超電導体60の端部が設置される電極間酸化物超電導体用埋め込み溝(以下、電極間埋め込み溝と記載する。)31a、31bとが連続して彫り込まれている。尚、本実施の形態においては、電源側およびシステム側の金属電極10、11は、同様の構成を有しているので、以下、電源側金属電極10を例として説明する。
電源側金属電極10の図面向かって右側に、電極間埋め込み溝31aが彫り込まれているが、後述するように電極間超電導体60の端部が拡幅しているので、それに対応して、電極間埋め込み溝31aも電極内埋め込み溝21aより拡幅し、電源側金属電極10もこの部分は拡幅して設置部30aとなる。さらに、電極間超電導体60が、電源側金属電極10より突出する対向面33aにおいて、電極間超電導体60を支持する部分が対向面33aより突出し、受継部32aとなる。
電源側およびシステム側の金属電極10、11には、この電極と酸化物超電導体とを接合するために用いる、後述する接合金属(図示していない。)との濡れ性を向上させるため、および、電源側から引き出されてくる導体、およびシステム側から引き出されてくる導体との接触抵抗値を低減するため、予め、錫、銀、金、ニッケル、亜鉛、パラジウムの単体または合金を主成分とするメッキ、或いは前記メッキの積層体を設けておくことが好ましい。
一方、電流リード1に用いられる酸化物超電導体は、図面に向かって左から、電極内超電導体80a、電極間超電導体60、電極内超電導体80bの3つの部分から成っている。
ここで、電極間超電導体60には、小さな断面積であっても大電流を流すことが可能な、熔融法で作製された希土類系酸化物超電導体を用いることが好ましい。電極間超電導体60の断面積を小さくすることで、極低温の超電導磁石への熱侵入を、より低減することができるからである。
反面、熔融法で作製された希土類系酸化物超電導体は、長尺のものを作製することが困難である。このため、電源側金属電極10の略左端からシステム側金属電極11の略右端迄を、一体の熔融法で作製された希土類系酸化物超電導体で結んだ場合、高温側と低温側との間に十分な間隔をあけることが困難なことがある。そこで、高温側と低温側との間に十分な間隔をあけるために、酸化物超電導体を複数の酸化物超電導体の接合体で構成するという構成を採ることが好ましい。
さらに、この構成を採ることで、両金属電極中における酸化物超電導体も延長することができ、好ましい。
尚、本願発明のように複数の酸化物超電導体を接合して、酸化物超電導体の接合体としたときの接合された酸化物超電導体間の接触抵抗値は、上述した、相手導体と金属電極との接触抵抗値と比較して1/10〜1/100程度なので、実質的に問題とならない。
電極間超電導体60は、電源側およびシステム側の金属電極10、11の設置部30a、30b内に埋め込まれる部分を拡幅し、その他の中間部は細くくびれた柱状形状を有し、その拡幅した両端部には銀コート61が設けられている。ここで、電極間超電導体60において、電源側およびシステム側の設置部30a、30b内に埋め込まれる部分が拡幅し、且つ、銀コート61が設けてあるいのは接触抵抗値を下げるためであり、中間部が細くくびれた形状を有しているのは、熱の移動を抑制するためである。しかし、本発明に係る電流リード1は、接触抵抗値が低く発生するジュール熱も低いので、電極間超電導体60は、単純な柱状形状のものであっても、十分その効果を発揮することができる。
電極間超電導体60において、両端の拡幅部の手前に測定用銀コート62を設け、そこに測定用導体63を設けておくのも好ましい構成である。電流リード1の特性を評価する際、電源側およびシステム側の金属電極10、11間に所望の電流を流した際、測定用導体63を用いてこの部分の電位差を測定することで、電極間超電導体60の特性を容易に把握でき、品質管理上からも好ましい。
次に、電極内超電導体80a、80bは、特に形状の制限はないので最も生産コストの安価な柱状のものを用いれば良い。その材質にも特に制限はないが、電極間超電導体60と同様の、熔融法で作製された希土類系酸化物超電導体を用いると、機械的強度も高く好ましい。そして、電極内超電導体80a、80bの全面に、予め、銀コートを施しておくことで、電流リード1の接触抵抗値を下げることができるので好ましい構成である。
これら電極間超電導体60、電極内超電導体80a、80bへ、臨界温度が90K以上の酸化物超電導体を用いることにより、電流リードの低温側温度マージンが大きくなり、動作温度が20K以上の超電導システムにも適用できることから、電流リードとしての汎用性を著しく広げることができる。
次に、偏流抑制用部材50a、50bは、電源側およびシステム側の金属電極10、11に彫り込まれた電極内埋め込み溝21a、21b電極間埋め込み溝31a、31bへ、酸化物超電導体が設置された後、その上部へ填め込まれ、両金属電極10、11と一体化する構造を有している。この偏流抑制用部材50a、50bも、後述する接合用金属との密着性を向上させるため、予め、錫、銀、金、ニッケル、亜鉛、パラジウムの単体または合金を主成分とするメッキ、或いは前記メッキの積層体を設けておくことが好ましい。
さらに、図3では、記載を省いているが、電極間超電導体60を挟んで対向する電源側およびシステム側の金属電極10、11の対向面33a、33b間には、電極間超電導体60を被覆する被覆部材70が設けられている。この被覆部材70は対向面33a、33bに設けられた受継部32a、32bに支えられ両電極に固定されることで、電極間超電導体60を機械的、環境的に保護する。
次に、図4を参照しながら、電源側およびシステム側の金属電極10、11への、電極間超電導体60と電極内超電導体80a、80bおよび偏流抑制用部材50a、50bの設置について説明するが、両金属電極10、11とも同様の構成を有しているので、電源側金属電極10側を例として説明する。
図4は、図2、3に示す電流リード1の電源側金属電極10に設けられた設置部30a付近の外観斜視図である。尚、偏流抑制用部材50aは、説明の便宜のため外した状態である。
電源側の金属電極10の右端部は、他の部分より太くなり設置部30aを形成するが、これは上述したように、電極間超電導体60の左端部が拡幅していることに対応したものである。電流リード1の上面には、電極内埋め込み溝21aおよび電極間埋め込み溝31aが彫り込まれ、そこに、各々、電極内超電導体80aの全体、電極間超電導体60の左端部が設けられている。設置部30aにおいて電極間超電導体60が突出する面である対向面33aには、受継部32aが電極間埋め込み溝31aを囲むように設けられているが、この受継部32aは被覆部材70を機械的に支えるものである。
さらに、電極内超電導体80a、電極間超電導体60において、互いが接する面、電源側の金属電極10と接する面、および偏流抑制用部材50aと接する面には、銀コート61が設けられている。さらに、電極間超電導体60において、受継部32aから15〜17mmの位置には、上述した、特性測定のための測定用銀コート62が設けられている。
電極内埋め込み溝21a、および電極間埋め込み溝31aには、酸化物超電導体が設置された後、偏流抑制用部材50aが設置される。そして、このとき偏流抑制用部材50aは、電源側の金属電極10と一体化するが、そのため、右端部には抑制部材突起部52が設けられている。
この偏流抑制用部材50aが、電極間埋め込み溝31aおよび電極内埋め込み溝21aへ設置された際、ここにできる隙間は、片側0.05〜0.5mm程度とすることが好ましい。この隙間が、0.05mm以上あれば接合金属の脱気が十分に進み、0.5mm以下であれば接合金属の容積が大きくなることによる不必要な接触抵抗値の上昇を回避できるからである。そして、この偏流抑制用部材50aと、電極間埋め込み溝31aおよび電極内埋め込み溝21aとの隙間は、図5にて後述する脱気部を構成する。
電極間埋め込み溝31aおよび電極内埋め込み溝21aに電極間超電導体60の端部と電極内超電導体80a全体が設置され、さらにその上に偏流抑制用部材50aが設置された際、電極内超電導体80aおよび電極間超電導体60と、電極間埋め込み溝31a、電極内埋め込み溝21aおよび偏流抑制用部材50aとは、互いに接触し接合される部分である接合部分を構成する。
電極間超電導体60において、電極間埋め込み溝31aおよび偏流抑制用部材50aと対向し、接合部分を構成する5つの面は、この部分の接触抵抗値を減少させる観点より、予め銀コート61されている。また、電極内超電導体80aについても、電極間超電導体60、電極内埋め込み溝21aおよび偏流抑制用部材50aとの接触抵抗を下げる観点から、予め全面に銀コート61されている。銀コートの方法としては、銀ペースト材の塗布焼き付け法、メッキ法、蒸着法、スパッター法、および溶射法等が適用可能なので、生産性、量産性の観点より適宜選択すれば良い。
上述した、電極内超電導体80aと、電極間超電導体60と、電極内埋め込み溝21aおよび偏流抑制用部材50aとの接触抵抗を下げる観点から、これらを接合用金属により接合してしまうことが好ましい。
これらを接合してしまうには、電極間埋め込み溝31a、電極内埋め込み溝21a内に、接合用金属を熔融塗布しておき、ここへ、銀コート上に接合用金属を熔融塗布した電極間超電導体60および電極内超電導体80aを設置し、さらに必要に応じて、電極間超電導体60および電極内超電導体80aと、電極間埋め込み溝31aおよび電極内埋め込み溝21aとが形成する接合部分へ熔融した接合用金属を注入した後、冷却固化させて接合することが好ましい。
この接合用金属としては、熔融塗布の際、酸化物超電導体が過剰に加熱されて、ここから酸素が抜けてしまうのを回避するため、300℃以下の融点を有する各種のハンダが好個に用いられる。中でも、この接合部分の密着性を上げて接触抵抗を下げる観点から、例えば、セラミックとの密着性と塗れ性が高くなるようにCd、Zn、Sb等が添加されたPb−Sn系やIn系の半田材を用いることが望ましい。ここで、セラミック用半田材の好ましい例として、セラソルザ(登録商標)を記載する。
セラソルザ143 旭硝子(株)製
成分:Sn:45〜51(Wt%)、Pb:26〜32、Cd:16〜22、Zn:2〜4、Sb:1〜3
融点:143℃
セラソルザ123 旭硝子(株)製
成分:In:44〜50(Wt%)、Cd:45〜50、Zn:1〜3、Sb:1未満
融点:123℃
以上のように、電源側金属電極10に設けられた電極間埋め込み溝31a、電極内埋め込み溝21aへ、電極間超電導体60の端部および電極内超電導体80aの全体を填め込み、その上に偏流抑制用部材50aを設置して接合部分を形成し、そこへ接合用金属を設けて電源側金属電極10と電極間超電導体60および電極内超電導体80aとを接合する構成を採ることで、電源側金属電極10と電極間超電導体60および電極内超電導体80aとが、全て面接触の状態で電気的に接合することができる。この結果、この部分の接触抵抗値を下げることができ好ましい。
もちろん、この他の実施の形態として、金属電極をキャップ状とし、そこへ酸化物超電導体を填め込む形態、あるいは、金属電極を分割可能な構造とし、酸化物超電導体を挟み込む形で金属電極を組み上げる形態を採ることも可能であり、酸化物超電導体の構造も円柱状、あるいは筒状であっても良い。
ところが、本発明者らは、この接合用金属を用いた接合において、熔解させた接合用金属を電極間超電導体60、電極内超電導体80a、電極間埋め込み溝31a、電極内埋め込み溝21aへ熔融塗布し、さらにこれらを一体化する際、大気等のガス状成分が熔解した接合用金属中へ巻き込まれることを見出した。そして、この熔解した接合用金属中に巻き込まれたガス状成分は、接合用金属が固化する際、内部に空孔を形成する。接合用金属内に空孔が形成されると、接合用金属を介して金属電極と酸化物超電導体との間を流れていた電流の流路が狭まり、所定電流、例えば、1000Aというような大電流の通電時には、この部分が新たな接触抵抗値の増加原因となる。
また、上記空孔のさらなる問題も見出された。即ち、電流リード1の使用時においては、システム側金属電極中に埋めこまれた酸化物超電導体に対し、室温と、液体ヘリウム温度ないし液体窒素温度間のと熱履歴が繰り返されると、金属電極と、酸化物超電導体との線膨張係数の違いから応力が加わることになる。このとき、両者の接合部分に上述のような空孔が形成されていると、ここに応力が集中し、埋めこまれた酸化物超電導体にクラックが発生し、特性を著しく劣化させてしまうこととなるのである。
ここで、金属電極と酸化物超電導体との間にある、接合部分に発生する空孔について、図5を参照しながら説明する。
図5は、電源側金属電極10において、受継部32aが設けられた設置部30aを中心とした断面図である。
電源側金属電極10内に設けられた電極間埋め込み溝31aおよび電極内埋め込み溝21a中には、電極間超電導体60の銀コート61された部分、および全体が銀コート61された電極内超電導体80aが設置され、これらで構成された接合部分には、接合用金属90が設けられている。そして、この接合用金属90中には空孔91が発生している。
この空孔91が、前記接合部分の容積の10%程度以上となると、上述したように、埋めこまれた酸化物超電導体のクラック発生原因となり、電流リードへ所定の電流を流したときに、接触抵抗値発生の原因ともなる。
この空孔91の体積が、接合部分の容積に占める割合は、例えば次のような方法で測定することができる。すなわち、接合部分を順次切断してゆき、その切断面に現れる、接合部分の断面の面積と空孔91の断面積との割合を測定し、その値を順次積算してゆけばよい。
この接合用金属90中の空孔91の生成を、抑制、回避する方法として、まず、大気中において電極間埋め込み溝31a等へ接合用金属の塗布を行い、電極間埋め込み溝31aおよび電極内埋め込み溝21aへ、電極間超電導体60および電極内超電導体80aを設置して加熱し接合用金属90を熔融してこれらを接合するが、このときに、当該部分を真空中に暴露し、真空脱気法により接合用金属90内のガス状成分を除去することが好ましい。この真空脱気の条件として、接合用金属90の加熱温度は融点以上とすれば良いが、脱気を短時間で進行させ、且つ接合用金属90の酸化を抑制する観点から、融点+15〜100℃程度とすることが望ましい。また周囲の真空度は、0.01MPa以下であれば効果が得られるが、10Pa以下とすると4〜5秒で脱気が完了することからより望ましい。そして、この水準の温度、および時間であれば、電極間超電導体60および電極内超電導体80aから酸素が抜けてしまうことを考慮する必要はない。
しかし、この真空脱気の際、熔解した接合用金属90が、電極間埋め込み溝31および電極内埋め込み溝21aから流出して電源側金属電極10の他の部分へ拡散すると、電極間埋め込み溝31aおよび電極内埋め込み溝21a内は接合用金属量が不足する一方、拡散した部分においてはその部分の接触抵抗値上昇の原因となり、いずれも好ましくないことであるので、これを抑制する構成を採ることが好ましい。
これらの、真空脱気手段により、空孔91を接合部分の容積の10%程度以下としたところ、電流リードを(室温−4.2K)の温度サイクルにおいても埋めこまれた酸化物超電導体にクラックは発生しなかった。また、所定の電流を流しても接触抵抗値は発生しなかった。
接合用金属の流失を抑制する具体的な構成例を、図6を用いて説明する。
図6は、図4へ接合用金属が拡散することを抑制するための構成を設けた際の外観斜視図であり、電源側金属電極10に設けられた電極間埋め込み溝31aおよび電極内埋め込み溝21aへ、電極間超電導体60および電極内超電導体80aが設置され、さらに偏流抑制用部材50aが設置された状態を示している。
図6において、電極間埋め込み溝31aおよび電極内埋め込み溝21aの外周縁部および電極間超電導体60に沿って、封止部材41が設置されている。尚、封止部材41を電極間埋め込み溝31aおよび電極内埋め込み溝21aの外周縁部に沿って設置する際、電極間埋め込み溝31aおよび電極内埋め込み溝21aへ偏流抑制用部材50aを填め込むことで、この部分の隙間として形成される脱気部42を閉塞しないように設置することが好ましい。そして、封止部材41としては、接合用金属の融点以上の温度でも変質せず、電源側金属電極10や電極間超電導体60への適宜な接着力を有し、且つ設置が容易なシリコンゴム等を好個に用いることができる。
電源側金属電極10への封止部材41の設置が完了したら、電源側金属電極10および電極間超電導体60および電極内超電導体80aを、接合用金属の融点より15〜100℃高い温度に加熱する。そして、上述の条件により接合用金属を真空脱気すると、発生した気体成分は脱気部42より排出される。このとき、熔融した接合用金属の粘性が高いため、生成した空孔が破裂し難い場合は、例えば超音波ハンダ小手の超音波振動子を用い、機械的衝撃を加えて生成した空孔を破裂させ、さらに真空脱気を行うことが好ましい。
本実施の形態においては、まず、熔融した接合用金属中から気体成分を真空脱気した後に、偏流抑制用部材50aを電極間埋め込み溝31aおよび電極内埋め込み溝21aへ填め込み、再度真空脱気を行う。このとき、偏流抑制用部材50aを介して機械的衝撃を加えることで、熔融した接合用金属中の空孔の破裂を容易に実現できる。この結果、電極間埋め込み溝31aと、電極内埋め込み溝21aと、偏流抑制用部材50aと、電極間超電導体60と、電極内超電導体80aとが形成する接合部分に設置された接合用金属中から、空孔の体積を、接合部分の容積の5%以下に抑制することが可能となった。
電源側金属電極10と電極間超電導体60および電極内超電導体80aとの接合が完了したら、封止部材41を除去する。そして、上述したように、電極間超電導体60の両端に対向して設けられた電源側金属電極10とシステム側金属電極11との間へ、電極間超電導体60を被覆する形で被覆部材を設けることが好ましい。
ここで、図7を参照しながら、電極間超電導体へ被覆部材を設ける工程を説明する。
図7は、電源側金属電極10とシステム側金属電極11とが接合された電極間超電導体60へ、被覆部材70を被覆するため、金型中へ設置した状態を示す斜視図である。
被覆部材70は、電極間超電導体60を、機械的、環境的に保護するものなので、ガラス繊維を含んだ樹脂材料であるGFRP等が好ましく用いられる。
図7において、金型130中には、両端に電源側金属電極10とシステム側金属電極11とが接合された電極間超電導体60が設置されている。そして両側の金属電極10、11の設置部30a、30bと、コ字状の断面を有する金型130とが、金型空間131を形成する。また、両側の金属電極10、11より金型空間131へ向かって、受継部32a、32bと抑制部材突起部52a、52bとが突起している。
一方、熱硬化型樹脂をガラス繊維へ含浸させ、GFRPのプリプレグを調製しておく。そして調製したGFRPのプリプレグを、金型空間131中へ充填し、加熱硬化させて電極間超電導体60の被覆部材とした。この結果、被覆部材は、両側の金属電極10、11より突起した抑制部材突起部52a、52b、受継部32a、32bと嵌合し機械的強度を発揮するので、電気的特性に優れ、機械的、環境的に頑丈な電流リードを製造することができた。
作製された電流リ−ドと、電源側および超電導システム側より引き出されてきた導体との接続について、図1を参照しながら説明する。
図1aは、作製された電流リ−ドを、電源側および超電導システム側より引き出されてきた導体と接続した際の外観斜視図であり、図1bは、そのB−B断面図、図1cは、そのC−C断面図、図1dは、そのD−D断面図である。
まず、図1aにおいて、電流リード1の図面向かって左側の電源側金属電極10には、インジウム箔6aを介して、電源側より引き出されてきた導体(以下、電源側導体と記載する。)5がクランプ3aにより接合されている。尚、上述したように、電源側金属電極10の表面は、予め錫、銀、金、ニッケル、亜鉛、パラジウムの単体または合金を主成分とするメッキ、或いは前記メッキの積層体を設けてあることが好ましい。
ここで電源側導体5とは、図示していない電源からの電流を、電流リード1を介して、図示していない超電導システムへ供給するための電流路である。
電源側金属電極10内には、電極内超電導体80aが、電源側金属電極10の略左端から設置部30aへかけて埋め込まれる形で設置されている。
そして、この電極内超電導体80aは設置部30a内において、電極間超電導体60と接合されている。電極間超電導体60は図面を右に進み、設置部30aを経て電源側金属電極10を離れ、被覆部材70に被覆されてシステム側金属電極11へ到達し、設置部30b内にて電極内超電導体80bと接合される。この電極内超電導体80bは、ここからシステム側金属電極11内の略右端まで設置されている。
このシステム側金属電極11には、電源側金属電極10と同様に、インジウム箔6bを介して、システム側導体2がクランプ3bにより接合されている。尚、上述したように、システム側金属電極11の表面も、予め錫、銀、金、ニッケル、亜鉛、パラジウムの単体または合金を主成分とするメッキ、或いは前記メッキの積層体を設けてあることが好ましい。
このシステム側導体2は、例えば金属超電導体141が導電性被覆材142に被覆された構造を有し、電源からの電流を超電導システムへ供給するための電流路である。
尚、クランプ3は、金属電極と導体との重なり部分の両端を始めとして、両側の電極とも各々2個以上設けることが好ましい。この金属電極と導体との重なり部分を、低融点の半田で接合することも可能だが、クランプであれば脱着自在であり好ましい。この結果、電極内超電導体80aは、その長手方向が電源側金属電極10と電源側導体5との界面と略並行の状態になる。
次に、図1 b〜cを用いて、 電流リード1、電源側導体5、システム側導体2の内部構造およびそれらの接合状態について説明する。
まず、図1bにおいて、電源側金属電極10には、電極内埋め込み溝21aが彫り込まれ、その底部には電極内超電導体80aが設置され、この電極内超電導体80aは、偏流抑制用部材50aにより、電源側金属電極10内に埋め込まれている。電源側金属電極10の断面は略4辺形を有し、その底面はインジウム箔6aを介して、電源側導体5の上面と接合している。通常、電源側導体5は、例えば中身の詰まった金属ロッド(棒、板)である。
次に、図1cにおいて、電極間超電導体60は、その周囲を被覆部材70で囲まれ、機械的、環境的に保護されている。従って、被覆部材70には、機械的、環境的に強く、電流および熱を通過させない材料が用いられる。
最後に、図1dにおいて、電源側金属電極10と同様に、システム側金属電極11には、電極内埋め込み溝21bが彫り込まれ、その底部には電極内超電導体80bが設置され、この酸化物超電導体は、偏流抑制用部材50bにより、システム側金属電極11内に埋め込まれている。システム側金属電極11の断面は略4辺形を有し、その底面はインジウム箔6bを介して、システム側導体2の上面と接合している。システム側導体2は、上述したように、例えば金属超電導体141が導電性被覆材142に被覆された構造を有している。
ここで図1aに戻り、電源から発し、電源側導体5、電流リード1、およびシステム側導体2を流れ超電導システムに到達する電流について説明する。この電流の流れについて、詳細な解明は未だ研究中であるが、概ね、以下のように考えられる。
尚、便宜的に、電極間超電導体60を境として、図面に向かって左側を電源側、右側をシステム側と称する。
電流リードが使用される際、電源側は、例えば液体窒素冷却(77K)され、システム側は、例えば液体ヘリウム冷却(4.2K)される。すると、電極間超電導体60、電極内超電導体80a、80bとも超電導状態となっている。この結果、電源側金属電極10およびシステム側金属電極11とも、その略全長に亘って電位差が減少する。
ここで、図面左側より電源側導体5を流れてきた電流は、電源側導体5と電源側金属電極10との重なり部分の、略全ての領域に亘って、ほぼ均等に電源側金属電極10へ、徐々に流れ込むことになったと考えられる。このため、ミクロ的には、金属の状態や、接合状態のバラツキにより電流の偏流が発生したとしても、マクロ的には、平均化されてしまうので、接触抵抗を大きく抑制することができ(詳細は、実施例にて詳述するが、略10分の1に抑制された。)、従ってジュール熱の発生も大きく抑制される。
酸化物超電導体の中へ流れ込んだ電流は、ジュール熱を発生することなく、システム側金属電極11へ到達する。そして、電源側金属電極にて説明したものと同様なメカニズムにより、システム側導体2とシステム側金属電極11との重なり部分の、略全ての領域に亘って、接触抵抗を大きく抑制されながら(詳細は、実施例にて詳述するが、略10分の1に抑制された。)システム側導体2へ流れ込み、さらには金属超電導体141へ流れ込んで超電導システムへ到達する。この結果、システム側においてもジュール熱の発生は大きく抑制される。
上述した、電源側導体5と電源側金属電極10との接合部、およびシステム側導体2とシステム側金属電極11との接合部において、接触抵抗値を大きく下げる効果を得るためには、例えば、図1に示すように、電源側導体5と電源側金属電極10、およびシステム側導体2とシステム側金属電極11とが、互いの端部を互いの端部の手前に位置するように、重なり合って配置されていればよい。また、この両者の重なり合いの程度は大きい方が好ましいが、各々の導体側が有する断面積と、各々の電極側が有する断面積との和よりも、重なり合いの表面積が大きければ、本発明の効果を得ることができる。
以下、実施例に基づいて、本発明の実施の形態をさらに詳細に説明する。
(実施例1)
1)酸化物超電導体の製造
Gd23、BaCO3、CuOの各原料粉末を、モル比でGd:Ba:Cu=1:2:3になるように秤量して混合し、920℃で30時間焼成してからポットミルを用いて平均粒径3μmに粉砕し、再び930℃で30時間焼成してからライカイ機およびポットミルにて平均粒径10μmに粉砕して、第1の仮焼粉であるGd1Ba2Cu37-xの粉末を作製した。
次に、前記各原料粉末をGd:Ba:Cu=2:1:1になるように秤量して混合し、890℃で20時間焼成してからポットミルを用いて平均粒径0.7μmに粉砕し、第2の仮焼粉であるGd2BaCuO5の粉末を作製した。
第1、第2の仮焼粉をGd1Ba2Cu37-x:Gd2BaCuO5=1:0.4となるように秤量し、さらにPt粉末(平均粒径0.01μm)およびAg2O粉末(平均粒径13.8μm)を加えて混合し合成粉とした。ただし、Pt含有量は0.42wt%、Ag含有量は15wt%とした。
この合成粉を、板状の金型を用いてプレス成形し、縦77mm、横105mm、厚さ26mmの前駆体を作製した。そして、この前駆体を炉体内に設置して、以下の工程を行った。
まず、室温から70時間で1100℃まで昇温させ、この温度で20分間保持し、前駆体を半熔融状態にした後、前駆体の上部が低温側になるように前駆体の上下に5℃/cmの温度勾配を加え、上部の温度が995℃になるまで0.4℃/minで降温させた。
ここで、予め熔融法で作製しておいた、Agを含まずPtを0.5wt%含むNd1.8Ba2.4Cu3.4x組成を有する結晶を、縦横2mm、厚さ1mmに切り出したものを種結晶とし、この種結晶を成長方向がc軸と平行になるように前駆体の上部の中心に接触させる。そして、前駆体上部の温度を995℃から1℃/hrの速度で985℃まで降温させた。この温度で100時間保持した後、915℃まで70時間かけて徐冷し、その後、上下の温度勾配が0℃/cmになるように前駆体の下部を20時間で915℃になるように冷却し、その後、室温まで100時間かけて徐冷して結晶化を行い、酸化物超電導体の結晶試料を得た。
この酸化物超電導体の結晶試料を、上下方向の中心付近で切断して断面をEPMAで観察したところ、Gd1+pBa2+q(Cu1-bAgb37-x相中に0.1〜30μm程度のGd2+rBa1+s(Cu1-dAgd)O5-y相が微細に分散していた。ここで、p、q、r、s、yはそれぞれ−0.2〜0.2の値であり、xは−0.2〜0.6の値であった。また、b、dは0.0〜0.05の値であり、平均的には0.008程度であった。さらに、結晶試料全体にわたって0.1〜100μm程度のAgが微細に分散していた。また、表面から1mmより深い部分には粒径5〜200μm程度の空孔が分散していた。また、結晶試料全体が種結晶を反映してディスク状材料の厚さ方向がc軸と平行であるように均一に配向し、隣接する結晶間の方位のずれが3°以下であり、実質的に単結晶状の結晶試料が得られた。この結晶試料の表面から1mmより深い部分を切り出して密度を測定したところ、7.0g/cm3(理論密度7.68g/cm3の91.1 %)であった。
得られた結晶試料の表面から1mmの部分を削除した後、以下の方法により電極間超電導体に用いる、くびれ形状の酸化物超電導体、および電極内超電導体に用いる柱状の酸化物超電導体を切り出した。くびれ形状の酸化物超電導体は、厚さ3mm、長手方向の全長が87mmで、長手方向の両端の略10mmは幅10mm、中央部の略67mmは幅4mmのくびれ形状を有している。柱状の酸化物超電導体は、厚さ3mm、長手方向の全長87mm、幅4mmの形状を有している。これらの酸化物超電導体を、その長手方向が結晶のab面と平行になるように、結晶試料より切り出した。尚、柱状の酸化物超電導体は2本切り出した。そして、後のアニール処理後に、この材料の熱伝導率の温度依存性を測定したところ、銀が15wt%含有されているにもかかわらず、温度77Kから10Kまでの積分平均値で約141mW/cmKと低い値であった。
2)酸化物超電導体への銀コート設置
まず、エチルセルロース10wt%、テルピネオール30wt%、フタル酸ジブチル50wt%およびブチルカルビトールアセテート10wt%を混合して作製した有機ビヒクルと平均粒径3μmのAg粉末とを重量比3:7の割合で混合し、さらにリン酸エステルを2%添加してAgペーストを作製した。
次に、作製されたAgペーストを酸化物超電導体へ塗布した。
まず、1)にて作製したくびれ形状の酸化物超電導体の、両端部10mmの拡幅部分へは全面に、左右の両端部から15mmの位置へは幅2mmにて、作製したAgペーストを、厚さ50μmで塗布した。同様に、柱状の酸化物超電導体2本へは表面全面に厚さ50μmで塗布した。
Agペーストが塗布された酸化物超電導体を真空含侵処理をした後、大気中80℃のオーブンの中で乾燥させた。次に、このAgペーストを塗布した3本の酸化物超電導体を、再び、炉体中において920℃で10時間焼成してAgを焼き付けて銀コートとし、銀コート酸化物超電導体を作製した。焼き付け後のAgの膜厚は約30μmであった。
3)銀コート酸化物超電導体のアニール処理
銀コート酸化物超電導体をガス置換可能な別の炉の中に設置し、まず、ロータリーポンプで0.1Torrまで炉内を排気した後、炉内へ酸素ガスを流し込んで、酸素分圧が99%以上である大気圧の雰囲気にした。その後は、0.5L/minの流量で酸素ガスを炉内に流しながら、室温から450℃まで10時間で昇温させ、次に450℃から250℃まで400時間かけて徐冷し、さらに250℃から室温まで10時間で降温させて、銀コート酸化物超電導体のアニール処理をおこなった。
4)金属電極および偏流抑制用部材の作製
純度4Nの無酸素銅を加工して金属電極および偏流抑制用部材を作製し、各々の表面にSnメッキを施した。
外形は、全長110mm、幅15mm(但し、片端10mmは設置部を設けるため20mmに拡幅)、厚み15mm(但し、片端10mmは設置部を設けるため20mmに拡幅)とした。さらに、金属電極には、設置部から受継部に亘り、電極間埋め込み溝が彫り込まれ、この電極間埋め込み溝と連続する形で、金属電極の長手方向へ向かって電極内埋め込み溝が彫り込まれている。溝の深さは、略10mm、幅は、酸化物超電導体の幅より略0.5mm拡幅したものとし、酸化物超電導体が金属電極の中心部に位置し、かつ両埋め込み溝の内壁より略0.5mmの間隔を保てることとした。
一方、偏流抑制用部材は、金属電極の両埋め込み溝へ両酸化物超電導体を設置した後、ここへ填め込まれて金属電極の外形と一体化できるものとした。但しこのとき、金属電極の両埋め込み溝の内壁および両酸化物超電導体と、略0.5mmの間隔を保てることとした。
5)酸化物超電導体の金属電極への設置
金属電極の両埋め込み溝に、接合用金属としてPbSn系ハンダであるセラソルザ143(以下、セラソルザと記載する。)を熔融塗布しておく。一方、両酸化物超電導体の銀コート部にもセラソルザを熔融塗布しておく。
そして金属電極の電極間埋め込み溝に、銀コート部を設けた端部10mmにセラソルザが熔融塗布された、くびれ形状酸化物超電導体を設置し、加熱・冷却して仮固定する。次に金属電極の電極内埋め込み溝へ、全面に銀コート部を設けセラソルザを熔融塗布した柱状酸化物超電導体を設置し、加熱・冷却して仮固定する。仮固定が完了したら、電極間酸化物超電導体の突出部の外周から受継部および埋め込み溝の外縁部に亘って、耐熱シリコンゴムを封止部材として設け、セラソルザの流出を防止する処理を行う。
6)接合用金属の脱気処理
流出防止処理が完了したら、金属電極を、セラソルザの融点(143℃)以上である180℃で加熱してセラソルザを充分に熔融させ、素早く真空容器内に入れて約100Paで2分間脱気を行う。続いて、金属電極を、再度180℃に加熱し、予めセラソルザを熔融塗布した偏流抑制用部材を、金属電極に設置された超電導体へ蓋をするようにあてがい、再度真空容器内に入れて約100Paで2分間脱気を行う。そして、超音波ハンダ小手により、この偏流抑制用部材を介して機械的衝撃を加え、既存のセラソルザの空孔を破裂させる。
この結果、金属電極、両酸化物超電導体、および偏流抑制用部材は、空孔を含まない接合用金属にて、電気的にも機械的にも好ましい状態で接合される。接合が完了したら、封止部材は除去しておく。
尚、本実施例においては、作製した電流リードの特性を測定するため、酸化物超電導体の端から15〜17mmの位置に設けた銀コート部分に、特性測定用の直径0.1mmのステンレスリード線を、セラソルザを用いて接続した。
7)被覆部材の設置
ビスフェノールA型エポキシ樹脂と芳香族アミンとからなる熱硬化型のエポキシ樹脂の接着剤を準備し、ガラスクロス繊維およびチョプドガラス繊維へ真空含侵させ、GFRPのプリプレグとした。
次に、6)で製造した、両端に金属電極が設けられた酸化物超電導体を金型中へ設置し、金属電極間の酸化物超電導体と金属電極の受継部だけがGFRPで覆われるようにした。そして、チョップドガラス繊維のプリプレグを、酸化物超電導体の周囲の金型空間へ充填し、120℃で熱硬化させて、チョップドガラス繊維とエポキシ樹脂で被覆された酸化物超電導体電流リード試料を製造した。
8)電流リードの特性評価
ここで、本発明の構成である、金属電極内に埋め込まれた電極内酸化物超電導体が、当該電流リードの接触抵抗値へ与える効果を評価するため、電極内超電導体と電極内埋め込み溝を設けない以外は、本発明に係る電流リードと同様の比較用酸化物超電導体電流リード試料も作製した。
上述した、本発明に係る電流リードと比較用電流リードとを用いた、電極内酸化物超電導体が、当該電流リードの接触抵抗値へ与える効果を評価する方法について、図8a〜図8cを参照しながら説明する。
ここで図8aは、本発明に係る電流リードを2個準備し、各々の電源側金属電極またはシステム側金属電極を、厚さ0.1mmのインジウム箔を介して、クランプで接合し(上述したように両電極とも同様の構成を有しているのでどちらを選択してもよいが、本実施例においては互いのシステム側金属電極11を接合することとした。)、接合していない互いの電源側金属電極には電源からのケーブルを接続した状態の外観斜視図である。この接続状態は、本実施例の電流リードと、超電導マグネットコイルなどから引き伸ばされたシステム側超電導導体が接合された状態に相当する。
図8bは、比較用電流リードを2個準備し、図8aと同様に接合した状態の外観斜視図である。この接続状態は、従来の技術に係る電流リードと、電源などから引き伸ばされた常電導の導体が、電源側金属電極に接合された状態に相当する。
図8cは、本発明に係る電流リードと、比較用電流リードを各々1個準備し、この2個を図8aと同様に接合した状態の外観斜視図である。この接続状態は、本願発明の電流リード1へ、電源などから引き伸ばされた常電導の導体が、電源側金属電極に接合された状態に相当する。
この3種類の接合された2個の電流リードを、77Kおよび4.2Kに冷却して、10A間隔で1060Aまでの電流を通電し、予め、各々の電流リードの金属電極間通電用超電導体60の端から15mmに取り付けたステンレス線間の電圧を測定し、V-I特性の傾きから、電流リード間の接合部に発生する接触抵抗値Rを算定した。
図9は、実施例1に係る電流リードの特性算定結果の一覧表である。
図9に示す算定結果より、接触抵抗値Rの値は、本発明に係る電流リードにおいて77Kで0.28μΩ、4.2Kで0.2μΩであった。これに対し、比較用電流リードにおいては、77Kで3.23μΩ、4.2Kで2.6μΩであり、本発明に係る電流リードと比較用電流リードとを混合した中間的な場合は、77Kで1.52μΩ、4.2Kで1.22μΩであった。
この結果から明らかなように、接触抵抗値Rの値を、本願発明に係る電流リードと比較用の電流リードとで比較してみると、相手側が常電導線である場合は約1/2、相手側が超電伝導線である場合には約1/10に、低減する効果があることが判明した。
また、本実施例に係る電流リード試料の低温側を4.2K、高温側を77Kに冷却した際の、高温側から低温側への伝熱による熱侵入量は0.28Wであった。
さらに、当該電流リード試料を77K、0.5T磁場中に置き、臨界電流値を2000Aまで通電して測定したが、電極間超電導体に抵抗の発生は無く、2000A以上であることが判明した。そこで、超電導体試料の断面を、敢えて3mm×4mmからφ2mmに研削加工し、有効断面積を減らして再度通電試験を行ったところ、臨界電流値は610Aであった。この結果より、当該電流リード試料における臨界電流値に換算し直すと、0.5Tの磁場中で、約2330Aに相当する値であることが判明した。
以上のことから、当該電流リード試料において、金属電極の一方を高温側(77K)、他方を低温側(4.2K)として0.5Tの磁場中で1000Aを通電した場合、低温側でのジュール熱発生量は、従来の2.6Wが0.2Wに改善され、高温側では従来の2.6Wから0.28Wに改善され、大きく低減されることから、冷却効率が著しく改善され、システムのランニングコスト削減と、冷凍機容量のコンパクト化を実現できるようになった。
最後に、当該電流リード試料の金属電極部分を通電方向に沿って切断し、酸化物超伝導体と金属電極との接合部分に設置された接合用金属中の空孔の体積が、接合部分の容積の何%を占めているかを測定した。その結果、接合用金属中の空孔の体積は、左右とも接合部分の容積の約0.1%を占めていることが判明した。
(実施例2)
1)酸化物超電導体の製造
Sm23、BaCO3、CuOの各原料粉末を、モル比でSm:Ba:Cu=1.6:2.3:3.3になるように秤量した後、BaCO3とCuOのみを880℃で30時間焼成して、BaCuO2とCuOの仮焼粉を得た(モル比でBaCuO2:CuO=2.3:1.0)。次に、この仮焼粉へ前記予め秤量しておいたSm23を加え、さらにPt粉末(平均粒径0.01μm)およびAg2O粉末(平均粒径13.8μm)を加えて混合し、大気中900℃で10時間焼成しAg入り仮焼粉とした。但し、Pt含有量は0.42wt%、Ag含有量は15wt%とした。このAg入り仮焼粉をポットミルで粉砕して、平均粒径約2μmとし合成粉を得た。
得られた合成粉を粉末X線回折により分析したところ、Sm1+pBa2+q(Cu1-bAgb37-x相およびSm2+rBa1+s(Cu1-dAgd)O5-r相が確認された。
この合成粉を、縦77mm、横106mm、厚さ26mmの板状にプレス成形し、前駆体を作製した。そして、この前駆体を炉体内に設置して、以下の工程を行った。
まず、室温から70時間で1100℃まで昇温させ、この温度で20分間保持して前駆体を半熔融状態にした後、前駆体の上部が低温側になるように前駆体の上下に5℃/cmの温度勾配を加え、上部の温度が1025℃になるまで0.4℃/minで降温させた。
ここで、予め熔融法で作製しておいた、Agを含まずPtを0.5wt%含むNd1.8Ba2.4Cu3.4x組成の結晶を、縦横2mm、厚さ1mmに切り出したものを種結晶とし、成長方向がc軸と平行になるように前駆体の上部の中心に接触させる。そして、上部の温度を1025℃から1℃/hrの速度で1015℃まで降温させた。この温度で100時間保持した後、945℃まで70時間かけて徐冷し、その後、上下の温度勾配が0℃/cmになるように前駆体の下部を20時間で945℃になるように冷却し、その後、室温まで100時間かけて徐冷し、前駆体の結晶化を行い、酸化物超電導体の結晶試料を得た。
この酸化物超電導体の結晶試料を、上下方向の中心付近で切断して断面をEPMAで観察したところ、Sm1+pBa2+q(Cu1-bAgb37-x相中に0.1〜30μm程度のSm2+rBa1+s(Cu1-dAgd)O5-y相が微細に分散していた。
ここで、p、q、r、s、yはそれぞれ−0.2〜0.2の値であり、xは−0.2〜0.6の値であった。また、b、dは0.0〜0.05の値であり、平均的には0.008程度であった。さらに、結晶試料全体にわたって0.1〜100μm程度のAgが微細に分散していた。また、表面から1mmより深い部分には粒径5〜200μm程度の空孔が分散していた。また、結晶試料全体が種結晶を反映してディスク状材料の厚さ方向がc軸と平行であるように均一に配向し、隣接する結晶間の方位のずれが3°以下であり、実質的に単結晶状の結晶試料が得られた。この結晶試料の表面から1mmより深い部分を切り出して密度を測定したところ、6.87g/cm3(理論密度7.53g/cm3の91.2%)であった。
得られた結晶試料の表面から1mmの部分を削除した後、実施例1と同様にして、くびれた形状の酸化物超電導体、および柱状の酸化物超電導体2本を切り出した。
後のアニール処理後に、この試料の熱伝導率の温度依存性を測定したところ、温度77Kから10Kまでの積分平均値で、約113mW/cmKであり、銀が15wt%含有されているにもかかわらず低い値であった。
以降、
2)くびれ形状および柱状形状の酸化物超電導体への銀コート設置
3)銀コート酸化物超電導体のアニール処理
4)金属電極および偏流抑制用部材の作製
5)酸化物超電導体の金属電極への設置
6)接合用金属の脱気処理
7)被覆部材の設置
8)電流リードの特性評価
を実施例1と同様に行った。
図10は、実施例2に係る電流リードの特性算定結果の一覧表である。
図10に示す算定結果より、接触抵抗値Rの値を、本願発明に係る電流リードと比較用の電流リードとで比較してみると、相手側が常電導線である場合は約1/2、相手側が超電伝導線である場合には約1/10に、低減する効果があることが判明した。
また、この電流リード試料の低温側を4.2K、高温側を77Kに冷却した際の、低温側への伝熱による熱侵入量は0.25Wであった。
さらに、当該電流リード試料の77K、0.5T磁場中における臨界電流値を2000Aまで通電して測定したところ、電極間超電導体に抵抗の発生が無く、2000A以上であることが判明した。そこで、超電導体試料の断面を3mm×4mmからφ2mmに研削加工し、有効断面積を減らして再度通電試験を行ったところ、臨界電流値は630Aであった。この結果を当該電流リード試料における3mm×4mmに換算し直すと、0.5Tの磁場中で、約2400Aに相当する値である。
以上のことから、当該電流リード試料において、金属電極の一方を高温側(77K)、他方を低温側(4.2K)として0.5Tの磁場中で1000Aを通電した場合、低温側でのジュール熱発生量は、従来の2.65Wが0.21Wに改善され、高温側では従来の3.5Wから0.27Wに改善され非常に低い値であることから、冷却効率が著しく改善され、超電導システムのランニングコスト削減と、冷凍機容量のコンパクト化による生産コストの削減を実現できるようになった。
最後に、当該電流リード試料の両側の接合部分を切断し、接合部分に設置された接合用金属中の空孔の体積が、接合部分の容積の何%を占めているかを各々測定した。その結果、接合用金属中の空孔の体積は、左右とも接合部分の容積の約0.1%と緻密に充填されていることが確認された。
以上、詳述したように本発明は、酸化物超電導体の両端に金属電極が設けられ、前記金属電極に接合された相手導体との間で電流の授受をおこなう酸化物超電導電流リードであって、
前記金属電極の少なくとも一方において、
前記金属電極と前記相手導体との界面に略並行するように、前記金属電極中に
前記酸化物超電導体が設置されている酸化物超電導電流リードであるが、この構成を有する酸化物超電導電流リードにおいては、相手導体と電流の授受をおこなう金属電極間の接触抵抗値が低減され、この部分で発生するジュール熱が抑制される。
本発明に係る電流リ−ドを、電源側および超電導システム側の導体と接続した際の外観斜視図、B−B断面図、C−C断面図、D−D断面図である。 本発明に係る酸化物超電導電流リード本体の外観の斜視図、A−A断面図、B−B断面図である。 図2に示す酸化物超電導電流リードの分解斜視図である。 本発明に係る酸化物超電導体電流リードの接合部分の拡大分解斜視図である。 図4のA−A断面図である。 本発明に係る酸化物超電導体電流リードの接合部分へ、接合用金属が拡散することを抑制するための構成を設けた際の外観斜視図である。 電極が接合された電極間超電導体を、金型中へ設置した際の斜視図である。 実施例および比較例に係る酸化物超電導体電流リードを特性評価する際の模式的な斜視図である。 実施例1に係る電流リードの特性算定結果の一覧表である。 実施例2に係る電流リードの特性算定結果の一覧表である。
符号の説明
1.酸化物超電導体電流リード
2.システム側導体
5.電源側導体
10.電源側金属電極
11.システム側金属電極
60.電極間酸化物超電導体
80.電極内酸化物超電導体

Claims (5)

  1. 一端から順に、互いに接合された、電極内超電導体、電極間超電導体および電極内超電導体からなる酸化物超電導体の両端にある電極内超電導体を埋め込むように金属電極が設けられ、前記金属電極へ並行に重なり合うことにより接合された相手導体との間で電流の授受をおこなう酸化物超電導電流リードであって、
    前記金属電極と、前記一つ以上の酸化物超電導体とは、接合用金属によって接合され、前記接合用金属中にある空孔の体積が、接合部分の容積の5%以下であり、
    前記金属電極の少なくとも一方において、
    前記金属電極と前記相手導体との界面に略並行するように、前記金属電極中に前記電極内超電導体が設置されていることを特徴とする酸化物超電導電流リード。
  2. 請求項1に記載の酸化物超電導電流リードであって、
    前記酸化物超電導体は柱状形状を有し、その長手方向が前記界面と略並行して設置されていることを特徴とする酸化物超電導電流リード。
  3. 請求項1または2に記載の酸化物超電導電流リードであって、
    前記酸化物超電導体は、溶融法で作製された酸化物超電導体であることを特徴とする酸化物超電導電流リード。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載の酸化物超電導電流リードを用いたことを特徴とする超電導システム。
  5. 一端から順に、互いに接合された、電極内超電導体、電極間超電導体および電極内超電導体からなる酸化物超電導体の両端にある電極内超電導体を埋め込むように金属電極が設けられ、前記金属電極へ並行に重なり合うことにより接合された相手導体との間で電流の授受をおこなう酸化物超電導電流リードであって、前記金属電極と前記相手導体との界面に略並行するように、前記金属電極中に前記電極内超電導体が設置されている酸化物超電導電流リードを用い、
    前記一方の金属電極へ金属超電導導体を接合し、前記他方の金属電極へ金属導体を接合し、金属超電導導体が接合された金属電極側を液体ヘリウム冷却し、金属導体が接合された金属電極側を液体窒素冷却する、ことを特徴とする金属導体と金属超電導導体との接続方法。
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